新年あけましておめでとうございます。とりあえずここのところいろいろと忙しくまとめて感想を書けていません。というわけで、読書メーターのまとめを置いておきます。面白い本は多かったので、余裕ができたら文章化したいという希望は書いておきます。

12月の読書メーター
読んだ本の数:68冊
読んだページ数:10880ページ

復讐のように (ジェッツコミックス)復讐のように (ジェッツコミックス)
読了日:12月31日 著者:二宮 ひかる
雪の女王 (バーズコミックスデラックス)雪の女王 (バーズコミックスデラックス)
読了日:12月30日 著者:藤田 貴美
現代思想の冒険 (ちくま学芸文庫)現代思想の冒険 (ちくま学芸文庫)
読了日:12月29日 著者:竹田 青嗣
ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS) (Fx COMICS)ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS) (Fx COMICS)
文字通り「救いがない」世界。それにどうしても引きつけられるのは、その「救いのなさが」正気であり合理的なシステムだから。そしてそれが、不必要になったら「捨てられて」しまうから。
読了日:12月28日 著者:沙村 広明
羽根むしられて (河出文庫)羽根むしられて (河出文庫)
読了日:12月28日 著者:ウディ アレン
イムリ 5 (BEAM COMIX)イムリ 5 (BEAM COMIX)
読了日:12月28日 著者:三宅 乱丈
すんドめ 6 (6) (ヤングチャンピオンコミックス)すんドめ 6 (6) (ヤングチャンピオンコミックス)
読了日:12月27日 著者:岡田 和人
ナニワ金融道 (1) (講談社漫画文庫)ナニワ金融道 (1) (講談社漫画文庫)
読了日:12月27日 著者:青木 雄二
血液と石鹸 (ハヤカワepiブック・プラネット)血液と石鹸 (ハヤカワepiブック・プラネット)
読了日:12月27日 著者:リン・ディン
ひだまりスケッチ (4) (まんがタイムKRコミックス)ひだまりスケッチ (4) (まんがタイムKRコミックス)
読了日:12月27日 著者:蒼樹 うめ
それでも町は廻っている 5 (5) (ヤングキングコミックス)それでも町は廻っている 5 (5) (ヤングキングコミックス)
多彩な物語によって、ゆるくも広くて深い世界=「町とその向こう側」を感じさせる。無駄に頭の良い嵐山姉弟の明日はどっちだ……
読了日:12月27日 著者:石黒 正数
ジャバウォッキー 3 (3) (マガジンZコミックス)ジャバウォッキー 3 (3) (マガジンZコミックス)
読了日:12月27日 著者:久 正人
続水惑星年代記続水惑星年代記
読了日:12月26日 著者:大石 まさる
エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)
物語について物語ることを「物語」を使って成功した傑作。
読了日:12月26日 著者:ジョン クロウリー
ジャバウォッキー 2 (2) (マガジンZコミックス)ジャバウォッキー 2 (2) (マガジンZコミックス)
読了日:12月26日 著者:久 正人
大江戸美味草紙 (SPコミックス)大江戸美味草紙 (SPコミックス)
読了日:12月26日 著者:ラズウェル細木
美味い話にゃ肴あり 5 (5) (ぶんか社コミックス)美味い話にゃ肴あり 5 (5) (ぶんか社コミックス)
読了日:12月26日 著者:ラズウェル細木
酒のほそ道 24 (24) (ニチブンコミックス)酒のほそ道 24 (24) (ニチブンコミックス)
酒に肴にその他にゆるくこだわる空気が実に楽で楽しい。
読了日:12月25日 著者:ラズウェル細木
マルクスだったらこう考える (光文社新書)マルクスだったらこう考える (光文社新書)
読了日:12月25日 著者:的場 昭弘
Classical Fantasy Within 第三話 火を噴く龍 (講談社BOX)Classical Fantasy Within 第三話 火を噴く龍 (講談社BOX)
巻が進むごとにどこに行くのか分からなり、その極みともいうところでいきなりの切断。どこに行くんだこのシリーズ。ただ、最期まで見届けたい。そういった意味では既に術中にはまっているのだろう。
読了日:12月24日 著者:島田 荘司
ダブルブリッド〈4〉 (電撃文庫)ダブルブリッド〈4〉 (電撃文庫)
読了日:12月24日 著者:中村 恵里加
大奥 第4巻 (4) (ジェッツコミックス)大奥 第4巻 (4) (ジェッツコミックス)
「男女逆転」。その一言で読み替えられる史実、書き換えられる風景、語りなおされる歴史。そしてそこに発する権力・愛憎・人間。最上の歴史改変SFを読む快楽がここにある。
読了日:12月24日 著者:よしなが ふみ
四十日四十日
乾ききった荒野の死せるキリストと生ける人間。反転する聖書の言葉と立ち現れる人間の物語。
読了日:12月23日 著者:ジム クレイス
女(わたし)には向かない職業女(わたし)には向かない職業
読了日:12月23日 著者:いしい ひさいち
Kiss×sis 3 (3) (KCデラックス)Kiss×sis 3 (3) (KCデラックス)
お姉ちゃんはいいものだ、二人のお姉ちゃんはもっといいものだ、エロイお姉ちゃんはもっともっといいものだ。それ以上でもそれ以下でもなくそれが最高に素晴らしい。
読了日:12月22日 著者:ぢたま 某
もやしもん 7―TALES OF AGRICULTURE (7) (イブニングKC)もやしもん 7―TALES OF AGRICULTURE (7) (イブニングKC)
読了日:12月22日 著者:石川 雅之
宇宙兄弟 4 (4) (モーニングKC)宇宙兄弟 4 (4) (モーニングKC)
読了日:12月22日 著者:小山 宙哉
宇宙兄弟 3 (3) (モーニングKC)宇宙兄弟 3 (3) (モーニングKC)
読了日:12月22日 著者:小山 宙哉
鋼の錬金術師 21 (ガンガンコミックス)鋼の錬金術師 21 (ガンガンコミックス)
読了日:12月22日 著者:荒川 弘
真世の王〈上〉黒竜の書 (EXノベルズ)真世の王〈上〉黒竜の書 (EXノベルズ)
読了日:12月22日 著者:妹尾 ゆふ子
ぽてまよ 2 (2) (アクションコミックス アクションコミックスもえよん)ぽてまよ 2 (2) (アクションコミックス アクションコミックスもえよん)
わりと細かいところが生々しいのが印象的。そこが大きな魅力なのだろうか
読了日:12月22日 著者:御形屋 はるか
美女と竹林美女と竹林
読了日:12月21日 著者:森見登美彦
水惑星年代記水惑星年代記
読了日:12月20日 著者:大石 まさる
ジャバウォッキー 1 (1) (マガジンZコミックス)ジャバウォッキー 1 (1) (マガジンZコミックス)
読了日:12月20日 著者:久 正人
ダブルブリッド (3) (電撃文庫 (0462))ダブルブリッド (3) (電撃文庫 (0462))
読了日:12月20日 著者:中村 恵里加
最後の性本能と水爆戦 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)最後の性本能と水爆戦 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)
読了日:12月20日 著者:道満晴明
近代国家とキリスト教 (平凡社ライブラリー)近代国家とキリスト教 (平凡社ライブラリー)
読了日:12月19日 著者:森安 達也
絶対可憐チルドレン 15 (15) (少年サンデーコミックス)絶対可憐チルドレン 15 (15) (少年サンデーコミックス)
ゴスロリメイド+メガネ+ネコ耳+ショタは正義。
読了日:12月18日 著者:椎名 高志
アキハバラ発00年代への問いアキハバラ発00年代への問い
読了日:12月18日 著者:大澤 真幸
ヘルタースケルターヘルタースケルター
読了日:12月18日 著者:岡崎 京子
変愛小説集変愛小説集
「変」な愛に触れ続けるうちに、「愛」ってみんな変なんだという気持ちになる。すべての要素がおさまるところにおさまった柿右衛門の器が私的にはベスト。
読了日:12月18日 著者:
死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国
フィクション的な言葉で語られたノンフィクションとして、ナポリの犯罪者集団カモーラを告発する。そこにあらわれるのは利益と暴力の組織(システム)が生み出す権力の構図。
読了日:12月18日 著者:ロベルト・サヴィアーノ
Landreaall 5 (5) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)Landreaall 5 (5) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
英雄の物語としての輪郭があらわになってきたような。DXって巨大な器だよなあ。そこに物語が盛られていく存在=英雄
読了日:12月17日 著者:おがき ちか
アブサロム、アブサロム!(世界文学全集1-9)アブサロム、アブサロム!(世界文学全集1-9)
混沌たる歴史と混淆する記憶を濃密極まりない記述で織り上げた、迷宮の混乱の中で立ち往生し、全力でそれを読み解き抜く愉悦。
読了日:12月16日 著者:ウィリアム・フォークナー
Classical Fantasy Within 第2話 (2) (講談社BOX)Classical Fantasy Within 第2話 (2) (講談社BOX)
架空歴史の旧日本軍に黄泉の国に複製人間。本当にどこに行くのかわからない。だがそれが楽しいのは小説転がしの上手さか……。
読了日:12月16日 著者:島田 荘司
ジョルナダ (Feelコミックス)ジョルナダ (Feelコミックス)
読了日:12月15日 著者:小野塚 カホリ
Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」 (講談社BOX)Classical Fantasy Within 第一話 ロケット戦闘機「秋水」 (講談社BOX)
旧日本軍の秘密テクノロジーのロマン度は異常。
読了日:12月14日 著者:島田 荘司
ダブルブリッド〈2〉 (電撃文庫 (0436))ダブルブリッド〈2〉 (電撃文庫 (0436))
読了日:12月14日 著者:中村 恵里加
Landreaall 4 (4) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)Landreaall 4 (4) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
学生寮+ファンタジーは正義。ちいさいのに大きい五十四さんはいい姉キャラです。
読了日:12月13日 著者:おがき ちか
ねこぢる食堂 (白泉社文庫)ねこぢる食堂 (白泉社文庫)
読了日:12月13日 著者:ねこぢる
探索者 (海外SFノヴェルズ)探索者 (海外SFノヴェルズ)
派手なはったり等々はないけれど、細かく設定された歴史を、ものを通じてたどる感覚は楽しい。
読了日:12月13日 著者:ジャック・マクデヴィッド
ハックス! 1 (1) (アフタヌーンKC)ハックス! 1 (1) (アフタヌーンKC)
みんなと熱くなること、作り上げること、その喜び(今のところ)を計算の行き届いた構成で見せていく上手さが印象的
読了日:12月12日 著者:今井 哲也
時間封鎖 下 (3) (創元SF文庫 ウ 9-4)時間封鎖 下 (3) (創元SF文庫 ウ 9-4)
宇宙と私の人生の物語
読了日:12月11日 著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン
時間封鎖 上 (1) (創元SF文庫 ウ 9-3)時間封鎖 上 (1) (創元SF文庫 ウ 9-3)
読了日:12月10日 著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン
百合星人ナオコサン2Second Impact CD付百合星人ナオコサン2Second Impact CD付
幼女と幼女と幼女によるkashmir節と、時折見えるどこまでも遠く透明に広がる風景が魅力的。
読了日:12月10日 著者:Kashmir
猟奇刑事マルサイ猟奇刑事マルサイ
肉感的で触覚的とさえいえるような人体が、物として壊される快感。そして物になれない人の苦痛の快楽。
読了日:12月09日 著者:大越 孝太郎
ダブルブリッド (電撃文庫)ダブルブリッド (電撃文庫)
読了日:12月09日 著者:中村 恵里加
イギリスの社会と文化200年の歩みイギリスの社会と文化200年の歩み
読了日:12月08日 著者:U.T.J. アークル
19世紀イギリスの民衆と政治文化―ホブズボーム・トムスン・修正主義をこえて19世紀イギリスの民衆と政治文化―ホブズボーム・トムスン・修正主義をこえて
読了日:12月07日 著者:ローハン マックウィリアム
切れた鎖切れた鎖
海沿いの旧家の四代にわたる女達の歴史。その憎悪と絶望を硬く途切れがない文体で連ねていく。そして破断と再結合。書くものと書き方が見事に一致した表題作が素晴らしい。
読了日:12月06日 著者:田中慎弥
友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書 710)友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書 710)
読了日:12月06日 著者:土井 隆義
女(わたし)には向かない職業 (2)女(わたし)には向かない職業 (2)
読了日:12月06日 著者:いしい ひさいち
これでおあいこ (河出文庫)これでおあいこ (河出文庫)
知的で、茶目っ気たっぷりで、世界を嗤いながら愛するような視線と叙述がたまらなく可笑しい。
読了日:12月05日 著者:ウディ アレン
UNKNOWN (講談社ノベルス)UNKNOWN (講談社ノベルス)
読了日:12月05日 著者:古処 誠二
火―散文詩風短篇集火―散文詩風短篇集
物語の生成でも、アフォリズムの断片でもない。不思議で鮮やかな言葉の連なりの快楽。
読了日:12月04日 著者:マルグリット ユルスナール
スターシップ (新潮文庫―宇宙SFコレクション)スターシップ (新潮文庫―宇宙SFコレクション)
読了日:12月03日 著者:レイ・ブラッドベリ,伊藤典夫,浅倉久志
イタリア現代思想への招待 (講談社選書メチエ)イタリア現代思想への招待 (講談社選書メチエ)
「美学」という知的手法を基礎として、独仏の反哲学の系譜の思想を消化/昇華。(と過度に一般化するのは危険だけど)断片的に紹介される「生政治」「キリスト教脱構築」「境界の思想」は実に魅力的。
読了日:12月02日 著者:岡田 温司
氷
幻想的でありながら、幻想でない。全てが明確に「語られた」ものであるから。そういった意味で実に正統的なSF(Sが何であれ)
読了日:12月01日 著者:アンナ・カヴァン

 切れた鎖


切れた鎖

切れた鎖

mixiに投稿したものの改稿版です


芥川賞候補作となった表題作「切れた鎖」
川端賞受賞作となった「蛹」
そこに「不意の償い」を加え三島賞を受賞した本作品集。

暴走する罪の意識と不安定な心性を、強烈な一人称文体で描いた「不意の償い」。
意識を持つカブトムシの幼虫というなかなかふざけた設定ながら、極めてまっとうな「蛹」も良作でしたが、私的に最も印象深かったのは表題作の「切れた鎖」


さびれた海峡の町の旧家桜井家の梅代。出戻ってきた娘と、幼稚園児の孫娘の三人で暮らしている彼女、そして彼女の母は、屋敷の裏にある在日朝鮮人の教会とその住人に激しい憎悪を抱いている……。

実際取り立てて、大きな事件が起きるわけではありません。旧家の遺産によって生活には困らない梅代が、出戻った娘がちゃんと世話をしない孫娘に食事を作り幼稚園に送り迎えし、ファミレスに一緒に行くだけ。出来事といえばその程度です。

その静的な日常の中で、孫娘との対話の中で、梅代の思念は四代にわたる女達の歴史を。自らの母について、自らの娘について、自らの夫について、そして裏の教会について、その憎悪と絶望の歴史を回想し考察していきます。

その梅子の一人称を紡ぐのが硬く途切れのない文体。ある時には読点によって、どこまでも続き。時に句点で短く切れたとしても、そこには切れ目がない、そう感じられます。どこかで繋がっているようだと、しかしそれは、「ねばりつく」」「粘着質」という言葉と言葉が柔らかに繋がっているという印象ではなく、まるで言葉と言葉の間に不可視の「鎖」があるような……。

ある時そのその言葉の連鎖によって紡がれた日常に起きる一瞬の緊張が発生します。まさに作品のクライマックスの場面。
裏の教会の住人との接触によって、過去現在未来へと永劫に続くかと思われた梅代の思念の鎖は破断し、そして新たな、よりグロテスクな形で再結合します。その一瞬がもたらすカタルシス、絶望感、そこには書くものと書き方が一致した小説の快楽があるように思いました。

読書メーターによる先週のまとめ。マンガが多かったですね。

2008年11月10日 - 2008年11月16日の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:1684ページ

ぽてまよ 1 (1) (アクションコミックス アクションコミックスもえよん)ぽてまよ 1 (1) (アクションコミックス アクションコミックスもえよん)
これはいいもの。アニメで見たエピソードばかりながら、魅力のある描線の絵によって新鮮なものとして味わうことができました。
読了日:11月16日 著者:御形屋 はるか
Landreaall 3 (3) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)Landreaall 3 (3) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
読了日:11月15日 著者:おがき ちか
Landreaall 2 (2)Landreaall 2 (2)
読了日:11月15日 著者:おがき ちか
大日本天狗党絵詞(エコトバ) 4 (4) (アフタヌーンKC)大日本天狗党絵詞(エコトバ) 4 (4) (アフタヌーンKC)
「天狗」による「私の物語」
読了日:11月15日 著者:黒田 硫黄
グールド魚類画帖グールド魚類画帖
書くことと、書かれたことによる歴史の暴力が、魚を描くことについて語ることから、虚構と嘘から浮かびあがり、また消えていく。
読了日:11月15日 著者:リチャード・フラナガン
Landreaall 1 (1) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)Landreaall 1 (1) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
これはいい異世界ファンタジーですね。いろんなところのコントロールが巧い。
読了日:11月15日 著者:おがき ちか
坂道のアポロン 1 (1) (フラワーコミックス)坂道のアポロン 1 (1) (フラワーコミックス)
これはよいメガネですね。ヤオイ方向に行くのか行かないのか微妙であるけど、行ったほうが好みだよなあ。並録の読み切りは心地よい不思議が良いです。
読了日:11月14日 著者:小玉 ユキ
大日本天狗党絵詞(エコトバ) 3 (3) (アフタヌーンKC)大日本天狗党絵詞(エコトバ) 3 (3) (アフタヌーンKC)
読了日:11月13日 著者:黒田 硫黄
大日本天狗党絵詞(エコトバ) 2 (2) (アフタヌーンKC)大日本天狗党絵詞(エコトバ) 2 (2) (アフタヌーンKC)
読了日:11月12日 著者:黒田 硫黄
「まだ結婚しないの?」に答える理論武装 (光文社新書 362)「まだ結婚しないの?」に答える理論武装 (光文社新書 362)
著者の問題設定「愛と恋愛とセックスと人格の五者の一体の問題視」等には同意できるものの、そこで著者が展開する「スピリチュアル」(神秘主義的なものではないが等の概念には賛同しがたい。もっと厳密な言葉や概念を用いるべきではないだろうか。
読了日:11月12日 著者:伊田広行
大日本天狗党絵詞(エコトバ) 1 (1) (アフタヌーンKC)大日本天狗党絵詞(エコトバ) 1 (1) (アフタヌーンKC)
読了日:11月11日 著者:黒田 硫黄
黄色い本―ジャック・チボーという名の友人 (アフタヌーンKCデラックス (1488))黄色い本―ジャック・チボーという名の友人 (アフタヌーンKCデラックス (1488))
高校生の時どこかで見かけていたけれど、今まで読まずにいた。今読んで良かったと思う。
読了日:11月11日 著者:高野 文子
葉桜が来た夏 2 (2) (電撃文庫 な 12-2)葉桜が来た夏 2 (2) (電撃文庫 な 12-2)
しっかりと政治も含めた異星人ものの方向に行くのかな。最後の交渉のところの読み応えから割と期待できるかも。しかしこんなにラブコメせんでもいいと思うが
読了日:11月10日 著者:夏海 公司
OTELOTEL
すばらしいSFマンガ短編集。世界を壊して救っても一度壊して、まさにSFの馬鹿力の炸裂
読了日:11月10日 著者:
大相撲殺人事件 (文春文庫 こ 35-2)大相撲殺人事件 (文春文庫 こ 35-2)
実にバカバカしくすばらしい、大相撲ファン新本格ファンなら必読だがそんな物好きがどれくらいいるかは不明(相撲のディティールについては突っ込みどころ満載なのだが、何かそれも含めて面白いと思えてしまう)
読了日:11月10日 著者:小森 健太朗
目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)
濃密なディスコミュニケーションを記述する濃密な文体。狂ったものは何一つないのに理解できない世界。
読了日:11月10日 著者:星野 智幸

 HOTEL

Boichi 作品集 HOTEL (モーニング KC)

Boichi 作品集 HOTEL (モーニング KC)

mixiに投稿したテキストの改稿版です。


韓国出身のマンガ家によるA・C・クラークに捧げられた、優れたSFマンガ短編集。


表題作の「HOTEL」は、温暖化によって人間が滅んだ世界に、生命ののDNAを未来へと保存するため南極に残された塔「ホテル」とその管理人/支配人の人工知能の一人称。といういささか古めかしさを感じさせる設定ながらも、破滅後の世界や残された施設の迫力のある表現、デフォルメと写実的な表現の両方を自由に横断する人物作画などの、"絵”の力によって、鮮烈な魅力をたたえた良作です。

しかし、本作品集の白眉は馬鹿SFマンガ
「全てはマグロのためだった」

まさにタイトル通りに、乱獲によって絶滅したクロマグロ。その最後の一匹を食した少年の、その人生の「全てをマグロのため」につぎ込んだ大暴走によって、アメリカを出し抜いて日本を救い、メタンと戦って世界を救い、温暖化を飲み込み地球を救い、ワームホールをぶち抜いて太陽系を突き抜け、造り出された神と共に天元突破。

という、大量のアイデアというかネタのすべてを「マグロ」で寄り合わせて、最高速度でぶちかました。という印象。(まあ、突っ込みどころはあるけどそんなことはいいんですよ、いきおいですよ)おもわずワイドースクリーンバロックという単語さえ飛び出してくるような、ばかばかしい楽しさで、クラーク先生よりもベイリー先生に捧げるべき無茶なSFの楽しみが見える作品でした。

また、実は表題作のパラレルワールドモノであるという細かい仕掛けもSF心をくすぐります。

他の収録作品について簡単に。


「PRESENT」

病床モノというのか。意識を失って若いままの恋人と年老いたその片割れの物語。定型のアイデアでありネタではあるけれども画力と演出力が高いので、楽しく読むことができます。HOTELやマグロと同一世界観であり、そのあたりをうまく生かしているところが読み所でしょうか。あと、カラーページの人物(特に女性)の顔の絵などは、日本のマンガとは異なった書き方で描かれいるところが目立って興味深いです。

「Stephanos」

女子高生と医者の不倫モノからいきなり黙示録へ。というと意味不明ですが本当にそのままです。これも強烈な絵柄が魅力です。

「Diadem」

フルカラーのファンタジーキム・ヒョンテがキャラクターデザインを手がけたゲーム。「マグナカルタ」を思わせる。キャラクターデザイン・モンスターデザインと派手な展開が楽しいです。

「short SF」

2ページの書き下ろしSF。デフォルメを効果的に使ったギャグ色が強い作品というか、とってもバカなギャグマンガである意味一番好きかもしれません。しかしここでも世界崩壊や宇宙崩壊を扱った作品が多くて、著者の好みを感じさせます。

 まとめ

先週の読了本のまとめ。読書メーターのまとめ機能を使用。いろいろと便利ですねこれは。


2008年11月3日 - 2008年11月9日の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:4457ページ

秘密―トップ・シークレット (1) (Jets comics (234))秘密―トップ・シークレット (1) (Jets comics (234))
清水玲子らしい、容赦ない展開とSF(今回は脳)そして美形のバランスがいい良い第一巻。
読了日:11月09日 著者:清水 玲子
チャーティスト運動の構造チャーティスト運動の構造
読了日:11月09日 著者:古賀 秀男
限りなき夏 (未来の文学)限りなき夏 (未来の文学)
記憶とか時間とか、そんな書きがたいものを書くことに挑戦する小説のお手本のような作品群。
読了日:11月09日 著者:クリストファー・プリースト
ベル☆スタア強盗団 1 (1) (ジェッツコミックス)ベル☆スタア強盗団 1 (1) (ジェッツコミックス)
読了日:11月08日 著者:伊藤 明弘
芸術の真実と教育―近代画家論・原理編〈1〉 (近代画家論 (原理編1))芸術の真実と教育―近代画家論・原理編〈1〉 (近代画家論 (原理編1))
読了日:11月08日 著者:ジョン ラスキン
新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん 2 (ガンガンファンタジーコミックス)新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん 2 (ガンガンファンタジーコミックス)
読めば読むほど、私は本当にへっきーが好きなんだと確信できる作品。たぶんできない人は面白くない。
読了日:11月08日 著者:氷川 へきる
乳と卵乳と卵
こんなにわかりやすくていいのかと思わず不安になりつつも、文章の楽しさで一気に読まされる表題作と、全く救いのない併録作が思った以上にいい。
読了日:11月07日 著者:川上 未映子
デイドリームネイション 1 (1) (MFコミックス アライブシリーズ)デイドリームネイション 1 (1) (MFコミックス アライブシリーズ)
kashimir先生は実にkashimir先生ですね。
読了日:11月07日 著者:kashmir
サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書 747)サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書 747)
割と自明視されがちな「新自由主義」を価値判断のモードとして分析し、オルタナティブを提唱しようとする。それが、有効化は今後の論考しだいだとしても、魂を絞るような真摯な言葉は魅力的だ。
読了日:11月07日 著者:鈴木 謙介
ハバナ奇譚ハバナ奇譚
現代マイアミを移動する幽霊屋敷と、19世紀から始まるキューバ移民達の記憶と人生、そして幽霊・妖精が絡み合う。まさにマジックリアリズムという傑作。
読了日:11月06日 著者:ダイナ チャヴィアノ
カエアンの聖衣 (ハヤカワ文庫 SF 512)カエアンの聖衣 (ハヤカワ文庫 SF 512)
解説曰く。ベイリーはSFとは一種の宗教だと論じたらしい。ならばこれは最高の教典なんだろうなあ
読了日:11月06日 著者:バリントン J.ベイリー
絶対安全剃刀―高野文子作品集絶対安全剃刀―高野文子作品集
身がすくむような、強烈な印象の一コマの力と構成の妙。そして秀逸すぎるタイトル。なんだコレと言いたくなるくらい凄い
読了日:11月05日 著者:高野 文子
宇宙舟歌 (未来の文学)宇宙舟歌 (未来の文学)
出鱈目に無茶苦茶で笑えて、でも一つも不可思議な感じを受けず、全てを「そういうものだ」と受け入れられる楽しさ
読了日:11月05日 著者:R.A. ラファティ
ティールームの誕生―「美覚」のデザイナーたち (平凡社選書)ティールームの誕生―「美覚」のデザイナーたち (平凡社選書)
読了日:11月05日 著者:横川 善正
20世紀の幽霊たち (小学館文庫 ヒ 1-2)20世紀の幽霊たち (小学館文庫 ヒ 1-2)
世界に忍ぶ脅威を縦糸、人間に潜む恐怖を横糸に、おぞましくも美しい驚異を織り上げたよう。「自発的入院」「お父さんの仮面」「ポップ・アート」あたりがベスト
読了日:11月04日 著者:ジョー・ヒル
イギリス下層中産階級の社会史イギリス下層中産階級の社会史
読了日:11月03日 著者:ジェフリー クロシック
ねにもつタイプねにもつタイプ
傑出して巧い文章によって、ギリギリのバランスを保つほとんど奇想小説なエッセイ。不安定な気分で笑える。
読了日:11月03日 著者:岸本 佐知子

 ハバナ奇譚


ハバナ奇譚

ハバナ奇譚

mixiに投稿したテキストの改稿版


現代のマイアミ。記者として生計を立て孤独に生きるキューバからの亡命者セシリアは、マイアミのいたる所に出没するという移動する幽霊屋敷の取材を始める。そして取材の帰り立ち寄ったバーで一人の老女と出会う。彼女が語るのは、19世紀中頃から始まるキューバをつくった三種の移民の物語。スペイン系、アフリカ系、中国系。それぞれがそれぞれの事情でキューバに渡ってくる。家族の物語、そしてその物語と並行して進められる。幽霊屋敷の調査。やがてその二つは混じり合い。一つの物語へとつながっていく。

と、簡単な概要はこんなところ。まずなんといっても移民達の物語が秀逸。
それぞれの家族が、スペインや中国にいた時代から話が起こされ、時代の激動の中で翻弄される家族の姿や、奴隷であった時代が語られます。そして、それぞれの人々がそれぞれの理由でキューバにやってくる物語は、一つの近現代史の移民物語としても興味深く読むことができます。

そして同時に、幽霊や妖精が当たり前のように彼ら彼女のらの前に現れ、その運命に大きく関与していく。その歴史のうねりの中に、自然と幻想が絡んでいく物語は、まさに「マジックリアリズム」としかいいようない不可思議な面白さに満ちています。

特にとある家系の女性(嫁含む)にしか見えない悪戯妖精のマルティニコがいろいろと可愛いです。

そのように現実と幻想の間を揺れ動く、物語は、同時に常に現代のマイアミと過去の移民の歴史の間を揺れ動いていきます。
移民の記憶の探求と現代の亡命者セシリアのを共鳴し合わせる。このあたりのコントロールは非常に巧く、過去の話がいいところで現代に戻ってしまい、現代の話が佳境のところで過去に飛ばされるというわけで、ページをめくるのももどかしい読書体験をする羽目になります。 

そして読者はやがて気がついていきます。移民達の物語も、現代の亡命者セシリアの物語も共に「故郷を失った者」の物語であると。
移民、記憶、家族、歴史、魔術、幽霊といった諸要素がが絶妙に絡み合い、「故郷と愛」の幻想を紡ぎ出す。そんな非常に質の高く、なおかつ圧倒的に楽しい小説であると思います。

 宇宙舟歌

宇宙舟歌 (未来の文学)

宇宙舟歌 (未来の文学)

R・A・ラファティの初期長編で、イリアスをモチーフにしたというか、宇宙でそのままやってしまったというような基本的な情報は本質的にたいして重要じゃないです。
本質はただの法螺話の連続に身を任せる楽しさ。
とことん出鱈目に無茶苦茶な展開、駄洒落が連発される星で食用羊のごとく監禁されたり、朝になれば全員がよみがえる星で巨人達と戦争したり、宇宙の全てを賭けてギャンブルに興じたり、魔法にしか見えない科学を使う魔女と主観的になる対決をしたり、とひたすらに笑える展開に身を任せて、ひたすら笑っていれば、終わりが始まりになり始まりが終わりになっていく物語を「そういうものなんだ」と受け入れていける。それでいいような気がするし、それが神話的ということなのかもしれないと思わされます。