映画のはしご観は楽しいよ


バットマン・ビギンズ
まずは蝙蝠男爵エピソード1。というかスーツを着るとこまでやるのでエピソード3なのかも。ケン・ワタナービーは、やはりお客さんだったなあ。
前半のヒマラヤ修行シーンはかなりはっちゃけていて、これはかなりのハジケ映画になるのではと期待したのですが、後半は打って変わって抑制をきかせすぎて軽く失速ぎみ。ティム・バートン版やジョエル・シュマッカー版とは違うものにしてやろうという気負いなのかも知れんが、その一方で、はずしてはならない基本設定に縛られてしまい、つじつま合わせに終始してしまった感がなきにしもあらず。とはいえ、全体的には破綻なくまとまっていて、そこはさすがノーラン監督ですな。まあ、可もなく不可もなくと言ったところでしょうか。
バットマンガン=カタを使わなくて残念」とかそうゆうことは言うな。


フォーガットン
インドカレーをはさんで2本目。
事故で死んだ子供のことが忘れられないジュリアン・ムーアだが、それは彼女の妄想だと言われその事実が次々と無かったことになってゆく。国家安全保障局の追跡やなぞの人物の妨害を振り切った果てにたどり着いた真実とは!?
映画評とかでさんざん「ものすごい結末」とか書かれていたので、どんだけ開いた口がふさがらないオチかと期待したのですが、宇宙規模の陰謀だった割には着地点はどうにも地味。結局解決していないわけだし。この手の驚愕の真相ものは、その真相がいかにトンチとハッタリが利いているものかにかかっているのにもかかわらず、そのどちらもが飛距離不足だった模様。やっぱこの手の映画はバカバカしくてなんぼでしょ。
そんなことならいっそのこと、ホントにジュリアン・ムーアの妄想だったというオチのほうがよかったかも知らん。

近代麻雀オリジナル6月号

今月で連載漫画のほとんどを打ち切って来月から新装開店するらしい。新連載9本ってこれじゃリニューアルっつうより創刊号だよ。何があったか知らんけど、確かにむこうぶち、アカギ、兎などを連載に持ってる本誌や、雀鬼桜井章一をフィーチャリングしたゴールドに比べるとオリジナルはいまいちパッとしない印象があったし、看板まんががザンクというのもなんとも心もとない。
こういった思い切ったテコ入れって、心機一転というよりもなんか崖っぷち感が強くて、あまりいい印象は持たれないような気がするのだが。表紙の見出しが「全員リーチ!!!」って、なんの冗談だ。


さて、じゃあ編集後記でも読んで、編集者たちのジリ貧っぷりを堪能してやろうかのう。



「アニメ・アカギも始まりますよー!」



・・・・・・マジですか?

3・2・1、ハッセルホフ!(でなくて「ドッジボール」)

それにしてもベン・スティラーはブレイクしねえなあ。スタ&ハチも結局ロードショーしないでビデオスルーだし。
そんなベン・スティラーがイヤミマッチョなジムオーナーを好演した「ドッジボール」。この映画の影響でアメリカでは今、空前のドッジボールブームらしい。ほんとかよ。ドーピングをしてヒゲの生えたガールスカウトの子とか、ピザを使ってオナニーをしようとしたらドアが開いて慌てるとか、ドイツチームのコーチがデビッド・ハッセルホフだとかそんなのばっかで、これでスポーツとしてのドッジボールの魅力が伝わるのか怪しいもんだ。伝わってくるのはベタと適度な下品と世代直撃ギャグって、いつものベン・スティラーの映画じゃん、これ。
デビッド・ハッセルホフといえば、タランティーノが「ジャッキー・ブラウン」でパム・グリアを復活させたころ、「今度はデビッド・ハッセルホフを映画に使いたい」みたいなことを言っていたなあ。あれから十年近く経ったけど、いったいどうなってんだろ。もう忘れてるとかないよな。
と思っていたら、ウェズリー・スナイプス先輩の特攻*1アクション「ブレイド3」でも、セリフの中にハッセルホフの名が。もしかして流行ってるのか?デビッド・ハッセルホフ。てことは、ひょっとしたらひょっとするかも。

*1:ぶっこみ

20週目でやっと気づく

鴨下燕…鴨川つばめ、山上龍広…山上たつひこ、望月明夫…望月あきら、小山田維子…小山田いく、古賀瞬一…古賀新一、阿砂博之…あすなひろし・・・
剣聖ツバメ」を読んでて、なんか引っかかりを感じていたのだけど、登場人物の名前がみんなチャンピオンにゆかりのある漫画家の名前をもじったものだったのか。なるほど。しかも70〜80年代の人ばかりなのでちょっとツボ。
これからは石井いさみ内崎まさとし立原あゆみあたりが出てくると予想。水島せんせいやどおくまんは微妙。

セルラー

日比谷映画も3月で閉館かあ。味のある映画館で好きだったのだがなあ。


高校の生物教師である人妻が、ある朝得体の知れない男たちに拉致・監禁される。頼みの綱は破壊された電話機のみ。拉致犯の目を盗んでむき出しになった配線をつなぎ合わせ、偶然つながった電話の先の見知らぬ男に助けを求める人妻。はたして男は人妻を救うことが出来るのか!?


ジャック・バウアー捜査官に狙われたブルズアイが電話ボックスに貼り付けにされる「フォーン・ブース」の脚本家が書いたもうひとつの電話スリラーということで、観る前は薄暗くジメっとしたサスペンスを予想したのですが、ふたを開けてみたら実はアクションコメディだったのでびっくりした。


まあ実際、人妻キム・ベイシンガーが監禁されている場所が屋根裏部屋ということもあって、そこは薄暗さ満点なのです。が、舞台であるロサンゼルスのまぶしい青空や、助けを求められた携帯の主クリス・エバンスのチャラさ加減、周囲の人たちののんきな反応や、2度も車を盗まれて踏んだり蹴ったりの弁護士、バッテリーが切れそうになるとうまい具合に携帯ショップが見つかる都合のよさといった、そこかしこに漂う能天気ぶりがネガティブな雰囲気を見事に帳消しにしてくれます。
デッドコースター」や「マトリックスリローデッド」のカーチェイスなどで鳴らしたデビッド・R・エリスの演出は、必要以上に車をぼかすかクラッシュさせたりとサスペンスとは程遠いものでした。が、無理にシナリオの雰囲気にあわせたりせず自分の得意なフィールドに引っ張り込んでしまう豪腕ぶりはとてもハリウッド的で、かえって潔いと思いました。この映画が持つマッチョ感は「ジャッカル」を思い起こさせます。


ラスト、無事助かった人妻キムにお礼がしたいといわれたクリスが「じゃあ、もう電話を掛けないでくれ」というオチも、とてつもなくハリウッド的。アメリカ人はジョークでしか会話できんのか。