雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

NHKラジオ深夜便 絶望名言

 

 

頭木弘樹著。著者と川野一宇アナウンサーによるNHKラジオ深夜便の放送を書籍化したもの。番組そのものは聞いたことがないが、確かに深夜ラジオにふさわしい番組かもしれない。美しく明るい、希望に満ちた言葉ばかりが飛び交う世の中で(だからこそ)、絶望の中からしか出てこない言葉に「救われる」こともある、というのが著者の思い。

 

これは、とても良く分かる。そういうことが分かる年齢になってきた、ということかもしれない。カフカや太宰が語る、うじうじとした、このどうしようもなさ、そうした言葉が救いになる。それを読んで何かが改善するでもなく、解決するでもないが、それでも読者として救われる。その感覚、よく分かる。ドストエフスキーのように死の淵を覗き、自身が圧倒的な絶望を経験したからこそ得られた視点。そこからかかれた文学は、読書体験でしか得られない宝なのだが、元気で全てが順調に進んでいるときに読んでも鬱陶しいだけだろう。苦境のときにこそ読むべき本があるのだ。

 

絶望だけが人生だという趣旨ではないが、希望だけが人生でもないわけで。人間を知ろう、学ぼうと思うなら、両面から見ないといけないという話。「明けない夜はない」という言葉と「明けない夜もある」という言葉、私はこの矛盾する両方の言葉について共感できる。そう、明けない夜もある。

 

また、ゲーテの項で紹介されていた、「他人の人生をあらすじで見ないこと」という指摘も重要だ。人生をあらすじ、概要で記述すると何の問題もなく順調にいっているように見える(錯覚する)が、そんなわけはない。どの人にも、その人なりの苦悩、苦労があるはずで、それは他人と簡単に比較することはできない。

 

巻末に書かれた根田ディレクターの「『絶望名言』ができるまで」も良かった。是非、2巻も読みたい。なお、本書はスゴ本の方が紹介されており手に取ったもの(感謝)。

JUDY AND MARY

 

 

実は活動期間が短く、10年に満たなかった(1992年~1998年および2000年~2001年)。こうして改めて聞いてみると、ジュディマリビートルズが好きだったんだな、などと気づく(LOVER SOULはRubber Soulから取ったのだろうし、Brand New Wave Upper Groundの中にはCome Togetherがそのまま歌われている)。

 

  • 散歩道
  • Over Drive
  • くじら12号
  • Brand New Wave Upper Ground
  • Hello! Orange Sunshine
  • クラシック
  • LOVER SOUL
  • そばかす
  • motto
  • BLUE TEARS

それでも日々はつづくから

 

 

燃え殻著。日々の徒然ごとを描くエッセイ。ポジティブ過ぎず一歩引いてる感じで、しかし斜に構えたり世の中を呪詛するのでもなく、淡々とした日常を言語化される著者の目線が心地よい。同世代だからこそ伝わってくることがあるのかもしれない。

Superfly

 

 

バラード良し、ミドルテンポ良し、ロック調(アップテンポ)良しと、何を歌っても名曲となってしまうのがすごい。

 

 

疲れた

あと一年だけ頑張ろう、今月を何とか乗り切ろう、今日一日だけ頑張ってみよう、ということの連続で騙しだまし働いてきたが、もういい加減疲れてきたな。今日の仕事は疲れたな、ということではなく、働き続けることそれ自体に疲れてしまった。

映像の世紀バタフライエフェクト(ロシア、イスラエル)

映像の世紀バタフライエフェクト - NHK

 

気骨のある番組を観た。今日はロシア、前回はイスラエル。いずれも紛争中の国家であり、両国とも自身の正義を前面に打ち出して自分より弱い相手を徹底的に叩きのめしている。両国の今の姿を過去の映像を通して説明することで、歴史は繰り返すこと、常に犠牲となるのは多くの市民であること、「殺らなくては殺られる」という発想が永遠の殺戮を生むこと等がしっかり伝わってきた。番組は、戦争より平和を、独裁より民主を、隷属より自由を、というスタンスをしっかり打ち出しており、しかも本日、プーチン大統領の選挙勝利日に放送をぶつけてきたあたり、その気概、覚悟の強さに感服した(映像のリアルさ、人間の持つ底無しの冷酷さと残酷さを考えると、まだ子どもには見せられないかなとは思うが)。