自己効力感(self-efficacy)

−ある事象に対し自分が達成できるか否か。
 達成できると思う場合は自己効力感が高いといい、達成できないと思うことを自己効力感が低いという。
 言葉は定義を理解すると意識におかれる。そして自分を客観的に見た場合にそれを強く意識する。高い−低いといったバロメーターがあればなおさらだ。
 でもそれって生きていくってことに対しては必要条件じゃなくて十分条件なんだよね。必ずしも要しないもの。
 ただ知りうるだけに壊すことができるのは自分の意識においてのみである。
 簡単に行動を促すアドバイスは相手のためにならない。自分の論理は自分で確立するし、例外も自分で作る。

湖にて

少々迷ったがあの湖にたどり着いた。車を降り、湖畔をギリギリまで進む。周りにはポツンとした外灯が続いているだけで、湖の深々とした厳かさだけが永遠に正しさを主張しているようであった。
僕は以前一緒にここにきた後輩が吸っていたたばこを少し前に寄ったコンビニで購入していた。袋から取り出し、封を切る。火を付けそれをくわえ煙を肺に入れゆっくりと吐き出す。一本を吸い終わるとじっくりと湖をみる。今日は曇っていて残念ながら星は見えない。少し波が立っていた。
闇だ。体と思考が少しずつ黒くなっていく。このまま闇になれたらいいのに。ここには非現実な考え方を笑う人間はいない。少しだけあるべき姿に戻れた気がした。

without you

軽い別れ話を繰り返し言葉が事実になってしまった。大切なものだったはずなのに、相手にとっても僕にとっても。
いつも自分勝手だと罵倒された。心がいつも独りきりだったんだよ。彼女のすべてに憧れていた。彼女が太陽であったなら僕は月だったろう。
しかし憧れはいつまでも憧れに過ぎずいつしか太陽はみえなくなってしまった。確信犯だった。みえないふりをしたんだ。みえないふりをしてたはずなのに本当になくなってしまった。
今思うことは、あれは本当に大切なものだったのかな。最初から、そして最後まで。
今日はゆっくり眠ろう。外から聞こえるトラックの音は少し耳障りだけど、今日ぐらいはいい夢を。もしも神様が同情をくれるのならば。

今日ご飯食べた後輩に
「○○さんは静かな人ですか?」
と聞かれた。静かな人…うーん、静かなのかな。
あまりペラペラとしゃべることは得意ではなく、頭の中で言葉を考えながらしゃべっている。ただ、最近その頭の中の構成がうまくできず、そもそも会話というものの意義さえも自分の中ではあやしくなっている。
うまく会話を成立させることができない。会話というものが人と人距離を縮めるものだとすれば、多分それができていない。
言葉を選んで、距離をはかり、近づかない。いや、近づけさせていないのかな。甘い言葉は虫歯を作り、辛い言葉は人を歪めてしまう。そんなことはないのに、そんな風に思ってしまう。
だから時折、素直に頭に浮かんだ言葉を簡単に口には出せない。それはその人との距離をはかりそこねてないかが不安になるから。相互の距離が等距離でないのが怖いから。しかしそれはそもそも同じであることはないんだろうな。ただわかっていても反射的にやってしまう。クセづいてるんだろうなーよくないな。うん、よくない。

夢のささやき

私には恋をするとその恋がまさに純然にそうであると確信できる、一つの出来事が起こる。
それはその人の夢を見るということである。
これはもはや通過儀礼ともいえるものだ。これまで好きになってきた男の子はすべて夢に見ていた。
あるときはすべてが無言であったり、あるときはまるで付き合っているかのような振る舞いの時もあった。
そのすべてが砂糖菓子のように甘く、目が覚めると例外になく好きという気持ちでいっぱいになり、すべてに対し穏やかな気分になれた。

そういった予感はあった。知れば知るほどその人に引かれていくのがわかった。
今日は夢であえるだろうか。どんな夢だろうか。想像を枕にし、理想を体に包む。
明日はきっと穏やかになれるだろう。

小さなころから大好きな季節が来る。その匂いを夢の中で私は感じていた。
雨の匂いに、暗い空、雫に満ちた植物たち。みんなが嫌うこの季節を待ち望んでいる。
傘をさし、無限に落ちゆくその音を聞くことの好き。シックで形の整った長靴を履くことも幸せに感じる。
どうしてみんなはこの季節を嫌ってしまうのだろう。
朝早く起きたときにはもう降っていた雨をぼんやり愛でて、庭の外にでて雨を吸い込んだ芝生に裸足で足をつける。新鮮な冷たさにやっと目が覚めた感じがした。
足の汚れなんか気にもせず家の中に入ろうとする私に、父が呆れ顔でタオルを出す。
毎度毎度のことだがその顔を見るたびにこの感覚を分かってくれてないであろうことをとても残念に思う。
親子なのに。
足を拭き終え、いつものように母の作った毎日同じようで、なんだか微妙に違う、極めてオーソドックスといえるであろう朝食を食べ、部屋に戻って学校に行く準備をする。今日は雨だ、念願の雨の日。傘立てから取り出したお気に入りの傘は私同様になんだかわくわくしているようなそんな気がした。
これで目的地が学校じゃなかったらどんなによかっただろう。