漢字ひらがな

 本題がなかなか進まないです。原稿ができあがってないので・・・。というわけで漢字とひらがなのお話です。
 事、物、時などの抽象名詞はいちいち悩むのはめんどくさいので全部ひらがなで書いてしまいましょう。熟語に関しては、「私達」は最近は「私たち」と書く傾向にあるようです。このようにもともと漢字で表記すべきところを、このように「漢字+ひらがな」で表記する傾向がある熟語がけっこうあるみたいです。新聞等をよく見てると気付くと思います。
 ここで気をつけて欲しいのが、別に漢字で書こうがひらがなで書こうが決まりがあるわけではないのでどちらで書いてもいいのですが、同じ言葉を漢字とひらがなで混在させないようにするということです。一度ひらがなと決めたら最後までひらがなで。文字数の調整は他のところですること。

字の濃さ、大きさ

 ペン書きの指定がなければ鉛筆かシャープペンでいいのですが、字の濃さはBか2Bくらいが好まれるようです。「こいつはBの芯を使ってるから+1点だ!」などということはないので、そこまで神経質にならなくてもいいとは思いますが、印象が良いにこしたことはありません。字の大きさはマス目をいっぱいに使ってバランスよく書くことを心がけること。もちろん、消しゴムで消した跡が黒く残ってるような答案は印象悪いです。個人的にはそういう答案はアウトだと思ってます。

指定文字数は守るべきか

 本題が進んでいないので間をつなぎます。表題の通りなんですか、指定文字数の話です。結論からいうと守るべきどころか必ず守ってください。指定文字数オーバーは、たとえ1文字オーバーなだけであっても0点です。文字数よりも内容が重視されるので、指定文字数にはそこまで気を使わなくてよい、という意見を聞いたり聞かなかったりしますが、大間違いです。必ず守ること。「800字以内で述べよ」という場合には、800字を越えるのは論外(801字でもアウト)。


 次に、800字より少ない場合はどこまでがセーフかというと、厳密にマイナス何字までオーケーかということは決まってはいませんが、指定文字数の8割という意見がありますが、個人的には最後の行まで書くのが基本だと思います。どうしてもそこまでいかない場合でも最低9割までは書いてください。「800字以内」という場合の許容範囲は720字から800字ジャストまでと考えておいてください。


 では、「800字程度で述べよ」という場合はどうでしょう。「800字程度」といわれた場合でも、考え方は「800字以内」の時と同じです。要するに許容範囲は720字から800字ということになります。ただ、「800字程度」の場合は1字でもオーバーしたらアウト、ということはないので、多少はオーバーしても大丈夫ですが、800字で収めるように気を使ってください。720字から810字まで、というのが許容範囲ですね。

目的と手段

 本題の小論文はもう少しお待ちください。興味深い内容のエントリーを見つけたので引用させていただきます。


「おまえも空気の奴隷になれ」って?「空気読め」の扱い方次第で人生台無し - 分裂勘違い君劇場 by ふろむだ
コミュニケーション能力についての話題で、大学の時の卒論でコミュニケーション学をやってたので昨今話題になってるコミュニケーション能力という話には非常に興味があるのですが、今回興味深かったのはこの部分。

論理的な正しさというのは、利害と感情の構造を組み立てるときの、脇役であって、それを中心に据えてしまうのは、本末転倒意味不明である。家来が殿様の席に、どっかりと腰を下ろしているようなものだ。


論理的に正しければ、相手は納得するのか?そうじゃないだろう?感情と利害の構造をうまく調整することによってのみ、人間は納得するのであり、論理的に正しいから納得するというのは、あくまで、感情と利害の調整が終わったあとの話である。完全に優先順位が間違っている。土台を作らずに家を建てようとしているようなものだ。論理は、あくまで、利害と感情の構造を組み立てるための道具でしかないのだ。

 引用もとの文章の本題とずれたところのみを引用して非常に申し訳ないのですが、小論文をやる上での本質的な問題はここです。僕のいう「設計の問題」というのが、要するに論理的に相手に自分の意見を伝達することです。小論文というと、とかく「論理的」というところだけを意識しがちになるんですが、それはやはり手段でしかありません。伝達したい内容、すなわち「材料」があって始めて成り立つことであり、その部分が抜けてしまっている小論文を添削していると、まさに『家来が殿様の席に、どっかりと腰を下ろしているようなもの』という印象しか受けません。
 論理的に文章を書く能力というのは訓練しだいで短期間でもなんとでもなるものですが、材料集めは一朝一夕になんとかなるものではありません。この点を意識して、普段からいろいろなことに興味を持ってなんでも吸収するつもりで日々過ごしていきましょう。
 ちなみに、上記引用もとの内容は小論文を勉強する上で示唆に富む内容であると思うので、是非読んでください。

4点セット小論文 第1講・段落3兄弟

 いきなりネタが古いですが段落構成のお話です。さっそく行ってみましょう。

小論文とは

 小論文とは、読んで字のごとく小さい(短い)論文のことです。では「論文」を辞書でひいてみましょう。


yahoo辞書−大辞泉」より

ろん‐ぶん【論文】

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論議する文。筋道を立てて述べた文。

2 学術的な研究の結果などを述べた文章。「博士―」


ということです。大学受験の小論文では、基本的に課題文が与えられてそれに対する意見を決められた文字数で述べる、という形式です。なので、ここに出ているような学術的な研究の成果を述べるような大げさなものではありません。単純に自分の意見を筋道を立てて述べていく文章のことです。小さい(短い)論文といえど、筋道立てて自分の意見を相手に伝える、という作業が必要不可欠です。ここからはその方法を学んでいきましょう。論文というと難しそうな感じがしますが、大丈夫ですよ。これからお話しする4つのポイントだけをおさえるだけで誰でもいい感じの小論文が書けるようになります。前置きが長くなりましたが、まず1ポイントめです。

段落?

 だいたい大学受験では、先ほども述べましたように、課題文が与えられてそれに対する意見を決められた文字数で述べる、という形式が一般的です。では、決められた文字数とはどのくらいなのか、というのが不安であると思うのですが、800字から1200字というのが一般的なようです。小論文に関しては、歴史が浅いこと、各大学によって小論文を科すことによって量りたい能力が異なること、というような要因があるせいで一概にはいえませんが、全体的に見てやはり800字から1200字というのが一般的(たまには2000字を越えるものから20字、30字で意見をまとめるようなものもありますが)。ここでは、一般的な800字から1200字のものについて考えていきます。
 

 段落というのは意味のまとまりのグループのことです。いわゆる文章を分解してみましょう。中学校で習う「言葉の単位」というものです。まず言葉の一番小さな単位は「単語」ですね。いいですか?次に小さな単位は「文節」です。この文節がいくつか集まって「文」を作ります。同じ話題について触れているいくつかの文が集まって「段落」を作ります。

<文>
昨日、私は仲の良い友達と一緒に図書館へ行きました。


<文節で分けると>
「昨日」「私は」「仲の」「良い」「友達と」「一緒に」「図書館へ」「行きました」


<単語で分けると>
「昨日」「私」「は」「仲」「の」「良い」「友達」「と」「一緒」「に」「図書館」「へ」「行き」「まし」「た」


※学校で習ういわゆる「橋本文法」です

段落3兄弟

 さて、この段落ですが、小論文を書く上でどのくらいに分ければいいのでしょうか。分けるにしてもむやみやたらと分けるわけにはいきません。分けすぎるとごちゃごちゃして見難い、という印象になってしまいますし、分けなさすぎても冗長な印象になってしまいます。ここで『段落3兄弟』の登場です。そう、基本的に段落は3つに分けていきます。
 

 3兄弟を紹介しましょう。長男・序論くん、次男・本論くん、三男・結論くんの3兄弟です。序論くんと結論くんは性格がよく似ていて、言いたいことをズバっと言う性格です。「あなたはどう思いますか?」の質問に「こう思う!」と二人とも単刀直入に答えてしまいます。この二人の性格はよく似ているので、言葉はそれぞれ多少の違いはありますが、言ってる内容は同じです。しかし、二人とも意見しか言わないので、はたから見ていてなぜそう考えるのか、というのがよくわかりません。そこで本論くんがしかたなく理由を説明する役に回るのです。しかも、本論くんはとてもやさしい性格なので、序論くんと結論くんの意見と対立する意見を持つ相手へのフォローを決して忘れません。3兄弟はとても仲良しなので、いつも3人揃ってお出かけです。

序・本・結の3段構成で!

 ここまで前置きが非常に長くなってしまいましたが、小論文を書くときは基本は序論・本論・結論の3段構成が基本です。序論の部分にこれから書く内容についての概要(問題提起+それに対する意見)、結論の部分に意見、そして本論の部分にはそのような意見に至る理由を記述していきます。

 
 段落3兄弟のところで触れたように、序論と結論には基本的には同じことを書きます。すなわち、意見が2度繰り返されるということです。ただし、そのまま同じことを繰り返し書いただけでは体裁が悪いので、言葉は少し変えてやります。しかし、結論に書く内容は絶対に序論で書いた内容と変えてはいけません。必ず首尾一貫して同じ意見を貫くこと。冒頭と最後で意見が食い違っている小論文など採点対象外です。


 本論のところには意見の元となる理由を書きます。なぜそう思うに至ったかという思考の過程をそのまま文章にする作業です。ここでのポイントは2点、譲歩と具体例。譲歩とは、対立する意見を頭から否定するのではなく、一定の範囲で受け入れることです。例えば、BSE問題に関して、全頭検査が必要か否か、という問題があったとします。

全頭検査は必要である。消費者の安心感を取り戻すためには全頭検査しかありえない。

と書くよりも、

確かに、抜き打ち検査という形でもBSEの牛にあたる確率は交通事故に遭う確率よりも低いという意見にも納得できる。交通事故に遭う確率より低いのであれば、全頭検査というのは科学的ではないであろう。しかし、消費者の安心感を取り戻すにはもはや全頭検査しかありえない。

と書いた方が、反対する意見を持つ人にも受け入れられやすいでしょう。このように、自分の意見をよりよく相手に伝えるためには、頭ごなしに反対意見を否定するのではなく、一旦反対意見を飲み込むことも大事になってきます。また、伝えたい意見を肯定するような具体例を入れることによって、より説得力のある文章になります。

確かに、抜き打ち検査という形でもBSEの牛にあたる確率は交通事故に遭う確率よりも低いという意見にも納得できる。交通事故に遭う確率より低いのであれば、全頭検査というのは科学的ではないであろう。しかし、消費者の安心感を取り戻すにはもはや全頭検査しかありえない。熊本県のある調査でも全頭検査を望む消費者が全体の68パーセントを占めているように、全頭検査抜きにして消費者の安心感を取り戻す方法はないのである。

ここでは具体的な数字を出すことによって、自分の意見の説得力が増したのが分かると思います。


まとめると

1序論(問題提起+意見)
2本論(意見の理由→譲歩、具体例)「確かに、例えば」
3結論(意見→序論の意見と同じ内容)

こんな感じです。次からこの講についての例題をやりながら詳しく説明していきます。(了)

はじめに

 僕がそう勝手に呼んでるだけなんですが、小論文には材料の問題と設計の問題があります。材料の問題とは、課題に対する知識やそこから生まれる自分自身の考えと相手に伝達したい事柄のことです。それに対して設計の問題とは、どのような言葉を使ったりどのような文章の構成のしかたをしたりしたらよりよく相手に伝わるかという伝達の方法のことです。
 小論文はこの2つのポイントで成り立っています。材料だけあっても設計図がまともでなければいい小論文はできませんし、反対にいくらいい設計図があっても材料が揃ってなければ同じことです。小論文の勉強を始めるにあたって勘違いしてはいけないのは、あくまでこの2つのポイントが揃って初めて小論文は完成するということです。受験生の中にはどこをどう間違えた指導を受けてきたのか、設計の問題のみを考えている人がいますが、これは大きな間違いです。小論文はあくまでも2つのポイントが揃って小論文です。これは断言しておきます。小論文の参考書や、学校・塾等での指導で「意見がなくても書き方の決まり事に従って書くだけ」「うそでもいいから書きやすい意見を書いていればいい」などとされているのをよく見かけますが、これはあながち間違いではないと言えないこともないですが、根本的に間違っていると言っておきます。志望学部の過去問なり授業内容なりを調べて、求められている知識を把握して身に付けていくことが小論文の勉強の第一歩であると考えておいてください。もし今高校生で、志望学部が理学部ならまず数学の先生をつかまえてアドバイスをもらい、材料がそろった時点で国語の先生のところへ行きましょう。間違っても最初から最後まで国語の先生のところへ行かないように。
 僕は設計担当ですので、ここからの内容は材料がすでにある程度揃っているのを前提にお話していきます。(了)

はじめにのはじめに

 大学受験小論文の書き方を紹介しようかなと思います。とはいいつつ、僕は高校現代文が専門で、小論文は片手間にやってます。なので小論文の書き方といっても大学受験生一般にあてはまるような普遍的なものではありません。少ない経験ですが、そこから感じた小論文の勉強を始めるにあたっての基本の基本を紹介しようと思います。
 先程述べたように、あまり高度なものではないので本当にちょっとした参考程度に考えて頂きたいです。そこはちょっと違う!というところがあるかもしれませんが、ご意見頂けると助かります。(了)