南国土佐で骨休め

この3月は学会の日程が早く月末に予定のない日ができたため、ちょっと旅行をしてきました。本当は遠い場所で4、5日かけてフィールドを歩こうと考えていたのですが、3月中旬のドタバタで少し疲れたのと、天気が雨続きの予報だったので、予定を短縮し、比較的近くで余裕のある行程に変更しました。それで主な行き先を「むろと廃校水族館」に決めて楽しんできました。

ここは廃校の建物を使っているということのみならず、展示の魚がすべて地元漁師から提供されたものというのが非常に好感が持てます。深海魚など学術的価値の高い標本の見せ方もしっかりとしており、昔の(今は無き)江ノ島水族館の標本庫を思い出しました。民営の水族館の多くがアミューズメント施設へと舵を切っている今日日、本当の生き物好きが集う場所として発展して欲しいものです。

 

船、また悲報

昨日、卒業式後の懇親会で知った悲報。港の出口が砂で埋まり「はっさか」が当分出航できないという話。水試の「琵琶湖丸」はいち早く他港へ移動したそうだが(出航はギリ可能らしいが、入港が困難らしい)、「はっさか」はまだ適切な代替港が見つからず動かせないという。こんなことは開学以来初めてだろう。そして、港は夏まで浚渫の予定がないらしい...

春のガサガサ

4月から新たにFWチームメンバーとなる建築のN先生および4回生I君と一緒にI上川の下見に行きました。先週の雨でずいぶん水位が高く、魚影はほとんどありませんでしたが、この季節は水生昆虫の終齢幼虫が多く、いろいろなものを見ることができました。河原にはタヌキと思われる溜め糞や、カモかオオバンによる草の食痕なども見られました。

ガサガサに良さそうな場所に突入するN先生とI君。水はかなり深め。

河原では春の野草がよい具合に伸びてきていました。今日のおかずにセイヨウカラシナの花を摘むお二人。辛いですが、ナノハナと同じように食べることができます。

 

アカハラ対策伝道師

寄生虫学会から戻ってきたら、1月に講師を務めた人権問題研修(アカハラの巻)の総括が委員の方から届いていました。視聴者は対面(学部、義務的参加)とオンデマンド(他学部、自由参加)合わせて100人、学部開催の人権問題研修の受講者としては過去最多だっということでした。今回はネット上でハラスメントが暴露されて炎上したいくつかの大学のケースをレポートしましたが、多くの人に関心を持っていただけてよかったです。

なお寄生虫学会ではポスターで「環境研究倫理特論」の紹介をしました。雇用の不安定な若い人が関心を持ってくれるかな?と思っていたら、意外に年配の教員の中に熱心に見ていた方々がいました。どうも、それぞれの大学で研究倫理教育を担当している方々が参考として見ていたようです。県大のような切り口(見方によっては過激)の研究倫理授業はなかなか普及しないかもしれませんが、それでも地道に宣伝をすることが必要でしょう。

おニュー

研究費の算段がついたので、今年は新しい実体顕微鏡を買えました。寄生虫観察に必要な透過光源は予算の都合で新年度の購入となります。今、ラボで使える実体顕微鏡が2台だけ(しかも一台はかなり危ない)なので、これで学生の作業がだいぶ助かることになります。しかし、本体のOLYMPUSの社名はいつまで残るのでしょうか。

 

大型新人

今度の4月から「環境フィールドワーク」の行き先を変更するため、担当のT先生と、この前の10月に着任したばかりの若手N先生(建築学科)と下見。雨だったので川へは降りず、バス見学のルートだけ確認しに行った。ところで新任のN先生は建築学科には珍しい生き物好きらしく、私の部屋で早速スッポンの水槽に注目し(あとで聞いたら着任前に住んでいたベトナムで自分も飼っていたそう)、移動中の車の中でアリノタカラの素晴らしさについて熱弁を振るい、インドの街中にいる牛で都市酪農だとか(牛自体は野良だが搾乳している人がいるらしい)なんともマニアックな話のオンパレードで、うっかり「この先生は生態学科だっけ?」と勘違いしてしまいそうだった。「現在のモダン建築は人が都市に住むようになって自然との関連が薄れてからのもの、それまでは違ったはず」という意見は本当にそのとおりだと思う。春からのフィールドワークは愉快なことになりそうである。

夜は研究室の卒業祝いで、ラボメンバーのみ少人数の飲み会。昨日、正式に学位取得が決まった院生Jさんには恒例の論文マグ(本人の投稿論文をプリントしたマグ)とおすすめの寄生虫学教科書をプレゼント。今年の4回生はコロナ渦中の世代で入学式がなかったので、卒業式が初のセレモニーとなるそうだ。Jさんも三年半前の来日時には成田空港で2週間ホテル隔離を余儀なくされた。それぞれ大変な学生生活だったが、皆無事に卒業できたことを本当に嬉しく思う。