つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「顔は履歴書」と言うが、怪しさは顔に出るのか

 今日朝(日本時間)に行われた大谷翔平の会見内容を見る限り、どうやら巨額賭博事件は元通訳の水原一平の”単独犯”説が濃厚になりました。水原がばくち打ちだったこと、巨額の借金があったことも知らなかったとのこと。つまり、大谷は徹頭徹尾被害者であったようです。それでも、何故水原が大谷の預金口座にアクセスできたのかという点については明らかにされなかったので、まだ隔靴搔痒の感があります。いずれにしてもスポーツ界の大ヒーロー大谷翔平がばくちに関わっていなかったと明言したことで、ファンは安心したと思います。

 もし、大谷の言う通りなら、水原は大谷の金を詐取、あるいは窃盗したことになります。日本ハム時代に知り合い、エンジェルス、ドジャーズとずっと二人三脚で歩んできて濃密な関係を築いてきた人に裏切られたわけですから、大谷にとっては青天の霹靂。街を歩いていてある日突然天上から物が落ちてきて当たるような災難で、ショックと言うより虚脱感さえが出てしまうのではないでしょうか。お察しいたします。本当に、シーズン早々のこの騒動が今年の彼の活躍を削ぐことがないよう祈るばかりです。

 ところで、コーヒー店チェーン会社のオーナーで元参院議員のM氏が水原巨額賭博事件が発覚したあと、自身のX(旧ツイッター)でこうツイートしていました。「最も身近にいる人を信用し過ぎるとよく起こること。マスコミは水原通訳を絶賛していたが、私は顔つきから心配していた。側近に何度も裏切られた経験があったから」と。実は、小生の内人も最近、「水原が大谷の通訳で出てきたころから、顔つき、目つきが怪しいと感じていた」と言っています。ちょっと後出しじゃんけん風の後日談ですが…。

 でも、「そう言われてみれば、怪しいと思っていた」という人は少なくないのでは。実は小生もうすうす感じていたのですが、水原の目はいつも正面を向くことなく、なんとなくおどおどした感じがありました。天下の大谷の通訳兼秘書みたいな存在であれば、もっと自信たっぷりな態度を示していいと思うけど、意外にそんな感じがなかったのです。まあ、見方によっては、それは水原氏の謙虚さなんだろうと思った人もいたでしょう。でも目は口ほどにものを言うということわざもあります。

 M氏の言う「顔つき」についてさらに深掘りします。世間に「男の顔は履歴書」という言い方があります。それなりに経験を積んだ人は、相対した人間が生活苦にあったか裕福に育ったかだけでなく、苦労したかしなかったか、教養があるかないか-などを一見で見抜くことができると言います。M氏のように経営上で再三苦杯をなめた人は特にそうで、ある程度詐欺師的な人間、怪しい人をパターン化して類別していることかと思います。それはどこの部分、どういう態度ということでなく、直観で感じることなんでしょうね。

 小生も記者時代、取材相手の話を信用していいのかどうか見極めることに苦労しました。信用して相手の言をそのまま報じれば誤報になってしまうので。で、長年の経験からなんとなく「この人、ちょっと怪しいな」という印象は持てるようになりました。といってもやはりだまされることはあります。記者を辞めてからの話ですが、小生は日中企業合弁の仲介した経験があります。中国側企業の社長(総経理)は上海郊外の田舎の人であり、朴訥さに好感が持てたので、日本側企業の社長に強く合弁を勧めました。しかし、結果は中国側企業と社長に誠意のなさが見られ、合弁はうまくいきませんでした。

 水原はまだ40歳直前の年齢。それまでの”人生経験”が顔に出るのかどうかは分かりません。でも、M氏はにはそう見えたんでしょうね。レッドソックスにいた岡島秀樹投手はかつて水原を通訳として雇おうとして止めた経緯があるとか。彼は事前に水原の周辺を調べたのか、それとも直観で怪しいと見抜いたのか分かりませんが…。そんな人間がどうして天下の大谷のところに行ったか。いずれにしても、本当に辛く寂しい話ですが、一般論として他人を100%信用するのはいかがなものか。ちょっと俯瞰してみるとか、斜めに見るとかの反復認識も必要なことかと思います。

 上の写真は、横浜・伊勢佐木町、野毛で見られる壁画。この界隈は結構壁画が多い。

人生は暇つぶしと言っても、ばくちでいいのか

 イヤー、驚きました。いつも最初にこのフレーズを使っているけど、今回は本当に驚きました。それは、大谷翔平の通訳の水原一平が違法賭博に関与してことでドジャーズから解雇されたこと。昨日朝のワイドショーを見ていたら、「水原解雇」との速報が入ったのですが、最初はどういう意味か分かりませんでした。奥ゆかしい顔をし、かいがいしく大谷の面倒を見ていましたので、なかなか好青年だなと思っていたのですが、陰ではとんでもないばくち打ちだったんですね。恐れ入りました。

 彼は、いつも大谷と一緒にいることで、自分が7億ドルの契約金をもらったと錯覚してしまったのか。こういう普段一緒にいる人間と自分を混同してしまう人は、小生が以前いたメディアの世界でも見られました。政治部の記者連中です。いつも政治家を取材対象とし、国会議員と対等な感じで話しているために、自分も偉くなったように錯覚し、服装もストライプ入りの派手な三つ揃いの背広を着たり、やたら傲慢に天下国家を論じたり、しゃべり方も上から目線で話したりする人がいました。われわれ社会部育ちの記者はもともと地べたをはいつくばって取材しているので、彼らの姿勢には違和感を持ちました。

 大谷のドジャーズ契約金7億ドルというと、今日のレートの1ドル151円で換算すると1057億円の勘定。1ドル150円なら1050億円。つまり早い話が、対ドル1円安で7億円の差益を生んでるんです。大谷の口座から水原が無断借用していた金は450万ドルというから、日本円で6億8000万円弱。大谷にしてみれば、日本円が一円安くなれば、そのくらいで十分補える額なんです。でも、大谷の今の生活は米国であり、ドルで生活しているわけですから日本円は関係ない。水原が詐取した金も米ドルだから、為替によって変化があるわけではないんですね。

 小生はばくちが嫌いなので、ばくちにのめり込む心境が分かりません。散歩でよくパチンコ屋のトイレを借りることがありますが、その時に昼間っから、熱心に台に向かっている人を見かけると、うんざりします。と同時に、その人が儲けているか、損しているかに関係なく、人生の貴重な時間を無駄にしているなーとある種の軽蔑も感じます。こういっては何ですが、たとえ玉を出し続けていても、何時間も台だけを見て他に何もできない状態って本当に幸せですか、小生はもったいない感じがして仕方がないです。

 でも、冷静に考えれば、また別の視点もあるのかも。今はタイに住む、香港時代の友人がこんなことを言っていました。「人生は生まれてから死ぬまでの膨大な暇つぶしだから」。という観点に立てば、パチンコ台で時間をつぶすのもまた良き人生の在り様、選択なのかも知れません。玉が出続けていれば、とりわけ幸せな気分に浸れ、彼らなりに充実感を味わっているのかも知れません。

 逆に、小生も「お前は有意義に過ごしているのか」と問われれば、返答に困ります。本を読んだり、文章を書いていることがそれほど偉いことか。旅行しているのと競馬に夢中になるのにどれだけの違いがあるというのか。確かに、読書が偉くてパチンコ打ちが人生の無駄などと決めつけることも、ちょっと上から目線かも知れません。でも、小生は一応知識人でいたいと思っているので、やはりパチンコをするより読書や執筆をしている方がよっぽどいいと固く信じています。

 水原一平君は大谷の通訳兼秘書みたいな形で有名になり、それで彼自身の世間的な評価を高めました。今、日本人で彼を知らない人がいないくらいの有名人。普通なら、大谷の通訳を卒業しても、その後日本企業などから多くのオファーがあるだろうと予測できます。でも、今回の事件でミソをつけてしまいました。今後は多くが「何、あの水原か」とそっぽを向いてしまうでしょうから、彼の今後のバイリンガル人生にも大きな汚点を残してしまいました。

 そのプラス、マイナスは天と地ほどの開きがあります。彼の今後の人生を考えるときに、同情してあまりあります。でも世の中って、好事魔多し、幸せな人生の中に落とし穴が潜んでいることもまた真実。小生などはもうほとんど人生が終わっている人間だからそんなに心配していませんが、若者はその落とし穴に気を付けなければならない。ということを今回の水原事件は教えてくれました。

 上の写真は、薄暮のみなとみらい地区の風景。大岡川、横浜港沿いの散歩は気分がいい。

大谷は結婚でハングリー精神失わないで欲しい

 大谷翔平が先月末に結婚を発表したのですが、もったいぶったのか新妻の名前を言わなかったので、メディアは取材に走り回った様子。それで、ユーチューブなどでは早い段階で元全日本級のバスケット選手である「田中真美子さん」という名前が出ていました。そしてこのほど、ドジャーズが韓国でパドレスとのメジャー公式戦をするためにソウルに向かうチャーター機前で大谷と女性の2人が写った写真が球団サイトで公開され、「ootani and his wife」というキャプションが付いたことで正式に相手が特定されました。メディアの取材通りの人でした。

 米国、いやドジャーズのスタイルなんでしょうか、太平洋を越えた先の公式戦会場に家族同伴で行くというのは実に驚きです。日本ではキャンプ地や地方遠征の時などにひそかに妻や恋人を呼び寄せるケースはあるみたいですが、球団丸ごとで面倒を見るというケースはないでしょう。粋な計らいというべきか、昔のシーズン後の親善試合のために行くのならともかく、シーズン初めの真剣勝負に向かうのになんと優雅なことか。これでは選手は旅行気分になってしまうのではないかと心配してしまいます。

 で、20日パドレスとの公式戦を前に、ドジャーズ韓国プロ野球チームのキウム・ヒーローズとオープン試合をしました。レベルの差があるので、結果はもちろんドジャーズの勝利でしたが、われわれが期待した大谷は1回と3回の2打席に登場して2三振。精彩を欠くことこの上なく、3打席目にはピンチヒッターが出されてしまいました。日曜日の昼の放送なので、多くの日本人が茶の間で見ていたと思います。であるなら、ヒット、ホームランは要らないまでも、せめてフェアゾーンにボールを転がせよと言いたくなりました。

 生真面目は大谷には申し訳ない発言ですが、妻同伴なのでちょっと新婚旅行気分になっていないか。君は公式戦のために韓国に来ているんだぞ、それを忘れたのかと言いたくなりました。こう言っては下世話になりますが、新妻と同部屋なら当然することはするでしょうから、体力に影響を与えたのではないか。彼は昨年、カージナルスと対戦するため、セントルイスに宿泊した際、WBCでのチームメイト、ラーズ・ヌートバーから食事の誘いがあったのに翌日の試合に備えて断ったほど。それだけ彼はもともと禁欲主義者、石部金吉的人物なのです。再度言いたいが、公式戦を控えて妻同伴はいかがなものか。

 でも、新妻の田中真美子さんは映像で見る限り、とてもしとやかな色白美人であり、一見筋骨隆々のスポーツウーマンには見えない。ただ、背が高いのでそうも感じられないこともないですが…。うつむき加減に夫の後ろを歩いている姿は、遠慮深い印象を与えます。こう言ってはまた差し障りがあるかも知れませんが、古き良き日本人女性の在り様を思わせ、好感が持てます。なるほどこれが人格者の大谷が選んだ女性なのか、さもありなんと日本人のだれもが思ったことでしょう。

 残念ながら、大谷は今日の試合でいきなり2三振してしまったので、口さがない連中からは悪口も出てきそうです。「大谷は結婚によって野球への探求心、ハングリー精神を失ったのではないか」あるいは極端に「妻は意外にも下げマンじゃないのか」などなど。一試合だけでそう見るのは僭越の極みなのですが、期待感が高いだけに、そう見られても仕方がない。日本人のほとんどが大谷の活躍を祈っているのですから、オープン戦2試合目、さらにはパドレスとの公式戦では必ず良い結果を残して欲しい。

 上の写真は、横浜の野毛山公園で咲いている早咲きの桜。

女性が家庭で子育てするのも立派な社会貢献だ

 日経新聞の国際面を見ていたら、面白いベタ記事が載っていました。アイルランド政府は、「女性は家庭を優先すべきだ」という憲法上の条文を削除するため、国民に憲法改正案を提示、国民投票に付したのです。それで結果は、反対多数で同条文の維持が決まったというのです。昨今は、世界的に女性の社会進出が言われているため、政府はこのトレンドを後押しするため、この条文はまずいとしての”修正動議”だったようですが、国民は冷静に「女性は家庭優先」という文章に固執したもようです。

 バラッカー首相は「多くの人に賛成してもらうよう説得するのがわれわれ(内閣)の責任だった。明らかに失敗した」と語ったという。この記事を読む限り、首相は条文の削除は当然多くの国民が支持してくれるものと考えていたフシが感じられます。でも、アイルランド国民は冷静にこの文章に向き合ったのであって、小生は、首相が言うように説得不足の結果ではないような気がします。

 この記事で思い出すのは、20年くらい前、小生が母校の東京外国語大学で「現代中国論」の講義を受け持っていた時のこと。脱線して女性の社会進出の話をしたのですが、そこで「女性は子供を産む性で、男性は代替できない。子供は生後しばらくの間、母性の温かさを必要とするのだから、女性の社会進出は否定しないが、その他の選択肢として子供を産んで、その子をそのまま立派に育てるというのも立派な社会貢献ではないか」と話しました。当時、小生は、女性の社会進出が進むと、少子化に拍車がかかるという”危機意識”を持っていたこともありました。

 すると、授業が終わった後、一人の女子学生が小生のところに来て、「先生の考え方は女性差別ではないか」と言うのです。彼女はすでに大企業に就職が決まり、卒業後の社会進出を楽しみにしていたようで、へんな教師につまらないいちゃもんを付けられたと思ったのかも知れません。そこで食堂に誘い、メシを食べながら、るる小生の考え方を説明しました。女性の社会進出は当然であり、また必然な流れでもあります。大いに賛成です。でも、子育てのために家庭に入る選択をした人がいてもいい、劣っているとか、落伍者などと見る必要はない。それはそれで立派な生き方ではないかと彼女に説明しました。

 大谷翔平の母親は体育会系で、バドミントンの国体選手になるほどのスポーツウーマンだったらしいのですが、自らの選手生活をあきらめて子供の養育に集中したもよう。それで息子はあれだけ立派な人間となりました。小生はかつての記者活動の中で、子育てを優先するために官庁を辞めた女性も承知しています。ものすごい能力があるのにもったいない、能力を無駄にするなと非難する人もいるでしょうが、小生はそうは思わない。

 自身は子供がいないので良く分かりませんが、周囲を見渡し、さまざまな事情を見聞きする限り、やはり子育ては大変な”事業”であり、生半可ではできないものだと感じています。優秀な女性が集中的に子育てに専念し、そしてまた次世代の優秀な人間を作るということもあり得る生き方ではないのか。親との触れ合いが深く、良く育ってほしいという思いが伝われば、その分子供は立派になると思う。小生は件(くだん)の女子学生にそういう趣旨を強調したかったのです。

 「女性は家庭優先」に固執したアイルランド国民の思いはどうだったのか。彼らだって女性の社会進出を否定するわけじゃないでしょう。要は、小生の考えに近く、一義的には子育てを考えるべきではないのか、子育てでは母親しかできないことがあるのだから、という思いを強調したくて憲法条文に入れたのだと思います。それにしても、すごい条文です。日本国でこんな条文を憲法に入れるとなったら、どのくらいの反発があるか分からないでしょうね。

 上の写真は、みなとみらい地区の赤レンガ倉庫ビル。下の方は、赤レンガ前から出航する湾内クルーズ船。

メッシの不出場に対する香港、中国の怒りは異常

 世の中、せこいというかあきれるというか、そんな話が数多くありますが、今回取り上げる話もそのような部類です。ちょっと旧聞に属しますが、あの有名なアルゼンチン出身のサッカー選手、リオネル・メッシの話。米サッカーチーム「インテル・マイアミ」の一員として香港に来て親善試合を行うというので、大陸からのファンも含めて大勢がスタジアムに押し掛けました。大陸でもメッシファンは多い。ところが、メッシは体調不良を理由に一回もピッチに立たなかったのです。で、観客は「メッシを見に来たのに、試合に出ないとは何事か」とばかりに入場料金の返還を求めたのです。

 メッシ一行は香港のあと日本に来ました。ヴィッセル神戸と試合をしたのですが、この時は試合後半の15分程度というわずかな時間に途中出場し、華麗なドリブルの足さばきを見せてくれました。メッシは実際に香港では足を痛めていて試合に出られる状態ではなかったようですが、日本に来た時には幾分回復したのかも。だが、香港、中国のサッカーサッカーファン、いやすべての国民が日本でのゲーム出場を見て、「香港では出ないのに、なぜ日本で出るのか。香港、中国をばかにしている」とさらに怒りを募らせたのです。

 まあ、メッシにしたら、体調の問題で、別段香港、中国と日本を差別するつもりなどなかったのでしょうが、彼らは許してくれませんでした。大国の中国をソデにして「小国の日本」に迎合するとは何事かという思いだったのでしょう。怒りはメッシ個人に対してだけでなく、アルゼンチン全体に向けられ、中国サッカー協会は、中国国内で3月に行われるべきアルゼンチンとの国際親善試合をキャンセルしてしまったのです。

 これはサッカー協会だけの判断でなく、中国指導部全体の意向のようです。なんと度量の狭いことか。中国の怒りにおののいたのか、インテル・マイアミは香港の試合の入場料金払い戻しに応じたとか。出場が期待されている人気選手が体調や何か一身上の都合で出られなくなることは良くある話です。そんな時にいちいち文句をつけて「入場料返せ」と言うのは度を越した要求だと思います。米メジャーでドジャーズ戦を見に行ってたまたま大谷が体調不良で出られなくなったら、同じような要求があるのでしょうか。まずありえないでしょう。

 ついでに、せこい話と言えば、ちょっと下世話になりますが、社会の裏事情に詳しい人からこのほど、こんな話を聞きました。最近、いわゆる風俗の店では酔っぱらった客をお断りしているとのこと。なぜかと言えば、酔っ払い客で理不尽な要求をする人がいるからだそうです。酔っぱらうと、男は概して”現場”において肝心の物が機能しないケースが多い。それでも女性と談笑して帰ればいいものを、逆切れする奴もいる。女性の”サービス不足”だとして、サービス料金の返還を求めるというのです。

 これを聞いて小生はあきれました。自らの”能力不足”を他人のせいにするのは世間ではよくあることですが、そんな場所でもそんな主張、要求があるのかい。理不尽極まりないし、随分せこい性分だなと思いました。メッシの出ないサッカー試合に怒るというのとちょっと違う感じもありますが、状況に応じてその現実を受け入れられないという点では似たところがあります。いずれにしても、小国のアルゼンチン、その国の選手にコケにされたということで、大国中国、国民のメッシとアルゼンチンへの怒りは収まりそうにありません。狭量の国や人につける薬はないのかな。

 上の写真は、薄暮のみなとみらい地区。大岡川沿いの散歩は楽しい。 

日本の株式市場好況なのは中国のお陰?!

 イヤー、驚きました。昨日、東京証券所での日経平均終値が4万円台となりました。1989年末のバブル期の年末大納会の時には3万9800円くらいになり、「来年は4万円台になる」と世の中が浮かれ模様でした。結局、その時はバブルが弾けてしまい、4万円などは遠い夢の話になったのですが、あれから35年たった今年3月のこの時期、とうとうバブル期の期待額を超えたのです。驚きました。これまでバブル消滅のあと、失われた10年とか、20年とか言われていたけど、ポストバブルの時期は完全に去って新たな日本再興の時代に入ったのかも知れません。

 世の中、それほど景気が良いとは年金生活者には実感できません。でも、日経平均が上がるというのは全体的に期待感があり、実際好景気なのでしょう。製造業は輸出産業を中心に今、じゃぶじゃぶに儲けていると思います。その理由は、円安です。大谷翔平の契約金の例でも書きましたが、一円円が安くなっただけで儲けは数十、数百億円のプラスになるのです。企業側はウハウハでしょう。ただし、その分、輸入品は高くなっているので、輸入品を商う企業、店舗は大変でしょうが…。

 期待感の話をしていくと、”産業のコメ”半導体の存在が大きい。1980年代、半導体製造は日本が世界のトップクラスだったのですが、米側の圧力でその製造工場は台湾、韓国、さらには中国にとって代わられました。しかし、今、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)の工場を熊本県に誘致し、そこには日本の大企業が共同出資したJASMも関与します。さらに、日本独自で先端半導体企業のラピダスができ、その工場が来年、再来年にも北海道で稼働するということで、日本の地方に活気をもたらしています。

 小生は東京中心主義の発想、何でも東京に施設と人を集めたがる傾向に反発を覚えていましたから、コロナ禍のオンラインでのホームワーク、業務展開は大賛成。コロナが終わってもホームワークは続き、地方定住化も進んでいます。その上、東京から遠く離れた地で先端産業の工場ができれば、工場、人の分散化が進み、大いに喜ぶべきことかと思います。人口減少状態にある北海道は、寒さを逆手に取ってもっと先端産業を発展させてもいい。テクノロジーイノベーションのハブ化を図ったスウェーデンや、通信大企業ノキアを生み出したフィンランドなど北欧の先進産業国を見習うべきです。

 株価日経平均上昇の原因はほかにもあります。経済先読みの天才と言われる米国のウォーレン・バフェットが盛んに日本株の購入を進めているのです。特に商社株がいいとか言っています。半面、「中国株はもう終わった。将来性はない」との見方もしています。バフェットやジョージ・ソロスらの名だたる投資家がそういう見方をするのであれば、当面中国に大量の資金投入はない、むしろ日本株へということなのでしょう。ですから、世界各国の投資家、特に余剰資金を多く持つ中東の投資家もこれに倣って日本株買いに走っていると思われます。

 バフェットが言うように、中国、香港の株式市場はもはや見込みがなくなりました。指導者が恣意的、強圧的な発言を繰り返し、株式市場にも意図的な介入を行っています。中国企業の経営内容そのものが良好でないのに、いたずらに「中国経済は良い状態」などという意味ない”光明論”を展開。「中国隊」と言われる政府資金、政府系企業資金を投入して株価のPKOを図る。その一方、「中国経済は悪い」と言う人を取り締まり、反スパイ法で企業の監視を強化しています。PKOは一時的には奏功するかも知れないが、中長期的には株価の維持はできないでしょう。

 中国は「先進国は14億という巨大市場を無視できないだろう、だからどんな圧力をかけてもいずれ我が方にひれ伏してくる」との認識を持っているのかと思います。確かに、第一次産品の輸出先に困っていたオーストラリアなどにはその傾向が見られました。ですが、第二次産業サプライチェーンは必ずしもそうならない。代替の発展途上国はいくらでもある。むしろ労賃の高くなった中国を嫌う企業も多くなっています。という意味で、バフェットの言うように、今の中共指導体制が続く限り将来性はないのかも知れません。

 今、中国、香港株式市場が低迷状態にあるのは、先行きに不安を感じた外国企業、外資が逃げ出し、それにつられて中国国内の投資家も資金を引き揚げているからです。それで、引き揚げられたその金が日本市場に回っており、株価上昇をもたらしています。つまり、中国、香港市場と日本の株式市場はゼロサムの関係で、今、日本側が勝ち組に回っており、誠に好ましい状況になっています。

 という視点で見ると、非能率な公営経済を重視し、対外的に強圧的である習近平指導部が続く限り、中国は諸外国、とりわけ西側先進国から好感されず、国際流動資金はそこには流れない。その分日本はこれから勝ち続けます。皮肉な言い方をすれば、経済のイロハ、仕組みが分からない中国の習近平体制が末永く続き、世界の資金が日本に流れるままであってほしい、そして日本の繁栄を支えて欲しいと願うばかりです。

 上の写真は、野毛、伊勢佐木町界隈の散歩コースで見られる風景。上の方はタイ式マッサージパーラーの店頭。下の方はギリシャ風レストランのシャッター上に描かれた絵。猫が可愛い。

大谷の故郷奥州市は「蘇民祭」をなぜ止める?

 昨日、メジャーリーグのスーパースター大谷翔平が結婚したというビッグニュースが飛び込んできました。日本に限らず、世界中のスポーツファンが関心を持っていたことなので、喜ばしい限り。ドジャーズの一員として新たな球春を迎えるに当たり、幸先のいいおめでたい話となりました。昨日、小生は所用あって外出、飲み会にも出ていたのですが、至るところでこの話で持ち切り。世間はいかに大谷への関心を示しているかが実感できました。

 ただ、ちょっと残念だったのは、彼がメディアとのインタビューで、結婚相手の名前やどういう素性の人かを明かさず、謎のままにしていること。戦略的な秘匿なのか。それともプライベートは煩わされたくないという彼一流の配慮、懸念なのか。彼の会見は、ぬる湯の湯舟から出るに出られないような、ラーメンの汁を最後まで飲もうとして店員に器を下げられてしまうような、女性に迫まりながら最後にソデにされてしまうような何か中途半端な感じがしてなりませんでした。でも、これによって却ってメディア各社の取材合戦に”火”が着いたことでしょう。

 結婚相手の名前、その氏素性はもちろんのこと、2人がどこで、どうして知り合ったのか、大谷がゴマンといる女性の中から何故その人を選んだか、2人はすでに同居し、ひょっとしたら相手はすでに妊娠しているのではないかなどなど、われわれが知りたいことは山ほどありますから、取材テーマは限りない。大谷は、相手と3,4年前日本で知り合ったと言っていますから、在米の大谷張り付き記者ばかりでなく、今度は日本にいる記者たちが、大谷の出身地や花巻東高校時代の友人、さらには日本ハム球団の関係者らを訪ね、探ることになるんでしょう。

 ところで、大谷翔平の出身地と言えば、岩手県奥州市。その地は大谷以外でも最近、話題になりました。黒石寺という古寺があり、そこで100年以上も続いている奇祭「蘇民祭」が今年を最後に終わってしまうとのこと。下帯(ふんどし)一丁の裸姿の男どもが密集して麻の袋を奪い合うという祭りですが、厳冬の旧暦1月15日の小正月に行われるので、男どもの体からは湯気が立ち、勇壮で見ごたえがあります。廃止の理由は高齢化でイベント参加者がいないということですが、本当なのでしょうか。

 全国に呼び掛ければ、参加希望者は大勢いると思います。小生ももっと若ければ、出張って参加してもいいかなと思うくらい。でも、寒さが苦手な者からすれば、厳冬の夜での裸はツライ。下帯の中身も寒さで縮み上がってしまうでしょうから、迫力不足は否めません。「ソミン祭」でなく「ソチン祭」になりかねません。それはともかく、高齢化で参加者がいないというのは言い訳に過ぎないように感じます。本当は経費高騰の問題か、安全性の問題か。それとも開催が面倒になったということか。

 諏訪の御柱祭、岸和田のだんじり祭りなど危険を伴う祭りは日本中にあり、毎回死者や負傷者を出しているけど、止めるという話にはなりませんね。やはり、伝統に裏打ちされた祭り、イベントは止めるべきではないと小生は思います。ブラジルのリオのカーニバルだって毎年必ず複数の死者が出るほど危険極まりないですが、止めることはない。「止めるべきだ」などと言ったら逆にその人は殺されてしまうでしょう。

 祭りは情念発散の場であり、地域の盛り上がりを作る貴重な機会でもあるので、継続されるべきです。伝統文化、イベントは残るだけの意味があるから存在するのです。危険だと感じる人は祭りに参加せず、家に閉じこもっていればいいだけの話。廃止は残念でなりません。再考していただきたい。

 上の写真は、2008年、JR東日本が作った”いわくつき”のポスター。卑猥な感じがするというクレームが来たので、途中で掲示を止めたとか。クレーマーはいったいどこを卑猥に感じたのか、教えて欲しい。ひげ面か、胸毛か、それとも天を仰いで大口開けた口元か。祭りに熱狂した普通の男性の姿ではないのか。