哀しみが少し癒えたら〜奇抜探偵・四条司の絢爛たる誕生〜

公演期間:2011年6月7日〜12日(全6回公演)
出演:囲碁将棋/井下好井/タモンズ/ゆったり感/KBBY/いぬ/大室由香利(劇団集団Nの2乗)
脚本:福田晶平 演出:足立拓也(マシンガンデニーロ)

奇抜探偵シリーズ3部作の2作目。神保町花月では珍しい推理もの。
前回の公演*1が面白かったので、
2作目も見てみようと思い立って見てきました。
文田さんによれば繋がりそんなにないから1作目を見てなくても楽しめるよ、とのことでしたが
確かに単体のお芝居として見ても面白かった。

ざっくり役柄おさらい。
公演パンフレットより抜粋させていただきました。

四条司(22) - 囲碁将棋・文田
 卓越した推理力、洞察力を持つ男。大学を卒業後、就職することなく家庭教師のアルバイトをしている。
煙山正義(22) - 囲碁将棋・根建
 刑事。国家公務員Ⅱ種試験を経て採用された準キャリアのため、新人ながら階級は巡査部長。
 四条とは大学時代からの友人。
竹下大(22) - 井下好井・井下
 鑑識課の新人鑑識官。煙山とは同期。
田村宗助(14) - 井下好井・好井
 江戸時代から続く資産家である田村家の嫡男。
田村宗平(40) - ゆったり感・中村
 宗助の父。江戸時代から続く資産家の現当主。
田村景子(39) - KBBY・山崎
 宗助の母。宗平とは幼なじみで子供の頃から許嫁だった。
田村勘太(32) - ゆったり感・江崎
 宗平の弟。夫婦で館に住んでいる。商才はなく、いくつかの事業に失敗している。
田村美枝(29) - KBBY・BB
 勘太の妻。京女で少し嫌味な所がある。
富来哲郎(42) - タモンズ・大波
 田村家の執事。田村家の家事の一切を取り仕切る。
手塚圭(26) - タモンズ・安部
 田村家直属の運転手。雇用期間はまだ1ヶ月ほど。
奥村恵(21) - 大室由香利
 田村家で働く住み込みのメイド。
警官 - いぬ
 捜査に駆り出されている警官。


見る前は役の年齢と中の人があまりにもそぐわず、ん?となる点はありましたが
いざ始まってみたら話そのものに引き込まれるもんですね。
現在と過去の回想がある四条と宗助はもうちょっと差別化してほしかったけど、許容範囲内。
欲を言えば富来役の大波さん。初見時に髪の色もそのまんまだったんで、
ストーリー中に中村さん演じる宗平より2つ上だって明かされた時にさすがえっ?となってしまいました。
(楽日には白髪仕様に。要望があったんかな。)
タイトルからして前回以上に悲しい結末なんだろうな、と予想してたのですが
まあ簡単に斜め上を行かれまして、案の定はらはら泣いてしまいました。

今回のお話は推理モノとしてはとてもオーソドックス。
毎回ちょっとした犯人当てクイズが挟まれるのですが、四条探偵のヒントですぐわかっちゃったよ。
先入観を捨てること=容疑者が生きているとは限らないと言うことは
全体見た上で色々辻褄を合わせた結果、“そうしなければならない理由”がある人物は一人しかいないんだよね。
共犯者も含めて、完全にある人物の差し金で動いてるんだろうなーと前半で気付いてしまいました。
なので推理を軸に置くと前回より裏切られた感がなかったかな。
(前回は完全にパンフレットの先入観に踊らされてまんまと外してしまったので。)
いやでも確かにオーソドックスな分、安心して見られました。細かなディティールまではなかなか推理できないし。

この奇抜探偵シリーズの面白い所は、主役である四条が決して物語の主軸じゃないって所だと思うのです。
もちろんその奇抜な行動や服装、言葉選びや言い回しの独特さ、推理劇などは面白いのですが
この「哀しみが少し癒えたら」に関して言えば物語の主軸はやっぱり宗助くんになるのかな。
唯一の心情描写も、宗助くんが趣味で書いていた探偵小説風の演出で所々散りばめられてたしね。
完全に暗転しない状態での場面転換や、テーブルクロスに文字を投影する演出はすごく良かった。
あと過去の回想だからなのかな、事件を連想させる無機質な赤パイプのセットや
家族写真を撮る赤いカメラ、食事シーンに出てくる赤い食器など赤がとても印象的でした。

宗平、景子、宗助、そして富来を加えて4人で家族写真を撮るシーンはすごく好きでした。
本当の家族である3人と、田村夫妻の幼なじみであり宗平の腹違いの兄でもある富来。
一見するとすごく歪んだ家族の形にも見えますね。
ストーリー中に亡くなってしまう役の中村さんが一番生き生きするシーンでもあります(笑)
安部さん演じる手塚がここぞとばかりにボケるのでノリツッコミ大会。長かったなー笑
楽前の公演で宗助が富来をチョコで呼び寄せる、と言うくだりがあったのですが
本人達のビジュアルもさることながら、42歳の執事が14歳の御曹司にチョコで釣られるのを勝手に脳内変換したら
とても微笑ましくてヘラヘラしてしまいました。
全体的に悲哀漂う劇中で、唯一の幸せだったのかな。
一点だけ、もうちょっと丁寧に演じてほしかったのはここから次のシーンへ移る場面転換の直前。
富来が物憂げに雨空を見上げて暗転、のはずなんですが余韻がまったく無かったのが気になりました。
まああの空気じゃ無理だろうな笑

神保町花月での評価が高いゆったり感ですが、中村さんはやはりすごかった。
寛大で聡明でお茶目な資産家の当主・宗平を上手く演じていましたし、
あらゆる場面においてとんでもない存在感を放っていて、この人は役者気質なんだなーとつくづく思ってしまいました。(芸人だけどね)
特に謎解き後、宗平から富来へ託したノートのシーンは本当に熱演すぎて
緊迫した真面目なシーンなのに舞台上の出演者全員が笑いを堪えてるという前代未聞の事態(笑)
それでも見る者を引き込む泣きの演技は素晴らしかった。おふざけも挟んでたみたいですけどw
中村さんの目や表情の動かし方が好きです。なんとなく無機質なのに暖かみがあるので、目が離せなくなる。
それにしても父親役はハマり役なんでしょうか。花曇と言い、泣かせすぎ。

主軸とはもっと別の所で良かったのは四条と煙山の情報交換かな。
部外者に漏らしてはならない捜査の情報の伝達だけじゃなくて、半年ぶりの再会の気恥ずかしさみたいなもんも
鑑識の竹下をクッションにすることによって演出されてたのかなーと。
ビジュアル的にも22歳の煙山が準キャリア丸出しでかわいかったー。
四条大橋!からの俺だい!とか、真・四条大橋命名とか、囲碁将棋感出過ぎて笑ったw
ふたりのシーンは並んだだけで安定感醸しちゃうからな。敵対する役でもないのでほのぼの見れました。

思ったより長くなってしまった。演者の細かい部分を言い出したらキリがなさそうなのでまとめ。
タイトルの「哀しみが少し癒えたら」に繋がってくるラストシーン。
宗助は報われたのでしょうか。四条は彼の救いになっていたのでしょうか。
この物語の全てをひっくるめて、私立探偵・四条司の助手である宗助のバックボーンメイクに繋がったのだと思います。
だとすれば1作目で見た四条への敬慕の念も納得いきますね。なるほど。
完全に憶測ですが、感情のベクトルとしては宗助→四条と富来→宗平が似通っているのかなと思います。
宗平に心服していた富来を慕い見て育ってきた宗助にとって、四条は父と似て非なる対象になっていくのかも知れません。
そう思って見てると面白いなあ。

今回は四条司というより宗助メインだったので、レギュラー出演者のサイドストーリーも見てみたいなー。
四条が奇抜になった理由は元より、煙山が刑事を目指した理由とか、四条と煙山の大学時代とか。これはメインの物語になるのかな。
人間性で言えば鑑識の竹下の短絡さも気になる所。
シリーズものは色々と考察できて面白いですね。3作目はどうやって描かれて行くんだろう。楽しみ。

*1:「ミッシング・タイム〜奇抜探偵・四条司の堂々たる推理〜」

ブラストが笑う夜

公演日:2011年6月13日 会場:ルミネtheよしもと
出演者:ブロードキャスト/ソラシド/若月/梶剛石田明(NON STYLE)
脚本:石田明(NON STYLE) 演出:鈴木つかさ

昨年10月に神保町で上演された公演の再演目。
石田さんの脚本かつ、ブロードキャスト班と言うことで過去見たお芝居の中で
一番好きと言っても過言ではない作品です。ので、多少心酔しすぎている感はお見逃し下さい。
主観込めまくりなのでレポ―トとして成立しないと思うんだよな…まあ感想と言うことで。


初演時のフライヤーの煽りは
「ただの強がりだったんだ。あまりにもバカにするから。耐えれなくて。だから僕は廃墟の病院に行ったんだ。ブラストの野郎…」
でした。これは主役である鉄男(吉村さん)の言葉と見せかけて、ブラストの言葉とも取れるのかな。
被害者と加害者が入れ替わる錯覚。(ほんとはそんなに深い意味ないかもしれないけど)

役柄のおさらいと、物語の舞台である第一回生病院の廃墟に集まった経緯。

草木鉄男 - ブロードキャスト・吉村
 30歳。引きこもり。芸人のブログを荒らすことでストレスを発散している。ブラストと名乗る人物から殺人予告を受ける。
西郷武 - ブロードキャスト・房野
 第一回生病院の廃墟を巡回する警備員。おばけが怖い。
黒石誠治 - 若月 徹
 殺し屋レッドウルフ。出会い系サイトで知り合ったマイちゃんにご執心。第一回生病院へは拳銃の受け取りでやって来る。
青山純吾 - 若月 亮
 心霊スポットに来る若者を驚かせて楽しむバカップルの片割れ。原付免許を取るのに20回以上落ちている。
渋谷ワカナ - ソラシド・水口
 青山の彼女。小さい頃の夢は武闘派ナース。
板井一馬 - ソラシド・本坊
 第二回生病院の医師。間違って配送された医療器具を探して第一回生病院へ。
稲富銀蔵 - 梶剛
 武器商人。耳が遠いので補聴器を付けている。趣味は手芸。
上村敬太 - NON STYLE・石田 ※再演での追加キャラクター
 西郷とともに第一回生病院を巡回する警備員。顔色が悪く、何かと気絶しがち。


石田さんが加わることでほんの少しだけ形を変えたこのお芝居。
正直な所、見比べてみてオープニングの演出やキャストのパッケージは神保町のが好きでした。
エンディングが2パターンできてしまったので、敢えて比べるとしたら…くらいの感覚ですが。

それでもオープニングの演出はさすがつかささん。
初演はセンターに一人一人出てきて、下手側の受付の窓に出演者の名前のみ(毛筆の手書き)でしたが
ルミネでは上下から交互に出演者が出てきて、センターで物語の中と同じマイムをする形になっていました。
センターでのマイムの際に、中央モニターに役名→演者の名前に変わる演出はかっこ良かった。
このお芝居は追い追われるシーンがとても多かったので、オープニングにそれが入ってるのは象徴的だったな。

あとこの再演でおお!と思ったシーンは、冒頭の鉄男のシーン。
母親に「殺すぞ!」と暴言を吐いたくせに、作ってもらったオムライスに「これがまた美味いんだよなぁ…」と
しみじみ呟くことで、ブラスト犯行予告の「家族を殺す」に怒り震えるのも説得力が出てました。
あーコイツ引きこもって遅すぎる反抗期だけどお母さん好きなのね…と思わせる所とか。
ちょっとしたことだけどこれは吉村さんの腕かな。(後に徹さんの寝坊による尺調整だったと判明しましたが笑)
ここがすごく良かったので、その後のたまごアレルギーの件は見なかったことにしようw

アドリブは結構盛り込まれてました。単純に考えて、公演時間自体30分伸びてるものね…
神保町では恒例だった免許証のくだりも健在で何より。※吉村さん、本坊さん、徹さんは話の中で免許を見せるシーンがあります。
今回は梶さんとつかささん(ゴールド免許)と新喜劇の国崎さんとルミネのスタッフさんの免許証だったそうで、
カーテンコールで房野さん「みんな気付いてないと思うけど、ほんとに一瞬息止まるから!」と憤慨してました笑
細かいところだと青山(亮さん)とワカナ(水口さん)がオバケ姿でいちゃつくシーンで
亮さんが水口さんを後ろから羽交い締めにして「俺、オバケ姿のワカナ見ると興奮するんだよ!」とか、
気絶した上村(石田さん)が起き上がる時に何かしら一言言ったり、それが梶さんに伝染して大変なことになったりとか、
前半はかなりお遊びが盛り込まれてたのでコメディ芝居みたいでした。お客さんの笑い声も多かったしね。
亮さんがヘイボーイ!とリゾート気分!をぶっ込んでた気もするなw
メインの二人以外は割と遊んでた気がします。芝居の世界観いずこへ…!笑

初演を見て何度も思ったことですが、房野さんの泣きの演技は良い意味で狡い。前半と後半の緩急の差は何度見てもやられる。
警備員の西郷である間はツッコミも含めて房野さんの要素がふんだんに盛り込まれてるのに、
後半になってから徐々にブラストとしての顔に変わって行く経緯は何度見てもゾッとします。
象徴的なシーンとして、黒石・板井・鉄男の3人がブラストを罵倒する場面があります。
あのシーンで西郷は頷いてはいるものの一言も喋らないのよね。ただ黙って、ポケットに手を突っ込んで、時折頷くだけ。
ここが引き金になって事態が急転して行くと思うとたまらんな。

ワカナを撃った黒石が逃亡を計り、殺し屋レッドウルフとして正体を現してから
西郷の哀しみと恐怖、ブラストの怒りや憎しみが一遍に吹き出して狂気に変わる。
「そうだよ…俺が『ブラスト』だ」
この瞬間は見たくなかった現実を突きつけられたような、そんな気分になります。
とにかくワンシーンに感情が入り乱れすぎて付いて行くのがやっと。
殺人鬼であるブラストがハマり役かと聞かれたらうーん…と首を捻ってしまうのですが、とにかく房野さんは上手かった。
序盤から初演の時よりチカラ入ってるなあとは思っていましたが、圧巻でした。

思う所はたくさんあるので別記として勝手に考察を書き記します。
長くなりそうなので、まとめ。
この「ブラストが笑う夜」という作品は、このキャストでなくては成立しなかったと思います。
梶さんのおじいちゃん役や水口さんの女装刑事はかなり上手かったし、若月のふたりも上手かった。
ブロードキャストのふたりと本坊さんも上手かったけど、とにかく梶さん水口さんは別格。
梶さんとソラシドは石田さんならではのキャスティングだと思うし、だからこそ色がついたのかも。

脚本家としての石田さんが何を伝えたかったのか考えてはみたけど、迷路にハマりそうなのでやめました。
けど、事実とリンクしている箇所が多い分、彼のファンのみならず何かしら考えさせられる作品なのだと思います。
姿の見えないネットを盾にする弱さ、大切なものを失って人として堕ちてしまう弱さ、
怒り、憎しみ、軽蔑、哀しみ、恨み、マイナスの感情が複雑に絡まってラストを迎えるこのお芝居を
それでも良い作品だったと思えるのは、脚本・演出・出演者のバランスが良かったからでしょうか。
胸に何かを残してくれる作品に出会えたことに感謝。

ブラストが笑う夜の再々演を望むのもいいけど、同じメンバーで別の話も見てみたいなあ。
今度は思い切り笑えるような、そんなお話を見てみたいです。

芸人芝居

神保町花月のお芝居に感銘を受けすぎてtwtterで勝手にアンケート。
 【神保町花月ベストアクト− http://togetter.com/li/148630

ここ最近見てる神保町花月のお芝居がとても良い作品ばかりなので
過去の作品にも興味が湧いて、ちょっと皆さんに聞いてみました。
もう一度見たい作品や単純に出演者・脚本・演出が好きな作品。
先日の200回記念公演や来月の4周年記念公演もありますし、
区切りと言えば区切りなので少し過去を振り返ってみるのもいいかもしれません。
(今だからこうやって思えるようになったけど、劇場設立当時は芸人芝居否定派でした。
 芸人と芝居がなかなかイコールで結びつかなかった結果ですね。ばかー)

で、ざっと2日間で集まったご意見を集計した中
票数が多かった作品が以下の通り。

「籠の城」 公演期間:2008.10.7-13 脚本:田所仁(ライス) 演出:家城啓之カリカ
 出演:林克治カリカ)、犬の心、しずる、関町知弘(ライス)、 かたつむり
「「かつて」の意味」 公演期間:2009.10.14-19 脚本:川畑俊輔 演出:杉田鮎味(劇26.25団)
 出演:犬の心、パンサー、クレオパトラ、バックスクリーン、
    九次元、マンキンタン、フレンドリー田崎、ゆきち先生
「THE MOMO-TARO」 公演期間:2007.7.18-27 脚本:堀江B面(劇団THEフォービーズ) 演出:高梨 由 (TRAPPER)
 出演:犬の心、あべこうじ井上マーチーモンチョーチュウ、こりゃめでてーな、
    キャベツ確認中、チョコレートプラネット、ゆう太だい介、阿山真也、水野以津美
「テルニ」 公演期間:2010.7.20-25 脚本:松橋周太呂ジューシーズ) 演出:田所仁(ライス)
 出演:関町知弘(ライス)、赤羽健一ジューシーズ)、児玉智洋ジューシーズ)、
    エリートヤンキー囲碁将棋、天狗
「雨プラネット砂ハート」 公演期間:2010.3.30-4.4 脚本:福田晶平 演出:足立拓也(マシンガンデニーロ)
 出演:ライス、ジューシーズ、少年感覚、京本有加、他

犬の心・ライス強し、と言ったところでしょうか。
他に票数を集めた作品としては
「野菜とキュウリとごめんなさい*1「頭蓋骨を抱きしめて*2」「凛*3」「なんとなく地獄*4「咆号*5「誰なんだ*6
「哀しみが少し癒えたら〜奇抜探偵・四条司の絢爛たる誕生〜
*7ソビエト*8「ブラストが笑う夜*9「盲亀浮木*10」「ぼのほの*11
などなど。*12

こう見てみると2010年は豊作だったんですかね。
出演者で多いのは囲碁将棋かな。ばらつきがあるので必ずしも出演者のみって訳でもなさそうです。
脚本家なら福田晶平さん、冨田雄大(オコチャ)さん、又吉さん、
演出家は足立拓也さん、鈴木つかささん。

残念ながら見たことのある作品のが少ないのですが、
タイトル見ただけで興味の涌く作品はたくさんありますね。

舞台に立つ人として、自分ではない他人を演じると言うのは主軸になってくると思うのですが
+α「芸人芝居であること」を懸念したら、それぞれの個性が生かされた作品が多いのかと思います。
決して喜劇ばかりではないけれど、コメディベースのシリアスなお芝居とか。
昔はガッチガチの演劇ばかり見てたので舞台の世界観にのめり込みがちだったんですが、
その点、芸人芝居は笑えて泣けて考えさせられて、かつ程よくのめり込めるお芝居が多くてとても見応えがある。
芸人という媒体に芝居が乗っかると面白いもんですね。遊びがある分、お芝居の幅も広がるし。
そんな初歩的なことを設立4年目にして気付くとか遅すぎる。

とは言え、まだ4年目の新しい劇場。
最近だと千秋楽以外満席にならない公演が多いみたいですが
過去の公演への敬意と、今後もっと繁栄していってほしいと言う願いも込めてこの記事を残します。

*1:2010.8.10-15 脚本:冨田雄大(劇団オコチャ) 演出:吉谷光太郎 出演:かたつむり林、シューレスジョー、若月、ゆったり感、井下好井、伊藤真奈美(THEフォービーズ)、工藤史子、永作あいりエスピーワン

*2:2007.11.27-12.2 脚本:オパヤン 演出:鈴木つかさ 出演:カナリアランディーズ、すっちー、レアレア

*3:2007.12.4-9 脚本:又吉直樹(ピース) 演出:大平カンフー 出演:ピース、ピクニック、ゆったり感、はんにゃ、キューティーブロンズ

*4:2010.11.2-7 脚本:成島秀和(こゆび侍) 演出:毛利亘宏(少年社中) 出演:POISON GIRL BAND囲碁将棋、ライス、畑中しんじろう

*5:2010.2.16-21 脚本:又吉直樹(ピース) 演出:高橋崇 出演:平成ノブシコブシ、ピース、渡辺直美

*6:2010.1.19-23 脚本:谷口聡 演出:山下哲也 出演:2丁拳銃、ブロードキャスト、LLRシューレスジョー

*7:2011.6.7-12 脚本:福田晶平 演出:足立拓也(マシンガンデニーロ) 出演:囲碁将棋、井下好井、タモンズ、ゆったり感、KBBY、いぬ、大室由香利(演劇集団Nの2乗)

*8:2007.9.17-24 脚本:福田雄一 演出:大平カンフー 出演:平成ノブシコブシグランジ、ピクニック、ジャングルポケット

*9:2010.10.26-31 脚本:石田明 (NON STYLE) 演出:鈴木つかさ 出演:ブロードキャスト、若月、ソラシド、梶剛

*10:2009.4.28-5.2 脚本:川畑俊輔 演出:あべこうじ 出演:チョコレートプラネット、グランジ囲碁将棋、鈴木亜季

*11:2009.10.21-25 脚本:冨田雄大(劇団オコチャ) 演出:足立拓也(マシンガンデニーロ) 出演:もう中学生、LLR、少年感覚、レギュラー、ソドム、すま、山田あさこ、工藤史子、川原麻衣オスカープロモーション

*12:赤字は再演された公演、青字はシリーズもの

トークライブ

色々なジャンルで多彩なトークライブがあるけど、
開催頻度がぶち抜けて高いのがお笑いのトークライブ。
よしもとの劇場に限らずともその数は極めて多いと思います
ネタライブや企画ライブも面白いけど、
昔から取り分け「トークライブ」が好きで良く見に行ってました

という訳でトークライブについてちょっと思う事を。

頻繁にお笑いに関わるようになる前は
トークライブってただ喋るライブでしょ?』くらいにしか思っていませんでしたが
しっかり見たり、関わったりするようになってくるとまあ多彩も多彩
十人十色と言ってしまったら在り来たりになってしまいがちですが、
例えば1時間と決められた時間の中でひたすらサシで喋り続ける芸人もいれば
トークと企画を半々でがっちり固めてくる芸人もいる
1対1の対談から10人でのディスカッション形式まで
出演者はやりたいことやってるんだろうし、お客さんからしたら選びたい放題

あくまでも主観になりますが
芸人そのものが「喋ること」を生業にしている限りなくならないものであって
コントはともかく、漫才に関してはこの「喋ること」が礎になる訳だから
純粋にトークライブは喋るだけでもいいと思うのです

もちろん
中身の構成や辻褄合わせは大事だと思いますが
その人たちの考え方や言葉の選び方、リアクションの引き出しまで
一つ一つの要素をちゃんと見られるのが「ただ喋るだけのトークライブ」だと
勝手に思っています

最近よく見るようになった某事務所のトークライブは
もちろんトークそのものに重点を置いているのですが
間にコーナーが入ったりだとか、冠付いてる割にゲストメインだったりとか
純粋にトークを聞くライブ、と言うより
ライブとして見せるトーク、に様変わりしてるような気がします
それはそれでいいんですけどね。

そのコンビの人となりを知れると色々と認識が変わるので
本当に原点である、会話の延長線上にあるコンビ間トークが好きです。
会話しているように見せかけて解説してる、とかじゃなくてね。
言葉ひとつ取っても、ほんの少しであれ主観が入っていてほしいと願うものです。

何にせよ、形をひとつに留めないのは良いことなので
これからも様々な形の「トークライブ」を見守って行きたいね

クズ芸人の集い

6月4日はロシモンの日。

と言う訳で
無限大ホールのクズ芸人No.1決定戦・K(クズ)-1グランプリを見てきました。

毎年6月4日を本人達が勝手に“ロシモンの日”と制定して
劇場の支配人に頼み込んで好き勝手な事やらせてもらおう、って趣旨の模様。
実際に見てみるのは今年が初めてだったけど、入り口からなんともロシアンモンキーらしい。
で、今回のクズ芸人決定戦はロシアンモンキー中須さんの企画/構成。

【出演】
ロシアンモンキー(MC)/ライス/ギンナナグランジ/流れ星/ハマカーンスパローズ

並べただけでワクワクするラインナップ!見るからに危険w
そもそも何を以てして“クズ芸人”とするのか。
クズ芸人の三箇条をざっくり要約すると、「お金に汚い」芸人らしいです笑

1対1のトーナメント形式でクズ芸人の頂点を決めよう、と言う内容。
勝利すると1万円の賞金獲得。
(ちなみにこの賞金は前日中須さんがルミネと無限大の支配人に
 「嫁が手術する」とホラを吹いて頂いたお金だそうです。しめて15万円。)
祝儀袋から本物の現金をチラつかされてヒートアップするクズ芸人たちw
序盤からクズのエンジンがかかりまくっていたスパローズ・大和さんが
15万の現金を持ち逃げするミニコントに全員で乗っかっていくクズ芸人たちww
序盤からすでにカオス。

【第1戦】ライスvsハマカーン「クズ大喜利
クズな大喜利のお題にクズな答え考えるクズ大喜利
一応クズ=ライス田所/ハマカーン浜谷だけど、相方もクズになりきって答える。
神田さんがとてもハマってた。川口さん曰く「クズじゃなくて大喜利が上手いだけ」w
お題も答えもあまりにクズだったので中身は割愛しますが
何を出してもウケる空気を凍らせた関町さんのクズ回答にはそこそこゾッとしたw
大喜利の上手かった神田さんの好投によりハマカーンの勝利。

【第2戦】グランジvs流れ星「クズ一発ギャグ」
小道具を使ってクズな一発ギャグ。
ちゅうえいさんが緊張のため絶不調。大さんと五明さんの鬼気迫る一発ギャグに
お客さんが軽く戦慄するも、グランジの勝利。

【第3戦】ギンナナvsスパローズ「クズジェスチャー
ジェスチャーゲームのお題が全てクズw
これは前2つの対戦から比べるとお題そのものが遥かに上を行くクズっぷりでした。
お題が見えてるお客さんにとっては物凄くわかりやすいジェスチャーを繰り出す
ギンナナ菊池さんとスパローズ大和さん。
金成さんにまんま答えな助け舟を出す川口さんとヒントなしで6問正解の森田さん(これ本当すごかった)
桁違いのクズっぷりを見せたスパローズ勝利。

【第4戦(決勝)】ハマカーン浜谷vsグランジ佐藤vsスパローズ大和
勝ち抜いた3組で優勝決定戦。3ゲームをクズ芸人代表で対戦しました。
「割り箸キャッチ」「パンスト綱引き」
あともう1つはタイトル忘れましたがビーチフラッグみたいな感じのゲーム。
割り箸キャッチで脚立の上から落とすのが1万円札だったり、1万円札をフラッグにしてみたり。
とにかくパッと見がとてもゲスいw
金をチラつかされた芸人たちの本気っぷり(特に大和さん)がすごかった。
1万円札フラッグの奪い合いでは大和さんがガチの感じを出したにも関わらず、
偽物をつかまされて本気で肩を落とす茶番もありw
フラッグ、パンストと2ゲームを制した大さんの優勝。

と思いきや。
トーナメント表をおもむろにめくり、出てきたのがロシアンモンキー中須
本当は優勝者からトーナメントの線が出てなきゃ行けない所を
決勝3組と同じラインに並べられてるハプニングw
それはさておき、ここからは優勝した大さんと中須さんで最終決戦。
クズ紙をゴミ箱に一発で入れられるかの勝負だったかな。タイトル忘れたけど
大さんが中須さんに勝てば優勝賞金5万円+ボーナス15万円で20万円のバック。
ただし負けたら全額没収。

まず中須さんの挑戦。
鳴り響く鼓動SE。
投クズ。
寸での所で惜しくも失敗。

続いて大さんの挑戦。
鳴り響く鼓動SE。
音が明らかに大きくなる。(中須さんの仕掛けた演出)
大きくなったり心拍0になったりで3回程SEの遊びが入り、
4回目にしてようやく投クズ。
ジャストで入った所で間違いなく会場が一体になったよw

まあこんな感じで、
クズ芸人決定戦は大さんの優勝をもって幕を引きました。
法に触れるレベルではないけど大分ゲスいので本当に細かい事までは書けませんが、
いやまあ粒揃いのクズたちだったなー。
大さんの勝負強さはすごいなーと思ったり、
スパローズの2人が想像を絶するクズだったり。

何より、よしもとの常設劇場/他事務所/芸人発企画というのが新鮮だった。
企画そのものがいい子ちゃんな内容じゃなかったからかもしれませんが。
許容範囲内で道外れてるものを外野から見るのって面白いね。
配信のカメラを取っ払ってやりました!とライブの冒頭に言ってたけど
多くの人に見てもらえる分、何かと規制の多い配信を取るか
何も考えず好きな事をガッチリやる企画を取るか
難しい所。
芸人さんやお客さんの反応を見ても
こういう企画が求められてはいるんだろうな、とは思いました。

とにもかくにも面白かった。
またやるならぜひ行きたい。

これまでとこれから

隠すものではないのでこれまでとこれからのお仕事まとめ
社会には守秘義務というものがあるので
過去のお仕事に関して言及はしない方向で

2011年
1月:「よしログ」AD
4月:井下好井とタモンズのトークライブ「話し合い」
   ∟フライヤー作成

5月:smile bazar イベントスタッフ
   SENGOKU房野〜エリートヤンキー西島・ゆったり感中村の乱〜
   ∟イベントプロデュース(映像・フライヤー・ロゴ・オリジナル家紋作成)

6月:井下好井とタモンズのトークライブ「話し合い〜2度目〜」
   ∟フライヤー作成、その他もろもろご協力

あと7月と8月にイベント2本ずつ予定
企画段階だけど立ち上げたいイベントはいくつか
間に某芸人さんのDVD制作と
インディーズバンドのオフショット編集&フライヤー作成もちょっとだけお手伝い

2010年
Yahoo!バラエティ(現在のGyaO)「よしもとオンライン」AD


元ADがどこをどうやったらイベント制作に乗り替わるんだ
2010年より前は完全に人生こじらせてどうにかなってた時代だから割愛
ラーメン屋とかラーメン屋とかうどん屋で働いてたような
色々とまだまだひよっこでやんす

テスト2回目

スマホから更新できるかテスト。
できるか。できるよな。そらそうだ
き、今日はやることないだけだからねっ
(いわゆるヒマなんだって)

タブレットPCを持とうかと悩んでるけど
そもそもWindowsMacあって(ほぼMacしか使ってない)
さらにケータイとスマホがある(ほぼiPhoneしか使ってない)のに
これ以上どんな便利ツールになり得るのかね
金の無駄の極み。

前の会社で上の全部+タブレットPC持ちのブルジョワがいたけど
大人の嗜みと見栄が交錯しててあんまり気分のいいもんじゃないね

人のこと言えないか