元ネタは全部私が見た夢です。寝言です。
ディティールは後付け。
はじめに


アパートの鍵がどっかいっt!!(1126~1201up)
ゼミ旅行中にアパートの鍵を無くした大学生がドタバタする話。ラブコメ的な。



○短編
科学の子(1204up)new!
ちょっとSF。人工知能を搭載した飛行機が開発された日本での話。所沢。


注射器(1122up)
サイコサスペンス気味な話。
精神科の先生に聞きましたが、夢は精神分析とは関係ないそうです。
夢をドラマや映画気分で見ている私の場合、こういう夢でも特に問題ないそうです。


ランチボックス(1120up)
高校最後のお弁当を持って来る日の話。


蚊帳の外(101109~101117up)
ある幼なじみ3人の幼稚園から中学生にかけての話。
R指定とか厳密にわかりませんが、小学生には読んでもらいたく無いなという感じです。
9 終


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科学の子

この世界は年末。
今朝ニュースで、ある企業が人工知能を搭載した飛行機を開発し、今日は湾岸の方にある飛行場で初の一般公開と同時にお客を乗せて国内を移動するというイベントがあるとアナウンサーが言っていた。
その飛行機は13歳の人間の知能が設定されていてその御陰で大変安全性が高く、これまでの何度かのテスト飛行をパスしていく模様は、その度ニュースで報道されていたので国民の注目度もそこそこ高い。
CMもばんばんやってたし、クイズ番組でもしょっちゅうその飛行機についてなにかしら出題されていた。
今日の一般公開イベントも混んでるんだろうな。
帰ってからニュースをチェックしよう。


日曜の新宿で会社の後輩と落ち合い、ハンバーガーを食べに行く事になった。
マックと、ジャーナルスタンダードの上にある1000円以上するけどお肉がおいしいハンバーガー屋どちらに行くか迷った。
新宿南口GAP前で迷ってたら後輩が「早くしろ」みたいな顔をするのでジャーナルスタンダードの方向に進みだす。まだ迷ってるけど。だって高いじゃん。おごらないけど。
まだ心は決まってないが、ジャーナルスタンダードの前まで来てしまったので、これはもう行くしか無い。
階段を上がり、店内に入り、注文し、ハンバーガーを食べる。
ああ、アルタ裏の野菜を使ったヘルシーなハンバーグ屋でも良かったかもしれない。
塩気がちょうど良くて満足する。ポテトも好みの味だ。
後輩とそこで、レオポンの話をした。ヒョウとライオンを人工交配した一代雑種で、レオポン同士を交尾させても子孫はできない。昔日本でも実験的に作られたやつ。
甲子園にいた個体の名前が「レオ吉」「ポン子」というまぬけな名前が笑える。
今は科博に剥製があるらしい。
「でも、客寄せの為の人工交配は倫理的にアウトだよね。」
さらに子孫を残せないなんて儚い。


所沢に用事があるので、西武新宿線急行本川越行きに乗る。
日曜の昼間の下り電車はすいていてのんびりしていて平和な空気が流れる。
気持ちよくてうとうとしていると途中の東伏見で電車が緊急停止する。
『お急ぎのみなさま、大変申し訳ございません。現在航空公園駅人工知能搭載飛行機の事故が起きたとの連絡があり、しばらく運転を見合わせます。なを、バスで振替輸送を行いますので、お急ぎのみなさまはそちらにお乗り換えできます。詳しくは駅係員にお尋ねください。』
事故。今日はお客さんが乗ってるんじゃなかったっけ?死んだのかな…。
「所沢に行かなきゃいけないから、バスに乗り換えましょう。」
「うん」
ちょっと怖いけど、用事があるんだから行かないと。
改札を出て駅員に乗り換え証明書を貰い駅前ロータリーに停車していたバスに乗り、所沢で降ろされると、人々が逃げ回り騒然としていた。
『隣駅の航空公園駅で飛行機が旋回している。』
周りの人々の話や携帯のニュース、その他警察の人の話によると、人工知能を持った飛行機で航空局からの指令を無視し、暴れ回っているのだそうだ。
縦横無尽にぐるぐると旋回しているのがここからも見える。中に人、いるんだよな…。
遠いので大きな鳥が旋回しているようにも見える。
しばらくすると、こちらの方へ飛行機が向って来た。
走って大きなビルの影にかくれる。後輩とはいつの間にははぐれた。きっとあの子のことだからうまく逃げたんだろう。私を置いて。


人工知能搭載飛行機は所沢上空で暴れ回る。
動き方が言う事をきかないわがままな子供のようだ。ダダをこねているみたい。
見つかったら殺される。なんだかそんな気がした。航空公園駅で、人的被害は出たんだろうか?わからないけれど、あれは私たちの敵な気がする。
「こっちが安全だぞ!」
そう言う声が聞こえたので、建物の壁の向こう側に進もうとすると、人が倒れている。飛行機に殺された?ともかく、そっちに行くと死ぬから行けない。
外にいるのはこころもとない。ただ高い建物と建物の間だから飛行機は通れない筈。
建物の壁に背中をできるだけぴったりつけ、手は少し広げる。壁と同化しているかのように。
私の周りには今何人かいて、みんな不安な顔をしている。これ以上の逃げ場が無くて、動けない。
上空に大きな音が響き地鳴りがする。飛行機が通り過ぎて行く。向こうへ行った、良かった、と思ってしばらく安心していると、建物と建物の間を機体を縦にしてすり抜けようとしてきた。
機体には傷がついて破損している箇所がある。


飛行機と、目が合った。
「あ、これ、生き物だ」
咄嗟に悟った。
「これは私たちとは違う生き物だ、生きている」
飛行機はやりどころの無い怒りを宿した陰鬱で異様な目つきで私を睨みつけ、通り過ぎて行く。
レオポンだ。
一代雑種で、交尾をしても子孫を残せない。いや、そもそも飛行機だから交尾とかないし…。
飛行機は、自分の運命に反抗し、中に人を乗せて、街を破壊する。
己を見せつけ、作り出した人間に仕返しをするかのように。


おわり

近くに産業大橋の見える夜中の倉庫街、柵の無いコンクリ地面から海へ頭を投げ出したおっさんと、その上に仁王立ちする木刀を持った一件普通の女。
側にはロリロリロリータ服の背が高い女の子と兄ちゃんとでかい兄ちゃん。
「親もおらん、嫁もおらん、恋人もおらん、子供もおらん。お前が死んだところで悲しむ人は誰もおらんかったのお」
「まままま、待て、俺を殺すんか!?」
「今のところ殺しちゃろうと思っちょうなあ」
「なんでもする!なんでもするけ助けてくれんか!!!」
「エリカ」
呼ばれたロリータ女が地面から離れているおっさんの頭を海側へ押す。喉が圧迫され声が出なくなる。
「ナミちゃん、このまま首の骨、折る(o・ω・o)?」
「ちょちょちょ、ちょーーーっとタンマ!お嬢様がた落ち着きませんか、殺人よくない!殺人ダメ!」
服をちゃんと着た田宮がまっとうなことを言う。
「なんで?ダーリンを襲おうとしたんですよ。エリカ、許せないです。(゚ペ)」
「俺のケツ穴一つで人が死ぬとか嫌だよっこええよ!」
「嫌?こいつ殺したらエリカの事嫌いになりますか?(;へ:)」
「な、なる。殺したら、嫌いになる」
「…ダーリンに嫌われたく無いですから殺さないです…(;-_-) =3」
エリカが押さえつけていた金城の頭を離す。
「命拾いしたのお、金城」
つまった器官に急に空気が入りゲホゲホ言ってる金城の腹に木刀を打ち付ける。
「ほんでも、うちらがお前んこと殺る気でおることは常に忘れんちょきなぁ」
ほくそ笑む顔が心底楽しそうなナミさん。
「わかった、忘れん。忘れんけ解放してくれ」
「ダ〜メ!エリカ、いいこと思いついちゃった!*1
「殺すの無しだぞ。」
「ナミちゃん、金城って前、ピッキングで捕まった事あったよね?”(*>ω<)o"」
「そうね、あ!」
「ダーリン家の鍵、金城に空けてもらえば良いと思うの!o(*^▽^*)o~♪」


そうして翌朝、仕事のあるナミを地元に残し、エリカ、大西、田宮、金城の四人で東京へ。代金は金城持ちです。
「ナミさんお世話になりました。そんで、助けてもらってありがとうございます。」
「いいの、こっちこそ楽しかったから。エリカをよろしくね」
「は、はい」
「じゃあまた、着いたら連絡して。」
そしてぐるんと金城に向き
「なんかしでかしたら…わかっちょうの?」
「はい…」
「ダーリンはエリカが守るから大丈夫ですからねヽ(〃^・^〃)ノ」
「うう、うん」
さっきから大西はずっとニヤニヤしている。こいつに付いてくとこういう面白い光景見られるからやめらんないよなあ。などと思いながら。


そうして新幹線に揺られ6時間、田宮のアパートまで1時間かけ辿り着き、金城のピッキング技術で無事(?)ボロアパートの鍵は開いた。
エリカがポイっと金城を追っ払い、ついでに大西も追っ払う。
「やっと二人きりになれましたね(*^^*)」
「そうですね…」
「パパが心配するから一旦実家には帰るけど、また来ます。(*´ェ`*)」
「あの、エ、エリカちゃんの上京先って、東京…?」
「そうです。だから…戻って来たら一緒に暮らしましょう(〃ω〃) 言っちゃったo(>▽<*)(*>▽<)o」
「え、ええええええっ」
「エリカのこと、絶対好きにさせるってここに宣言します!(^▽^)/」


その後、田宮がエリカを好きになったかどうかはエリカだけが知る事となる。
大西は二人のドタバタを見てニヤニヤし続け、田宮は無くしたら殺される絶対に無くせない鍵を持つ事になったとさ。


おわり

*1:o(> <)o

「ねえ、壁!ダーリンは?(・_・ ) ( ・_・) ドコドコ」
「え、あいつ先に上がってって…この辺いません?」
「いないから聞いてんの!☆ヾ( ̄ヘ ̄; )」
「携帯に電話してみたら?」
「あいつ、携帯を東京に置いて来てんすよね〜」
「え〜も〜なにそれぇ〜!も〜どこ行っちゃったんだろっ湯上がり美人なエリカを見せたいのにぃ〜!≡≡≡ヘ(*゚∇゚)ノ」
エリカがそう言いながらとことこ田宮を探す。分厚いロリ靴を脱いだ身長は170弱ぐらいか。
「ねえ、エリカ、私さっき入る前に金城見かけたんだけど」
「…??(`□´/)/」
「誰すかその人、友達?」
「友達とか言うな!きしょい!゛(`ヘ´#)」
「田宮君、お風呂場で誰かに話しかけられたりしてなかった?」
「あ〜…そうそうそういや、まじウケるんすけど、あいつ風呂でおっさんに話しかけられて腕触らしたとか言ってて、それって完全にあっちの人じゃねえかって感じなのに気づいてないみたいでアホ面さらしてて…
「ねえ、大西君、そのおじさん見た?」
「あ〜風呂ん中だったんでちゃんとは見てないっすけど、…背が俺よりちょっと低いくらいでうっすらハゲてたような…」
「金城だ!!!凸(`△´#)凸」
「…まずいよ大西君…」
「金城はエリカの元彼のやっくんを福岡の親不孝通りで人気ナンバーワンニューハーフにしたんだよ!!!またエリカのダーリンを横取りするなんて絶対許せない!!!てかあんとき殺しとけば良かった!!!(▼皿▼#)」
「え?え?」
「金城はエリカの元カレを寝取ったのよ」
「は?」
「元カレは男を知って、女になってしまったのよ」
「はあ?」
「そのときエリカと一緒に半殺しにしたんだけど…私たちが東京にいると思ってまた男漁りしてるのね」
「エリカと一緒に??半殺し??」
「ナミちゃん、早く金城んとこ行ってダーリン取り返しに行こう!!ε=怒ε=怒ε=怒ε=怒ε=( メ`ω´)/」
うむと頷くナミさん。無言でスーパー銭湯を出て車に乗り込む。それに続くエリカ、大西。
「二人とも、シートベルトしっかりね。」


ギュルルルルルンと一般道を高速並みの速度&ショートカットの連続で辿り着いたるは一件の住居兼事務所らしき建物。ポンと明かりのついた二階が見える。大西は降りるや否や路肩に夕食をリバース。一応女性の車の中でゲロしなかった。がんばった。
「ダーリンの声が聞こえる!!( ̄□ ̄;)!!」
分厚いお姫様靴をガランゴロンさせながら事務所の扉へ一直線し、鍵のかかっている事務所のドアの硝子を拳で破壊し手を入れ内側から鍵を空ける。
「ふ〜ごめんね運転荒くて。急いでたから」
ミニバンの荷物シートから木刀を取り出し
「乗せててよかったぁ。」
女の子が出先で急に来た生理に気付き、鞄の中にナプキンを入れてて良かったぁ、みたいなテンションでにっこり笑う顔がかわいいけど怖い。
「大西君も使うでしょ。はい」
「えっ俺こういうの扱った事無いんですが」
「そうなの?じゃ、ここで待ってる?」
「い、いえ女性だけで行かせる訳には…っ」
意外とジェントル。
と、そのとき事務所の二階からエリカの怒鳴り声が。
「うちのダーリンになにするっちゃぁ〜〜〜!!!ヾ(*`Д´*)ノ"彡☆」
「ラ、ラムちゃん!」
ラムちゃん佐渡弁だから私たちの方言とは違うのよ。」
ボコガタドッカーーーンという音と男達の叫び声が夜道に響く。
「急がないとエリカが一人でやっちゃう!」
一階の扉から離れている事務所の窓ガラスをガッシャーーーンと木刀でかち割り、エリカのこじ開けたドアから入り木刀を八の字に振り回しながら進む。
ガツンガツン木刀で周りの物をなぎ倒しながら二階のある一室へ入ると、金城ととっくみあっているエリカと、ベッドに手首を縛り付けられた田宮。
ナミさんの絶対元ヤンな迫力に押されビビってた大西も部屋のシュールさについ吹き出す。
「おっ前なに笑ってんだ!!助けろ!!」
とパンツ一丁ながら元気な田宮が大西に怒鳴った。
「いや、だって、これ」
ロリータブリブリのデカい女がはげのおっさんを背負い投げし、床に着地したおっさんの上にパンツにカットソーというご近所ファッションの女性が仁王立ちになり木刀を顔面すれすれに突き立てる。
「お前、えらい好き勝手なことしたなあ?あっこにおる男が誰のもんが知っとってやったんか?」
ご近所ファッションの女が低い声でささやき、もう一度おっさんの顔面の横に木刀を突き立てる。
「し、知らん」
「…まあそうじゃろな。知らんのやったら教えてやるわ。あの男はエリカの男なんよ。…やすし君のとき、言うたじゃろ、女のおる男に手を出すなって。なんしよんかのぉ、金城。これはどういうことなんかのぉ。」
「知らんかったんじゃ」
「知らんかったじゃうち等は許さんよ」
木刀を金城の腹に打ち付ける。
「ちょおっと外出よおか」


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「今晩こそ、どうする?」
「さすがに野宿かな…」
「24時間営業のマックとかねーかな」
「あ〜…誰かに聞いてみる?」
「つっても…誰も歩いてねー…」
田宮と大西がなんの話をしているかと言いますと、エリカ宅でお夕飯をいただいたまでは良かったんですが、「結婚するc(>ω<)ゞ」発言でさすがのお父さんも大激怒、父と絶対にゆずらないというエリカが肉弾戦になった隙にナミさんがお家から逃がしてくれたのでした。
そうして田舎の住宅街を歩く事30分、かろうじて田んぼやあぜ道は見当たらない物の、時間が時間だけに誰も歩いてません。
「とりあえず…人に会うまで歩くしかねーか。てか、新幹線の駅まで歩いてく?」
と、そのとき後方から光が。振り返ると一台のミニバン。
二人の横に徐行して止まりウインドウからナミが顔を出す。
「田宮君、大西君、乗って」
後ろの窓からひょいと顔を出し
「ダーリン♪エリカもいるよo(*^▽^*)o」
「う。」
田宮を引きずり込む。
ナミさんの運転する小さな軽の助手席には大西、後ろにはエリカと田宮とでかい荷物。
田宮もエリカも肉付きは普通ですがぎっちぎち。
「ごめんね、お父さん、エリカのこととなると見境無くなっちゃって。末っ子だからかな、いっつもああなるの。気にしないでね」
「いえいえ、とんでもないっす。」
「こんな時間に追い出されても行くとこないよね。」
「エリカ、こっちに出来たスーパー銭湯まだ行ってないからそこ行きたいσ(・・*)」
「ああ、あそこなら24時間やってるね。」
「…あの、ナミさん、俺も大西も帰りの新幹線代がギリくらいしか金無いんですけど…」
「エリカがパパの財布からギって来たから、ダーリンはお金の心配しなくていいよ(^▽^)/」
「…家庭内おいはぎ…」
「なんか言った?てかお前誰だよ(▼O▼メ)」
「す、すいません。なんも言ってないです。お、大西です…」
「ふんっ( ̄へ  ̄ 凸」
後部座席のロリータファッションの女が助手席の大男にメンチ切るという迫力のシーンを狭い車内で展開しつつ、車は無事スーパー銭湯へ。


「じゃあね、ダーリン。お風呂上がったら一緒にコーヒー牛乳飲もうね☆ヽ(▽⌒)」
「はい…」
「じゃ、上がったら漫画コーナーでね」
「了解です!」
なんて会話をかわしつつ、それぞれ男湯、女湯へ。
男湯脱衣所にて。
「は〜……」
「ため息なんて珍しいじゃん。ま〜エリカちゃんのあのキャラの濃さはちっと引くけど」
「…お前…。ほんっと今日一日俺で楽しんでたよな?!信じらんねえ」
「声でけーよ。」
「でかくもなるわ。俺をさんざんもてあそびやがって。」
「いや〜だって、おもしろすぎんだもん。」
「あーもーやだ、こいつ。早く帰りてえ……って鍵もねーんだよな〜あ〜くそ〜」
なんて言ってる間に大西はさっさと脱ぎ終え先に大浴場へ。
もたもた田宮が脱いでると、背中になんとなく視線を感じる。視線の先をたどると…もちろん男湯ですから男が。中年手前くらいのタッパのあるおっさん。
(なんだろ、うるさかったからムカついてんのかな…)
悪いな〜と思ったので一応会釈してみたら、笑顔が帰って来たので一安心。
脱ぎ終え大西を追って大浴場へ行き、壁に並列されている洗面台へ向う。大西はすでに湯船につかっている。
(あいつちゃんと体洗ったのかよ、汚ねえな)
なんて思いつつ視線を送っていると、隣の洗面台にさっきのおっさんが来て話しかけて来た。
「彼氏?」
「は?」
「や、あのおっきい男」
「?…は?大西?」
「違うんか、良かったわ」
とまたニコニコされる。
(なんだ?)
「お前、なまりがないのお。どっから来たんか?」
「あ、えっと、東京です。」
「ほーーー、俺も昔行っとったわ。お前学生なん?」
「あ、はい。」
「ええのお…肌もピチピチやな。ちょっと触らせえ」
「いいですけど…男の肌触っても…」
(田舎の人って人懐っこいのな〜)なんて思いながら腕を差し出してみたが…なんか長い。ぞわぞわする。
「え、えーっと、そろそろいいっすか」
「おーすまんすまん。気持ちええ肌じゃけ、止まらんかったわ」
(こ、この人変わってんな〜…いつまでも若くいたい願望か?)
ひとまず体を洗い終え、大西のいる湯船へ向う。
「地元の人とちょっと話した」
「へえ?」
「んでなんか知らんが肌触らせてくれ〜とか言われてさ」
「は?」
「いや、そこの…あそこにいる、おっさん」
「お前…、それ、ぶふっ!!」
「なんで笑う!?」
「いや〜〜〜〜〜、人気者だなあ田宮君は。うらやましいぜ〜」
「全然羨ましそうじゃねえし。てかなんだよ、なんで笑うんだよ」
「いやあ、はははははっ。ま、背後に気をつけろよ。ぐふーっ」
と散々笑った大西は見かけに似合わず長風呂好きのため、ほうっておいて先にあがった田宮。服を一通り着たところでポンと肩を叩かれ振り返るとさっきのおっさん。
「なあ、兄ちゃん。金いらんか?」
「はぁ」
「ちょっとした仕事頼みたいんやけど」
「バイトっすか?」
「そうじゃ。3万は出すぞ。兄ちゃんの頑張り次第で上乗せもするし」
「3万…(あったらアパートの鍵修理できる!!)」
「仕事はまあ簡単じゃけえ、そうやなあ、ジェットコースターに乗るようなもんじゃ」
「乗る?って運転とかっすか?俺免許無いっすけど…」
「ええ、ええ、免許無くてもできる。やからちょっと付いて来ぃ」
「今から…?え、えーっと」
「ええけえ、ええけえ」
そんな感じでどこかへ連れて行かれる田宮。
一方、大西はジェットバスででっかい体を癒し中。女性陣は女湯で地元の友達に会って談笑中。


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一夜明け。
「田宮君、大西君、朝ご飯もうできとるよ〜!」
ナミさんのお母さんありがとう!田宮も大西もまだ寝てます!たたき起こしてください!あ、言われなくても叩き起こしますよね!
「も〜シーツ洗いたいけ〜早く起き〜」
「あ…おはようございます、おかあさっあっ痛いです!」
田宮を敷き布団の端からぐるりとひっぺがえすお母さん。
「大西君は布団からはみ出しとるねえ〜、ちょっと田宮君手伝って」
結構騒がしくしてたのにぐーぐー寝てます大西。
二人で敷き布団をひっくり返してもまだ寝てるので、大西は飯抜き!


「今日、ナミの妹のエリカも状況先から帰って来るんよ〜」
「へ〜妹さんもいるんですか〜。」
息子のいないお母さんは大西の分もガツガツ朝飯かっくらう田宮をちょっと気に入りました。
「そ〜それでね〜、お父さん仕事やけ〜家までバスで帰ってこさせようと思ったんやけど、田宮君免許もっちょる?」
「あ、俺、自転車で電信柱に衝突して以来、友達から免許取るの止められてるんっす。でも大西は確か持ってますよ。」
「じゃあ車で新幹線の駅まで行こうや〜、帰りはエリカが運転するけ、その方が田宮君等も楽やろ〜」
「もーまじお母さん超いい人!助かります!!」


そうして飯抜きの大西がやっと起きてから車で出発。
「へ〜妹さんエリカっていうんですか〜、お母さんもナミさんも綺麗だから綺麗なんでしょうね〜!」
「大西君達と年は同じくらいなんよ〜」
待ち合い用の無料駐車場に停めた車から、でっかい荷物の男とでっかい体の男と優しそうなおばさんが出て来たちょっと異様な光景をさらし、改札へ向う。
「ナミが仕事に行ってしまって見送り私だけで悪いけど、大西君も田宮君も元気でやり〜ね〜」
「「ほんとお世話になりました!!」」
二人が頭を下げようとしたその瞬間
「ゴォオオオラァアアアアア( #`)(#`皿)(#`皿´)/ !!!」
改札口からピンクの塊がすごい勢いで突進してきた。
「あんた達!!オカンになにしよるんッ凸(`Д´メ)!!」
ババーーーン!と田宮達の前に立ちふさがったのは、ピンクのふりふりロリータファッション、分厚い靴、頭は金色にレースのカチューシャ、つけま&ラインのパッチリお目めに白い肌、お人形さんみたいな女の子☆ただ、身長170cm強の田宮と190cm弱の大西の中間ぐらいで、ちょ〜っと標準よりおっきめだ☆
「あ、エリカ、お帰りぃ〜。」
「ママ〜っ!この人達にからまれとるんやろ!?大変!エリカがやっつけるよ!ヽ(`⌒´メ)ノ」
「大丈夫よぉ〜。知り合いやけ〜。エリカは相変わらずやね〜」
「ほんとに(。・ρ・。)!?言わされてるだけじゃないのっ☆!☆?☆ (☆_◎) ☆!☆?☆」
そして顔をキっとゆがめ、田宮と大西を見上げ…見下…見る。
「ど、ども…」
さすがの濃さに呆然とし黙っていた田宮が口を開いたその瞬間、エリカの大きな目がさらに大きく見開き、
「エリカ、この人と結婚します☆(//▽//)☆」
「!?」
田宮、おつむは残念ですが、実は顔はなかなか良いのです。
「失礼しまぁす☆あの〜、お名前、なんて言うんですかぁ(ё。ё)?」
「あの、エリカさん?さっきとキャラが…」
「お名前なんて言うんですかぁ(ё。ё)?」
「あ、田宮です…。」
「下は?下は?下の名前はなんですかぁ?(・vv・) ハニャ???」
と言いながらぐいぐい顔を近づける。
隣の大西はさっきまで一緒にビビってたのに、今はニヤニヤしている。
「た、たける…」
「田宮たける…田宮…エリカ…田宮エリカ!!キャー!!ぴったり過ぎて、エリカ照れちゃいますぅ(/。\)(/。ヽ)恥ずかしい♪」
「エリカ〜、田宮君はもう東京に帰るんよ〜。結婚は後にしぃ。」
「ママっエリカは本気!(>_< )イヤッ( >_<)イヤッ ね、ダーリン♪」
「田宮!!良かったな!!」わっはわっは笑う大西。
「てめぇっ!!!え、えっと、エリカさん、僕もう東京戻るんで…」
「ダメ(▼皿▼メ)ノ」
野生の鷹の目つき。
「もっと仲良くなってからじゃないと帰しません☆ヽ(▽⌒)」
田宮の腕にエリカの右腕からみつき、エリカの背中にはどでかい荷物&左手にはご自身のキャリーケース(ピンク)。
そうして大西の運転でエリカ&ナミ姉妹の実家へと戻って行くのでした。
「今晩はおかずがいっぱいいるねえ、大変やわ〜」




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「お前等、二人揃ってはみだしてんぞ」
今時電話ボックスが四つ並んでる珍しい場所で、一人の男は大荷物でドアがしまらず、もう一人の男はでかい体がボックスからはみ出している。
「母ちゃんどうしよ、アパートの鍵なくしたっ」
『はぁ??どこに?!あんたほんっっっと馬鹿ね、そういうときは実家じゃなくて不動産屋か鍵屋でしょ!!』「番号わかんねえ」『そのくらい自分で調べなさいよ!!!そもそも携帯どうしたの!!』「アパートに置いて来た」『馬鹿!!!』
大荷物がはみ出したボックスからは親子喧嘩。喧嘩というより叱られているだけか。
「携帯無い奴が電話ボックス使うの分かるけど、お前なんなの。」
「や、珍しいからちっとかけてみてんの。」『友達ぃ?』「そー今ゼミ旅行。なんか西の方来てんの。県名?福岡だっけ、ここ」
「今いる場所を忘れるな!!」
「マイナーすぎてすぐ忘れるわ。ま、それはどうでもいんだけど、なんか電話ボックスが4つ並んでんだよ、おもしろくね」『へ〜、すご〜い!珍百景に投稿しなよ〜!で、なにしてんの〜?』「電話かけてんの』「だよねー!キャハハハハ』
「しょーもな…」


「かーちゃんに聞いたら、鍵直すのって3万ぐらいかかんだって。金ねーから残って探してから帰る。」
「なんかおもれーからこいつに付き合う」
大荷物でドアが閉まらなかった男の名は、田宮。
体がでかすぎてドアからはみ出てたのは、大西。
「俺は…先に東京帰るから勝手にしろ」
突っ込み役はゼミ仲間の鈴木でお送りしました。


一応合宿で使った宿や移動した地域なんか探してみたけど夜になっても鍵は見つからない。
だったら諦めて帰れば良いものの、田舎のインフラをナメるな。21時代が終電だ!!タクシーで新幹線の駅に行くお金もないので、とりあえず飯、ということで居酒屋へ。金無いってのに飲む。ファミレスとか牛丼屋に行けば良いのに!!
「どうせならさ、かわいい女の子の家泊まりたいよね」
荷物がすごく大きい男、田宮が言う。宿屋にあるだろうものでもなんでも鞄の中につめてしまう習性から、洗い流さないトリートメントやコテにつけま必須の見た目に気を使う年頃女子がすっぽり入ってしまうくらいでかい欧米人サイズの登山用バックを2泊3日のゼミ旅行にしょってきた。
「ホテル代とかねーしな〜。ま、でも最悪野宿でもいけるでしょ」
「え、やだ」
ファミレスとか牛丼屋に行けばホテル代捻出できたかもしれないのに!!


10分後。
「「泊めてくださいお願いします!!!」」
「あたし実家なんだけど…」
「いいです大人しくします明日には出ていきます、だからお願い!」
飲み屋で隣のテーブルにいたお姉さんに声をかけてみました。
「う〜…しょうがないなぁ」
「「あざーーーっす!!」」
お姉さんは茶色に染めたつやつやのボブで、色は白く小柄。荷物のでかい男・田宮の趣味です。良かったね、かわいいお姉さんの家に泊まれて!実家だけど!
「ナミさんチってこっから近いんすか?」
「車で10分…お父さんに電話して迎えに来てもらうよ。」


押しの弱いお姉さんの家族も押しに弱かった。
まんまと今日の宿をゲットして、お風呂をいただきふかふかの布団も用意してもらいました。
「いや〜でも、ナミさんも綺麗ですけどお母さんも綺麗ですね〜!やりますねお父さん!!」
「いや〜へへへ」
娘が連れて来たどこの馬の骨かわからん男によいしょされていい気分になってていいのかお父さん!
ソファーのない居間には箪笥やピアノ、本棚が並び部屋を圧迫している。
お父さんにおしゃくをする大西の図体が邪魔くさい。
「や〜俺、こんな空気のいいとここれて幸せっす!!」
何県にいるかもわからないのに地元をよいしょー。
「で、君たちどこから来たんやったっけ?」
「東京です〜。」
「あらそうな〜ん、ナミも半年前まで東京におったんよ〜」
「もー!お母さんっ言わんでええのに!」
「え!ナミさん東京いたんすか?大学とかで?」
「えっと…バンタン卒業して、ちょっとだけ働いてた…」
「あ〜わかる!バンタンっぽいっすナミさん!オシャレ!」
「田宮君、なにバンタンっぽいって」
「やっぱ働いてたって服屋とかっすか?」
「言わない!」
「なんかねえ、この子、東京が合わ〜んとか言ってふら〜っと帰って来たんよお。あんなに東京行きたい言うて出て行ったのにねえ」
「もーいいー。あたし先寝る」
人には触れられたく無い事の一つや二つあるもんです。
「「ナミさんおやすみなさ〜い」」
なんてことを察してるわけではありません。


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