Better Placeが提唱する"Car 2.0"

earth2techの表題に関する記事を読みました。プラットフォームを提供し、そこに人を引き寄せてイノベーションを起こす。自社で全てを提供するのではなく、プラットフォームを提供する、というのが主流のようですが、それをBetter Placeの視点から見たのが、この記事の内容になります。
Better Placeについては、以前のエントリーでも書きましたが、今後も注目していきたいと思います。
Better Place Connects With Microsoft, Intel for Electric Vehicle Software – Gigaom

  • Better Placeが提唱する"Car 2.0"
    • 次世代の自動車は、電力・通信ともに「つながる」状態になる
  • これを実現するためのソフトウェアが公開された
    • MicrosoftIntel、Continental AG(ドイツの自動車会社)と提携
    • このシステムは"AutOS"と名付けられた
      • 自動車の内部で処理が実行される
      • 自動車に組み込まれ、エネルギーを計算し、「エネルギープラン」をドライバーに提供する
      • そして、最も近い電力補給ポイントやバッテリー交換ステーションを探す
      • Better Placeのネットワークは、それぞれの自動車と常に接続されている状態になる
    • 提携各社との役割分担
      • Continental AGがBetter Place向けのヘッドユニットを開発
      • それは、Microsoftの"Windows Embedded"ソフトウェアをベースに作られる
      • IntelAtomプロセッサによって動く
    • プラットフォーム戦略
  • 社会インフラの基盤をどうするか?
    • どのようなソフトウェアが必要になるのか、長い間議論が行なわれている
    • 例えば、以下のような機能が必要とされる
      • "Smart Charging"
      • 電力補給が必要な自動車の数を管理し、それをユーティリティに報告する
      • ドライバーに、電力補給ポイントやバッテリー交換ステーションの場所を伝える
      • 近くに"クリーン"な電力を補給できる場所があるかどうかを伝える
      • 交通渋滞や、ドライバーの運転パターンなどを反映した情報を提供

アジアEAフォーラム2009

先週末は上海旅行の合間を縫って、蘇州で開催されたアジアEAフォーラム2009(CSAJ主催)へ行ってきました。このフォーラムでは、日中韓などの企業向けアプリケーションベンダーが参加していて、中国のベンダーの体制や、日中間での提携事例などに触れることができました。やはり中国は勢いがあるな、というのが第一印象でしたが、全く新しいことをやっているようなベンチャー企業は今回のフォーラムの中にはいなかったような気がしたので、そのあたりについては、個人的に調べてみようかなと思っています。
例えば、今回のフォーラムの中では財務管理や生産管理、顧客管理や販売管理といったアプリケーションは登場しましたが、スマートグリッドやエネルギー管理に関する話は出てきませんでした。しかし、先日のAIF2009のTwitterログを眺めていたら、そういったものに対するニーズや需要があることは間違いなさそうだということを感じることができました。
http://twitter.com/AIF2009/status/3975574115
http://twitter.com/AIF2009/status/3975594975
http://twitter.com/AIF2009/status/3975609081
http://twitter.com/AIF2009/status/3976247267
というわけで、今後は、欧米だけでなく、アジアの動きにも注目していきたいと思います。

Enterprise Carbon Accounting・続き

前回のエントリーで引用したレポートが題材となっている記事です。基本的には、前回のレポートの内容と同じでしたが、何点か新しい情報もあったので、それをピックアップしておきます。

https://www.greentechmedia.com/articles/read/carbon-accounting-its-all-about-appearances/

  • 欧州におけるECAソフトウェアの普及状況
    • 現在はスプレッドシートでの管理が主流
    • サイズ・複雑さという観点から、この手法で管理できなくなるのは確実
  • 当局による監視対象
    • 欧州の場合、今のところ、個々の工場のみ
      • 全社の炭素排出量開示までは求められていない
    • 米国の法案も同じ
  • 自発的にECAソフトウェアを導入するケース
    • 環境・CSRを重視する投資家に向けて、自社の炭素排出削減に関する情報を開示するため
    • 採用活動の一環として
  • ベンダー
    • 環境・健康・安全の管理(environmental/health/safety business)に特化したソフトウェア
      • こういうソフトウェアは、水質汚染や大気汚染を監視し、ヒューマンヘルスを管理する機能が、既に搭載されている
      • ここに、カーボンアカウンティングの機能を足してくるだろう
      • Enviance/ESS/IHS/ProcessMAPといった企業が主なプレーヤー
    • エネルギー管理に特化としたソフトウェア
      • カーボンフットプリントは、「どれだけエネルギーを利用したか」と密接に関わっている
      • こういうソフトウェアにも、カーボンアカウンティングの機能が追加されていくだろう
      • 例えば、Haraのようなケースがある

Enterprise Carbon Accounting

二酸化炭素などの排出量を管理するためのソフトウェア。そういったソフトウェアに対する需要が高まっていくだろうと予測しているレポートを発見しました。無料で読めるのはサマリーだけでしたが、現状のマーケットがどうなっているのかについての概要を知ることができ、とても良い勉強になりました。
http://www.gtmresearch.com/report/enterprise-carbon-accounting

  • 概要
    • 企業の炭素排出・削減目標に向けたアクション
      • それをやる必要性は、どんどん高まっている。
      • それが達成できているかどうかを管理しなければならない。
      • 年次公開など、外部にも公表する必要もある。
    • Enterprise Carbon Accounting(ECA)
      • 炭素排出量を測定し、管理し、レポートし、削減し、取引する
      • そのような業務(ビジネスプロセス)をECAと呼ぶ
    • ステークホルダーの関心の高まり
      • 炭素排出量の管理を、より厳格化するニーズが高まる
      • ECAソフトウェアを導入することによって、上記のような業務を効率化・自動化することができる
  • 企業の反応
    • 企業は、より多くの炭素排出に関する規制に直面する。
    • 企業レベルでの炭素排出レポートは主流になる。有志の炭素コミュニティプログラム(voluntary carbon registry programs)への参加は増え続ける。
    • ほとんどの企業は、現在スプレッドシートを使って、炭素排出量を管理している。しかし、ニーズが高まれば、スプレッドシートでは、管理不能な状態に陥る。
    • 世界の3000の企業が、自社の炭素廃出力を測定している。
  • 市場規模とベンダー
    • ECAは、新しいソフトウェアカテゴリーとして登場した。
    • ECAソフトウェアの市場は、まだ生まれたばかり。約227の企業が、商用のECAソフトウェアを導入している。
    • アーリーステージなのにも関わらず、多くのベンダーが、ここを良い機会と見ている。1/5のベンダーがECAを提供し、今後はさらに増えていくだろう。
    • ほとんどの製品は、新しく、まだ広く出回っていない。
    • ECAソフトウェアを導入する企業の数は、次の3年で4倍に増えるだろう。
    • ECAソフトウェアを調査している企業は、20のキーとなる機能について考慮すべき。
    • ECAソフトウェアを提供する企業のほとんどは、市場に参入したばかり。新しい企業、新しい製品は、次々と登場するだろう。
    • 新しいリーダーたち

EMS調査・リスタート

先日、「スマートグリッド勉強会」の第二回目が都内某所で開催され、それに参加してきました。勉強会の詳細については、こちらこちらの記事で紹介されています。僕もメインブログの方で近いうちに書くつもりです。
一ヶ月後には、再度集まる機会があるということなので、それまでの間、しっかりとテーマを絞って、情報収集し、いろいろと考察を深めていきたいと思います。一ヶ月前に似たような宣言をしていたのですが、前回はそれができなかったので、今回はリベンジです。

テーマは「炭素排出量やエネルギー消費量の測定・管理方法」で、詳細については一ヶ月前のエントリーと同じです。まずは、下記の記事から当たっていきたいと思っています。

日本での事例も調べてみたいところです。確か、国が出している環境会計についてのガイドラインとかがあったと思うので、まずは、そこから当たってみるつもりです。

AMIとDRの主要なプレーヤー

AMI(Advanced Metering Infrastructure)やDR(Demand Response)の分野で、現在、どのような企業が活動を行なっているのか、少し具体的に調べてみました。調査対象は、「The Smart Grid in 2010」のレポートに登場してきた企業です。このレポートの巻末には、スマートグリッドに関わる企業のデータが数十社は掲載されていて、ここも非常に参考になりました。
下記のような企業は、自社の製品をエンドユーザーに売りにいくのではなく、ユーティリティに対して売りにいくものだ、という点にようやく気づきました。それだけ、ユーティリティの数が多いということでしょう。どのユーティリティが、どこのメーカーのメーターを採用し、どこにデータ通信のためのネットワーク構築を依頼し、どこのソフトウェアでデータ管理を行なうか。今回、様々な企業があることを知ったわけですが、同時に、既に激しい競争が起こっているんだなということを感じ取りました。
個人的には、「OSIsoft」という会社が提供しているアプリケーションが気になりました。もうちょっと調べてみれば、エネルギーの動きに関するデータをどのように取得し、エネルギーの流れをどのように制御するのか、という疑問が晴れるかもしれません。

  • AMI
    • Silver Spring Networks(http://www.silverspringnet.com/)
      • ユーティリティ向けのサービスを提供
      • コスト削減しながら、効率性・信頼性・顧客サービスを改善する
    • SmartSynch(http://www.smartsynch.com/)
      • ユーティリティが配電網のデバイスと通信するためのインフラを提供
      • リアルタイムで双方向のデータ通信
      • 独自のネットワークではなく、公共のワイヤレスネットワークを使う
      • スマートメーターの配置をシンプル化する
      • 100を超える北米の電力ユーティリティに適用できる
    • Trilliant(http://www.trilliantinc.com/)
      • ユーティリティにネットワークやソフトウェアのソリューションを提供
    • Eka Systems(http://www.ekasystems.com/)
      • エネルギーデータの通信ネットワーク網を建設する
      • インターネットベースのワイヤレスネットワーク

Smart Grid 2.0: ‘The Soft Grid’

VCの視点からは、今のスマートグリッド業界がどう見えているのか。そんなことを知ることができる記事を読みました。先日まで読んでいた「The Smart Grid in 2010」の内容も材料として使われていて、個人的にはかなり良いタイミングでこの記事に出会うことができたと思えています。もう2.0とか言っているところからしても、この分野がかなり過熱しているということを推測することができます。
Smart Grid 2.0: ‘The Soft Grid’ | Greentech Media

  • スマートグリッドにおけるどの分野が、今後は投資の対象になるか?
    • この9ヶ月間で、メジャーなメディアからの注目を集めた
      • いくつかのサブマーケット(例えばAMI)は、既にアーリーステージではなく、新規に参入するには厳しい市場となっている
      • 一方、他のサブマーケット(HANなど)は、これから盛り上がるかもしれない
      • なぜなら、本当に価値があることかどうかが不明瞭だからだ
    • スマートグリッドにおける"ちょうど良い"投資分野を見つけることは、VCコミュニティの今後の最大の関心事
      • その一つが、"The Soft Grid"と呼ばれている分野だ
  • VCから投資を受けていたスタートアップ企業
    • これまでは、AMIネットワーク・通信のエリアが中心
    • 以下のような企業は、350百万ドル近くの投資を受け入れた
      • Silver Spring Networks
      • SmartSynch
      • Trilliant
      • Eka Systems
    • これらの企業は、ユーティリティとエンドユーザーをつなぐネットワークを提供している
      • それらは必要不可欠で、いち早く普及させなければならないとも主張している
      • 北米で41百万のメーターが次の5年で配備される予定
    • 新たな参入企業も登場している
      • CiscoのようなIT巨大企業
      • ワイヤレスサービスのプロバイダー(AT&T / Verizon / Sprint / T-Mobile)
    • このマーケットは成熟しつつあり、スタートアップやVCマネーが活躍できる領域は残っていない
  • では、今後はどういう展開になっていくのか?
    • AMIのネットワーク・通信レイヤーが整うことによって、それが、配電網のあらゆる分野を改善するために必要な、数え切れないアプリケーションをサポートするためのプラットフォームになる
    • これらのアプリケーション分野の発展は、"SmartGrid2.0"の始まりになるだろう
    • 例えば、以下のようなアプリケーションだ
      • advanced metering
      • demand response
      • grid optimization
      • distributed generation
      • storage integration
      • PHEV smart charging
      • ユーティリティ・エンドユーザー双方をサポートするintegrated advanced control systems
    • 新しい通信プロトコルを利用したソフトウェアから、ユーザーインターフェイスに特化したソフトウェアまで、この分野のあらゆるアプリケーションが必要とされている
    • インフラ的なハードウェアは絶対に必要であり、重要だ
      • だが、インテリジェンスなソフトウェア(The Soft Grid)があることによって、それらに、本当の革新を起こす能力を付与し、知的財産を守り、差別化することができる
  • The Soft Gridの興味深い点
    • 若い企業のビジネスモデルが、VCに認識され始め、数百万ドル単位の投資が行なわれ始めていること
    • 以下のような事業よりも投資効率が良い
  • 人材について
    • これまで、ユーティリティ業界とIT業界がオーバーラップすることはなかった
      • IT業界の方は、この20年間、米国経済におけるイノベーションの中心的な存在だった
      • ユーティリティ業界とは完全に分断されていた
      • ユーティリティ業界は、トップエンジニアやMBAホールダーにとって魅力的な存在ではなかった
    • ところが、ここ最近は、ユーティリティの重役達がエンジニア獲得に向けて世界中を駆け回っている
      • そのため、突然、魅力的な業界になった
      • スタートアップ企業がユーティリティの重役を引き抜くといったことも起きている
      • 新しいアプリケーションやサービスを市場に出すために、ユーティリティ業界のナレッジが必要とされている
      • 次の5年間で、電力業界に、新しい人材が大量に流入するだろう
      • そして、SmartGrid/SoftGridに関する様々な問題を解決していくだろう
  • soft gridの具体事例
    • eMeter / Ecologic Analytics
    • Meter Data Management(MDM)のソフトウェアを提供
      • スマートメーターとユーティリティへデータとの間のデータのやり取りを管理
      • 大手ユーティリティと契約を結んでいる
    • GridPointも注目されている
      • ソフトウェアを通じたソリューションを提供