こいのぼり文化

去年mixiのほうに書いた文章の焼き直しですが、今日は子供の日ですね!みなさん柏餅食べて菖蒲湯はいってちまき食べましたかはいそこうるさい!

というわけでこいのぼりの歌について。
とりあえずそこらへんにいたちびっこに聞いてみたところ
「こいのぼり歌わないと!」
もーいーくつねーるーとー
「ばかやろお」
鯉のぼり文化の衰退を危惧せざるを得ない。

弘田龍太郎版のダイナミックさ

さてこいのぼり。これは二曲同名のものがあるわけですが、断然「甍の波」の弘田龍太郎にとどめを刺すと思うわけですよ。なによりメロディと歌詞内容のコラボレーションが見事。
「いらかーのなーみーとー」
ここらへんは助走段階。テンポをまず刻み付けるわけですね。「重なる波の中空を〜」まで徐々にボルテージを高めたかと思いきや、
「たっちっばーな、か〜おおるー」
で一旦それまで刻んでいたリズムを開放します。ふと重力が消える感覚。もうここで離陸したわけですね。
「たーかく、おーよぐーや」
で上空高らかに飛翔する姿も神々しいが、なによりそれをまたいったん下から
「こーいい、のーぼ、りー」
と視線がせせりあがってくるこの上昇感は並大抵のセンスではありませんね。参りましたね。唸りますね。

前半は甍の波、雲の波で平面的視点。それが後半一転して上下方向に切り替わる、その様がダイナミックにメロディでも表されているわけです。
そもそも鯉のぼりとは龍となって上っていく鯉の姿であった。その光景が目に浮かぶようですね。きわめて映像的です。やるものです。

近藤宮子版のふがいなさ

一方の近藤宮子版こいのぼりはどうか。
「屋根より高い〜」のほうです。おおむね平和なのはいいんですが、家族構成を列挙するのみ。およいでいるのはいいが、なんら目的というものがありません。なにが「おもしろさうに」だ。

なんという家族主義。惰弱。惰弱であります。徒競走のゴール前で手をつなぎいっせいにゴールを強要するかのごとき唾棄すべき近視眼。

これはどう見ても屋根より30cm程度の高さにとどまりますよね。「高くおよぐやこいのぼり」の333m感には及ばない。

たしかに弘田版も泳いでいるだけという見方もありましょう。よろしい。ではこれをご覧あれ。二番、三番の歌詞にてござる。両方とも著作権は消滅しているようでWikipediaでも堂々と掲載されていますね。

2:
開ける広き其の口に、
舟をも呑(の)まん様見えて、
ゆたかに振(ふる)う尾鰭(おひれ)には、
物に動ぜぬ姿あり。


3:
百瀬(ももせ)の滝を登りなば、
忽(たちま)ち竜になりぬべき、
わが身に似よや男子(おのこご)と、
空に躍るや鯉のぼり。


この力強さ!物に動ぜぬ、ですよ!めまいがするほど男らしい!
また「わが身に似よや」ですよ、この男親の愛情!多くは語らない厳しい父がこの日だけは鯉のぼりを必ず準備するんですよ。
マスオのごとき婿養子の「いやー、ぼくは見本になるような親じゃ…タハハ、メンボクない」などと笑ってる脆弱者とはわけが違う。

わが身に「似よ」ですよ。なかなか今時そこまで自信持って言える父親がいるでしょうか。
おれを超えてみせろ、ただしそのときはワシが死ぬときだ、さあおれを殺してみろ!ぐらいの、男の父と子にはこのような本宮ひろ志的関係がかつてはあったのでございましょう。むせ返るような浪漫に身が引き締まりますなあ。いやーまいった。


どうですか奥さん。「ヒロくんは、パパとママ、どっちが好き?」とか言ってる場合じゃないですよ!

そういえばもうひとつあった

なお、五月五日の歌にはもうひとつあって、せいくらべですね。
「柱の傷はおととしの」
このあきれ返るほどののんびりさ加減、弛緩ぶりはどうでしょう。これでは子供どころか老人ではないですか。

しかも「ちまきたべたべ、ねえさんが」とほのかなエロティシズム漂う箇所も、調べてみたら「にいさん」だったんじゃないか!そんなやついらない。

引っ越しジンクスこわい

参りましたね。

この家を建て直すと言うことで、これを機に独り暮らしをすることになりました。新居の契約も済み、今週末荷物運び、21日にネットワーク開通、という段取りだったんですが。

さっき帰ってきたらwindowsパソコンが再起動している。誰かがブレーカーいじったか、とおもったら、ルータ、自宅サーバーのマシンが死んでる。電源入らず、明らかに逝っちゃってる。

なにかコンデンサを突き破るエレキがかかったか。

かいなおしだわ。サーバーのディスク、サルベージできるよね、たぶん。RedHatなんだけど、CentOS突っ込んだマシン用意してマウント…できるよね?(あまりやったことない)

そんなわけで、エロチック街道さんは復活に時間が掛かるようです。

日本語含む正規表現が遅いときがあるよ

こんな現象見つけた。

use utf8;
use Time::HiRes;
use Benchmark qw(:all :hireswallclock);

sub five {
    my $a = 'あいうえお';
    my $b = 'あれれ';

    ($b =~ /^\s*$a\s*$/) ? 1 : 0;
}

sub three {
    my $a = 'あいう';
    my $b = 'あれれ';

    ($b =~ /^\s*$a\s*$/) ? 1 : 0;
}

my $res = timethese(10, {
                   five => \&five,
                   three => \&three,
              });

cmpthese($res);

まあベンチマークとるまでもなく体感で違うんですが、手元のCentOSでの結果。

Benchmark: timing 10 iterations of five, three...
      five: 21.6958 wallclock secs (21.69 usr +  0.00 sys = 21.69 CPU) @  0.46/s (n=10)
     three: 5.07832e-05 wallclock secs ( 0.00 usr +  0.00 sys =  0.00 CPU)
            (warning: too few iterations for a reliable count)
        s/iter                 five                three
five      2.17                   --                -100%
three 1.00e-16 2168999999999999744%                   --

わーい。つまりひらがな5文字にすると2秒ぐらい掛るように。これ1文字足したり引いたりいろいろすると1秒以下になったりします。微妙なとこでプランが変わるような感触。

Perlは5.8.8、関係あるのかどうかEncodeは2.18。
これ、既知のアレなのかな。

まあ、このコードの場合先に$bの先頭末尾から空白文字を削ってeqで比べたほうがいい、ということでいいんですが、ちょっとなにやら不穏な気配がしたもので。日本語含みの場合気をつけなきゃいけないってこと?

正規表現先頭の「^\s*」が怪しいのかな。
encode_utf8してから比べるようにすることでも回避できるようですが…あまりやりたくないなあ。

Emacsクイズに答える

遅ればせながら、Emacsクイズ - 日記を書く [・w・] はやみずさんを見つけたのでそっけなく答えてみよう。

きほん編

q1. 一般的に"カーソル"と呼ばれる、タイプされた文字やテキストの挿入が行われる位置のことをEmacsでは何と言う?

ポイントだったかな。

q2. split-window-horizontally(ウィンドウを水平に2分割)するキーバインドは何?

C-x 3。

q3. C-x C-t というキーバインドが、どのコマンドに割り当てられているかを調べる方法は?また、調べた結果は?

M-x describe-key で…調べた結果というのは…別バッファが開くとかそういうこと?

おうよう編

q4. "カーソル"の手前の1文字を削除する方法を、Back spaceをタイプする以外の方法で行うにはどうすればよい?

C-h…は自分のバインディングだったわ。M-x delete-backward-char。まあ実際にはC-bC-dのほうを多く使う。

q5. "hello"という文字列が名前に含まれるコマンドの一覧を取得する方法は?

M-x apropos。

q6. 一度 "pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis" (珪性肺塵症という意味の単語) と打った後に、再び同じ単語を入力する必要に迫られた。kill&yank以外の方法では、どのように"pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis"を入力するのがよいだろうか?

M-/。dabbrevですね。

q7. マウスでクリックすると http://hayamin.com/ をブラウザで開くようなテキストをバッファに挿入する方法は?

ああこれ、w3mとかそのあたりでできたんだっけ。知らない。

いみふ編

q8. foo-bar<1>, foo-bar<2>, foo-bar<3>, ... , foo-bar<1000> という名前の1000個のバッファを開いているとする。これらのバッファを全てkillする方法は?

  1. C-xC-bでバッファリストを表示
  2. C-x oでそのバッファに移り、foo-bar<1>の行にカーソル移動
  3. C-u 1000 dでマーク付け、x

まあ、こんなところかしら。

追記:Emacsクイズ - かいとう編 - 日記を書く [・w・] はやみずさんすでに答えが出てた。しょんぼり。
ああ、describe-key-breiflyってのもあったなあ。

MML記法を試す

何年か前の話ですが、内輪の掲示板がありまして、音楽を趣味とするひとが多いのでメロディをテキストで書いて演奏する機能を組み込もうとしたことがあったんですよね。ワリとマジメにMIDIの規格とかいろいろ本を買いあさったりして。
そのときはサーバ側でMIDIフォーマットにしてファイルを作ってしまえばいいかと思ってたのだけど、そうかー、FLASH+JavaScriptでできたかー。

ただね、MML記法そのものについては…ちょっとそのとき考えだした記法なんかもありますが(ストトン記法などもあるのは知っていますが、根本的に違う考え方にしたのです)、その話はまた改めて。

とりあえず適当になにか書いてみよう。音採るのは別にいいけど、この記法にするのが面倒だな。

t092v13 @E1,0,24,32,32q12@2  o4d#a#<f2>da#<f2>cg<d#2o3a#<f<d2
o3g#<d#<c2o3a#<f<d2>d#fga#<d#1
>d#a#<f2>da#<f2>cg<d#2o3a#<f<d2
o3g#<d#<c2o3a#<f<d2>d#fga#<d#1
>d#a#<f2>da#<f2>cg<d#2o3a#<f<d2
o3g#<d#<c2o3a#<f<d2>d#fga#<d#1
o3g#<d#g#<c>>g<dga#>f<c>a#<f>g<dga#
o3g#<d#g#<c>>g<dga#>f<c>a#<fd#fga#<d#1;

t092v15 @2 q15@E1,5,50,50,10 r1r1r1r1r1r1r1r2r4a#8<c8
d#2fga#2a#4.<c8>g2.d#f4.g2f8
d#2&d#8d#8d8c8>a#2<d4.d#8&d#1&d#2.>a#8<c8
d#2fga#2a#4.<c8>g2.d#f4.g2f8
d#2&d#8d#8d8c8>a#2<f2d#1&d#2.c
g2.d#>a#2.a#8<c8d#2f2g2.g#
a#2.<cd2>a#2d#2d#dd#1;

PC版ではあのシーンでこれが流れるんだよね。PSの「あおげば尊し」よりこっちのほうが。

しかし気づきましたよ。マビノギとかテキスト音楽「サクラ」とかのMML記法とは、「>」「<」
の意味が逆なんだこれ。サクラでいま試してから入れてみて、どうもおかしいおかしいと思ったらそういうことか。

あと、エンベロープはいいけど、やっぱりプリセットの音色リストとかほしいね。どこかにあるのかな?

mixiデザインに関する商人的態度

えー、10月1日でしたか。mixiなる大変たくさんの方が御利用なさっているサービスのデザインが一新された、と。

わたくしの見たところ、確かに変わってますが「うっひゃ、あやつめ、やりおったわい」と膝を叩くほどのドラスティックな変更ではなく、「なんだ画面の大筋は同じか…」と正直肩透かしを食らった感があり、しかしまあ、あまり大胆なことすると反発もあるだろうし、まあmixiだし、このへんが落としどころかな…といったところでした。
ところが世間様ではすでにあれでも激しくお気に召さないご様子であります。わたくしの、いわゆるマイミクですか、その中でも激しく修正を求めるコミュニティに入っただかなにかの人もいて鼻息も荒く、いやまあみなさんお若い。御健勝のようでなによりでございますな。

専門家関係顛末

ところで、そこから違った方向で今世間をにぎわせているのがこちらでございます。
今回のmixiのリニューアルについて - 専門家に聞く
ここでタイトルにもある「専門家」というのがのちのち重要になってくるのでありますが、ともあれなんか適当にそのへんの牛丼屋で卵かき混ぜてるやつ見繕って「こないだのさ、mixiのほら、なんか変わったでしょおじさんどう思う?変よね?使いにくいよね?」みたいなインタビューというのでは、決して断じて絶対になにがなんでも違う、そういう記事に仕立てたのであろう物件であります。

中には「なるほど、それはそうだ」というお話をされている方もいらっしゃるのですが、まあ谷口とおっしゃる方の「H属性」とはなんぞや?思いがけないその淫靡な響きにわたくしなどは日夜悶々として過ごしておるわけですが、なんといっても注目は寺田あつしでございます。

「いまだにphpではなくperlで動いているあたり」

http://profile.allabout.co.jp/ask/qa_detail.php/6863

とくにこれです。はてなブックマークでも、あーあ、こりゃすげえや。ってな塩梅で、いまやすっかり業界にほのぼのとした笑いを提供くださった人気者にのし上がったのでありました。

コレに対するややマジメな反応としましては寺田さんの発言がラヴリーすぎる件や、http://neta.ywcafe.net/000785.htmlなどがありますので、「え?あれのどこが悪いって言の?」という寺田あつしは見るとよかろうと思いますが、でもまあ、こういう風に考えている人もいまだに多いようであります。つまり、技術のことはよくわかんなくてとりあえず上場とかそういったビジネス周りの話にもっていきたい寺田は別格として、PHPPerlとかの話ですね。

そういった方々の頭の中はきっと、Perl4とかCGIとかそういう言葉が出てきてしまうのであって、もう出てきて10年以上経つmod_perlなんぞも知らず、CatalystやらSledge、Jiftyですか、そういったフレームワークやらなにやらあることすら…まあこれはいいですか、実際以前ひょいと流れて来たmixiのソースを見る限りではそういうったものは使ってない風でしたので。しかしある意味あれをもって「身内の」「技術や知識が古く、独自の思考をもった温室エンジニア」と断じる気もわからないでもないですが。
とはいえ、表面の「デザイン」を変えるのと同じ調子でそういったアプリケーション部分も「リニューアル」できると本気で思っているのかと思うと、こういう工数計算をする社長の下でお仕事なさる方の苦労がしのばれるというものです。

デザインの種類

私が申し上げるまでもなく、デザインには

  1. 色とかフォントとか四角とか丸とかいう表面上の問題
  2. ページ遷移など構造上の問題
  3. パフォーマンスやらスケーラビリティやら機能拡張のしやすさなどを勘案したハード&ソフト上の構造

まあ他にもありそうですがざっと考えてもこんな感じで、などということは皆様御承知のとおりでございますが、寺田あつしはどうも1についての質問に全部ごっちゃにしてさらに社会的ケーザイ的な情報も加味して回答するという親切心が横溢しているようであります。

つまりはphpだなんだという話は、あまりにperl4ぐちゃぐちゃなおかげで機能拡張ができません、とか落ちて落ちて困ってますとか、そういう話に持ち出すべきもので見た目がどうこうといった問題ではございません。まあこれは十分寺田も承知の上で書いているのでございましょうが。

ただ、ひとつあるとすればURLですか。mixiの方は、認証下のサービスだからでしょうか、あまりそのあたり気を払ってないようですが、ユーザに見えるURLというやつは基本的にAPIとも考えてよいのでありまして、たとえば日記に他の日記を記述するような場合を鑑みて、/view_diary.pl?id=云々よりもうちょっとオツな洒落の効いてるURLにすれば、とも思いますが、まあそこは好みでございますね。

言語をアレコレ言うこと

…というかそもそもこの拡張子をもってPerlであると断じておりますが、view_diary.plという名前で中身はCで書き換えてあります、とかいうと根底から話が違ってしまいますなあ。

さてユーザにとっては実装がPHPだろうがPerlだろうがPythonだろうがLispだろうが、どうでもいいっちゃあどうでもいい話であります。
以前、これはジャズ系プレイヤーが読む雑誌に載っていたギャグマンガで、バンドの若者がステージから
「ぼくたちのサウンドはsus4を使って(ミクソリディアンだったかも)いるから音楽理論的にも優れてるんだ!」
と叫び、もちろん観客ポカーン、といったものがありましたが、まあそういう話でありまして、よく学生に多いようでございますが、「どの言語を勉強したらよいですか」これなんぞはプロの職人に言わせますと「食えそうならなんでもやったらよかんべえ」という答えになるわけでして、生涯ひとつの言語さえ覚えれば食いッぱぐれがない、なんて甘い世界ではございません。

ですから、この寺田問題について「Perlは今でもAmazonやこのはてなやその他いろーんなところで」とかそういう、なんてんですか、往年のセガだプレステだ任天堂だ、って戦争ごっこを思い出しますな、そういうレベルの話とはちょっと別のことも考えていたほうが良かろうと存じます。

どんな言語やフレームワークでも、ぐちゃぐちゃでメンテ不能なコードなんて、まあ大抵あっという間にできるものであります。そんなときにPerlだからダメなんだPHPRailsだ、と渡り歩いたところでまあダメなやつは何をやらせてもダメと相場は決まっておりますから跡は推して知るべしなのであります。

デザインの御不満への対応

話をmixiのデザインに戻しますが、しかしちょっとまあ、「他人のデザインをどうこう言う前に自分のサイトをもうちょっとどうにかせえ」と言われる前に逃げ出さねばなりません。…ずいぶん話が長うなってしまいましたが。

じゃあ一点だけ。わたくしの界隈ではmixi新デザインが白っぽいとか、眩しいなんて声もありました。これですね、ちょっと他人事ではないですよ。というのは私はここもそうだし本家も基本背景白ですので。

しかしまあここで、
「そりゃおめぇのモニタ明るすぎるんじゃね?ツマミだかボタンだかいじってなんとかしろってのこのトーヘンボクが」
と鼻糞ほじりながら答えていてはあきんどとして失格でございます。

ここは、
「いらっしゃいませ、毎度御ひいきに、は?白っぽい?いやはや、そんなはずは…ではちょいと失礼して…どーれ…ふむふむ…なんと!これは眩しゅうございますな!」
と大げさに驚き、
「いやはや、これは見ておられぬ。もう目に突き刺さるようでございます。これではたまりません。お客様のおっしゃるとおりでございます。あいやしばし、しばしお待ちを、今代わりをお持ちいたしますので」
と奥に下がり、背景は#FFFFFFのそのままに文字色だけ多少濃い目に直したものを持ってきて、
「どうでございましょう。さきほどの突き刺さるような白、あれはそれなりに評判が良いと問屋から聞きましたので南蛮から取り寄せたものでしたがどーも、わたくしどもの趣味にはあわないようでございます。
それにくらべてこちらは丹波より取り寄せた白。京風の柔らかな、風格のある、優しい女人の手のひらのような白にてございます。…お、やはりお分かりになりますか。いやこれはおそれいります。さすがお目が高い。…ええ、はい、いやもう、試すようなことをいたしまして、大変に御無礼いたしました。さすがは目が肥えていらっしゃると評判の…」
などと持ち上げまくれば客も
「ほれ見たことか。これこそ本来の白。風格、耽美さ、幽玄さにおいて先ほどとは比べ物にならぬ。のう長兵衛。やればできるではないか。うむ、これからはこの丹波を使うが良い」
などと調子に乗りますから、すかさずあわせて
「ははあ、この長兵衛、今日は勉強をさせていただきました。ではこの丹波の白、使わせていただきますとともに、本日からまた心を新たに入れ替え、またこの日を忘れぬよう番頭から小僧に至るまで当店では朝な夕なにお客様の御名前をお唱えすることをこれより家訓といたしますので、なにとぞ御容赦のほどを…」
とへりくだれば、
「うむ、良い心がけじゃ。ゆめ忘れるでないぞ。これからも精進いたせ」
などと機嫌よく帰っていくこと間違いないでしょう。

さらにそれを呼び止め、
「実はここだけの話、特別なサービスがございまして…お目が高いお客様だけに…いえ、実は今試験中でして、芸能人や省庁、大企業の方のみにこっそり公開中の…ええ、ええ、ただしなにぶんそういう方向けですのでお値段はざっとン万円の予定ですがお客様には特別、特別に無料、ええ、ええ、ただ手配料で月に千円ほどいただきますがもうこれは単なる誤差のようなものでして、あの、この話はくれぐれも、くれぐれも御内密にどうか…ええ、ありがとうございます、では手続きをしてまいりますので…」
などと怪しげなサービスを売りつければ百点満点でございましょう。

All Aboutに呼ばれて少々はしゃいでしまった商人の方々も、ただmixiをあげつらうばかりではなく、むしろその中で「いや、これは良い変更ですよ」と変わったことをいい、「ただし…」といくつか些細な点をあげ、「是非うちにデザインについて御相談くださればいろいろとお話することもあると思います」と呼びかけてみたりするやり方を試してみればよかったのでは、と思いつつ、これにて今晩はお開きにいたします。

一蘭待ち時間問題を考える

一蘭といえばとんこつや唐辛子といった味覚上の特徴とは別に、食事に注力していただくという名目のもと、客席はすべてカウンターで両脇に衝立、さらに目の前にはすだれが下ろされ完全独房体制が確立するという、実にディスコミュニケーションを涼とする者たちにとって心地よいシステム「味集中カウンター」で有名なラーメン屋だ。
私は渋谷の店舗をよく利用する。
http://www.ichiran.co.jp/pc/hp/tenpo/tenpo/shibuya.html

発端

この間も行ってきたのだが、大抵数人の行列ができている。金曜の晩などは特に混んでいることが多い気がする。仕事帰りでひとり疲れた自分はともかく、友人たちと楽しげにしゃべる若者たちが味集中カウンターはちょっとアレじゃないか、と思うがまあこれは余計なお世話か。食事にカネをかけられぬ経済事情およびそんなものはさっさと終わらせて他の楽しみに集中したいという思想があるに違いない。
いつものように地下へ向かう階段で並んでいると、壁紙に「一人一分が目安です」とある。10人並んでいれば10分待ち、20人ならば20分ということだそうだ。
もっと列を進んでいくと「ここまでくればあと5分」などと書いてあって、明らかにそこから5人以上は並べる位置なので結構いい加減な目安だとは思うが、さてここで考えた。
「どのような計算をすれば、一人一分とわかるのか」
言い方を換えれば「一人一分という結論を出すために必要十分なパラメータはどれか」。

食事時間に関する考察

うっかりしたひとのために注意しておくと、これは「当店のお客様はみな一様にきっかり一分でラーメンを召し上がってくださいます。つーか食え」という意味ではない。客席は21席だ。満員状態でも1分経てばその21人のうち誰かひとりが立ち上がって空席ができるという意味のはずだ。とりあえずここではこの張り紙は上記のような隠れた脅迫ではない、と思うことにする。
まずは席についてからラーメンを食べ終わり席を立つまでの時間tが必要だろう。厳密に言えばtには以下が含まれる。

  1. 食券を確認しコップや替え玉札、ゆでたまごを内容に応じて出す。ゆでたまごがオーダーに含まれない場合は「よろしければ御賞味ください」と無理矢理にでも置いていき、手をつけたが最後ゆでたまご代を地獄の底まで請求する
  2. ラーメンを作成する。ここの工程はわからない。スープは当然作り置きだろうが、麺はあらかじめ推測してゆでられるものかどうか、実は完成品を瞬間冷凍しておいて恐るべき能力のレンジで加熱するのか、実はこの間に客をゆでたまごに含まれた薬品により洗脳し「ラーメンを食べた」という記憶を植え付けそのまま帰すのか、さまざまな場合が考えられるがとりあえずここでは考えないでおく
  3. 客、ラーメンを食う(あるいは食っていると思っている)
  4. 食べ終わった客に、「さっさと立ち上がって帰れ」という行列に並ぶ他の客や店員たちの思念が電波となって届く
  5. 食器を片付け次の客が座るまでの準備をする

実際には替え玉や追加きくらげなどのオプションを行使する者もいるし、同じ人間でも普段は替え玉3玉を平らげさらにスープにごはんを投入しておじやにして全部飲み干した後に「さ、飯でも食うか」と上の松屋に移動するが狙っている男と来店しているときは「お肉苦手なのぉ」などと頼まずとも良いはずのチャーシューをわざわざ男の丼に投げ込み麺を一本ずつつぷつぷとゆっくり咀嚼し「ああん、もう食びられにゃーい」などと甘えた声を出して彼の俗情を喚起せしめ、その後の円山町方面的展開を決定的にせんと画策する女子もあるだろう。ないか。いやあるだろう。
つまり食事に掛かる時間はまちまちであるはずで、さらには食い終わったならさっさと出ればよいものを連れ立ってやってきた男が「あれ、結構少食?つーかさ、休日とかどーしてんの?いやちげーよそんなんじゃねーよ」などとどうでもいい会話を上記女に仕掛けたりして極端に回転が悪くなるケースもありえる。
しかしまあここでは、客の滞在時間は平均してtとし、それぞれ連続して2席が空くまで待つなどすることはなく独立してさっさと食べると仮定する。

平均時間の算出

最良のケースは列に並んだとたん誰かが食べ終わって立ち上がる場合だ。おっと前提として、席は常に満席であるとする。大抵私が行くときはそうだからだ。今回は行列を一人消化するのに掛かる時間、を考えているのだから待ち行列の長さは問題ではないのでひとまず客は無限に訪れ続けていると考えても良いはずだ。
最悪のケースは、21人全員がいままさに席についたところで、全員この後たっぷりt時間掛けて食事をする場合だろう。
最良0〜最悪t。じゃあ中をとって平均(0+t)/2=t/2だ、食事に20分掛かるとしたら一人10分。…はあきらかに間違いと思われる。これでは席の数がパラメータにないので、たとえば100万席ある一蘭が仮に存在したとしてもたった一人誰かが食べ終わるまで平均10分ということになるが、それはさすがに想像しにくいし、そもそもそんな規模の店では「とんこつはりがねおかわりだだだだ」などとこなちゃんが叫んだところでバリカタだろうがハリガネだろうが超やわらか伸び伸び麺になっているに違いなく、店員が徒歩で麺を運ぶシステム自体を再検討する必要があるだろう。

席の数によって、最悪のケースが発生する確率も変わる。席が3つしかない一蘭では出番や人気の点からこなた、かがみ、つかさしか座れず、みゆきさんは一人歯の治療に向かわざるを得ない。これはよくみられるケースである。席が10、20であれば大抵の出演者は座ることができるがすでにこの時点で全員同時に食べ終わりいっせいに立ち上がることは少なく、席が100, 200であればほとんどまれで、席が1000, 2000あればコミックマーケット並の混雑が予想され、席が1万、2万ともなればアニメイト他各店舗で平積み、10万、20万となるとチャート1位が約束され、席が100万あれば全員が今座ったところということは非常にまれで、すなわちオリコン1位を獲得するのはそれだけ難しい。

結論に行く前に挫折

たしかこのような場合指数分布に従うと考えればよかった気がしてきたが、平均が1/λということだけは思い出したものの、そこから先どのように計算すればよかったのかまったく覚えがない。確かポワソン分布と…いやあの、その、まあいいや。はは、は。誰かちゃんと教えてください。

例外

なお、これには例外があって客が全員同じ時間に席に着くことが一日に一度必ずある。すなわち開店直後だ。このときばかりは各人食べるペースにばらつきはあるものの平均t時間で食べ終わり次の客が座れる。他にガス爆発、異臭騒ぎ、店内での乱闘、店内の爆撃、集中豪雨による浸水、店外で芸能人のゲリラライブ、店外で傭兵のゲリラ活動、店内での大量出産による客の急増、渋谷は初心者には怖い街といったクレーム、けなげな声優の苦悩、伝説の少女A、その他さまざまな異常事態によって例外は発生する。

すなわち、一蘭渋谷店は一分に一度の割合で上記のようななんらかの異常事態が発生している可能性がある。心にとどめておきたい。