最近Amazonでセールで一冊99円だったのでまとめて読んでみた。
高校生の時の自分のころ、TRPGブームだったりして、ブラスバンド部の部室にもそういうSF・ファンタジー系のサブカルの波はあり、そういうのに詳しい友人と一緒になって文物を読み漁ったりもしていた。
「ウォーロック」とか、買ってたな。当時。
しかしクトゥルー神話については、あらましは知っていたけど、ラヴクラフトの著作はちょろっと読んだくらいで、がっつりハマることはなく、軽く踝を浸した程度に終わったのである。
なので、今回こういうラヴクラフトのコミカライズというのを読んでみると、なかなか面白かった。
コズミック・ホラー。
コズミック・ホラーってなんやねん、とは思うけど、これって、普通のホラーが、正常の世界が基調にあって、不可思議な特異点に迷い込んでしまう、という話だとすると、クトゥルー神話の場合は、その特異点こそが宇宙の基調である、みたいな、正常と異常の感覚が反転するところにあるんだろうかと思う。
つまりは、そういう図式であると、おそろしいものこそが現実であり、逃げ場がないわけだ。
ただ、20世紀初頭には未踏峰や人跡未踏のエリアというのもたくさんあったけれども、現代というのは、そういう「余白」というものがほとんどなくなってしまったわけで、やはり、当時味わったうすら寒さを現代の我々が味わうのはいささか無理があるのかもしれない。
とはいえ、このコミカライズはよくできていると思った。
読み味としては、ミヒャエルエンデ「自由の牢獄」にでてくる「遠い旅路の目的地」の感じの不思議さ。
あれ、なんなんだろうと思ったけれども、ラヴクラフトの時代感覚に似ているのかもしれないと思った。