『ハード・コア―平成地獄ブラザーズ』
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世間で上手く生きられない、いや普通にすら生きられない人たちを描いた作品。
自らを「はみだしもの」だと認識しつつも、がんばって何とか生きていく姿が印象的。
風俗嬢にすら拒まれる哀しみ。
人間扱いされない痛み。
もがいてももがいても、変えられない運命と闘う男たち。
狩撫麻礼といましろたかしという「裏漫画界の巨匠」がタッグを組んでいます。
だからかなり面白くもあり、切なさも感じ、時に涙が出てきてしまう。
私個人も決して上手く生きてきた方ではなくて、結構悩んだこともあるし、変な方向へ向かっていったこともあるし、普通とは違う世界に生きていたりした。
そんな昔のことを思い出す瞬間もあり、感じることの多い作品でした。
生きていくこと、について考えさせられる漫画。
『アンダルシア 女神の報復』
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観てきました。
ご存知の通り、俳優陣がかなり豪華な作品。
ヤバいです。
舞台はスペインのアンダルシア。
外交官・黒田が行くところではよく事件が起きるのだったが、案の定今回も現地で事件が起きる。
投資家・川島の遺体がホテルで発見され、その事件性が調査されることに。
事件をきっかけに、彼は第一発見者で、ビクトル銀行に勤務する女・結花、またインターポール捜査官・神足と出会う。
どちらも過去に大きな事件を体験していて、心の奥に抱えるものがある人物たちで彼らと関わっていく中で見えてきた真相とはーー。
事件は単なる1人の日本人の過ちなどではなく、国際的なテロ組織、そして大手銀行とそれを密かに操る影の大物たちの姿が浮かび上がってくる、という大掛かりなものだった。
ストーリーの展開に常にぞくぞくする。
躍動している外国の土地が舞台だから、そうさせているのかも知れない。
それにしても、黒木メイサの外国語が堪能過ぎて驚いた。
そしてイイ女過ぎる…
これからも注目したい女優さんの1人!
『ぼうぼうあたま』
大人の読み物よりも、絵本の方が残酷だと思ったことはないか。
年を取るにつれ、そう感じるようになる。
物語の「子どもだからといって容赦しない」感じにハッとする。
子どもの時分は「なぜこの子は泣いてるの」などと、何も分からないで大人へ質問する。
大人はそれに対して「悪いことをして叱られたからだよ」などと答える。
それがつきもの。
『ぼうぼうあたま』にも、そんなやり取りをしてしまいそうなシーンがある。
指を舐めていると、指を鋏でちょん切ってしまうおじさんが、どこからともなくやってくるのである。
親は予め子どもに注意するけれども、指舐めが習慣化した子どもの癖はなかなか直らない。
そして子どもは親の留守中に指を切られてしまうという…
子どもも大人も関係ない。
悪いことをすると罰が当たる。
実はあたりまえのことを、絵本は伝えているのかも知れないとここ数年思うように。
そういう意味で、大人が絵本を手に取るのも、自身の中の芯の部分を見直すきっかけになるのではないだろうか。
これを貸してくれたU氏に感謝。
『美人スタイリスト「亀恭子」の本』
【書籍】美人スタイリスト「亀恭子」の本 |
亀恭子さん、モデルかと見まがうほどに綺麗でした。
「そしてカッコイイ! 生き方もスタイルも!」と一気にファンになって、早速取り寄せてしまったのがこのフォトエッセイ(笑)。
先日イベントの一環で、亀さんのトークショーを聴いて、圧倒された。
亀さんはスタイリストとしては珍しいタイプで、下積み時代なく(!)スタイリストになってしまった人。
OLをしつつ、オフのときにファッション関係の仕事をしていて、本当にたまたまスタイリストへの道を歩むことになったのだという。
シンデレラストーリーのように思えるが、ぽっと出のスタイリストに周囲の目は冷たい。
その状況を打破するために彼女は色々と動いた。
前向きな生き方が綴られている。
忙しい中、ビューティをキープする方法も紹介されているので、働く女子的には参考になることだらけ。
それにしても、本書が出たのは2009年で、今から2年前。
リアルな亀さんの方が、本の中の亀さんより若く見えたし、さらに輝いていた。
「好き」を仕事にしている人のキラキラからは、イイ影響を受けることが多い。
『BRUTUS 真似のできない仕事術』
合本・真似のできない仕事術 マガジンハウスムック (単行本・ムック) / マガジンハウス |
『真似のできない仕事術』が2冊合体して合本となったよう。
広告系、特にデザイナー系の人たちの登場が目立つものの、幅広く有名「クリエーター」たちを集めて、オフィスや仕事場の様子、自分なりの働き方などについてまとめてある。
イイ意味で真面目に働いている人であれば、どんな人にも「仕事の流儀」といえるものがある。
また、仕事のルールも同様に。
特にクリエイティブー常に変化や進化をより求められる職業ーな方々のそれらが、余すことなく書かれているので、読んでいて刺激的。
・ワクワクする仕事をする
・仕事が進んでいても思考は止めない
・仲間こそ宝
・大事なことほど直感で決める
・感性で捉え、理性で決める
・決めたら素早く動く
これらは特に共感してびびっときた項目。
「ワークスタイル」を振り返るときに読んでみると良い本。
『ブラック・スワン』
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予告編を劇場で目にしたとき「美しき狂気」がテーマの作品だということで気になっていた。
今日ようやく観に行けた。
ナタリー演じるトップバレリーナ・ニナは、公演「白鳥の湖」のプリマドンナに抜擢される。
それほど彼女は毎日血のにじむような努力を重ねてきていた。
しかし、選ばれてから稽古をする日々の中、ニナの内側で何かが大きく変わり始めていくーー。
「なぜ?」と目を疑いたくなるような傷、指ににじむ血液、いるはずのない人を見る現象…いくつものおかしなことが起こり始めるのだった。
揺れ動く心理、押しつぶされそうな心、役を奪われるという恐怖、それらすべてが凝縮された感情がニナに雪崩のように迫り来る。
素人意見しか言えないけれど、映像がかなりアーティスティック。
クラブのシーンは赤と緑のミックスに心奪われた。
ニナが見た幻ともいえる、彼女の代役・リリーとのセックスシーンが、美し過ぎて衝撃的だった。
美しい人同士が絡むと、セックスが途端に芸術っぽくなる…そこに驚愕。
観ている方も恐怖に巻き込まれる。
「自分との戦い」は被害妄想や誇大な想像などによって、悪い方向に向かっていってしまうから。
「役に殺される」という言葉がずしんと心に残った。
ナタリーは元バレリーナということもあり、本物のバレエシーンを見ることができる。
役が決まってから1日に5時間以上稽古をしたそう。
色々な意味で、五感を刺激される作品でした。
『マイ・バック・ページ』
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作家の川本三郎氏がジャーナリスト時代の体験を綴ったノンフィクションを、フィクションにして映画化した作品。
妻夫木聡、松山ケンイチのW主演と豪華。
公開日から1週間後の今日、観に行ってきた。
物語は1969年に遡る。
まさにそれは、学生運動真っ只中の時代。
妻夫木演じる沢田は週刊誌記者で、スクープを探していた。
キーパーソンとなるのは、松山演じる梅山(本名は片桐)で、二人は偶然出会う。
「なんだか合う」とお互いに感じていたのだったが、いくつかの出来事をきっかけに、沢田に疑問が生まれる。
次第に梅山がどういう人間なのか、分からなくなるのだった。
梅山は一般的に「過激派」と呼ばれる人間で、それなりの活動を起こし始める。
仲間を利用して、無実の自衛官を結果的に殺してしまう、という事態に陥るのだった。
その後、沢田は梅山に金を払い、独占取材をすることになっていた。
しかしその中へ沢田の会社の社会部記者が乱入し、梅山から話を引き出し、裏切りが起こるのだった…
「梅山は思想犯だ」、「どうしても記事にするんだ」という沢田の思惑は崩れ、梅山は殺人をはじめとする複数の罪で逮捕された。
その後沢田は、週刊誌記者を辞めたーー。
その頃、人は国を変えようと燃えていた。
熱くなっていた。
今もそのような人はもちろんいるけれど、当時の熱気とはまた異なる種のものだろう。
ただひたすら、国家という巨大な存在へ戦いを挑んでいた時代として、私の目には映った。
ぼやけたような「昔っぽさ」あふれる画質だったり、昭和の様子、町並み、人々の姿などレトロ感いっぱいの映像がすごい。
「ここで終わり?」と意外なところで、ストーリーは締めくくられていた。