web版「文芸文庫・解説目録総索引」を

便利な「解説目録」とはいえ、索引を引いて本が切れていたりすると、愛らしい「☆」になっていて、該当本のタイトル・発行年月にはなかなか辿り着けなかったりする。ましてや、その解説を見てみたいとなれば昔の目録を引っぱり出してくることに。「解説」「作家案内」「年譜」「目録」といった個性あるオプションも文芸文庫の魅力なり。この人の解説ならそれだけで即買いと思ったり、この年譜は手元に欲しいと思うことも少なくない。それなのにである。たとえば「解説者名」から本を検索するようなことができないわけで、壮観な文芸文庫の蓄積を前に、残念極まりない哀感甚だし。

そこで、新しいラインナップ紹介・記録に加えて、これまで発刊された情報も打ち込んで行き、いずれ「ブログ内検索」で「解説目録の索引」のようなものができるよう目指してみよう。少しずつの作業で、いつ完成するか分からないが、目録は書籍の要なりけり。文芸文庫が詰まった本棚を整理しながら進行予定。(情報追加は順不同です)

奇特な御方で、これをご覧になっていて「誤記」を発見されたり、関連情報、既に整理された書誌情報などをお持ちで、お力をお貸し頂けるようでしたら、ご連絡をお寄せ頂きたくお願い申上げます。
※これに簡単に「レスポンス」してください。様子をみて当方の連絡先などをお伝えする方法を考えます。

10月のラインナップ

一日 夢の柵 (講談社文芸文庫)

一日 夢の柵 (講談社文芸文庫)

わんぱく時代 (講談社文芸文庫)

わんぱく時代 (講談社文芸文庫)

錨のない船 上 (講談社文芸文庫)

錨のない船 上 (講談社文芸文庫)

9月のラインナップ

三田文学短篇選 (講談社文芸文庫)

三田文学短篇選 (講談社文芸文庫)

われらにとって美は存在するか (講談社文芸文庫)

われらにとって美は存在するか (講談社文芸文庫)

夢屑 (講談社文芸文庫)

夢屑 (講談社文芸文庫)

11月のラインナップ

今期一番と思われる「今月のラインナップ」。どれも品切必至か。

文学のプログラム (講談社文芸文庫)

文学のプログラム (講談社文芸文庫)

年譜=著者。
文芸文庫第一弾。渋さ極まる評論。ゼロアカ世代とやらの身内的な評論世界の中で、柄谷行人に高評価を受けた「確かな批評家」が、柄谷と並んでラインナップされるのは良きことかな。著者自身による「年譜」も興味深い。顧れば、文芸文庫に現代批評家が入るのは久々ではないかしら。
原点が存在する 谷川雁詩文集 (講談社文芸文庫)

原点が存在する 谷川雁詩文集 (講談社文芸文庫)

解説=松原新一、年譜=坂口博。
待望の一冊とは正に是なり。石原吉郎が入ったときから、谷川雁を期待していたのは私だけではあるまい。
美濃 (講談社文芸文庫)

美濃 (講談社文芸文庫)

解説=保坂和志、年譜=柿谷浩一。
通算7冊目。「幻」と言われた作品の文庫化。保坂和志の解説登場は、待ちに待っただけあって、明快かつ愛情溢れる文章で清々しい。冒頭に「年譜」の話があるだけに、現在最も詳細な柿谷浩一の巻末年譜も増補版のようで重ねて嬉しき。

10月のラインナップ

対談 文学の戦後 (講談社文芸文庫)

対談 文学の戦後 (講談社文芸文庫)

解説=高橋源一郎
適任の解説者なり。ちなみに文芸文庫では初の解説かしら。近年他の文庫でたまに見かけるが、もっと解説者として出て欲しい。
朱を奪うもの (講談社文芸文庫)

朱を奪うもの (講談社文芸文庫)

解説=中沢けい、年譜=。
今年2回目の登場とは、ブーム到来ゆえか。通算で4冊目(「再発見」シリーズを除く)。最初が1997年だからもあるが、まだ一つも切れていないのね。
豆腐屋の四季 ある青春の記録 (講談社文芸文庫)

豆腐屋の四季 ある青春の記録 (講談社文芸文庫)

解説=小嵐九八郎、年譜=。
文芸文庫の真骨頂、嗚呼「渋き」かな。売切必至と思しき。

9月のラインナップ

アメリカの影 (講談社文芸文庫)

アメリカの影 (講談社文芸文庫)

解説=田中和生、年譜=。
以前に出た、江藤淳アメリカと私」の解説と一緒に再び味わうが良し。「日本風景論」に次ぐ2冊目。顧れば、著書以上に、文芸文庫お抱えの「解説者」のイメージが強し。驚くなかれ計8回の解説書き。これを越えるのは、はて誰ぞ。
未成年・桃 阿部昭短篇選 (講談社文芸文庫)

未成年・桃 阿部昭短篇選 (講談社文芸文庫)

解説=坂上弘、年譜=。
解説が極めて心地よい。6冊目だが「単純な生活」以外全て切れているとは、意外なような自然なような。
哈爾濱詩集・大陸の琴 (講談社文芸文庫)

哈爾濱詩集・大陸の琴 (講談社文芸文庫)

解説=三木卓、年譜=。
文芸文庫の十八番の一人・犀星が追加。6冊目。でも既に4冊は切れてるのね。これまた切れていて無念だが、室生朝子「晩年の父犀星」を側に取り出してきたくなる。

8月のラインナップ

オモニ太平記 (講談社文芸文庫)

オモニ太平記 (講談社文芸文庫)

解説=金石範、年譜=。
案外まだ三冊目。しかも先の「海冥 太平洋戦争にかかわる十六の短篇」「Hiroshima」は共に品切なので、今回の追加は良きこと。
蛇・愛の陰画 (講談社文芸文庫)

蛇・愛の陰画 (講談社文芸文庫)

解説=小池真理子、年譜=。
五冊目。「毒薬としての文学」「反悲劇」「スミヤキストQの冒険」が既に切れている。 清水良典による解説が続いていたこともあって、小池真理子とは斬新だとは思うが、切れ味がいまいちと思うのは私だけかしら。
恋ごころ 里見トン短篇集 (講談社文芸文庫)

恋ごころ 里見トン短篇集 (講談社文芸文庫)

解説=丸谷才一、年譜=。
「初舞台・彼岸花」に続いて、今回も短編もの。もう少し中篇・長篇で手軽に読めないものを期待したい。前回は解説・年譜ともに武藤康史で、もう言うことはなかっただけに、丸谷才一でも有難さがどうも伝わり難し、読者の率直な感覚かな。武藤康史をもっと多用すべき。どこかでまとめてみたいが、いま「文芸文庫派」で実力あるものを仕上げてくる年譜製作者は、中堅と若手ともに2、3人ずつくらいか。