海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

浅学の徒

昨日のこと、知らない人からメールが来た。一昨年某業界の広報誌にインタビュー記事を載せてもらったことがある。その時にキャンパスにいたクモの写真を記者さんが撮影して、記事のカットとして挿入していたところ、その写真についての問い合わせだ。なんでもその方がちょうど同じ時期に、その種を見つけて京都府での初記録として報告を書いていたとのこと。で、その報告が出てしばらくしてから、私の記事のことに気がついて、それで問い合わせのメールをくれたとのこと。私の発見地とその方の発見地は2kmも離れておらず、しかも発見時期も同じ頃ということで、ひょっとしたら、同じタイミングで(バルーニングとかで?)侵入してきたのかなあ、ということである。そういえば、私も写真撮影の時に、えらい珍しいクモがいるなあ、とは思っていたものの、分布とか分類とかあまり興味が湧かないたちなので、まさか京都で見つかってない種だとは認識していなかったのだが、その人はちゃんと認識しておられたということだな。っていうか、私も不思議に思ったらその気持ちをテコにちゃんと突っ込んでいかなきゃいかんよなあ、という反省の弁。

食べ過ぎ謙信

ヨメサンが実家に帰って、上の子はバイトで遅い。そしてぶーちんは北の大地の人になったのであるから、今日の晩ご飯は1人でなんとかしなきゃならないことになる。で、夕方は伸ばし博士なので、お店のある隣町で外食でもすべえか、とバーガーキングでチーズワッパーセットを食べたのだが、物足りなくて、ついスーパーの稲荷寿司とか買って帰って食べてしまう。さすがにお腹いっぱいだなあ、と思っていると、冷蔵庫の中にご飯が半膳ほど残っているのを見つけてしまった。見つけなきゃよかったんだが、ともかく記憶を遡ってみると、、、これ、火曜日の夜に炊いたものでは???こ、こ、これは食べないとまずい。と思って食べちゃった……昭和生まれなので食べ物をムダにできない人なのオレ。

マルクス、ベイブ、コーネリアス

上の子と鏡像自己認知の話になって、やっぱそれを考えるなら「吾輩はカモである」を見ないとねえ、という話になる。で、そういえば映画でチンパンジーとかが鏡を見るシーンってあるのかなあ、と思うわけ。昔「ベイブ都会へ行く」にはあるはずだ!と思って調べてみたけど、なくてがっかりしたことがあるので、今度はもっと本格的に探すべきだ、と考えるのね。で、いかにもそういうシーンがありそうな映画といえば「猿の惑星」であるからして、まずは「創世記」を見てみた。が、ない。しからばオリジナルである。考えてみれば、オリジナルってテレビでしか観たことがないかもしれなくって、改めて見てみたら、えー?こんなシーンあるんだ、とか思うことの連続である。っていうか、チャールトンヘストンが尊大極まりないキャラクターで、なにこれ?と思った。あと、なんか脚本も酷いね。オチが来るまで時間を潰すことだけを目的としているんじゃないか?と疑いたくなる。まあそれはともかく鏡だ。やっぱりない。ただこちらの場合は鏡自体は登場していてチャールトンヘストンがヒゲを剃るのに使っているシーンがある。で、この鏡はコーネリアスジーラのものと考えられるので、猿の世界にも鏡はあって、ということは彼らも鏡像自己認知ができるのであろう、ということは言えるのである。とはいえ、もっと直接的なシーンがあるのに越したことはないので、更なる探索が求められるのである。

倫理を問う

2つあるオンデマンド科目だが、一つの登録者数が700人近くになっていることがわかった。もう一つも400人を超えている。どちらも2回生以上が履修可能な科目で、全学の在籍者数が2回生以上だと4500人ほどなので、およそ全学の4人に1人が私の授業を取っているという計算になる。おそろしいことだ。去年もたくさん受講生がいたが、今年はさらに拍車がかかっている。どうやらオンデマンド科目が減っているっぽいので、残された科目に受講が集中しているのではないか?と思われる。集中の理由のもう一つの可能性である、楽勝科目と思われている仮説については微妙なところである。というのも、この科目たち、結構な割合で不可を出しているからだな。1割5分から2割程度が単位を取れていない。ただし、真面目に受ければ確実に単位取得になるように設計しているので、それを好む学生が多いということは言えるのかもしれない。あと、やろうと思えばハックはできるので、そういうところに楽勝科目性を見いだしている学生がいることは否定できない。で、真面目な教員であれば、ハック可能なのは許せない、となるところだろうが、不真面目な私としては、やりたければどうぞ、である。そんなことしても自分のためにはならないですよ、ということは訴えた上で、それでもやりたいのなら無理には止めません。そんなことに血道を上げるのは誰のためにもならないからね、というのが私の考え方。いや実際いるみたいなんだけどね、オンデマンド動画をろくすっぽ見ないで成績評価にかかわる小テストだけ受ける人が。まあ、やられる方としては面白くはないけど、だからといって、それを防ごうとするのは自分も闇に飲み込まれるだけだから。それはともかく、成績評価もほぼ自動化されているので、受講生が何人になっても私的には特段問題ないのだけど、あんまり酷いことになると上の方から目をつけられるんじゃないかとそれは心配ではある。誰も気がつきませんように。

1/18

ついに今日から2024年度の授業が始まってしまった。。。気が重い。しかも今年の火曜日は少人数科目3つにオンデマンド科目が2つと来たもんだ。半期で6科目がノルマだからそのほとんどを今日こなすというわけだ(実際はオンデマンド科目に時間を取られるのは月曜なのだが)。幸いなのは、少人数科目の受講者が3つとも、反応の良い人が多いことで、こちらの働きかけに応えてくれる人がいれば、まあなんとかやっていけるかもしれないねえ、という。あと、3科目のウチ1科目が時間割変更の可能性が出てきて、そうなると火曜日集中の度合いが少し和らぐのであるなあ。そうなると楽ではあるのだけど、一気に終わらせられれば自由度が上がるというメリットもあるので、よしあしではある。ともあれ、半期90回授業しなきゃいけないもののうち、やっと今日で5回分をこなしたということになるわけ。

スポックの不在

ネトフリで「寄生獣 −ザ・グレイ−」を見る。寄生獣というと、原作マンガは傑作中の傑作。一方、映画化された作品は、予告編を見るだに雑に作られてるっぽく、原作の激ファンであるところの私としてもちょっと見に行く気がしなかったもので、っていうか、なぜこの傑作マンガを汚すようなことをするのであろう、と思っていたわけだ。なので、今度は韓国を舞台に連続ドラマとして映像化されたと聞いても、最初は食指が動かなかったのだな。けど、たまたまネットに流れてきた一部シーンの映像を見て、あれ?これは意外と丁寧な絵づくりではないか、と気がつき、韓国で作られてるのなら日本の映像化みたいな悲惨なことにはならないかも?と思って、見始めたのだな。そしたら面白かった。原作の設定を借りてはいるものの、舞台は韓国で登場人物も一から造形されていて、新しい話として作られたのが、まず第一の成功の要因だと思われる。こうすることによって、原作を知っているものが映像化作品にどうしても感じる違和感を回避することができるわけだな。一方で、原作の設定からはまったく逸脱せずに話を転がしているわけで、見る側としては「わかってるじゃん」という満足感も得られる。設定は同じなのだけど、主人公の属性が微妙に原作とずらしてあるところがまた上手なところである。泉新一とミギーのような同時に両者の意識がある設定ではなく、主人公とパラサイトの意識が同時に存在できない、というように設定を違えているわけだが、こうすることによって原作にあった人間とパラサイトの対話ができないようになっているのだな。原作ではこの対話があることによって、ミギーの主人公性が強くなっていて、っていうか、泉新一はミギーというかパラサイトの側にいったんは行ってしまいかけるとこまで描かれているのだが、今作ではそういうことが起こりえないようになっている。で、人間側に主人公に密接に関係してそれを助けるキャラクターを配置することで、本作は人間視点から語られる物語になっているのだな。これは感覚的に受容される映像作品(しかも連続ドラマ)の作りとしては適切としか言いようがない。原作のような人間ならざるものからの視点によった話は哲学的で、まあ映像を見る人に広く受け入れられるかというと難しそうに思われる。つまり、本作は映像化作品であるにふさわしい主人公の属性の設定が行われている、ということで、まあなんというか感心するわけだ。ただし、このことによって、原作にあった、人ならざるものから見た人間性賛歌、というテーマを描くことが構造上できなくなったという面はある。まあとはいえ、良くできた作品だと思う。楽しめた。

もったいないオバケ

北の大地で大学生活を始めたぶーちんから家族のメッセージグループに写真付きのメッセが送られてきた。キタキツネだ。さすがは北の大地。キャンパス内にキタキツネが出没するのであるなあ。おおお、と盛り上がる残され組である。中でも最も冷静居士を自任する私としてはエキノコックスに気をつけたまえ、とコメントするわけだが、ぶーちん曰く「T澤さんが構内のエキノコックスは駆除されたといってた」とのこと。ウッソーと思って調べてみると、確かに10年ほど前に構内全域に駆虫剤入りのベイトをまいていて、一発では完全に駆除できなかったけど続けているうちに卵を持った糞が見つからなくなった、と書いてあるじゃないか。で、今もまいているかどうかは知らないけど、T澤さんの言うこともあながちウソじゃないっぽいことがわかった。面白いなあ。っていうか、家族4人の中で一番生き物に興味のないぶーちんが生き物にあふれるキャンパスで暮しているというのは世の中うまく回るとは必ずしもいえないということであるなあ。