第05回 - 09年度秋学期

今週の授業の内容は、発表の技術についてです。

口頭発表の際の心得

プレゼンテーションは、多くの場合、口頭で発表するという経験をともないます。慣れた人はそう苦労なく発表することができるのですが、あまり経験のない人にとっては、人前で話すということが、まず大きな課題になることでしょう。
多くの人の前で話すには、いくつかのコツがあります。その点をクリアすることで、少なくとも「聞き苦しくない発表」のレベルまではもっていくことができます。

聞き苦しい発表とは

今までに、さまざまなプレゼンテーションを見てきましたが、これはいただけないな、と感じることも少なくありません。それは多くの場合、発表者の態度がすべてです。発表者が自信を持って、明確な主張をし、わかりやすくストーリーを提示してくれれば、実際には「そこそこ」の出来であっても、プレゼンテーション自体は良い印象になります。逆に、聞き苦しい発表はどのようなものでしょう。下にリストしておきます。

  • 聴衆の方を見ずに発表する
  • 声が小さくて何を言っているかよくわからない
  • 自分が主張していることがよくわかっていない
  • つまり自信がない
  • 聞いている側がよくわからないまま話が勝手に進む
  • スライドに文章が一杯書いてあり、それを読み上げるだけ
  • スライドが足りない、または多すぎる
  • 時間を大幅にオーバーしていても大声で発表を続ける


書いていて嫌になってきました。しかし、このような発表は結構あります。このような発表は公害といっても良いでしょう。このエントリーを読む人は、ぜひこのような発表をしないように心がけてください。

口頭発表の技術

話して伝える、ということは、多くの人が日常的に行っている作業です。そこで、口頭発表もその延長でできるのではないかという誤解が生じているようです。実は口頭発表という作業には、独特の技術が必要とされます。日ごろ「自分は機転の利かない話し下手だ」と思っている人であっても、プレゼンテーションの場で話す技術は、下のいくつかの点に注意するだけで、確実に上達します。

話しだす前に資料を見せましょう

まず、話し出す前に、資料を見せましょう。人間、何も手がかりがない状態で話し始めるのには不安があります。しかし、自分の作成した資料をまず提示し、自分で次に何を話すのかが少しでもわかっている状態であれば、少し安心することができます。まずは自分のためにも資料を見せましょう。

聞く側からすれば、どんなことを話すのかを事前に少しでも把握することができる、という利点があるので、有効な技術です。隠した情報を出すことで驚かせる、というような演出は、もっとプレゼンテーションの技術が上達してからで十分です。

相手を良く見て話しましょう

発表を聞いてくれるために集まっている人を見ないで、用意した原稿の方ばかりを見て発表する人がいます。これは集まってくれた人に失礼です。自分が失敗しないことの方ばかりが気になって原稿に集中してしまうのでしょうが、その態度の方がより大きな失敗を呼んでいると思いましょう。聴衆はスライドではなく、発表者を見に来ているのです。ではどうしたらいいのでしょう。いくつか技術があります。

  • 会場の四方に視線を配りながら発表する
    • 会場は広くても狭くても、人が多くても少なくても、全体を見渡すようにしなければいけません。話すときには会場にいる人の顔を見る、というのは鉄則です。
    • まずは一番左奥にいる人に視線を向けてからスタートです。次に右奥、左手前、右手前、そして左奥と、会場をゆっくり見回しながら話を続けます。しばらく話をしていると、自分に目を向けてくれている人が出てきますので、その人たちを順番に見ながら話をすると良いでしょう。ただし、特定の一人の顔をじっと見続けてはいけません。
  • ちゃんと姿勢を正してきちんと立って笑顔で話す
    • 緊張して縮こまっている人がいますが、できるだけポジティブに見える状態を作りましょう。難しいかもしれませんが、目を大きく開き、口角を上げて笑顔を作ってみてください。プレゼンテーターが暗い顔をしていると、聞いている側も暗くなってしまいます。できるだけポジティブな印象を与えるようにします。
  • 大きな声でゆっくりと話す
    • 人前で話すことに慣れていないと、早口になりがちです。しかし、話す速度が早すぎると、予定していた時間よりもプレゼンテーション自体が短くなってしまいます。これでは質疑応答の時間が増える、ということになります! 人前で話すのが苦手な人にとって、人前で質問に答えることはさらに難しいことです。ですから、きちんと予定の時間で終わるように余裕を持って話しましょう。また、だんだん小声になってしまうことも多いのですが、それでは聞いている側が何度も「もっと大きな声で」と注文をつけることになります。急かされる方がよっぽど緊張しますので、大きな声でゆっくりと、自分の言っていることはプレゼンテーションの間だけでも絶対正しいんだ、と思って発表してください。
    • よく、原稿を棒読みする人がいますが、それはしないでください(ただし、どんなことを話すかのレジュメ程度なら問題ありません)。


関連資料として以下のページを上げておきます。

プレゼンテーションを聞く側の態度

さて、プレゼンテーションを受ける側の態度についての資料です。
ここまではプレゼンテーションを「する側」に関してのアドバイスを掲載してきました。しかし、ここからは、プレゼンテーションを「聞く側」に関してのアドバイスです。

プレゼンテーションを行う側がいくら一生懸命に話そうとしていても、それを受ける側が拒絶しようとしたなら、プレゼンテーションという場自体が成立しません。プレゼンテーションをする側と受け手側が同じように積極的に参加することなくては、プレゼンテーションとは成功しないものなのです。

上手にプレゼンテーションを受けるための態度は以下の通りです。

意識的に積極的に聞いている姿勢を取る

まずは姿勢から決めていきましょう。聞く側の態度を大きく決定するのは姿勢です。
当然ながら、プレゼンテーションの間に寝てしまったり、周りをきょろきょろ見回したりすることは行ってはいけません。目の前のプレゼンテーションに集中しましょう。腕組みをして考え込むのも、プレゼンテーターが話しづらくなるので、避けた方が良いでしょう。

メモを取る

聞く側は必ずメモを取るべきです。むしろ、絶対にメモは取らなければいけません。プレゼンテーションの資料が配布される場合でも、その原則を守って下さい。

プレゼンテーションの主な内容はプレゼンテーターが直接口頭で話した事柄です。資料が伝えることよりも、より多くの情報は、口頭で伝えられているのです。もしもそのプレゼンテーションの内容を他の人に伝えねばならないとしたら、それはメモに頼らねばならないということに他なりません。

しかし、メモの取るということは、習慣化していないと難しい、という人もいます。確かにそういう側面もあるでしょう。そこで、ここでは簡単なメモの取り方を解説します。

メモの取り方

メモを取る場合に重要なことは、そのメモを誰が見るのかということです。単語だけが並んだメモを見せられても、それを理解できる人は少ないでしょうし、数週間、数ヶ月後の自分自身もまたそれを理解できるかどうか疑問です。従って、メモはできるだけ丁寧に書くべきではあるのですが、話を聞くよりも、書き記す方が時間がかかります。つまりその場でメモを書くことに回せる時間は限られているのです。「全てを書き留める」ことは、速記者でもない限り、物理的に不可能です。しかも、プレゼンテーションや講演を聴く場合には、「その場面を書き留める」よりも、その場で、自分がどのようなことを考えたのか、という方が大事なのはいうまでもありません。その場を記録するのであれば、ビデオテープで録画した方がよっぽど正確に記録できるでしょう。しかし、「メモを取る」ということは、自分のために役に立つ情報をその場で作り出す、ということなのです。これは、その場に参加した人にしか出来ない作業なのです。

メモを取るには、いくつかのコツがあります。

メモを取るコツ

メモを取るスキルは、時間をかけて成長させるものです。これはノートを取るというスキルも同様です(メモからノートを作る、という話題については、そのうち別項で取り上げたいと思います)。しかし、メモを取る際に気をつけるべき点はいくつかあります。

  • その場で書き漏らさない

プレゼンテーションや講演をメモを取る際に、絶対にやってはならないことは、大事なことを書き漏らすことです。大事なことが何か、ということは置いておいて、まずは、話についていきながらある程度のスピードでメモを取るために重要な点について触れておきましょう。

  • 略字や記号を多用する

ただし、その場で略字を作った場合は、その旨をメモとして残すことが大事です。後で何を書いたか忘れてしまいます。

  • 字はきれいに書こうとしなくても良い

きれいな字を書こうとするよりも、必要な情報を聞き漏らさないように神経を集中します。メモを元にノート化する際に清書するようにしましょう。

  • 漢字を思い出そうとする時間は無駄

漢字を思い出そうとしている間は、話を聞くことができません。迷うよりもカタカナでさっと書いてしまいましょう。漢字にするのは後でいいのです。

  • 今聞いている話を単純化する

プレゼンテーターが話している内容には、話の本筋から外れた部分や、場を和ませるためのジョークなども含まれます。このような情報を書き留めておく必要が無いと思ったなら、ばっさりと切り捨てることも大事です。今聞いている話を分かり易くまとめ、話の流れの要点を書き留めることがメモの目的なのです。

  • 情報の取捨選択をおこなう

今話し手が話している内容は、書き留める必要のあることですか? 自分が既に知っていることであれば書き留めるよりも「○○に関して」とか「××の概略」などという形で書き留めるのも良いでしょう。また、話し手が書籍を執筆している場合には、その内容と類似した話題になる場合もあります。その際には「「書籍名」の内容」という書き方もできます。

  • 要点を書き出して箇条書きに

要点は「主語・述語」を明確にして書きましょう。単語だけでは後々誤解する元です。箇条書きや要点を線で囲うことで図として扱うことができるようになります。つまりブロック化して扱えるようにする訳です。

  • 図形や矢印を多用する

時間の流れ、話題の流れをブロックでまとめ、それぞれのブロックを矢印で繋げると、視覚的に流れを掴みやすくなります。プレゼンなどで提供される話題の「流れ」を見つけ出すと、話を掴みやすくなります。また自分の中のコンテンツと共感しやすくなり、自分の中で話題が膨らませ易くなります。このようにして自分の得意分野と連結することで、話題提供者に対する質問も考え易くなります。

  • 質問を考える

思いついた疑問は、全て書き記しておきましょう。その疑問はあなただけが思いついたことです。忘れてしまったとしても、誰も思い出してくれません。話の流れごとに、素朴な疑問を欄外に書き入れておくと良いでしょう。そして、それらの疑問が話題提供者の話を聞いているうちに解消されたなら、解消された話題のブロックと質問とを線で繋いでおくと忘れません。
ですが、自分で思ったことは自分で思ったこととして区別しないといけませんので、書き込む場所やペンの色を変えましょう。ペンの色を変えるほどの余裕が無い場合にも、メモ用紙の余白部分に疑問点などを記すようにした方が情報が整理されます。コーネル大学式ノート作成法(後述)では、講義直後に質問事項をキュー欄に記すが、これをリアルタイムで行うようなものだと考えてもらえば良いでしょう。

  • あいまいな点を聞き直す

話題提供者とオンタイムで会話できる機会は限られているはずです。ですので質問のための機会は余さず活用しましょう。あいまいだなと思ったら、質問し、納得できたら、その要点を資料に必ず記載しましょう。「?マーク」を行頭に出して箇条書きすると何が問題なのか整理できます。このような略号の応用も大事ですね。

他のテクニック
  • メモ用紙の使い方
    • 自前で用意したメモ用紙の場合、案件一件につき一枚利用し、両面を使わない方が良い
    • ノートではなく、メモであるため
  • 事実と感想を分けて書く
    • 自分の感想も感想ということが分かるようにして書き込む
    • 自分の経験を踏まえたアナロジーを出すと理解が深まる
清書する

さて、何のためにメモを取ったのかを再確認しましょう。高校の授業までのようにノートに書き写すだけでは学習は成立しません。さぁ、確認しましょう。メモを取ることだけが目的になっていませんか? メモは見直し、清書しなくてはなりません(もちろん自分にとって清書するだけの価値があるものに限ります)。もしも講演などで、内容が書籍にまとまっていることの繰り返しであれば、それはわざわざ清書する必要はありません。メモのうち自分に役に立つことを書籍に追記しておくだけで十分その役に立ってくれます。
しかし全く目新しいことであれば、これは自分でノート化しておくことによって後々に参照できるようになります。メモは見直して清書することで、まとまったドキュメントとして役立てることができます。重要なことは後で使うものをノートとしてまとめることです。後で二度と見返すことのない内容をノートとしてまとめても、それは単に時間の無駄でしかありません。

メモからノートへ

自分で活用できる情報への発展
ノートの公開と共有

ノートを公開するということは、自分の頭の中を公開するようなものです。人によっては「なんでわざわざ自分でまとめたものを他人に見せなきゃならないんだ」と思う人もいるでしょう。しかし、世の中には同じような事柄について考えている人もいるでしょうし、その人たちの意見を聞くことも良い勉強になります。
自分がある程度のレベルにまで達していることを示さない限り、周囲もその話題に乗ってくれることは希です。そのための「手みやげ」のようなものとして自分のノートを公開するのは一つの良い戦略でしょう。
また、企業などでノートやノウハウを共有することは、プロジェクト自体の進行を早めることになります。知識やノウハウを誰かが独り占めしているよりは、部署やグループで共有する方が、全体の利益が高まる傾向にあります。

  • オンラインでノートを公開する

Webページの作成は、オンラインでノートを公開するための一つの手法です。たとえばブログというシステムは、HTMLといったWebページ作成のための手間を大幅に省いてくれます。しかし、全てをブラックボックスに入れておくよりも、プリミティブにHTMLを自ら操ることで、Webページを組むという方法についても知っておいた方が良いでしょう。
Webページの作成についての具体的な方法は、今後の講義で扱います。



ネットワークサービス基礎

無料ファイルストレージ

USBメモリなどを常時携帯していれば良いのですが、残念ながら忘れてしまった場合などには、無料のオンラインストレージサービスを利用すると良いでしょう。メールでは制限がある容量の大きなファイルにも対応できます。
Yahoo! Japanのアカウントを持っている人であれば、Yahoo!ブリーフケースを利用するのが手軽でしょうし、さらに大きな容量が必要な方は、そのほかの無料ストレージを利用すると良いでしょう。例としてMEGAUPLOADというサービスを紹介しておきます。

自由に利用できる画像の検索とクリエイティブコモンズ

プレゼンテーションや写真が必要な場面は、意外とよくあることです。特にビジュアルによってプレゼンテーションやさまざまなドキュメントに説得力を持たせることが可能になります。しかし、自分で高品質の写真を用意するには、機材や手間が必要になり、なかなか敷居が高いのが現状です。しかし、現在ではオンライン上でさまざまな画像ファイルを利用できるようになってきています。

これらの利用に関するライセンスは、「クリエイティブコモンズ」と呼ばれています。もし、画像などを利用する場合には、クリエイティブコモンズの理念をよく理解し、そのライセンスに反さない範囲で利用させてもらうようにしてください。

オンラインで画像編集

現代は、写真を撮るためのデバイスが広く行き渡った時代です。携帯電話の写真機能をはじめとして、コンパクトなデジタルカメラを持ち歩いている人も珍しくありません。このようなデバイスで記録したデジタル写真は、加工・編集することで、さまざまな素材として利用することができるようになります。しかし、このような加工には、従来専用のソフトウェアが必要でした。特に高度な編集作業を行うためのソフトウェアは価格も高く、画像編集自体、なかなか敷居が高かったといえます。

ですが、最近になって画像編集もオンラインで行えるようになってきました。加工自体は基本的なものですが、一般的な利用に関しては十分でしょう。

アカウントを作成する必要もありませんし、出先でも気軽に使えます。プレゼンテーションやWebページの作成に活用してみてください。

ToDo管理

何かのプロジェクトを実行するには、様々なタスクをクリアせねばなりません。そんなに難しく考えずとも、「やらなければならないこと」をリストアップし、それらを片端から潰していく、という戦法は時間を有効に使う上で極めて重要です。

特にさまざまなことをしなくてはならないのに、ぐずぐずしがちな人(私自身もそうです)には、GTDと呼ばれる方式をお勧めしておきます。




参考資料

課題

  • 発表スライドの作成
    • 11/26の週はスライド作成実習とする(自宅で作業することを選んでも良い。ただしファイルを期日までに提出すること)。
    • 資料となるファイルを12/1までに佐々木宛にメールすること。容量は5MBまでを目安とする。
  • 発表は12/2に行う。一人持ち時間は15分とする。
  • プレゼンテーションを聞き、内容をメモするためのノート(ルーズリーフでも良い)を各自一冊準備すること。このノートは全員のプレゼンテーション発表が終わり次第提出することになります。また、ノートの記法については今後伝達します。

第04回 - 09年度秋学期

プレゼンテーションの準備と各種メソッドの紹介

プレゼンテーションの心構え

まず、プレゼンテーションのうち大事な点をもう一度おさらいします。
プレゼンテーションを行うということは、「伝えたいことがある」ということが前提になっています。伝えたいことが無い場合、プレゼンテーションを行う必要はありませんよね。そして当然ながら「口頭での伝達」を選んでいる、ということでもあります。他にも情報の伝達の手段は色々あります。しかし、あえて相手の時間を拘束する「口頭での発表」を選択しているのだと考えて下さい。そうすれば、プレゼンテーションの時間は出来るだけ大事にせねばならないこと、そしてきちんと自分の伝えたいことが伝わらなければ失敗だという危機感が生まれてくるはずです。

口頭でのプレゼンテーションの時間は、現代においてはそれだけの貴重な時間なのだと自覚することが大事です。

スライド資料作成までの準備

最近のプレゼンテーションでは、スライド資料を利用することが多くなっています。しかし、スライド資料は資料と位置づけられていることからもわかるように、あくまでもプレゼンテーションの脇役に過ぎません。資料を作成する前に、プレゼンテーション自体の骨子をきちんと決めておかねば、いくら見栄えの良い資料を作成したとしても、全く生きることはありません。まずはスライド資料を作成する前に、きちんとした準備を行い、プレゼンテーションの質を高めるようにしましょう。

きちんと伝えるために

プレゼンテーションが失敗するということは、自分の時間はもちろん、相手の時間も無駄にするということです。時間を無駄にするというのは、現代では大きな罪悪の一つです。

それではプレゼンテーションが失敗しないようにするにはどうしたらいいでしょうか? それは最低限「言いたいことが相手に伝わる」ようにすることです。

よく考えましょう。そのプレゼンテーションであなたが言いたいことは何でしょう。そこがよくわからなくなっていませんか? まずはあなたが伝えたいことを紙に書き出して下さい。そこからスタートです。スライドの見栄えや、奇麗な図は後で何とでも調整できます。しかし、「何を伝えたいか」が明確になっていないとそれすらできません。

紙に何が伝えたいかを書き出しましょう。

資料の収集

紙に何を伝えたいかを書き出しましたか? 今書き出したいくつかのキーワード、それがプレゼンテーションのテーマであり、プレゼンテーションの目的です。これから少しでも迷ったらここに戻ってくることになります。

それでは発表のために資料を集めましょう。もしも既に十分な資料が入手できている場合には問題ありません。しかし、本当にその資料で十分ですか? もしも少しでも不安がある場合には、

前回の講義の内容を参照しつつ、資料を収集してください。十分な資料で裏付けを取りましょう。資料は集めれば集めるほど発表内容に深みが出ます。

資料は十二分に集めましょう

プレゼンテーション時間の確認

さぁ、あなたの発表するべきテーマも明確になり、それに基づいて資料も収集され、自分の立ち位置もはっきりしたと思います。

それでは発表スライドの作成にとりかかりましょう、と言いたい所ですがまだまだそれは先の話です。次に行うことは、発表時間はどれくらいか? という点を確認することです。

たとえ詳しく伝えたいことがあったとしても、たかが数分の Lightning Talk の時間では伝えられることはわずかです。与えられた時間というのは自分にとっても相手にとっても貴重な時間です。ですから時間をオーバーしたり、逆に時間を余らせたりすることは御法度です。ですからここで自分に与えられた時間をきちんと確認することが大事です。

自分が使える時間をきちんと確認しましょう。

ストーリーを作成する

テーマは決まりました、時間も確認しました。だいたいどの程度のことが伝えられるかがわかりましたか? ここで発表のためのストーリーを作成することになります。
ここでストーリーって何? という人もいるかと思います。

まず、プレゼンテーションでは聴衆にとって「なるほど」と思うような体験が求められると思って下さい。聴衆が「で、それで?」とか「だからどうしたの?」と思われるようなプレゼンテーションは失敗です。聞いている人はわざわざ時間を取ってくれているのですから、それに見合う体験を求めています。そのためには、発表自体が支離滅裂な順番で情報を提示するものではなく、きちっと一つの物語となっている必要があるのです。物語といっても小説のようなものではありません。聴衆が内容をスムーズに理解できるように提示された情報をストーリーというのです。話題の提示の順番が聴衆の理解のために重要なのです。ただし、相手があっと驚くような奇抜さよりも、聴衆が納得できる論理的なストーリーを用意するべきです。
さて、ここでもう一つ明確にしておくことがあります。そのプレゼンテーションを聞くのは誰かという点です。相手が上司か、友達か、近所のおばちゃんか、幼稚園児かによって、どのように情報を伝達するかの選択基準が変わります。つまりストーリーが変わるのです。
しかし、突然ストーリーを組み上げろ、と言われても、慣れない人にはなかなか難しいでしょう。そこで、いくつかストーリーの組み立て方を紹介します。なお、ストーリーは発表の際の「本論」に当たる部分での進行です。この前には「イントロダクション(挨拶と背景説明)」が入り、「本論(発表者の主張となる部分)」を経て「まとめ」と終わることが多いようです。また、どの方法を用いるかは、聴衆にとって、最も理解しやすい話の流れはどれかという観点で選択します。

SDS法
  1. Summary(全体要約)
    • これから何を話すかについて要約し、論旨を明確にします。
  2. Details(詳細説明)
    • 本論を要約に基づいて詳しく話します。
  3. Summary(全体要約)
    • もう一度何を話したかをまとめて印象づけます。
PREP法
  1. Point(要点)
    • まず自分の言いたい結論を述べます。
  2. Reason(理由)
    • なぜそのような結論になったかの理由を述べます。
  3. Example(具体例)
    • 結論に結びつく具体例、実例、事例を伝えます。
  4. Point(要約)
    • 最後に要点を繰り返して締めくくります。
時系列法
  1. 過去
    • 過去の事例について述べます。
  2. 現在
    • 続いて現在の事例についても述べます。ここまでは事実に基づきます。
  3. 未来
    • 過去と現在の事実を元にこの先予測されることを示します。

スライドを作成する前に

ここまでがスライド資料作成までに最低限やっておかねばならないことです。次に実際にスライドを作成することになりますが、パワーポイントの操作の方法についてはこの資料では記しません(パワーポイントの具体的な操作については、良い参考書が沢山出ていると思いますので、そちらを参考にすると良いと思います)。この資料では、どのようなスライドが必要であるか、またスライドをどのように設計するか、という点に焦点を当てて解説を行います。

スライド資料の作成

やっとここまでたどり着きました。この時点ではっきり意識されている要素を挙げます。

  1. プレゼンテーションのテーマ
  2. プレゼンテーションに使える時間
  3. 誰に対してプレゼンテーションを行うか
  4. どんな順番で何を話すか

ここまで決まってくれば、プレゼンテーションの資料に何を掲載すれば良いかが見えてくるはずです。しかしまだ待って下さい。プレゼンテーションの資料を作成するにあたって、どのようなスタイルで発表をするかも決めておきましょう。おおまかに分けると、三種類のスタイルに分類されるのではないでしょうか。

  1. じっくりと説明を加えながら進める
    • 一般的な学会発表スタイル。1枚のスライドをおよそ30秒から1分程度の時間をかけて説明します。
  1. スピード感とインパクトを重視する
  1. 聴衆に考えてもらいながら進める

もちろん全てがこの3種類に集約される訳ではありませんが、一つの目安にはなるのではないでしょうか。

上手なプレゼンテーションを参考にする

ここで、一つ上手なプレゼンテーションの例として、Apple 社 CEO のスティーブ・ジョブス氏によるプレゼンテーション場面を見てもらいたいと思います。

YouTube

特に発表のスタイルや、スライドに注目して下さい。このプレゼンテーションでは、以下のことが分かると思います。

  1. スライド上に「文章」が記載されていないこと
    • つまり画像をメインにしているということ
  2. 一枚のスライドに複数の項目が表示されていないこと
  3. 会場のどこからでも見られるように大きな画像を用いていること
  4. 説明がプレゼンテーター自身から語られること


またスティーブ・ジョブスによるプレゼンテーションに関して考察を行ったブログのエントリーに、「Life is beautiful: スティーブ・ジョブスに学ぶプレゼンのスキル」があります(必読)。

もう一度自分の伝えたいことを確認しよう

さて、ここでもう一度自分の伝えたいことに戻ります。今回のプレゼンテーションで必要な要素は網羅されていましたか? その並び順で本当にいいですか? 誤解されるようなところはありませんか? 説明は一足飛びになっていませんか?

情報をきちんと書き出せていたら、それだけでプレゼンテーションの半分は完成です。あとはその設計図に従って、資料を作成しましょう。細かい部分については各プレゼンテーションソフトウェアのマニュアルを参照するようにしてください。

ただ、それだけでは不親切でしょうから、以下のようなことに気をつけて資料を作成しましょう。

スライド作成の鉄則

スライドは読むものではなく見るもの

  • 文字は多くしない
    • 一枚のスライドにはひとつの話題しか書かない
    • 一枚のスライドに5-7行程度が上限
  • 箇条書きは長くしない
    • 箇条書きの1項目は2行まで
  • 文字は大きく書く。最低でも20ポイント以上にする
    • できればもっと大きくする
  • 画像を多くする
    • 画像を使うと直感的な理解をされやすい
    • 引用の場合には引用した件をきちんと書く
  • 視線の流れを考える
    • 上から下、左から右へ



ネットワークサービス基礎

共有資料を当たる

人が一人で集められる情報には限りがあります。ですから、効率的に情報を集めるためには、他人が集めた情報も積極的に活用するとよいでしょう。最近ではWebにブックマークを公開するサービスであるソーシャルブックマークというサービスもありますので、さまざまな人が注目しているWebページを見つけ出すことが容易になりました。

これらのサービスは、オンラインにブックマークを置くだけではなく、ブックマークされた数が集計され、人気の度合いとして提示されます。つまり、共有ブックマークといえるでしょう。ブックマーク群の中から、キーワードを指定することで、望む内容のページを探し出すことも可能なので、一度試してみると面白いかもしれません。

このように情報を共有する、ということに着目すると、さまざまな「既に作成された情報」を再利用するというサービスがあることにも気づきます。

このサイトでは、大学生のレポートなどが、有料で取引されています。教員としては今ひとつお勧めしかねるのですが、現実にこのようなサービスがあり、一定数利用されている現実は把握しておくほうが良いと思い、紹介しました。



参考文献

でかいプレゼン 高橋メソッドの本

でかいプレゼン 高橋メソッドの本

でかいプレゼン 高橋メソッドの本


プレゼンテーションの話題、ということで、こちらの書籍を紹介します。ここ最近になって流行しているプレゼンテーション手法として「高橋メソッド」というものがあります。これは「文字が大きい」「やたらとスライド枚数がある」「一枚の提示時間が非常に短い」といった特徴のある発表手法です。

この書籍はその高橋メソッドを考案した高橋征義さんによる高橋メソッドの解説のための書籍です。ただ高橋メソッドを紹介しているだけではなく、高橋さんがプレゼンテーションの前にどのようにして準備を行っているか、という部分が中心になっています。その部分はぜひ参考にするべきです。試行錯誤と推敲は、プレゼンテーションをより高い段階に押し上げてくれます。

高橋さんが本書の中でも言っていますが、高橋メソッドは冗談のような手法です。しかし、実際に利用をされている本気の手法でもあります。その微妙なバランスに立った手法だということを理解した上で活用するには面白い手法だと思います。

図書館に訊け!

図書館に訊け! (ちくま新書)

図書館に訊け! (ちくま新書)

課題

プレゼンテーション課題の遂行に関する課題
  • プレゼンテーションで参考資料とすることができるWeb上の資料を検索し、メールでURLを紹介する。また、内容についても要約を載せること。ただし、Wikipediaについてはあまりにも基本的な情報源であるので、参考資料として上げてはならない。
  • プレゼンテーションの展開を整理し、聴衆が納得するための論理展開となっているかを確認するために、プレゼンテーションの展開を整理し、メールで送信すること。少なくともスライド資料のタイトル(実際に利用するタイトルとは異なっていてもよい。「導入部」と「はじめに」のような違いは当然あるものと考える)と、そこで主張される内容のサマリーを箇条書きで書いておくこと。

第03回 - 09年度秋学期

Webの活用と情報検索

自分が必要な情報は何かを考え、目的となる情報を収集する手段を身につける

情報はどこにあるのか −書籍とオンラインで情報を自在に入手する−

今回は、情報の求め方に関する講義です。
以下のそれぞれのサービスを利用して、必要となる情報を入手しましょう。

  • 文献データベース

それぞれを利用して効率よく情報を入手しましょう。

図書館を利用する

もちろん大学をはじめとする各種施設に併設された図書館や、自治体などによって設立されている図書館には、読みきれないほどの図書が収蔵されています。それぞれの使い方は、それぞれのシステムに依存していますが、ここでは「国立国会図書館」のウェブサイトを利用する方法について簡単に記します。なお、国立国会図書館以外の日本の図書館については、http://wwwsoc.nii.ac.jp/jla/index.htmlにおけるhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jla/link/index.htmlを参照すると良いでしょう。また、大学図書館を横断的に検索するサービスとして、NACSISというサービスがあります。これを利用することで大学図書館に収蔵されている図書であれば、素早く発見することが出来ます。

図書館での書籍の分類と検索

実際に国立国会図書館を利用する前に、日本の図書館に置ける書籍の分類方法について紹介します。この方法を知らないと、実際に書籍を手に取る際に手間取ってしまいます。さて、日本の図書館では、書籍の分類を日本十進分類法という方法で分類されている場合が多いようです。この分類は、社団法人http://wwwsoc.nii.ac.jp/jla/で策定されています。国会図書館でもこの分類法を用いています(http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/zan9.html)。

国立国会図書館の利用

それでは「国立国会図書館-National Diet Library:トップページ」にアクセスしてみましょう。このサイトから国立国会図書館に含まれる、ほとんどの資料を検索することができます。

では、実際に「資料の検索」から蔵書検索を行ってみます。ページの右側にあるリンクに注目してください。そこに「資料の検索」というリンクがあります。

資料の検索」ページでは、実際に検索を行うことができるページへのリンクが掲示されています。注意書きをよく読んで利用してください。

「蔵書検索・雑誌記事検索」という見出しに注目しましょう。この下にリンクされている「国立国会図書館蔵書検索・申込システム」(NDL-OPAC)では、国立国会図書館の図書、逐次刊行物などの所蔵資料を検索することができます。また、複写などの郵送を希望する際には、登録利用者制度(国立国会図書館:登録利用者制度のご案内)があります。この制度を利用することで、遠方に在住であったとしても、資料を入手することができます。

一般資料の検索/申し込み

一般資料を検索してみましょう。NDL-OPAC の一般資料の検索機能では、図書、雑誌新聞、電子資料、和古書・漢籍、博士論文、地図、音楽録音・映像資料、蘆原コレクションの検索、申込みができます。

検索ページでは、

  • タイトル
  • 著者・編者
  • 出版者
  • 出版年
  • 件名
  • 分類記号
  • ISBN/ISSN
  • 書誌番号
  • 請求記号

のそれぞれで絞り込むことができます。

なお、国会図書館の利用については、

の二つの記事が分かり易いのではないかと思います。

オンライン書店を利用する

ここ数年、オンライン書店と呼ばれるサービスが充実してきました。
都内をはじめとする、大きな都市部では大型書店が複数存在することも稀ではありませんが、多くの地方都市では図書の購入に関して(特に専門書に関しては)きわめて不便であるといわざるを得ません。しかし、ここで紹介するオンライン書店での通信販売を利用することで、距離や書店の規模という弱点を補うことができます。もちろん忙しい生活を送る都市部のユーザにとってもその恩恵は大きいと考えられます。

オンライン書店には、代表的なサービスがいくつかあります。例えばアマゾンBK1楽天ブックスなどがあります。そして、そのそれぞれが一般的な書店よりも充実した品揃えになっています。

ここではアマゾンを例に出して説明します。

アマゾンを使う

アマゾンは、オンライン書店サービスの最大手であり、また機能が充実していること、販売している品数が多いこと、また扱っている商品が多岐に渡っていることでも人気があります。

和書や洋書はもちろんのこと、CD や DVD なども購入することができます。配送は宅配便が利用されており、購入総額が合計 1500 円以上の場合には、送料が無料になります。

アマゾンで書籍を検索するためには、サーチボックスにキーワードを入れて検索ボタンを押します。キーワードには、書名、筆者名、ISBN番号などを利用することができます。また、「詳細サーチ」では、さらに詳しい検索条件を指定することもできます。

また、近年では、「なか見検索」というサービスが行われるようになり、サービスに該当している書籍であれば、フレーズを指定することで、そのフレーズが含まれている書籍を検索することができます。

Google Book Searchを使ってみる

これは「スキャンされた書籍の内容を検索する」というサービスです(Google Books)。画像としてだけではなく、本の内容までテキストとしてデジタルデータ化されています。該当する部分の前後数ページ(本によってはもっと表示してくれます。またこのサービスは「購入できる場所や貸出先を案内する」という目的です。探し出した書籍は「マイライブラリ」機能を利用することで整理することも出来ます。

ウィキペディアを使ってみる

インターネット上で百科事典を作成するプロジェクトが「ウィキペディア」です。

ウィキペディアでは、有志の手によって様々な項目に関する説明文が記述されています。それらの記述に間違いや勘違いがあった場合、それを他の有志が自由に編集することができるシステムになっています。ウィキペディアは、かなり質が高い説明がある項目もありますが、一方で説明がほとんど無い項目もありますので、利用には注意が必要です。しかし、基本的には信頼できる情報源であると考えて良いでしょう。

使い方は簡単です。ウィンドウ左側の「検索」という欄にテキストボックスがありますので、調べたい項目名を入れ、「表示」ボタンを押すだけで目的の単語の説明文が表示されます。

ウィキペディアは読者参加型のプロジェクトですが、まずは利用者として項目を色々と調べてみてください。

最新のニュースをGoogleニュースで確認する

ニュース記事の配信は、速報性に優れたインターネットの得意とするところです。もし最新のニュースの中に、自分の興味のある記事があるかどうかを検索したい場合には、「Google ニュース日本語版」を使うと良いでしょう。

Google ニュース日本語版」は、オンラインでニュースを配信している新聞社などのウェブページから、ニュース記事の見出しを切り出して掲載しているサービスです。それぞれの記事の見出しはリンクになっており、そこから元の記事を参照することができます。

自分の興味のある記事に含まれているであろうキーワードを入力して、記事を実際に探し出してみてください。

各種検索エンジンを利用する

ここでは検索エンジン最大手の Google を対象に説明を行います。

Google 使いの基本の「き」の字

Google を使うのは簡単なことです。欲しい情報のキーワードをスペース(全角でも半角でもいいです)区切りで並べて書いて、「Google 検索」というボタンを押すだけです。これを「and 検索」と呼びます。「and 検索」は、すべての条件を満たすページを探しなさい、という命令になります。

なお、隣にある「I'm Feeling Lucky」ってボタンを押すと、検索した後で Web ページに飛びます。これは「検索結果の一番トップのページに自動的に飛べ」という機能です。

「検索オプション」ページを利用する

Google には、ちょっと込み入った検索をするための専用ページが用意されています。それが「検索オプション」です。「検索オプション」ページの上半分の灰色に塗られた「検索条件」という部分は、目的の Web ページにたどり着くために、いつもより検索条件をきめ細かく設定できる部分です。

  • すべてのキーワードを含む

一番上の「すべてのキーワードを含む」は,いつも使ってる Google の機能と変わりません。
また、Google ではより左側にあるキーワードを重視する設計になっています。キーワードの順番にも気をつけてください.

  • フレーズを含む

Google では長い語を入れると短い単語にわけて検索をするように設計されてます。例えば「中央線特別快速」.これは「中央線」と「特別快速」に自動的に分割されます。これを別れないように組み合わせたまま検索するには、「フレーズ検索」を利用します。特に二語以上の英単語で検索する時などに力を発揮します。

  • いずれかのキーワードを含む

たとえば「Google」について知りたいときに,「Google」だけで検索をかけては取りこぼしが生じます。「グーグル」という表記をしている Web もあり得るからです。もしかしたらカタカナで書いているサイトの方がわかり易い解説を書いているかもしれません。そうような場合には、この「いずれかのキーワードを含む」に「Google」と「グーグル」を並べて書けば、二つともを一気に検索してくれます。ただ,検索結果が倍に膨れ上がることも多いため、「すべてのキーワードを含む」で同時に絞り込みも行うようにするのがコツです。また表記の「ゆらぎ」がある日本語で役立つ検索条件でもあります.例えば「モルジブ」と「モルディブ」、「バルキリー」と「ヴァルキリー」などの、複数の表記がある外来語を検索する場合には必須のテクニックになります。

  • キーワードを含めない

検索していて、キーワードが合っているにもかかわらず、自分の求めている結果と違ったページが大量に出てきた場合には、その検索結果から一部の検索結果をまとめて取り除くことが必要になります。この際には、「キーワードを含めない」という検索方法を利用します。これを「not 検索」ともいいます。

たとえば,「フランダース地方に留学に行きたいが,どのような手続きをすれば良いだろう」と思ったとします。しかし「フランダース」で検索をしても、「フランダースの犬」というアニメの情報ばかりが出てきます。これでは仕方ないので、犬には引っ込んでいてもらいたいと思ったとします。その時には、「フランダース」を「すべてのキーワードを含む」に入れ、「犬」を「キーワードを含めない」に指定して検索をすれば、「フランダース」が含まれる検索結果から、「犬」というキーワードが入ったページが取り除かれます。具体的な使い方が難しいですが,ここぞという時に使ってみてください。

実は最も重要なことは「インターネット上にあるほとんどの情報は、二次情報である」という点です。オリジナルの情報は実は比率が低く、また信頼に足る情報はそのうちの一部です。信頼に足る情報、それはいわゆる「公的情報」と呼ばれるものです。政府関係や自治体などが提供しているデータは有用性が高いでしょうし、また信頼に足る情報であろうと考えられます。

このような情報を指定して検索するためには「ドメイン指定検索」が有用です。「ドメイン」の欄に「go.jp」と書き入れて検索すると、公的組織のページのみに限定して検索を行うことが出来ます。たとえば「少子高齢化」とキーワードを入れて、go.jpのドメイン指定で検索をすると、内閣府のページや総務省のページ、中小企業庁のページなどが出てきます。

文献データベースの利用

Google Scholerを利用する

学術情報は専門のデータベースとして公開されている場合がほとんどです。Webには著作者が個人的に公開したもの以外はなかなか表れていないのが現状です。しかし、最近になってGoogleによるサービスが行われるようになりました。それがhttp://scholar.google.com/です。このサービスは、学術文献検索に特化したサービスです。国内外の論文のタイトルや要旨が収録されていますので、まずはここから調べていくと効率がよいでしょう。なお、実際に論文を入手するためには、図書館などを活用し、雑誌の複写を取り寄せるか、オンラインサービスでPDF形式で販売されている論文を購入するという手はずになります。

効率の良い検索の方法

最近ではオンラインでまず目星をつけてから資料をあたる方が効率がよくなってきました。

たとえば課題で「医療事故」をテーマとする場合、大まかに情報を収集する必要があります。

まずはウィキペディアを使って、大まかに調べると良いでしょう。
ウィキペディアの「医療事故」の項目
また、最近のニュース記事を調べたい場合には、Google News 日本語版を使いましょう。検索することで、「医療事故」というキーワードが入ったニュースを一覧することもできます。
Google News 日本語版の「医療事故」の項目

まずこの二つの手段で、テーマの大枠をとらえることができます。さらに書籍での資料が必要な場合には、アマゾン を使ったり、国立国会図書館を利用することもできます。

もし統計データが必要な場合には、Google などの検索エンジンを使って検索する必要があります。たとえば、「医療事故 統計データ」の二種類のキーワードが含まれているページを調べると、「医療事故 統計データ - Google 検索」という検索結果になります。

キーワードとしては、「医療 事件数 推移 裁判」あたりを使って検索すれば良いでしょう。

収集した情報を再利用するために

以上の手段で収集された情報は、レポートやプレゼンテーション、ウェブページにおける公開などを通じて再利用されます。しかし、これらの再利用のための素材は、当然ながら自分以外の誰かが作成した著作物であり、著作権をはじめとする知的所有権によって保護されています。このような場合、それぞれの著作物の利用については、引用という形を取らねばなりません。引用には確固としたルールがあり、それらのルールを守らずに著作物の再利用を行った場合、著作権法に違反することとなります。

それでは著作権について確認してみましょう。

著作権の前に、著作物について考える必要がありますね。著作物とは何でしょう? 著作物とは、頭の中にあるアイディアを、他人が識別できる形にしたもののことです。

  • 論文・小説
  • 楽曲および歌詞
  • 踊りの振り付け
  • 絵画・彫刻・漫画・舞台装置
  • 建築物・地図・図形
  • 映画・写真
  • プログラムのコード

などが、著作物の例になります。さらに、これらの著作物を加工した結果生じたものも、著作物となります。このような著作物を二次的著作物と呼びます。

  • 二次的著作物
    • 小説のドラマ化
    • アニメを絵本にする
  • 編集著作物
    • 百科事典・辞書
    • 新聞・雑誌
    • データベース

そして、このような著作物には、日本国内では、著作権が自動的に発生します。そして、著作物は、著作者の許可なく、複製したり、公衆に対して発信したりすることはできません。

以下に著作権に関わる公的機関のウェブページを紹介します。

日本では、著作権をはじめとする知的所有権の扱いは文化庁が担当しています。もちろん著作権における扱いについて、詳しく扱われています。また、以下のページは、わかりづらい著作権について、平易な記述で解説をしていますので、ぜひ読んでおいてください。


著作権によって保護されている各種の著作物ですが、それらの情報を、一切再利用不可としては、文化が成り立ちません。そこで、引用という方法が用意されています。引用とは、自らの主張を補強するために、他人の著作物を、他人の著作物として利用するための方法です。引用のためのごく基本的なルールとしては、

  • 引用の目的上、正当な範囲内であること
  • 引用される部分が、質的、また量的に「従」に相当すること
  • 引用される部分が明確に区分されていること
  • 出典が明示されていること

があげられます。

情報を書籍やその他の著作物から引用する場合、その詳しい方法については、sist-jst.jp - このウェブサイトは販売用です! - 技術 基準 流通 科学 学術 文献 雑誌 構成 リソースおよび情報が参考になります。特にウェブページなどの電子情報媒体からの引用は、sist-jst.jp - このウェブサイトは販売用です! - 技術 基準 流通 科学 学術 文献 雑誌 構成 リソースおよび情報を参照してください。ウェブやメールからの引用では、伝統的な印刷媒体からの引用と異なり、さまざまな現代的状況を考慮しなくてはならないことを理解しておくことが重要です。




ネットワークサービス基礎

様々な専門に特化した情報源の活用


次に、私が注目して読んでいるblogも紹介しておきます。これらのblogでは最新のさまざまな面白いものを紹介してくれます。このように、目的に特化したblogをいくつか持っておくということも大事なことです。

ここらへんはハイテク関係に興味がある人は、読んでおくと楽しいですよ。



参考文献

この書籍は最近出たものですが、とてもよく書かれています。読むのも1時間くらいで済むでしょう。ぜひ目を通してもらいたいと思います。




課題

今回から、口頭でのプレゼンテーションで利用する資料を集めてもらいます。と、その前に、みなさんがどのような内容でプレゼンテーションを行うかについて、メールで提出してください。

今回のプレゼンテーション課題の条件は以下のとおりです。

  • 発表内容:自分が今まで面白いと思って興味を持ってきたこと(スポーツ・娯楽・学問,分野は何でも良い)。
  • 発表対象:その分野について初めて接する人。
  • 発表目的:その面白さを理解してもらえるように説明を行う。
  • 発表時間:約15分

さて、以上の点を受けて、今回の具体的な課題としては、

  • 自分が発表するテーマ
  • そのテーマを選んだ理由

を書き、続いて、

  • 自分の発表するテーマに関して参考となる文献を2冊以上紹介すること。文字数は1冊につき最低でも400文字以上とする。

これをメールで送付すること。締め切りは09.11.04 23:59:59 JSTとする。

以上です。

第02回 - 09年度秋学期

手紙とメールの仕組みとマナーについて

先週は台風の影響で授業がありませんでした。これの補完については今後考えます。

メールの作法……の前に手紙の作法

きちんとしたメールを送る、ということは、コンピュータを介したコミュニケーションの基本です。前回の課題として、講師宛ての手紙を準備する、というものを行ってもらいました。皆さんの手元に本日の授業で用いる手紙は用意してありますか? 手紙はこの講義の最後に受け取ります(来週返します)。ではこれからいくつか注意すべき点を指摘しますので、自分で赤ペンを用いて、添削をしてください。

手紙をしたためる、ということは一つの文化です。皆さんも、共同体(ここでは日本文化という共同体)に属している訳です。で、何かしら活動を行う時に、その所属している文化を無視してしまうと、「文化に沿っていない人」とか「文化を無視する人」という印象を持たれてしまいます。もっと簡単にいうと「教養の無い人」、「空気の読めない人」、「常識はずれの人」というネガティブな印象を受けてしまう訳です。残念ながら、文化なんて古い空気はうざったい、従う義理なんてない、と思ったとしても、世間の大多数の人はその文化に所属していますので、抵抗したところで不利益を受けるのは少数派と、そういうしくみになっているのです。

面倒臭い話になる前に、手紙の話に戻します。まずは手紙は、大きく分けて二つに分類されます。

  • 封書
  • はがき


の二種類です。通常、あらたまった内容であれば、封書で出すことが正式です。目上の人に対しては封書で出しておいた方が無難です。はがきは略式のものであると考えておいて良いでしょう。ただし、年賀状や暑中見舞い、季節の挨拶状においては一般的にはがきを用います。それ以外の場合は封書の方が無難だといえます。皆さんにも今回は封書で書いてもらいました。

手紙の基本構成

手紙は、前文、主文、末文、後付からなっています。それぞれはまた、下位の構成要素から成立しています。ちょっと見てみましょう。

  • 前文
    • 頭語
    • 時候の挨拶
    • 安否の挨拶
  • 主文
    • 起辞(起こし言葉)
    • 本文
  • 末文
    • 結びの挨拶
    • 結語
  • 後付
    • 日付
    • 署名
    • 宛名
  • 副文
    • 添え書き、追伸


はがきの場合は、以下の通りです。

  • 前文
  • 主文
  • 末文


封書で送る場合の宛先にも注意して下さい。例年、


△△係御中○○様


と書く人が多いのですが、今回の課題の場合には、


△△係気付○○様


と書かねばなりません。実際には、「気付」と「御中」と「様方」の3種類があり、使い分けをする必要があります。

  • 気付:郵便物を、相手方の住所ではなく、相手の立ち寄り先や関係のある場所あてに送る時、あて先の下に書く語。
  • 御中:郵便物で、会社・団体など個人名以外のあて名の下に添える語。
  • 様方:送り先の住所の世帯主が、送りたい人と違う場合に用いる。

手紙とメールの作法の違い

さて、みなさん、手紙とはがきを書けるようになったと思います(少なくとも就職活動を始める前には、そのスキルを身につけておいて下さい)。メールでは封書と同等の情報を全て記述する必要はありません。特に、封書で用いられる時候の挨拶は省略される傾向にあります。
しかし、手紙を源とした文化が息づいているのは確かです。はがきの方が文面からすると近いかもしれませんね。メールの書き方の作法については、後に回すとして、次にみなさんが日常的に使用している、ケータイのメールについて少し考察してみましょう。

ケータイ文化圏のメールとPCのメール文化圏の違い

ケータイはパーソナルメディアです。ケータイでメール経由で文章をやりとりするという文化は、現代に特徴的なものです。ケータイは非常にパーソナルな媒体でもあり、コミュニケーションツールでもあります。ケータイでのメールは、電子メールの特徴である、非同期的(つまり電話のように同時性を持つ必要が無い)コミュニケーションは、「自分の好きなときにメールを読むことができる」という点を実現し、またプッシュサービスを介した自動配信も実現しています。

メールは、リアルタイムでの用件を伝達する行為のタイムシフトを可能にしたということでもある訳ですが、ケータイのメールのように文字を中心とした、ほぼリアルタイムでの、移動体通信を用いたパーソナルコミュニケーションは、過去の時代に類を見ないものです(それ以前はポケベルと公衆電話による文字通信なんていうものもありましたが、ここでは無視します)。このような特徴から、ケータイでのメールは、既に電話番号やメールアドレスがやり取りされている間柄での、パーソナルなやり取りに終始することがほとんどです。

さて、実際に携帯電話でメールを利用とする場合、無視できない(または過去においては無視できなかった)点はパケット料金でしょう。メール受信に一通幾らかかる、という料金体系では、記述される内容を短縮し、相手にパケット料金の負担をかけないようにすることがマナーでした。ただし、これは過去のものになったと思います。また、携帯電話は液晶画面がPCのそれと比較すると圧倒的に狭いことも特徴としてあげられます。このような画面では、文中に改行を入れると読みづらいため、ケータイのメールでは、改行が行われることが希です。さらに、ケータイはキーボードが貧弱でそもそも長文が打ちづらい面もあります。

ほかにもいくつか特徴がありますが、まとめてみると、ケータイでのメールには、以下の様な特徴があることがわかります。

  • 個人的なやり取り(電話帳に登録している人がほとんどなので、名乗ったりする必然性も無い)
  • 短い文章(ケータイの小さい画面で長文を読むことに無理がある。パケット代も馬鹿にならない)
  • 絵文字が多用される(ただし、同キャリア間に限る)
  • プッシュ式媒体(勝手にメールが手元に送られてくる)
その他の参考資料


これらの特徴は全てケータイ文化とでもいえるものです。みなさんがPCでメールを利用する際には、このケータイのメールの作法のことは全て忘れて下さい。先ほどもいいましたが、PCでのメールは、はがきでの連絡に近いものだと考えてください。では具体的にPCではどのようにメールを書けば良いのでしょう。

文化は形式を重視する

PCでのメールの文化だけではなく、一般的に伝統や文化といったものでは、過去から引き継がれて来た、様々な形式が重視されます。PCでメールを書く際には、過去に積み上げて来た「手紙」という文化が色濃く影響を及ぼしていることに自覚的である必要があります。極端な話、PCでのメールを書く場合に、手紙と同様の文面を用いたとしても問題ありません。しかし、現代では、メールはかなり略式のものになっていると考えてよいでしょう。しかし、重要な点は余り変わっていません。

社会人として礼節あるメールを書きましょう

社会では、一日に100通、200通のメールを受け取っている人も希ではありません。このような世界では、いい加減なメールを書いていると、それだけで扱いが低くなります。自らのプライオリティを自ら下げるような、くだらないことをする必要はどこにもありません。とにかくインターネットでの標準的なメール文化に慣れ、その文化に溶け込むように努力する必要があります。しかし、そう難しいものではありません、以下のようなところに注意するだけです。

サブジェクト(件名)はそのメールを代表していますか?

メールで一番大事な点は、もちろんその用件自体の内容に決まっていますが、次に大事な点は件名かもしれません。受け取ったばかりのメールを読むかどうかは件名に依存するといっても過言ではありません。

あなたはどこの誰ですか?

メールの最初に名乗った方が好ましいでしょう。

というようなやり取りもありますが、やはり総合的に考えるならば、現在の日本では、「相手がすぐに誰からメールが来たかを確認しやすい」というメリットを選んだ方が良いでしょう。特に相手が多くのメールを受け取る立場である場合には、そのことを考えた上で相手の労力を減らす努力をした方が良いと考えられます。

相手に見える部分は可能な限り奇麗に整える

日本語で書かれたPCでのメールは1行30〜35字で手動で改行をおこなう必要があります。
これはメールの返信の際の引用に関わる部分です。

こんばんは、担当講師の佐々木です。
このメールはテストのメールです。

残念ながら自動的に改行してくれているように見えても、届いた人の環境でどのように見えているかは保証の限りではありません。きちんと自分で改行してください。これもまた相手のことを考えた上での情報発信ということになります。

返信の際に気をつけねばならないこと

基本的には、必要な部分だけ残してコメントをします。これはインラインで返信すると呼ばれる方法です。この方法では、話される内容の方向性を限定することができます。ただし、ビジネスの場合には「言った、言わない」で論争になる場合があるので、全文引用する場合もあります(最近ではこの方法がメジャーになってきたようですが、容量が余計かかりますので、使用場面を考慮する必要があります)。もちろんこれはスタイルの違いであって、どちらが良いという問題ではありません。

書いてすぐに送るものではない

特に急ぎの用件でない限り、もう一度見直す余裕が欲しいものです。時間がなくても一度は必ず読み返すようにしてください。誤変換などで相手の苗字が違っている場合などもあります。たとえば過去のメールの本文をコピーして用いる場合など(ビジネス場面などではよくあることです)では、特に細心の注意を払わないと、致命的な間違いが含まれている可能性すらあります。

携帯メールでは、

のような感覚の方もいるかもしれませんが、およそPCのメールでは、即時返答ではミスが生じることを考慮にいれ、一度推敲をするくらいの余裕は持った方が良いでしょう。

Cc: と BCc: の使い方

Cc: 欄とBCc: 欄の使い方も覚えておきましょう。Cc: は「カーボンコピー」の略であり、「同じ文面をほかの人にも送りますよ」という意味です。To: 欄には、送り先を直接書きますが、Cc: 欄には、たとえばプロジェクトの上司など、直接の宛先ではないが、そのメールを見ておいて欲しい人を書くことが多いようです。BCc: 欄は、Cc: 欄と似ていますが、BCc: 欄に書かれた宛先の人は、ほかのBCc: 欄に併記された人にメールが送られていることがわかりません。詳しくは以下のページの記事を読むとよいでしょう。

メールと著作権

皆さんが記したメールは、皆さんの著作物です。したがって、それを受け取った人が許可を得ずに勝手に第三者に公開することはマナー違反です。自分の書いたものが許可もとられずに、勝手に一人歩きするとすれば、それは気持ち悪い話ですし、マナーとしてもそれはなっていない、と思うのではないでしょうか。

なお、なぜ「メールには著作権があり、無断転載はしてはならない」と断定しないかというと、以下のような理由からです。


上の判例では、手紙が「著作権法第二条1で定める「著作権物」ではない」という判断がなされており、下の判例では、著作権物である、という判例が出ています。つまり、手紙やメールを著作物に含めるかどうかは、ケースバイケースである、といえます。ただし、逆にいえば、あらゆるメールは著作権物である可能性がありますので、取り扱いに注意が必要ということになります。

また、国によって著作権の概念が異なりますので、以下のような判例が出ている国もあります。


ともかく、日本国内では「メールも著作物に含まれる場合がある」のは確かですので、取り扱いには細心の注意を払うようにしてください。

メール配送のしくみ

メールの配送の仕組みを理解するには、「ドメイン」という仕組みに対する理解と、インターネットを構成しているさまざまな「サーバ」と呼ばれるコンピュータの役割についての理解が必要になります。

教科書の35ページ以降にメールサーバについての情報が掲示してありますので、読んでおいてください。

文字化けメールに関して

文字化けしたメールを受け取った場合には、以下のページに記載されているような各種のサービスを利用して、元の文字列を読むことができるようになるかもしれません。

件名のないメールに関して

本文中にも述べましたが、件名はメールの顔のようなものです。したがって、PCのメール文化では、とても重要視されています。一方、ケータイメールの世界では、そんなに重要視されていません。そもそも読めない、という話もあります。しかし、これがどのように悪い印象を与えているかという点については、下の大学教員の方(私ではありません)によるブログの書き込みなどを見るとお分かりになるかと思います。

また、以下のような意見もありますね。

ちなみに、治らない場合には、以下のような課題を課すことも考えます。

まぁ、それは冗談なのですけれども。

その他のメールに関する情報やコラムについて

メールを巡る話題にはかなり色々なものがあり、インターネット上に色々なコラムが発表されていたりします。興味がある方は、暇つぶしがてらにでも読んでおくと良いかもしれません。

良い情報源を見つけましたら、ぜひ教えてください。




ネットワークサービス基礎


今回の講義では、メールに関する様々な話題を巡ってお話をしてきましたが、このネットワークサービス基礎では、Googleの提供している、Gmailを紹介します。Gmailは、現在無料で利用することのできるネットワークサービスの中でも特筆すべきサービスです。大容量のメール領域と、Google由来の検索性が特徴のフリーのウェブメールサービスです。Gmailはメールの保存容量の上限が2005年の4月1日には、2GBに上限が増加するとともに、利用者の利用状況に応じて上限がアップするシステムになりました(事実筆者は現在771MB利用していますが、上限が2703MBにまで増加されています)。この容量は、事実上無制限に利用できる容量です。(メール一通あたりの上限は10MBで、これを超えている場合は送り主に送り返されます)。ウェブメールなので、機能はブラウザによって微妙に異なりますが、次第に対応ブラウザも拡張されています。

Gmailは、「Gmail」から登録することで、誰でも無料で利用できます。

Gmailはメールをいちいち捨てる必要が無いほどの容量が用意されています。従って、メールを整理したり、容量を気にして捨てたりする必要はありません。バックアップもGoogleがやってくれているので、ユーザはメールの管理について、ほとんど気にする必要はありません。ただし少し癖があります。まず一般的なメールソフトのように、フォルダ分けによる整理はできません(ただし、20種類のフィルタを設定することができ、メールにラベルづけをすることもできます)。必要なメールは、必要なときに検索をする、というポリシーで利用します。Google譲りの検索エンジンを利用していますので、すぐに必要なメールを探し出すことが出来ます。また、ウェブメールなので、複数のメールを見比べるといったことも苦手です(別ウィンドウに表示するという機能がありますが)。しかし、現在サービスされているどのフリーメールサービスよりも使い勝手が良く、また今後もサービスが良くなるであろうことが予想されるのがGmailなのです。ぜひいち早くGmailを体験してください。

特に大学環境などでは、メールの保存容量が足りなくなることも多いですし、また卒業後に継続して利用するにも不具合が多いため、ぜひ外部にメールアドレスを持っておき、そこに全てのメールを転送するという仕組みを作っておいた方が安全だと思います。


参考文献

「手紙を書く」という行為は、インターネットがこれだけ普及した時代においても、未だに有効なコミュニケーション手段です。少なくとも社会人としてきちんとした手紙を書けるように参考書を持っておくと良いでしょう。

ケータイに関する参考文献として、以下の書籍をあげておきます。個人で購入するにはちょっと高価かもしれませんね。このような高価な書籍を利用するためには、図書館を活用するのが良いと思います。図書館の活用に関しては、次回の講義で扱います。

この授業とはまた別方向ではありますが、とてもためになる本を紹介しておきます。

特にこの書籍のレッスン4「一通のメールが明暗を分ける」という章については、全大学生が必読だと思います。参考にしてください。



課題

  • 教科書35ページからの「電子メール」の項目を来週までに読んでおく。

第01回 - 09年度秋学期

イントロダクション

09年度からこの科目のタイトルが「アカデミックリテラシー」と変更になっています。
実質いくつか項目が追加されていますが、基本的な内容は前年度以前と同様です(年々マイナーチェンジはしています)。興味のある方は前年度以前も授業前に読んでおくと良いでしょう。

この授業の目標

この授業では、

  • 他人と情報のやり取り(コミュニケーション)をするスキルを身につける
  • 必要な場面で必要な情報を相手に伝えることができるようになる

という二点を中心として講義を進めます。また講義を進める中で、現在ホットなネットワーク系サービスや、入門となる参考資料を紹介します。進展の速度が早い現在のITトレンドを把握すると同時に、それらの中心となるサービスを体験することは、皆さんの今後の学生生活にも革新をもたらす可能性があるでしょう。また今後の知的活動の一助になるかもしれないと期待しています。

授業を通じて習得すべき内容

皆さんがこの授業で習得することが期待されている点は、以下の通りです。

  • 必要な情報の集めかた
  • 集めた情報の整理のしかた
  • 相手への伝えかた

この三点は最低限この授業を通じて身につけていただきたい情報リテラシーとなります。最低限この三点とはいっても、これらの目標は複数の下位構造から成立しています。それぞれの下位構造については、講義の中で追々説明していくことになります。例えば、「相手への伝え方」という点については、

  • 自分の持っている情報を全て伝えることはできない
  • 相手の状況を考慮に入れないと伝わらない
  • 伝達手段には様々なものがあるので、何を選ぶかが大事

というような前提があります。そして伝達しようとする者であれば、これらの条件を当然のこととして実際に伝達をおこなう必要がある訳です。この授業ではこのような点について実習を重ねながら体得することを目標としていく訳です。

授業の進め方

授業の進め方ですが、基本的には実習中心でおこないます。実際に作業をおこない、自分で考えることによって、初めてさまざまなリテラシーが身に付くと考えています。つまり、実際に手を動かし、調べものをし、資料をまとめ、発表をおこなう、という作業が必須となります。

ではまず出席についてですが、こちらは取りません。建前としては、出たい人だけ出ればよろしい。ただし、毎回のように課題が出ますから、休まない方がスムーズに人生を送れることは確かです。あと例外的にプレゼンテーションの実習の時は欠席しないでください。これは先に言っておきます。

さて、実習中心の講義ではありますが、アカデミックリテラシー科目では期末に試験を受けることが必須となっているようです。
しかし、その試験のみで評価を行うわけではありません。みなさんの成績は期末の試験と、授業の目標を達成できているかの評価によって決まります。

それでは課題について説明します。この講義では、全ての課題を提出することが前提になります。つまり、一つでも出してない場合には、その者は評価不能ということで、単位は「不可」となります。とにかく判断する材料を提出しない、できないのですから、これは仕方ありませんね。皆さん頑張って途中でもいいから課題は提出しましょう。出さないよりよっぽどマシです。

皆さんが次に気にするのは、課題の回数は何回だろう? っていうことでしょうね。できるだけ楽に単位は欲しい、でもワンチャンス一発で成績が決まってしまうのは避けたい、というのが人情ですね。

  • 大きな課題は二つ。これでおよそ半分の点数が決まります
  • 小さな課題は進行状態によって出します
  • 提出が遅れた場合の点数は大幅に減点されます

授業の進行のまとめ

  1. 出席は取りません。
  2. 失敗を取り返せるチャンスは多い方が良いでしょうから、課題を沢山出します。
  3. 課題が全部出ていないと「不可」になります。
  4. 適切に課題がこなせていれば単位を与えます。
  5. 期末には共通試験があります。

ここまでいいですか? 何か問題がある場合は、挙手の上意見を述べて下さい。ちゃんと説得できたら考慮することにします。

この授業でのルール

堅苦しい話になりますが、この授業でのルールをいくつか決めたいと思います。当然のことながら授業を受ける場合、講義を受ける場合の常識と思ってもいいでしょうが、とりあえず列挙します。

  • 他人(講師、他の受講生)に迷惑をかけない
    • 遅刻をしない(電車の遅延など、やむをえない場合は自分の判断)
    • 無駄な音を発しない
      • 携帯電話が着信した場合は、講師が出ます
      • 寝息、いびきをかかない

この授業では講師は携帯電話を教室に持ち込まないようにしていますが、緊急の連絡などの場合もありますので、皆さんが携帯電話の電源を切ることを強要するものではありません。しかし、緊急の場合ならば、なおさら講師が出る方がいいですよね。この授業中に教室で携帯電話が鳴った場合には、講師が出ますのでよろしくお願いします。

  • 不正をしない
    • 他人の課題を真似る(同じはずがない)
    • 説明したことを後から聞きに来る(≠質問をしない)

実習を中心とした授業ですから、皆さんから提出していただく課題も実習の成果になります。そしてそれらの課題は、各人が異なったものになるように設定します(今後説明します)。従って、他人の課題をそっくり真似ても意味がありません。皆さんの間で相談することは、大いに結構ですし、推奨しますが、オリジナリティを損なわないように各人が気をつけて下さい。また、説明は大事なことであれば授業中に繰り返し説明しますので、「聞いていない」とのは自己責任ということになります。ただし、質問は歓迎します。

  • 講義は週ごとの積み重ねで進行します
    • 遅刻欠席した場合には、その週のうちに自習しておいてください
    • 授業の内容はこのブログ上に掲示してありますので、必ず追いついておいてください。

まず、当然のことだとは思いますが、遅刻欠席した数名のために復習の時間を取ることはできません。基本的に講義の資料等はネットワークを通じて公開します。逆にいえば、いつでも授業を復習することは可能な訳ですから、資料等を見ていないことを、課題の締め切り超過の理由にはできません。

講師への質問に関して

講師への質問はメールを送って下さっても結構です。ただし、質問をおこなう場合には以下の点に注意して下さい。

  • 最初に必ず名乗る
  • 質問する場合には、質問内容を可能な限り具体的に記す
  • くだらない質問、ちょっと調べれば済むと考えられる質問は、無視される

また、得られた質問は講義録に転載する可能性がありますので、こちらについてもご了承ください。

授業の流れ

長々と説明しましたが、半期の間の授業の流れを簡単に説明します。

電子メールのマナー(メーリングリストも含む)

まず、電子メールに関しての考察をおこないます。電子メールの特徴は、特に一対一のコミュニケーションに使われるツールだという点です。またメーリングリストというツールに関しても解説をおこないますが、この場合も、受信者は限られた範囲に限られるという意味では共通していると思われます。また、皆さんは携帯電話のメール機能を使って、友人や知人とコミュニケーションを行っていると思いますが、この携帯電話のメール機能、いわゆる携帯メールと、コンピュータ上で扱われる伝統的なメールとの比較もおこないます。さらにメールを支えているインターネット上の仕組みについても説明をおこないます。

情報の収集と整理

メールに続いて、情報の発信を巡る話題です。そもそも情報を発信しようとする場合、発信しようとする情報の中身がないと始まらない訳です。何も手元に発信すべき情報を持たない者が、情報を発信できるはずが無いのです。そこで、発信するにふさわしい情報を作り上げるための技術を身につけることにしましょう。一言でいえば情報を収集するための手法を身につけることがこのステージの目的です。具体的には、書籍による情報検索の仕方とWebを用いた情報検索の仕方に関して説明をおこないます。また、書籍やWebを通じて得た情報をどのようにまとめていくか、という話題も扱います。

特定少数(クラス内)に対する情報発信

続いて、具体的に情報を発信する段階に移ります。この授業を受講している皆さんの間での情報発信が次のステージです。ここでは一人一人に口頭発表をおこなってもらいます。この授業の受講者に向けて情報を発信するということは、情報を受信する者の環境やレベルを知っている状況ですから、発表自体はそう難しいものではないでしょう。しかし、数十名という人数に対してきちんと自分の調べた内容を発表し、質問を受けるということは、皆さんの今後にとって必ずや良い経験となるでしょう。このステージでは、発表用資料の作成のために、Microsoft社のPowerPointを利用します。

不特定多数(世界中)への情報発信

そして最終段階として、XHTMLを利用したWebページの構築という課題をこなしてもらいます。言い換えるならば、インターネット上に広く公開するドキュメントを作成するという課題です。この場合、受信者の環境やレベルは様々であり、特定少数(クラス内)に対する情報発信と異なり、口頭表現や身振り手振りを用いることができません。文字や画像等の情報のみで、伝えたいことを全て表現するという必要があります。さらに、世界中に対して公開する、という場合には、引用した資料の扱いについても細心な注意を払わねばなりません。著作権をはじめとした知的所有権に関しても、実践的な知識を持つことが必要とされる課題です。


さて、ここまでが授業をおこなう前の約束ごとの伝達と、いくつかの事務的な連絡作業でした。それでは早速第一回目の講義に入ろうと思います。

余りにも基本的な確認事項

皆さんは既にコンピュータを利用したことがある人がほとんどだと思います。またそのうちほとんどの人が、インターネットを利用して様々な情報を入手したり、メールで知人や友人とコミュニケーションを行っていることでしょう。そんな方々に向かって、こんな説明をするのは失礼かと思いますが、まずコンピュータの構成について、ざっと説明します。こちらは参考書の1章を見てください。

ハードウェア
  • 本体・モニタ・キーボード・マウス
ソフトウェア
  • OS(オペレーティング・システム)

スタンドアロンとネットワーク

続いてネットワークについての内容です。こちらは第2章を参照してください。
コンピュータがただ単体で動作している環境を「スタンドアロン」といいます。スタンドアロンなコンピュータに出来ることも様々ありますが、コンピュータ同士がネットワークを組み、またそれらのネットワークがさらにネットワークを組んでいる状態、それをインターネットと呼びます。そして現在は、ますます「コンピューティング≒ネットワーキング」という時代になってきています。コンピュータを利用するということは、イコール、ネットワークを利用することという時代なのです。このような時代になっている以上、スタンドアロンでコンピュータを扱っていた時代とは異なったリテラシーが必要になることは、言うまでもないでしょう。目の前のコンピュータは、世界中へ接続しているという状態は、極端にいえば、「目の前のコンピュータの先には人間がいる」ということであり、その相手は、現実の人間がそうであるのと同じように様々であり、善人もいれば悪人もいるという状態です。このようなネットワーク下における人間同士の関係性に気を配るのは当然として、また一方でネットワークとは、目に見えるコンピュータの挙動の裏で、様々なものが動いており、利用者が気にすることなくサービスを受けることができる環境が整えられていることを自覚することも大切なリテラシーになります。いわゆる「サーバ」という存在によってサービスがおこなわれているという点に自覚的であることは、現在のネットワークユーザにとって大事な視点です。

認証とパスワード

ネットワークを正規利用するためには、認証とパスワードという手段が用いられます。

最近、パスワードを変更していない人はパスワードを変更するなどの手続きを各自行ってください。



ネットワークサービス基礎

毎回の講義ごとに現代のITトレンドとなる各種ネットワークサービスを紹介します。また読んでおくと様々な面で役に立つと考えられるWebサービスやBlogについても紹介したいと思います。余裕があればそれぞれのサービスを体験してみると良いでしょう。


ソーシャルネットワーキングサイトと学習に関する相互サポート

  • なぜ授業にSNSを利用するのか?


現在、日本でソーシャルネットワーキングサイトと呼ばれるサービスはソーシャル・ネットワーキング サービス [mixi(ミクシィ)]をはじめとしていくつかあります。すでに利用している方も多いでしょう。SNSは閉じたネットワーク空間で、人間と人間を結びつけ、そこで生まれるコミュニケーションを楽しむというサービスであると考えられます。この「人間と人間を結びつける」という部分に注目し、授業に関する相互サポートに期待していると考えて下さい。

SNSに関係するデータについては、総務省の調査結果を挙げておきます。

総務省|掲載期間終了につき転送します。

また、少し古い資料ですが、ITmediaでは、SNSに期待されている点は、以下のようにまとめられています。

「SNSでITリテラシー底上げを」――総務省研究会 - ITmedia NEWS

この「ITリテラシー底上げ」はこの授業に用いられるSNSでも注目しているところです。

ただし、一方で巨大化し、消費されていくSNSに対してはこのような意見もあることを忘れてはならないでしょう。

Webdog - Online


参考文献

講義の全体を通じて、またその会回の講義の参考となるであろう様々な書籍を紹介します。もちろん読むか読まないかは皆さんにお任せします。しかし、ネットワークサービスだけでなく、様々な基本的教養を身につけるのに役立つと思われる書籍を紹介しますので、講義の期間だけではなく、後で時間が取れた時にでも思い出して手に取ってみると良いと思います。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

ちょっと古い内容になってしまいましたが、もしもあなたが「Web2.0」というキーワードを聞いたことがあり、「それって何のことだろう」と漠然と思っているなら、その入門書としてこの書籍をお勧めします。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

すでに「Web2.0」の流れを追いかけている人にとっては、自明のことばかりかもしれませんが、最近の Web の動向を知るためには良いでしょう。少なくとも現実の生活の中に Web というツールが入り込み、既存の社会的な枠組みが少しずつ変化しているということを知っておくべきでしょう。

現在進行形で行われつつある「革命」の最中に生きる者にとって、今起こっていることについて「さわり」でも知っておくことは、必要な教養だと考えられます。

さらに噛み砕いた書籍としては、「グーグル」という書籍もあります。こちらも余力があれば読んでおくと良いかもしれません。

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

また、ネットにはニュースサイトというようなサイトも多くあり、そこにはコラムも掲示されている場合が多く、中でも最新のネット情報などに対する有力な情報源となる記名記事なども存在します。これらのサイトはリアルにおける雑誌のような位置づけにあり、興味のある内容をチェックしておくと、時代の流れを掴むことができるようになるかもしれません。例えば以下のようなサイトがそれにあたります。



課題1:授業中の残り時間で、講師にメールを送る。
  • 送り先はyasunari@aoni.waseda.jp。
  • アンケート
    • 以下の単語を説明できるかどうか、Y/Nで回答しなさい。
  1. RSS
  2. YouTube
  3. Gmail
  4. Twitter
  5. Delicious
  6. Skype
  7. IMAP4
  8. Wiki
  9. OpenOffice.org
  10. iTunes Store
  • 自己紹介
    • 自己紹介を手短に書いてください。
課題2:講師宛に自己紹介の手紙を書く

来週の授業までに実施し、持参してください。

  • 内容は自己紹介
  • 媒体は封書に限る
  • 送り先は早稲田大学メディアネットワークセンターの佐々木康成宛とする。
  • 住所は自分で調べること(ヒント:PCネットワーク利用ガイドの奥付)。
  • すぐに出せる状態で来週持参すること。送ってはならない。

第08回 - 09年度春学期

XHTML1.0の基本ルール

XHTML1.0を用いてウェブページを構築する訳ですが、まずは基本的なルールを確認します。XHTML1.0では、以下のようなルールがあります。

  • タグと呼ばれる仕組みによって文書構造を示す
  • 要素が書かれたで内容を必ず開始タグと終了タグで挟む(ただし、省略形があるものも存在する)
  • 具体的には<要素>内容</要素>という形になる
  • 全ての要素は英数小文字で書き表す
  • 細かい属性については開始タグの中に書き入れる

これらは実際に実習で取り扱いながら習得してもらいます。

HTML文書の基本構造

基本的なHTML文書の構造は、以下のように全体を<html> </html> で囲い、その内側に<head></head>部分と、<body></body>部分を持つという形になります。

<html>
<head>
そのページの基本情報
</head>
<body>
そのページの本文
</body>
</html>

しかし実際にはこれほど単純ではなく、もっと多くの要素を記す必要があります。

HTML文書に必要な情報

この講義ではXHTML1.0という規格でHTMLの基礎を習得することを目的とします。この規格では、前述の情報のほかに、以下のような情報が必須となります。

XML宣言

文書の文字コードとしてどのようなものを利用するかの宣言です。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"? >

文書型宣言

文書型宣言は、どんな枠組みでHTML文書を作成するかという宣言です。XHTML1.0では以下のように記します。

<!DOCTYPE htmk PUBLIC “-//W3C/DTD XHTML 1.0 Strict//EN” “http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-strict.dtd" >

名前空間の宣言

利用するタグがどのような種類のものであるかを示すために、名前空間の宣言を行います。これはhtmlタグの中に書き込みます。

<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">

ここまではXHTMLでHTML文書を作成するために必須の情報となります。本講義ではひな形のファイルにすでにこれらの情報が記されていますので、いじる必要はありません

<head> </head>内にページの基本情報を記述する

<head> </head>で囲われた部分は、そのページの基本情報が記される部分です。ここにはさまざまな情報を書き記すことができますが、ここでは簡易的に必須となるいくつかの要素について解説を行います。

外部スタイルシートの指定

<link rel=“stylesheet” type=“text/css” media=“screen” href=“./style.css” />

ここでは公開用フォルダに外部スタイルシートが直接配置されることを想定しています。

タイトルの指定

ユーザが<head> </head>内で、もっとも意識する要素は、ページのタイトルでしょう。
タイトルはそのページを代表する文字列にするようにします。

<title>タイトルとなる文字列</title>


<head> </head>部分で皆さんが変更しなくてはならない部分はここだけです。必ずファイルごとに適切なタイトルをつけてください。


本文を書く

<body>タグで囲われた中に本文が入ります。本文は一つまたは複数のブロックレベル要素からなります。文書においてブロックレベル要素は、その名の通り、積み重ねられたブロックをイメージすると理解しやすいでしょう。

ブロックレベル要素は文書を構成する基本的な要素を宣言するものだと思ってください。見出しや段落、箇条書き部分、表組み部分などは、どれもブロックレベル要素です。これらのブロックが積み重ねられたものが、ひとつの文書になる訳です。

例としては以下のようになります。

[****ブロックベル要素1****](大見出し)
[****ブロックベル要素2****](段落)
[****ブロックベル要素3****](段落)
[****ブロックベル要素4****](中見出し)
[****ブロックベル要素5****](段落)

文書はこのように複数のブロックレベル要素からなり、その要素要素間には改行が入ります。


雛形にはいくつかのブロック要素を構成するタグが記入されています。自由に改変して表示を確認しましょう。


ブロックレベル要素を構成するタグ

見出しを構成するタグ

<h1>大見出し</h1>
<h2>中見出し</h2>
<h3>小見出し</h3>

見出しの大きさによって使い分けます。<h1>大見出し</h1>は一つの文書に一回だけしか使ってはいけません。

段落を構成するタグ

<p> 段落を構成する文章 </p>

もっとも多く使われるタグでしょう。本文にあたる文章は、多くの場合複数の段落からできています。それぞれの段落の前後には<p>と</p>を入れましょう。

引用段落を構成するタグ

<blockquote> 引用部分 </blockquote>

本文の中に、書籍やウェブページからの引用をおこなう場合には、ほかの文章と違うことを明確にし、引用であることをはっきりとさせなくてはなりません。そのためにはこのタグを用います。

箇条書き部分を構成するタグ

<ol>
<ul>

箇条書きには大きく分けて二種類の箇条書き方法があります。それは「番号つき箇条書き」と「番号なし箇条書き」です。

記述は次のようになります。

<ol>
<li>お湯を沸かす</li>
<li>塩を入れる</li>
<li>パスタを投入する</li>
</ol>

実際の表示は次のようになります。

  1. お湯を沸かす
  2. 塩を入れる
  3. パスタを投入する

このように、項目の順番に意味があるものについては、番号つき箇条書きを選び、そうでない場合には番号なし箇条書きを選びます。

  • りんご
  • ばなな
  • みかん

これらのタグは、箇条書き部分の開始と終了を示します。それぞれの項目は別途「<li>」タグを用います。

箇条書きの要素を構成するタグ

<li>

箇条書きの項目を作成するのに使います。

セパレータを構成するタグ

<hr />

本来ならば

<hr></hr>

と書きますが、省略形(開始タグの最後に「半角スペース+スラッシュ」)が用いられます。

連絡先部分を構成するタグ

<address>

表組み部分を構成するタグ

<table>
<dr>
<td>

どんどん文章を書こう

ここまでが大まかな文書の構成要素です。文章をどんどん書いて、必要な説明をすべて終えてください。次に、リンクを設定したり、画像を挿入したりという作業がありますが、それらは「インライン要素」といって、文章の一部に属性を付け加えるというタイプのタグです。したがって、まずは文章が全体的に完成されていない限り、設定をすることができません。

この時点でそれぞれのファイルに、すべての文章が完成していることが前提になります。


インライン要素

強調

<em>
<strong>

ハイパーリンク

ハイパーリンクはWebの構成上、重要な要素です。リンクなしにはWebページは成立しないといってもよいほどです。ハイパーリンクは、下のようなタグを使って作成します。

<a href="URI">ハイパーリンクさせたい語</a>

URIの部分には、完全なURIを用いた「絶対リンク」と、そのファイルから相対的なファイルの位置を記す「相対リンク」があります。この講義では「絶対リンク」のみを用います。

  • 絶対リンク

絶対リンクでは、URIの部分に、http:// で始まる完全なURIを入力します。たとえば、Yahoo! Japanにリンクをおこないたい場合には、

<a href="http://www.yahoo.co.jp/">Yahoo! Japan</a>

と書きます。

  • 相対リンク

相対リンクは、そのファイルから見て、リンク先が同一サーバ上のどの位置にあるかを記述したものです。この場合、「ファイルから見てどのような相対的な位置にあるか」ということが重要になります。

画像の挿入

画像の挿入には、以下のフォーマットを利用します。

<img src="URI" width="幅(ピクセル)" height="高さ(ピクセル)" alt="説明" />

幅や高さは、画像を右クリックし、プロパティ>概要 で確認することができます。画像の大きさを変更する場合などは、http://www.snipshot.com/などのサービスを利用すると良いでしょう。

また、画像には回り込みを設定するためのalign要素はXHTMLでは非推奨となりました。スタイルシートで回り込みを設定してください。



Webを作成する際には、まず素材となる文章、画像などのエレメントを事前に用意しておくことが大事になってきます。しかし、画像などは引用の範囲での利用とはいえ、別URLからそのままダウンロードして掲示を行うと、場合によっては問題になることが多いため、きちんと使用許諾に即したものを使用し、許諾が得られないような場合には画像を直接掲示するのではなく、リンク先を参照するように記述する方が安全です。



課題

  • 先週に引き続き、Webページの編集を続けてください。最低限index.htmlがなければ表示すらされませんので注意すること。
  • きちんとXHTMLの文法で記すこと。中途半端に持っている知識を反映すると、XHTMLの用件を満たさない場合があるので注意すること。特にfontタグ、centerタグ、安易なbrタグなどは使わないように注意すること。

第07回 - 09年度春学期

XHTMLその1・Web構築実習(FTP

XHTMLを利用した情報発信

自分で調べたり、まとめたりした情報をWWWを通じて発信するという機会が多くなってきました。そのためにはウェブページを構築して、情報を書き記す必要があります。ウェブページを作成するには、HTMLというマークアップ言語を利用する必要があります。HTMLにはいくつかの規格があります。

この講義では、比較的最近の規格であるXHTML1.0を用いて、ウェブページを作成することとします。XHTML1.0は文書の構造を示すための規格です。また、見栄えに関する情報を取り扱うカスケーディングスタイルシートCSS)という仕組みを併用することによって、より見やすく、扱いやすいウェブページの構築を目指します。

雛形の活用

最初からすべてのルールを説明して、「さぁやってみましょう」というのは簡単なのですが、それでは途方に暮れてしまうことでしょう。そこで、授業用に簡単な雛形を作成してみました。この雛形を活用することで、自分の発表するべき内容に集中することができます。

雛形をダウンロードするためには、雛形を右クリックで「対象をファイルに保存」として、自分のUSBメモリなどに保存してください。

今ダウンロードしたファイルは、圧縮されていますので、解凍する必要があります。sample.lzhをダブルクリックすると、フォルダの中にsample.htmlというファイルがあります。このファイルが雛形の本体です。編集している者の名前やメールアドレスなど、自分用にカスタマイズする部分がありますので、編集をしてください。編集が完了したら上書き保存し、自分のUSBメモリなどの課題作業用フォルダに保存しておいてください。

Webサイトの構造の設計

Webサイトは、通常内容の異なる複数のページから構築されています。ただし、トップページ(入り口のページ)はひとつであり、一般的にindex.htmlというファイル名で作成されます。今回の課題においても、リンク集からは各人のindex.htmlへリンクされますので、間違えのないようにしてください。具体的な内容となるページは、情報の提示の仕方によって、印象が大きく変わります。

  • 直線的
  • 並列的
  • 網目的

というような構造を持つことが多いようです。まずはしっかり情報の構造を書き出し、それらのつながり方とファイル名を決定することが重要です。

ノートなどを用いて網羅的に情報を書き出し、自分の提示する情報が理解され易いように工夫をしてください。Webはその名のとおり網目状ですから、内容によっては注釈だけを別ページに独立させ、本文のページからリンクするという方法も可能です。各人で工夫してください。

雛形の複製

きちんと構造が設計されたならば、先ほど編集したsample.htmlファイルを利用することになります。

この雛形のファイルを、必要となるページ数だけ複製する必要があります。ファイルの上で右クリックし、「コピー」を選びます。続いて、「貼り付け」を繰り返し、必要なだけファイルの複製を行ってください

ファイル名の変更

複製された雛形は、「コピー〜sample.html」という名前になっていると思います。これではウェブページとして利用できませんので、ファイル名を変更しましょう。名前を変更したいファイルの上で右クリックし、「名前の変更」を選びます。新しいファイル名を入力し、リターンキーを押して確定しましょう。ただし、利用できるファイル名は、半角英数で、拡張子が「.html」となっているものです。たとえば自己紹介であれば、「me.html」であるとか、歴史に関するファイルであれば「history.html」というように、簡潔に内容がよくわかる名前にしてください。



すべてのファイルに適切な名前がつけられましたか?
では最後にもうひとつ雛形からファイルを複製し、index.htmlと改名してください。このファイルが目次兼表紙のような役割になります。

準備はできましたね? それではそれぞれのページを編集していきましょう。まずは、今名前を変えたそれぞれのファイルを、「メモ帳」で開く場合方法を簡単に説明します。



それでは早速編集を開始しましょう。編集を行うには、XHTML1.0というルールを用いて文章を記す必要があります。詳しくは次回以降に説明を行います。今日のところは、index.htmlをネットに公開するところで完了です。


情報の公開のための準備(早稲田大学編)

手元のコンピュータに編集されたファイルがあっても、それだけでは世界中に公開されたことになりません。そこで、FTPというツールを用いて公開用コンピュータ(WWWサーバ)に転送することにしましょう。早稲田大学の学生の場合、まずは、授業ごとに公開用のフォルダを作成する必要があります。

具体的な作業内容は、PC・ネットワーク利用ガイド2008年版の6章を参照してください。

  1. スタートメニュー>プログラム>telnet&ftpFFFTP
  2. 自分のメールアドレスと共通したサーバを選ぶ
  3. 接続ボタンを押すと、ユーザ名を求められるので、メールアドレスの@より左側を入れる
  4. パスワードを求められるので入力する
  5. public_htmlフォルダの中に、授業番号のついたフォルダを作成する
  6. 編集したindex.htmlファイルを転送する

FFFTPの利用について

前述のように、起動後に公開サーバに接続するための手続きを行う必要があります。接続したら、左右に分かれたウィンドウが表示されますが、基本的には右側のカラムを用いて転送します。

編集したファイルをウィンドウやデスクトップからFFFTPの右側のカラムにドラッグ&ドロップすると、転送が行われます。転送し終わったら、ウェブブラウザで更新されたかどうか確認してみてください。

作業のまとめ

作業は「メモ帳で編集→FFFTPで転送→ブラウザで確認」の繰り返しになります。FFFTPでの転送は学内でしかできませんので注意してください。




ネットワークサービス基礎

共同作業としての文書作成(Wiki・Writely・Google Notebook)



参考文献

課題

  • Web構築に必要となるそれぞれのHTMLファイルにおいては、見出し、段落、箇条書き、引用部などについて、編集を続けること。
  • 見栄えについては一切考慮する必要はない。