■
猪狩「昨日突然、質問状が届いたんだ」
神奈川「まだやってたのか相談室」
猪「基本的に年中無休だが、土曜日と日曜日だけはお暇を頂いている」
神「・・・して、内容は?」
『二人の会話を見てて思うのですが、何故いつでもそんなに冷静なんですか?』
猪「こんな感じだ」
神「・・・・誰から?」
猪「『オオガミ』だって」
神「・・・作者だな」
猪「・・・作者だな」
神「自分でしゃべらせておいて何を言ってるんだか」
猪「全くだ」
神「・・・まあ確かに、納得できる側面もなくはない」
猪「・・・どこが?」
神「・・・今、俺ら普通に会話してるけどさ」
猪「うん」
?「$(%#$)##=”$$”??!”$>#”#」
神「確か第三種接近遭遇って言うんだよね、これ」
猪「・・・うん」
猪「図らずも未知との遭遇をやってのけたわけだが」
神「・・・」
?「$”)%$”!#$=%$#*$」
猪「・・・コイツ何いってんの?」
神「さぁ・・・」
猪「やっぱりスペースランゲージ習っておくべきだったな」
神「習えるのか?」
猪「お前の父上様が習得していらっしゃるそうだぞ」
神「・・・ところでだ」
猪「うん」
?「”)#$”!=$”???」
神「これ、話しかけられてるんじゃないのか?」
猪「無視しよう」
神「・・・は?」
猪「無視だよ無視」
神「遠路はるばるやって来た異星からの客人を無視?」
猪「興味ないな」
神「・・・すげぇ」
?「#(%)#=”=$%#=”#??」
猪「それよりもだ」
神「うん」
猪「ハンバーガーが食べたい」
神「・・・ハンバーガーに見えたのか、あの推定宇宙船」
猪「いや、ハンバーガーだろ、あれ」
神「・・・違うと思うぞ」
猪「じゃあ何なんだよ」
神「・・・どら焼き」
猪「ふむ・・・」
神「あの流線型のフォルムは明らかにどら焼きのそれ・・・」
?「$’(#”)”#$)”$?」
二人「うるさい!!!!」
?「・・・・・・」
神「・・・だと思うのだが、どうかな」
猪「ふむ、一理あるな」
神「だろう」
猪「だかお前は重大な見落としをしている」
神「ほう」
猪「それは・・・」
?「$)%#(”)#%#”#%)?」
二人「うるさい!!!!」
?「・・・・・・・」
猪「上と下の中間層、アレが問題だ」
神「あんこを想定していたのだが」
猪「どら焼きのあんこはあのような中間層を形成すると思えない」
神「しかし」
?「"$)#$”#%”#%)$”!#」」
二人「うるさい!!!!」
?「・・・・・・・・」
神「・・・あのようなどら焼きも存在するぞ」
猪「むぅ」
神「確かに、包み込む形のものが多いがな」
猪「しかし、俺でさえ知らないその形のどら焼きを、宇宙人は」
?「#$()%”=#””!%$$=」
二人「うるさい!!!!」
?「・・・・・・・・」
猪「知っていたのかな」
神「それを言うならハンバーガーも宇宙人は」
?「$)%#($(#)$##”)*+」
二人「うるさい!!!!」
?「・・・・・・・」
神「・・・知らないだろ」
猪「うーむ・・・こうは考えられないだろうか」
神「ふむ」
猪「宇宙人は」
?「"#)$(%’&”(”)#”)#$%」
二人「うるさい!!!!」
?「・・・・・・・」
猪「・・・地球を前もって調べて来たのかも知れない、そのときにハンバーガーも知った」
神「宇宙船ができる前にどうやって宇宙人は」
?「”#$)#)*%*”#”!=”」
二人「死ね!!!!」
?「・・・」
神「地球を調べたんだろうな」
猪「・・・直接聞いたほうが早いか」
?「・・・・$##!」
神「・・・」
猪「・・・」
神「・・・行ってしまったな」
猪「ああ」
神「・・・それにしてもなんだったんだろうな」
猪「宇宙人は自転車に乗ってやってくるんじゃなかったんだな」
神「・・・どら焼きだったな」
猪「いや、ハンバーガー」
神「・・・・」
猪「・・・とりあえずマック行こうぜ」
神「・・・ところで、宇宙人なんで帰ったんだろ」
猪「・・・興味ないな」
神「・・・冷静なんじゃなくて興味ないだけなんだよな」
猪「俺はチキンナゲット!」
神「・・・ハンバーガー食えよ」
■
『限りなく透明に近い帝国』
猪狩「本って面白いな」
神奈川「いきなりどうしたんだ、ついに精神病発症か?」
猪「電波発言が酷くなって精神病院通ってるのはお前の親父さんの方だろうが」
神「・・・それは言うな」
猪「まあともかく、最近面白い本を手に入れてな」
神「ふうん」
猪「いわゆる伝記物なのだが、凄く面白い」
神「何の伝記?」
猪「今はもう滅んでしまった国の歴史・・・かな」
神「なんていう国なんだ?」
猪「なんか判明していないらしい」
神「へぇ」
猪「うーん・・・ないなぁ」
神「まあ、無いならないで良いのだが」
猪「いや、しかしこの面白さは是非とも皆に知らせたい」
神「はぁ」
猪「・・・仕方ない、口頭で説明しよう」
神「・・・ぇ?」
猪「何か不満でも?」
神「あ、いや、その、本で読みたいなぁ、って」
猪「無いんだから仕方ない、どうせ暇なんだから付き合えよ」
神「・・・・わかったよ、探しながら話してくれ」
猪「その国ってのはな、現代社会と違った、格段に進んだ文明を持っていたらしいんだ」
神「アトランティスとかムーとかみたいだな」
猪「その進んだ科学の最たるものが、今で言う『ステルス』だった」
神「あの戦闘機とかのやつ?」
猪「そうだけど、こっちのほうが戦闘機より遥かに技術は高いんだ」
神「へぇ」
猪「その国にはステンウルスという都市があって、その都市の防衛機構として開発されたらしい、ちなみに『ステルス』の語源はそれだ」
神「・・・胡散くせー」
猪「そんな国が何故滅びたかというと、ある時、内紛が起こったからなんだ」
神「原因は?」
猪「わからない。とにかく、凄惨だったらしい。ただ、その時既にステルス機構は簡略化されてて、庶民にも手に入る物になっていた」
神「・・・じゃあ、大丈夫だったんじゃね?」
猪「それが問題だったんだ。実際、ステルス機能で被害は防げたんだが、その内紛が終わった後に致命的な問題が発生した」
神「それは・・・?」
猪「自分の家がわからなくなる人が続出して、ホームレスが急増した」
神「・・・なんじゃそりゃ」
猪「行き場を失った群集たちが、暴動を起こしたんだ。『俺たちの家はどこにあるんだ!』って」
神「おもちゃ無くして母親にキレてる子供だ」
猪「そして暴動で当時の国王は処刑されたんだが、ステルス機能で隠れた家は見つからなくて、餓死者が続出、国はますます混乱した」
神「ふうん・・・で、最後どうなったの?」
猪「消えた」
神「・・・は?」
猪「あるとき、突然消えたらしい。島国だったらしいんだが、もう、跡形も残ってない」
神「・・・・」
猪「ま、あらすじはこんなところだな」
神「・・・で、本は見つかったの?」
猪「うーん・・・と、あ、あった。これだよこれ」
神「どれどれ?」
猪「はいこれ」
『限りなく透明に近い帝国』 民明書房刊
神「・・・お前、こんな本どこで手に入れた?」
猪「お前の親父さんがくれたんだよ、他にもいっぱい持ってるらしい」
神「親父・・・」
猪「お前の親父さんてさ、すげー偉大な男だと思うぜ。俺、マジでリスペクトしてる」
神「・・・馬鹿にしてんのかこの電波野郎が」
猪「いや、それお前の親父だから」
神「・・・・だからそれ言うなよ」
■
『アジアン関数ジェネレーション』
猪狩「昨日CD屋に行って、顔見知りの店員と世間話をしたんだが」
神奈川「ほう」
猪「どうやらアジアン関数ジェネレーションというのが巷で話題らしい」
神「・・・・」
猪「通な人々の間では『アジ関』という略語でも通じるそうだ、まさに流行の最先端」
神「・・・おい」
猪「うん?」
神「それは多分『ASIAN KUNG-FU GENERATION』っていうバンドだ、お前聞き間違えたんだろ」
猪「そんな馬鹿な。わしの耳はまだまだ現役じゃぞい」
神「・・・断じて突っ込まないぞ」
猪「大体何なんだその訳わからん英単語群は、直訳してみろい」
神「エキサイトで翻訳してみる」
猪「どうじゃ?」
神「・・・『アジアのカンフー世代』だって」
猪「いつの世代なのか具体的に言ってみろい、べらんめえ」
神「・・・わかったからそのぐちゃぐちゃな前時代的言葉遣いを止めろ」
猪「おk^^」
神「・・・まあ、お前の主張はわかった」
猪「当然だ」
神「・・・じゃあ、その『アジアン関数ジェネレーション』ってのは何なんだよ」
猪「ふむ。まあジェネレーションの意味は生成で合っている」
神「仮にもエキサイト翻訳だからな、単語はあってるだろ」
猪「そうすれば、わからないのは「アジアン関数」ということになるな」
神「そうだな」
猪「・・・ここからは少し難しい話になるのだが」
神「うん」
猪「『アジアン関数』というのは、サワリだけ書くとこうなる」
B=C+J/2+K/3
神「・・・これは何を出してるんだ?」
猪「これはアジアン関数学という数学領域の中核の一部で、アジア全体の自転車の数を出してる」
神「・・・そんなもの出してどうする」
猪「ここから発展させて、例えばアジア経済を支配する裏組織を暴いたりだとか、風水でいう竜脈の乱れが起こす地球滅亡の可能性などを研究できるのだが、難しいから省略する」
神「・・・桶屋がいくら儲かってもビルゲイツにはなれないぞ」
猪「くだらないツッコミで邪魔をするな!」
神「ぐ・・・」
猪「とにかく、これで自転車、つまりBの数が出せる。Jは日本で、Kは韓国だ」
神「Cって中国だろ?」
猪「ご名答」
神「・・・なんで割り算しないの?」
猪「あんだけいっぱい自転車走ってるんだから、きっと国民全員持ってるんだろうって」
神「・・・今何か学者の酷い偏見を見た」
猪「まあ、アジアン関数っていうのはそういうような学問だ」
神「つか、アジアなのに三つしか国なくね?」
猪「あとは知らん」
神「・・・酷すぎる」
猪「という訳で、新しいアジアン関数を生成するということ、それが『アジアン関数ジェネレーション』の意味だ」
神「そのまんまじゃないか?」
猪「つまり、今アジアン関数を研究し、新しい関数を生み出すことがブームなのだ」
神「・・・」
猪「これでわかったろう。お前も今在る知識とか常識だけで判断するのではなく、きちんと調べて行動しろ。英語がわからないならエキサイト翻訳を使えばいいしな」
神「・・・わかったよ。」
神「昨日あのあと久方ぶりにCD屋に行って、店員にお勧めのバンドを聞いたのさ」
猪「ほう」
神「で、よくわからなかったからエキサイト翻訳で調べたんだ」
猪「何て出たんだ?」
神「・・・『鶏肉の隆起』」
猪「知るか」
■
『滅亡イズム最後の継承者』
猪狩「・・・今まで隠していたんだが、お前にいわなきゃいけないことがある」
神奈川「いきなりシリアスに言われても困るのだが・・・」
猪「実は俺さ・・・」
神「・・・」
猪「滅亡イズムの継承者なんだよ、しかもおそらく最後の」
神「・・・は?」
猪「いや、だから滅亡イズム。ありとあらゆる観点から世界の滅亡の可能性を考察し、それを未然に阻止する人物を滅亡者と呼び、その考え方を滅亡イズムというのさ」
神「・・・」
猪「・・・お前信じてないだろ?」
神「当たり前だ」
猪「フッ・・・破滅への輪舞曲は意外とそこら辺に転がってるもんなんだぜ」
神「いつものことながら想像を絶する意味のわからなさだ、破滅への輪舞曲って違うし」
猪「この世界はな、例えば『バルス!』と大声で叫んだだけで崩れる欠陥住宅のような、危うい世界なのだ」
神「お前の頭が危ういわ」
猪「うるさいな、お前はもし明日世界が滅びるとしても淡々とサイゼリヤのミラノ風ドリア(¥290)を食べ続けることが出来るのか!?」
神「・・・・」
猪「出来ないだろ?つまりはそういうことだ」
神「・・・どういうことなんだよ、つか意味わかんねえし」
猪「・・・じゃあ説明するよ、どうやって世界が滅びるか」
神「・・・まあどうせすることないし、いいか」
猪「滅亡者にも聖書みたいなものがあってな、そこには幾多の資料が書かれてる。検証の最初に参考にしたのがそれだ」
神「へぇ」
猪「こういう検証はよく知られた所からアプローチするのが定石だ。俺はその聖書の中のある一つの記述を元にシミュレーションを始めた」
神「どんなことが書いてあったんだ?」
猪「『空から恐怖の大王が降ってくる』って奴さ」
神「・・・」
猪「コレなら『恐怖の大王』が何なのかわかれば全て解明するだろ?」
神「・・・で、その恐怖の大王は何だと思うわけ?」
猪「フ・・・何だと思う?」
神「・・・・隕石とか?」
猪「違うな」
神「じゃあ何だよ」
猪「ロボットさ」
神「はぁ」
猪「空からロボットが降ってくる、それが恐怖の大王だ」
神「何で空からロボットが降ってくんだよ、ありえねえ」
猪「昔、工事業者の怠慢が原因で王宮が崩壊し、それが原因で滅びた古代文明があってな、その名残さ」
神「・・・どれだけ適当な工事をしたんだか」
猪「まあとにかく、それが恐怖の大王なんだよ」
神「・・・具体的にはどうやって滅びるんだ?」
猪「花を植えまくる」
神「・・・」
猪「おびただしい量のロボットが、人間の理解の範疇を超えた規模の花植え作戦を実行し、井の頭公園、首相官邸、グリニッジ天文台、リンゴスターなどの世界中のありとあらゆる場所を花で埋め尽くす」
神「・・・今何か人が混じってた気がする」
猪「そして止めようとしたものは全て頭にセイタカアワダチソウを植え付けられ死ぬ」
神「それは何か地味に怖いな」
猪「どうだ、こんな感じだ」
神「でも、花を植えられただけで人が死ぬとは思えないが」
猪「最終的に全員花粉症で死ぬ予定さ」
神「・・・・ジェノサイドが斬新すぎる」
神「でだ」
猪「うん」
神「結局いつ滅びる予定なの?」
猪「まあ落ち着け。今までの話を全て総合すると、つまり人類は・・・」
神「・・・」
猪「1999年8月に滅亡するってことなんだよ!!!!!」
神「・・・・・」
猪「・・・・・」
神「・・・・・」
猪「・・・お前、このセリフを聞いたら「な、なんだってーー!!?」と答えなければならないというのはこの滅亡者の聖書にも暗に示されていることだぞ、ちゃんと言えよ」
神「・・・恐怖の大王あたりから薄々感づいてはいたが、やはりお前は重大な事を見落としている」
猪「何をだ」
神「・・・今は2005年で、世紀末ブームはとっくにすぎてる」
猪「・・・・」
神「・・・・」
猪「・・・な、なんだってー」
神「お前バカだろ」
■
『今のトレンドは原宿風味』
猪狩「いつまでもひきこもってちゃいけないと思うわけさ」
神奈川「・・・まあ確かにな」
猪「どうすればこの漂流地獄から脱出できるだろうな」
神「外界との接触をとるべきだと思うぞ」
猪「・・・具体的には?」
神「そうだな・・・たまには流行に乗ってみるというのはどうだ」
猪「よし、じゃあ流行を調べてくるわ、独自のルートを使って」
神「・・・何だか不安だが、まあ頼む」
猪「今の流行がわかったぞ」
神「グッジョブだ」
猪「今から説明する」
神「うん」
猪「今はどうやら何でもかんでも原宿風にアレンジするのが流行中らしい」
神「ふむ・・・具体的にはどんなのだ?」
猪「だから原宿風にアレンジするんだって、いろんなものをさ。そんだけ」
神「意味がわからねえよ。原宿風ってどういう感じなんだよ」
猪「俺が色々と作ったり考えたりしてきた」
神「・・・いやな予感がするが、とりあえず試すか」
猪「ちょっとまってくれ、準備をする」
猪「さて、今から発表する」
神「やんややんや」
猪「まずは定番、原宿風殺人鬼」 「マイアヒーマイアフー」
神「・・・どこが定番だよ」 「マイアヒーマイアハー」
猪「肩に蝶の形のあざがある」 「マイアヒーマイアフー」
神「どっちかっつたら神戸だし」 「マイアヒーマイアハー」
猪「次に原宿風決め台詞」 「マイアヒーマイアフー」
神「なぜわざわざ原宿風にする」 「マイアヒーマイアハー」
猪「『そうはいかんざき!』」 「マイアヒーマイアフー」
神「原宿でそんなこと言ってたら確実に狩られるぞ」 「マイアヒーマイアハー」
猪「おやじっちにだけはならない仕様の原宿風たまごっち」 「マイアヒーマイアフー」
神「・・・それはなんとなく納得した」 「マイアヒーマイアハー」
猪「んーと、次はどれにしようかなー・・・」 「マイアヒーマイアフー」
神「・・・ちょっといいか」 「マイアヒーマイアハー」
猪「何だ?今次の原宿風を探すのに忙しいんだけど」 「マイアヒーマイアフー」
神「・・・このさっきからうるせえのは何なんだよ」 「マイアヒーマイアハー」
猪「ああコレ?原宿風の般若心経。今大流行してるんだぜ」 「マイアヒーマイアフー」
神「・・・・」 「マイアヒーマイアハー」
猪「多分この延々と続くミニマルな原宿風remixが受けたんだろうな、若い人たちに。なんとなくテクノっぽい雰囲気もかもし出してるし、それに何よりリズムがいい。まさに今の原宿風の代表格に数えられるな」 「マイアヒーマイアフー」
神「・・・とにかく消せ」 「マイアヒーマイアハー」
猪「・・・わかった」 「マイアヒーマイアフー」
猪「・・・んでコレが原宿風のテレビリモコンなんだけど、コレがまた凄くてだな・・・」
神「・・・なあ、聞きたいことがあるんだけどさ」
猪「うん」
神「さっきから3時間ぐらい延々とやってるけどさ」
猪「うん」
神「お前原宿行った事あるの?」
猪「いや」
神「・・・・」
猪「・・・・」
神「・・・・」
猪「・・・ゲームでもする?最近買ったんだけど」
神「何買ったの?」
猪「ポートピア連続殺人事件」
神「・・・古すぎるよ」
■
猪狩「突然だが、相談室を開設した」
神奈川「・・・」
猪「送られてきた手紙の質問に対して、我々があれこれとしゃべるだけというという素晴らしい暇つぶし組織だ」
神「それ相談室じゃねえし、手紙なんか届かねえよ」
猪「実は既に一通届いてるのだ」
神「ほう、それは凄い」
猪「読んでみる」
『バファリンの半分は優しさで出来ているそうですが、もう半分は何なのですか?教えてください』
神「・・・これネタ振りじゃね?」
猪「えーと、日本国にお住まいの猪狩さんからのお手紙」
神「・・・お前かよ」
猪「投稿者が誰にせよ、我々はこの疑問について真摯に取り組むべきだと思うのだ」
神「いや、これ明らかにネタ振り・・・」
猪「うるさいな!ネタ振りだろうと何だろうと真面目にやれよ!相談室なんだから!」
神「・・・」
猪「わかったら返事!」
神「・・・わかった」
猪「でだ、バファリンの残り半分の成分についてだが」
神「うん」
猪「まず注目すべきは、既に『優しさ』が実体化されて薬品に混入していることだ」
神「・・・」
猪「そして、ご存知の通り『優しさ』には実体が無い。つまるところ、この会社はそういう実体の無いものを結晶化するような技術を持っているということだ」
神「なるほどな」
猪「故に、他の『悲しさ』とか『虚無感』とかが入っててもおかしくない」
神「ふうん」
猪「お前はどう思う?何が入っていると思うわけ?」
神「うーん・・・『優しさ』が入っているわけだから『厳しさ』も入ってていいだろ。大体20%くらいか。後は多分悲しみとか喜びとか、そんなもんじゃないのか?」
猪「ふっ・・・甘いな」
神「・・・そんなニヒルなセリフを吐かれても困る訳だが」
猪「言っていなかったが、バファリンの残り半分の成分はすべて同じだ。それは・・・」
神「(ゴクリ・・・)」
猪「味の素だ」
神「前振りを完全に潰してきたな」
猪「味の素には何か特別な力が宿っているに違いない」
神「適当にしゃべれば誤魔化せると思ってないか?」
猪「何を言う、味の素には力が宿っているのは事実だ。お払いにも使われているしな」
神「それは世間一般では食塩と呼ぶのだ、いわゆる塩化ナトリウム」
猪「・・・お前こそ誤魔化そうとしてないか?」
神「・・・は?」
猪「いきなり塩化とか難しい言葉を羅列し始めてさ、そうやって混乱させてうやむやにしようって魂胆だろ」
神「んなわけねーだろ」
猪「じゃあお前証明しろよ、今真面目に取り組んでるって証拠をよ」
神「わかったよ。俺が責任持ってバファリンの成分を解明してきてやるよ」
神「バファリンの成分がわかったぞ」
猪「ほう」
神「アセチルサリチル酸が330mg、合成ヒドロタルサイトが150mgだそうだ。ちなみに優しさは入っていない。・・・どうだ、真面目に取り組んでるだろ?」
猪「・・・真面目すぎてつまんねーよ」
神「・・・意味わかんねーよお前」