逆転の発想か本末転倒か

ホットチョコレートの空き缶

別にデザインに関わる仕事をしているからというわけではない。

ただ意匠が気に入ると、その実ゴミでも捨てられないものというのはある。特に空き箱空き缶の類は、なまじ実用できなくもないから尚更に捨てられない。だいたい、身辺を綺麗に保ちたいならまずはモノを捨てることである。だから、最近はどんどん捨てることにしている。それでも小さくて綺麗な空き缶なんかはやっぱり惜しい。

たとえば、もらったホットチョコレートの空き缶にクリップや輪ゴムなんかを入れて机の上に飾っている。飾ることが目的で、クリップや輪ゴムは口実である。こういうのを本末転倒というか逆転の発想というかは好みの問題である。当事者たるぼくは当然後者を主張しておきたい。気に入った置物が実は収納にも使えるというのは、案外に悪くない考え方ではないか。

すると、デスク周りに限っても色々と面白いものが作れるような気がしてくる。Mac Book Pro の形をした書類ケースだとか、古い洋書のフリをした外付けハードディスクだとか、レトロなジュークボックスみたいなメディアケースだとか、そんなものが仕事場のデスクを飾っているところを考えるとなんだか楽しい。

普段、Webのことなど考えていると、ふと、プロダクト関係の人が羨ましくなることがある。もちろん、大変な仕事なんだろうし、思うようにいくことばかりなわけはないのだけれど、手に取れるというのはいい。お気に入りの空き缶など眺めていると、単純にそんなことを思う。今更な感慨ではあるけれど。

ART in DOJIMA 雑感

先週末、堂島ホテルでやっていたアートフェアなんてものに行ってきた。

似合わない。アートで部屋を飾るようなニッチでリッチな人間じゃない。ただの野暮天だ。でも、アート自体は面白い。アートなどやる人間も、買う人間も、売る人間も。

会社のサイトでインタビューを載せた中村ケンゴという作家も作品を出していた。

インタビュー記事

このときの取材は同行できなかった。実物の美術作家なんて人種に会えるという意味でも行っておかねば。そういうことになった。行ってみると、ホテルの客室1室1室が各ギャラリーの展示スペースになっている。2フロア貸切である。客はホテルの部屋から部屋へと作品を見て歩くわけだ。確かに売りやすい環境かもしれない。ギャラリーなど敷居が高いと思ってしまうような人でも、あれなら気後れせずギャラリストや作家本人と話せるかもしれない。懐が温かくて気に入った作品があれば、商談は成立だろう。

後日聞いた噂によると、件の中村ケンゴ氏の展示作品は完売したらしい。

それにしても、あのホテルはどうして浴室がガラス張りだったんだろう。

中村ケンゴドットコム
堂島ホテル