瀬戸内寂聴「寂聴源氏塾」再読

紫式部の欲望」を読んで、なにかこう

いうのを読んだような気がするなあと本

棚を探していたらあった、2008年に読ん

でブログに書いていた。そもそもドンフ

ァン源氏の話でなく、女性の喜び哀しみ

を描いた物語だったのかとすでに理解し

てるじゃないか。

あの時は源氏物語千年と盛り上がってい

たので、ついミーハーに食い付いたのだ

が身につかなかったのでした。

今回はすいすい内容が入ってきた、紫式

部の来歴も書いてあるし、ああ、テレビ

の威力はすごいなあ。

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綿矢りさ「パッキパキ北京 」

綿矢りさを読むつもりはなかったが、新

聞かどこかで北京の現在が活写されてい

ると読んだので、北京も上海も行ったこ

とがない世界第二の大国にぴんときてい

ないわたしの鈍い感覚を更新できるかと

読んだ。

これはなんだ、ブランド志向のイケイケ

マダムがすべてに物怖じせず北京の街を

快楽優先で駆け回る姿に、こんな話なの

かと思いながら、次第にこれは新しい女

性だと感心しはじめ、そのうち魯迅の阿

Qが云う「精神勝利法」という方向にシ

フトしはじめ、ブランド品なしで勝利す

ることに決めるのである。でもラストに

友だちから「アタマ大丈夫?」と云われ

てストンと終わる。

ぶっ飛び痛快に一気に読んでしまった、

でも裏テーマがあるかな、阿Q正伝なん

て高校以来読んでないからな。

 

ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」

日本の準古典のみならず、海外の古典、

名作も読もうと気持ちだけはあるのだが、

ひさしぶりにその一冊。

「ねじの回転」は心理小説、ゴシックホ

ラー、とにかく古典的作品ということは

知っていた。

で、読む。

ヒッチコックの「レベッカ」を思い浮か

べる、いやなにか既視感がある。

話は幽霊譚か視点のミスリードか、結局

真相は明らかにならず、そういう小説も

あるという作品。辻原登がこれに影響を

受けた作品を書いているし、いろんなと

ころに影響を与えている、そうかレベッ

カもなのかな。

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作品展2024

参加している地元の版画クラブの作品展。

大1点、小3点出品。

市ホールのエントランスだけど、やはり

区切りの披露になるので楽しい。地元の

文化団体、趣味の団体は、いわゆる団塊

世代に続く世代に引継がれていないよう

に思う、いつまでも働いていたり趣味の

種類が変化してきているからだろうか。

酒井順子「紫式部の欲望」

フィクションのNHK「光る君へ」を見る

ことで、紫式部本人が千年前にほんとう

に存在し生きていたのだと実感する、考

えてもいなかった、光源氏がフィクショ

ンであるように、紫式部もフィクション

だと。

関連本を読もうと図書館へ行ったら、い

っぱいあって、まずは遠巻きのエッセイ

から攻めようと見つけたのが酒井順子

この本。

紫式部源氏物語に込めた想い、書きた

いという欲望はなにかを語るエッセイ。

千年前の時代も今と変わらぬ感情があり、

さらに紫式部は生きていたんだとしみじ

み感じ入る。そのとき頭に思い浮かべる

のは吉高だから違うんだけどね。

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辻原登「熊野でプルーストを読む」

辻原登の本を中心としたエッセイ集、お

よび昔のこと、父のこと等を思い出すエ

ッセイも含む。

プルーストのことを書いているわけでは

ない、でもむつかしい、博覧強記である、

なんとなく彼の小説のバックボーンを垣

間見ることとなった。

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荻上直子「トイレット」再見

2010年日本映画。

全編をカナダで撮った、もたいまさこ

外はすべてカナダ人か。母を亡くした三

兄弟(兄弟妹)と言葉がわからない祖母

との家族の交流、再生。もたいまさこ

まったくしゃべらない、二言だけか、見

事というか、楽というか。

タイトルがトイレットというのは内容に

即していないように思える、でもいいか。

ひきこもりの長男がスカートを縫って穿

く、女装とかじゃなく、ただ穿きたかっ

た、ピアノを弾くときに穿きたかったと

言う。閉じていたこころを開く、拓く、

啓く。

モーリー、クール!

 

と、ここまで書いて、過去記事を検索し

たら、12年前に見ていた、ショックで

ある、まったく覚えていない、かすりも

しなかった。呆然、茫然。

 

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