シネサルの「映画のブログ」

星(★/☆)の採点は、★4つで満点 ☆は0.5 ★★★★人類の宝/★★★☆必見/★★★オススメ/★★☆及第点/★★中間レベル/★☆パスしてよし/★ひどい/☆この世から消えろ

『the Memory Lane』 ★★

2022年、25分、カラー、1:1.78、自主映画
監督・脚本・編集:宇治田 峻
出演:先間征哉、宇治田 優、宇治田 峻、清水啓吾、小島裕輝、他
PFFアワード2022 審査員特別賞

2024/03/24(日)17:00鑑賞、2024/03/24(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

 

【あらすじ】

新キャンパスへの移転に伴って大学のキャンパスが閉鎖された事を知ったスケボー好きの学生3人は、

中に忍び込んだり、近くの路上でスケボーを滑ったり、撮影した写真を貼ったりして、

思い出の地に別れを告げた。

 

【感想】

実際に閉鎖された、大阪大学の間谷キャンパスが舞台。

 

1980年代だと、
ニューウェーヴ系のミュージシャンとかが数曲分のPVを作って、
全体的には「ストーリーが曖昧なミニムービー」みたいな作品が作られたりしたが、
この作品もそれに近い雰囲気で、
音楽が流れて、それにPVのような映像が加わる。

 

そんな作品は、当時ならプロがフィルムで撮影したり、
間もなく、家庭用ビデオで誰でも手軽に撮影できるようになったが、
2021年ごろだと、さらにスマホでも撮影出来て、
アプリなどでエフェクトもかけらるようになった。

 

機材は進歩しても、出来はセンスによるところが大きいが、
この作品は、過去のプロ並みの出来にはなっていた。

『アスタースクールデイズ』 ★★

2020年、38分、カラー、1:2.35、自主映画
監督&脚本&撮影&編集:稲田百音
出演:杉山 輝、稲田美柚、竹内史生、中村 空、石河 起、他
PFFアワード2020 観客賞

2023/12/24(日)16:40鑑賞、2023/12/24(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

 

【あらすじ】

花々が好きで持ち歩いている男子が高校に転校してきて、
どんな人にも、その人に合う花言葉の花をプレゼントしていくことで、
自分以外のことに無関心だったり、
他者に対してマウントを取ることに夢中な人達によって、
殺伐とした雰囲気だった高校が、
和気あいあいのホンワカした雰囲気に変わる。

 

【感想】

1人のトリックスターによって、

周囲の人間の考え方や行動が変わるタイプのストーリー。

 

構内の雰囲気とかは、テンポよく軽快に描かれていた。

 

「花をプレゼントして事態を改善する」の発想は、

SEALDsの

「隣国が(日本に)攻めてくるなら、彼らと酒を飲み交わし、もっと仲良くなってやります。僕自身が抑止力。」

の意味の発言を連想してしまったが、

あっちは本気で、こっちはファンタジーだから、

実は全然違う。

夜の帳につつまれて ★☆

2021年、70分、カラー、1:1.78
監督&脚本&撮影&編集:松林悠依
出演:林原 翔、川合結人、野村 考、千代反田美香、秋山大地、他
2024/01/15(月)22:00鑑賞、2024/01/14(日)15:00~、TOKYO-MX2放映
PFFアワード2021

 

【あらすじ】

仕事がおぼつかずバイトをクビになった青年が、
シングルマザーから虐待と育児放棄をされている少年と知り合い、
自分も育児放棄されていたことから、
少年の母親の車を盗んで2人で当てのない旅に出るが、
誘拐犯として名前がニュースで報じられる。

 

【感想】

未来への明るい展望が何もなかったり、
親に虐待されている子供などの心が傷ついた人間たちが、
寄り添い合ったり、周りの人間が救いの手を差し伸べたりする「行為」を描きたかったように思える。

 

でも、
「子供への一時的な救いの為に、誘拐犯にされる可能性が高い連れ回しをする」
「誘拐犯として名前を全国ニュースで流されているのに、警察が迫っている感じがない」
など、状況や登場人物の言動においてリアリティのない細部が多数存在し、
作り物っぽい&嘘っぽい物語になったことがかなり致命的。

 

フィクションを作るには「上手な嘘つき」になる必要があるということか?

『円の網』 ★☆

タイトルの読み「えんのあみ」

2017年、日本、自主映画、48分、カラー、1:1.78

監督&脚本:本村花菜

出演:鈴木睦海、竹本みき、風呂本諒亮、昇 良樹、大木康

2023/12/24(日)16:40鑑賞、2023/12/24(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

PFFアワード2017入選作品

 

【あらすじ】

香澄(竹本)は美術教師の矢崎(風呂本)と付き合っているが、
無邪気な性格の妹優子(鈴木)は、「欲しいものは何でも奪って手に入れる」と思っていて、
矢崎と一緒に居る事が多くなり、、
疎外感を感じた香澄が他の男と食事しているのを見た矢崎は、
香澄を捨てて優子を選ぶ。

 

しかし、優子とは上手くいかず、香澄と復縁しようとするが、
香澄は矢崎も優子も共に関係を断つことを決めていた。

 

【感想】

特徴的なのは、人物を望遠レンズで超アップで撮影していて、
人物が動くとフレームアウトしたり焦点が合わなくなったりするので、
人物の様子が判りにくい。

 

そんなボヤっとした映像と合わせているかのように、
ストーリーもボヤっとして判りにくい。

 

でも、「好きな人に捨てられるかも」と
香澄や矢崎が考えることで緊張感が増す設定なのだから、

ボヤっとした描き方でなく、

心情が解るようにしっかりした描き方の方が良かったのでは?

 

矢崎の存在感が全くないので、

作り手が興味があるのは男ではなく、

妹のような身勝手な女の方だと思う。

『わたの原』 ★★

2018年、日本、自主映画、51分、カラー、1:1.78

監督&脚本&撮影&編集:藤原芽生

出演:村田奈津樹、大田 晃、安野由紀子、藤原亜美

2023/11/26(日)17:15、鑑賞、2023/11/26(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

PFFアワード2018入選作品

 

【あらすじ】

 

OLのオガワケイが、祖父が住んでいた富士山の近くの空き家に来て、
長期休暇を取って、草刈りなどをしながら住むことにした。

 

祖父のアマチュア無線機を使って、自宅の監視カメラの映像を傍受しながら、
職場の同僚の田沼博文との事を回想した。

 

田沼は「変態っぽいプレイ」が好きで、
他の同僚女性とも関係を結んだと思われ、
21歳のケイにも接触してきたことが社内でバレて問題になったことがきっかけで
ケイは長期休暇を取ることになったらしいが、
ケイは田沼のことが嫌いでもなく、気持ちがまとまってないらしい。

 

久しぶりに田沼からの電話を受けて「会いたい」と言われたケイは、
家を出る事にした。

 

【感想】

 

空き家で1人暮らしするシーンの方が、回想シーンより長いと感じたが、
1人暮らしにおいてはほとんど何も起きず、
代わりに様々な事が起きたはずの回想シーンにおいては、
その出来事をはっきり描かないので、具体的な事はよく判らないという、
なんだか変な作品。

 

さらには、何かを意味しているのか、解らないシーンも多い。

 

アマチュア無線機のチューニングを合わせることで、
様々な監視カメラの映像を選んで傍受できるとか。

 

突然、念力で曲げたようなスプーンが降ってくるとか。

 

脳波を測定するような装置「YUME」を頭に付けて、ブラウン管に(ケイの)映像を写したりとか。

 

傘をさしてケイの家に来た田沼が、
傘をケイ手渡して、雨の中を帰っていったりとか。

 

2人が一緒に帰った時は、月が出ていて雨も降っていないのに傘をさしていたりとか。

 

不思議なシーンが多くて気になる。

 

映画の紹介文では
「会社での人間関係に疲れ切った現代女性の心の再生物語」
と書かれているが、
それはウソでしょ?

 

「謎展開映画」にしか見えない。

 

これを普通の映画として観てしまうと
「もったいつけた表現で、本質を突いていない映画」に見えてしまうから、
もっとはっきりデヴィッド・リンチ作品っぽくした方が、

面白さが解りやすくなったのでは?

 

「わたの原」とは海原のことだけど、

海は出てこないし、その意味もよく解らない。

『風船』 ★★☆

2017年、日本、自主映画、27分、カラー、1:1.78

監督&脚本&撮影&編集&録音:中尾広道

2023/11/26(日)16:30鑑賞、2023/11/26(日)15:00~放映、TOKYO MX2、「~映画監督への登竜門~ PFFアワード・セレクション」

PFFアワード2017入選作品

 

【あらすじ】


男が自宅のベランダでフウセンカズラの苗やメダカを育て、
それらを顕微鏡で観察しては、
実が風船になって空を飛んだり、
メダカがたぬきが経営するうどん屋に行ったりする妄想をし、
自分も車でたぬきの形をしたうどん屋に行ったり、
風船まつりを楽しんだり(する妄想)をする。

 

フウセンカズラが枯れた後も、

収穫した種を育てる来シーズンが待っている。

 

【感想】

 

妄想が無限に広がっていく感覚が楽しい。

 

顕微鏡のレンズを交換することによって
「白黒」「総天然色」「フルサイズ」
と見え方が変わる事から、
「顕微鏡観察」は「映画製作」を意味していると思った。

 

自然に存在している物が映画製作に繋がって反映し、
映画を作ることで自分も新しく変わっていくということなのではないだろうか?

『ヒロシマから遠く離れて』 ★☆

1972年、日本、自主映画、2分、モノクロ、1:1.33、8mm

監督&企画:大森一樹

出演:森崎光一、園田靖夫、浜田晋作、塔本晋也、他

2023/09/10(日)13:00~

第45回ぴあフィルムフェスティバル2023、イカすぜ!70~80年代、映画監督大森一樹再発見、自主映画時代①8mm 6作品一挙上映

ゲスト:緒方明モルモット吉田

国立映画アーカイブ小ホール

 

【あらすじ】

被爆した広島での「黒い雨」を思わせるような黒いインキのしずくを、

重ねたティッシュペーパーの上に落とし、

インクが沁み込んだティッシュを次々とめくっていく。

 

【感想】

タイトルは、ベトナム戦争ドキュメンタリー映画であである

ベトナムから遠く離れて』(1967)のモジり。

 

アートっぽい、イメージ中心の作品。