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チェーホフがわからない。古本屋さんで見つけてなんとなく買っておいた『チェーホフ短篇集』とか、図書館で借りた『チェーホフ 短篇と手紙』を、最初はおもしろく読んでいた。けれど、数をかさねていくごとに少しずつ居心地が悪くなって、なんだかチェーホフこの野郎である。女性を見下しているのが伝わってくるのだ。可愛くて愚かな女たち。わたしが女だから余計、腹が立つのだろう。
いよいよ「嫌い」に値する野郎かと『カシタンカ・ねむい 他七篇』をめくって「嫁入り支度」を確かめると、あれ、これは好きかもしれん、と思う。まあ、愚かであることにはかわりないのだけど……わからない。しかも表紙の写真ちょっと可愛いし。なんだよ、チェーホフのばか!
チェーホフ短篇集 / 福武文庫、チェーホフ 短篇と手紙 / みすず書房、カシタンカ・ねむい 他七篇 / 岩波文庫
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よく見もせずに「かため」の歯ブラシを買ってしまった。かたい。
堀江敏幸の『燃焼のための習作』を読んだ。『河岸忘日抄』に連なる長篇小説で、雨に閉ざされた探偵事務所を舞台とするワンシチュエーションものでありながら、これもまた『河岸忘日抄』とおなじように「移動」の物語であるといえそうだ。探偵、助手、依頼人のおしゃべりにのせ、「ずれ」をくりかえしながら、やがて「燃焼のための習作」にたどり着く。その道行きの偶然性、一回性に、いま、ここにいるわたしも偶然性と一回性の連なりなんだということに思い至る。装丁、フォントにも品があってよい。
燃焼のための習作 / 堀江敏幸 / 講談社
今期ノイタミナで放送されている『つり球』がおもしろい。釣りで地球を救う青春フィッシングアニメ(SF)なんだけど、完全にはまってしまった。限定版DVD予約済み。アニメのDVDそろえようと思ったの、はじめてだ。1、2話までは登場人物らの無神経さとか煮え切らなさにイライラしてたけど、もうね。。なにかに熱くなれるって、ほんとうにかっこいい。いろいろ言いたい。好きなもののことは、誰かに話したくなる。
アニメ『つり球』公式ウェブサイトはこちら
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晴れ。ぞうとねことくまをベランダに出す。
檸檬シロップの底にたまった砂糖をスプーンでかき混ぜる。褐色なのはきび砂糖で仕込んだからだろう。炭酸水で割って飲むのを楽しみに混ぜる。
蕎麦を湯がいて昼食をすませ、ソファで『雲をつかむ話』を読む。多和田葉子の最新刊だ。物語の語り手は作家その人によく似ている。ベルを鳴らした男から「雲蔓式」に思い出される「犯人」との話。あと数ページのところで眠くなって、起きたら部屋が橙色をしていた。洗濯ものを取り込む。よく乾いている。
夕食のスープに入れる野菜を賽の目にしながら「犯人」について考える。自分の外側にあると思っていたものが内側に入り込んで、「あなたも犯人でしょう」と静かに指をさされた気がした。無知であること、なにも知ろうとしなかったこと。女医の言葉に救われるけれど、わたし自身も「犯人」であり、そうであるかもしれないというひやりとした思いは消えない。
雲をつかむ話 / 多和田葉子 / 講談社
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買いもののついでに、河原町OPAにできたBOOKOFFへ寄ってみた。おもに文庫の105円コーナーを見てまわる。関西最大の売り場面積を謳うポスターがあったけど、この105円コーナーはあまり広いとは感じなかったな。壁一面のトレカコーナーとかがあったから、そういう儲かる(?)ところに棚を割いているのでしょう。
装丁がよいものを中心に5冊買った。壺井栄は写真の『あしたの風』(角川文庫)のほかに、『草の実』(角川文庫)、『柿の木のある家 他十五編』(旺文社文庫)を。どれも可愛らしいです。おそらくおなじ方の蔵書だったんだろうな。
フィリップ・K・ディックの『地図にない町』(早川文庫)の装画は真鍋博。「ディック幻想短篇集」とあるから、奇妙な味の小説としてもたのしめそう。あとは、読書にまつわる書き下ろしエッセイ集『読書と私』(文春文庫)。井伏鱒二、池波正太郎、山口瞳、庄司薫などなど、29人の芥川賞・直木賞受賞作家の随筆が収められている。
庄司薫といえば、このあいだ『バクの飼主めざして』(講談社文庫)も、表紙が可愛くて衝動買いしたんだった。
本は増えてしまったけど、可愛くて安くて大変得した気分です。