Web 2.0なんてせいぜい「新しい広告媒体」と「その代理店」を作るだけのシステム

ビジネスモデル、という貧相な用語(だけれども生活していくためには常に考えていかなければならない仕組み)でインターネットがどういうものかを、Web 2.0含みで考えると、それは何を売る仕組みなのか、ということになりそうです。
1・モノを売る
2・情報を売る
3・モノに関する情報を売る
1はわかりやすいですね。ネット直販とか、オンライン購入とか。
2は、音楽(音楽データ)や本(というか文字データ)、映画(映像データ)を売る。これもまぁわかりやすい。
3が少しややこしいのは、情報を受ける側(需要者)からではなく、情報を流したい側から金をもらう、というスポンサー・システムで、しかし正直なところ、今のところ成功しているネット上のビジネスモデルはこれだけなんじゃないかと。
俺の認識では、Googleは「世界一の広告宣伝システム(Google Adsense)を持っている広告代理店」で、それがなかったらGoogleの収益は半減しちゃうんじゃないかと思います(まぁ、新聞・雑誌を含めたマスコミというメディアがすでにそうなってはいるんですが)。
今のところ、俺には「ネットが提供するサービス」で食っていける人間の数は、電力や自動車という「モノ」を販売して食っていける人間の数より多そうにはあまり思えないわけです。最近のネットビジネスの大半が「(新しそうなノウハウを持った)中小の広告代理店」の自己セールス的アピール程度の魅力しか感じないのはどうよ、ということで。
広告業界全体の規模についてはたかだか数兆円ぐらいのものでしかなく(たとえば、電通がいくら大きい会社とはいっても約1兆4千億円の年間売上高、社員数6000名ぐらいです。中部電力は一社で売上2兆1千億円ぐらい、社員数は電通の約3倍)、俺とか社会の一般認識として「売上高1億で一人の社員が食える」という数字があるので、毎年の大卒就職希望者数約50万人の、せいぜい1割ぐらいがその業界で食えるかな、という雇用規模です。要するに、「産業」として考える「IT産業」は、現状のレベルではその「可能性」部分以外は(あるいは、その「可能性」を含めても)そんなにすごいものではない、という正しい認識が、業界内で持たれないと「ホラ吹いてるだけの人たち」に思われるだけ、じゃないかな、ということで。まぁ、ホラ吹くことで株価あげたりとか、経済効果はそれなりに、虚業的にあがったりするわけですが。
で、確実に儲かる「1」「2」のほうなんですが、今の世間的な感覚として「モノはもうこれ以上いらない」「情報に高い金を払う気はない(エロと儲け話以外には)」「そもそもそんなにモノや情報があっても、使ったり消費したりする時間がない」という風にみんな思いはじめているんじゃないでしょうか。映画のDVDは1000円で買えるし、GyaOならタダで見れるにしても、それを見ている暇はない、というのがネックになって、もはや本・音楽・映画といった「それなりの時間を必要とする娯楽」は頭打ちなわけです。だから、宣伝・広告費に金をかけて、短期間で大量のモノ(の形をした情報)を売り、使い捨て的に創作物を流通させる。まぁこの戦略は、昔は「ファッション」というビジネスモデルがあったわけですが、それがすべてのジャンル、すべての「モノ・情報を売る商売」に当てはめられて来ている。
…俺の考えるインターネットのメリットは、やはり商売としてそれを利用するメリットとは別のところにありそうです。しかしこの話は長くなりそうなのでまた次の機会にでも。
 
(追記)
ブックマークのほうを見てみたら、
はてなブックマーク - 愛・蔵太の気ままな日記 - Web 2.0なんてせいぜい「新しい広告媒体」と「その代理店」を作るだけのシステム
「関連URL」に以下のところが。
Tech Mom from Silicon Valley - Web2.0と対立する2つの世界(その2)なぜネット企業がいつまでたっても異端視されるのか?

これはWeb2.0というより、1.0の人たちも含めてネット企業全般に言えることだ。ライブドア騒ぎのおかげで、「ネット企業」と言えば「アブク銭」「ヒルズ成金」みたいな扱われ方をされるようになってしまった。なぜそんなに手のひらを返すように変わるかといえば、味方が少ないからに違いない。なぜ味方が少ないかというと、一言で言えば、雇用への波及効果が低いからだ。

うわっ、めちゃくちゃ関連してるよ。ということで、ご一読していないかたはご一読してみてください。
 
(追記その2)
こんなのもあった。
FPN-ニュースコミュニティ- Web2.0のあっち側の企業はこっち側の企業から稼げるか? 特に『はてな』や『mixi』は?

さてマイクロソフトのビルゲーツが、Web2.0の議論を見て『これは聖戦だ!!』と十年振りに叫んだ理由は、広告費がこっち側(パソコンの前の体制側)からあっち側(ネットの世界にどっぷり住んでいるグーグル)へ向かって流れ、こっち側のマイクロソフトは取りっぱぐれると言うところに危機感を持った点でした。オレイリーの論文にもライセンス中心(プロダクト中心)のマイクロソフトはITサービス中心のグ−グルに追いつかないと言う議論が出て来ますよね。

うーむ、もっといろいろな人が書いているテキストを読んでから俺も書けばよかったよ。でもまぁ多分俺の元テキストの主張は変わらないと思う。

モノが売れない時代に広告に頼るのは、縄文時代に神様に祈るのと似ている

地球が温暖だった縄文時代から、寒冷期になるにつれて、縄文時代の人々の生活は悪化していくわけです。食物が手に入らなかったり、入りにくくなったり。
で、縄文人は何をするかというと、縄文式土器を作って、神に祈るわけですね。
毎年毎年、生活が悪くなる。
毎年毎年、土器の装飾が手の込んだものになる。派手から豪華に、そしてグロテスクに。
縄文時代土偶・土製品画像データベース