リピートが止まんない

このまま1年ぐらい聴き続けてもいい気がする!


Hip-Hop Lives

Hip-Hop Lives

このアルバムはすごいぜ。KRS-ONEとMARLEY MARLが確執を越えてタッグを……


しかもマーリー・マールは心臓発作だとか。

■ブルックリン横丁 マーリー・マール心臓発作
http://blog.goo.ne.jp/bkyokocho/e/5cea2bbd5dfccaec8c6be69203a3f1a2




 

劇団クセックACT『ヌマンシア』

ヌマンシア

劇団クセックACTの『ヌマンシア』を観劇。とても良かった。


舞台中央に天井から吊るされて床まで届く大きなビニール地のキャンバス布がある。開演と同時に暗転、舞台横手からトボトボと歩き出す中年サラリーマンをスポットが照らす。彼は客席をゆっくりと横切って舞台にたどり着く。ごうごうと吹く風のような音を立てて大量のスモークが吐き出され、キャンバス布がうごめく。中に人がいる。キャンバスは落ちて舞台上に散らばり、ギュウギュウと音を立てて蠢く。9個に別れたキャンバスが舞台の縁に一列に並び、起き上がって白塗りの顔をのぞかせる。ヌマンシアの亡霊である。

「これはいったい何事ですか」という中年サラリーマンの問いかけに亡霊たちは口をそろえてヌマンシアの悲劇を語り始める。

ローマ軍に対し8ヶ月にわたる篭城戦を戦ったヌマンシアは、ついに限界まで追い詰められる。和平の交渉を蹴られたヌマンシアの男たちは、突撃をかけて敵にせめて一太刀浴びせて死のうと思いつめる。これを女たちが自分たちも一緒に死ぬと言って引き止める。この場面から、赤色の長い布が印象的に使われる。

頭上に被せた長い赤布の前の端を男優が持ち、後ろを女優が持って改めて登場する。これが4組だ。まず女が赤布を手繰りながら男に迫る。あなたが死ぬならわたしも死ぬ、というセリフが終わる頃には男も女も仰向けになり体を丸めて赤布を抱き、手足を宙にうごめかせている。最後の交わりが行なわれているのだ。次に女たちは立ち上がり、赤布を引っつかんで赤子に見立てて踊る。そして子どもらをも殺し、家財すべてを焼き払う決意を述べる。

ヌマンシアは炎に包まれる。ここでも天井から吊られた筒状の赤布が効果的に使われる。やがて死体が現れる。ここで赤布は血となり、再びキャンバス地をまとった亡霊たちの首元から長く伸ばして垂らされ、血の海を表現する。最後にあの印象的なポスターの形となる。ポスターの、赤い布に顔を包んだ女は、血に染まって死に絶えたヌマンシアの人々だったのである。あるいは、血塗れの、ヌマンシアの誇りを現わしていたのだ。実に見事ないいポスターだったと思った。



セリフ、動き、音楽、効果など、気の遠くなるような工夫と修練が盛り込まれて見る者を飽きさせない、非常に強度の高い舞台だったと思う。観ることができてよかったという満足感がある。

今日は名古屋公演楽日であった。客席は9割以上の入りに見えた。こういうレベルの表現であれば、どんな主題であれ、ちゃんと客は来るのだと思った。

この後、来週は福井、さ来週は大阪で『ヌマンシア』は公演されるそうだ。行ける人は行ったほうがいいと思う。


■公式HP
 http://www.ksec-act.com/stage.php




とりあえずはこれを観るために、おれは2月以来、劇場に足を運んできたのだと思った。

付け加えるとすれば昨日観たOrt-d.d「サド侯爵夫人 第一幕」。あのジャンベ馬乗り奏法の迫力。あれが「カラフル2」の最後でよかった。感動的なラストとなった。

「カラフル2」は16の劇団ショウケースであった。なにごとも「9割はクズ」(スタージョンの法則)ということか、ちゃんと面白かったのは2組ってところだが、半分ぐらいはまあ楽しめたのだ。なかなか贅沢な連休となった。主催者に拍手。

昨夜「三上敏視のお神楽ビデオジョッキー」見てきた

えらく面白くて興奮した。

特に「大元神楽」で天蓋が上下に暴れまくる光景、見てるとなんかグフフフと笑いが漏れてしまって「おもしろい〜、なんでおもしろいのかわからんけどおもしろい」とアホのように口走ってしまったがよ、ありゃなんか、赤ん坊が喜ぶヤツがあるじゃん、天井から吊るすやつ。『仁義なき戦い』のラストで松方が撃たれる前にオモチャ屋で買うやつ。あれ見て赤ん坊が喜ぶのに近い快感があるな! つーかあれPファンクのマザーシップだぜ! 3次元上下のビジュアル刺激、あんな見世物、外国にも現代日本にも他にないんじゃないの。


あとその「大元神楽」での神懸かりのシーンを始めとして「日本の神さま」が映像でいっぱい見れたのはよかった。「ああ『日本の神さま』ってこんなふうなんだな……」っていう感想なんだけど、「八百万の神」つーのは「フツーにいっぱいそこらにいる」ってことなんだなーって実感できた気がして、いや知識としては知ってるような気がするけど、実物は見ないじゃん? 「はい、コレが神さまです」っていう見せてもらい方はあんまりしたことないじゃん。それを連発で全国的にアレコレ見せていただけたのが、ひたすら面白かったなあ。「神さまとの付き合い方」とかもさー。


大体どこでもアバレてんのね神さまは。「ウワー」とか言って走り回ってひっくり返って大暴れしてんの。それを「まあまあ」つって酒飲ましたりして落ち着かして、御言葉を頂戴したりして山とかに帰すというパターンをどこでもやってるんだけど、それってなんなんだろうね? 神さまは酒乱の親戚のオジサンかよとかも思うんだけど。

ウーンあの神々が、たとえば「天災」であったり「自然」というか「自然の摂理」であったり、つまり常日頃は日々の糧やら豊かな実りをもたらしてくれながら時折は凶暴な牙を剥いてすべてを根こそぎ奪い取って行くという、気まぐれな大きな存在を象徴しているのだとすれば「酒乱の親戚のオジサン」というタトエは思いのほかハマるのかもしれんね。


参照:

●MICABOXの井戸端 - 大元神楽(三上敏視さんのブログ)
 http://d.hatena.ne.jp/micabox/20061119

●神楽の里(大元神楽のHP)
 http://kaguranosato.rainy.jp/kagura/k_index.html

今夜もイカせてくれないのッ! 『美藝公』およびFRICTION

昨夜は『美藝公』を観劇。いいとこがなくてあきれてものが言えない。

おれは演劇に通い始めたのが最近というより先月からなので少しく注意しながらクチをきこうとは思ってんだけどそれでも、素人同然のタップや歌や楽器演奏やダンスを並べられてさ、くどい繰り返し(人力サンプリング?)やらさ、指にチクワと鉛筆差して喜んでるヨシモト以下じゃねえかというギャグとかさあ、ハナシのスジも見えにくいし、この演目がツツイさん(しかも『美藝公』)である意味がどんだけあんのか疑問に思うね。ないんじゃないか。ないだろ。

要はパッとしてなかったわけ。この人たちが終演後なんらかの達成感を味わっているなんて想像したくもない。よく金取って客前に立てるね。その度胸というか面皮の厚さに脱帽。こんな阿漕なショーバイするヤツは滅びればいいと思うんだよね。いなくなっちゃえばいいよこんな人たち。おれはそう思うね。


前のこの人演出の舞台観てから思ってんだけど、役者ってなんなのよ。「芝居する人」でしょう? 「セリフをしゃべること」のプロなんじゃないの? だったらなぜそのことに専念させないの? なぜ役者が2流のダンサーと2流の歌手と2流の楽器演奏者を兼ねる必要があるの? セリフだけ言わしてればいいじゃん。そのどうせモノになんないダンスの練習とかしてる時間もセリフの練習に当てようよ。そしたらセリフ噛む回数も減るかもしれんでしょう。おれはカネ払ってまで見たくないんだよねヘッタクソなダンスなんか。

あのさ、ダウンタウンなんか毎週やってるテレビのフリートークで相手に「噛むなら芸人やめちまえ」って言ってたことさえあるよな。台本があって稽古の時間がある芝居の舞台本番で噛んじゃうんだったらさあ、役者なんかやめろよ。向いてないよ。やめてマジメに働けよ。なにやってんだろうコイツらって思うな。



観終って気分がもやもやするので繁華街まで歩くとありがたいことに本屋がまだやってた。買いたかった『 FRICTION The Book 』を購入。帰ってさっそくひと文字残らずペロリペロペロと読みこきにかかるが冒頭の近藤等則の文章に「ああ」と思って近藤等則IMAのCDを探したところ3枚発見、10年以上ぶりで聴きながら読み続ける。終わったら当然フリクションを。


おれはロックには基本的に興味がなくて、だからあんまり好きでもないんだけど、フリクションは別格だよね。フリクションについては好きとか嫌いとかいうもんではない気がする。フリクションに対する評価とか態度とは、いわば「知ってるか知らないか」だけであって、知って(聴いて)しまったらサイゴでしょう。こんなもんに抵抗できるはずがない、聴かずにはいられない。フリクション聴いてなんにも感じないというのはヤバイと思うね。

補足で言うと、おれはヒップホップが好きでずっと聴いてるんだけど「ヒップホップが好きじゃないのは人としてヤバイ」とかまでは言う気ない。いや、あるけどあんまり言わないしあんまり言えない。それは人にはそれぞれ趣味も来歴もあるだろうからなあとか思うからだ。でもフリクションについてはゼンゼン言えるというか、別に言う必要もないと思うな。聴けばわかる。聴けばわかるよ。


思い出したぞ。おれ最初レックを外国人だと思ってたんだよ。「日本語うめえなあコノ外人」とか。おおう思い出した、どんどん思い出すね。なんかしらんがジャズの本に載ってた『 Replicant Walk 』評がえらく気になって買って聴いた初フリクション、高校生だった、たぶん。そんで外人だと思ってたんだ。ハハハそのイメージいいね、外人ボーカルの先鋭的な日本発ロックバンドをジャズ評論家が「めちゃめちゃイイ」って誉めてんのか。あーそれぐらい音楽に夢見てたのかもなー。


そして今フリクション聴き直して驚いてる、『 Replicant Walk 』と『 Zone Tripper 』の聴き込みっぷりに。めちゃめちゃ憶えてるね、めちゃめちゃ聴いてたねこりゃ。特に『 Zone Tripper 』。ああ思い出した。この頃は売れない営業マンでさー、救いというか日常の忘却を求めて聴き返してたんだよ多分。うん、なんかそんな音楽だなフリクション。若い男には不可欠なんじゃないか。世界的に。ああ世界的に。

最近10年の日本語ラップ・クラシックス

はてなの反応のビビッドさが面白いので、過去ログからひとつ移植(7月8日)。どうこれ。


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なんか知らないうちに「日本語はラップに向いてない ← バカだろオマエ論争」がニーツオルグさんによって引き起こされ知らないうちに終息したのだという。またブログがひとつ死んだという。今ここで初めて知った人はこのまま知らなくてもいい気がする。

で、よく知らないくせに「日本語うんぬん」抜かすヤローには(ニーツオルグさんが言うように)何を言ってもムダなのかもしれないが、もし調べる気があるなら月刊HAZAMA(微熱王子さん)とこの「Blast Awardメッタ斬り 1」「同 2」を読むといいよとか思った。ここに名前が出てくるアルバムを半分ぐらいは聴いてから出直すといいと思う。

(超後日090208注:読める! http://be4you.jp/pomeric/awards.htm これですよミナサン!)

うん、これは興味深い記事ですよ。雑誌「ブラスト」のブラストアワードを10年分見直して日本語ラップの歴史を検証するという微熱王子・古川耕・ムジナ座談会。前に読んでたけど今また全部読んじまった。面白かったので以下年表を。



(文中に出てくるアルバム等を拾った年表)


日本語ラップ・クラシックスっぽい作品リスト★
(カッコ内はフロント/ブラストアワード順位)


●1995
    ライムスター『EGOTOPIA』(−位)
    マイクロフォン・ペイジャー『MICROPHONE PAGER』(−位)
    キングギドラ空からの力』(−位)
    V.A.『悪名』(−位)

●1996
    YOU THE ROCK『THE SOUNDTRACK '96』(6位)
        LAMP EYE証言』(シングル1位)
        BUDDHA BRAND人間発電所』(シングル7位)

●1997
    K-DUB SHINE『現在時刻』(2位)
    イルマリアッチ『ザ・マスタ・ブラスタ』(7位)
        Soul ScreamTOu-KYOu』(シングル7位)

●1998
    ZEEBRAThe Rhyme Animal』(5位)
    ラッパ我リヤSuper Hard』(8位)
        ライムスター『B-BOYイズム』(シングル1位)
        YOU THE ROCK★『Duck Rock Fever』(シングル8位)

●1999
    ライムスター『リスペクト』(1位)
    Soul ScreamPositive Gravity 〜案とヒント〜』(5位)
    REALSTYLA『爆弾発言』(7位)

●2000
    NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDNITRO MICROPHONE UNDERGROUND』(1位)
    BUDDHA BRAND病める無限のブッダの世界』(8位)
    MUROPAN RHYTHM:FLIGHT NO.11154』(10位)
        BUDDHA BRANDDON'T TEST DA MASTER』(シングル3位)
        DJ HASEBE『MASTERMIND』(シングル6位)

●2001
    DABO『Platinum Tongue』(2位)
    ライムスター『ウワサの真相』(3位)
    餓鬼レンジャーUpper Jam』(4位)
    オジロザウルス『Rollin' 045』(5位)
    LUNCH TIME SPEAXB:COMPOSE』(7位)
    RINO LATINA II『CARNIVAL OF RINO』(9位)
        MASTERKEY『HIPHOP GENTLEMEN』(シングル6位)
        ライムスター『ロイヤル・ストレート・フラッシュ』(シングル9位)

●2002
    THINK TANKBLACK SMOKER』(3位)
    餓鬼レンジャーDA PONG』(4位)
        DELI『PASS DA POPCORN』(シングル9位)

●2003
    瘋癲『Music is Expression』(4位)
    MSC『マタドール』(7位)
    韻踏合組合ジャンガル』(8位)
    DJ MITSU THE BEATSNEW AWAKENING』(10位)
    GO FORCEMEN『NEW AWAKENING』(10位)

●2004
   (座談会が雑誌発売前? で、私が雑誌を持っていないのでわかりません。ごめん。看板に偽りあり。)



ここに出てくるアルバムで私が聴いてないのは GO FORCEMEN だけだな。でも2003年の順位はもうしっくりこないなあ。

Lamp Eye 「証言」について

次のような記事を見たので、何のトクもないが正してみよう。嫌味にならなきゃいいけど。


RINO,GAMA,DJ YASで結成された『KAMINARI』の”証言”をLAMP EYE名義でCD化したものです。客演として、現在”KAMINARI-KAZOKU.”であるYOU THE ROCK,GK MARYAN,TWIGYが、更にZEEBRAとDEV-LARGEが参加し、非常に豪華な7人が揃った超名曲と言われる一曲で す。

 じゃんじゃか放浪記 − LAMP EYE 「証言」
 http://babysmoker.blogtribe.org/entry-4666894dd7666862cbb1ab4728cc54d6.html


そうじゃなくて「リノ、ガマ、ヤス」で「ランプアイ」なんですよ(ランプアイ名義では「証言」の前に「下克上」というシングルあり)。で、現「雷家族」が当時の「雷」の現在形なの。

カミナリはもともとはユウザロックが音頭をとって、テレビの「浅草橋ヤング洋品店」(後の「ASAYAN」)のラップコンテストにラッパー大勢で束になって応募したのが始まりだそうなのね。その元になったのは当時ユウザロックが主催してた「亜熱帯雨林」〜「ブラックマンデー」というクラブパーティなの。


今の目で見ればジブラとデブラージは違和感があるかもしれないけど、当時はみんな仲良かったんだ。まだ誰も売れてなかったから「カミナリ=日本語ラップの(東京の)アンダーグラウンド・オールスターズ」って感じでした。おれの記憶では「さんピンCAMP」のビデオと「証言」CDシングルは発売日は同じ(頃)だった。発売日に買いたくって走って買いに行った憶えがあるもの。

で「証言」のアナログはその年の前半に出てる。雑誌とかでもポチポチ話題になってて、「フロント」誌(今の「ブラスト」)でのジブラの連載(ジブラがアメリカのラップの歌詞を解説する連載をしていたの)では「証言」の歌詞を全部書いて紹介したんだよ。そのときの記事を引いてみよう。



連載7回目にしてついに日本語だあ! 読者の中には「うぜえ、出たよ、ジブラの日本語プッシュ」とか思った奴もいると思うが、うざいのはお前だ。このコーナー読む奴はリリックの内容が知りたくて読んでる訳だろ? ならば一聴してわかる日本語ラップをなぜ聞かない? 欧米至上主義に踊らされて恥ずかしくないのか? とかまあ、説教始めても仕方ないのでわかりやすく説明すると、Ken-Boのミックス・テープにも日本語の曲が何曲か入ってたりするが、それと同じだ。対訳じゃ韻も踏めないし、ウータンの時みたく「黒人の若者に真実を…」とか言われても困るだろ。と言う事で、記念すべき一曲目に選ばれたのがこの曲"証言"だ。日本語ラップ・ファンなら誰でも知ってる曲だが、それ以外の人にとってはどうか。今回はあえて曲の説明をしないので、色々と想像力を働かして欲しい。今のところは12インチのみで、初回プレスはすべて完売。そろそろ次のプレスが出るが売り切れ必至。見たら買え。そんな感じで、これからもたまに日本語のリリック扱うんで、よろしく。

 『フロント 1996年7月号』 P.88「WORLD IS BOND Vol.7」より


シビレたね「うざいのはお前だ」。なつかし。ああ、つい全文引用してしまった。でも96年前半のジブラの日本ヒップホップシーン認識がわかって興味深いなと。9年前だよ。感慨深いなと。


こういうの、折にふれて掘り返したほうがいいのか。どうなのか。気分的にはそんなことがしたくなるときもあるんだけどさ。


はてな「試し」の一本目でした。


証言

証言

  
下克上

下克上