シネマの舞台裏2

Yu kaneko(批評家・映像作家)のブログ

水井真希氏への弔意とツイッター投稿について

批評家の金子遊です。はじめに、この度亡くなられた故人・水井真希氏につきまして、心からお悔やみを申し上げます。
現在、水井氏個人のツイッター・アカウントに「K」の性犯罪やストーカー行為について書いた投稿が掲載されています。彼女は名指しを避けましたが、この「K」は当方を指しているのではないかと思います。ですが、当方は氏の主張するような違法行為は一切しておりません。不徳のいたすところにより、生前の水井氏から恨みを買う行動(不貞行為、彼女がリストカットをした過去について取材してしまい、彼女の心を傷つけたこと)があったことは事実です。それは道義的に過ちだったと考え猛省しています。11年前は、人としての正しさや思いやりが欠けていました。今後は同様のことを起こさぬよう全身全霊で自己を改善します。

<経緯>
2012(平成24)年に、当方が水井氏にしたと彼女が主張する「性犯罪」や「ストーカー行為」は、事実ではありません。ですので、当方はこれを否認し、これまで法的に対処してきました。2020年に、警察の任意の事情聴取を一度だけ受けましたが、それきり連絡はありません。ここでは故人への二次加害を避けるために客観的な事象のみを述べます。平成25年の水井氏が原告になった横浜地裁民事訴訟平成26年の東京高裁の控訴審においては、当方が勝訴し、水井氏の上記の主張は退けられました。また、当方が原告となり、平成27年千葉地裁で仰いだ判決でも、被告の水井氏の反論は退けられて、当方に対する名誉毀損が認められ、彼女はツイッターの投稿記事の削除を命じられました。

<削除命令>
このような経緯があって、水井氏は令和4年7月から12月にかけて、匿名の「K」について約35件のツイッター投稿記事を書いたのだと思います。東京地裁は令和5年7月27日に、水井氏による「K」への名誉毀損を認定し、すべての投稿に削除命令が出て仮処分が決定しました。その事実を判決書類の一部によって示します。上記の不法な投稿記事をリツイートして拡散したり、引用をして投稿した場合など、誹謗中傷は名誉毀損罪に問われる可能性があります。
(下記は判決文の一部です。個人情報などは伏せています)

故人の尊厳やご遺族の感情を考慮し、この場で水井氏による個別の投稿の正否に立ち入ることは控えます。このところは訴訟を通しての関係ばかりでしたが、もとは実入りの少ない映画業界で踏んばってきた人間同士です。氏の冥福を心からお祈りします。

令和5年7月31日





連載「アート・フィルム」第3回

水声社のメルマガで毎月連載している「アート・フィルム」が、3回目まできました。
「イタリアの未来派と映画」と題して、マリネッティ未来派映画宣言、ブラガーリアのフォトディナミカ、映画『タイス』などを論じています。

http://www.suiseisha.net/blog/?page_id=18253

上記ページの「特別付録2」で読むことができます。

 

『森のムラブリ』DVD発売

拙作のドキュメンタリー映画『森のムラブリ』が、7/7から発売になりました。

株式会社アースゲートが販売元で、全国のショップ、ネットショップ、レンタルビデオ店などでお手にとってみてください。
特典映像に、短編映画『黄色い葉の精霊』が収録されています。

http://www.eh-gate.jp/item.php?id=327

 

 

「ムラブリ族のフィールドワーク」トーク

金子遊×伊藤雄馬「ムラブリ族のフィールドワーク」
『インディジナス: 先住民に学ぶ人類学』(平凡社)刊行記念

7/9(日)19時〜 本屋B&B(オンライン開催)
イベント詳細 
https://bb230709b.peatix.com/

ゾミアの森の民を追った記録や、未開社会といわれる辺境を撮影した映像作品を掘り下げた、金子遊さんによるユニークな映像人類学的探究の論集『インディジナス: 先住民に学ぶ人類学』が平凡社から刊行されました。
インディジナス(先住民)のサスティナブルで自由な生き方を追った記録映画『森のムラブリ』をはじめ、インゴルド、タウシグ、クラストルらを論じながら、アートと人類学の間にひらかれる新しい景色が立ち上がるような一冊です。

本屋B&Bでは、映画『森のムラブリ』の監督でもある金子遊さんと、ムラブリ語を研究する言語学者であり、同作の現地コーディネーターを務めた伊藤雄馬さんによるトークイベントを行います。
本書や、映画『森のムラブリ』におけるお二人のフィールドワークについて深く掘り下げつつ、「人新世の時代に、狩猟民の生活から学べることはなにか」といった森の叡智に触れるような、貴重な対話の時間となりそうです。ぜひご参加ください。



連載「アート・フィルム」第2回

水声社メールマガジン「コメット通信」にて、「アート・フィルム」という連載をしています。

2023年5月号では「初期映画からアヴァンギャルドへ」と題して、エディソン社、リュミエール兄弟ジョルジュ・メリエスの初期映画のなかに、映像アートの息吹が見られるのかどうか、具体的な作品を検討しました。

下記で読めます。

https://is.gd/W9ih8Y

 

『森のムラブリ』DVD発売記念 レトロスペクティブ 金子遊監督

『森のムラブリ』DVD発売記念 レトロスペクティブ 金子遊監督



ラオスの森で暮らす狩猟採集民を撮った『森のムラブリ』が、ついにDVD化!
7月7日の発売を記念して、『森のムラブリ』を初め、金子遊監督のアグレッシブな作風に彩られたレトロスペクティブを開催!ゲストを招いてのトークショーも乞うご期待。

2023年7月2日(日)〜8日(土)@高円寺シアターバッカス
料金:
1回券 1,500円
2回券 2,500円
1回券 4,000円『森のムラブリ』DVD付き
2回券 5,000円『森のムラブリ』DVD付き
詳細サイト https://bacchus-tokyo.com/6105/
予約フォーム  https://forms.gle/CNwudEWatzyTqfn29








6/17『インディジナス 先住民に学ぶ人類学』刊行イベント

【6/ 17  (土)】『インディジナス 先住民に学ぶ人類学』(平凡社) 刊行記念
金子遊 × 今福龍太 トークイベント
青山ブックセンター本店(表参道)

日程 2023年6月17日 (土)
時間 18:00〜19:30
開場 17:30〜
料金 1,540円(税込)


先住民族(インディジナス・ピープル)について思考することから、人新世と呼ばれる時代を生きる私たちはいったい何を学ぶことができるでしょうか。

ベルナツィークがインドシナ半島の山岳地帯で遭遇したムラブリ族を金子遊監督が撮影したドキュメンタリー映画制作の道程、ティム・インゴルドの『メイキング』から導き出す創造行為の探究、ロバート・ガードナーが撮ったニューギニア島のダニ族の戦闘の文化的機能、マイケル・タウシグによる南米コロンビアの民衆の「共感呪術」の考察……。批
評家の金子遊さんが世界の人類学者たちの旅をたどり直し、映像を使ったフィールドワークによって、彼らと先住民の接触に光をあてた画期的な書『インディジナス 先住民に学ぶ人類学』。
トークのお相手は、『クレオール主義』や『群島−世界論』などで知られる文化人類学者の今福龍太さん。おふたりの旅の経験をもとに、人類学とアートの交点に立ち現れる創造的なものについて語っていただきます。

詳細&申込み https://aoyamabc.jp/products/indigenous

今福龍太 いまふく・りゅうた

1955年東京生まれ。文化人類学者、批評家。東京外国語大学名誉教授。 メキシコ、カリブ海アメリカ南西部、ブラジルなどに滞在し人類学的なフィールドワークに従事。その後、国内外の大学で教鞭をとりつつ、2002年より奄美・沖縄・台湾の群島を結ぶ遊動型の野外学舎〈奄美自由大学〉を創設し主宰する。著書に『クレオール主義』『群島-世界論』(ともに水声社)『書物変身譚』(新潮社)『ハーフ・ブリード』(河出書房新社)『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(みすず書房読売文学賞)『宮沢賢治 デクノボーの叡知』(新潮選書、宮沢賢治賞・角川財団学芸賞)『原写真論』(赤々舎)など多数。最新刊に『言葉以前の哲学 戸井田道三論』(新泉社)。

『修験ルネッサンス』レビュー

キネマ旬報」2023年6月上旬号に、映画のレビューを執筆しました。
田中千世子監督のドキュメンタリー『修験ルネッサンス』で、熊野の聖地や修験道と、この映画について書いています。

https://www.kinejunshop.com/items/74764402