地震と性欲とオナニー

3月11日に地震が起きて、東北に住むたくさんの方々が被害に遭われ、そのニュースをテレビで見ていたら、性欲が全くなくなってしまいました。被災地で今もなお、寒さに耐え救助を待ち、それでも頑張って生きている方々に比べたら、東京にいる私なんてたいした困難にも遇っていない。なのに、エロいことを考える気持ちが全くなくなってしまいました。オナニーもセックスも全くする気がなくなってしまいました。「母さん、私の性欲、どこに行ったんでしょうね」。そんな感じでした。



なのですが、ついさきほど、震災後初めてオナニーができました。
毎月、ビデオ・ザ・ワールド誌でやらせていただいているインディーズビデオのレビュー用に送られてきたサンプルAVを見て、オナニーしました。

思えば3月11日以降、AVも見ておらず、こんな時にAVを見る気にもなれなくて、でも仕事だから見なきゃと奮起して、暗い気持ちで見始めたのですが、2本目に見た『七海なな×素人 ヌキまくりツアー』を見て、やっと性欲が湧いてきて、オナニーできました。



作品の内容は、七海ななさんが5人の素人男性とエッチな願望を叶えるバスツアーに出掛けるという、いわゆるファン感謝祭ものだったのですが、全編通して笑顔で素人さんと触れ合って、身体で心でご奉仕する七海さんの、一点の曇りもない笑顔と明るさに救われました。セックスっていいなと思いました。



地震発生から9日が経ち、ラジオでは音楽が流れ、テレビではいつも通りのバラエティ番組が放送されています。「こういう時のために音楽がある」「こういう時のために笑いが必要だ」という声を聞きます。その通りだなと思います。そして、AVだって、こういう時のためにあるのだと私は思います。



この先、今まで以上にAV業界はしんどい状況になっていくのかもしれませんし、AV業界で働かれている方々の中には、「こういう時にAVって何の役にも立たない」とか「こういう時にAV稼業の自分は世の中のための何の力にもなれない」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことない! って思います。

こういう時に、AV見て元気取り戻して性欲取り戻してオナニーして救われた私みたいな人間もいるのですから。



だからAV制作に携わる方々には、ムラムラっとした性欲を解消するだけの作品ではなく、「これ見れたから明日も生きていこう」と思えるようなAVを作っていって欲しいなと思います。





……と、私が今こんなことを言っても被災地の方々は何一つ救われることはないですが、言わずにおれなかったので書きました。

もし高校野球の女子マネージャーがみんな健気な『ヤリマン』だったら

「もし高校野球の女子マネージャーがみんな健気な『ヤリマン』だったら」 DEEP’S  監督 井坂朋泰


タイトルとパッケージで分かるように、昨年話題になったあの本をパクったバカAV……と思いきや、これが意外と爽やかで清々しい青春AVなんですよ。


何故かYouTubeで予告編がアップされています→http://www.youtube.com/watch?v=3YskadxtrHE


一時期ツイッタ―ではこのタイトルを挙げて、「くだらねー」「ひどすぎる!」みたいなコメントが多数並んだりしていて(TBSの文科系トークラジオ『Life』でも二村監督がこのタイトル名を口にしただけで周りから「ひでぇ〜」の声が挙がってました。まあそりゃそうだろうなぁ…)、ネタやら話題にしながら多分ほとんどの人が観ていないんだろうなぁと思いますが、すごい良かったんですよ、この作品。


舞台はとある田舎の高校野球部。季節は真夏。3人の女子マネージャーが登場するオムニバスものです。夏服のセーラー服にポニーテールが似合う娘を揃えているのもポイント高いですね。それぞれ絡みにいく前にグランドや山道での練習シーンが入っていて、監督の横で「ファイト〜!」「もっと声出していこー!」と声掛けたり、調子悪そうな部員を気遣ってフォローしたりとかっていうマネージャーとしての仕事ぶりがちゃんと描写されているので、その後のフェラやセックスシーンの興奮度が上がるし、「あの○○マネージャーを、今俺は一人占めしてるんだ」感、「俺達、こんな可愛いマネージャーにこんなコトしてもらってるんだ」感をもたらしてくれるんですね。


パッケージの裏にも書いてあるように、ヤリマンはヤリマンでも、そのヤリマンぶりに3人それぞれキャラ設定がありまして、
■なつみマネージャー・普段は厳しいがホントはすっごく恥ずかしがり屋なヤリマン
■かなでマネージャー・慣れてない野球にもSEXにも一生懸命でがんばり屋なヤリマン
■ここみマネージャー・部活もSEXもグイグイ引っ張ってくれるアネゴ肌のヤリマン

と絶妙なトコを突いてきます。(エロゲーとかでそのまま使えそうですね)



一人目のなつみマネージャー編は、練習中のグランドの隅っこにある物置小屋で、「俺もう野球辞めよっかな」とヤサグレる部員・高橋に、「そんなこと言わないで。私、高橋君に期待してるんだから!」と喝を入れて、練習ばかりで性欲悶々としている彼のおちんちんを優しく慰めてあげたり、「マネージャーさぁ、高橋にばっかエコひいきしてねぇ?」と拗ねる部員・木村には校舎の屋上で痛めた足をマッサージしてあげながらセックスまでしたりする健気な「ヤリマン」ぶりなのですが、このなつみマネージャー、「恥ずかしがり屋」というのはこの娘(加藤なつみさん)の素のキャラのようで、そのせいで「普段は厳しい」の部分の芝居が全然演じ切れていないんですね。その落差がポイントのはずなのに…。


物置小屋のシーンでも、「しっかりしろ! 高橋!」と最初は威勢良く叱ってたものの、「なつみマネージャー、可愛いしさ」と言われると、「そんなことないよ、私『キツイ』って言われるし…」と、結構大事なその台詞自体を恥ずかしがってちょっと笑っちゃったりして、ちゃんと言えてないんです。
バックにグランドで練習中の部員達の声が響く中、「練習中にこんなコトしたらダメだから…秘密なんだよ」って台詞とか凄いグッとくるんですけど、加藤さんが素であわあわして挙動不審になりながら、「私、慣れてないから…どうしたらいいかな…?」の問いに、高橋君が「僕もなんで、大丈夫です。おまかせします!」と答えたりして、なんかお互いが迷走してる感じが漂っていて、はっきり言って見ちゃいらんないグダグダなやりとりが続くわけです。


でもですね、アドリブきくスキルの高い女優さんとは違う加藤さんのこのドン臭さが、なんだかだんだんと可愛く思えてきてしまうんですね。
監督の狙いでこんな風になったわけではないだろうし、現場が現場だったら加藤さんみたいな人はAV女優として劣等生だろし、作品として成り立たなくなってしまう可能性もあるわけで。でもなんか、運動会のパパママ気分ていうんでしょうか、「ほらガンバレ! なんでもいいからもっと高橋君に声掛けて! フェラももっとガンバって!」と応援したくなっちゃうんですよ。リレーで周回遅れの子に声援贈りたくなる時のように。


加藤なつみさんてkawaiiで2009年にデビューして、アロマ企画にも出たりしている女優さんなのですが、アロマの僕のオナニー見て下さい系の作品で一度観たことがありまして、その時も異常なほどの恥ずかしがりっぷりが印象的な人でした。おちんちんシゴいてオナニーしてる男性の目をまともに見れなかったり、しまいにはイラっとする程の「どこまでカマトトぶるんだよ?!」っていう反応が演技ではなく本当に素だったりして(本当のところはどうか分かりませんが)、今どきこんな人もいるんだなぁと逆に感心してしまったのでした。
だから加藤さんをキャスティングする時は、そういう持ち味を活かせる現場や監督でないと駄目なんだろうなぁと思っていたのですが、この作品では監督が加藤さんの持ち味を察してちょっと妥協して(台詞テレて言えてないケドそれがこの娘の味だからまあいっか的な)撮られていたのかなと。
加藤さんてAV女優としては出来そこないというか、やっぱり劣等生なんだと思うんですけど、でもなんか見ていて和むんですよね。別に全部のAV女優が芝居もセックスも完璧にこなす人ばかりじゃなくてもいいじゃないかと思いますし。


フェラする前に「あんまり分かんないから、教えて?」と言った後で付け足すような小さな声で「…ください」と何故か敬語になってしまうとことか、なんかいいんですよね。何かになりきろうとするんだけどなりきれない隙みたいなものっていうか、プロフェッショナルな女優さんだったら作品の中では決して見せない部分、見せたとしてもほんの一瞬しか洩らさないものを、加藤さんは常に見せ続けているんですよ。ほぼダダ漏れ状態で。そんな中で、自然に洩らす「(フェラして)しょっぱいね」なんていう呟きがただただ可愛らしかったりするんです。


このフェラの後、屋上で別の部員・木村君とのセックスシーンがあるのですが、夕暮れ時、木々に囲まれ蝉や虫の声が鳴り響く中での2人のやりとりが甘酸っぱくて、私は個人的にたまらなく好きで興奮するシーンなのですが、なつみマネージャーもさっきよりも台詞はスムーズで、ちょっとたどたどしいところがウブな感じを醸し出していて、良いです。
足を痛めた木村君にマッサージをお願いされ、いつの間にかムクムクと大きくなった股間。「高橋にばっかいつもエコひいきしてる」と責める木村君に、「それはないよ! みんな平等だもん」ときっぱりと答えるなつみマネージャー。髪はポニーテールではなく下ろしてちょっと編み込み入ってるスタイルですが、こっちのも似合ってて可愛いです。
自分からパンツを下ろして、「どうしたらいい?」とまた聞いていますが、さっきよりもテレずにちゃんとフェラしているし、フェラしながら木村君の目もちゃんと見るし、「ああ、やれば出来るじゃない!」と再び運動会のパパママ気分に(笑)。


声がとても可愛らしくて、いい響きを持っていて、聞いてると胸がキュンとなるような正統派アイドルっぽい声質なんですね。その声で「やっぱり男の人ってこういうの好きなんだね」とか「私ね、こういうことしてると感じるって分かってきたんだ。私のも触って」とか、ちょっと積極的にエッチなことにも慣れてきたよ、私、みたいな感じで言う台詞は超効果的で、グッときますね。


そうやってちゃんとなりきってる姿を見ていると、素でテレてる時がまた可愛く見えるもので。パンツを下ろされお尻丸出しの格好にされて、アナルをむにゅっと広げられると「ちょっとお尻恥ずかしいよ」とテレるなつみマネージャー。「高橋には見せたんだろ?」「見せてないよ!」「じゃあ俺だけ?」「うーん、そうだね」「ホントに?」「うん」「じゃもっと見ていい?」「いいよ」のやりとり、とってもいいです。


辺りはもう真っ暗で、場所を移動して建物の階段の踊り場でセックスが再開され、騎乗位でなかなかの暴れっぷり(ほんの一瞬だけれど)を見せてくれるなつみマネージャーなんですが、木村君のセックスっぷりもかなりいいです。
騎乗位で、上に乗ってもすぐ自分からは動かない加藤さんにまずは下から数回突き上げて→そこから加藤さんのお尻を支えて上下に揺らして出し入れするみたいな動き→その動きのリズムを崩さずに自分も下から突く→2人の呼吸が合ってきたら、突き上げるのを一旦止めて→加藤さんの太ももを持って前後の動き(クリトリス擦りつけるような感じの)に誘導→加藤さんが自分からその動きを続ける気配がないので→腰を少し浮かして下から突き上げる動きに変更→すると、腰の動きを止めても加藤さんが自ら動いている! しかも上下だけでなく、前後にクイックイッと擦りつけるような、「こうするといいトコに当たるの。いつもこうしてやってるの」みたいな感じのエロい動きをしている!
ここ、すごくイイ感じだったんですが、そのクイックイッの最中でおちんちんが抜けちゃったんですね。動き激し過ぎて。で、何故か加藤さんはふと我に返ったみたいな感じでテレて笑って、カメラから顔を背けるのです。せっかくセックスに没頭してるいい表情してたのに、マズいとこ見られたぁーみたいな顔して。で、木村君は起き上がって正常位で挿れ直すのですが、騎乗位の続き、もっと見たかったなぁ。ドラマとかシチュエーションものだとこういうとこ突き詰めたり出来ないのが勿体ないですね。(加藤さんがテレながらも本気でセックスしている作品、しかも騎乗位で暴れまわってる作品、あったら見てみたいけど、でも見ないでもいいような気がする。なんでしょう、この気持ち)


加藤さん、終わった後は顔中に汗びっしょり。汗っかきな娘なんでしょうね。お尻に出された精液を指に取って舐めて、「ちょっと苦い方かも」「なんだよ、誰と比べてんだよ」ってやりとりが最後にあるんですが、こういう台詞を忘れないように言わなくちゃっていうのが頭にあると、セックスに没頭するなんて出来ないんだろうなぁ。




続く、かなで・ここみ編も面白かったので、後日に。

今年やりたいこととやるべきこと

年明けてもうすぐ2月になるというこんな時期に何ですが、2010年に木下がやりたいこととやるべきことを記しておきます。誰の為でもなく自分の為に。


やりたいこと一つ目 【苔作のおっかけ】

苔作というのは、数年前に高円寺の阿波踊りで初めて見て以来、夢中になっている阿波踊り集団なんですが、高円寺以外にも色んな場所でやられているので、出来れば全部見に行きたいなと。
最初に見た時はどう見てもカタギではないそのルックス(メンバーのほぼ全員がスキンヘッドと髭のいかつい男達)に、「高円寺のヤクザの人達で組まれた連なんだろうなぁ」と思いこんでいましたが、色々調べてみたらどうやらそうではないようで、阿波踊りの本場・徳島で結成され、熱烈な固定ファンも数多くいる模様。阿波踊り界の「異端児」と呼ばれているらしく、それも納得の佇まいなのですよ。
苔作のホームページがあるのですが →http://www.kokesaku.jp/ここに書かれていることがえらくカッコ良いです。

苔作の発足は1968年だそうで、当時は「鳴り物が間に合わず鉦(かね)の代わりにフライパンを持ち出して叩いた」とか、その伝統や文化をぶっ壊しかねない自由さも、「枠にとらわれず“粋”な男を演じる」という思想によるものであるとか、合言葉は「一生を 棒に悔いなし 阿波踊り」だったりとか、もう「惚れてまうやろーっ!」って感じの漢っぷり満載なんですよ。

他の阿波踊り集団を呼ぶ時に使われる「○○連」の「連」が苔作には付かないのですが、そのワケは「なぜかと問われても答え様が無いが、“苔作”の根本に『組織に属さぬ』という思いがあるからかもしれない」と綴られていて、その、そこだけ何故か控えめな表現「かもしれない」に、「はみ出そうとしてはみ出してるんじゃないんだよ! 好きにやってたら勝手にはみ出しちまうんだよ!」という苔作の叫びが聞こえるようで、いいなぁって思います。

こちらの苔作ファンの方→http://k11736ra1.web.fc2.com/kiji/kokesaku_1.htmlが載せているインタビューも面白く、興味深い情報が多数得られて感動したのですが(苔作副連長の「うちは周りの観客みんなを踊らすつもりで演奏している」という発言に感嘆。「演奏中に物凄く盛り上がってるお客さんがいたから見たらECDだった」というエピソードも面白いです)、苔作は徳島と高円寺、両方に拠点を持ち活動しているようで、高円寺の苔作の方は一年中入団者を募集しているみたいなんですね。希望すれば練習見学も出来るようで。

ああ、見学したい…網笠被って淡いピンク色の着物着て女踊りを踊りたい…そしていかつい苔作の組長から「おまえさんの踊りはなっちゃいねえ! 艶ってもんがねえんだな。ソッチの経験も少ねぇんだろ? どれ、ワシがいっちょ教えたる」とか言われて高円寺の連れ込み宿(あるか分かりませんが)に連れてかれて布団の中でソッチの阿波踊りからコッチの阿波踊りまで手取り足取りみっちり教育されたい…

と余計な夢まで抱きつつ…まずは思う存分苔作をおっかけようと思います。


やりたいこと二つ目 【逆ナン】

頭悪そうなもうひとつの夢は逆ナンです。

ナンパ自体、されたことなんてほぼ無いに等しいんですが、外を歩いてたり電車に乗っている時に、もの凄く、ビックリするくらいドストライクな人がごくたま〜にいたりしますよね。大抵はすれ違ってそのまま2度と会えない。その時感じるほんのちょっとの切なさがまたいいなと思うのですが、そこでもし自分から声を掛けてその人と接触してみたら、世界はどう変わるのかと。いや世界はどうも変わらないだろうけど、私の世界は変わるだろうと思うんですよね。(これを読んでくださっているかたは、知らねえよおまえの世界がどうだろうと、って感じでしょうが、いいんです、自分の為に書いてるんですから)

知らない女からきなり外で声掛けられたら警戒するでしょうし、さぞや迷惑だと思いますが、「いいの、迷惑なんてかけてかけられて生きるものなんだからっ」と、小沢健二の曲のタイトルみたいなこと口にして開き直る厚かましさを無理やりにでも持って、い、いざ逆ナン!(ブルブル震える右手の握り拳を無理やり前に突きだしながら)……出来るかなぁ、こんな私に…。


最終目的は特に設定していないのですが、やはりセックスでしょうかね。相互オナニーとどちらが成功率は高いのだろうか?…そういえば以前知り合った男性(ロシアだかオーストラリアだかでオーロラを見ながらオナニーし、それを現地の女性に見て貰ったという、どうかしてる素敵な変態さん。顔は二村ヒトシ監督似)が入院中に、「看護婦さん、オナニーってします?」と声を掛け、そのまま深夜の院内で相互オナニーからセックスまで致したという逸話を持っていたのですが、出会い頭の「オナニーってします?」ナンパは有りなのか無しなのか? 女性からの「オナニーしますか?」ナンパは有効か無効か? そもそもそんなオナニーとか言わずにまずは普通に声を掛けるべきではないのか? なら普通ってどんな風なのか? というか、何故人はナンパなんてことをするのか?


私の理想のセックスシチュエーションというのがありまして。

仕事帰りの夜10時過ぎ、近所の牛丼屋(吉野家すき屋ではなく「伝説のすた丼」辺りが理想。牛丼じゃないけど)でひとりで食べてたら、隣のカウンター席に会社帰りのサラリーマン(遠藤憲一さん風か津田寛治さん風で薄いシルバーフレームの眼鏡を掛けてりゃなお良し)が座り、何かのきっかけで(理想という割には妄想の詰めが甘いんですが…)話し掛けられ、たまたま挙がった共通の話題(AV以外の何かが良し。あ、阿波踊りとか)でちょっと意気投合して、一緒に店を出て、駅までの道すがらにちょっとエッチな話しをしていたらお互いムラムラきて、その辺の路地裏に入ってキスしたりして、そのまま立ちバックで一発、というものなんですが、まぁいくら待ってもすた丼で私に話しかけてくるエンケンさん風の会社員なんていないんですよ。シルバーフレームの津田寛治さん風もいない。多分このまま待っていても誰も話し掛けてなんて来ないだろうから、自分から行こうと。
待ってても何も起こらないから、自分から行く。そんな人になりたくて、私の逆ナン願望は発生した次第です。



最後に。
やるべきこと 【厄払い】

今年本厄なので。

[昨夜眠れずに失望と戦った]と歌っていたのは尾崎豊ですが、昨夜眠れずに木下はYouTubeを観ていました。


どんなのを見ていたかというと、こんなのです。



http://www.youtube.com/watch?v=d28V9Y1IwBo
■誰もが知ってるあのアニメの牧歌的なテーマソングが、この人の手に掛かるとこんなことに!? 
 衣装、フリ付け、表情、音楽、すべてがツボ。35秒という再生時間の短さ、見やすさをいいことに、一日に10回は必ず見てしまう…



http://www.youtube.com/watch?v=KbmZJBwGSGY&NR=1
■本家の作り手の意図しないところでその作品が生き返るという、この世のミラクルがここに。
 同じシリーズでは『ソーラン節』や電気の『虹』バージョンも好き。辛い時、落ち込んだ時、年下の正社員に仕事のダメ出しされて家に帰って枕を濡らす夜、これを見て励まされています。



http://www.youtube.com/watch?v=cPaEoA_ijxI
■小中学生の時に追っかけしていたくらい好きだったバンドがこんな人達と共演していたとは。
 1:28からのボーカルの透明感はなにごとだろう。そしてなぜに私はAVを観てこんな日記を書いているのだろう。誰に何を伝えたいのだろう。



http://www.youtube.com/watch?v=U5M9v0nrl0c&feature=related
■始まりのピアノから最期まで胸を掴まれっぱなし。「鳴り止まないっ」の「っ」にこのバンドのチャーミングさが表れていると思います。



http://www.youtube.com/watch?v=31zyPyrAkNQ&feature=related
■同じバンドの別の曲。夏の田舎道や海辺を自転車で疾走する映像のキラキラ感と、歌詞に織り込まれたダウナーな夏の気分が不思議なケミストリーを起こしていて、不思議かつなんとも魅力的。よく考えたらタイトルにもペーソスが・・・『23才の夏休み』



http://www.youtube.com/watch?v=7MdaHEDjjQk&feature=related
■凄く好きなPV。女の子という存在を愛おしみたくなります。
 AVでこんなイメージシーンを見せてくれた後にセックスが始まったらスゴいドキドキしちゃいそうなんですが、こんな映像撮ってくれそうなAVの監督、何人か思い浮かべてみるけどほとんど皆もうAV撮っていない…



http://www.youtube.com/watch?v=m74a1LhqyH4&feature=related
■超可愛い。自分は子供は一生作らないだろうし欲しくならないと思ってましたが、これ見て「子供作ってみるのも悪くないかもなぁ」と思いました。




そしてまた、今夜も眠れずに私はYouTube(ときどきニコ動)を見るのです。

『Beauty 〜あや(仮名)、21歳、大学生〜』

『Beauty 〜あや(仮名)、21歳、大学生〜』(ソフト・オン・デマンド)


監督の梁井一(やないはじめ)氏は、デビュー作『ウチの嫁さんは大塚咲です』で大塚咲夫婦のセックスを撮った26歳の新人監督さんなのですが、今月5日に新作が一気に3本も出たので発売日に買って観てみました。

ちなみに『ウチの嫁さん〜』はドキュメントとして食い足りない部分は多々ありなんですが、他作品では潮吹きまくって“セックスの為に生まれてきた”ようなドエロさを見せつけている大塚さんが旦那さんに抱かれ、その地味で静かな普通のセックスで心底幸せそうにしている姿を見て、私はなんか思わず「セックスってやっぱり好きな人とするものだよなぁ 」なんて思わさせられたりしまして。
そんな気持ちにさせられるAVってめったにないですし、プロフェッショナルな稀代のセックスマシーンたる大塚咲に、そんなセックスをさせる場を作り上げたこの監督はなんだか結構侮れないんじゃないかと思いまして、その本領が分かるであろう次回作を楽しみに待っていたのでした。


で、この『Beauty』なんですが、結果的に言いますと、「うーむ……」と唸らざるをえない、「これでいいのだろうか?」感が山積みの内容なのでした。
アダルトビデオ初出演の女の子3人を、『Beauty』『Pure』『Natural』とそれぞれ別タイトルで梁井監督が撮られているのですが、それだけではウリが弱かったのでしょうか、何故か漫画家江川達也氏とコラボレーションしているんですね。
作品ごとにパッケージを書き下ろし+手書きの推薦文付き(表と裏2パターン)というもので、例えば『Beauty』だと、M字開脚した裸の女の子のイラストの横に、【シャイな女の子の心を裸にしたこの作品は見る人の心も裸にする】てなコピーが書かれています。
お店で店員さんが作る手書きのポップがありますけど、あれをプロの漫画家がやっている・・と考えてみると、まあ贅沢な感じですね。
(余談ですが私の近所のお店のポップに書かれていた『拝啓坂口華奈様。貴方は僕の手淫の女神です』というのがいまだに忘れられません…)
このパッケージ、ショップでも結構目を引きますし、作品のウリと方向性が一発で分かる面白い試みだと思います。

【あの娘がこんなコトしてこんなカオするなんてショックだ!!】
そんな江川氏のコピーを見て、こんなプリミティブな童貞目線で、初脱ぎにドキドキしている女の子の鼓動が伝わるようなセックスを見せてくれるんだな、と期待するわけですよ、こちらは。
しかし、この作品が本当に「シャイな女の子の心を裸にし」て、「見る人の心も裸に」したかというと、やっぱり「うーん……」という感じなんですね。


作品はまず、主演の女の子あやちゃん(21歳)と監督が浅草をデートする場面から始まるのですが、ビデオ初出演の女の子にいきなりスタジオでインタビュー&セックスさせるのではなく、年齢も近くて打ちとけ易いであろう梁井監督とデートしてその気取らない素顔を見せ、女の子に親近感を抱かせてからホテルでのドキドキの初セックスという流れはいいと思うんです。あやちゃんが花やしきのジェットコースターに乗って楽しそうにはしゃいだり、その後行った焼肉屋で好物だというお肉を頬張る姿なんかは実にイキイキしていていいんですね。
しかし、男の存在はうざいから見たくないというユーザーの意見におもねた演出なのでしょうが、監督の姿と音声が徹底的に排除されていて、監督の喋る言葉は全てテロップで示されているので2人の距離感や空気感が掴めなくて、いまいち入り込めないんですね。恋人設定のバーチャルものなら分かりますけど、デビュー作のデートシーンでもこれをやるのかと…

でもってこのデートっていうのも単なる撮影の建前的なおざなりなものなので、浅草デートの定番である浅草寺で人力車に乗ったり花やしきで遊んだりするものの、どれもなんか「その画が欲しかっただけなんだろうなぁ」って感じが伝わってきちゃうんですよね。
編集のせいでそう見えるのかもしれませんが、具体的に私が気になったのは、花やしきでジェットコースターに乗った後、「怖くなかった?」と聞く監督に「(そっちが)怖がってたじゃん」とあやちゃんが突っ込んで笑い合うというほのぼのしたいい場面があるのですが、その次のカットで「じゃあ、好きな焼き肉でも喰いに行きましょうか?」と監督のテロップが出て、2人は園内を出ていくんですね。なんか「はい、この画撮れたからここはもう撤収〜」みたいな感じが漂いませんかね? 私はここちょっと引っ掛かってしまうんですよ。別に「もっと花やしきで遊べ」と言いたいんじゃなくて…。


ちょうどこの場面で流れている音楽の提供者・カンパニー松尾監督(正確にいうと松尾監督が作った音楽ではなくて、松尾作品でよく使用されている音楽を梁井監督に提供しているという意味です。前作でもスタッフテロップに協力者として名前が出ていました)が、自身の作品で女の子と遊園地とかに行ってもそういうのにまったく興味を持たず、乗り物そっちのけで露出プレイさせたり、さっさと出て行ってホテルでハメ撮り三昧〜っていう展開があったりしますけど、そういうのなら見ていて「この監督らしいなあ」と思えるんですよね。監督自身の「デートなんかよりハメ撮りがしたい」という意志が見えるし、だからやってることに筋が通っている。でも梁井監督は、そういうのじゃないなんか別のこと…作品撮る為に、体裁の為にやっているというか…そういうのが見えてしまうんです。このデートっていう企画自体に。一言で言えば「お仕事感」てやつが。

なおかつ、その後に続くホテルのハメ撮りでは、監督は別の男優にすり替わっているようで、デートして打ち解けたはずの2人の距離感や親密さがまったくゼロになってしまっているから、まったくもってデートした意味がまるでないんですよ。


あやちゃんは色白でキレイなおっぱいとピンクで優しい色の乳首をしていて、ウエストもキュッとくびれているし、足もキレイ。清潔感漂う初々しさがあるんですね。と同時に「この汚れないカラダをめちゃくちゃにしてみたい」と思わせる未開発な部分と色気を秘めている。そんなあやちゃんとホテルで2人きりになったらまずはそのカラダをじっくり見つめてみたいと思うじゃないですか。

なのに、ベッドの前であやちゃんがカーディガンを脱ぎ、インナーに手を掛けたところで画面が切り替わり、[chaptey*2 ハメ撮り]と表示され、次の場面ではもう全裸になったあやちゃんがベッドで布団を被り、監督からピンクローターを手渡されている場面になってしまうんです。
「ビデオ初出演なんでしょ?! カメラの前での初脱ぎ姿を何故撮らない?!」と思わず憤ってしまいました。もったいないったらありゃしないですよ。
掛け布団をはねのけたあやちゃんの乳首がそこで初めて見えるんですが、もはや何の感動も湧いてきません。当たり前のようにAVで女の子が乳首を出している映像がそこにあるだけで、あやちゃん(仮名らしいですが)というこの世にたった一人しかいないの女の子がカメラの前で初めて乳首を見せることのありがたみがまったく感じられないんです。


で、このハメ撮り。昨今珍しいくらいに素人感丸出しというか、明らかにプロの仕事とは思えない稚拙さで……あやちゃんじゃなくて男の方がですよ。
もちろんここでも男の言葉はテロップ表示なのですが、ピンローでオナニーしながらもまったく声が漏れずちっとも感じていないあやちゃんに対し、「感じてる顔見てるとね、凄い興奮する」「(おまんこを見ながら)こんな綺麗なの見た事ないよ」「アナルのまわりもちょっと気持ちいいんだ? 今日だけ? 今日から? 感じるようになっちゃった?」と初ハメ撮り(でしょう、多分)の感動を口走り続ける男。しかもずっと「はあはあ」という鼻息が聞こえ続けるんですよ。
カメラワークもあやちゃんの顔のアップかおまんこのアップだけという単調さで、自身は顔ばかりか手さえも写さないようにしている為か、オモチャ(黒いスティック状のバイブとローターの中間みたいなやつ)で弄るばかりで、自分のおちんちんさえ写さないんですね。挿入中はずっとあやちゃんの顔のアップのみ。射精はもちろんゴムの中。顔や体で精液を受ける描写なんてありません。
この撮り方は、女を本気で欲情させて相手の心に入り込める太賀麻郎さんくらいにしか許されないハメ撮り手法ですよ。あれぐらいの人でなきゃ女性の表情だけで見せきるようなハメ撮りなんて撮れるはずがない。

キスもない、フェラチオもない、クンニもない、舐め一切なしのセックスってこんなにつまらないとは。いやそれ以前の問題なんですがね…。ちなみに正常位の時に男の上半身が見えるのですが、体付きがどう見てもおっさんぽくて(梁井監督は痩せ形なので別人だと言い切れるのですが)、乳輪がちょっとどうかと思うくらい大きくて真っ黒。江川氏の漫画に出てくる男性キャラの乳首に相似しているので、もしかしてハメ撮り男の正体は江川氏なんじゃないでしょうか(いやそんなわけないですけど)。なんか冴えない中年男がNG事項の多いキャバ嬢を無理やり金で落としてハメた映像を見せられた気分になっちゃいました。


パッケージを書かれた江川達也氏はこれを見てどんな感想を持ったのでしょうかね。

デマンドと江川氏のつながりって、自身が監督された『東京大学物語』の製作とDVD販売で関わっている他に、「江口達大」という変名で何本かAVを撮られたりもしているようです。
今作もせっかく江川氏とコラボしているのだから、どうせなら撮影現場に江川氏を呼んで、あのエロいとしか言いようのないヘラヘラした笑顔と口調でセクハラインタビューさせるとか、女の子をモデルに絵のデッサンしているところとか見てみたかったですね。江川氏を前に全裸になって股を広げ、顔を赤らめる女の子と、それを見てニヤつく江川氏の図とか。こんな出来の悪いハメ撮りよりも、この後にあるプロ男優とのセックスよりも、よっぽどいやらしいと思うんですけどね…


照明に照らされた明るいスタジオで、男優ピエール剣氏との2度目のセックスがあるんですが、撮影前のメイクされている時や撮影後の方が笑顔も自然に出るあやちゃん。でもセックスではほとんど声も出ず無反応…。
【非常に反応の悪いSEXでした】とテロップでも出るように、監督が頭かかえている図が目に浮かぶようです…


梁井監督は以前、ビデオ・ザ・ワールド誌で松尾監督&バクシ―シ山下監督と対談されていて、そこで「僕はやっぱり女の子が撮りたい。(女優が)仕事でセックスするっていうのに違和感があるので、もっとプリミティブな感情で撮りたいんです」と話されていて、いまどきこんな人が、しかもデマンドというメーカーにいるという事が面白いし、そんなAVを私も観てみたいと思っていたので、この作品も、観る前は期待していたんですよ。


ちょっと話し変わりますが、2ヶ月位前に渋谷シアターNに井口昇監督の『ロボゲイシャ』を観に行った時に、劇場でフツーにお客さんとして観に来ていた梁井監督を目撃しまして。そこでまたちょっと興味を持ったんですね、梁井監督に。


AVって、セックスの深いところまで突き詰めて、その世界を極めている人の事は素直に凄いなと尊敬するのですけれど、仕事として撮ったり、AV以外の映像を観ることもなく普段からAVにどっぷり浸りきっている人ほど、エロいものは撮れないような気がします。例え形だけのエロは撮れても、そこに奥深さはないというか。

AVの中身や売れ筋がいくら昔と比べて変わろうとも、すっごい可愛い子が出てきてセックスして、そのことに「こんな娘がこんなことしちゃうの?!」って驚くその感覚って絶対的なものというか、それだけは100年経っても変わらないんじゃないかと思います。
そんな映像は、やっぱり普通の感覚、プリミティブな感性を持っている人でなきゃ撮れないものだと思うんです。それは≒「普通の日常を大事に生きている」ということであると思うんですね。


梁井監督が自身のブログ(なんかやらされてる感たっぷりでほとんど更新されてませんが…)でたった一言「AV以外の体験がしたい!」とだけ書かれている時があったのですが、きっと普段のAD仕事が忙しすぎて、その逃避願望的に放った言葉なんだろうという気がしますが、私はなんかその言葉には、なんだか信じられるものがあるなって思っちゃうんですよね。エロにどっぷり浸る日々に、エロから離れることでエロに対する感受性を取り戻したいという気持ちもあったのではないかなと。そういう人こそ、本当にエロいものを撮って見せてくれる気がするんです。井口監督という、かつてAVをプリミティブな童貞目線(いえ「小学生目線」と言うのが正しいかもしれません)で撮り続けていた人の一般映画作品を観にわざわざ劇場に出向くという、梁井監督のその行動に、なんか信じられるものがあったんです。



そんな期待がこの作品で脆くも崩れかけているのですが、今作のハメ撮りが梁井監督ではなかったのは何らかの大人の事情があるのでしょうし、最後のコーナーで監督であるはずの梁井氏が何故か「ADヤナイ」として画面に出てきて、それを撮っている監督(役のひと?)が他にいるという、意図のよく分からない構図(あるシーンではADヤナイ氏とその監督《顔は映らないが姿は映る》を一画面に収めているから、余計に『監督』というものの存在が訳分からないことになってます)も、きっとデマンドという大きな体制に抗えない何らかの事情があっての事なのだと思います。なんかよく分からないけど、梁井監督の演出でこうなっている訳ではなくて、誰か指示する人がいてこんなことになっているんだろうなというか…

でも、何故ADヤナイ氏が出てくるかというとちゃんと必然性があって、あやちゃんが男優の志戸哲也氏、保坂順氏、ADヤナイ氏の3人と一緒にカレーライスを作って、その過程で誰とセックスしたいかを決めるというコーナーだったのですが、「自分のことを思ってくれて、何でも言う事聞いてくれる」人が好きと語っていたあやちゃん(良く言えば寂しがり屋だし、悪く言えば相手に求めてばかりで自分からは何も与えられない人。きっと今までルックスで近づいてくる男ばかりで、いいセックスなんてしたことなかったんだろうなぁって思います)の好みをあまり反映していない男優チョイスで、ここはやっぱり鈴木一徹さんと山田万二郎さん(可愛いらしいお顔されたM男優さんです)辺りがちょうどいいんじゃないかと思ったり。

でもですね、あやちゃんに選ばれた志戸さんはほんの一瞬で恋人ムードを作り、本作では一番生々しいあやちゃんの反応を引き出していて、「撮影現場で男優とセックスしちゃうこの前まで素人だった女の子」っていうエロさをきちんと見せてくれる絡みでした。スタッフを排除してカメラを担当するヤナイ氏の3人だけっていう空間が良かったのだろうなぁ。あやちゃん、ちゃんと感じてるし、合間に笑顔も出るし。
志戸さんは頭切れる人で、撮影しながら何故かTシャツを脱ぎだしたヤナイ氏を見て、その意図するものを汲んだのか、騎乗位の途中であやちゃんにヤナイ氏のおちんちんを咥えるように仕向けるんですね。でもヤナイ氏はふにゃちんのまま勃起することなく、せっかく志戸さんが作ってくれた見せ場も活かせず、事後、ベッドに横たわるあやちゃんに全裸姿でティッシュを持って近づきながら「全然出る幕ねえわ。俺もっと頑張ろうと思ったのに」と溢し、監督名のテロップも出ないまま作品は終わるのです。



うーん…やっぱり【シャイな女の子の心を裸に】はしていなかったし、見ている私の心も裸になんてされなかったです。

梁井氏の立ち位置のあやふやさ(監督なのかADなのか)も見ていてスッキリしないですし、梁井氏が作品でおちんちんを出すにしても、こういう出し方じゃ全然ダメだと思うんですよ。おちんちん≒女の子とのスタンスって意味で。



以前、ある監督からこんな話しを聞きました。

「最近ADやっている若い奴に作品のメイキングを撮らせてるんだけど、そいつの女の子へのスタンスっていうか、踏み込み方が毎回一緒でさ。そいつが撮影の合間に女の子に声を掛けるだろ。その時の第一声が必ず『ダルいよね』なんだよ。つまり、こんなおっさんだらけの現場でチヤホヤされてセックスしなきゃならないのなんてダルいよねって。自分の若さを活かして友達感覚で女の子との距離を縮めようって作戦なわけ。そのやり方が成功してるかっていうとどうとも言えないけど、アプローチの一つとしてはまあアリだなって思うよ」


デマンドという、決して自分の自由には撮れないであろう場所で梁井監督がドキュメント作品を撮るとしたら、こういうスタンスなんじゃないかなぁと思うんですが、どうなんでしょうかね。



カレー作りの前に、このカレーを作るという作業自体が「長い前戯になるんですけど」と言っていたように、この作品も、梁井監督が今後本当の意味でプリミティブな感情で作品を撮られるまでの、長い前フリだと思う事にします。




   梁井監督へ。
   いつか、監督が好きだと話されていたニューハーフさんを撮って、ハメ撮りを見せて下さい。
   そしたらまた発売日に買って観ますので。 木下より

『監禁×姦淫2  杉浦美由』

前回に引き続き、木下のお薦め一徹作品を挙げてみます。


『監禁×姦淫2 杉浦美由』(オペラ) 監督 村岡哲也
パッケージはこちらで見られます→http://www.dmm.co.jp/digital/videoa/-/detail/=/cid=oprd009/


あの素朴なお顔立ちとラブリーで甘〜い雰囲気から、恋人設定でのラブラブなセックスや、学生服の高校生、ニ―トの青年、近親相姦モノの息子役を演じることが多い一徹さんですが、この作品では今まで見たことのない表情を見せていて、「えっ? こんな芝居が出来る人だったの?!」と驚かされます。佇まいが、存在感が、いつもの一徹さんと全然違うんですよ。


杉浦美由さん演じる女子高生を拉致し、3人の男がレイプと凌辱の限りを尽くすという、一徹さんファンなら一見敬遠するような内容のドラマ作品なのですが、一徹さんは仲間の男2人とつるみながらも凌辱には参加せず、退屈そうにニンテンドーDSをプレイしているどこか虚無的で退廃的な青年役。

監禁のリーダー的男(デモ田中氏。胡散臭い外見と粗野な博多弁が適役です)と、その子分的男(長谷川漢氏。スキンヘッドで一番の強面。普段は監督として凌辱モノを撮られていますが、今作では妙に愛嬌のあるチンピラ演技がハマってます)がビデオカメラを手にし、「これでAVでも撮るか」と悪ノリしながら女子高生を拉致して暴行するという、昨今の“理由なき犯罪”を思い起こさせるような、退屈を持て余した時代の空気が全篇に渡って漂っているのですが、そんな中で確かな存在感を示す一徹さんの抑えた芝居が素晴らしいんですね。
一徹さんのラブラブなセックスに萌えてらっしゃるファンの方にも是非見て欲しいです。


物語の方も見応えがあって、中盤、拉致仲間のアダルトビデオ屋の店長(一条真人)を美由がナイフで刺し殺してしまう辺りから、一徹さん演じる無感情な青年が何かしらの意思を持って動き出し、事態に慌てふためく仲間達を尻目に、血まみれになった少女にカメラを向けます。

バスルームで彼女の汚れた制服を洗い、走る車の窓から手を伸ばし制服を乾かす一徹さん。このさりげないカットで、彼が恋心でもない同情でもない、しかし彼女に対して何らかの気持ちが芽生え始めたような変化が表わされていて、なんてことないシーンなのに何故かエモ―ショナルで、見ていてドキドキします。

その後、屋上で男物のTシャツと短パンを穿いた彼女が制服に着替える場面にて、2人の間に何かが通い合ったことを思わせるような束の間の視線の交差があるのですが、美由を見つめる一徹さんの眼差しと、階下から一徹さんを見上げる美由さんの目。この時の2人の表情が凄くいいです。凌辱モノのビデオを観ているはずなのに、何故こんなに胸をキュンとさせられるのかと。
でもここで、何故この役に一徹さんが選ばれたのかが分かるような気がするんですね。
そしてこの視線のやりとりが、最後にある一徹さんと彼女のセックスの伏線にもなっていたりします。


物語はその後、美由の恋人(黒沢透)を巻き込み、強制放尿や凌辱セックスへと続くのですが、セックスが終わり、グッタリしている美由を見ながら退屈そうに男達が呟きます。
「あのさあ…このエロビ、面白いと思う?」「面白いわけねえじゃん」

それを聞いていた一徹さんは、「俺が面白くするよ」とおもむろに立ち上がって美由を強引に抱きしめキスをし、「俺ねえ、キミのこと好きだよ」と言って彼女を抱くのですが、このセックス、一徹さんめちゃくちゃ気持ちが入ってます。彼女を抱きしめたその時に、すでに耳が赤いんですね。


以前、ドグマのノーマルKIM監督の『冷たい性欲の少女達』の撮影現場に行かせて頂いた時に、生の一徹さんを初めて拝見したのですが(嬉しくて嬉しくてそりゃもうガン見しましたよ)、かなり気合の入ったドラマもので、監督やスタッフ、女優さん共にテンションが高く、もの凄い熱量を感じる現場だったのですが、この時のセックスでも一徹さんの耳は赤かった。


撮影中の現場のスタジオはどこだって実質的に暑いし、一徹さんは色白だから紅潮具合が分かりやすいというのはあると思うんですが、すべての作品でそうなっているわけではないし、気持ちの入る役だったり現場だったりすると、それがそんな風に体にも現れるんだろうな、と。
ドラマの中であっても、演技ではない何らかの心情がふとした瞬間に見えたりするとグッとくるし、胸を掴まれたりするんです。この作品の、一徹さんのその紅潮する耳に私がグッときてこの美由さんとのセックスに惹き付けられるのは、そういうことなんだと思います。

キスの途中で唇を離し、彼女の目を見て言う「俺ねえ、キミのこと好きだよ」は、ドラマの台本のセリフで虚構だけれど、嘘じゃない。

画面の中の存在でありながらも女性達(もちろん私も含む)の心の中で恋人のように寄り添うことが出来る、一徹さんが多くの女性を惹きつけるその人気の理由は、こういうところにあるんじゃないかなと思います。


物語のラスト、警察に通報した恋人から逃れ、また3人の男のところに戻ってきた美由。動揺する仲間達に向かって一徹さんが「ラストシーン撮ろうよ」と提案します。件の屋上で、パトカーのサイレンが近づく中、そのラストシーンが撮影されるのですが、これがなんともイカしてます。今までの出来事があっと鮮やかに裏返る痛快なラスト。
実は美由も男達と同じような退屈さを抱えた少女だったというこの落としドコロに唸らさせられます。



今作の監督は前回紹介した『桃の天然乳』と同じ人なんですが、女の子を輝かせるのも上手いけれど、男優である一徹さんの魅力を一番引き出せるのもこの人なんじゃないかなと思います。


この作品、もう廃版になっているらしく、お店では見つからないかもしれませんが、上記のDMMで宅配レンタル出来ると思うので、どうか是非観てみて下さい。

普通で稀有なひと

今年も残すところあと1ヶ月となってしまいましたが、非常に後悔というか思い残すことが一つあるのです。


夏頃に発売されたananのセックス特集を買い逃した事を今更ながら悔やんでいるのです。


目当ては向井理クンの半裸写真…ではなく、原紗央莉さんと鈴木一徹さんが出演している付録DVD。これが見てみたくてですね…
内容はあまり期待していないんですが、AV以外の方が撮られた鈴木一徹さんてどんな風に映っているのかなぁという興味でして…


私が初めて鈴木さん(と呼ぶとしっくりこないので「一徹さん」と呼ばせて頂きますが)を見たのは、確か4年位前に『まさか叔母ちゃんに筆下ろしされるとは…』(東京音光)なんていう脱力感漂うタイトルの作品で息子役をやられていた時で、「なんなんだ、この、昨日田舎から出てきました的な垢抜けなさと素朴な可愛らしさは!」と衝撃を受けた事を覚えています。

イケメンAV男優数いれども、一徹さんの持つ雰囲気はなんというか、小学生の頃に好きだった男の子を思うような甘酸っぱい感覚を掘り起こされるといいますか。遠藤憲一さんやハートマン軍曹(『フルメタルジャケット』)の苦み走った男の色気で濡れる私ですらグッときてジュンとしちゃう、一徹さんの「普通っぽさ」。
そんな男優然としていないごく普通の男の子っぽさが新鮮でファンになってしまったのですが、最近ネットを徘徊していたら、このananのDVDを見て一徹さんを知ってファンになったという女性が大勢いらっしゃるようで、なんか面白い傾向だなと思いまして。一徹さん、現在はご結婚されてお子さんも出来たそうなので、それによって“anan一徹フィーバー”は若干沈静化したのかもしれませんが…

でもどんなに下ネタ話す男前俳優やミュージシャン、となりの兄ちゃん的な手の届きそうなアイドルタレントだって、おちんちん出してセックスする姿までは見せてくれないわけで、それを見せてくれるんですよ、ジャルジャル後藤君似の爽やかなイケメンの一徹さんは。いわばセックスアイドルですよ。

そういう部分に魅力を感じてAV男優に萌えて、AVを観るようになる女性が沢山現れるっていう現象は面白いし、前からもいたと思いますけど、そういう女性(いえ男性だっていると思いますが)がこれからも沢山いればいいなぁと思います。だって面白いし楽しいですから、一徹さんみたいなひとのセックスが見れるなんて。

と言いながらも、女優さんに比べて男優の方って情報量が圧倒的に少ないし、作品数も膨大なのでコンプリートなんて出来っこないし、どの作品に出ている一徹さんがいいのかとか、自力で探すのは大変だし、ネットでもそんなに数多く紹介されているわけではないし……という訳で、木下のお薦め一徹作品をいくつか挙げてみます。


『SweetMix 水野あさみ』(宇宙企画
パッケージはこちらで見られます→http://www.dmm.co.jp/mono/dvd/-/detail/=/cid=61mds297/


2作品が収録されていて、『桃の天然乳』の方に一徹さんは出演されているのですが、本編の方ではなくて特典映像で見られる水野あさみさんとの素のセックスでの一徹さんが良いです。


一徹さんは黒いパンツに白の長袖シャツ姿で、後ろ髪若干長めの伸びた茶髪をワックスで遊ばせていて、ヒゲの剃り残しやアゴにうっすらニキビがあったりと、カッコいいけれどまだ垢抜けていない感じが残っていて、良いです。
何故か自らパイパンにしているという水野さんを、優しく、時に「○○でちゅか」なんていう赤ちゃん言葉であやしながら、そのパイパンを弄りつつ、常に言葉を交わしながら絡んでいくスタイルなのですが、本編の方で監督から「今一つ、好奇心や感情の揺らぎが見えにくい娘」と紹介されていた水野さんという女の子の、打っても響かない手応えのなさからも何かを引き出そうと懸命に向かっていく姿に、「ああ、いい男の子だなぁ」と好感持って見てしまいます。


セックスに対する欲望が全然見えなくて、基本されるがままにしかなれない性的に未熟な感じの水野さんに、「これからオレと喋る時は赤ちゃん言葉で喋るんでちゅよ」と優しく命令して絡みの方向性を作っていこうとするところに、男優としての才覚を感じさせられたりしますね。
他にも、服を脱がせる時に「バンザイしてごらん」と言うと水野さんは嫌がって「いやでちゅ」と抵抗するんですが、一徹さんは「自我が芽生えたんでちゅね、この子」と間髪入れずナイスなアドリブを返したり、カメラにおまんこを突き出すポーズを取らせながら、脇の下を見られることを恥ずかしがっていた水野さんの耳元で「脇が丸見えなんだぞ」とちょっと意地悪に囁いたり、フェラチオの時にいきなりパンツ下ろしておちんちんを触ろうとする水野さんに「おっ、いきなり脱がせるのはマナー違反。フランス料理でも食前酒とかあるでしょ。初めはパンツの上からゆっくり舐めたり、乳首もそう」とたしなめたり……

この時(2005年)一徹さんは男優始めてどのくらいの頃だったのか分かりませんが、「これから伸びるよこのひと」と、当時の私はエラそうに上から目線な感じで、でも本気でそう思って見ていました。


多分この作品の監督との初現場だったと(私が見ている限りでは)思うんですが、一徹さんが監督の意図だとか撮ろうとしているものをしっかりと理解し汲み取って動いている感じが伝わってくるんですね。

水野さんの「いやでちゅ」の後、カメラを回している監督が「パイパンを見られるのは何てことないけれど脇の下を見られるのは恥ずかしい」という乙女の心理に気付いてそれを指摘すると、笑いながら照れて顔をカメラから背ける水野さんに、一徹さんは「図星だ。可愛いなおまえ」と頭をなでなでしながら、すかさずそこを責めにいったり、監督が「エッチな言葉が恥ずかしくて言えないんだね」と彼女に言葉を投げかけると、「男の人嬉しがるよ。言ってくれる? おちんちんしゃぶりたいでちゅって言って」と言葉を重ねていったり、この監督の求めていること(挿入部分のアップとかエグい体位を見せるとかではなく、女の子の内面を見たい、この娘のほんとうの部分に触れてみたい、そんな想いだと思います)を即座に汲み取って女の子にぶつけていく、その頭と体の動かし方が抜群に上手くて、なおかつその行為のすべてから女の子に対する思いやりが感じられるので、見ていて心地いいんですね。


けれど逆に言えば、これだけ常に周りに他人に気を回しているってことは、自分を殺すことでもあるし、大変だろうし、AV男優という仕事自体、ある種の図太さや精神力を持ち得ていなければ成せないことだと思います。
そんな強さを持っているとしても、気を遣わずただただ自分自身が我がままに振る舞える場所が一徹さんにあるのだろうかと、そんな心配もしたり…って、もうご結婚されたのだし、まったくもって余計なお世話なんですけどね…。


他作品に出ている時もそうなのですが、一徹さんて相手の娘の反応をじっと見つめているんですね。
一徹さんファンにとっての萌えポイントであろう「女の子を見つめる優しい眼差し」はこの作品ではそんなに収められていないんですが、私にとってはその眼差しくらい、グッときた場面がありました。


正常位で腰を動かしながら、目を瞑ったまま微かに喘ぐ水野さんに「オレ(のこと)好き? 好きって言って」と求め、素っ気なく「好き」と答えた後ちょっと笑った彼女に、「自分から告白したことってある? カラダだけなの? 傷付くのが嫌なわけ?」と一徹さんが、それまでの流れとはちょっと違う口調で言うんですね。カメラが回っている中セックスしながら、それでも何か鋭く刺さるこんな言葉を言える人って、あまりいないと思います。