なな
君の手はどこにあるのか。
白い花は咲いているのか。
すべてが幻でもうそでも妄想でも限りあることには変わらない。
朝が来て走り出して手を伸ばして
さようなら
夜がきたら逃げるから。
私がここにいたことは内緒。
もう少しだけ
そう、きっともう少しだけ
息を止めたら見えてくる。
ろく
手を伸ばしてみたものの 掴んだものはもう持っているもので
ためしに弾いてみたピアノはだたの騒音でしかなく
飾り立てたドアとなにもない窓辺に引っかき傷を残そう
君はそこにいた うそをついた笑顔
となりの木の葉は一枚もない うそもつけない
走り去った車を追いかけた 止まってくれなくて八つ当たり
冷たい顔 暖かい手 真実は口 斑なマフラー
私はマンホールを覗き込む
さようなら
もうすぐ冬が来る
ご
つまりそれは嘘で、私はなにも顧みず向かおうとしているのだ。
ただ真っ直ぐに伸びる道は果てしなくしかしあっけないものだ。
なにかあるのではないかと期待した未来
よくある感動に涙してみるときもあった
それはそれで
転がれ 転がれ
まわれ まわれ
つまりそれは嘘で、本当は本当でついに終末
曲がりくねった道の先は意外とシュールで
ただただ甘い
さん
あっけなく
あまりにもあっけなく
もう永遠に聴けないのだという現実を突き付けられた
どうしよう?どうしようもないけど
目も耳も閉じてしまえばいい?
もうなにも聴かなければいい?
涙は枯れたと思ったのに
サヨナラはいえない
また、いつか
に
なにも言えない
なにも言うことがない
わかりきったつまらないことしか言えない
どうしたらすべてを伝えられるのだろう
言いたいこと?
言わなきゃいけないこと?
どうなってもどうしてでも言わなきゃいけないことなんてあるはずないと
思っていたのに
伝えないといけないことなんてないと思っていたのに
いまはただ
はやく
これを言葉にしたいと
いち
とりあえず真っ直ぐ歩いてみたが、この先になにかあるのだろうか。
もしもあるとして、それは自分にとって都合のいいことではないだろうか。
何を求めているのか分かり始めてきた嫌悪。
夢を見ているようで実はなにも見ていない。
「願ってもかなわない」と白けて悟った自分に酔っているから目を閉じても
まっすぐに歩けるのだ。
たとえそれが崖っぷちでも気つかないくらいの酔っぱらい。
すごく幸せな一本道。