通勤電車で読む『認知症の人の「かたくなな気持ち」が驚くほどすーっと穏やかになる接し方』。

なんか認知症本というのは芋づる式になんか面白そうなのが見つかるわけだが、たぶんこのまえのこのあたり(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2024/02/09/081237 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2024/02/21/203932 )を読んだり検索したりしていたら言及されてたか関連本で出てきたかだと思うのだけれど、まぁ面白そうだった&電車ですぐ読めそうだったので読んでみた。著者の人は、「スーパー介護ヘルパー」のひとと「認知症介護スペシャリスト」のひとであると。でまぁ、内容的にはタイトル通りのことなのだけれど、まぁ基本的にはちゃんと理解して落ち着いて不安とか思いにきちんと寄り添ったうえで接する、ということにつきると言えばつきるわけでそのへんはまぁそうでしょうなと。まぁでもこういうのはたぶん具体例とか、そこにでてくるちょっとしたTipsとかがおもしろいんだと思う。あるいみ、コミュニケーションの技法としてはまぁ認知症ということに限らずちょっとヒントになるようなことが含まれるんだろうね。

通勤電車で読む『食べものから学ぶ現代社会』。よくわかる資本主義批判。

れいによってTwitterで見かけて。ちゃんとジュニア新書していて、わかりやすい。食べものから学ぶ、というわけで、小麦なりなんなり、たんに農家の人が作って消費者が食べますということではなくなっていて、国際的市場で、ごく少数の企業によって売り買いされる、しかもそれがさらに金融化して、需要だとか供給だとかとはかんけいのないところで、小麦だろうが大豆だろうがしったこっちゃないようなマネーゲームのプレイヤーたちによって投機の対象となり、まぁそれによって価格だのなんだの左右されるよ、これすなわちグローバル資本主義であって、なんかもうおかしなことになってるよと。でまぁ、それはなるほどと勉強になる。でまぁ、たとえばアート系のこの手のものが文化左翼っぽい(たいてい嫌いではない)のと同様ないみで、まぁ本書はエコ左翼っぽいわけで、それはそれでまぁ嫌いではないのだけれど、これ新書本ということで学生さんに薦めるかどうかということを考えるわけだけれど、まぁ、読みやすいしわかりやすい、身近であるし、社会問題に触れているし、いいかなあとも思いつつ、うーん、この本「だけ」いきなり読んで学生さんが浅い「買ってはいけない」みたいなかんじの陰謀論っぽいかぶれかたをしてくれてもめんどくさいかなあという気もじつはちょっとする。まぁそれはそれで、なったらなったでもしほんとうになってくれたら面白いってのもあるけれど。

通勤電車で読む『発酵野郎!』。伊勢のクラフトビールの社長が書いた本。

たぶん何かの本を検索していたら画面のどこかに出てきたぐらいのかんじで、ちょっとおもしろそうかなと読んだ。伊勢でクラフトビールを作っている社長さんの書いた本。発酵つながりで言うとパン屋さん本というジャンルがあってそっちはもともと好きなわけで、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20131211/p2)とか『パンの世界 基本から最前線まで』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20150409/p1)とか、あるいは『ルヴァンとパンとぼく』(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2020/10/11/112202)とか、みたいなかんじのノリがあるかなあと。まぁビールも酵母なのでノリが似ているかなあと。で、この人たしかに、子どものころから微生物とか好きで、大学でも微生物を研究して、それから伊勢の実家の老舗餅屋に戻ったけれどひょんなことから地ビール規制緩和に合わせて(酵母が扱えるのがうれしくて)クラフトビールを始め、試行錯誤したりしつつ、またあるとき大学院に入って酵母の研究で博士号をとったりしつつ、クラフトビールの世界大会で金賞を取ったりして、まぁなんやかんやで今に至るというかんじ。まぁ、野生の酵母を採集してビールを作ったりしているのは発酵野郎感があるけれど、本の全体のおはなしとしては、発酵野郎が書いた本というより社長が書いた本というかんじ。

『心を病んだ父、神さまを信じる母』読んだ。エッセイマンガで読む精神疾患とか信仰とか。

何か他の本を検索か何かしていた時にふと見かけたかなにかで読んでみた。エッセイマンガなのでさらっと読める。統合失調症とか精神疾患とかの経験をマンガやエッセイにしたやつというか当事者による自己記述というかはなんかいろいろ読んでて(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2023/10/04/125916)、ある種のわかりやすさがある。で、この本はタイトルの通り、父親が統合失調症で母親が信仰を持っているという家族の、子どものたちばの目線で描いている(なのでまぁ厳密に自己記述ということではないですな)。で、タイトルを見ると母親の信仰というのもなにかカルト宗教みたいなかんじで描かれるのかしら、いまはやりの宗教二世問題みたいな切り口なのかしら(『カルト村で生まれました』というのもあったねhttps://k-i-t.hatenablog.com/entry/20160429/p1)、という予断で読んだところ、そういうかんじでとりあげてるわけではなかった。たぶんそれなりに「ふつう」のキリスト教で、留学ホームステイを機に結婚前からキリスト教の信仰を持った母親は、結婚してから統合失調症を発症した夫に向き合う苦労とか生活の苦労とか家族を支える苦労とかあったにもかかわらず、信仰を支えにした強さがあって明るく社交的で前向きだよ、でまぁいろいろあっていまでもいろいろあるにせようまくいくところもあるよね、という湯加減(キリスト教の信仰による強さってことでは『愛をばらまけ 大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち』ってのがすばらしいhttps://k-i-t.hatenablog.com/entry/2021/01/19/135145)。精神疾患に対する、あるいは信仰に対する解像度がすごく高いというわけではないけれど、子どもの目線、ぐらいの距離感でいいかんじにえがいているし、タイトルだけ見た時のおどろおどろしいイメージとはちがって、精神疾患は治療と生活によって軽快しうるもののようにも描かれるし、信仰のほうも、たしかにある種の宗教的な手触りを残しながらちゃんと理解可能な描き方になっているように見えて、スッキリ読める。

通勤電車で読んでた『食通小説の記号学』。

買って以来幾星霜、もう本棚の一部かなというぐらいに溶け込んでいたものにふと目が行って ー それは目の前に並んでいたわけで ー 手に取って通勤電車で読んだ。食通小説なり食べ物エッセイなりというのは昔よく読んでいて、まぁ明治以降のそういう食通文学をあれこれとりあげて論じている。記号学、というけれどまぁ記号学記号学しているわけでもなくて、まぁ食べ物の味について文章で書いてもそれは味そのものではないわけで、しかし文章で表された味の質が文学の質として機能するんだから味とは文学のメタファーだよねみたいなことと、あと、あれこれの書き手や作品に登場する食味がどのようなコノテーションを持っているかみたいなことだとおもう。

『ELAN入門』読んだ。

マックス・プランク心理言語学研究所で開発された「ELAN」というフリーソフトがあって(https://archive.mpi.nl/tla/elan)、言語学や相互行為分析やいろいろな研究に使える、映像音声ファイルを細かく見て細かくコーディングしたり注釈などを書き込めるというのがあって、その入門書。
著者の人によるサポートページ↓
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