虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

ブログの玄冬:終わりの言葉(随想録―87:終結)

ブログの玄冬:終わりの言葉(随想録―87:終結



人生には、青春、朱夏、白秋、玄冬の季節があります。2005年にこのブログを始めて足かけ19年、私が63歳になったのと同じく、「玄冬」=「黒い冬」の季節を迎えました。ブログを始めた当初は、インターネット上のメディアも少なく、一日3000ヒットという時期もありましたが、今のようにメディアが乱立する時代、一日100ヒット未満という日がほとんどになりました。



ほかの同年代のブロガーには、それでも健闘している方も散見します。私の場合、かなり依怙地で、「気に入らない」訪問者を排除してきた歴史があり、それは自業自得であるとは言え、大いに現在のヒット数につながっていると思われます。それについては、仕方のないことで、私は、私のやれるようにしかやれなかったのです。


加えて、現在「はてなブログ」で公開されている多くのブログが、「読むに耐えない」ものであることも重要です。私がブログを始めた切っ掛けは「あるブログによって、某政治家の政治家生命が絶たれた」という記事を読み、「それほどのメディアであるのなら、自分もやってみたい」と思ったからです。それに引き替え、現在の「はてなブログ」の一般的記事の「志:こころざし」の低いことと言ったら!


いわゆる「費用便益分析」をすると、このまま「はてなブログ」を続けるのは、私にとってほとんどメリットはないと思うようになったのが、2023年2月初頭でした。1年半ほど前にも、同じようなことを思ったことがあって、その旨公表しましたが、その時には「止めないで欲しい」という懇願があったこともあり、続けてきましたが、今回はもっと決意は固いです。無用なブログを続けても益はありません。


そんなわけで、今回の記事を以って、「はてなブログ」を終了します。私は、自ら「玄冬」期の「虚虚実実――ウルトラバイバル」に引導を渡すのです。以降、ここでは名を明かしませんが、2名のブログ友の記事へは訪問します。皆さま、お元気で!



PS: 現在私はアメリカのブログ「タンブラー」をやっていますが、日本語と英語をベースにして、おおくの国の人と交流しています。(クルド人とやり取りしたこともあります:グーグル翻訳ツールという優れた道具を武器にして。)毎日、7本のブログを挙げています。俳句一つ、エッセイか詩か音楽か料理かを一つ、この2つは完全に私のオリジナルです。あと5本は、他のブロガーのブログを厳選して、リブログします。リブログとは、タンブラー独特の機能で、他人のブログを紹介がてら、自分のブログとして発表できるのです。著作権はちゃんと保護されます。
私の場合、自分個人の感性を伝えることもさることながら、「日本的感性」に関心を持つ外国人は結構多いので、日本文化の紹介という面も持っています。彼らの反応は率直で面白いです。日本人もすこしは見習うべきでしょう。

・・・まあ、「はてな」後は、こんな感じでブログを続けます。「発展的解消」。

 (2023.04.10)






今日の7句


金盞花(きんせんか)
オレンジ色の
艶花かな



ポット・マリーゴールド

 (2023.02.18)



紅菜苔(こうさいたい)
春の到来
雄弁に



花の茎とツボミを食べる中国野菜。

 (2023.02.18)



白菜の
頭縛りて
冬を越す



 (2023.02.18)



大根の
仙人と化す
陽だまりか



 (2023.02.18)



紅梅の
桃に見まがう
春一日



 (2023.02.19)



ぬっと出る
ヘチマのミイラ
肝潰す



 (2023.02.19)



御御籤を
掛けては枝垂る
梅の木か



 (2023.02.19)







(付)以下はNHKへの投書。



番組編成のコンセプトの変更を求める


NHK番組編成局様


昨今のNHKの番組編成は異常だ。ざっくり言えば、むかしの海老沢勝次NHK会長が、日テレ=読売グループとつるんだことに端を発している。私が所用で病院を訪ね、待合室でTVを見ていると、多くの場合、チャンネルが日テレ(特にニュース番組のevery.)に合っている。私がこれを解釈するに、「視聴者のもっとも低い意識レベルに、日テレが適合している」のだ。野球ボールが低い谷に落ちつくように、落ちていくのである。


NHKは、最近、日テレと番組の交流事業をやっているが、止めるに如かずだ。低俗な民放、そのなかでも最低の日テレと組むのは愚の骨頂。それに関連して、民放に倣い、「お笑い芸人」の露出が最近のNHKには多すぎる。オードリー、サンドイッチマンなどがTV画面に登場すると、もともと民放も見ない私はスイッチを切る。この連中に罪があるわけではないが、あまりに下らないから。


NHKは、これらの下らない芸人が持て囃される風潮に、無自覚すぎないだろうか。そんな具合で、私のNHK視聴の機会は、最近とみに激減している。それで受信料はしっかり徴収するのだから、NHKも美味しい商売をしているものだ。はっきり言おう、現在のNHKは受信料泥棒である! 


番組編成局の反省を促す次第である。



東京大学工学部都市工学科卒  工学士  森下礼

 2023.05.15



追記:この投書を書いたあと、私はBBC(英国放送協会)のメルマガニュースに登録した。もちろん英語版で。どう考えてもNHKよりはるかに閲覧する価値がある。




「母の胎内にいたときはどうだったか?」:禅の悟りとその自得(随想録―86)

「母の胎内にいたときはどうだったか?」:禅の悟りとその自得(随想録―86)




中国・唐代の禅僧:潙山霊佑(いざん・れいゆう)は、「言葉」を精密に用いて人を導くプロフェッショナルな禅僧だったが、たまには人を突き放して導くことがあった。潙山の師は巨人・百丈懐海(ひゃくじょう・えかい)だったが、百丈の死後、弟弟子だった香厳智閑(きょうげん・ちかん)は、改めて潙山の弟子になった。


そこで香厳は、耳を疑うような言葉を受ける:「お前が母の胎内にいたころはどうだったか、ひと言で言ってみろ。」・・・これには困った。聡明な香厳は、教えられたことなら、何でも答えられた。だが、こんな質問は受けたことがない・・・言葉にしようとするのだが、しどろもどろで、明快な言葉にならない。窮した香厳は「教えてください」と潙山に懇願するが、師は答えない。「わしなら答えられるが、それはわしの見解に過ぎない。お前のためにはならないし、もし今教えたら、お前はわしを怨むだろう」と突き放した。香厳は泣く泣く潙山のもとを去り、一人淋しく修業した末、ついに悟り、遥か彼方の潙山を礼拝したという。父母の恩をも超える師の恩義に感謝して。


さて、禅において、必ずNGになる態度がある。それは上で香厳が取った「しどろもどろ」というもの。このような応答をする者は、まず100%、師に認めてもらえない。あまりに態度が決然としていないから。たとえ、その回答が師の意図したものと違っていても、決然と・「こうである!」と受け答えするほうが認められやすい傾向があると言える。どれだけの確信を持って発言するかが重要なのである。


私なら、こう答えるだろう・・・「私が母の胎内にいたのは、ちょうど、今、炬燵(こたつ)に入っているようなものだ」と。「炬燵のもつ暖かさは、まさしく母の胎内にいるのと同じである」、と私は確信を持って、決然と言える。これについて潙山が何と言うかは解らないが、無下に否定もされないだろう。




今回の記述の大本は『禅 現代に生きるもの』(紀野一義:NHKブックス)から。禅についての大いなる展望を得られる名著である。

 (2023.03.12)






今日の詩


Be a realist that never forgets the Ideals. (poetry)


Burn in your ideals
Burn in your ideals


However, the reality in which I was placed
don't lose sight
Be a cold realist.


even my aging
Relativize
Be an accepting realist.


then in front of me
There is always a way.



BGM: "Will" (by Chihiro Yonekura:米倉千尋)


https://youtu.be/88JG8C97_Js



決して理想を見失わない現実主義者であれ(詩)


理想に燃えよ
理想に燃えよ


ただし 自分の置かれた現実を
見失うな
冷徹なリアリストであれ。


自分の老化でさえ
相対化して
受け入れるリアリストであれ。


そうすれば 私の前に
必ず道はある。


(2023.05.18)






今日の7句


白と黒
雪と土とで
表現し



 (2023.02.11)



二輪だけ
咲くや黄色の
春の花



春には、黄色い花が目立ちます。

 (2023.02.11)



柿のコケ
春を待ちつつ
青々と



 (2023.02.12)



いつの間に
矢車草の
育ちけり



 (2023.02.12)



恥ずかし気
顔を出したる
ヨモギの芽




天ぷらにすると最高。

 (2023.02.15)



石造り
立派な蔵に
何眠る



 (2023.02.16)



コロッセオ
ビオラは丸く
戦えり



 (2023.02.18)