法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

インターネットの一部では、名誉棄損裁判で勝訴した北村紗枝氏が、周囲が誤読するよう誘導して騙していることにされている

 編集者で小説家の鳥山仁氏がツイートしているように、漫画『葬送のフリーレン』における「魔族」の設定になぞらえられることも多いようだ。


宇崎ちゃん騒動時のつぶやきを読んだ段階で思っていたんだが、北村紗衣は文才があるんだよな。丁寧に読むと「何を指示しているのか分からないが、飛ばし読みすると高確率で誤読する文章」を意図的に書いてるわけでしょ。みんなが彼女に、フリーレンの魔物を想起するのも無理はないと思うよ。

「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏も北村氏がミスリードしていると主張して、「イチ ”国家ビジョンに基づく労働力采配(国家財政)を我々民衆の下に”
@a334」氏の「魔族」あつかいするリプライに最終的に賛同している。


しかし北村紗衣氏、慢性的にああいうミスリードの印象操作ばかりしていて、自分の周りには自分に騙されてる馬鹿しかいないわけで、どんな人間観なんだろう。信頼や誠実といったものを見下し、人間のことを、詐術でコントロールする対象とか、暴力で屈服させる対象としか思ってないのかな


魔族ですなやはり…


あんまり悪魔化するのもよくないでしょうがけど、非人間的な邪悪さ、感じてしまいますね

 現実を虚構になぞらえる自由はあるが、それを個人の論評にもちいる時は肯定的な内容でも慎重さが必要だろう。誹謗中傷の被害者への批判に虚構をつかうのであればなおさらだ。


 しかしまだ一審判決とはいえ、裁判という場所で勝利したのは北村氏であって、雁琳氏ではない。その内容もほとんど一方的なものだった。
雁琳氏に誹謗中傷されたとして北村紗衣氏がうったえた名誉棄損裁判で、比較的に高額の賠償が認められたとのこと - 法華狼の日記
 また、北村氏を呉座勇一氏が誹謗中傷したことをきっかけとしたオープンレター「女性差別的な文化を脱するために」も裁判で争われたが、呉座氏側が全面的にひきさがる和解で終わった。
オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」をめぐる裁判で、オープンレターを発表した側の勝利で和解したという発表 - 法華狼の日記
 第三者としては、雁琳氏や呉座氏こそが周囲にあおられて正当性のない裁判をはじめて、順当に負けたようにしか見えない。それとも裁判所も北村氏に騙されている馬鹿だと思っているのだろうか。
 もちろん判決に問題があると思えば批判する自由はある。勝敗そのものには疑問がなくても細部の判断や賠償金の多寡などで不当性を見いだせることもあるだろう。
 


 当時の状況を完全に知っているわけではないが、雁琳氏のたびかさなる誹謗中傷

『GODZILLA 怪獣惑星』

 さまざまな怪獣が地球に出現して文明を破壊したことで、一部の人類は異星人と協力して宇宙へ脱出した。しかし人々は過酷な宇宙移民を断念していく。そして主人公ハルオの怪獣ゴジラへの復讐心に扇動されるように、人々は脱出から数万年がすぎた地球へと帰還するが……


 映画史に残る怪獣シリーズを初めて3DCGアニメ化した2017年の日本映画。虚淵玄が脚本を担当し、ポリゴン・ピクチュアズが制作した三部作の一作目にあたる。

 あまり三部作の良い評価を聞いていなかったが、とりあえず単体で見たところ、意外と悪い作品ではないと思った。実写の『ゴジラ』シリーズにはもっとダメな作品が多いし、この作品はアニメでしか出せない見どころがきちんとある。


 まず映像はかなり簡素で低予算に見える。Netflixの豊かな予算がゴジラ版権の獲得につかわれて制作費が残らなかったとも聞く。事実として物語の大半が無機質な宇宙船内か植物に覆われた地表で終始して、登場人物の誰も彼もが統一された装飾の少ない服装で、トーゥンシェードの3DCGアニメらしい省力は目立つ。しかし世界各地の都市がさまざまな怪獣に襲われた歴史を静止画で見せるタイトルバックや、主人公が地球から逃げる回想で人間の建造物がゴジラに襲撃されるシチュエーションのような序盤は順当に楽しめた。
 また、宇宙船内で地球へ帰還してゴジラへの反撃を強硬に主張する主人公が軋轢をひきおこす前半はどうでもいいとして、そこで主人公が考えたゴジラ対策と、実際にもどった地球の異変でSFアニメとしての面白味が出てきている。その設定はG細胞が怪獣を生み出すVSシリーズの延長であり、それが地球の生態系すべてを変化させていくところは『ガメラ2 レギオン襲来』の発展形のようでもある。主人公の暴走じみた復讐心も、物語をすすめるために発揮され、葛藤でアクションを停滞させない良さがある。
 地球の変容した都市部は静止画で表現された廃墟くらいしか描写されないが、それが長い年月をへても形状をたもっているSF的な説明は面白かったし、現在とは異なる植生でおおわれた森林は昭和末期の何もない山や島でばかり怪獣があばれるよりは見ごたえがある。どこまでもつづく森林のなかに登場するゴジラも、浮遊機械に乗って戦おうとする人類を同じ画面に入れて対比することで巨大感が充分にあった。


 そして「大どんでん返し」*1の結末は、むしろシリーズのよくあるパターンであり、それを前半からていねいに伏線をはって納得させてくれたという印象が強い。
 難点として、直前のクライマックスらしいもりあげに台無し感を追加してしまったところは好みがわかれそうだし、死んだ怪獣の死骸と同一画面に入れたりして巨大感の違いを表現する描写もほしかったところはある。
 それでも、宇宙船で脱出してウラシマ効果で約2万年の時間をへた結果として発生した驚きを鮮烈な絵で見せてくれた。

*1:オーディオコメンタリーの該当場面より。

雁琳氏に誹謗中傷されたとして北村紗衣氏がうったえた名誉棄損裁判で、比較的に高額の賠償が認められたとのこと

 まだ地裁の段階だが、判決を読んだかぎりでは大多数の争点で原告側の主張が認められており、素人目にも全面的にひっくりかえるとは思えない*1
北村教授への誹謗中傷について、東京地裁が加害者に220万円の高額賠償判決を命じました - 武蔵小杉合同法律事務所
 また北村氏*2が上記ページによせたコメントで言及しているように、雁琳氏の寄付金募集が誹謗中傷をあおるものと裁判で認められたことも重要だろう。

現在の日本では、ネットで他人に対して誹謗中傷や嫌がらせを行い、被害者から訴訟を起こされるとお金を募って多額の寄付金を集めるという行為が横行し、もはや一種のビジネスモデルと言えるような状態になっています。

比較的高額な賠償金や、寄付金集め行為の問題性に言及した判決文が先例となることで、他のもっとひどい中傷を受けている方々が訴訟を有利に進めることができるようになるかもしれません。少しでも中傷を受けて苦しんでいる他の方々の助けになれば幸いです。

 もちろん名誉棄損裁判の負担がおおきいことから、原告も被告も寄付金をつのることはある。
 たとえば天皇玄孫の竹田恒泰氏に名誉棄損でうったえられた戦史研究者の山崎雅弘氏も、一審から勝訴をかさねるくらい正当な言論の範囲で竹田氏を批判していたわけだが、裁判をつづけるためには寄付金を必要としていた。
天皇玄孫の竹田恒泰氏、戦史研究者の山崎雅弘氏を名誉棄損でうったえて、「負け戦」を経験する - 法華狼の日記
 しかし、そのような寄付金募集で加害へ同調させるような運用をしてはならないという司法の判断がくだされたわけだ。誹謗中傷してうったえられたことで注目をあつめて誹謗中傷をかさねてマネタイズしていくような問題への足止めになってくれるかもしれない。

*1:むしろ「曲学阿世」という表現は一般人がわからないとして名誉棄損が認められなかった部分に、無学な一般人のひとりとして違和感がある。

*2:はてなアカウントはid:saebou

入管問題をテーマにしたNHKドラマ『やさしい猫』に対して、政治家が圧力をかけようとしていた問題をふりかえっておく

 吉川英治文学賞を受けた同名の小説を原作とする『やさしい猫』は2023年6月から放映され、9月25日に再放送された。
www.nhk.jp
 これに対して、元経産相で元自民党菅原一秀氏がツイッターで問題視していた。


NHK土曜ドラマ「やさしい猫」は不法滞在を認める、もしくは助長するような内容にもみえる。内容は表現の自由だが、これって、受信料もらってつくる番組か?!原作者は赤旗の一面にも出ているし。

 もちろんツイートだけなら規制そのものではないし、「内容は表現の自由」という留保もつけているが、その内容は排外主義に同調するような不当な批判といわざるをえない。
 上記ツイートは「deadletter@deadletterjp」氏のツイートで知ったが、そこで指摘されていたように菅原氏は2021年から公民権停止中の人物である。


有権者を買収して公民権が停止されている輩が戯言をほざいている。ドラマの進行は現状スリランカ人の主人公が職員に「同行」を求められるまでであって、不法滞在を認めるだの助長するだのといったシーンは一切出てこない。本編を見ずに難癖をつけている「表現規制派」だな。https://bit.ly/3Q0kGc3

 大臣だったとはいえ議員辞職して離党したなら、客観的には政治家ではないかもしれない。しかし本人は引退を表明したわけではなく、現在も政治活動をつづけている。


浪人中にブレずに支援してくださる皆さんに心から感謝🙇‍♂️
大泉地区の若手後援会「一泉会」の幹部会で近況報告。あと2ヶ月で再挑戦が可能となることや、最近の街中の反響等について報告。

 現在は無派閥とはいえツイッターの名前に自民党の名前をいれているし、菅原氏の公式サイト*1から自民党東京都連サイトへリンクもしていることから、自民党と完全に縁がきれたわけでもなさそうだ。


 また、政治関係者としてはジャーナリストの有本香氏もドラマに対して「NHKをぶっ壊してほしかった」とツイートしていた。この直後に日本保守党をたちあげている。


「彼が外国人だったから」じゃなく、不法滞在者だったからでしょう。旧NHK党には、NHKをぶっ壊してほしかったね。

 ちなみに有本氏は「あいちトリエンナーレ2019」を補助金詐欺あつかいして津田大介氏からうったえられ、上記ツイートと同時期に敗訴している。
有本香氏に30万円賠償命令 津田大介氏巡る記事 - 産経ニュース

判決によると、令和元年10月、従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」の出展などを巡り、補助金詐欺の疑いがあるとの有本氏のコラム記事が夕刊紙に掲載され、有本氏はこれに関連する投稿をした。沢田裁判長は、有本氏が「何ら調査せず、客観的な根拠や裏付けがないのに補助金詐欺の疑いと断じた。真実と認められない」と指摘した。


 池田信夫氏がたちあげたWEB言論プラットフォーム「アゴラ」にも、雑多な批判ツイートをひくかたちで編集部による批判記事が掲載されていた。
NHKがドラマ「やさしい猫」で不法滞在を指南して批判殺到 | アゴラ 言論プラットフォーム

よくも悪くも同質的な日本では、移民問題安全保障の一環です。「多文化の共生」などというきれいごとで無原則に移民を増やすとヨーロッパのようになり、元にはもどらないのです。

『わんだふるぷりきゅあ!』第11話 山に潜む、巨大生物!?

 見晴山に巨大生物が出るという噂をクラスメイトが話していた。遠足で行くような身近な山に巨大生物がいるとは思いづらいことや、鳴き声の特徴から正体はガルガルと推測して、犬飼いろはは兎山悟とともに山へ向かうが……


 千葉美鈴脚本、篠原花奈演出。強力なガルガルとの戦闘でカメラワークをつけてワンカットで動きまわる描写から思ったとおり原画に板岡錦がいたが、作画監督も担当していた。
 物語は作品フォーマットをそのまま踏襲。ガルガルの特徴から元になったキラリンアニマルを推理して、あつめた情報からガルガルの居場所も見つける。そして悟の動物知識を利用してガルガルに対処。
 手がかりを教えてもらう登山客をサブレギュラーのマダムトリオにしたり、先に謎めいた少女を出してから伏線をとおして別のプリキュアの存在を示唆したり、作品設定を無駄なくつかいつつ構成を工夫して最大限に意外性と納得感を出そうとしている。
 必殺技で決着しないところを除いては、シリーズで定番の描写を組みあわせただけの作品ではあるが、それゆえ安定した内容で安心して見ていられた。