不要な惜しみ

朝ごはん。コーヒーをいれて、きのうデイリーヤマザキで買ったウインナーパンとチーズパンを食べる。パンをあたためてくれた夫が、パンの入っていたビニール袋を、春のパンまつりのシールが貼られたままごみ箱に捨てており、あっ、シール捨てちゃうのね……と一瞬思ったが、べつに集めてなかったし、これからも集めないだろう。不要な惜しみだった。賞品がなんであれ、キャンペーンと知ればとりあえず胸が騒いでしまう。

在宅勤務。うぐうぐ仕事。

昼ごはんは白飯を炊き、ウインナーソテーと目玉焼き、納豆、マルコメのインスタント揚げなす味噌汁、1人で食べるときのインスタント味噌汁はマグカップに入れて飲む。

午後、同僚がイレギュラーなデータの調整に手こずっていて、詰まっているところを一緒にみていく。これまでと違うシステムの挙動をみて判断したことが実は誤解だったらしいとわかった。誤解のまま作業を進めて時間をロスしたと同僚が詫びるので、ぜんぜん大丈夫、そういう挙動があると新たにわかって我々の財産になったよ、もうけたもうけたと励ました。

18時半に夫から退勤連絡があり、こちらの仕事はもうちょいやる、今夜もわかめうどんが食べたい旨を返信。近ごろのわたしにわかめうどんブームが来ているのだ。

19時すぎに退勤ボタンを押す。と同時に夫が帰ってきた。部屋を出て台所にいる夫へおかえりの挨拶をしにいくと、夫はスーパーで買ってきた食材を袋からだして食卓に並べていた。生わかめとかき揚げ天がある。やったぜ。♪わーかめ好き好きー、と歌って喜びを伝える。

体が冷えるので先に風呂に入らせてもらった。あがって、夫も風呂をすませ、どっさり生わかめ・海老かき揚げ・かまぼこの入った豪勢な鍋焼きうどんをハフハフずるずる食べる。生わかめ、うめ〜。

夫と、録画していたドラマ『ユーミンストーリーズ』第2週『冬の終り』(1話15分・全4話)を1話から見ていく。第1週の『青春のリグレット』は想像どおりのユーミンドラマだったので第2週のこれも同程度の期待で見はじめたのだが、1話を見終え「……え?」。2話を見終え「なんだこれ……」、3話を見終え「まじかよ……」、最終話を見終えて「す、す、すげ〜!」と夫婦でテレビの前でひっくりかえった。むちゃくちゃに面白い。

第2週『冬の終り』は、第1週『青春のリグレット』のようにユーミン歌詞世界なドラマではなかった。ユーミンの1曲を小道具にして、ユーミン以外の90年代J-POPもぎゃんぎゃんにかけており(最終話の〆がmc.A・T)、スーパーのパートの女たちの話で、女たちにはそれぞれワンオペ子育てや会社を辞めたうえでの介護や引きこもりの中年息子や高校中退などの過去や現在があり、その彼女たちにとって、なりゆきの一大イベントの小道具となるのがこの『冬の終り』なのである。そして最初に「ユーミン歌詞世界なドラマではなかった」とは書いたが、パートの1人はスーパーの出入り業者と不倫をしていたり、他のパートの1人は中退した高校の同級生が何かを伝えに会おうとしてきたり(ここが『冬の終り』の歌詞世界ではある)、散らばる一片を拾いあげればほのかにユーミン色なのである。哀しくおかしいアクロバチックなドラマであった。原作:柚木麻子、脚本:ねじめ彩木、演出:箱田優子。

すごいドラマを見て興奮のなか眠る。