恋は透明な戦争だ、この言い回しがえらく気にいって空にまで、どうだ!、言葉さえあればこうやって俺はなんとでも言えるのだ!、ざまあみるがいい!、言葉の末裔気性の何ら持ち得ない者はこうした砂糖菓子のような粘膜の叱責を創刊する事すらできないのだから!、愛だの労働だの理性だの文明だの2012年冬!だのと訳のわからなん言葉で演説して生きるしかないのだ。。。そうやって語りかけるのだ、何者でもない、生きた屍の解剖絶景である人間なんていう存在にではなく、空という単細胞の理性に、冬の真意に魂を澄ますまでもなくただただ寒いのだと白く塗りたくる、こんなに熱い白き不随の季節を俺は他にしらない、冬の路面に夏は冷酷保存されその切っ先を木々の根にしっかりと打ち込んで時に跪いて己の自由だけを祈る、季節なんてもんはそうした威嚇の交代でしかない、どの女が去りどの女がやってきてもどの女の群れを見失っても瞬きひとつ変える事のない輩が愛情死後膠着のデモ行進を開催する日に部屋の土に暴れる不意の記憶の花火を埋める事は美しくも真っ当でもなくただそれだけが己にとっての心音だからだろう、王座は漂流物だ、俺の季節のカラクはえらく単純な鉄の鈍い味そのものだ、冠を股に咲かすか、胸に咲かすか、唇に咲かすか、鏡のまえで何時間も悩む乙女未然の化物の仕草に似て、奴らは俺がついにその美しさを受け入れる事を知っているのだ、恋も季節も、はじめから疑っていたが、真実に夜に消えずに存在するものがいくつもこの世にあっちゃこまる、それだけはごめんこうむりたい、なにもかもを孕んだ美しさなどただひとつあればいいのだ、ごめんだ、虹色など、ただひとつの色でいい、嗅いでも抱いても確かめる事のできない透明な戦争、俺だけが兵士で、君だけに向かって、恋は透明な戦争だ、今夜だけがその夜なのだ

明け果てたこのくだらない年も最早兎や角言うには酷すぎるほどに時を中央から薪割ったみたいな2月を鼓動してやがる、右往左往する人魂共が口々にやれこれが美しいとかやれ今年はこの花の祭りこそが真髄だとか抜かすその宴から遠ざかって黙祷しているとでも勘違いを食らっているのかもしれないという不名誉な決めつけに呪いの彩色を遠隔で撃ち込むだけの理性だ、喪に服すなんて文明過剰な行為を産まれてこの灰、一度もしでかした事などないのだから一秒たりとも一熱も喪になど服してはいないのだ、恋に喪、季節に喪、くだらない、みくびるな。

年末年始に彼女が地元に帰っていた事に酷く絶望する理由が自分にはわからないのだけれども、そこで他者の感情であるようなその感覚に困り果てたり悲しんでみせたりすることは万が一もないのである。

ああ、私はついに、戦争終わりに帰郷する生存者の美しさに敬礼できずに、唾を花に吐くだけの、なにもしてはいなかったのにそれまでずっと生き延びてしまった村の不具の野良男のような魂なのだな。

彼女がきっと長年奪われつづけてきただろうその安堵の幸福の営みに帰る姿を美しいと思えないのだから、もうほんとうにある部分では人間ではないのだろうなとただ思うのだけれど、なぜかその事に寂しさも悲しさもないのだから、酷い話だが、この心持ちに或る「彼女が帰郷する事に彼女の人間的な弱さをその敗北を感じる」と酷く苦い確信が鈍く光つづけるのである。

それにしてもこの男はそれではこの女にどうしていろと言うのだろうか?、
男はこの女に連れの男がいないのが我慢ならないようである。
年末年始だというのに恋人との逃亡もせずに、自分をどこまでも好いてくれるような輩の大群とじゃれあっていたり、離縁乙女放浪花火で血の恩恵を放棄しどこかの都市に遊び逃げるなどもせずに、いい歳の女がなぜにただ故郷の優しい血のゆりかごのなかに帰るのか、そんな子供じみた事をしているのか、家族と過ごしながらファンの質問に答える、そんな彼女の指先の仕草に人間的なあまりにも人間的な熱と情けなさとダサさを感じて、ああ、あやしあやされる絶対的な愛情関係のおままごとに終始しているようなその残酷さを放棄した緩やかな生き方の姿勢に酷くつまらなさを感じる、そうこの男はぬかす。

この世界の普通の人々の行為をしているだけで酷く吐き気がするのだからと、唐突にまくしたてる、この男はもう終わりなのだ、完全に、人間的意識化で彼女を愛する事はないだろう、そう自覚せしめたからには、人類の血潮紛いの形跡だけが残るあらゆる遺跡のうえで自殺したい衝動にかられるのである、文明前夜の遠吠えで自慰を月に刺す。
この魂の奇才破損はいよいよ末路の値上げだ。

彼女にはあの都市が似合っているし、彼女はあそこにとどまるべきだ、あの都市から離れるな、そう呟き通して夜に食われる。

除夜の鐘とは上手く美しく人間どもを騙せる言葉装飾をこしらえたものだ、永遠だとか、除夜の鐘だとか口走る生き物、つかまるか、
俺からは夜を除けないぞ、除かしてたまるものか、それの鼓動の高鳴りが今年のはじまりだった。

夜を除きにくる鐘と刺し違えた夜明けの温度は人肌みたいに糞だった。

夜を護るのだ。夜明けを許せずに。

俺が無名の!無職の!30の!詩人未遂未然祭典野郎で!君が有望で!美しい!25の女優野郎で!

ああ、恋すべきだ。
俺と君は愛を共犯すべきなんだ。

なにもない男を愛せる野生の火に火を放つのは俺だ。

なめるな。
かわいいひと。
俺をなめないでくれ。

この愛を、愛を。

一刻の猶予も許してはくれない女の発作だと宣言してくれ、なにも語れない胸の蜂蜜の溶解の洪水で、俺の裁き錬金左遷塔を壊してくれ、

電車が来る。
この暗闇割いて君の駅の花氷柱めがけ、互いに抜いた瞳で刺し違えられるまで!

i w y i n y i l y

リアルな君。
リアルな君にしか興味ないよ。
俺は弱いから、すぐに生身の君から盗んだ輝きを神話の乙女と錬金結合させてしまって悪魔的不正な君を創り出してしまう。

俺の部屋のなかで裸で彷徨く君。

悪魔。
君の胸のいちばん硬い場所のその絶壁でもいい。
どんなに恐ろしい現実でもいい。
リアルな君の呼吸だけが俺の幸福なんだ。

君の睫毛の原始に俺の乙女の神話を葬ろうか。

冬だね、

君、君は俺の姫、とどめぎみ、とどめ君。
冬だよ。

豪華絢爛な夕日の主催する光の着床を見過ごそう。
愛しい誰かがお嫁にさんに咲く頃、君はただ、こんなにも女の子で居てくれた。

君の乙女の暦だ、君の女の四季だ、君の季節が昏睡などしないように、俺は空になにを刺せるだろうか。

君がフィルムから帰ってくる頃に、俺は君の住む街に発つ。
君に向かって。