ひぐらしのなく頃に解

highreso2007-01-05

ひぐらしのなく頃に」が100円だった時代を僕は歴史としてしか知らないわけですが、同人誌の奥付に作者の住所があった時代なら知っています。その時代が終わりつつあった頃に、コミケカタログのうしろのほうに載ってる漫画レポートで「奥付にメールアドレスだけって…作品を発信することの責任をちゃんと考えて欲しい!」みたいな意見があったことも鮮明に覚えてます。りんかい線が大崎まで繋がってなかったときのことも覚えています。つまり会場が有明になってから5年くらい経過した頃の記憶しかありません。


だから僕がコミケについて語るときは信用しないほうがいい。語る機会ないけど。


そんなわけで冬コミにも行かずファンディスクなんて知らんよと言う態度をとりつつ大晦日には大掃除をすると見せかけて紅白も見ずに「ひぐらしのなく頃に解」を目明し編祭囃し編までぶっ通しで(誇張)やっておりました。いやあ疲れた。目が疲れた。


しかし雛見沢大災害を心から愛するものとしては、みんな幸せになるのがわかってるとこうも世界に入りづらくなるものなのかと。皆殺し編なんか圭一君が思い出すあたりでハッピーエンドな感じ満々だったのでえーどうなるのーとつい心配してしまい、鷹野がちゃんと皆殺しにしてくれて安心しました。祭囃し編も面白かったんですけど、「富竹を確保しました」でワクワクしたのも束の間、詩音と葛西が銃撃戦で死んでなかったのが分かってしまったときにあー全員死なない、と気づいてしまうま。ほかになんか言うことないかなー、園崎議員活躍しすぎ、裏エンディングのどうでもよさにはびっくり、目明し編のしぐるいっぷりにもびっくり、祭囃し編の伏字にはがっかり、推理するの面倒くさくて何も考えず解に進んだけど自分的にはそれでよし。そもそも犯人当てじゃないじゃん!「あなただけのひぐらしを作ってみては」。勘弁してください。


まーうじゃうじゃ言ってるけどやってる最中はすげーのめり込んでたし、君を助けに来た!でもちゃんと感動したし小此木もめっちゃすきだからどうか安心してください。しかしそれでも羽入はどうでもいい。

米澤穂信『犬はどこだ』

highreso2006-11-18

僕自身が絵に描いたような自意識過剰高校生(しかも文系)だったこともあって、『さよなら妖精』という痛さ炸裂の青々しい小説を書いてもはや己の高校生活を忘れてしまった人々を中心に大絶賛のもとに受け入れられた米澤穂信に対し言いようのない嫌悪感を抱いていた時期が僕には存在するのだけど、今となってはそれは遠い昔の話で刊行後1年経ってから読むことになった『犬はどこだ』が面白かった。

さよなら妖精』みたいに敷かれたレールから飛び出そうと必死でもがいてるわけでもなく、小市民シリーズみたいに周囲からはみ出さないよう慎重に世を渡っていくでもなく、普通にしていただけなのによくわからないまま人生から滑り落ちちゃった男が主人公。そこそこ頭が良くてなんとなく生きていけちゃうもんだから、一度社会から挫折したのに再び仕事を始めてみるとクライアントには物腰よく接したり、身についている常識を手放さずにちゃんと仕事が出来ちゃうあたり泣ける。米澤作品は大体において後味の悪さとかラストが印象に残ったとかそういう感想を抱かせるものだけど僕の場合「悔しいだろうけど戻って来い」という序盤早々に出てくる台詞がとても好きです。僕もついうっかり帰る場所に戻ってしまってもいいのでしょうか、飼い犬みたいに。

イデビアン・クルー「補欠」

highreso2006-09-24

24日の最終日を観にいったのだけど、客席がガラ空きでちょっとびびった。日曜日だよ。前日の夜公演に八嶋智人トークゲストで出てたので、ひょっとしたらその影響でこういうことになったのかも。ともあれ最前列で鑑賞。ぶっちゃけ観にくい。舞台が広いので全員の踊りが捕らえきれず、誰かひとりの動きに眼が行ってしまってその隙に別のところでなんか面白いことやってたりする。あとこの日早朝バイトだったんでおとなしめのシーンでは眠気が・・・。ひいもったいねー。

こんてんぽらりーだんすの舞台というものに初めて触れたけど、正直言ってなにがすごいのかはよくわかっていない。基本的なところだと思うけど、群舞のシーンで全員てんでばらばらに踊っているのが面白かった。同じ振り付けで踊っているのだけどわざと踊るタイミングをずらしてる。その振り付けもタコ踊り一歩手前、おそらくステージ全体の構成がすごい、ってことなんだろうけどなにがなにやら。もう一回観にいったら面白さがわかるかなあ。この戸惑いを読書系サイトのみなさんにも分かりやすく説明すると、初めて都市シリーズを読んだときの楽しみ方の分からなさそのものです。でもはまる人ははまるんだよな。

イデビアン・クルー
2006年9月21日〜9月24日 世田谷パブリックシアター
振付:井手茂太
出演:東さくら 金子あい 川村奈実 小山達也 斉藤美音子 佐藤亮介 志小田綾子 菅尾なぎさ 中尾留美子 中村達哉 松之木天辺 本橋弘子 依田朋子

トリコ劇場「神様の不在」

22日公演を鑑賞。チラシに描いてあった地図が分かりづらくて軽く迷う。交番で道聞いたら「また明石スタジオか」とか言われたりして。劇場は地下にあって妙な雰囲気が出てるところでした。

戦争をやってる現代日本における、神様についての話。いいたいこと、やりたいことはわかる、わかるんですよ。でもやっぱり宗教、神様をテーマにするとなると相当上手くやらなくちゃ観客を引き込めないと思うんです。特定の信仰を持ってる人も持ってない人も「この人たちは何を言い出すのだろう」と思わず構えてしまうから。聞きたくもない説教を無理やり聞かされている感じがしたのは僕だけではないと思います。

菊池美里さんはおしい役者。この方演ずる空子の中の神様が変わっていくことが大きなテーマなのに、ずっと同じ平坦な演技なので感情移入しづらい。不思議な持ち味は別の生かし方があるはず。最後、タバコに火をつけるシーンはきれいだったし。あと衣装とセットにもっと客の目をひきつけるための工夫が欲しかったところ。

トリコ劇場
2006年9月21日〜9月25日 高円寺明石スタジオ
作・演出:米内山陽子
出演:菊池美里 山岡未絵 石川朝子 キム木村(ZIPANGU Stage) 高橋洋平 田名加パン 鳥居信康(オケラジ!) 箕浦倫子 森将和(ミシンゼム) 森谷ふみ ヤビマーヤ(危婦人) 酒巻誉洋(elePHANTMoon) 

スロウライダー「Maggie」

highreso2006-09-22

18日夜公演を鑑賞。ブスに告白され何故か切れたニートのものがたりホラー風味。金も居場所もない主人公がリチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』を居候先でもアホみたいに読み続けている話。のめりこみすぎて小説の中の登場人物と主人公が会話し始めるところなんか高野文子『黄色い本』を思い出します。この舞台ではもうちょっと行き過ぎて、小説の中のユートピアに住み始めちゃうわけですが。

しかしまあ寝てる観客の多いこと。役者さんは上手いことやってくれてるのに、話の魅せ方や展開が分かりづらかったり拙かったりベタだったりして、なかなか退屈。理由は説明不足でもあったりするけど、これ以上わかりやすくすると物凄く安っぽくなってしまうし、怖くもなんともなくなってしまうので、いやこれはもう演出家さん頑張ってくださいと言うよりない。なんで主人公が『西瓜糖の日々』を手に取り(しかもハードカバーで)、読んでいたのかも分からないので冒頭からちょっとだけ戸惑ったし。せっかく面白いこと考えてるのに、この不器用さはとても勿体無い。当日券の価格設定(前売りと千円の差がある)まで、考えるべきことは多いように思う。もう一息。

スロウライダー
2006年9月13日〜9月18日 下北沢駅前劇場
Inspired by『西瓜糖の日々』リチャード・ブローティガン作 藤本和子訳 河出文庫
作・演出:山中隆次郎 
出演:児玉貴志(THE SHAMPOO HAT) 日下部そう(ポかリン記憶舎) 笹野鈴々音(風琴工房) 松浦和香子(ベターポーヅ) 佐々木光弘(猫☆魂) 夏目慎也(東京デスロック) 芦原健介 數間優一 山中隆次郎

庭劇団ペニノ「アンダーグラウンド」

highreso2006-09-18

18日昼公演を鑑賞。ものすごく金と手間のかかった冗談。薄暗くじめじめとした手術室で患者である大男のお腹をひたすら弄繰り回す看護士たち。手術室に住まう小人の悪ふざけと癒し。ジャズ演奏とメスのかちゃかちゃやる音がセッションしてる。1時間半あるうちずっと手術とその準備なのだけど全然退屈しないーと言い切れるほど僕はまだ芸術に対し理解がないので、ストーリーが一切なかったのはやっぱりきつかった。

女優さんは全員看護士役。マスクをした上でボソボソと喋っているので、台詞はほとんど聞こえません。超リアルなセットに演技はポツドールっぽいんだけど、根本的な部分でリアルが削除されていることにやがて気づくことになる。たとえばマメ山田。たとえば切り裂かれた腹から取り出される臓器。手術が始まってからはもうひたすらスリリング。劇場全体にエコーがかかってるんで、メスをかちゃかちゃやる音が超響く。観客側も一切物音を立てられない。緊張感。隣に座ってる人が唾を飲む音が聞こえてくる。

心躍るストーリー展開を期待していくとぶっちゃけ肩透かし。でもたまには壮大な子供だましに騙されてみるのもいいかもしれません。

庭劇団ペニノ
2006年9月15日〜9月20日 下北沢ザ・スズナリ
作・演出:タニノクロウ
出演:佐山こうた(p) 中林薫平(b) 長谷川学(ds) 安藤玉恵 佐山和泉 島田桃依 瀬口タエコ 保坂エマ 吉原朱美 横畠愛希子 飯田一期 マメ山田

中野成樹+フランケンズ「暖かい氷河期」

highreso2006-09-10

10日昼公演を鑑賞。原作に触れたことのあるわけもなく、翻訳劇初体験ということでびくびくしながら観にいったら超面白くて二度びっくり。こんなにオモロイのに横浜という土地柄からか客席が30くらいしかないのにガラガラの回もあるようで、もったいなさ過ぎる。

客席のすぐ前の音響関連の機械の前に座っていた男性が開演直前いきなり立ち上がり、「どうも演出の中野です」と前説を始めて驚いたり、音響担当していたと思ったらいきなり舞台に上がって役者に早代わりするし、作品自体の展開・演出も王道から一つづつズラしながらも統一感を失わせず、めちゃくちゃエンターティメントしてました。役者さんの衣装も普通のTシャツにジーンズだったりして適当に思えるんだけども不思議と引き締まって見えるからすごい。

役者さんたちのかもし出す雰囲気と、元気のいい演技がとても心地よい。特に目立っていたのがベアトリーチェ役の野島真理さん。男装の麗人役だからってこともあるかもしれないけど、宝塚っぽいというか、とにかくカッコ可愛くて痺れました。衣装もブラウスとスラックスでビシッと決めてたし。横浜は我が家から比較的近くて便利なので、どんどん公演やってもらいたいですね。

中野成樹+フランケンズ
2006年9月8日〜9月18日 STスポット横浜
原作:カルロ・ゴルドーニ「2人の主人を一度に持つと」
誤意訳・演出:中野成樹
出演:村上聡一、福田毅、野島真理、石橋志保(以上、フランケンズ) 、篠崎高志、ゴウタケヒロ(以上、POOL-5)、本多幸男(第七病棟)、タケシタユウジ(Dotoo!)、松村翔子