天皇賞・春

人気を二分するテーオーロイヤルは阪神大賞典5馬身差圧勝で評価急上昇だけど、個人的にはこの馬は2年前の春の天皇賞とそのステップのダイヤモンドSの頃の方が今より遥かに強かったと思う。当時最盛期かつ最も得意とする舞台を得たタイトルホルダーに真っ向勝負を挑んで、最後は力尽きてディープボンドに差されたものの3着を確保。4着以降のヒートオンビートらはさらに遥か後方だった。ディープボンドもこの頃が最盛期だったはずで、そのディープボンドよりもテーオーロイヤルの方が強い競馬を見せていたと思う。その頃に比べれば、昨秋からの走りは成績こそ安定しているものの正直物足りない。前走阪神大賞典も、道悪なのに後半1000が57.9という過去のこのレースでは全く見られなかった異常ラップ。内の好位でじっとしたテーオーロイヤルに相当展開が向いたレースだったと思う。安定感はあるし好走確率は高いけど、この馬より上に来る可能性のある馬を探す方が今回は楽しそう。

 

春の天皇賞は菊花賞馬の格がモノを言う。本命はドゥレッツァ。金鯱賞で完敗したとはいえ、元々競馬が上手な馬ではなくて、高速馬場の中距離戦では内で展開がハマったプログノーシスにあんな感じで負けてしまうのは仕方ないと思う。59キロで力のあるところは見せたと思うし、3200でこのメンバーなら菊花賞馬の名に恥じない強さを見せてくれるのでは。

 

テーオーロイヤルはあまり強くないと思っているので、この馬相手に健闘したことで人気を上げたサリエラやワープスピードも消し。落ち目のダービー馬はとことん嫌った方が良いと思っているのでタスティエーラも消し。阪神大賞典が道悪の異常ラップだったことを思うと、そこで敗退して人気を落とした馬を押さえておきたい。

特に11番人気で単勝50倍超のサヴォーナ。神戸新聞杯と日経新春杯いずれも2分23秒台の決着で僅差の勝負をしている。菊花賞では痛恨の出遅れ。さらに超スローの展開になって、ラスト1200から一気にまくったもののラスト2ハロンでなおもスピードを求められる展開では力尽きてしまった。前走の敗因が道悪だとしたら巻き返す余地はありそう。

このサヴォーナに日経新春杯で勝っているブローザホーンも同じく阪神大賞典で人気を落としたタイプ。前走さえ度外視すればまだ底を見せていない。

あとは天皇賞3年連続2着のディープボンド。阪神大賞典も元々2連覇していたけど、昨年は5着に敗退して、そこから天皇賞本番は巻き返して2着。昨年と今年の阪神大賞典はいずれもラスト1ハロンが57秒台と言う後半だけの競馬になった極端なレースで、ディープボンドがそれに適性がないのは明らか。天皇賞本番でGI特有の厳しいペースになれば今年も浮上してくる可能性は十分考えられる。

 

さらにもっと大穴で、12番人気単勝100倍超のプリュムドールも是非買っておきたい。3000m超のレースでは3,1,2,6,4着と安定して走る生粋のステイヤー。特に一昨年のステイヤーズSでは、通ったコースの差を思えば勝った最盛期のシルヴァーソニックよりもこの馬の方が強い競馬をしていた。昨年のアルゼンチン共和国杯は9着だったけど4角18番手から0.4秒差まで追い詰めた。走破時計は2.30.3。阪神3000の古都Sも3.04.2とそこそこの好時計で勝っていて、綺麗な馬場でのスタミナ勝負に適性がある。いつも大外を回して届かずという展開を繰り返しているけど、この天皇賞の大舞台で2枠3番を引き当てた。しかも1枠2番が取り消して実質2番枠。うまく内の好位を確保するようなことがあれば直線で浮上してくるかも。鞍上の和田竜二も春の天皇賞はテイエムオペラオーによる2連覇だけでなくビッグゴールドやディープボンドで4度の2着経験があり、それ以外にもミッキーロケット、タニノエポレット、ナムラクレセントら穴馬を何度も掲示板に導いてきた現役屈指の実績の持ち主。

 

◎ドゥレッツァ

○プリュムドール

▲サヴォーナ

△ディープボンド

△ブローザホーン

 

テーオーロイヤルさえ切ればオッズは結構つく。頭固定で馬単と三連単。

 

皐月賞

毎日杯を見た時点で皐月賞の本命はメイショウタバルに決めていた。

当日は重馬場でこれ以外にも2つの逃げ切りがあったけど、逃げながら外に出して勝った馬もいたし、大外一気の追い込みが決まったレースもあったので、内に極端なグリーンベルトがあったようには思えない。1000の通過は59.6で、馬場を思えば遅すぎないペース。そこから12.0-11.6-10.9と加速して一気に後続を突き放し、最後も11.9で締めて最終的に6馬身もの差をつけた。2着ノーブルロジャーと3着べラジオボンド、4着ファーヴェントあたりも決して弱い馬ではないはずで、メイショウタバルが強すぎたレースに見えた。今年の時計がかかる阪神芝、しかも重馬場で走破時計1.46.0は素晴らしい。過去に1分46秒台前半以下で毎日杯を勝った馬はシャフリヤール、ブラストワンピース、アルアイン、キズナ、ディープスカイと全て3歳で主要GIを勝っている。

2走前のつばき賞も、ハナに立った後で2,3頭が無理やり絡んできて先頭が激しく入れ替わる厳しい展開。残り800から11.4-11.1-11.1というペースアップを強いられたものの、最後も11.8でまとめて結局後続を振り切った。その一つ前の未勝利戦を勝ち上がった時もそうだけど、この馬はマクるのが上手と言うか、コーナーを回るスピードが異様に速い。直線を向いた瞬間にはトップギアに入っていて一気に勝負を決めることができるという点で、往年の中山王者マツリダゴッホと似ている。あくまでこの馬自身にとっては普通のペースで回ってくるので、最後もうひと頑張りする余力を残している。これでは後続は太刀打ちできない。

ゴールドシップ×フレンチデピュティという血統も面白い。32秒台のキレ味はなくても末脚の持続力でレースを支配して暴力的に勝てる血脈。デビューから2戦負け続けた馬が、一戦ごとに毎回パフォーマンスを大きく上げてきた点も魅力。まさに今が成長途上で、更なる上積みも十分見込める。一週前にはCW6ハロン78.5と快時計をマーク。今年のパッとしない3歳牡馬戦線でこれを上回る馬が果たしているだろうか。

土曜の競馬があまりにも内の前が残り過ぎたのでGI本番でマークが厳しくなりすぎないかが心配だけど、今年の皐月賞はこれと心中したい。

 

 

共同通信杯を無敗で勝ったジャスティンミラノはまだ底知れなさを残しているけど、東京の超スロー2戦しか経験していないのでやはり信頼度に欠ける。これまでに皐月賞で勝ち負けした共同通信杯組はもっといろんなレースパターンでの実績があった。この馬はそれがなかったダノンベルーガに少し似ている。

2着ジャンタルマンタルも堅実だけど、朝日杯は相手と展開にかなり恵まれた印象の方が強い。時計を見てもタガノエルピーダを物差しにしても、阪神JFの方がハイレベルだったと思う。

レガレイラのホープフルSも最後鮮やかすぎて展開がハマった感がある。勝ち時計2.00.2はGI昇格以降最速だけど、昨年末の中山は例年と比べて時計がかなり速かった。前週の古馬1勝クラスでもほぼ同じペースで1.59.9が出ているので、クラシック戦線のど真ん中としてはむしろやや物足りないくらい。GIで人気を背負うにはレースぶりが粗削りすぎるので、馬券的にはいっそ消した方が面白そう。

ホープフルS組では前で鋭く抜け出したシンエンペラーの方に魅力を感じるけど、弥生賞の敗戦で勢いが落ちた。かといって大きく人気を下げたわけでもないので食指が動かない。

 

どうせ粗削りならサンライズアースの方が面白いと思う。すみれSの2.12.0はかなりの好時計。それも前半スローからしびれを切らして一気にまくって他馬を一蹴してみせた。ラスト1000から阪神内回りをマクる間に11秒台前半の相当速い脚を3ハロンに渡って使っていて、それでいて最後2ハロンも11.8-12.0と脚色衰えずにゴールしている。今回人気と実力が一番乖離しているのはこの馬ではなかろうか。今回も出遅れそうだけど、揉まれない外枠だし、1角までの距離が長い中山2000ならデムーロはそこそこ好位に付けてくると思う。GI特有のロングスパート戦に適性がありそう。

最内サンライズジパングが一番よくわからん。ダートでフォーエバーヤング相手に好走したと思ったら次は大敗したり、ホープフルSでは何度も不利を受けながらしぶとく好走したり、若駒Sも馬場を苦にして大敗かと思ったらエンジンかかると楽勝。あまり競馬が巧いタイプではなくてあてにしにくいけど、追い切りでは動くし身体能力は高そうなのと、右回りでは崩れていないこと、そして最内の菅原明良を警戒して押さえる。大阪杯はこいつにしてやられた。

 

◎メイショウタバル

○サンライズアース

▲サンライズジパング

 

◎頭固定として、ヒモはもう少し広げるかも。買い方が難しいな。

それにしても今週の訃報はショックでした。ご冥福をお祈りします。

 

 

桜花賞

先週の大阪杯はステラヴェローチェもう少し何とかならんかったんか・・・。スタートで遅れて道中ではかかって前残り展開を外から追い込んで0.1秒差4着。3着でも1年分、2着なら3年分は儲かってたんだけどなぁ。でも予想が惜しいのは調子が上がってきた証拠だと信じたい。

 

今週は桜花賞。臨戦過程がばらけていて判断が難しいけど、やはり阪神JFの上位3頭は時計も立派で地力を信頼しやすい。特に気になって眺めていたのは3着コラソンビート。鞍上は最後1ハロンで止まってしまったと言っていて確かにその通りだけど、個人的にはコーナーワークが気になった。4角を5番手で回った数字の記録とは裏腹に、直線入り口では外を回すうちに8番手まで下がっていて、差してきたアスコリピチェーノに先に行かれて必死に追いかける展開を強いられていた。せっかく先行していたのにその利をまるで生かせず、前がほぼ崩れる厳しい展開の中で差し脚を伸ばさねばならなかったのだから最後バテて当然。それまで4戦全て左回りだった経験値が出たのかもしれない。前走フィリーズレビューでは2着に敗れたけど最内を綺麗に回って好時計で2着。阪神JFで好走してトライアルで負けて桜花賞で評価を落とすというのはレッツゴードンキやレーヌミノル、古くはアローキャリーのようによくある穴パターンでもある。ぶっつけ本番で挑むアスコリピチェーノやステレンボッシュよりも買いたい、と思った。

 

しかし見返せば見返すほど、その前走フィリーズレビューでコラソンビートに土を付けたエトヴプレの強さが際立ってきた。勝ち時計1.20.1はこのレース歴代2位。歴代1位は22年サブライムアンセムの1.19.9。21年と23年にも1.20.7が2回出ているし、最近は阪急杯で1分19秒台も頻発するので、1.20.1という数字にさほどインパクトを感じなくなった人もいるかもしれない。しかし21年から23年にかけての3年間は、春の阪神競馬は相当な高速馬場だった。おそらく京都競馬場が改修中で阪神を酷使しないといけないので例年以上に芝の管理体制が良かったのだろう。一方で今年春の阪神芝は過去3年と比べれば明らかに遅い。1200の最速は古馬3勝クラス1.08.3。1600最速はチューリップ賞の1.33.1。1800の最速は古馬オープン1.45.4と実に平凡な数字。そんな中でエトヴプレだけが出色の1.20.1。時計が異常に速かった過去3年を除くと、フィリーズレビューの最速は1.21.0なのでエトヴプレの記録がいかに並外れているかが分かる。古馬まで含めても、エトヴプレより速い時計が春の阪神で出たのは、過去3年以外ではミッキーアイルが開幕週の阪急杯で記録した1.19.9ただ一度しかない。

そして驚異的なのは、エトヴプレは前半1000が56.4というハイペースを自ら作って、そのまま脚色衰えずに逃げ切っているということだ。ほぼ同じペースで流れたサブライムアンセムの1.19.9は典型的な前潰れ。今年阪神1400で2番目に速かった古馬3勝クラスの1.20.4でも、前半56.7から前潰れの追い込み決着になっていた。実際、フィリーズレビューでも2番手集団でエトヴプレを追いかけた3頭はすべて沈んで、着順表の一番下を独占している。その中の一頭は3番人気のシカゴスティング。この馬は同じく前潰れ展開だった阪神JFの先行勢でただ1頭掲示板に乗った実績がある堅実な馬なのに、フィリーズレビューではハイペースで完全に潰されてしまった。今年春の阪神は逃げ切りが多かったけど、その影響が特に出たのは次週以降雨が降ってから。フィリーズレビュー当日は芝5レースのうち逃げて馬券に絡んだのはエトヴプレしかいない。決して単純な高速前残り馬場に助けられてのものではなかったと思う。

エトヴプレ自身はそれまで1200しか経験がなく、先行策あるいは中段から堅実に末脚を伸ばしてくるタイプだった。しかし1400で圧巻のパフォーマンスを見た後で改めて1200での走りを見返すと距離不足に見えて仕方ない。父Too Darn Hotもマイルで活躍した馬だし、エトヴプレ自身1200から1400に伸ばしてあれだけパフォーマンスが上がったのだから、1600で期待しない理由はない。逃げなければだめというわけでは決してないので、陣営も逃げないことを前提に作戦を考えている。外目の枠から後発して3,4番手につけて回ってこれれば、今の阪神は大外一気の追い込みは難しそうだし、頭まで十分狙えるのではないか。

 

相手選びが難しい。前潰れのチューリップ賞で届いただけのスウィープフィートは消し。クイーンズウォークのクイーンC1.33.1も一見立派だけど、今年2月の府中は古馬1勝クラスで1.32.8、3歳未勝利で1.33.6が出ている。1400でも古馬2勝クラスで1.19.9や2000古馬オープンで1.57.2が飛び出るなど過去最速と言っていい馬場状態だったので額面通りには受け取れない。鞍上が怖いけど桜花賞は1枠の成績も良くないし、500キロを超えて桜花賞で馬券に絡んだ馬も過去にはいない。それよりは阪神JFの上位3頭と、2歳の時点で圧巻だった素質馬チェルヴィニアですかね。

 

◎エトヴプレ

○コラソンビート

▲チェルヴィニア

△アスコリピチェーノ

△ステレンボッシュ

 

◎頭固定三連単。あとは気性難ライトバックまで押さえるかどうか。