法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

垢のようなものが浮いていて不愉快だから日本人が作った温泉じゃない感じという謎レビュー

 id:SIVAPRODのツイートでそのようなレビューの存在を知ったが、たしかにカジュアルな排外主義は日常でも耳にすることがある。


白浜崎の湯のGoogleレビュー。こういうカジュアルなゼノフォビア、オンラインでもオフラインでもあちこちで見させられる。ウンザリだ

 しかしツイートで批判されているゼノフォビアに比べればささいな問題だが、浮かんでいる垢みたいなものって湯の花では……

 白浜には行ったことがないが、検索すると湯の花がある温泉が複数あるようで、商品化もされている。
三木屋

南紀白浜」。
三木屋は創業55年、白浜温泉から出た100%天然の湯の花を皆様にお届けします。

 もちろん崎の湯でも湯の花があり、やはり商品として販売されているようだ。差別は目をくもらせる。
崎の湯の現地レポート/南紀白浜への旅行

入り口では湯の花が販売されていました。湯の花とは、温泉の湧水口で採取されたもので、白い粉末状のものが販売されています。ご自宅のお風呂に溶かし入浴すると、温泉に入浴した気分を味わえます。

インターネットの一部では、執拗に誹謗中傷された被害者の北村紗衣氏が、なぜか加害者の雁琳氏に執着していることになっている

 著名人としては、札幌国際大学の教授を定年退職した大月隆寛*1が、下記のようにツイートしていた。


そもそもなんでわざわざ雁林氏
「だけ」を訴えたのか、未だにその理由が謎なんだが、うんこ呼ばわりにムカついたってだけでなく、あれか、たかだか私大非常勤講師の分際で東大教授のアテクシをうんこ呼ばわりしやがって~、というつよつよ差別意識からのマウントが実は本質だったのか?

 そもそも裁判で争点となった誹謗中傷は複数あり*2、「うんこ」という表現がつかわれているのはひとつにすぎない。


 先日のエントリ*3でとりあげた「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏も、誹謗中傷を継続する相手に抗議することを執着とみなして、手間ひまかけて潰しに行っていると不思議がっていた。


北村紗衣氏がなぜあれほど雁琳氏に執着したのかもよく分からないな


勝てると踏んだというのはあるでしょうけど、別に放置しても特に困らないでしょうし、手間暇かけて潰しに行くのがよく分からんです

 まだ一審とはいえ比較的に高額の賠償金が認められるような被害をかけられたと裁判所が判断しているのに、根拠なく放置しても特に困らないと根拠なく考える理由こそわからない。
 ここで興味深いのが「yoshitoshi nakajima@yoshitoshi20154」氏の経験談だ。本人は言葉の応酬の問題にしたいようだが、根拠を出せない主張をしてしまったと語るに落ちている。


それは、北村さんの性格のためだったと思いますよ。かなり、気性は激しい人ですから。僕に対してもホントのところは「お互い様」くらいの言葉の応酬だったんですよね。僕な対しては、真実性の証明のところで北村側が「デマ」と言ったところを僕が証明できれば僕の勝ちでしたから。。。


ああ、特に雁琳氏に執着したわけではなくて、あんまり話題になってないだけでけっこう手当たり次第に訴訟沙汰を仕掛けてるのかもしれませんね


聞いた話ですので、確実ではないですが、あの件で書類を送りつけた人数は6人と聞きましたね。

 ちなみに「yoshitoshi nakajima@yoshitoshi20154」氏が、「中島芳利 @鳩山原人 @ry355828_e」名義で北村氏への謝罪に追いこまれた流れは、下記にまとめられている。
又聞き情報をもとに北村紗衣氏を中傷し、開示請求される→「俺が圧倒的優位」と余裕ぶっこいてたら情報元の人からハシゴを外される→謝罪 - Togetter
 北村氏のさまざまな問題について「僕は見てきてます」とツイートし、裁判になったとしても「圧倒的優位」と自認した。しかし実際は他人の主張を信じただけで根拠など出せないまま、その他人が根拠を出さないから裏切られたと主張して終わった。今回は「聞いた話ですので、確実ではない」と留保できただけ成長しているのかもしれない。
 そして「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏は「yoshitoshi nakajima@yoshitoshi20154」氏を信じて、被害者が加害者を標的にしたという転倒した考えで、北村氏は力の誇示のため訴訟をおこなったと想像していた。


手頃な標的だったのは分かるものの、「誰でもいいから訴訟沙汰にしてえ〜!」とでも思ってないと、裁判なんてめんどいことしない気がするんですよね。ただ、他の方からのリプによると、多数の人にああいうことしてるらしく、特に雁琳氏にだけ執着したってわけじゃないのかも。力の誇示のためとかかなぁ

 訴訟までは力の誇示としておこなえても、正当性を誇示できなければ勝訴は難しいと思うが。


 また、「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏は北村氏が揶揄や嘲笑を好んでいると論評している。仮にそうだとして、主張の正当性がことなれば揶揄と嘲笑という形式だけ同じでも対応は違って当然だろう。


北村氏自身は論敵への揶揄や嘲笑を好んで行なっているので、揶揄や嘲笑に対する嫌悪や潔癖はって評するのはちょっと違和感ある気もします。自分は平気でやるのに、自分がやられたりやり返されたりは我慢ならないというだけに見える

 先述したように、雁琳氏との裁判で争点となった誹謗中傷は複数あるし、「yoshitoshi nakajima@yoshitoshi20154」氏との争点は主張の真実性だった。
 誹謗中傷にならない揶揄や嘲笑は平気でやるのに、誹謗中傷になる揶揄や嘲笑をやられることは我慢ならないと考えれば、特に二重基準とは感じられない。
 引用リツイートid:zaikabou氏が「踏み外した」という表現で違いを指摘しているが、勝ち負けの話ではないと返答されてひきさがっているのもよくわからない。


揶揄や嘲笑は踏み外した方の負けなので…


揶揄に対する嫌悪や潔癖さがあるかどうかの話であって、揶揄の勝ち負けの話はしてませんでした


そうですね、失礼しました

 たしかに「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏のツイートは前半までなら揶揄や嘲笑という形式の嫌悪や潔癖さの有無を論じているが、後半は同じ形式でも北村氏の態度が異なることを主張している。その原因を北村氏がやる時とやられる時という違いだけと「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏は論じたわけだ。
 事実として「揶揄に対する嫌悪や潔癖さがあるかどうか」にとどめない「skerenmi@skerenmi」氏の引用リツイートには、zaikabou氏に対してとは違って、留保なく肯定しているようだ。


口喧嘩で負けそうになったら法的手続きとるやべーやつってこと?


はい

 しかし北村氏が雁琳氏に口喧嘩で負けそうになっていた記憶がない。雁琳氏が大学の契約を切られたのは、大学とのやりとりを勝手に公開して自滅しただけと思われ、そこに北村氏の策略を見いだすことは難しい。


 北村氏の行動を執着あつかいして不思議がる「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏だが、どちらが執着しているのだろうかという疑問もおぼえる。


北村紗衣、外道
人の道に悖る
どれだけ強い言葉で非難しても足りない


神原弁護士はともかく、北村先生自身は嘘を吐いてる自覚くらいはあるはず…と思うんだけど、あそこまで異常な言動の数々を見てきると流石にちょっと自信なくなってくる。過大評価だったのかもしれない


しかし、裁判沙汰にさえしなければ誰もいちいち覚えてるはずのなかった「ポリコレリベサヨうんこ学者」がすっかり特定個人の二つ名として定着したわけで、今回は自業自得だから別にいいけど、侮辱や名誉毀損を沙汰にするというのはそのへん難しいよな


裁判沙汰になんてしなければ、「ポリコレリベサヨうんこ学者」は、当該投稿で名指しされた2人をはじめとする特定の傾向のある人達への悪口に過ぎず、元々は特定個人の二つ名になるようなものじゃなかったのに…

 最後のふたつのツイートなど、ほとんどイジメ加害者の論理と変わりがない。その表現を誹謗中傷と裁判で認めさせたことが自業自得という意味もわからない。
 たとえばリアルタイム検索を参照すれば*4、「ポリコレリベサヨうんこ学者」という表現は裁判のさなかでは言及がほとんどなく、一審判決で北村氏が勝訴してから反発するように広められている。裁判沙汰にした時点ではない。
「ポリコレリベサヨうんこ学者」のX(旧Twitter)検索結果 - Yahoo!リアルタイム検索

*1:はてなアカウントはid:king-biscuit

*2:判決文のノンブル54~59頁に掲載。 http://www.mklo.org/mklo/wp-content/uploads/2024/04/ffdd5b80e78c62b11a9a19dbd8ffa153.pdf

*3:インターネットの一部では、名誉棄損裁判で勝訴した北村紗枝氏が、周囲が誤読するよう誘導して騙していることにされている - 法華狼の日記

*4:全文検索ではないので参考あつかいだが。googleトレンドでは問題のツイートがあった2021年2月に突出して検索された後は忘れられ、2024年4月17日に検索されて忘れられている。

『わんだふるぷりきゅあ!』第12話 私はキュアニャミー

 猫屋敷まゆは、たびたびユキが姿を消すことに悩んでいた。学校で犬飼いろはとこむぎに相談し、兎山悟に猫の能力を教えてもらい、家にペット監視カメラをつけることになるが……


 井上美緒脚本に畑野森生演出で、ここ最近に暗躍していたプリキュアのアクションをはじめて見せる。後半のまゆが走る場面で街灯だけ背景動画で動かして陽が落ちた街のひとけのなさを強調するカットや、ダッチアングルの多用など、いつも以上に絵をつくりこんでいる。
 今作ではじめてプリキュアが敵を打撃で圧倒する描写もアクションとして魅力的で、なおかつここまで慎重にさけてきたがゆえの違和感もある。凶暴化した動物に暴力をふるうのが、動物が変身したプリキュアであるので、人間が動物をいじめるようなニュアンスを排除できている意外な良さもあった。
 ただ、帰るふりをしてガルガルをさがしているいろはとこむぎより、まゆが先にガルガルに遭遇してしまう展開は物語の都合を感じた。まず森のなかでキュアワンダフルとキュアフレンディがフクロウガルガルに遭遇して、相手が飛行するため街に逃げられてしまったという段取りを入れたほうが自然になった気はする。

インターネットの一部では、名誉棄損裁判で勝訴した北村紗衣氏が、周囲が誤読するよう誘導して騙していることにされている

 編集者で小説家の鳥山仁氏がツイートしているように、漫画『葬送のフリーレン』における「魔族」の設定*1に北村氏をなぞらえる動きがあるらしい。


宇崎ちゃん騒動時のつぶやきを読んだ段階で思っていたんだが、北村紗衣は文才があるんだよな。丁寧に読むと「何を指示しているのか分からないが、飛ばし読みすると高確率で誤読する文章」を意図的に書いてるわけでしょ。みんなが彼女に、フリーレンの魔物を想起するのも無理はないと思うよ。

「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏も北村氏がミスリードしていると主張して、「魔族」あつかいするリプライに留保しつつ最終的に賛同している。


しかし北村紗衣氏、慢性的にああいうミスリードの印象操作ばかりしていて、自分の周りには自分に騙されてる馬鹿しかいないわけで、どんな人間観なんだろう。信頼や誠実といったものを見下し、人間のことを、詐術でコントロールする対象とか、暴力で屈服させる対象としか思ってないのかな


魔族ですなやはり…


あんまり悪魔化するのもよくないでしょうがけど、非人間的な邪悪さ、感じてしまいますね

 現実を虚構になぞらえる自由はあるが、それを個人の論評にもちいるなら賞賛する場合でも慎重さが必要だろう。誹謗中傷の被害者への批判に虚構をつかうのであればなおさらだ。


 しかしまだ一審判決とはいえ、裁判という場所で勝利したのは北村氏であって、雁琳氏ではない。その内容もほとんど一方的なものだった。
雁琳氏に誹謗中傷されたとして北村紗衣氏がうったえた名誉棄損裁判で、比較的に高額の賠償が認められたとのこと - 法華狼の日記
 また、北村氏を呉座勇一氏が誹謗中傷したことをきっかけとしたオープンレター「女性差別的な文化を脱するために」も裁判で争われたが、呉座氏側が全面的にひきさがる和解で終わった。
オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」をめぐる裁判で、オープンレターを発表した側の勝利で和解したという発表 - 法華狼の日記
 第三者としては、雁琳氏や呉座氏こそが周囲に騙されて正当性のない裁判をはじめて、無駄な労力をかけて負けたようにしか見えなかった。それとも裁判所も北村氏に騙されている馬鹿だと思っているのだろうか。
 もちろん判決に問題があると思えば批判する自由はある。勝敗そのものには疑問がなくても細部の判断や賠償金の多寡などで不当性を見いだせることもあるだろう。だが社会的な判断をおこなう専門機関が北村氏に騙されているのであれば、それは「周り」のようなせまい範囲ではありえない。「まーにゃ・うらら姫@lyricalium」氏が本当に不当判決と思うならば危機感をもつべきだ。


 そもそも北村氏がミスリードして周囲を騙したようなことがあっただろうか。周囲の人数が多ければ結果として何人か誤読することもあるだろうが、致命的な誤解が広まっている場面は見かけたことがない。
 呉座氏との和解後に「女性差別的な文化を脱するために」が公開されたかのような誤解など、むしろ北村氏に対立する側が印象操作されて騙されているような場面ばかり見かけてきた。
呉座勇一氏と北村紗衣氏の和解金をめぐって、オープンレター以上に大変な事態になるのでは? - 法華狼の日記

さすがに新世紀ユニオンも時系列で虚偽は書きたくないのだろう、「オープンレター側」や「オープンレターの運動とリンク」と表現して、オープンレター自体が和解後の攻撃として出されたとは書いていない。

新世紀ユニオンの表現のためかオープンレターと和解の前後関係を混同しつつ、削除された記述をそのまま信じて北村氏を非難しているツイートは他にも複数ある。

 どうやら北村氏がミスリードしていることにされているらしい「内容証明」についても、雁琳氏の説明が二転三転したあげく個人あての抗議をポストを確認せず気づかなかったという真相で、近い立場からもあきれられたことは記憶している*2。その結果として、たびかさなる誹謗中傷に対して北村氏が段階をふんで抗議した経緯も明らかになった。
 初手から頭ごなしに大学へ内容証明をおくりつけたかのように周囲を誤解させ、はしごをはずしたのは雁琳氏だ。そこから内容証明という形式だけが誤りと認識して、北村氏が最初から大学をとおして強く抗議したと認識しているなら、やはり誤解させているのは雁琳氏であって北村氏ではない。雁琳氏がみずから公開した録音によって*3、北村氏はあくまで誹謗中傷を止めるよう要望したことや、大学側がすぐに雁琳氏を辞めさせようとしたわけではないこともわかっている。むしろ雁琳氏の説明によれば勝手に録音を公開したことで契約がうちきられたという*4
 個人あてに抗議しても誹謗中傷をつづける人物の所属先にハラスメントを報告しても誹謗中傷がつづいた。そして一審で勝訴しても雁琳氏は態度をあらためているようには見えない。自発的に録音を公開したことで契約をうちきられた責任を、誹謗中傷に抗議した北村氏の責任とする。いったいどちらが「邪悪」なのだろう。

*1:作品独自の設定として、魔族は一種の擬態として人間に対する武器としてコミュニケーションできるかのような行動をとる。哲学的ゾンビのような存在とも評されることがあるくらい、見かけと違って実際にはコミュニケーションができない異質な存在と位置づけられている。

*2:[B! 炎上] 雁琳(がんりん) on Twitter: "んんん?????? 11月10日以降の近日に書面なんか受け取っていないんですが…………(というか今年度はポストを殆ど見ていないから気付かなかっただけなのだろうか……) https://t.co/FtL9pQILdK"[B! 保守] 雁琳(がんりん) on Twitter: "勤務先の私の郵便受けに投函されていた私宛の昨年11月9日付けの北村紗衣氏代理人弁護士からの内容証明郵便を先週月曜日に回収致しました。勤務先に電話した所、本状が郵便受けにある旨を聞き、回収致しました。その内容には、相手方弁護士の懲戒… https://t.co/NdcCC3t89I"

*3:

*4:

『GODZILLA 怪獣惑星』

 さまざまな怪獣が地球に出現して文明を破壊したことで、一部の人類は異星人と協力して宇宙へ脱出した。しかし人々は過酷な宇宙移民を断念していく。そして主人公ハルオの怪獣ゴジラへの復讐心に扇動されるように、人々は脱出から数万年がすぎた地球へと帰還するが……


 映画史に残る怪獣シリーズを初めて3DCGアニメ化した2017年の日本映画。虚淵玄が脚本を担当し、ポリゴン・ピクチュアズが制作した三部作の一作目にあたる。

 あまり三部作の良い評価を聞いていなかったが、とりあえず単体で見たところ、意外と悪い作品ではないと思った。実写の『ゴジラ』シリーズにはもっとダメな作品が多いし、この作品はアニメでしか出せない見どころがきちんとある。


 まず映像はかなり簡素で低予算に見える。Netflixの豊かな予算がゴジラ版権の獲得につかわれて制作費が残らなかったとも聞く。事実として物語の大半が無機質な宇宙船内か植物に覆われた地表で終始して、登場人物の誰も彼もが統一された装飾の少ない服装で、トーゥンシェードの3DCGアニメらしい省力は目立つ。しかし世界各地の都市がさまざまな怪獣に襲われた歴史を静止画で見せるタイトルバックや、主人公が地球から逃げる回想で人間の建造物がゴジラに襲撃されるシチュエーションのような序盤は順当に楽しめた。
 また、宇宙船内で地球へ帰還してゴジラへの反撃を強硬に主張する主人公が軋轢をひきおこす前半はどうでもいいとして、そこで主人公が考えたゴジラ対策と、実際にもどった地球の異変でSFアニメとしての面白味が出てきている。その設定はG細胞が怪獣を生み出すVSシリーズの延長であり、それが地球の生態系すべてを変化させていくところは『ガメラ2 レギオン襲来』の発展形のようでもある。主人公の暴走じみた復讐心も、物語をすすめるために発揮され、葛藤でアクションを停滞させない良さがある。
 地球の変容した都市部は静止画で表現された廃墟くらいしか描写されないが、それが長い年月をへても形状をたもっているSF的な説明は面白かったし、現在とは異なる植生でおおわれた森林は昭和末期の何もない山や島でばかり怪獣があばれるよりは見ごたえがある。どこまでもつづく森林のなかに登場するゴジラも、浮遊機械に乗って戦おうとする人類を同じ画面に入れて対比することで巨大感が充分にあった。


 そして「大どんでん返し」*1の結末は、むしろシリーズのよくあるパターンであり、それを前半からていねいに伏線をはって納得させてくれたという印象が強い。
 難点として、直前のクライマックスらしいもりあげに台無し感を追加してしまったところは好みがわかれそうだし、死んだ怪獣の死骸と同一画面に入れたりして巨大感の違いを表現する描写もほしかったところはある。
 それでも、宇宙船で脱出してウラシマ効果で約2万年の時間をへた結果として発生した驚きを鮮烈な絵で見せてくれた。

*1:オーディオコメンタリーの該当場面より。