1月の出来事

4日、庭のミズキの枝を切って館に持っていく。5日に新年早々の講演ひとつ。

14日、岩手生態学ネットワークの市民講座、兼、森林・環境フォーラム2019 in 盛岡をアイーナで。由井正敏さんと鷲谷いづみさんの講演。

由井先生の講演は「豊かな鳥類群集が木の生長量を決める」というタイトルだったが、内容は「シジュウカラが木の生長量を決める」という感じで、普通種の重要性というか、シジュウカラすげーなーという。普通の鳥が多いと植食性昆虫を食べてくれるので木の生長量が大きくなるという結果を、30年以上の長期データの力で示していた。早く論文にしてほしいなあ。お話はグラフの連続で、市民講座としてはだいぶ難しかったと思う。

一方、鷲谷先生の講演はとても分かりやすく、市民向けだった。生物多様性の重要性を様々な事例で示すお話。

会場は満員で220名ほど。これまで市民講座を19回やってきて、最大の参加人数。鳥関係の人たちも多かったし、野外調査や自然教育活動をしている人たちも多かった。岩手にいる由井先生のファンと鷲谷先生のファンがちゃんと聴きに来てくれてて良かった。

22日、大船渡で気仙地区の希少野生動植物調査検討委員会。

24日、岩沼市まで第二種衛生管理者試験を受けに行く。直前に試験勉強を3日間くらい真面目にやった。同じ会場に第一種を受ける人が150人、第二種は50人くらい。鼻風邪をひいてしまいズルズルしながら受けた。駅からのバスの本数が少なく、駅の周りも会場の周りも食事ができる場所がなく、行くのはわりと大変。

25日、鶏頭山麓にカメラのカード交換へ。積雪40cm、膝まであったので、シカの踏み跡を踏んで歩いてもだいぶしんどかった。次はかんじきを履いて行くべき。カメラに写るシカの頭数は減っていなかった。

28日、県環境影響評価技術審査会。29日、早池峰シカ生息調査検討委員会。31日、県希少野生動植物保護検討委員会。

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自動撮影カメラのカード交換に

 

2018年の出来事(5)

大きめのイベントとお出かけの記録。

1月、被災文化財の仕事で初めて徳島へ、羽田経由で。着いたら雪があって驚いた。徳島県立博物館の常設展示は見ごたえがあり、鳥居龍蔵記念博物館の展示も大変興味深かった。仕事が終わった後、レンタカーを借りて鳴門へ。海岸の植物と渦潮を見た。悪名高いナルトサワギクを初見。

2月、釜石で移動展。

3月、館で行う被災文化財の展覧会で標本を少し展示。札幌で生態学会大会5日間。陸路で6時間。2011年3月の大会と同じ会場だったので、入ったとたんにあの時の記憶が蘇った。合間に北大総合博物館の展示を見学。

4月、高所作業車の特別教育を受講。被災文化財の展覧会の関連イベントもろもろ。

5月、第二種衛生管理者の講習を2日間受ける。

6月、クモの企画展関連イベントの手伝いなど。

7月、毎週(多い時は週2回)早池峰に行っていた。生態学会の理事会で東京往復。

8月、引き続き毎週のように早池峰。下旬、早池峰に防鹿柵が設置された。

9月、初旬、早池峰に別の防鹿柵が設置された。燻蒸期間中は毎日のように県内を走り回って野外調査。下旬、日曜講座でシカ問題の講演会を実施。台風で自然観察会が中止になった。

10月、種山で自然観察会。下旬、鶏頭山麓に自動撮影カメラを設置。

11月。上旬、女子美大の杉並校舎で被災文化財の講演。中旬、東大総合研究博物館学芸員向けの5日間の研修を受講。テーマは収蔵資料データベース。下旬、陸前高田市で移動展3日間。月末、トーハクの表慶館で被災文化財の展示と説明のお仕事。ただし、風邪をひいてしまいほとんど役に立たず。

12月、上旬と下旬に1回ずつ早池峰のシカ問題について講演。中旬に東京日帰りで生態学会理事会。

2018年の出来事(4)

早池峰山以外の野外調査の記録。

県と振興局からの頼まれ調査が増えて、住田町・陸前高田市・大船渡市・北上市八幡平市で稀少種調査。

植物誌調査会のみんなでやってる植物相調査では田野畑村北上市に参加。

RDB追跡調査のため、焼石岳に3人で。天気予報に反して雨が止まず、震えながらやったけどあまり成果は上がらず。焼石岳は登山道が長いので、やっぱり泊まりがけでやらないとだめらしい。片手間では無理かな。

他に、レッドリスト改訂のための調査で姫神山・氷上山・久慈市葛巻町などをウロウロ歩いて植物探し。

今年、ちょっと真面目にやりたいのはマツムシソウ保全のための生態調査。2018年には授粉実験をやり損ねたので、ちゃんとやらないといけない。発芽実験は予備的にやってみたら上手くいった。個体識別した上で、開花までの年数など、生活史を調べる必要がある。

2018年の出来事(3)

早池峰山の調査について。

2018年の野外調査の中では比重がとても大きく、数えてみたら、2018年は早池峰山に14回、鶏頭山に4回行っていた。と言っても、山頂まで登ったのはそのうち5回だけで、他は中腹や山麓までだけど。

年度当初の計画ではこんなに何度も行くはずではなかったんだけど、予定外のことが起きた。当初は、環境省レッドリスト改訂のための調査と県のRDB追跡調査を兼ねて、稀少植物(特にイネ科・カヤツリグサ科)の個体数を調べることが中心で、加えて夏に恒例のシカ食痕調査をやるつもりだった。

大きなハプニングは、早池峰に防鹿柵が立ったこと。春を過ぎた頃からなんだか期待が持てそうな感じになってきて、夏には候補地や仕様の検討・提案を行うために現地へ行く機会が増え、いざ柵の設置が決まったら植生モニタリングの仕事も発生し、ついでに自動撮影カメラも付けたら、ほぼ毎週通うことになってしまった。

柵自体は試験的なもので実効性はまだ小さいけれど、「山岳地帯に防鹿柵を立てるとはどういうことか」について、関係者が総出で実際にやってみて理解できた、ということには明確な意義があると思っている。今後の展開のために必要な第一歩だった。ま、シカが山から下りる季節になってから柵を立てても意味がないので、今後は春から立てないといけませんけどね。

そして自動撮影カメラの調査は、やってみたらとても面白かった。これまで早池峰山麓では冬期のカメラ調査はほぼ行われていなかったので、晩秋に山から下ろした自分のカメラを山麓に設置してみた。そしたら期待以上に興味深いデータが取れたので、雪が積もっても続けているところ。植物屋の自分はこれまで積雪期の野外調査をやったことがなく、雪の森を歩くのはとても新鮮。

シカ食痕調査では、恒例の7・8月の調査で高山帯へのシカの進出が増えていることが分かった。ただし、高標高域の食痕はまださほど多くない、という調査結果だった。しかし、10月に小田越六合目にシカが現れたことをきっかけに、登山道からは見えない森林限界付近の林や草原で痕跡探しをしてみたら、予想以上の高密度で見つかり、自分の認識の甘さにゾッとすることに。

というわけで、登山道沿いだけを調査していても実態は全く把握できないということが分かったので、2019年には調査手法を大きく変える予定。高山帯に設置する自動撮影カメラも増やし、正確な実態を把握し、情報を共有できるようにしたい。

一方、RDB調査は目的の半分くらいしか達成できなかった。主な理由は、許認可事務の担当者が2018年度から新人さんに交代していたこと。知っていれば4月に担当者に会いに行って詳しい打ち合わせをしたのに、うかうかしていたので手続きが遅れに遅れ、採集しないときちんと同定できないイネ科カヤツリグサ科の調査が半端になった。まだ被食が少ない今のうちにちゃんと調べておかないとまずいので、できれば再チャレンジしたいけれど、どうかな。

という感じで、早池峰山にトラップされた2018年だった。自分は早池峰山の専属調査員ではないので、ここだけにのめり込むのもまずいと思うけれど、この数年が重大局面であることは確かなので、2019年も通うことになるでしょう。ただし、もっと計画的に。それとやはり、情報を集積し、総合的に計画を立てて実施し、結果を評価するテーブルが必要ということは、しつこく言っていきます。

この重大局面を乗り越えられたら、早池峰山をテーマに展覧会をやりたい。きっと面白いと思う。

2018年の出来事(2)

2018年に見た展覧会&展示。

1月、科博で「南方熊楠」展。お仕事で行った徳島県立博物館鳥居龍蔵記念博物館の常設展。

7月、東大総合研究博物館で「珠玉の昆虫標本」展、インターメディアテクで博物画の展示。

10月、お仕事で行った女子美術大学杉並校舎で「甦る。ふるさとの宝物」展。

11月、研修で東大博物館に行ったついでに常設展。お仕事でトーハクに行ったついでに常設展。

年明け1月2日、盛岡へ戻るついでに、またトーハクの常設展。

というわけで、忙しくてほとんど展覧会が見られなかったのは残念。

 

2018年の出来事(1)

2018年は1回も書かなかったんだけど、備忘録としてやはり必要だなと思い、今さら振り返り。

自宅のメンテナンス関連。3月にトイレのリフォーム。2017年の年末大掃除でトイレの掃除をしていた時に、タンク中の劣化していた樹脂製パイプを折ってしまい、ゴムホースを買ってきて応急で繋いだ。この家が建った時からあったと思われるので、約30年か。それをきっかけにリフォームを決意し、トイレ本体を交換するついでに壁紙と床も張り替えることにした。自分好みの内装になって、トイレに入ると幸せな気分になる。

10月、色褪せて錆びつつあった屋根の塗り替え。初めに見積を頼んだ業者からは60万円超の見積書が来てびっくりし、他の業者に訊いたら20万円でやってくれるというので頼んだ。自社で足場を組めるところだと足場代がタダになるそうだ。結果、だいぶ高齢の職人さんがたった一人で足場を組み、たった一人で屋根と雨樋にペンキを塗ってくれて、本当に大丈夫かとヒヤヒヤした。

そして11月、15年も使った灯油FF式ストーブをやっと廃棄することに決め、ガスFF式ストーブに代えることに。注文殺到で納品まで約1ヶ月と言われ、12月初めに交換。1か月経って検針結果を見ると、暖房に使ったのは約100m^3で、13,000円くらいなので、灯油1か月分とだいたい同じ価格。灯油臭さから解放されたので、おおむね満足。

私的には、9月に自宅の風呂場・洗面所・台所の全面リフォームをしたのが一大事業。これのおかげで、秋以降はとても快適になって良かった。と思ってたら昨日、トイレも耐用年数を超えていて壊れ始めていることに気づいた。トイレも一緒にリフォームすれば良かったなあ。これは来年早めにやりたい。

今年やった新しい仕事は、前半は環境省レッドリスト改訂調査、後半は開館40周年記念展覧会(3年後)の準備の立ち上げくらい。
1月・2月は担当した展覧会と関連事業。3月は生態学会東京大会と年度末のドタバタ。
5月から9月にかけて、環境省レッドリスト改訂調査とシカ食痕調査のため、早池峰山にたぶん6回登った。栗駒山も初めて行った。春からあちこち歩いて脚と心肺機能が鍛えられたおかげで、夏には歩くのが楽しくなってきて、息も上がりにくくなった。これは来年も続く予定。
10月には大阪で公開講演会、11月には福島で生態学会東北地区大会、12月には東京で講習受講。
今年も相変わらず県・市町村の有識者委員の仕事が多かった。去年からさらに増えて、引き受けている委員の数は、県が6個、広域振興局が1個、町が1個、東北森林管理局が1個かな。依然として風力発電関係のアセス審査件数が多く、審査会と現地視察を合わせるとたぶん今年13回、うち2回は仕方なく欠席した。内容的にけっこう厳しい審査になる案件もあり、意見を書くのに数時間を費やしたりもした。ちなみにこれらは全て無償奉仕。

何も覚えていない

ショールーム体験でもうひとつ、衝撃を受けたことがあった。アドバイザーさんに、今の家のお風呂場のタイルの色を訊かれたのだが、私は全く思い出せなかったのだ。「床は水色だった気がする…。壁は白だったような…。」と答えたが、帰ってから見たら、床は明るい茶色で、壁はクリーム色だった。なぜ水色と思ったかと言うと、床に水色のボードを敷いて使っているからなんだろうな。
それから、洗面所の水栓の構造を訊かれて、お湯と水は一体だったような…。と答えたが、実際には、水とお湯はそれぞれ別の水栓がついていた。毎日目にしているものをここまで覚えていないとは、気持ちが悪いほどである。

おうちリフォーム計画3

午前中、リフォーム業者さんと待ち合わせて、LIXILTOTOショールームをはしご。
お風呂と洗面台、ついでにキッチンのセットを見せてもらって、見積用にあれこれ要望を述べる。いろいろオプションがありすぎて呆れてしまう。総合的に見て、TOTOの方がデザインも選択肢もシンプルで好感がもてた。
こんな経験は初めてなので色々と興味深かったが、しかし最も興奮したのは、TOTOで「除菌水」の蛇口が付いているキッチンを見せてもらった時。アドバイザーの人の話によると、TOTOは初めトイレの洗浄用に「除菌水」を開発した。テレビCMでバイキン姿の子供が「ひどいトイレだ」とつぶやくあれね。そしたら、除菌水をキッチンにも付けてくれという要望が多かったので、水道水の蛇口の隣に除菌水が出る蛇口を付けたんだって。
除菌水の正体は薄い次亜塩素酸水溶液で、なんと水道水を電気分解して作っているのだそうだ。キッチンのシンク下を覗いてみると、奥の方に小さな電気分解のモジュール(幅15cm・高さ10cm・厚さ数cmくらいの箱)が付いている。メンテナンスは10年に1回くらいで良いとのこと。この仕組みが面白すぎて、買いたくなってしまった。しかし後から考えてみると、ほとんど塩素消毒をしていない水の場合、次亜塩素酸の濃度がさらに薄くなってしまうと思われる。盛岡みたいに、ほとんど塩化物イオンが入っていない(6ppmしかない)水道水の場合、大丈夫なんだろうか。今度訊いてみよう。

おうちリフォーム計画始動

自宅は築30年で、見た目にもそれと分かるらしく、毎日のように大小様々な住宅リフォーム業者や工務店などからチラシやDMが投げ込まれる。去年の夏ころから気になってそれらを見ているうちに、自宅の水回りを改装しようという気になった。冬も終わったので、大きめのリフォーム業者さんに電話。まずは見に来てもらうことに。目的はお風呂と洗面所と台所の改装、給湯器の交換。

アレルギー

3月下旬に学会大会から帰って来たら、やけに鼻水と涙が出る。風邪だと思ったけれど、症状が10日ほど続くわりに体調はさほど悪くならない。これはいよいよ花粉症かと耳鼻科へ行き、血液検査。結果が出るまで2週間、抗ヒスタミン剤をのむと鼻水が止まり、飲み忘れるとまた鼻水が出る。絶対これは花粉症に違いないと確信した。
そして自信満々で結果を聞きに行ったら、スギ、ハンノキ、カモガヤ、ヨモギ、ブタクサ、犬・猫、ダニのいずれも反応は「無し」。えええー。そんなー。
しかし、何か別の物に反応している可能性は高いと思われる。なにせ症状は続いているので、とりあえず抗ヒスタミン剤をあと2週間続けることになった。
「別の物」って何だろうなあ。花粉でなければ、カビかな。ということで、家の掃除をしてみようかと。
あとは自宅で植物誌調査会の会計決算をちまちまと。予想外に時間がかかって夜中の2時を過ぎても終わらない。

展示の撤収と演示具の整理

月曜日だけど出勤して、トピック展の片付けに参加。昨日のうちに標本は収蔵庫へ仕舞ったので、残るは演示台。大きなものから小さなものまで数十個。2階の展示室から1階へ、大きなエレベーターで下ろす。ここまでで1時間くらい。
1階に下ろしたものをとりあえず廊下に置いて、先に倉庫の中の演示台を大整理して、積み直し。あまり使わないものを奥へ、よく使うものを手前へ。最後に、廊下に置いた演示具も全て仕舞う。全部で2.5時間くらいで終了。良い汗をかいた。
その後は、タンポポに関する質問の対応とか、ニュースレターの原稿書きとか、その他事務。

多言語ページ設置準備

昨年度、博物館の公式ウェブサイトに英中台韓ページを設置するため、業者に翻訳とCSS調整を委託した。年度末にファイルが納品されていたので、年度初めのドタバタが一段落したところで、ファイルをアップロードすべく、チェックをしながら多数のミスを修正し、ファイルをアップロードして、公開の準備中。
そしたら途中で、公開中のページのレイアウトがぐちゃぐちゃになるトラブルを自ら引き起こしてしまい、コードを点検してみたりキャッシュからファイルを回復してみたりの試行錯誤、原因究明に6時間くらいかかった。分かってみれば原因は単純で、FTPソフトの設定を誤って画像をテキストモードで転送しており、画像ファイルが壊れていたのだった。バイナリモードで転送し直したらレイアウトは復元された。
ただ、まだどこかにまずいところがあるらしく、ヘッダーがおかしいページがあって、まだ公開できていない。なんだかんだで、他の仕事と並行しながら3日間くらいかかっている。