Dangerous Mind

Dangerous Mind

2020.10/1〜10/15

10/1 Thu
詩の朗読バージョンのミックスが完成した。夜、とうめいロボ&内橋和久(ゲスト:山本達久)のレコ発イベントで、久しぶりにライブハウスに行くと、会場では、演者とともにお客さんも一緒に、その場の音楽を作っているんだなあ、という感じがすごくした。

10/2 Fri
今まで試した事のなかったcubaseのオーディオワープ機能はとても面白い機能だったので、もっと早く試せば良かった。ある程度の年数(気づけば15年以上)使っているけど、いまだに知らない機能が幾つかある。

10/3 Sat
K家に遊びに行く。娘より5か月先輩のT君がすっかりパリピ化していて「カンパーイ」を連発。娘は相変わらずの人見知りで、しばらくマナーモードが解除されず、1時間ほどたってようやく徐々に動き出す。

10/4 Sun
ラップをしてみようかと思い、トラックを作る。それはただの思いつきだったようだ。

10/5 Mon
天から降ってくる予定の金で、ストライモンのBig Sky(リバーブ)、エレハモの22500(ルーパー)、ベリンガーのRD8(リズムマシン)を買う。直接手で触れられる機材には安心感がある。それぞれ今後の制作のネックとなり得る機材で、新・三種の神器と呼ぶ事にする。

10/6 Tue
三種の神器サウンドハウスから届く。最近はPCの外で音作りする比率を増やす方向に進んでいるが、それは音がどうこうという部分よりも、単純にそちらの方が作業が楽しいからかもしれない。もっとも、その楽しさ自体がスピード感や勢いとなって、音に反映される側面もあると思う。

10/7 Wed
結局ジャケット制作と歌詞の英訳もDIYで、リリース以外はほぼ一人のLPだ。昔、どこかの社長か何かのインタビューをたまたま読んでいると、事業を成功させるコツは、自分でやらずに他人に任せる事、適材を適所に割り振って、皆で協力できる環境を整える事であると言っていて、全くもってその通り、と思ったのだが、自分はやれる範囲の事は(というか英訳みたいに本来やれない範囲の事も)自分でやってしまうので、その結果、成功から遠ざかっているのかもしれない。でも、自分で全てをやることには相応の楽しさがあるし、また、その楽しさ自体が、スピード感や勢いとなって、制作物に反映されるという側面もあると思う。もちろん苦しさが反映される事もあるけど。
DeepL翻訳の精度が高くて英訳にかなり役立っている。

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10/8 Thu
「Funk42」という、ファンクをバラバラにしたような曲を作っている。とにかく曲を作る。曲は財産だからだ。金を時間に替え、時間を楽曲に替える。その楽曲が再び金に替わる、かと言えば、そううまくいかないが、自分でも気づかない間に、どこかで何か別のものにすり替わっていたりしているかもしれない。

10/9 Fri
ベリンガーの808クローン機であるRD-8に触っているだけでリズムのアイデアが出てくる。スイングの感じも好きだ。スイング55~56くらいのニュアンスが自分の好みだ。

10/10 Sat
「ブギー」というタイトルの曲を作っている。私はいまだにこの「ブギー」や「ブギ」という言葉が、どういった音楽的特徴を示すのか、正確なところを知らない。やや軽めで跳ねた感じのブルース、みたいなのがブギなのだろうか。たとえば「予備校ブギ」が「予備校ブルース」だったら、一気に湿っぽく、悲壮感が出てきたりするし、逆に「港町ブルース」が「港町ブギ」だったら、元とは違う軽快な、溌剌としたニュアンスが出てくる。時代感も10年くらい変わる感じがする。「東京ブギウギ」がブギなら、「ダウンタウンブギウギバンド」は何の集まりなのか?そういったブギをめぐる逡巡が反映された曲になったら嬉しい。

10/11 Sun
「Funk7」という曲を作る。一日一曲、まあ曲というよりは、曲のアイデアだが、そういうものを作っている。
夕方から新宿某所にある関さんの自宅スタジオでチャゲアスカバー配信イベントに参加。ASKAが作曲した光GENJIの「パラダイス銀河」を途中まで「How insensitive」のコードでやってみたが、そういう中年的な音楽の楽しみ方については何もコメントしなかった。誘ってくれた山下哲史とはかつて「山下学園」というバンドで活動していた。初めて定期的にライブハウスで活動したバンドだった。
帰り道、乗り換えをミスって和光市まで行ってしまい、タクシー代が惜しくてそこから3時間、殺風景な夜道を歩いて帰った。小雨が降っていた。

10/12 Mon
朝起きてみると、機材を担いだまま長距離歩いたにも関わらず、身体がどこも痛くなかったので、自分はまだイケる、と思った。次のライブで着るために、QRコードが前面にプリントされたTシャツをデザインして発注した。ASKAの歌詞について、昨日のライブで語り切れなかった部分があるように感じたので、RADIOTALKというアプリで話してみた。

10/13 Tue
太陽を盗んだ男」がNetflixにあったので再見する。この映画を日本映画史上最高傑作の一つに位置付けたとしても、どこからも文句は出ないはずだ。全編ジュリーのPVなのかっていうくらいに沢田研二がかっこ良い。スケール感のあるエンターテインメントでありながら、我々日本人が乗り越えられない深い深いテーマを扱っている。また、1979年(私の生年だ)の空気感がパッケージングされたドキュメンタリー的な要素もある。沢田が演じた木戸誠を超えるキャラクターは、映画だけでなく、テレビドラマやアニメ界を見回しても、そういないだろうなあと思う。

10/14 Wed
沢田研二を見ながら「演じる」という事について考えていた。日常的に自分も、状況に応じて何かしらの役を演じている事に思い当たる。たとえば保育園の送迎時、スタジオで演奏している時、何かの手続きで市役所に行く時とでは、それぞれうっすらとではあっても、どこか違う役柄を演じ分けている。そのような時は決まって、もっと素の自分として振舞うべきなのではないかという様な逡巡に(ごくごくほんのわずかでも)引き裂かれているわけだが、それより、例え日常生活であっても「演じる」という事をポジティブに捉え、それ自体を楽しんで良いのかな、と感じさせられた。
というのは、「太陽を盗んだ男」の中で、沢田研二が仮装して他人を演じるシーン(老人、女性、過激派、そして普段の教師だって仮装と言えるのかもしれない)が何度かあるのだが、それが本当に楽しそうで、演技する喜びが画面を越えてダイレクトに伝わってくるからである。また、この事はこの映画の主題の一つであろう、本来の自分や、本来の欲望、そして発展のために忘却された日本の暗部に向き合う事、のような話に繋がっていると思う。我々は演じている間にその役に成り切ってしまい、演じていた事を忘れてしまう事がある。逆説的ではあるが、普段から複数の役を演じている人物は、自分が役者である事を忘れない。
40年前に封切られたこの映画が我々に投げかける影はいまだに巨大で重い。他にこんな映画を知らない。

10/15 Thu
引き続き「太陽を盗んだ男」を見返している。

2020.9/16〜9/30

9/16 Wed
ちょっと体調が戻ってきた。悪化/回復をこの一月くらい、ずっと繰り返している。「Lens」という78年とか79年くらいのニューヨークの映画を見た。魔都。話はよくわからなくても、風景さえ映っていれば、それだけで十分映画になってしまうような街。

9/17 Thu
フィリピンのEyedressというアーティストのアルバムが良かった。今度こそ体調が普通に戻った。この一か月、何か1アクションするたびに休憩を一度入れないと、途端に熱が出るような状態だったので、正直言ってほとんど絶望していた。喉元過ぎればで、どうせすぐ忘れると思うが、発熱の恐怖を感じずに生活できるのは素晴らしい事だ。

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9/18 Fri
Awichがラジオでお勧めしていたので「サピエンス全史」を読み始める。体調が回復したので、再びスコセッシの「カジノ」を見る。夜、久々のバンド練習で新曲。

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9/19 Sat
アルバムを完成させた後、一か月病気になって寝込んだ。自分は漫画のようにわかりやすいところがある。

9/20 Sun
ギターで曲のアイデアを、何でもいいので出た順にメモしていく。午後は吉祥寺のMさん宅へ伺う。

9/21 Mon
「もう終わりにしよう」という映画を見る。面白かったのかどうか、楽しめたのかどうか、自分でもよくわからないが、最後まで見てしまう。途中、ジョン・カサヴェテスの映画(の中のジーナ・ローランズの取り扱い)を思いっきり、登場人物が貶しまくるシーンがあって、自分はカサヴェテス映画というのは、インディペンデントな映画制作者達の聖域だと勝手に思っていたので、それだけで、びっくりさせられた。何だかよくわからないけど奇妙に心に引っかかる。原作も読んでみたい。
地図上で発見した、近所の森に行く。徒歩範囲の森林は全部潰した。

9/22 Tue
東大和市の薬用植物園に行く。池に一房落ちただけで、周囲の魚が死ぬような強い毒性の植物や、大麻やケシなどがキャプション付きで栽培されている。麻薬の畑は、盗難防止のため先端の尖ったフェンスで包囲されている。猛毒は野ざらしでも良いのか、と思うが、その辺の軒先に植えてあるような花や木にも強い毒性を持つものは少なくないので(スズランとか)、別に良いのだろう。

9/23 Wed
駅前の病院で市の健康診断を受ける。新型コロナの昨今、病院はなるべく体調の良い時にいくもの、体調のすぐれない方はご遠慮ください、という場所である。自分も先月、熱がある時に病院には行きたくなかった。

9/24 Thu
ギターのループを発展させた曲づくりを進める。
「ブラッククランズマン」を見る。目立った暴力シーンがほとんど無いまま本編が終わった後、エンディングに生々しい、実際に起きた暴力的なニュース映像が流れるという、強い主張を感じる構成。

9/25 Fri
OWKMJのリハ。新曲を試す。簡単な、ループ主体の曲を19曲作ってアルバムにしたい。

9/26 Sat 
Youtuberの税理士先生の動画に励まされながら、文化庁補助金申請を行う。元々あまりやる気がなかったのだが、昨日の練習で他のメンバーが申請したと聞いたら俄然やる気に。まあ、そんなものだ。

9/27 Sun
「詩の朗読バージョン」のアルバム制作を進める。娘が初めて靴をはいて歩いた。

9/28 Mon
ヒマなので3DCGを始めてみた。メタセコイアという無料ソフトで作っているのだが、今まで使ってこなかった脳の領域が刺激される作業で面白い。文字の3Dオブジェクトを作って、それを音楽に合わせて動かすのが当面の目標。

9/29 Tue 
詩の朗読バージョンの制作は12曲目の「もしかして」まで進んだ。しかし、歌にも増して詩の朗読はOKテイク、NGテイクの判断がつきづらい。全部OKと言えばOKだし、全部NGと言えばNGだ。
70年代にアレン・ギンズバーグとかが朗読をどこかの大ホールでやってるような写真や映像をたまに見るけど、詩の朗読というのが、あの規模の興業として成り立っていたという事(ひょっとしたら今も成り立っているのか?)が、正直なところ、いまいちピンと来ない。と、そんな事を考えながら詩の朗読アルバムを作っている。

9/30 Wed
「ハーフ・オブ・イット」はとても面白かった。柔らかいトーンだけど、青春映画の枠組みの中で、色んな挑戦をしている映画のように思えた。
チャゲ&飛鳥・カバーナイトというものに呼ばれて、その準備をしている。しかし、自分はチャゲアスの良いリスナーではない。CDを買った事がないし、テレビでしか聞いた事がないかもしれない。それでも呼ばれるとホイホイ出ちゃうんだよなあ。
ところで、チャゲアスの「僕はこの瞳で嘘をつく」という曲は、井上陽水の「飾りじゃないのよ涙は」への返歌なのではないかと、ふと思った。曲調やテンポ感が似ているというのはもちろんあるが、互いに目をテーマにした曲であり、見る/見られるという関係性をテーマにした曲でもある。
推理小説を最後から めくれるようなはずはない」という歌詞が、小学生の頃からずっと、自分の心に引っかかっている。

2020.9/1〜9/15

9/1 Tue
耕造さんが一時帰国した(後2週間の隔離も終わった)ので、サボテンレーダーのリハーサル。リハーサルといっても、本番が控えているわけでもないのだが・・。サブテラニアンズに行き、久々にちゃんとした生ビールを飲む。最近人に会うと色々話す事があって、話題に事欠かないのは、感染症が流行って唯一良かった点かもしれない。

9/2 Wed 
スパイク・リーの「ダ・ファイブ・ブラッズ」を見る。帰還兵5人のキャラクターはやや描き込みが足りない感じというか、立体感に欠けるように自分には感じたが、映画全体としては面白かった。ベトナムという小国は、中国、フランス、アメリカの侵略に屈せず、社会主義体制を現在も貫き、ついでに新型コロナの抑え込みにまで成功しているが、ベトナムが拠って立つ精神性、ベトナム魂みたいなものがもしあるとしたら、それは何なのか、学んでみたいと思った。
ソロアルバムの詩の朗読バージョンに着手する。全曲、詩の朗読が歌の代わりにオケに乗っているもの。
娘は近頃、だいぶ安定して歩けるようになってきた。

9/3 Thu
昼、サボテンレーダーのライブ映像撮影をサブテラニアンズで行う。公開が楽しみだ。
渡哲也が先月亡くなった。帰宅してから「東京流れ者」を見る。改めて、鈴木清順は、ダ・ヴィンチだったり、ミケランジェロだったり、ピカソだったり、そういった美の基準を刷新してきた歴史上の革新者たちと、その名を並べて語られるべき存在だと思った。美しく時空を切断する術において彼を凌駕する人物はもう出ないのではないか。

9/4 Fri 
長いランタイムに敬遠していた「ザ・アイリッシュマン」を見始める。
夜になって体調が悪化する。微熱があって咳も止まらない。まるで新型コロナのような症状・・。

9/5 Sat 
どうやらエアコンの当たりすぎで、体調が悪いようだ。熱中症なのかもしれない。試しに久々にエアコン無しで寝たらよく眠れた。空調の問題は家族間の調整が難しい。
娘の散髪をするが、先日見た「東京流れ者」の影響で渡哲也「不死鳥の哲」みたいな髪型になってしまった。ほとんど角刈りに近い。ごめん。

9/6 Sun 
エアコンをつけずに11時間寝たら体調は回復に近づいた。M家と川に行く。娘は人見知りなのでずっと緊張していた。

9/7 Mon
鼻水と涙の強烈なコンビネーションで目覚める。我が身はまた新規のウィルスの攻撃を食らっているようだ。午後から高熱が出て起き上がれず。病院に行けと言われるが、こんなに体調が悪いのに外に出るのは嫌なので、ポカリスエットをガブ飲みして寝る。
また家庭内隔離である。かつては病人というのは人に優しくされるものだったが、コロナの世の中では単なる感染源というか、保菌者疑いの身分で、まあその事に対して文句もないのだが、狭い部屋に一日中こもっていると、気が滅入って治るものも治らなくなる。と、同じような事を先月も書いたな。

9/8 Tue
一晩中悪夢にうなされ続けるが、熱は午後に下がった。自然は病人に対しても扱いがフラットだと思うので、一人で森に行った。体調が悪すぎて、この二週間ほとんど何もできる気がしない。

9/9 Wed
体調悪化で手がつけられなかった友人のバンドのミックスをやる。一度仕切り直し、という感じで。ようやく体調が戻ってきた感がある。二週間ぶりに。

9/10 Thu
今度は娘が入れ替わりに体調不良で38.5度の熱。保育園は休ませて、午前・午後の夫婦二交代制で面倒を見る。幸い午後には熱が下がる。

9/11 Fri 
アイリッシュマン」は鈍い響きで自分の心に残った。

9/12 Sat
「まさかり担いで~」と何となく歌いだしてしまった歌詞のその先をどう続けていけばいいのか、とても苦労している。出だしからまさかりを担いでしまっているが、これで金太郎じゃなければ、一体どの時代のどんな奴の曲なのか。でも金太郎の歌など全然歌いたくない。しかし、そのメロディには「まさかり担いで~」がぴったりな、農機具を肩に担いで空を仰ぎ見ている時に漂うような哀愁が、確かに宿っているように思える。
どうもまだ体調が本調子ではない。
アイリッシュマン」を見終えたこの勢いで、マーティン・スコセッシの映画をまとめて何本か見たい。

9/13 Sun 
また体調が悪い。今度は奥歯と、顔の左半分が痛くて、体の節々も痛む。オズの魔法使いのブリキの人形みたいに全身ガタついている。「グッド・フェローズ」は衝撃的に恐ろしい映画だった。この体調のままスコセッシの映画を見続けると心が持たない気がするので、もうスコセッシを見るのはやめる。主人公の体調の悪さに今、深く共感できるので、ポール・オースターの「オラクル・ナイト」を再読している。

9/14 Mon
体が痛い。マイケル・ジャクソンのスムーズで力強く、一瞬一瞬が発明のようなムーヴを見て涙してしまう。彼はキリストの再来のような存在だったのだろう。ところでスガが次期総理になるらしい。

9/15 Tue 
顔が相変わらず半分痛い。ネットで調べた感じ、副鼻腔炎という症状にあたるようだ。
引き続き、身の回りのアーティストの音源をいくつかマスタリングしている。

2020.8/16〜8/31

8/16 Sun 
娘の発熱はおさまった。予想した通り、突発性発疹と診断される。
今年の芥川賞受賞作である遠野遥の「破局」を一気読みする。物語の終わりに、主人公がタイトル通り、破局を迎えるのだが、その破局はある種の救いのようにも読み取れる。ただ、自分は救いのない話が好きなので、このような結末ではなくて、主人公がそのまま野放しとなって、黙々と社会生活を営んだりしている方が、より大きな意味で、よりリアルな破局ではないか、と思ったりもした。
その結末をもって小説を成り立たせるのは難しそうだが、現状、ラストがちょっと取って付けたような印象なのも、否め無い感じがする。
でも、すごく面白い小説だと思う。

8/17 Mon 
やや体調が悪く、早めに寝る。きっと睡眠不足なのだろう。

8/18 Tue 
結局自分でデザインする事になったLPジャケットについて、やり方を検討する。
娘は発疹が長引いていて、機嫌が悪い。

8/19 Wed 
ジャケット作業に取り掛かる。デザインに関して自分にできる事はだいぶ限られている。その分、素早く仕上がる。

8/20 Thu 
「灼熱」と表現しても決して大袈裟ではないような暑さの中、近所の雑木林でソロアルバム全長を確認し、これを最終チェックとして、アルバム「世界」が完成した。
訳詞も仕上げ、歌詞カードをデザインする。こちらで担当している作業は全部終わった。
夜、また発熱して倒れる。再び作業部屋にて隔離。

8/21 Fri 
熱は一晩で下がったのでおそらくコロナではないだろう。アルバム作業が全て終わった途端に出た知恵熱の類と思う。

8/22 Sat 
朝になって、熱がぶり返す。で、また隔離。昔は熱が出たら、リンゴの擦りおろした物など与えられて優しくされたものだが、令和二年は締め切った部屋で隔離である。普段、寝室として使っているわけではない雑然とした部屋で一晩過ごしても、ほとんど体は休まらず、余計に回復が遅れる、という負のスパイラルに陥っている。もちろん確実にコロナではないと言い切れない以上、一人おとなしく幽閉されているしかないのだが、厄介な時勢である。

8/23 Sun 
一日部屋に籠って、どうにか熱が下がった。20時間以上は横になっていたと思う。退屈だが、頭痛がひどくて何もできない。ずっとポットキャストを聞きながら寝ていた。

8/24 Mon 
アルバム制作が一段落し、次何をするべきなのか、病み上がりで頭もボーっとしており、空白の時を過ごす。

8/25 Tue 
保育園に迎えに行ったら、まだお座りの娘は、自由に歩ける一つ上の子からちょっかいを出されて泣いていた。下を向いたままでちょっかいに耐えている様子は、何か自分の幼い頃を思い出させるものがあって、切なくも愛おしかった。頑張れ。

8/26 Wed 
咳が出る。ずっと体調が悪い。もう、通常の調子というのが、どんな感じだったか、今ひとつ思い出せなくなっている。何をやっても、ぜいぜいと息が切れて、その都度休息が必要である。年老いた体は、こんな感じなのだろうか。


8/27 Thu
ソロアルバムについて、レコードのカッティングの際に子音が歪んでしまいそうに思える箇所が幾つかあるのが気になって、アナログ用にマスターを微修正する。

8/28 Fri
よりセーフなアナログ専用マスターを作ってレーベルに送る。今度こそ、アルバム作りの長い工程の終わり。

8/29 Sat
娘を川に連れて行く。はじめ、水面に足先が触れただけで、水の冷たさに驚いて泣いていたが、馴れると自分から手足をジャブジャブ浸して遊んでいた。
周辺の子供たちがプール代わりに泳ぎに来るこの川の土手は、夏の土日にはテントが立ち並んで、ちょっとしたキャンプ場のようである。徒歩圏内にこんな場所があって恵まれている。

8/30 Sun 
サンシャイン水族館へ。入場人数を制限するため、時間区分ごとの予約制となっている。移動中、ずっと寝ていた娘は入館した途端に目覚めて、カラフルなサンゴ礁や魚を指差して笑っていた。池袋の人出は昨年訪れた時に比べて、だいぶ落ち着いているように思えた。
 
8/31 Mon 
ソロアルバムの制作が完全に終わり、折良く体調が近年稀に見る絶不調になってくれたので、本格的に休みたい。

2020.8/1〜8/15

8/1 Sat
ようやく梅雨明けしたらしく、川べりには心地良い風が吹いている。電動自転車の導入によって、保育園の送り迎えは、1時間かかっていたのが20分で済むようになった。それはそれで運動不足になりそうなので、その分散歩したりして、結局外で過ごす時間はあまり変わらない。
地黒なうえに日焼けしやすい私は子供の頃、あだ名が一時「メラニン」の事があった。今ではあだ名自体が禁止されている小中学校もあると聞く。
メラニン」と呼ばれて不快だったかと言えば、私は、周囲の子供たちが白に対して黒の序列を無意識的にでも下位としている事を、当時からダサくて残念な事だと感じていたし、またそれでも友人でい続ける以上は、その点については彼らを教化すべきだと思っていたので、堂々と色黒でいて、別に不快でもなかったが、しかし仮に自分にアフリカ系の血が流れていたりしたら、事はそう単純ではなかっただろう。
だから、「あだ名禁止」などと聞くと、正直な感覚としてはギョッとするのだけど、自分が過ごした子供時代と、現代とでは事情が違うケースも教育現場でままあるのだろうなとも思う。
でもやっぱり、子供はあだ名くらい、お互い好きなように付けて呼び合えば、とも思うのだけど。

8/2 Sun
娘に少しだけウナギを食べさせたら、ギンギンになってしまって、いつまでたっても寝ない。こんなにわかりやすくウナギで元気になる人を初めて見た。

8/3 mon
サッポロ赤星で妻の誕生日が祝われた。

8/4 Tue
かなり音数が多いミックス素材が送られてきた。打ち込みのキックが二つに生ドラム、それに加えてベースにあたる音域のパートが3つあったりする。勝手に間引くわけにはいかないのだけど、でも案外こういう時に勝手に間引いた方が喜ばれたりする。あと、そもそも気づかれなかったりとか。

8/5 Wed
ソロアルバムのミックスの修正をずっとやっている。レコードの針飛びの原因になる低域の逆相をチェックして修正するのだが、もう疲れてきたので、そろそろ完成という事にして、送信してしまいたい。

8/6 Thu
引き続き、低域の逆相成分の修正。2mixの低域をモノにすれば簡単なのではあるが、修行だと思って各トラックごとに必要な部分をモノ化するようにしている。だいぶ時間がかかったが、こちらの方が当初の狙いというか雰囲気をキープできるし、その箇所を細かく聴き比べる事で、何か問題が生じている時に雰囲気でわかるような、勘を育てる事ができたように思う。

8/7 Fri
ツーファイブ上で頻出するような教本的なギターフレーズをサンプリングしてループしたような曲が作りたいのだけど、自分の中にほとんどそういうフレーズのストックがないという事に気づいた。

8/8 Sat
近所の喫茶店にて、娘が苦手だったはずの牛乳を一気飲みした。これはきっと品質の良いミルクに違いないと思って店員さんにメーカーを聞いたら、普通にスーパーとかで売ってるパックの牛乳だった。温度やグラス、はたまた店の雰囲気の問題なのだろうか。

8/9 Sun
インターネット上のフリーの翻訳サービスであるDeep-Lを使って歌詞の英訳を作る。レーベルから出るとはいえ、これは実質DIYだな・・。
できあがった英訳を再度Deep-Lで和訳して、調整していく。それでもわからないところは英語ができる人に質問する。Deep-Lの精度は素晴らしいと思う。これがあれば、ちょっとした翻訳仕事なら、自分にもできるかもしれない。と、気づけば他の食い扶持に思いを馳せていたりする。

8/10 Mon 
娘がとうとう網戸を一人で開けられるようになってしまった。そして、あっという間もなくベランダにダイブして鼻を擦りむいた。100円ショップの人工芝をベランダに敷いておいて本当によかった。彼女は最近は一日合計10〜15歩ずつ、自立して歩く。

8/11 Tue
村上春樹の「騎士団長殺し」には、目がさめるような面白さは殆どないと思う(例えば「ねじまき鳥クロニクル」は最初から最後までずっと、目が覚めるように面白い)。
その事が逆に、今の気分にマッチしていて、寝る前に再読している。読んでいると、大きくて、ほとんど味のしない羊羹を食っているような気分になってくる。

8/12 Wed
ギターの各種奏法の中で、商業音楽でもっとも使用頻度が高いのはカッティングなので、より身につける必要がある。夕方頃、娘発熱の知らせがあり、保育園に迎えに行く。

8/13 Thu
子の熱は下がらず、39度を越える時もある。本人は普段より大人しめではあるが、特段変わった様子もない。突発性発疹の可能性が高いとのこと。大抵の子供はやるやつらしい。

8/14 Fri
昼には下がってきていた子供の熱が夜になってまた火の玉のように熱くなり、その状態で体に乗ってくるので自分も眠れず。

8/15 Sat
殆ど寝られないまま鶯谷のキネマ倶楽部にておとぎ話のワンマン昼夜二回公演のライブ録音。メイン卓からモニター卓に送ってもらった16トラックを持参したMTRで受けるという形。ライブは硬質な1部と、柔らかめな2部で、どちらも雰囲気が違って最高だった。
感染症対策でキャパの1/5程度しか入れられず、大勢のスタッフが消毒や検温などに忙しく、物々しい雰囲気。アルコールは消毒用オンリー。お客さんも音楽を楽しむために努力したり我慢したりしなくてはならず、それが逆に会場内の気持ちを一つにしている部分もある。この雰囲気は、きっと今しか体験できない。

2020.7/16〜7/31

7/16 Thu
Omnisphere(という定番ソフトシンセ)のHardware Integrationという機能を試してみようと思い、埃をかぶったマイクロコルグを引っ張り出してくる。シンセサイザーの実機をソフトシンセのMIDIコントローラーとして使えるようにする機能。
複数のツマミを同時に操作して音作りをするのは楽しい。

7/17 Fri
Mix Nuts Houseから送られてきた音源をマスタリングする。アコギがザクザクした良い質感で録音されているので、どうやって録ったのか聞いたらiphoneのビデオ録画だったので、尋ねた事がちょっと恥ずかしかった。弾き語りの動画に他の楽器をダビングした音源とのこと。
カニエ・ウェストiphoneのマイクで本チャンのラップを録ってるってインタビューで言ってたし、携帯電話恐るべし。

7/18 Sat
ソロアルバムがLPでリリースできる事になったので、しばらく放ったらかしだったレコードプレイヤーの配線を直して聞けるようにする。
家族で「ブルースブラザーズ」を見る。序盤のJBの教会シーンで明らかにテンションが上がり、腰でグイグイ踊り出す娘。普段から様々な音楽を聞かせているが、明らかにファンキーな曲への反応が良い。
ところで、自分が子供の頃は家庭のオーディオ環境が貧弱で、ベースというか、低音の存在というものを音楽から感じる事は、ほぼなかった。国内の同世代のベーシストには比較的、裕福な家庭環境で育った人が多いような気がしてならない。

7/19 Sun
ジョニー・グリーンウッドがインドで現地のミュージシャンと行ったアルバム制作のドキュメンタリーを見る。

7/20 Mon
友人のバンドのミックス素材が届いたので並べてみる。面白くなりそう。
ソロアルバムのマスタリングをゆっくりと進めている。

7/21 Tue
ライブハウスについて、相変わらず状況は好転しないまま、もう五ヶ月が経とうとしている。既に畳んでしまった店もあるし、存続しているところもギリギリというか、先が見えない中で暗中模索という状態。再開している店も、キャパは普段の1/5くらいなので、営業したって赤字。たまに気になって友人のSNSなど見るが、ほとんどの人は言葉少なだ。やっぱりライブがないと書く事があんまり無いんだよな。自分もほとんど何も書かない。

7/22 Wed
そんな中、バーべキュー関連の案件がやってくる。

7/23 Thu
テンポ128くらいの四つ打ちの曲を作るのが、結構苦手かもしれない。なんだかこのテンポの四つ打ちの目指すところは、自分に欠けている部分なのかもしれない。

7/24 Fri
テンポ128が遅々として進まず。

7/25 Sat
ポートランドから東京の下町へ越してきたLeeとJoleeのスタジオで、ソロアルバムのミックスを確認させてもらう。Leeから「音楽はハートだが、ミキシングはサイエンスだ」という至言をいただく。周波数についてのレクチャーを受け、作業のやり方をアップデートする契機となった。

7/26 Sun
娘の1歳の誕生日。この一年は本当にあっという間だった。毎日が2時間程度に感じた。祖父母に来てもらってお祝い。一升餅をリュックに入れて背負わせる、ティアラをつけて記念撮影、プレゼントタイム、寿司、など祝い尽くしたと思う。

後日、園だよりに投稿を求められたので、ひっそりとここに転記する。
『先月は娘の一歳の誕生日。この一年はあっという間で、一日が2時間くらいに思えるようなスピードで過ぎて行きました。もう一年経ってしまったのかと、嬉しいけれど、少し寂しいような、そんな気持ちです。
寝ぼけているような時に、娘の事を子供時代に飼っていた猫の名前で呼んでしまいそうになった事がありました。どこか人間の枠を超えて輪郭が曖昧な、フワフワとした存在に捉えていたのかもしれません。もう数ヶ月経てば、うっかりそんな呼び間違いをした日には頭をぶっ叩かれたりしそうです。
6月になって園に通いはじめて、社会に触れ、日々彼女の人格が育ち、自我がはっきりしてきているのを感じます。』

7/27 Mon
予防接種で病院へGO。ヒブと肺炎球菌。一瞬だけ泣く。

7/28 Tue
Leeの教えを反復しながらアナライザーの使い方を研究する。アナログカッティングのために、低域の逆相成分を全てチェックして無くす必要がある。
2MIXの低域をモノ化すれば手っ取り早く終わるが、何となくMIXに戻って、一つ一つ素材をチェックしてみたくなり、しかしそうすると、膨大な手間がかかるのであった。

7/29 Wed
ネットで注文していた電動自転車が届く。顔にタトゥーが入った、KOHHが好きそうな、KOHH似の、角刈りの若者が届けてくれた。「自転車っす・・・」と言って、どこかから押して持ってきてくれた。
制作に今までよりギターを取り入れている。自分が一番ニュアンスを自在に出せる楽器なので、もっと前からそうするべきだった。

7/30 Thu
娘は、十秒くらいの間なら何にもつかまらずに立てるようになった。園に入ってから、成長のスピードが加速しているのを感じる。家だとどうしても甘やかしてしまうけど、子供の世界は弱肉強食なので、お座りばかりしてもいられないのだろう。実際、この間迎えに行った時に、一つ上の子供に、椅子から引きずり倒されているのを見た。

7/31 Fri
Leeのアドバイスに従い、12のキーに合わせたPro-Q3のプリセットを作る。例えばEだったら、41,82,164,328・・・の各オクターブにEQのポイントをあらかじめ設定して呼び出せるようにしておく。そうしてなるべく曲の調性に近づけたポイントで(特に打楽器類の)EQを調整する。