2010年好きだった曲ベスト30を意味もなく発表する。
(アーティスト名/曲名)



30.Egyptian Hip Hop/Moon Crooner

2011年の展開が楽しみなUKの新人バンド。「Sing Me Spanish Techno」的な意味でバンド名がかわいい。



29.Jimmy Edgar/Hot, Raw, Sex

前はWarpから出してた人が気がついたらリリースしていた、セクシースカスカピコピコ。
隙間を活かした味のある作風に。



28.Every Drop Of Rain (with Candie Payne & St.Vincent)/David Byrne & Fatboy Slim

アルバムの出来は(音だけで。コンセプト含めればもっと上がる)やさしく見積もって80点ぐらいでしたが、この曲には120点あげたい。
ていうかSt.Vincent来日してやん。



27.Blackbird Blackbird/Hawaii

2010年はフリーダウンロードできる作品に傑作が多く、フィジカルリリースの作品ばかり追っていては片手落ちといわざるをえないほど。
まさしく新時代の到来で、タダでこんないい音楽聴けていいのかと平謝りして回りたい一年でした。
無料に甘んじてばかりもいかんし、なんかしら還元の仕組みについて一音楽ファンとして今後も考えていきたいです。
で、このクオリティの曲をここまで簡単に聴けていいのかわからないけど、とろけてしまいますなー。
Twin Sister(この人たちのアルバムも傑作でした)のリミックスもイイ感じ。



26.Buono!/うらはら

いまいちパンチの弱かったシングル曲に比べて、アルバム曲のほうがツブが立っていた印象。優柔不断なままでいてよ〜。
楽曲の出来だけでいえばももクロとかの方が遥かに凄かったと思います。



25.Automelodi/Buanderie Jazz

YouTubeによると2009年の曲っぽいですが、アルバムリリースは2010年なはずだしいいよね。
よれよれドラウ風歌唱、NW風味。疾走感があるのかないのかよくわかんないとこが好き。



24.Casiokids/Grønt lys i alle led

これもアルバムリリースは2010年だからってことで。
fromもしもしレコーズ、キャッチーなメロなのに日本じゃあんまり話題にならない可哀想なバンド。
オレはドラムスより正直コッチ派。



23.Star Slinger/Extra Time

プリファブ・スプラウトの「Wild Horses」使いという事実だけで本当は年間ベストトラックにしたいマンチェの人。
Bathsとかにもちょっとだけ通じる、この人のチルいセンスは他の曲でも存分に発揮!
てことでコチラからどぞ。




22.Tame Impala/Alter Ego

ジェニー・ルイスたんの来日公演に前座として出てたライブでは「おサイケさん」くらいの感動しか抱かなかったが(よかったけどね)、
気がつけば(所属レーベルである)Modularっぽい路線にバンドサウンドのまま大化けしていたオージーのみなさん。



21.Warpaint/Ashes to Ashes

本人たちのアルバムもクールだったけど、このデヴィッド・ボウイ楽曲のカヴァーが一番冴えてた気がする。
単にこの曲への個人的な愛情が偏りすぎなだけかもしれない。
これも収録されたボウイのカヴァーアルバム『WE WERE SO TURNED ON: A TRIBUTE TO DAVID BOWIE』は
2010年の『Dark Was The Night』とも位置づけられそうな重要作にも思えるけど(良カヴァー多数!)、
購入方法が面倒なのもあってか(ここから買える)、あんまり話題にならなくて残念。
てか、買ったのに未だにCD届いてねえ…。



20.The Chemical Brothers/Swoon

鮮やかな復活を遂げたのに年間ベストの類ではスルーされ気味で可哀想な傑作シングル。
ケミカルなんて昔からあんまり興味なかったのに、この曲はよく聴きました。



19.Róisín Murphy/Momma's Place

今後、アルバムはリリースしないと宣言してしまったローシン・マーフィーのアッパーなシングル。Kitsuneのコンピにも収録されてた。
アルバムを無理に作らなくてもいいけど、PVまで制作しないっていうのは自分の素質を見誤ってるんじゃないの? って気もする、こういうの観てると(大好き)。



18.blue marble/降り続く雨はいつでも

いつも読んでます、blue marbleのマテリアル・ワールド。大好き。大野方栄さんの声も美しすぎます。
こちらの曲はYouTubeにアップされていないようなので(そりゃそうです)、どうやって撮ったんだと呻らされるこのPVを。こちらも素敵な曲。



17.Hanne Vatnoey/Oh La La

もう今年の後半はハンネちゃんのことしか考えられなかった。メロメロ。
アルバムはぶっちぎりで年間ベスト1位。若手の凄腕ジャズ・ミュージシャンを従えたライブも素晴らしかったが、
名プロデューサーKato adlandとの二人三脚で作られたアルバムには録音物ならではのマジックが詰まってる。
この曲はハンネちゃんが大好きなチョコレートについて。




16.プアミルク/メグミルク

(原曲のリンクはこちら。ニコ動)

ニコニコ動画をベースに活動する(てことでいいのかな?)職人ユニット。
説明が難しいので、ぜひこちらのすばらしい記事をご参照ください。
どの曲も泣けるほど素晴らしいです。ところどころに香るプログレ風味と無機質な歌声の妙ったら。
この曲は後半の展開が最高。メンバーも皆さん個性溢れるイイ人たち。



15.Hot Chip/Hand Me Down Your Love (Todd Edwards Micro Chip Remix)

チャールズ・ヘイワード印の切れ味鋭いドラミング冴えわたる原曲も「アビャビャ!」だったが、
このリミックスでのサビの料理っぷりがこれまた秀逸でして。
フジロックのライブもよかったし、しつこいけど「I Feel Better」のPVも最高や! ナード大好き!



14.She & Him/Don't Look Back

ちょっとフォーキー気味だった前作から、コッチの方向に弾けてほしかったという期待に応えてくれたズーイーさん! シンガロングしたい!



13.住所不定無職/オケレケレペプー

「あの娘のaiko」や「住所不定無職のテーマ」みたいな歌詞にも心惹かれつつ、
この曲に顕著な得体の知れなさにやっぱり虜だったのでした。ライブ中に水分摂りすぎ! クララが立ったよ!



12.Chilly Gonzales/You Can Dance

ピアノライブでの芸達者っぷりが凄すぎて、ちょっとアルバムのほうは影が薄まった感もあるんですが、
権三さんというよりは(プロデュースしてる)Boyz Noise・ミーツ・ジャクソン5って感じに仕上がってるこの曲は、本当にもう〜。脳天かち割られますね。



11.みみみ/わたしの泪でおぼれなさい

ダンスミュージック素人の俺ッチにスクウィーのなんたるかを教えてくれた気がする曲。
他の曲もタイトルから何から好き。積極的に追えなくて残念でしたが、Maltineは輝いてましたね。
こちらからDLをば。



10.Everything Everything/Photoshop Handsome

これも09年のシングルだけど、新しいPVも作られたしってことで。iTunesでの再生回数が凄いことになってた。
最近の動画を見てたら、ヴォーカルのジョナサンのお腹がとてもシェイプアップされてたので(気のせい?)早くまた来日してほしいです。



9.Andreas Söderlund/Daustralien

日本語の情報がまったく出てこないのでスウェーデン人ってことくらいしかわからないんですが、
サビの爆発っぷりが際立って良いです。何を歌ってるんだろう。気になりますね。



8.The Like/He's Not A Boy

さっき、この子たちの動いてる動画を見てたら、
あんまりメイクが好きじゃないことに気づいてしまいました。ああ…。でも曲は大好き。
マーク・ロンソンは毎年イイ仕事しやがるなー。自分のアルバムも結構よい曲入ってた。
彼女たちについては、お願いなので単独公演してください。



7.The BirD Day/The Past Noise

個人的にはMGMT「Kids」級の名曲だと勝手に思ってますが、世界中で微塵も話題になってない不遇のポップソング。
ビックリすることに、彼らのアルバムもフリーDL
売れてる曲とこの人らの曲のどこが違うってよ。すげーいいんだが。



6.Sally Seltmann/On The Borderline

ファイスト「1234」の共作者としても知られる元ニューバッファロー、サリー・サルトマンのソロ作より。
アルバム全編を通じて聴くほど沁みる楽曲の連発ですが、なかでもこの曲の多幸感たるや。



5.Ariel Pink's Haunted Graffiti/Round and Round

気がつけばわずか半年ちょっとで、“無名の存在”から持ち上げてるほうが恥ずかしい立ち位置へと追いやられてしまったヒップ・スター、アリエル・ピンクさん。
本人らしくない完成度の高さに思わず狂喜したアルバムも、半年後には「やっぱり初期のチープな狂いっぷりが…」と少し距離を感じるようになりましたが、
この曲は永遠に心のなかで不滅。



4.Die Antwoord/Enter The Ninja

サマソニでのライブを見逃したことを一生後悔しそうな勢いです。サラ金に手を出してでもいくべきだった。
早く再来日お願いします! 土下座!
アルバムについてはフィジカルのメジャー盤よりも、先にネットで流れてた128kppsのmp3音源のほうがよかったですね。



3.Robyn/Dancing On My Own

“私は一人ぼっちで踊り続ける”という、逞しさと儚さを兼ね備えた曲。
どこかのサイト(英語の)で“ここ10年で最高のポップ・シングル”って書かれてたのを見かけた記憶がありますが、大げさでなくそういう評価もアリかと。
みんな大好きピッチフォークでも大絶賛なのに、日本ではイマイチですなー。
この路線だとカイリー・ミノーグの新作もウルトラよかったですね。



2.MGMT/Song For Dan Treacy

2010年の個人的再生回数ナンバー1。
曲の頭から尻尾まで旨みが詰まっていて大好きですが、ダン・トレイシーさんのキチガイっぷりを実際に生でお目にかかってから、
さらに自分のなかでこの曲の価値が上がった気がします。
アルバム全体となるとちょっとピンとこない部分が多かったのも事実ですが、
ライブとなると輪をかけて周囲のどこからもいい評判を聞かなくて不気味。これだけの曲が作れれば無理しなくていいのに。



1.Computer Magic/Teenage Ballad (High School)

"I'm Just wanna be free"と連呼する、チープでハッピーなハイスクール・ソング。感情移入しないわけがない。ガーリー・ボンクラ・チルウェイブ。
この大名曲をきちんとランクインさせてるブログも世の中にはキチンとあって(79位)、
そこの1位〜10位は全部知らなかったんですがチェックしたらどれもよくてチビりそうになりました。
ブログの主も相当偏ってますが、インターネットの海にはまだまだ知らないものがたくさん転がっているのも事実。慢心はいかんね。

超唐突に2010年上半期の個人的ベストアルバムTOP20を大発表。






20.Holy Fuck/Latin

基本的にポストロックとかいうジャンルに属する連中はほとんど全て大嫌いなのだが、彼らにとって三枚目となるこのアルバムでは徹底したわかりやすい恰好よさのみが追及され、
中学二年生が考えたようなバンド名と同じくらいにバカな勢い・疾走感が全編にて徹底されている。
演奏やプロダクションは巧みだが、そのシンプルな潔さに感服。









19.Hannah Georgas/This Is Good


カナダはヴァンクーヴァーのSWW。キュートなジャケにつられて聴いてみたら小気味よいパワーポップ。生まれて初めて曲を書いたのは6歳のときらしい。凄いね。
既にカナダでは結構な話題の人らしく、また彼女のmyspaceを見ると結構なメンツの名が挙がっていて、芳醇な音楽性にも頷くばかり。











18.Solvent/Subject To Shift


とても大好きなエレクトロニカの人の新譜。前作「Apples & Synthesizers」はタイトル通りに突き抜けた00年代エレポップの隠れ名作だが(ジャケ&タイトル最高)、
今作はややシリアスな方向に傾きつつも、相変わらずのシルクのように柔らかなシンセのレイヤー・サウンドを聴かせてくれる。大好き。
このPV、めっちゃキモカワイイな!











17.The Bird And The Bee/Interpreting The Masters Volume 1: A Tribute To Daryl Hall And John Oates



実は現時点での最高傑作なのでは? と思いたくなるくらい、彼女たちとホール&オーツの相性はバッチシなのであった。
にしても、グレッグ・カースティンは仕事しすぎ。
DEVOの新譜も完全に彼の独壇場だったし(そして素晴らしい完成度)









16.Dinosaur Feathers/Fantasy Memorial


とにかく下の動画の曲を聴いてくれってことで。
詳しくはコチラ











15.Moy/The Lie


XTCに似ている!」とかの流れで00年代の前半にちょっと話題になった元Dogs Die In Hot Carsのフロントマン、Craig Macintoshによるソロ・プロジェクト
正にDDIHCのアコースティック・ヴァージョン。いかにも英国然としたスタイルはニック・ドレイクなども彷彿とさせるが、彼一流のひねくれ気味なソング・ライティングは全く枯れてない。泣ける…
ところで、DDIHCの2ndはこのままお蔵入りになってしまうのだろうか。デモ音源だけ既に出回っている彼らの2nd『Pop Nonsense』はデモの時点で驚くほどの傑作。
なんとか形になってほしい。











14.Saori@destiny/WORLD WILD 2010


バイレファンキに影響を受けたというアキバ系アイドルの新作。
全トラックとてつもなく完成度が高いのだが、たぶん誰が歌っても最高にカッコよく、誰を褒めればいいのかわからない困ったアルバム。
これをライブでやられてどういう表情をすればいいのかわからないが、とにかくあまりにも過剰なハイエナジーっぷりに失禁必至。









13.The New Pornographers/Together


何年間も自室に同じポスターを飾っているほど大好きなバンドだが、今回はどうもあんまりノれず。
とりあえず、このバンドは「アルバムで一番いい曲を書いてるのがダンさん(destoroyer)」状態じゃダメなんだよ!
がんばれカール! 2ndソロ辺りから不調長いよ!
とはいえ、聴きどころは多し。ニーコが歌うとそれだけでアリかなって思っちゃうよね。











12.The Chap/Well Done Europe


Divine Comedyの新譜とは真逆の方向で英国ポップの極北を感じさせた(アチラは紅茶の香り、コチラは腐臭)The Chap新譜。
ピッチフォークで高得点稼いだのに売れなかったから方針転換したという本当かウソかよくわからない理由で、
本作は過去最大級に歌ものポップとしての魅力に溢れながら、
歌詞における生産性やマトモな意味での感情移入度はゼロというかマイナス以下という最低のアルバムに仕上がった
(足を引っ張るか人生における無駄みたいなことしか歌ってない)。
爆風がクマ!!!というジャケだけで個人的なシンパシーも。









11.The Drums/The Drums


クッキーシーン絡みで色々と接しているウチに愛着が湧いてしまった。
アルバム全体の完成度は実はそんなに高くないけど、やっぱり青臭さに惹かれるわけです。
詳しくはコチラコチラ









10.David Byrne & Fatboy Slim/Here Lies Love


バーンが目論んだクラブユース的な踊れる要素は正直希薄な気がするけど、
彼の書いた曲を別々の女の子に歌わせるとこんなに聴き飽きないアルバムが出来るのかと変な意味で驚かされたり。
『Grown Backwards』の高みには辿りつけなかったものの、こちらもやはり傑作。
詳しくはコチラ









9.Robyn/Body Talk Pt. 1


独立独歩な姿勢が前作以上に打ち出されまくっていることだけで二重丸。お願いだから誰か日本に呼んでくれ。
詳しくはコチラ









8.Crystal Castles/Crystal Castles


トゥーマッチなほどメロディアスな曲と暴力的なアイディア一発勝負すぎる曲が乱雑に詰め込まれている彼女らのスタンスは健在。そこだけで号泣。
かつて一世を風靡した(勝手に殺したらマズイのかな…)エレクトロのシーンはこのユニットを生み、世に放つことだけのために存在したのではなかろうか。









7.MGMT/Congratulations


冒頭4曲は上半期で一番繰り返し聴いた。後半の12分の曲とかラストのハンド・クラップは正直やりすぎかなー、とかとか。
しかしトータルでいえば、本作は紛れもない傑作。
今後の音楽シーンのスタンダードとなるであろう(しかも自分にとってかなり都合も風通しもいい)気分をアピールしただけでも存分に価値がある。
「Song For Dan Treacy」名曲すぎ。80年代ギタポをなぞったってよく言われるけど、当時のどこを探してもこんなに捻じれた曲はなかったわけでさ。









6.Buono!/We are Buono!


劇的すぎるパワーポップの雨嵐、超名盤な前作からの次の一手として、楽曲の幅をもたせた一枚。
つんく作曲のシングル曲はややヘナチョコながら(Take it Easyとか言ってらんねえだろ)、
巧みの業を魅せる筒美京平作品から重戦車のようなギターロック(「Independent Girl〜独立女子であるために〜」)、
そして"優柔不断のままでいいよ"という胸に突き刺さりすぎるフレーズが印象的な「うらはら」と、聴けば聴くほど味が出る楽曲多数。









5.小島麻由美/ブルーロンド



前作『スウィンギン・キャラバン』で正直感じてしまったマンネリな空気をドラマーが変わったことで完全に打破。
(インディーに移ったことも影響しているのかもしれない)くぐもった録音も混みで彼女のいなたい一面性を打ち出しまくった本作は、
個人的には『さよならセシル』以来の傑作となった。
別にスウィンギンしているから彼女が好きだったわけじゃなくて、なんて言うんだろう。
恋の歌でも自分の脳内にしか存在しない関係というか世界? 妄想? そんなところに強く惹かれてしまうわけで。


(これだけYoutubeでは見つからず…)




4.She & Him/Volume Two


こんなこと書くと怒られるかもしれないけど、本作の主役はよりバンド・サウンドにシフトさせながら
ズーイーの魅力を全く削がないアレンジを施したM・ウォードだよなぁ、とかとか。
一曲目の力強いイントロから感動的。リズムが立っている分、断然前作より好き。








3.Hot Chip/One Life Stand


アルバム全体だけでいえば文句なしの彼らの最高傑作。
チャールズ・ヘイワードのドラムが聴けるというだけで垂涎モノなのに、ここまで楽曲の粒が揃っちゃったら、もう。
そしてライブも強烈なようだが、今年のフジのタイムテーブルを組んだ人は本当に罪つくりだねって思うわけです。どうしよ。









2.住所不定無職/ベイビー!キミのビートルズはボク!!!


下北沢や高円寺に掃いて捨てるほどいそうなビートルズ/ビート・ポップの趣味的なフォロワーとは数万光年違う位相に存在する、完全異質なポップ・バンド。
変な方向に突き抜けた歌詞("クララが立ったよ!")やアニソンもかくやなテンションを誇る一人シャッグス状態な女の子ヴォーカルに慄く一方で、
ときたま見せる抒情性(「あの娘のaiko」)にしんみりさせられたり、とにかく捉えどころのない…
と思えば、(引用含め)60〜70年代ロックのマナーに則った作曲技術は真っ当に優れていて、どこから評価すればいいかわからないという。
聴けば聴くほど好きになった。しばらく追いかけたい。








1.Ariel Pink's Haunted Graffiti/Before Today


大半のインディー・バンドが似たような(割とどうでもいい)多少暗めのハッピーエンドと音楽的カタルシスの獲得を目指しているなかで、
アリエル・ピンクは全く違う角度による視点から(だけど今までどおりの方法論を基本踏襲したまま)ナード的にも感情移入しまくれる音楽を提示してくれたことに何より感謝。
スタジオ録音によって彼の捻じれまくったAOR趣味とポップ・センスがわかりやすく受け止められるようになったことも嬉しい。
個人的には「Round and Round」は10cc「Don't Hung Up」の2010年アップグレード版として胸に迫った。
電話を「切られること」ではなく「かけること」への不安と渇望。
"Sentimental heartbreaking Evereything is my fault"のくだりとかね。好きすぎ。





ご無沙汰しております。

すっかり更新なんて夢のまた夢になってしまっているブログですが、たまに「読んでます!(ました!)」な声をかけられることもあり(特にゲラーズが一回解散したときの最後のライブの感想については今でも反応があって、すげー愛されてるんだなぁ、とかとか。俺じゃなくてバンドが)、そのたびに心臓は高鳴りキンタマはカチコチになるわけですが、今後は折を見てまたちょくちょく書くかもなー、なんて狼少年的発言を。

ひとまず完全にネット上での活動の中心はTwitterここ。お気軽にフォローを)に移しているのは何度も書いているとおりですが、先ごろWEBページがプレ・リニューアルされたCOOKIE SCENEにてこれからしばらく文章を載せていただくことになりました。

最初の更新ではデイヴィッド・バーン&ファットボーイ・スリム『ヒア・ライズ・ラヴ』についてのレビューと、Private Top 10s of Last Decade: 2000-2009という企画でここ10年間の個人アルバムベストについての文章を書かせていただきました。

今後もちょくちょく何かしらの形で貢献していくつもりですが、媒体によっては書けないこともたくさん世の中にはあるわけじゃないですか。そういうことはココでひそひそ書いていこうかなーと思っている次第でございます。
僕のはちょっとイカ臭いところもありますが、他の記事はどれも目ウロコ・目失禁・目脱糞の連続(今さっき書いたのはたとえばこういうことだよ!)、おもしろいです。ぜひご一読ください。


あと、こういう文章執筆に関してもし万が一ご依頼があれば、どんな媒体でも基本ノーギャラで執筆させていただきますので、遠慮なく声をおかけくださいませ(詳細プロフ欄のメルアドにでもご連絡を)



おまけ。最近一番素晴らしかったHot ChipのPV。ビームで殺すって最高だよな!!!


皆さんこんにちは。
前回の記事が絶賛放ったらかし中ですが、(一部のブサメンギーク共にとって)ゼロ年代の最重要アーティストMax Tundra(ベン)の来日ツアーに三夜ほど追っかけしてきましたので感想というか個人的な備忘録を。


Max Tundra Japan Tour 2010


(↑このページからして本当に素晴らしい。割と書かれているタイムテーブル通りに進行されて快適。最高のバックアップに感謝)




①1/10(日) 千葉 柏 ドランカーズスタジアム




◆ベンのセットリスト


赤字…『Parallax Error Beheads You』(3rd)収録
青字…『Mastered by Guy at the Exchange』(2nd)収録
黒字…カバー


(最初のアルバム『Some Best Friend You Turned Out to Be』はもはや黒歴史? 前回の来日も観たかった…)


1.Orphaned
2.Merman 
3.A Truce(David Shrigleyの詩に30組以上のアーティストが曲をつけたオムニバス・アルバム『Worried Noodles』に収録)
4.Which Song
5.Lights
6.Will Get Fooled Again
7.Lysine
8.The Entertainment
9.Single Ladies(Beyonce 未音源化?)
10.What Time Is Love(KLF 『Alphabet Series M』に収録)
11.Until We Die



●MCなど


・オープニング直後「こんばんは。Susan Boyleです」(今回ツアーのお約束)
・「Which Song」を(招聘してくれた)岸野さんへ捧げる
・「Will Get Fooled Again」前にシングル曲であることをアピール
・「What Time Is Love」前に物販アピール(物販はCDと今回ツアー用に作られた、フクロウの絵のデカデカと書かれたTシャツ)
「次の曲はオールドレイブソング」と紹介
・「Until We Die」前に「みんなプログレは大好き?…俺だけか」発言(英語)
・「Until We Die」キーボードソロ中に鍵盤空振りパフォーマンス



●感想

・最前列左手で観賞。
Youtbeで追っかけ続けたベンのパフォーマンスが生で見れただけでまずは大感動。
そして、映像だけでは伝わりようのないエキセントリックな動きに大興奮。
「Will Get Fooled Again」ブレイク時の両手を挙げながらステージを駆け回る動きは火事被害者か理不尽な物乞いにしか見えず。


顔と動き以上に達者なのが鍵盤演奏で、イロモノ化を回避させているのも高いミュージシャンシップによるもの。
凛として時雨」パーカーを着ているお客さんがいたり、この日のお客さんの目当てはどちらかというと(その後の)相対性理論っぽかったが、
客席は興奮と爆笑のるつぼ。遠かったけど柏まで行ってよかった。


・この日、柏まで行ったもうひとつの狙いは客席と出演者の距離の狭さ。
どう考えてもこのあとの東京二公演よりベンと話しかけるチャンスは多かろうと踏んだら、やはり容易に接触できた。
握手して「グッドパフォーマンス!」と声をかけたあと、持参した缶詰をとりだしたらベンも驚き。
日本でこの缶詰、いくつ売れたんでしょう? 限定250個のはずが今でもDominoで買えるっぽいですよ。
そんなわけでサインもゲット! 
そして俺の缶詰はしばらく物販コーナーに飾られることに…




②1/11(月・祝) 東京 shibuya O-WEST







◆ベンのセットリスト


前日10日と一緒。


●MCなど


全体的に少なめだった
・オープニング直後「こんばんは。Susan Boyleです」(お約束だから)
・「Merman」前に岸野さんへハッピーバースデー弾き語り
・「Until We Die」キーボードソロ中に鍵盤空振りパフォーマンス(この日は客席には不発)


●感想

・この日も最前列左手で観賞。
年に一度のオープンプライス制ということで「チケット取れなかったら大変!」と急いで並ぶ。
16時配布スタートとなってた整理券は実際は15時40分すぎには配られ始める。俺は2回並んで7番と23番。
寒かろうということで並ぶお客さんにカイロを配るなど、ここでも気遣いは行きとどいていた。
並んでいる最中はカーネーションのリハだったみたいで、「ジェーイソーン」と熱唱する声が。


で、この日のベンは(何回か観て回った身としては)正直低調だった気が。詳しくは書かないがどうやら寝起きだったらしい。
とはいえ、やはり素晴らしいパフォーマンス。ファンのノリも柏のときより良かった印象。みんな待ってたんだね。
二日続けて見たことで鍵盤演奏はアドリブというか気分でフレーズを決めていることもわかった。
アレ全部思いつきか。すげーよ。


・ライブアレンジについて特筆すべきは「Lysine」と「Lights」の二曲。


前者は「シンセ3種と木琴とギターと親指カリンバアンデス25(鍵盤リコーダー)とカシオトーンと玩具の笛を」(他人のtwitterから引用)巧みに持ち替えての演奏。
巧みになんて書くと語弊がありそうだが、ドタバタ楽器を持ち替えるベンの姿に萌えるのと、
「弾けないギターを弾くんだぜ」状態のベンを見れるのがポイント。ベンにギターは本当に似合わない。
ちなみに柏公演ではギターは持っただけ。渋谷公演では3音くらい鳴らしてました。


後者は曲前半で熱唱し客席へ手を振りかざしたりしたあと、曲後半で高速エレクトロ化。原曲と全く別物に。
同行した友達は「山本精一みたいだなー」と言ってましたが、僕はジェイミー・リデルみたいだと思いました。
いずれにせよ、ライブ音源の正式リリース希望!(できればDVDで)


③1/17(日) 六本木 Super Deluxe






◆ベンのセットリスト


赤字が今回、来日初披露曲(地方公演のデータはすべて把握してませんが、少なくとも大阪は柏・渋谷と同じセットリストだったらしい)

1.Orphaned
2.Merman 
3.A Truce
4.Which Song
5.Lights
6.Will Get Fooled Again
7.Mbgate(『Mastered by Guy at the Exchange』2曲目)
8.The Entertainment
9.Single Ladies
10.What Time Is Love
11.So Long, Farewell(ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」挿入歌「さようなら、ごきげんよう」のカヴァー、『Will Get Fooled Again』B面)
12.Until We Die


●MCなど

・オープニングで「こちらはグレープフルーツサワーです」発言(どんだけ居酒屋に行ったんだ、というか自己紹介でも何でもない)
・曲終わるごとの「アリガトウゴザイマース」発言が板についてきている(どんだけ日本通なんだ)
・「Single Ladies」前にCDとTシャツは売り切れたよ、やったね!的な発言
・「So Long, Farewell」前、唐突にSupertramp「Breakfast in America」弾き語り


●感想


言うまでもなく最前列、この日は右手で観賞。


15日の金沢公演へ向かう道中、移動の電車(新幹線かな?)がまさかの雪害に遭い大変な足止めを食らった模様。
ベンもTwitterで「飲み水がないから雪解け水飲んだらお腹から変な音がするよ…安全性とか全然計算に入れてなかった…」と、どこまで本気かわからない書き込みをするなど散々だったようす。
それでも翌日の大阪公演では圧巻のパフォーマンスだったそうで、さすがはエンターテイナー。


そして、このラスト日が一番テンションもノリノリ、動きもキレキレ。発言もトゥーマッチなうえにセットリストも変更と、最後にまさかの大盤振る舞い。
開場直後にトイレの前でケータイいじりながら鼻くそほじくってたのを見たときは色々な意味で心配になりましたが、
ステージ上の(次のd.v.dが使う)ドラムのシンバルをはしゃいで叩いたり、鼻を膨らませて飛び交う姿はアダルトチルドレン以外の何物でもなかったです。


今回初披露の「Mbgate」ではベンがギターを誇らしく構え、超ヘタクソな演奏を披露。正直ほとんど弾けてない!
そして曲はディスコチックになり、最後はゴアトランス状態と本来2分27分の曲が極上のパーティーチューンに大変身。なんで今までやらなかった!
「So Long, Farewell」はYoutubeでもおなじみで、本をもって牧師のように歌う姿が(髪型がマッチしているとこも含めて)印象的。


最後は「Coming Soon」と言い残しお別れ。なにせマイペース男を自称するような人なので全然信用できないんですが、
寿司大好き渋谷系大好きな日本通でもあるし、早めの再来日を期待。てかフェスにも呼んでよ!

あけましておめでとうございます。今年はもう少し更新したいです。願望。よろしくお願いします。
年初からベンが来日します。これを書いている時点であと3日。グレート!楽しみですね。


とりあえず、書きかけだった年間ベストの残り3つは下記の通り(半端だった4位〜10位はきちんと更新したのでこちらもよかったら)
(※随時更新。スマソ)





3.Buono!/Buono! 2





2.Regina Spektor/Far




1.Sondre Lerche/Heartbeat Radio

年間ベストアルバムの更新作業が途中ですが、ここで一旦趣向を変えて年間ベストトラック20の発表だ!
暇なやつはバンバンチェックしてくれよな!

20.





19.Nurses/Apple's Acre


フリーフォークmeetsピタゴラスイッチ。かわいい。



18.


職場で流れているJ-waveで狂ったように聴かされた。いいと思う。




17.Bob Dylan/Winter Wonderland



件のクリスマスアルバムで重要なことは、コーラスでDitty Bopsの二人が参加しているところ。
大事なので覚えておきましょう。



16.



可愛い。


15.



原曲はもちろんSmiths。前から面白い存在ではあったが、スパークスのカバーも最高で、自分のなかでよくわからない存在に。


14.



追悼。大好きでした。今年の夏にサマソニでライブ観たときは12月にこうなるなんて思いもよらなかった。
エレカシ+Teenage Funclubなバックに、フォーリーブスの「ブルドッグ」を引用したよくわからないバラード。才能の塊みたいな人だった。


13.


このバンドのヴォーカルが誰よりも『(500)日のサマー』(1月9日公開!面白いです)を体現してしまったのに泣いた。



12.



地味で売れそうにないけどいい曲。


11.



これはもう貼ってたか。


10.



才人、ソンドレ・ラルケPrefab Sproutをモロに意識しまくった素晴らしい佳作。


9.



そのプリファブによる極上すぎる、極上すぎる何か。声が若い!


8.Röyksopp/The Girl And The Robot(埋め込み不可なのでリンク先を参照のこと)


Robynちゃんが如何に偉大かを思い知らされる曲。というか、この曲を作るためにRöyksoppは今日まで存在してきたのではないか。


7.


Buono!カップリング曲に至るまで名曲の宝庫なのでどれを選ぶべきか迷うが、
この曲を聴くとかつて「聴くに堪えないクズだからリミックス仕事している」と嘯いたAphex Twinを想起せずにはいられない。
ハナクソみたいな原曲をここまで感動的にしたてた仕事っぷりは賞賛されてしかるべき。


6.




5.



PVが可愛い。


4.Pet Shop Boys/Did you see me coming?(これも埋め込み不可)


PSBは特別ファンというわけでもないのだが、タイトルからも露骨なある種のテイストが漂いすぎで、まあいいと思います。


3.


かっこいい!


2.

(なぜか動画見れない…)


今年リリースされた全ポップソングのなかでも屈指の名曲。イントロはDoobie Brothersのアレに少し通ずるものがあると思う。
ライブ観たかった…


1.



Polly Scattergoodは残念ながら日本でほとんど無視されている現状なので若干の説明を加えるべきなんだろう。
が、お腹がすいたのでそれは後日で。
とりあえず、この曲をオレの年間ベストトラックに選んだのは歌詞が秀逸すぎるから
英語がわかる人は読んで甘酸っぱくなって滝のように涙を流そう(これも今度、時間のあるときに訳します)

クリスマスを持て余しているウジ虫な諸兄のために、休日もディスクユニオンとチキン亭くらいしか通うところのないオレッチが送る年間ベストアルバムTOP10の続き。


せっかくなので少し余談をします。ミュージックマガジンの年間ベストだけ本屋でチェックしたんですが、英国ロック部門でクリブス一位ってすげーな、おい。
毎年、あそこの2ページだけ極端な絶望感を漂わせていて読んでて複雑な気持ちになったりならなかったり。
俺が読み始めて今まで「今年も満場一致の傑作はなかった」みたいなフレーズがなかったことがない。見えない何かと戦いすぎだろ。


Clare and the Reasonsの人が大絶賛していたJosh Mease『Wilderness』はmyspaceで聴く限り破格の傑作ぽいのであとで調べる。
こういうランキングって現役のミュージシャンのが面白いの挙げるよなぁ。例年くるりの岸田が書いていた記憶のある枠がトクマルシューゴさんの物になっていました。

(※随時更新)

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10.Lily Allen/It's Not Me, It's You


ポップ・センセーション、世代の代弁者、ファッション・デザイナー、政治活動家、口うるさいクソったれブロガー、過激なセックス・エキスパート、酒乱、タブロイド誌の標的、マイスペースの女王、露出狂、わがまま勝手なプリマドンナ、スタイル・アイコン、セレブのガールフレンド、セレブの娘、セレブの姉、パパラッチの獲物、パーティ仕掛け人、プリンセス。などなど、リリー・アレンの呼び名は数知れず・・・

↑こういうゴシップガールな面や≪♪♪そう、なぜなら変わらぬ、わがままリリーだもの・・・♪♪≫な観方は結構どーでもよくて(歌詞も気にならない)、
それより現代のポップシーンを代表する名プロデューサー、Greg Kurstinさんの手腕にひたすら呻らされる一枚。
スカやグライム的要素が後退して世間の評価は下がってるっぽいが、これだけ人懐っこければそれも関係ないかと。


というか、さっきそのグレッグさんのwikiを読んで、参加したアルバムの一覧を見たら腰抜かしそうになった。偉大。
今年を語るうえで最重要アーティストの一人である、リルブーことLittle Bootsも、
急に誰も話題にしなくなった(オイオイ)The Bird And The Beeもみんなこの人のお仕事。
このままエレポップの時代がずっと続けばいい。




9.The Happy Hollows/Spells


前に一度取り上げたことのある3ピースバンドの待望のフルアルバム。
まずはこの記事だけご覧になっていただけば大体の方がファンになって然るべきかと思います。エロくて涎が出そうだ。
音のほうは往年のThat Dogなんかも彷彿させるイキのよいパワーポップ
過去のEPはやや地味な印象もあったが今作で皮一枚剥けて、自信をもって薦められるバンドになったかと。
日本では完全無視状態ですが、amazon他輸入盤店では現状入手不可なので仕方がない。バンドのmyspaceかiTunesStoreで買うしか。
今年多少話題になったReal EstateThe Drumsなんかとも一緒にツアーに回っていたりもするのになぁ。






8.Micachu/Jewellery


さっきから本人たちのmyspaceにも掲載されているmixtapeを聴いているんだが、これが不穏で仕方がない。本当に落ち着きがない。
影響を受けたと言い張るのはharry partch、本作のプロデュースはあのマシュー・ハーバート、
そして掻き鳴らされる改造バンジョー。本当に意味がわからない。顔もカワイイ
出来すぎているかんじもしないでもないが、歪すぎるポップセンスはこれから期待大。
ちなみに彼女らもイギリスのミュージシャン。きちんと掘り下げれば間違っても不作なんてデタラメなこと言わないってば。





7.Vivian Girls/Everything Goes Wrong


前作もよかったはよかったんだけど(ドラムがデブなところとか)もう一声!と油断してたら
大して間髪おかなかった本作で一気にエモいメロディが書けるバンドに大変身。
サーフバンドの影響が色濃く、おまけに本人達もIQが低そうなのもあって一気に信頼の置ける人達に。
来日公演@o-nestも見たけど可愛かった!
MIKA MIKO亡き今、しばらくは彼女らにゾッコンになりそう。



6.Hank/The Family Album


本当は再発なのだが音源化は今回が初ということで2009年扱いで。
今年は本当に再発が充実していたが、そのなかでもプロダクションデシネさんによる一連のレイ・ワンダー再発は特筆されるべきだろう。
採算より音楽への愛情。陽の当たるべきバンドにこうして再評価のきっかけを作られるのは本当にイイこと。


レイ・ワンダーはカーディガンズやエッグストーンに代表される90年代スウェディッシュ・ムーブメントのなかでも
一際群を抜いてプロフェッショナルで捻くれまくった偉大すぎるバンド。
そして本作はそのレイ・ワンダー解散後に中心メンバーのヘンリック・アンダーソンが結成したものの音源を残すに至らなかったバンドの未発表音源を集めたアルバム。
レイ・ワンダーよりエッジの効いた太い音を鳴らす最高の一枚。待望すぎて泣いたよ。


他の再発もかなり行き届いた仕事をされているので、最低でもベスト盤の入手だけでもここでお薦めしておきたい。
新譜という括りを抜きにしてよければ、この一枚が今年の年間ベスト。全曲名曲。愛情溢れる選曲に大感動。


スーパー・ワンダー(ザ・ベスト・オブ・レイ・ワンダー)

スーパー・ワンダー(ザ・ベスト・オブ・レイ・ワンダー)



5.Dirty Projectors/Bitte Orca


かつてローファイで小難しい音楽をやっていた連中が本作でようやく胸を張ってポップと呼べる音に。
割とリアルタイムで追っていたので何よりそこに感動。
各地で大絶賛ですが、複雑すぎるギターの絡みにレイヤーの如く重なる女声コーラス、
ツェッペリンばりとも評されるドラミングに、過剰にリリカルなデイヴ・ロングストレスの歌声と、
文句なしで今の米インディーシーンを代表すべき傑作。
個人的にはモノトーンな感触に満ち満ちた前作のほうが好きですが、
2009年に聴いた音楽で殆ど唯一新しさを見出した気がします。



4.Prefab Sprout/Let's Change The World With Music


待望すぎたプリファブの復活作…というよりは形となったお蔵入り音源。
経緯は既に多くで語られたとおり。どういうきっかけであれ、こうして形になったことにまずは感謝。
そして本作で聴ける音は間違いなく最も油の乗っていた時期のパディによるもの。
見方によってはこれをもって最高傑作と見なすこともできそうな、極上のロマンに満ちた曲群。


ただ、やっぱり…このアルバムは1人で作ることを前提としてスタートしたわけではないので、
ところどころどうしても粗が目立つ。それは紛れもない事実。
音色が古いのなんて気にしない。そんなのは「アンドロメダ・ハイツ」の頃からずっとそう。
ただ、パディも手ぐせのある作曲家なので、どの曲も「ここでウェンディのコーラス入れたかったんだろうな…」という箇所が必ずあって、
コッチもプリファブは何百回何千回と(大袈裟)聴いてるのでどうしてもそれがわかってしまう。
というより、頭のなかで鳴ってしまう。コーラスが勝手に。それが悲しすぎる。


体調面の問題もあって何やら引退も仄めかしているらしいが、
これだけの曲を今でももし書けるなら止める理由はどこにもないわけで。
ライブなんて一切やらなくていいから、一度だけでいいので現役感溢れる作品を残してほしい。
20年近く前から最新の音楽をあまり耳にしないことでも知られるパディだが、
後進たちはきちんと彼の曲を聴いていて、たとえばLINDSTROM辺りも本作を年間ベストに挙げていたりもするので、
こういう人達と作った作品を聴いてみたいけどなぁ。
まだチャートにカムバックする可能性は消えてないと思うんだ。