「紫式部の欲望」を読んで、なにかこう
いうのを読んだような気がするなあと本
棚を探していたらあった、2008年に読ん
でブログに書いていた。そもそもドンフ
ァン源氏の話でなく、女性の喜び哀しみ
を描いた物語だったのかとすでに理解し
てるじゃないか。
あの時は源氏物語千年と盛り上がってい
たので、ついミーハーに食い付いたのだ
が身につかなかったのでした。
今回はすいすい内容が入ってきた、紫式
部の来歴も書いてあるし、ああ、テレビ
の威力はすごいなあ。
綿矢りさを読むつもりはなかったが、新
聞かどこかで北京の現在が活写されてい
ると読んだので、北京も上海も行ったこ
とがない世界第二の大国にぴんときてい
ないわたしの鈍い感覚を更新できるかと
読んだ。
これはなんだ、ブランド志向のイケイケ
マダムがすべてに物怖じせず北京の街を
快楽優先で駆け回る姿に、こんな話なの
かと思いながら、次第にこれは新しい女
性だと感心しはじめ、そのうち魯迅の阿
Qが云う「精神勝利法」という方向にシ
フトしはじめ、ブランド品なしで勝利す
ることに決めるのである。でもラストに
友だちから「アタマ大丈夫?」と云われ
てストンと終わる。
ぶっ飛び痛快に一気に読んでしまった、
でも裏テーマがあるかな、阿Q正伝なん
て高校以来読んでないからな。
2010年日本映画。
全編をカナダで撮った、もたいまさこ以
外はすべてカナダ人か。母を亡くした三
兄弟(兄弟妹)と言葉がわからない祖母
との家族の交流、再生。もたいまさこは
まったくしゃべらない、二言だけか、見
事というか、楽というか。
タイトルがトイレットというのは内容に
即していないように思える、でもいいか。
ひきこもりの長男がスカートを縫って穿
く、女装とかじゃなく、ただ穿きたかっ
た、ピアノを弾くときに穿きたかったと
言う。閉じていたこころを開く、拓く、
啓く。
モーリー、クール!
と、ここまで書いて、過去記事を検索し
たら、12年前に見ていた、ショックで
ある、まったく覚えていない、かすりも
しなかった。呆然、茫然。