オーストラリア23年目負け組の騎手

 

俺オーストラリア長いから、日本人と喋るのまじで20年ぶりだわー

日本語忘れちゃったわー

 

 

などという謎のマウント取り野郎。

地獄のミサワか。

他にも自身の学歴や華々しい実績の数々を自慢げに語るという、小藪の漫談に出てきそうな小物イキリ野郎がいたので、「早々にBBQから抜け出してきました。」

と語るは会社の後輩O君。

 

 

オーストラリア在住、というプロフィールで優越感に浸れるのはむしろ健康的かもしれない。

自分はというと、日本の競馬学校に落ちた結果オーストラリアへ下って来た「負け組の騎手」という劣等感を未だに持っているので、そんなイキリ野郎はかえって羨ましい。

 

そんな憧れの日本での再騎乗を目指すべく奮闘する毎日ですが、相変わらずの2、3着続きで1勝が遠い…。

条件クリア(見習い期間終了後100勝)が遠い…。

 

 $9 Cousin Nikki 3着

 $31 Who by Fire 2着

 $26 Decoy Belle 2着

 $41 La Patrona 2着

youtu.be

 

来年も宜しくお願い致します。

森田牧広の高知競馬再参戦を楽しみにしていらっしゃるという、ごく少数の物好きな競馬ファンの方のためにも諦めず頑張っていく所存です。

 

わるいな、この飛行機は18人乗りなんだ

 

例によって、今日も田舎競馬場へのフライトです。

ところがここで問題発生、18人乗りなのに19人もブッキングされていることが判明。

誰か一人が飛行機を降りる羽目に。

 

そしてここから大人達のアツイ譲り合いが始まる。

 

実況アナA 「Oさん、貴方ジャッジしながら競馬実況くらい出来るでしょ。だから私が降ります。」

裁決O 「いやいや、私が降りますよ。Pさん、騎手の指導とジャッジ掛け持ちくらいは余裕っすよね。」

実況アナA 「それプラス実況もお願いしますよ。」

騎手学校教官P 「3つは無理だろ。しかも何で2人も降りようとしてんだ?」

ジョッキーJ 「ならアタシが降りるわ。P先生がジョッキー現役復帰すりゃイイじゃん。」

 

こいつら、早く帰ってフットボール観ながら旨いビール飲むことしか考えとらんな。

のび太君なら悲しんだり怒ったりするというのに。

結局は最も年長でお偉いF氏が降りて残ることに。

 

 

ついでにその日の競馬の結果はというと、Maki Moritaはやっと4着が最高で大半はシンガリの方を走っているという有様。

帰ってから知らされたんだが、この日は職場のかわいい後輩たちがTABでMorita応援馬券を買ってくれていたんだそう。

よりによって今日か。

もうちょっとチャンスのある日にして欲しかった。

後輩にこんな醜態みせるなら、サッサと飛行機降りとけばよかったわ。

 

 

クソ強メンタルなジョッキー達

 

ジョッキー

スチュワード

ジャッジ(裁決委員)

騎手学校の教官

スターター

ゲート係員

獣医

救急隊員

ドクター

メディアクルー

実況アナウンサー

…など総勢30名ほどがチャーターした航空機に乗り込み、遠方の競馬場へと向かいます。

これがオーストラリアの田舎競馬。

現地にはほぼ馬しかいないので、競馬関係者は飛行機で“当日輸送"というわけです。

 

 

 

飛行機が空港へ到着すると、すぐに送迎バスへ乗り換え競馬場へと向かうわけですが、レース前だというのにキャッキャ♪とテンションの高い若手のジョッキー達が、

 

「ヘイドライバー、そこのデリでちょっと止めて!スナックを調達してくるわ。」

 

だと。

なんて奴等だ。

第1レースまで2時間以上あるので、腹が減るのは分かるが。

このバスにはスチュワードやお医者様といった御偉方も同乗されているというに。

約10分ほどバスを待たせて、チキンやチップスだのを頬張りつつ戻ってくるこやつ等の神経の図太さ、メンタルの強さといったら。

 

ちなみにワシは体重がギリギリなのでそんなもん食べてる余裕はもちろん無い。

競馬場に到着するやいなやすぐにサウナスーツを着こんで走って最後の1kgを絞りにかかる。

試合前のボクサー並みに絞ってキリッとして「よし準備完了!」と気合を入れたそのとき、役員が来て

 

「Maki、55㎏乗れるか?どうやらK騎手が体重オーバーなので第3レースは騎手変更だ。準備しておいてくれ。」

 

それは構わんが、Kちゃんはさっきスーパーでチキンだのチップスだのを調達して食べてなかったか?!

それで体重オーバーとかナメてるにも程があるだろ。

そしてふと前を見ると、ジョッキーとは思えないブヨブヨのビール腹体型をしたC騎手が

 

「こんな田舎の開催じゃ0.5㎏オーバーくらい余裕っしょ。俺も今日は57㎏以下は乗れん。」

 

などと言いつつケータリングのサンドウィッチをパクり。

あんたらね、西谷騎手に謝れ。

JRAでは昨年、有望な若手だった西谷凛騎手が減量苦で引退に追い込まれたというニュースがあったばかり。

 

このオーストラリアのユルさ、適当さは考えられん。

そら地全協も二流三流のオージー騎手を締め出すわ。

 

しかし、この人らのクッソ強いメンタルだけは見習いたいものですな。

 

 


相変わらずの3着病で、今年まだ未勝利のMaki Morita。

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誘導馬に乗ってレース参加したらダントツ最下位でした

陸路では約10時間かかる田舎競馬場から騎乗依頼きました。

さすがに飛行機は出るらしいのでそこは安心して承諾。

 

 

騎乗馬のプロフィールを確認すると、少し変わったお馬さんがいますな。

およそ1年のブランクのあと先日レース復帰、それ以降

 

10月1日 1200m 出走

10月3日 1800m 出走

10月3日 1200m 出走

 

3日間で3回もレース出走するとはこれ如何に。

しかも、同じ日に2回走ってる…??

 

「あーその馬マキも知ってるでしょ、いつもはクラーク(誘導馬)やってる子よ。」

 

と事情通のP騎手が教えてくれた。

誘導馬って、普通は引退した馬がやるものでは?

どんな馬か気になったので、チラッと装鞍所を覗いてみると

シューズも履いてない裸足の近所のクソガキどもが集まってペタペタ触りまくってるではないか。

そこは関係者以外立入禁止エリアでは?

わしの騎乗馬に何しやがる。

偉いものでさすが誘導馬、周りで子供達がどれだけ騒ごうが鼻や顔をペタペタ叩きまくろうが、微動だにしない。

 

そしてレース、ゲートが開くと微動だにせず6馬身の出遅れ、39馬身差の最下位でした。

 

先生、この子は誘導馬に専念させたほうが良いとおもいます。

 

(動画) 田舎競馬でも相変わらずの2、3着量産で勝ちきれないMaki Morita。

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サラリーマンが有給休暇とってジョッキーやってみた

 

Maki Morita、実に七年ぶりのジョッキー復帰。

4鞍でした。

 

頭目牝馬

イレ込み気味だったが内枠なので早めにゲート入れて待ってたら、もう待てない!とばかりに突然ブチ切れ立ち上がるわ暴れるわで馬体検査。

発走時刻少々の遅れ。

結果は着外。

 

二頭め。

ジョッキーの間でも知られたクセ馬らしく、「あの馬アブナイから気を付けて」と複数のジョッキーから警告される。

案の定、パドックで跨った瞬間から立ち上がるわ暴れるわでロデオみたい。

しかし高知でジョー〇バジーに鍛えられたMaki Moritaにとってはまだ可愛いもの。

暴れ馬を見て観客も盛り上がってたのでヨシ!

着外。

 

三頭め。

なかなか難しい馬とは事前に聞いていたが、とにかくゲート入りを激しく拒否する困った君。

今日は絶対に走んねえぞ!という強い意志を感じる。

男数人がかりで押し込もうとすると、終いにはジョッキーを乗せたままその場に寝っ転び出して終了。

発走除外。

どんだけイヤなの。

 

四頭め。

ちょっとイレ込み気味だがまぁ大丈夫だろうと跨ると、返し馬の途中でだんだんと怪しくなり、ついにはストップ&後ずさり。

こうなると後ろに転倒する危険があるのでヘルプを待つ。

誘導馬二頭がかりでようやくスタート地点までたどり着くも、いざゲートが開くと思いっきり10馬身の出遅れ。

今日は機嫌悪かったのね。何だかごめんなさい。

着外。

 

 

 

「せっかくの復帰戦だったのに大変だったね。」「大丈夫だった?」といろいろな方が声をかけて下さいましたが、大丈夫だし楽しかったです。

良い結果が出ず関係者の方には申し訳ない思いですが、本人はプレッシャーもなく気楽にやれて充実した一日でした。

 

 

これからも一般企業でふつうに働きつつ、ジョッキーのほうも楽しみながら続けていきます。

 

 

ネットで叩かれる騎手

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はい、見てます。

 

 

見てます。

見ていましたとも。

レース後は自分の叩かれっぷりを地方競馬スレで必ずチェックしていましたよ。

 

 

 

またの来高を、と意気込んでいた森田が以来音信不通になってしまったのは、外国籍ジョッキーの短免取得条件が変更されたことが理由です。

短期免許のハードルが一気に上がり、ネット掲示板で叩かれるような三流ジョッキーでは来日できなくなりました。

 

 

今ではオーストラリアで普通にサラリーマン生活ですが、完全に引退したわけではありません。

近々「サラリーマンが有給休暇使って騎手復帰してみた」とかいうタイトルでブログ更新されるでしょう。

 

 

行方不明の森田を気にかけてくださっている方がおられることを知ったので、久々に更新しました。

ではまた、ごきげんよう

 

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馬に逆ニーブラされた思い出


「善戦マン」の代名詞、ナイスネイチャ
よく聞く話だと、とにかく不器用で手前を変えるのが上手でなかったらしい。
ゴール前で伸び切れず3着が多かったのはそのためか。
あれだけ切れ味ある末脚を使えるのだから、器用だったならG1も夢ではなかったと思うが。





同じくシャコーグレイド
ナイスネイチャとは違いモッサリしたジリ脚タイプ。
晩年はブリンカーを着用していたように、反応も鈍いノンビリ屋さんという印象。
某血統評論家は「シャコーグレイドは世界に通用するステイヤー」とべた褒めした血統馬だったが、善戦マン止まり。





ロイスアンドロイス
おそらくは真面目に走らないタイプだったように思う。
騎手がゴーサインを出しても反応しなかったり、フッと気を抜く癖があったり。
実際はどうだったか知らないけど、度胸がありすぎて人間の手を焼かせるゴールドシップのような性格だったのではないかと。




1着の回数に比べて入着がやたら多い所謂「善戦マン」も、このように色々なタイプがいるようです。
競馬ゲームでは「底力がない」「勝負根性がない」の一言で片づけてしまうけど。





高知競馬での騎乗期間中、上で挙げた中でいえばロイスアンドロイスタイプの馬が転厩してきたんです。
人間のことを屁とも思わない、度胸のありすぎる馬。




オーナーがいらっしゃることだし馬名は伏せるが…、G としとくか。




Gの調教を任された森田は、最初は良かったものの次第に気の悪さを見せられはじめ、振り落とされたり蹴られそうになったりで毎日死ぬ思いをしていたため、先生がこりゃイカンということで金沢から来た名手・H騎手に一度任せてみることとなったのです。
で結果は、









イラストのとおりです。
H騎手を早々と振り落としたGは、その勢いで隣の馬に乗っていた森田を前脚で引きずり落としたんです。
こんなことが普通、あってたまるか。




「オレの馬が急にダンソンし始めたら、森田君がニーブラされた!!」




と興奮気味に話すH騎手。
そんなヤンチャな競走馬Gの通算成績は、39戦して3勝、3着は10回。
あぁ…やっぱり…。
典型的なロイスアンドロイスタイプだわ、こいつ。




しかしそんな善戦マンで勝ち切れないGも、高知に来てから金沢の名手・畑中騎手とコンビを組んだ途端、早くも2勝を挙げました。
調教はともかく、レースでは完璧に騎乗。
騎手には反抗する、ムチは嫌がる、先頭に立つと気を抜く、そんな馬をどうやって動かしてるのか。




畑中信司騎手、この人だけは別格。
高知へ来て以来、




「あぁ… あのお方が憧れの宮川実さん…。」 から始まり、そして


「うーんさすがに赤岡さんは凄い! 佐原さんも永森さんも、みんな上手いなァ…。」 ときて、そして最後に


「なんやこの人?! まるで馬の動きが違う…!!」 というトンデモないものを見せられた。




あのナムラダイキチがあれだけの成績を残せたのも、騎手の力が大きかったのではないかと疑ってしまう。
畑中さんを見て自分がいかに下手くそかを思い知った反面、不思議とヤル気や勇気もみなぎってきた。
オーストラリアの騎手生活では正直、




(所詮、ケイバは馬が全てだから騎手がいくら頑張ったところで大して変わらん。)
(喋りがダメで営業ヘタな自分はどうせ騎乗馬に恵まれず、成功はできない。)




…などと半ば諦めて腐ってた。
しかし「ウマは騎手でこんなにも変わるのか!」 という事実を目の前で見せられて衝撃を受けた。
それは例え人づきあいが苦手でも腕さえあれば一流になれるぞ、ということ。




森田が乗っていた馬が、畑中さんをはじめ高知のトップジョッキーが乗ると、もうスタートの一完歩めから違う。
馬乗りは奥深く、まだまだ研究し甲斐があるということも分かった。
こんなことはオーストラリアでは思ったことはなかった。
腐らずにやれるとこまで頑張ってみないと、研究して技術を磨いて磨いて上を目指さないと、という気になった。




「マキー、そんな馬でどうやって勝ったの?!」




とライバル騎手にビックリされるような騎乗がいつかできるようになりたい。
高知滞在中に、畑中騎手と騎乗期間が被ったのはほんとうにラッキーでした。
良い経験をさせて頂きました。




では畑中さん、YG君、M本さん、今日もGの調教おつかれさまでした。
殴られないように前脚には気をつけてください。




 
そういえば、高知での最後のレース騎乗馬はGだった。(返し馬で振り落とされた)