乙嫁語り

『エマ』を描いていた森薫の新刊。発売を楽しみにしてました。今度の舞台は中央ユーラシア。1ページ目からわかるのだけど、驚きの細かさ。とにかく細かい。身につけてる金具、敷物、柱一つとっても細かくてため息が出る。主人公のアミルが8歳年下のカルルクのところに嫁いできたところから始まるのだけど、またこの二人のやり取りがまたかわいらしくて読んでてグネグネする・・・!特に、歌っているアミルを後ろから追いかけてきたカルルクが、アミルの腕を掴んだときのアミルの表情の可愛さ!!!森さんはコマをたっぷりとって、時間の流れとか気持ちの変化のようなものをじっくり描くので、なんかこう、ゆっくりそのシーンを味わえるような感覚になる。ウサギを追うところなんて特に良かったです。あとは2話の柱を彫っているシーン。あれは本当にグッときて、何回も何回も読み返してる。
エマでも思ったけど、森さんは本当に好きなものをゴリゴリ描き込む人なんだろうなあと思った。エマのときはフリル。今回は模様かな・・・。あの模様全部手書きなんだよな・・・ゴクリ・・・。エマも大好きだったけれど、もともとこういう民族衣装や牧歌的なものが好きだったので、ドツボというか・・・!早くも2巻が待ち遠しいです!!!今コミックナタリーで特集してるよ!!→

そういえばこんなこともあった。鼻にほっそい綿棒入れたり。

寂しげな秋の足音が近づく中、私はなぜか病院の待合室にある、素っ気の無い長椅子に座っていたのだった。周りを見渡すと、どことなく物憂げな雰囲気を漂わせた老人たちが自分の番を待っている。そういえば私も自分の番を待っているのだった。病院の独特な匂いがする。あまりキョロキョロと見渡していてもよろしくないと思い、持ってきた文庫を読みながら番を待つことにした。森見登美彦の『夜は短し、歩けよ乙女』である。黒髪の乙女の可愛らしい口調と奔放な行動に心が囚われていくのを感じつつあったとき、名前を呼ばれたような気がして顔を上げた。すぐ目の前にナースが立っており、もう一度自分の名前を呼んでいる。慌てて文庫本を閉じ、名乗り、部屋の奥へと入っていく。老人たちの視線を感じる。
部屋の奥には女医がいた。やった。女医だ。私は勝利を得た気になり、少し浮かれた心地で丸椅子に腰を下ろす。女医の質問は的確であり、義務的だ。私も彼女に応えなければならない。「昨日熱を測った時は37度6分、今朝は少し下がりましたが、頭痛と倦怠感があります。折りしも今新型の『ういるす』が流行っているとのことで、万が一のことを考え、来院した次第です」「舌を出してください」女医はうなずきながら、私に舌を出すことを要求してきた。私は応えなければならない。「もう・・・でないよぉ・・・」というところまで舌を出すや否や、女医は金属のヘラのようなものを突っ込んできたのだった。突っ込む。女医が。私に!服をめくりあげ、喉に触れ、機械的でも感情的でもない丁度良い柔らかさの声で「風邪ですね」と宣告した。判決が言い渡されたのだ。
「でもまぁ、十五分くらいで結果が出ますから、検査してみましょう」そういいながら彼女は、ナースに指示を出す。今度はナースが私の相手だ。私は彼女にも応えなければならない。ナースは手に、日常よく眼にするものを持っていた。だがそれは私が知っているものとは少し形状が違うように思えた。長いのだ。私が知っている綿棒よりも、それははるかに長く、細いように思えた。なぜそんなに長いのか。それにその綿棒で全てがわかるというのだろうか。突然の綿棒との対峙に戸惑っていると、ナースは私に言った。「楽にしていてくださいね・・・口で息を吸うように・・・」私は、従うより他なかったのだ。なぜなら、それこそが重大な儀式であり、そのために私は来たのだから。だが本当のことをいうと、この方法は知らなかったのだ。本当だ。知っていれば心構えのひとつでもしてこれたというものだ。しかし綿棒はもうすぐ目の前だ。ええい、ままよ。と眼を閉じ、私はナースに身をまかせた。
それからのことを何と説明したらよいものか。よもやこの年齢になってあんな行為を実体験するとは思ってもいなかった。そういった点では貴重なのかもしれない。私とナースと女医だけの秘密だ。どんな顔をしていれば良かったのかもわからない。きっとナースは、あれをする度に数々の表情を堪能してきたのだろう。彼女こそが真の勝利者だったのだ。私は単なる通過点にすぎない。待合室では番を待っている人がまだ大勢いる。彼らも通過点にすぎない。女医は舌を出させ、ナースは幾多もの綿棒を積み上げるのだ。
名前が呼ばれた。私は文庫本を閉じ、出口へと向かった。肌寒い。いつもこの時期はなぜか病院の待合室にいかなくちゃいけない気がする。二千円取られた。

スーパーロボット大戦Z

だいぶ前ですがリアルロボ編、スパロボ編両方クリアしたので満を持して感想書くよ!!スパロボスパロボ言ってるけど、実はひとつのタイトルを粘着的にやってるのでPS2で発売されたタイトルをやるのは初めてだったっていう。おかげさまでシステムが斬新になっていてSFC時代から抜け出せなかった脳にはなかなか眩しかった・・・。小隊編成ってなんぞ・・・!
その小隊編成っていう3体一組の組み合わせがなかなか小粋でした。こだわる人はν、百式、メタス(使ったときないけど)みたいに、同じシリーズで組んだりするのかもしれない。しないのかもしれない。マジンガーグレートマジンガーゲッターロボで組むと掛け声が全員入魂すぎてうざ楽しい。ビッグオーとSEEDみたいにまったく違うタイプを組み合わせることもできるので自分の好みに合わせて編成できるのも面白い。贔屓してたのはキングゲイナービッグオー、Z。とにかくビッグオーが強すぎて2頭身フォルムも可愛くて悶絶しました。攻撃のときにバストアップのムービーが出ることがあるのだけど、女の子たちのおっぱいがプルンと揺れてる細やかさにいつも心を奪われてました。あと関係ないけどホランドの声が好きすぎて死にます。ニルヴァーシュのMAP兵器であるところのセブンスウェルで敵を瞬殺したりもしました。つおい。
話はリアルロボ編よりスパロボ編のが好きでした。機体はいつもリアルロボばっか使ってたのだけど、スパロボ機体が無敵すぎて俄然楽しかった!圧倒的武力が大好物です!!!私が神だ!!リアルロボ編のラストは主人公にとって何だか辛いような感じに思えたのだけどあの結末でよかったのだろうか・・・。個人的には1周目リアルロボ、2周目スパロボの順がいいなあと思いました。ボスも良かったよ!頭沸いてる感じが!ストーリーは相変わらず深く考えたら負ける内容なので、基本的に何も考えないでガチンコ異種ロボットファイトを楽しめばいいと思います!!!いやでも本当に面白かった。私の大好きなハマーン様ツンデレが見れたので思い残すことはありません。いかに素晴らしいデレだったのかを連れに訴えたのですが、「キモい」の一言で一蹴されましたミジンコめ。まさかの月太陽アタックとか、夢の4タイトルの協力攻撃とか、もう無茶苦茶だけどそこがいい。無茶できるのがスパロボだって思ってます。普通じゃできない・・・!どうでもいいけど、ロボットアニメに関する知識は大概ここから吸収してます。間違ってる\(^o^)/
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決め方を決めた

何かを決めるときに、優柔不断な私と連れはお互いに決断を擦り付け合い、挙句に険悪なムードを生み出したりするのだけど、それは本当にささやかな事で「昼飯をどこで食べるか」とか「バスに乗って行くか徒歩で行くか」とか本当にしょうもないことが決められないっていうね。普通ならここでじゃんけんなんだろうけど、じゃんけんに弱くて横柄な私が納得いかないので、最終的に携帯の簡易占いで決めることに決まりました。その日の総合運勢の悪い方が決める。実に近代的。こっそり書いておくので私のことを思い出しながらこの方法をあらゆる場面で活用すればいいと思います。

テーマソング

もちろん皆さんのことですから、各々テーマソングを持ち合わせているって信じてやみません。テーマソングっていうか、マイフェイバリットソング?うっかり口ずさんじゃうような?というか別にテーマじゃなくてもいいかもしれないなんて思ったり思わなかったりするんだけど、要するに特に思い入れもないけれど、なぜか定期的に脳内を支配する音楽があったりするんだって信じてやみません。テーマじゃなくても良かったね!ちなみに私の定期脳内テーマソングは「こきりこ節」です。知ってる?こきりこ節。音楽の教科書で知った人が多いんじゃないかなー。知ってるのは「こきりこの竹は七寸五分じゃ 長は袖のかなかいじゃ」までなんだけど、調べたら案外と長くて驚いた。
そんで何でこんな話をはじめたかというと、先ほどからこの歌が私の中に染み渡って仕方がないので、皆さんにすり込んで差し上げようと思った次第で、これを読み終わる頃にはこきりこ節が高らかに響き渡ってどうしようもなくなるに違いないよね!!!みんな共倒れやったー!!!!!!

おっさんが渋い声で朗々と歌ってる動画を探してたら、逆にポップでキャッチーなピコチュンこきりこ節があったのでそれもコンボで。

疾走、チームバチスタの栄光

疾走 上 (角川文庫) [ 重松 清 ][rakuten:book:12549004:image:small][rakuten:book:12549005:image:small]

「初めての重松清」でなぜ疾走を選んだのかまったく自分でもわからない・・なんでだろう・・・。

広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化。

少年の苦労・・・!と思いながら読んでみたら、想像以上の苦難っぷりにうろたえました。落ち込むけど、「読むのがしんどい」というわけではなかった事が不思議。主人公の子の行き着くところを読んでおきたかったからかもしれない。私は走ることが凄く苦手で遅くて、早く走ることに本当に憧れてたので、彼が「もっと早く、もっと早く」と走る描写はすごく惹かれた。ひとり、とか、つながり、とか、そういうことを口にすると簡単に口から出てきてびっくりするのであまり好きじゃないのだけど、もう本当に圧倒的な孤独で、辛かった。印象に残る本だけれど、たぶん読み返せない。

「度重なる手術直後の死亡の原因は事故なのか、事件なのか」その点すらぼんやりとしていて、「事故なの1?事件なの!?」と気になるうちにさっくさくに読めてしまう。ここ最近の中でもダントツの読みやすさ・・・。このまま謎は解けないままかと思った矢先に変人が登場したので噴いた。奥田英朗の描いてる伊良部先生みたいな印象だったけど、ベクトルの違う変人っぷりだった。面白かったけど、何度も読み返したり、シリーズ読み続けたい!というところまではいかなかったです・・・。あと分冊にする必要のない量だと思うので、宝島さんは搾取控えて欲しいな・・・!とか思ったりもしました。