映画館でスペイン人に出会った話は後で

半年以上ブログを書かなかったが特に意味は無い。

半年間で見た映画(覚えているだけ)

  • ワールドウォーZ

ブラビが主演のゾンビ映画(プロデューサーもした)
上映前の予告編ではかなり盛り上がった*1がふたを開けてみたらブラピがゾンビから逃げる為に世界中を旅して、ゾンビから逃げる為に飛行機を墜落させて、最終的にペプシのCMをする*2。どうしようもない映画。

ライブしていたらゾンビが音に反応してコンニチワするシーンやゾンビの大群がウワーって走ってくるシーンなんかは迫力があって良かった。
それだけ。

飛行機事故から奇跡的に助かった乗客達のメンタルカウンセラーになった主人公が、乗客から事故の状況を聞いていくうちに。事故の裏に隠れていた真相に気づいてしまい、告発しようとすると乗客が一人ずつ消えていく。社会派ミステリー。

だと思ったら違っていて肩透かしを食らった映画。劇中に謎の老婆や意味深な言葉を話す人なんかが出てきて時間が経つたびに「あれ、主人公って○○なんじゃね」って分かるけどさ。

  • ウォームボディーズ

ゾンビになった主人公の青年が人間の少女に恋をする。ゾンビ映画業界でも珍しい恋愛モノ。ゆえにグロ描写があんまりない。
恋愛モノなので彼女とか彼氏とかいる奴らが土曜の夜にキャッキャ言いながら観るのが正解なんじゃないですかね。
おっさんが一人で見ていると侘しさを覚えた。

第9地区とかチャッピーの監督が作った近未来の超格差社会を舞台にした映画。照射線を浴びて余命5日になってしまった身体を治し、幼馴染の娘の白血病を治すべく、身体をサイボーグ化(?)した主人公が宇宙空間にあるセレブの世界に乗り込んでドンパチする映画。はっきり言って面白かった。最後の展開にはカタルシスを感じた。アクションもかっこよかったけど、武器が洋ゲーに出てくるようなお洒落カッコイイ武器なのが良い。第9地区に続いて、世界観で勝利しているんだよなー。

  • 劇場版コワすぎ最終章。

視聴者から送られてきた心霊映像の真相を調べDVDにして販売している映像会社のスタッフ三人に降りかかる衝撃映像を収録したテイのPOV作品。
全ての怪奇現象に暴力で対抗するディレクター工藤と、その凶行を制御しようとするアシスタントディレクター市川、いかなる状況でもカメラを手放さない田代の三人は数々の衝撃映像をカメラに収めてきたが、前作にて工藤と市川が異次元に飲み込まれて消息不明になってしまう。二人を現世に呼び戻す為に田代は謎の男江野のチカラを借りて狂気の所業を行い始める。
オカルトの江野くんが登場して、自分の世界では白石だった田代を助ける展開は良かった。
登場人物も多く映像は殆ど夜だったが場面展開が多かったのも豪華だった。工藤と市川のチェンジが必要な演出だったのかはいまだに考えるところである。アレなくてもいい気が・・・。

  • ゴーンガール

デビット・フィンチャーの映画。(これだけで内容の7割が伝わる)
つまりは、見終わった後に後味が悪くなって喋る気力が失われる映画。
2時間以上あるんだけど、物語の展開のテンポの良さやミステリー要素でグイグイ引きこまれていって「この後どうなるんじゃい?」って終盤食い入るようにみたらアレですわ。ホントやんなった。(女性が見たら、また違う意見だろうけど)
「超豪華な劇場版昼ドラ」と言っても、ある意味間違ってない。
往年の作品に比べてグロは少なめ。血は出るけど。

  • 万能鑑定士Q

序盤の15分くらいはすっごく面白い。(最近の邦画は序盤にチカラ入れすぎなんよ。最初がクライマックスってエロゲかよ)
中盤の鑑定士試験はまぁまぁ。Qのキャラクター性を掴みきれていないうちにいろいろあるから入り込めはしない*3
終盤の展開では、「あぁ、そっすか・・・」って感じ。
序盤のワクワクをどんどん削いでいって、「どや、壮大やろ!!」と言われて終わる。
俺はダヴィンチコードで満足です。

「ノーラン映画だから、小難しい話なんでしょ」と思って観たら。随分、分かりやすく「親父が宇宙のかなたに人が住める惑星を探しにいったら色々あった」適度の理解しか出来なかったけど、それでも最後まで楽しく見れた。終盤の本棚は科学的知識がない俺にとっては最早ファンタジーだったけど。夢があって良かったぞい。
ホント良い映画。(ブラックホールが最新科学ではこんな形なんだぜ!と描かれたブラックホールがプレアデスにも登場していたなー)

「うわー変態だ!!!」
「でも、すっごい筋肉(うっとり)」
って映画。
GYAOで無料放送していたから観た。
見る前に、「金を出す価値はゼロだと思うからコレでいいや」で再生して「うん、金を出す価値はゼロだったし、なによりコレは借りる事が恥ずかしい」と納得。
主役の鈴木亮平さんの役に対する姿勢が凄すぎた。
福田監督の作品は苦手。

  • 二流小説家

「数々の賞を受賞した海外小説が邦画化」って売り文句に、なんで邦画やねん!と思いつつも気になったので観た。
主役が上川隆也で連続殺人犯役が武田真治ってだけでVシネの匂いしかしないけど、一応どっかの映画館で上映したらしい。
内容はすっごく王道なミステリーモノ。連続殺人犯から自分の半生を小説にしないかと持ちかけられた小説家が殺人犯と話し合ううちに殺人事件に巻き込まれてしまうって言う感じ。
読み物として面白そうなだけで映像化すると地味な映画になってしまった感じだったな、低予算邦画ってのがまた地味に拍車を掛けていて。

剣心から人斬り抜刀斎を継いだ志々雄真実との戦いを描いたニ作目。
実写化に伴って、漫画版に比べていろいろと改変されているが、そこそこ面白く仕上がっている漫画の実写化に於ける良例。
志々雄真実を藤原竜也が演じているのは大満足だったが、話題性を持つ為に比古清十郎を福山雅春が演じているのはいただけなかった。もっとガタイの良い奴を選んでくれよ。
前後編の為に、この作品では明確な結末がでないが後編を見たいと思わせるチカラはかなりあった。

「京都炎上編では原作に忠実にしたから、今作は予算の面からもかなり弄くるYO!」という幻聴が聞こえてきた後編。
明治政府から金貰っているのかよ!ってくらい明治政府が前に出て、剣心が過去と対面してウダウダするのだが。俺はそうゆうの大嫌いなので大変不満でした。
素直に志々雄真実と十本刀との対決して欲しかった。
劇中の宇水なんて発狂して走りこんでくるだけの狂人だったじゃねーか!

  • レゴムービー

「どうせ、○○の世界は、実は○○で、○○が操っているんでしょ」って思っていたら、SO3のトラウマが再発するくらい当たっていたけど。
レゴの世界とアッチの世界の展開が上手い具合に連動していて、相互干渉も無理矢理感がなくてちょっとホロっとした。
ベテラン声優のフルパワーが聞ける吹き替え版好き。

  • エンドオブザワールド

進撃の巨人の後編でも、
渚にてのりメイクでもない方。
地球に小惑星の追突が決まった世界の話。ラブコメディ。人々は世界の終わりを予感して好き勝手に生き始めているのに真面目な主人公は出社して仕事をこなしていた。たまたま出会った女性を意気投合してしまい主人公は女性と一緒に昔好きだった女性に出会うべく二人旅を始める。
「こんなところで終わってたまるか!」「小惑星を壊す何か手があるはず!!」とか張り切った映画が多いけど、この映画は「もう小惑星の追突は確定しているから何をやっても無駄。だったら自分の人生の最後をどう終わらすか考えよう」と前向きに消極的な映画で、最後の一瞬まで前向きに消極的で良かった。(世界の終わりという演出はメランコリアのラストが最高だけど)

*1:原作が大人気の為

*2:いくらスポンサーだからってアレでいいのか

*3:ドラマ化してから映画化なら良かったかもね

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!

あらすじ:主人公ゲイリーキングは、若かりし頃挑戦し未達成に終わった地元の12件の酒場をはしご酒したあの夜のことを思い出した。自分も仲間も若くやる気に溢れ何でも出来るような万能感が身体中を駆け巡っていたあの夜。
ゲイリーはあの夜を取り戻すべく、再び仲間を集めて12件の酒場を飲み歩く挑戦に挑む。

感想:
ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』に続くスリー・フレーバー・コルネット三部作の最終章。
三部作目といっても作品自体に繋がりは無いのでコレからでも十分楽しめる。
映画情報雑誌を読むと、「とにかく、あるシーンから物語が急展開するから!」と謳っていたのでどんな事が起こるのだろう。とワクワクして観始めた。序盤はゲイリーキングが12件の酒場を飲み歩く挑戦を思い出し再挑戦すべく当時の仲間に会いに行き、社会的に立派になった仲間に対して昔と同じ態度で接して集合をかける話。昔と何も変わらない子供のような態度を取るゲイリーキングと昔と変わった仲間で過去と現在の対比を描いている。地元に集合して一軒目の酒場をに入りまずビールを一杯飲む。次の酒場に歩き、またビールを一杯飲む。これを繰り返して12件目のワールズエンドという名前の酒場でゴールっていう挑戦なのだが。数件目の酒場のトイレで酔っ払ったゲイリーが若者と喧嘩を起こす、ゲイリーの攻撃に若者は青い血を噴出しながらマネキンのように身体が粉砕される。驚くゲイリー。
この町は宇宙人に侵略されて町民の大半が宇宙人と入れ替わってしまったのだ!(この時点は良かった。驚いた)
宇宙人(ブランク)に囲まれた状態の酒場で、ゲイリーの「俺たちは酒場巡りを続けて、宇宙人に気づいていないフリをすれば襲ってこないはずだ」という根拠の無い理論によって酒場巡りを続ける羽目に。
グラスを重ねるごとに宇宙人は彼らの周りを集まり続け、ある酒場に入ると宇宙人からの提案がなされるのだが。

昔の仲間と酒を飲みながら、思い出話や今のことを語り合いその合間合間でゲイリーが暴走しているというハングオーバーみたいな序盤から中盤までは、それなりに良く出来ていて「あら、男同士の友情映画かしら?失われし青春映画かしら?」と勘違いしそうな感じでそれはそれで面白く。その後のトイレからの宇宙人に支配された町というSF展開に変わって宇宙人との格闘やらなんやらがあるんだけど、ここら辺から俺の気持ちがドンドン下がっていった。ゲイリーが酒場巡りに固持するのは、酒場巡りを達成できれば自分が変われるかも知れないという期待に囚われているからだと分かるんだけど。安定した生活を送っていたと思ったら家庭環境が落ち目だったアンディがそんなゲイリーの気持ちを全く理解できておらず。ただゲイリーのその場の安全だけを優先してゲイリーの邪魔をするのがちょっとうざかった。コンピューターのボスとの会話では、道端で警官に喧嘩を挑む酔っ払いみたいで面白かったんだけど。やはりそこでは5人の仲間がそろった状態で挑むのが熱い展開だったんじゃないかなー。5人で始まった酒場めぐりが5人で終わらないってのはちょっと勿体無い気がした。
コンピューターが去ってからは糞。
文化を失った人類は農耕社会に戻った。ってどんなB級映画だよ。
世界が終わるなら、地下深くに封印されていた邪神が復活して終わってくれ(キャビン)

と、まぁ、雑誌の高評価に過度に期待してしまった結果俺の心が複雑に飛行して墜落した。

トランスフォーマー:ロスト・エイジ

あらすじ:前作のダークサイドムーンから5年後。オートボットディセプティコンの戦いによって壊滅したシカゴの教訓から人類はトランスフォーマーを危険視し、ロックダウンと手を結びトランスフォーマー狩りを行いつつ彼らの死体から改良型のトランスフォーマーを作り出そうとする。

感想:
三回観たがどうしても面白さが理解できず苦しんでいたら、先日当映画がラズベリー賞を受賞したという吉報を聴き心が安定した。


今までは海外ドラマラスベガスに出演しつつもトランスフォーマーに出ていた主人公や、マリファナを吸引しているような両親の出番が無くなり。主人公は田舎で廃材から発明品を作ったり、機械の故障を直して暮らしている貧乏発明家のおっさんと娘と娘の彼氏が主役になる。
発明家のおっさんは序盤こそ田舎にいそうなイケメンだけど金の無いおっさんだが、宇宙人の銃を手に入れてから射撃能力が開花していき最強のスナイパーに成長する。え、コマンドーみたいに昔、特殊部隊とかに居たという設定なんでしょ?って思ったが劇中に一切そんな説明は無い。おっさんは発明の才能よりもFPSの才能があった模様。たぶんマイケルベイが「これカッコイイ」という発想で決めたのだろう。すっごく適当。
娘は金の無い父親が大嫌いで、彼氏が大好きの空気の読めない若者なので彼女の言動につらくなったら眼をつぶれ。彼氏も同様なので眼をつぶれ。どこら辺でまぶたを下ろせばいいか教えておこう。まずはロックダウンに狙撃されてオプティマスが倒れるシーン。オプティマスを応援するのは大いに結構だけどわざわざオプティマスに潰されている車に乗って応援する娘。案の定捕まる娘。ここら辺は眼を閉じろ。上昇する車に親父が窓ガラスを割れとアドバイスをした所、ガラスを平手でペシペシしているシーンには苦笑しかでないぞ、即座に眼を潰れ。(終盤に強力磁石が出るのに、なんでこのシーン捕獲が投網だったのだろう・・・。マイケルベイの「これカッコイイ」が理由か)その後、ロックダウンの宇宙船から碇を伝わって逃げ出すシーン。カイジみたいな摩天楼綱渡りに怯える気持ちは重々分かるが。そこそこ進んだ所で「ワタシ、やっぱり宇宙船帰る」という発言にはスチール缶程度なら握りつぶせる怒りを覚えるだろう。眼をつぶり耳をふさげ。シカゴ編さえ終われば娘と彼氏の出番は粗方終わって、あとは重要な部分で重要な役割をこなすだけのコマになるので楽しめ。楽しめって言っても、中国編は中国編でみんなアレだけどな。ハゲ眼鏡は前作のエージェントから富豪に成り上がったシモンズみたいなポジションだからウザクないぞ。アレはあえてピエロを演じているんだ。そもそも中国編にはこの映画最大級の癒しが存在する。最強の癒しだ。そう、それは巨大磁石に引っ張られるダイナボットちゃんだ。見えない手に摘まれてあたふたしている小動物のような可愛らしさがあるのでアレは何度観ても眼福になる。とくにトリケラトプス
三時間くらいあるが、ストーリー自体は粗が凄く、「なんでここでコイツはこんな風になるの?」ってシーンが沢山あるけど「マイケルベイが思ったかっこよさ」が理由だと解釈して乗り切れ。政府から逃亡しているのにいつも通りのカラーリングになるオプティマスとか、敵の爆弾で何故か金属化した死体になるルーカスとか、「今日の俺のドライビングテクニック冴えてる」と言い出す彼氏に、それはフラグでその車がトランスフォーマーでそのおかげかな?と思ったらただの車だったとか。同胞を解体された会社に乗り込んで「その言葉は冷めるぜ」とか言い捨てて撤退するオプティマスとか、俳句にならない言葉を俳句だと言い出す渡辺謙とか、無駄に背景に移りこむ企業のロゴとか、政府の虫型メカを即座にハッキング出来る程度の能力を持つ貧乏発明家とか。中国で「模造品に気をつけろ」と笑っていのか悩むギャグを飛ばすバンブルビーとか、作品を重ねるごとに出番がなくなっていくディセプティコンとか、敵を倒した後にどこかへ去っていくダイナボットがまるで仮面ライダーの映画に出てくる戦隊シリーズみたいな適当さとか。たくさんある3時間だけど。全ては監督の「これかっこよくない?」だから気にするな。気にしたら負けだ。眼をつぶれ。
ここまで眼をつぶったほうが得なシーンを書くと、まるで全てがダメのように思われるかもしれないけど。アクションや中国での乱戦は映像的に見所がある。最後の宇宙に向かうオプティマスは、ポーズ的にウルトラマンぽくて笑えるぞ。
不快になるほどつまらなくもなく、眠くなるほど単調でもないので、暇つぶしに最高の作品。

TOKYO TRIBE

あらすじ:架空の町トーキョーでは、若者たちが各々の主義によって少数の集団(トライブ)を組んで暮らしていた。暴力によってトーキョー制覇を企むトライブもあれば平和を歌うトライブもあり、平和には程遠い状態であったが全てのトライブが他を牽制するのみで際立った争いは起きずにいたのだが。そんな火薬庫のような町に一人の少女が迷い込んだことによって世界が更なる混沌へと陥る。
予告編↓

感想:
「どうかDJは殴らないで下さい」
西部時代の酒場では、頻繁に銃撃戦が起きていたために予期せぬ犠牲者としてコックやバーテンが死んでいったという。コックやバーテンなら補充はたやすいが酒場を盛り上げるピアニストに関してはそう簡単には補填が出来なかったので、昔の酒場には「どうかピアニストは撃たないで下さい」という貼り紙を出していた。と寺山修司の本に書いてあったが、この映画では如何なる暴力が起きようともリズムを止める事は物語を止めることになるので町中に「どうかDJは殴らないで下さい」という貼り紙があったに違いない。


12年前くらいに原作を読んでいて、監督があの園子温ときいて視聴した。
監督が監督なので、また俳優が血の池を泳いだりするのだろうと食事を事前に済ませて視聴したが、目を背けたくなるようなグロシーンは無かったぜ!*1
グロシーンよりも、始まった瞬間から目の前に広がる夜の東南アジアの路地裏のような人とゴミとネオンが混ざり合った「これぞ世紀末!!」といった世界観*2と露天のおばあちゃんDJがスピンする音楽から始まるストーリーテラー役のショウ(染谷将太)のラップに心が鷲づかみにされた。*3
染谷ラップによってこの映画の肝であるラップ+ミュージカル=HIPHOPミュージカル((予告ではバトル・ラップ・ミュージカルと言っている))が始まる。
ショウと池袋を仕切るトライブ「ブクロWU-RONZ」のリーダーメラのラップによって各トライブの特性や舞台の説明が行われる。トライブごとにラップのスタイルが違うのがカッコいい。シンジュクHANDSのラップに園監督の作品「冷たい熱帯魚」の言葉と入っているのもイイ。BUKKOROSU!*4
メラはカイのいる「ムサシノSARU」に怒りを燃やしている。*5
シンジュクHANDSに新しいボスが誕生してトーキョーの勢力図が変化するという話が流れるが、結局どうでもよくなるので気にするな。
問題はブクロWU-RONZを裏で操る暴力団仏波一家が町で謎の少女スンミを拉致る事から始まる。
夢の島のような荒れ果てた町から一転して贅の限りを尽くした豪邸に住むブッパ。家の前に回転する地球儀に「FUCK DA WORLD」って描かれたものがあるんだけど、あれスカーフェイスの豪邸にある「The World is Yours」の地球儀のオマージュなんだろう。
ヤクザのボス、ブッパを演じているのは竹内力でビジュアル的には100%合格なのに竹内力が出演者上最高にラップが下手なのが実に辛く面白い。本人が凄く頑張っているのにしゃっくりが止まらないようなラップで笑える。
真っ赤な部屋で人間を家具にして暮らすブッパの息子「ンコイ」。窪塚洋介が演じているんだけど、渋谷のカラーギャングをテーマにしたIWGPカラーギャングのリーダーだった男が数十年後にヤクザの息子として登場しているのは個人的に凄くうれしかった。
青いライトに照らされた薄暗い部屋ではブッパの部下であるメラが住んでいる。寒そう。
ブッパの妻として叶美香が登場する。凄いおっぱいで竹内力にモミモミされているシーンでは、意外に柔らかそうだった。もっと硬い印象があったのに。
召使というかメイドとしてサイボーグかおりがヒューマンビートボックスをしながら登場するんだけど、滑っていた感ある。突然すぎでしょ。
ブッパによる拉致った女達の選別が始まるが、隙を突きスンミのアクションが炸裂する。実に良い暴力。愛のむきだしで大立ち回りした満島ひかりを彷彿させるアクションとパンチラ(チラってレベルじゃないんだけど)。竹内力ヤクザキックを腹に食らうシーンはさすがに痛そうだった。
用心棒にプロレスラーの高山善廣が出てくる。台詞は少ないものの、そのビジュアルでおいしい立ち振る舞いをしていた。
メラは部下を使ってムサシノSARUのメンバーをブクロに誘う込み、そいつを山車にカイをおびき寄せる計画を立てる。作戦通りに仲間を助けようとブクロに乗り込むカイとテラ。メラの凶刃によってテラは命を落とす。テラは佐藤隆太が演じているが雰囲気ビジュアルともに凄く似ている。ハシームも似ているが書記長は無理やり似せている感ある。そもそもちょい役すぎる。原作ではもっと前に出ていたのに。
SAGAハウスの廊下が、壁に風船がいっぱい貼り付けてあるのかと思ったらその風船一つ一つに乳首が付いていておっぱい壁になっているのは凄くくだらなくて良かった。だって夢のおっぱいの壁だぜ(お、おう・・)
その頃、ブッパの元にきた中国から来た使者によってスンミがウォンコンを支配する大司祭の孫だと判明する。
ここからスンミをめぐってトーキョー中が動き出す。中国から来た刺客の二人組は、邪魔するものを敵味方関係なく全てなぎ払い。メラは全てのトライブを滅ぼす為に親衛隊のWARUを動かし始める。メラの為に自分の命すら捨てる危険な奴等に各トライブは痛手を負う。カイは今こそトーキョー中のトライブが手を組む時だと動き出す。*6
トライブ連合VS.WARU+仏波一家の争いの戦いが始まるのだった。
朝焼けとともにブッパ邸に乗り込むトライブ連合。*7
大勢の若者が殴りあい殺し合いを始める戦場。混戦を極めるなかでカイとメラは対面する。(中川翔子キルビルとかダイソンキラーとか、面白いというよりも唐突すぎ。絶対にその場で思いついただろ)
舞台は場外に移り、ンコイの「眠い、眠いぞ・・・おい、誰か音楽かけろ!」で巨大スピーカーから音楽が炸裂する。ラップをしながら戦うンコイとショウ。(このシーン好き。それまでのただのアクションシーンが一掃されてHIPHOPミュージカルに戻った感じがして)この後のカイの「曲かけろ!」も好き。これだけ乱戦状態なのに誰もDJを襲わないシーンは冒頭に書いた「どうかDJは殴らないで下さい」を体現しているみたいだった。
カイとメラの戦いに周囲が争いを止めて注視する。
メラの気が狂ったようなラップとアクションは最高。物語全体的にカイよりもメラが多く写っているから、カイの声は正しいんだけど裏づけがなく薄っぺらいんだよなー。(テラとカイのシーンをもうちょい入ってれば良かったかも)
メラをぶっとばしたカイは団結した仲間の前で勝利のラップを決め、仲間がマイクリレーで繋げる。
終わり。

原作の雰囲気だけ抜き取って上手いところ2時間でまとめてくれていてラップミュージカルという斬新な演出で食べ応えがたくさんあったんだけど。物語の端々がいい加減すぎて、良い点をあげればいっぱいあるが無いものねだり的に悪い点も目立つのがもったいなかった。
でも、邦画でこの勢いを出せる監督なんて日本で数人しかいないので園監督は是非このまま適当に見る人間を驚かせるエンターテイメント映画を作り続けてくれれば私的に満足です。

TOKYO TRIBE/トーキョー・トライブ [Blu-ray]

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*1:部位欠損とか人食シーンとは、もう慣れた

*2:クローズの落書きだらけの学校。ブレードランナーぽい

*3:園子温は染谷が本当にお気に入りなんだな

*4:露天売りでYOUTHEROCKが出ているよ

*5:理由は最後に分かるが凄いどうでもいい理由だった。原作ではメラって大人の余裕があって、ブッパへの復讐が目的だったのに全くの別人である

*6:ここら辺から、サイボーグかおりが退場して中川翔子が現れる。中川翔子の必要さが最後まで分からなかった。そもそもこの映画って時間が経つごとにドンドンその場その場で思いついた事を突っ込んでいったような適当さが目立つ

*7:大勢が戦いに挑むがハシームと書記長は高台で旗を振るだけ。ミュージカルぽいと言えばぽけど・・・

トリック劇場版 ラストステージ

あらすじ:天才物理学者の上田のもとにレアアース採掘の障害となっている呪術師の信仰を挫くべくトリックを暴いて欲しいと依頼がくる。上田はいつも通りに山田を誘い呪術師の棲む海外の秘境へと向かうのだった。(実にいつも通り)


感想:
深夜ドラマから始まったトリックシリーズも13年目を迎えて今作で最終回となる。
最後と言うこともあって初の海外ロケ(マレーシア)で撮影が行われ、いつも通りのレギュラー陣勢ぞろいに昔なつかしのあの人まで帰ってきて、ゲストに北村一輝水原希子ダチョウ倶楽部と豪華メンツで締めを飾る。最後までトリックらしい映画となった。
前作の霊能力バトルロワイアル暴れん坊将軍がゲストなのに上田山田よりも前に出すぎていて個人的に納得がいかず楽しめなかったが、今作は終始上田山田を中心に物語が進むので大満足、実に面白かった。まぁ、面白いといっても、いつものトリックなので「劇場版にするほどか?」というこじんまりとした感じでしたが。海外ロケも「海外ロケの必要があったのか、ただスタッフが旅行したかっただけじゃないのか?」という適当さ。
何から何まで適当に作っていた映画だったが、ラストシーンだけは本当に素晴らしかった。最初に合わせた演出に涙ぐむ上田の演技が素晴らしかった。
あの最後で全てが昇華されていた。
散々劇場版やらスピンオフやら放送したので、映画を観る前までは「有終の美を飾れそう」と思っていたが最後のシーンを見た後では、「もうちょい続けてくれよ」とわがままになる俺が居た。
フーディーニの話と対比する終盤も好き。


余談、
同時期に公開したSPECと雲泥の差なんですけど・・・。
同じ監督でここまで差が出るのは脚本の差なんすかね

余談2、
「シスラナ手配」のたて読みがトリック至上一番面白かったなー。
あと、駄洒落歌の回も好きでした。


鑑定人と顔のない依頼人

あらすじ:超一流の美術鑑定人であるヴァージル・オールドマンは、両親の残した美術品を鑑定して欲しいと依頼の電話を受ける。向かった先では、古びた洋館の中に数多くの美術品が眠っており彼は依頼を受けようと依頼人と面談を取ろうとするのだが、依頼人は事あるごとに言い訳を作り彼との面談を反故にする。依頼人の無礼な態度に業を煮やした鑑定士は依頼人を問い詰めると、意外な答えが返ってくるのだった。
予告編

感想:
ニューシネマパラダイス海の上のピアニストの監督であるジュゼッペ・トルナトーレが監督・脚本を担当したミステリー映画。
美術品以外に興味を持たない厳格が足をつけて歩いているような性格の主人公ヴァージル・オールドマンは妻子を持たずに一人で老年を迎えていた。そこに若い女からの電話の依頼が舞い込む、姿を現さない彼女の不思議な行動に興味を抱いた主人公は彼女を審美(鑑定)しようと彼女の周りを探り始めるのだが、彼女の生い立ちや奇妙な生活を知るにつれ魅力の虜となっていく。とまぁ、映画全体の音楽やビジュアルは往年の名画を見ているような雰囲気で凄く落ち着いてゆったりと見れるので大満足だったが、その流れを切り裂くような終盤はいささかオチが弱い気がした。テーブルで誰かを待つラストシーンは良かったんだけど、トリックの種明かしが実に陳腐というか。
中学生が考えそうな「引きこもりの美少女ラノベ作家と出会った俺は彼女のワガママを聞いていくうちに心が通じ合い・・・」という電撃大賞に応募したら一次で落選しそうなネタに引っかかる主人公が哀れすぎた。名画のような高級感のあった世界が、その種明かしで、一人身のおっさんサラリーマンがフィリピンパブで知り合った女の子に結婚資金として会社の金を横領して貢いだら彼女がフィリピンに帰ってしまい逮捕されるような、どーしょーもないワイドショーの定番ネタに堕ちてしまったのが実に残念だった。もうちょい悪巧みが巧妙だったり主人公からの反撃があれば見ごたえがあっただろうに。
悪い映画ではなかったが後味があまりよろしくない。

余談1
邦題が挑戦的なので、身構えて全てを疑ってみると早々にオチに気づいていしまう人や、なんだこんなネタなのかと肩透かしを食らってしまう人もいるだろうから、まぁ邦題にも問題があるといえばあるよね。

余談2
「伝説の自動人形を再生できれば、何でも答えてくれるトリックがわかるよ」
「どうせ、中に人がいたんだろ」
「書物には、自動人形はどんな質問にも正解を答えてくれたらしいぞ。そんなこと人間に出来るかよ」
完成間際
「やっぱり、この台座の下に人が入っていたのさ」
「なんだ」
という自動人形の製作を通して、物語のテーマをうっすらと紹介する流れ好き。

鑑定士と顔のない依頼人 [DVD]

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イコライザー

ホームセンターで働くマッコールは眠れない夜に24時間営業のレストランで本を読むのが日課になっていた。そこで知り合った一人の若い娼婦。歌手になることが夢でアメリカに来たもののお金が無く身を売りながら生計を立てていた。ある夜、レストランで本を読んでいると顔の腫れた彼女が来店してくる。理由を聞いた彼の心の中で眠っていた正義の炎が淡くそして熱く燃えあがるのだった。
予告編↓

感想:
試写会に行ってまいりました。なので一足お先に映画を観てきました。
ドンパチ映画だと思って見に行ったのですが、内容はサスペンスアクションというか必殺仕事人とマスターキートンを混ぜたような作品ですね。必殺仕事人も日用品(紐とか枝とか三味線とか)で戦いますが。そこの部分がホームセンターで売られているモノを上手く使って戦っている感じです。
主人公のマッコールは凄い几帳面で自分の普段の動きを計測しては秒単位で確認し、モノの置き場所や動かす手順にも気を配っているちょっと偏屈な感じの男なんですが、その男が深夜のレストランで一人の娼婦と、読んでいた「老人と海」をテーマに意気投合するんですよ。
それで仲良くなってある日、少女の顔を見ると顔に痣。そして次の日には少女は入院するほどの怪我を負ってしまうわけですね。
そんな姿を見たマッコールは彼女が働くロシアンマフィアに現金9800ドルと引き換えに彼女の解放を願い出る。マフィアからすれば彼女は若く金のなる木なのでいくら詰まれても手放したくない。そして破談。そこでマッコールは元CIA仕込みの戦闘術でマフィアを皆殺しにすると少女に大金と遠距離バスのチケットを贈るわけですわ。
そこで怒り狂ったのがロシアンマフィアの親玉。何処の誰だか分からない奴に部下を殺されたままとあっては落とし前が付かないというので、トラブルシューターのテディが呼ばれる。テディは周囲のマフィアをしらみつぶしにあたっては暴力に物を言わせて犯人を探り出そうとする。
一方マッコールは、彼女を助けてからと言うものの正義の心に世間が呼応したのか同僚の実家が経営している店に元締め金をせびりにくる悪徳刑事を捕まえたり、働くホームセンターで強盗に遭遇したりと否応が無く自らのチカラで悪に立ち向かってしまう。そして彼は町が悪に染まっている事実に気づいてしまうのだった。
テディは防犯カメラの情報からマフィアを皆殺しにした犯人がマッコールだと狙いを定める。
向かう合う二つの暴力。
マッコールの精錬された戦闘術に敬意を払いながらもテディは彼を追跡する。しかし、彼を捕まえることは出来ない。
マッコールは意を決し街に蔓延るマフィアの一掃に乗り出すのだが、ソレに対しテディはホームセンターで働く同僚を誘拐して彼を呼び出そうとする。


序盤のマッコールと少女の出会いからマッコールが戦闘術を使ってマフィアを殺すまで予告だとさらっとしているけど映画だと30分くらいあるんだけど、その30分が凄く丁寧に彼の心境の変化から葛藤までを描いていて素晴らしかった。
彼女を助ける方法は、マフィアを殺すことだけじゃないのに彼が暴力による解決を行ったがゆえに街にテディが呼ばれ問題が膨れ上がっていく過程に暴力の愚かさが表現できていて面白かったわ。マフィアを殺して問題を解決した(と思った)から、その慢心によって次々に起こる問題を悩まず暴力的に解決し、それが新たなる暴力を呼んでいくとか。
結局、マッコールは暴力の根源を一つ潰すんだけど、観客は彼がまた終わりの無い戦いに舞い戻ってしまった愚かさに笑うしかないのね。
CIAを辞めて必殺仕事人になるという愚かさに。
マッコール役のデンゼル・ワシントンのアクションも良かったし、少女役がキックアスのヒットガール役の人だし見に行って損をするような映画ではないね。
時代劇みたいな勧善懲悪モノだから見終わって嫌な気持ちにはならない。
音楽がHIPHOPで微妙にミスマッチしているところはダメだったな。