ChatGPTで対魔忍RPGの人間関係や恋愛度をチェックしてみた


最近、ChatGPTを試している。
どこまで創作に使えるかはまだ未知数で、色々と思いついたことを入力しては、返ってくる答えをチェックしているところだ。
そんな実験の一つとして、対魔忍RPGやそのキャラクターについて何も情報を与えずに、私が書いたショートトーク『彼女たちのバレンタイン』を読み込ませて*1、キャラクター同士の関係や恋愛度を推測させてみた。なかなか面白い結果が出たので公開する。
以下のやりとりは、私の入力とChatGPT「GPT-4」からの出力をそのまま(私の誤字も含め)記載したものだ。それに私のコメントを付け加えている。
なお、これはふと思いついて最初に試したときの結果であり、全く同じ文章を入力してもわりと違う答えが返ってきたので再現性はないし、実際のキャラクターの人間関係その他とも全く関係がないことをお断りしておく。

 

●まんたん
以下にケースごとに、バレンタインのチョコレートを渡す場面の会話を入力します。
あなたは会話の内容から登場人物たちの人間関係を推測して下さい。
もし可能であれば、チョコレートを渡している側がどの程度相手のことを好きかをさらに推測してください。
情報が少なくて推測できない場合は、推測不能と出力してください。
いいですか?


●GPT-4
はい、大丈夫です。ケースごとの会話を教えていただければ、登場人物たちの人間関係と相手への好意の程度を推測します。情報が不足している場合は、推測不能とお伝えします。どうぞ、会話を教えてください。


●まんたん
【ケース1】
さくら「ふああ~~~。ふうま君、おはよ~~~」
ふうま「おはよう、今日は早いな」
さくら「なんか変な時間に目が覚めてゲームしてたら朝になっちゃった。はいこれ」
ふうま「なんだ?」
さくら「チョコだよチョコ。今日なんの日か忘れてない? ザ・恋する乙女が切ない想いを伝える日~~♪ なんちて」
ふうま「……ああ、バレンタインか。くれるの初めてだな。どういう心境の変化だ」
さくら「むっふっふ♪ 実はふうま君への気持ちがじゃじゃーん! 突然ライクからラブに変わった――とかじゃないんだ。にひひ♪」
ふうま「じゃあなんなんだよ?」
さくら「んーーーなんとなく。そういえば今まであげてなかったなーってふと思っただけ。コンビニで買ってきただけで、全然手作りとかじゃないし、ふうまくん今年はまた沢山もらえるだろうけど、これもそれに加えといてって、まあそんな感じ」
ふうま「加えるもなにも今年はこれが初めてだ。ありがとうな」
さくら「どういたしまして。ふぁあ~~、やっぱりもうちょっと寝よかな。んじゃ、おやすみー」


●GPT-4
【ケース1】
登場人物たちの人間関係: 友達
チョコレートを渡している側の好意の程度: 軽い好意

さくらとふうまは友達の関係です。さくらはふうまに対して軽い好意を持っていると推測されます。さくらはふうまにチョコレートを渡す理由を「なんとなく」と述べ、手作りではないコンビニで買ったチョコレートを渡しています。これらの要素から、彼女の好意は軽いものであると考えられます。


このショートトークは対魔忍RPGのプレイヤー向けに書いたものだ。
プレイヤーはこのさくらが異世界から来た若いさくらであり、彼女がふうまへ恋愛感情をはっきり示すことを躊躇っていると知っている。
であれば、「なんとなく」や「手作りではなくコンビニ」が、わざと好意が軽いものであるように振る舞っているからと想像するだろうし、私もそれを期待して書いているのだが、初見のGPT-4にはさすがにそこまでは読み切れなかったようで字面通り解釈している。
「ふうまへの気持ちが突然ライクからラブに変わったのではない」というセリフも「もうずっと前からラブ」という遠回しなアピールなのだがGPT-4は気づいてない。ふうま君も気づいてないかは今回は関係ない。
ところで、恋愛の「ライク」と「ラブ」というと、ラブコメの名作『気まぐれオレンジロード』を思い出さずにはいられない。

 

●まんたん
その調子でお願いします。続くケースについては、全て同じ世界の出来事で、ケースNoが大きくなるほど、時間的に後の出来事とします。また呼称は違ってもチョコレートを受け取る側は全て同じ人物です。よろしいですか?

●GPT-4
了解しました。続くケースも同じ世界の出来事で、ケースNoが大きくなるほど時間的に後の出来事として扱い、チョコレートを受け取る側は全て同じ人物ということを考慮して、登場人物たちの人間関係と相手への好意の程度を推測します。どうぞ、次のケースを教えてください。

●まんたん
【ケース2】
鶴「ご主人様、おはようござ――ぬあっ!? その手に持っているのはもしやバレンタインのチョコ? こんな朝早くからそのような真似をするとは一体何者!?」
ふうま「そこでさくらからもらった。今年はなんかくれる気になったらしい」
鶴「さくらさんが!? そうですか……さくらさんが……」
ふうま「どうした?」
鶴「いえ……ご主人様の専属メイドとして、最初にバレンタインのチョコをお渡しすることができず申し訳ございません。どうぞこちらをお受け取り下さいませ。私からの溢れる気持ちにございます」
ふうま「おお、二つもか」
鶴「こちらはトリュフチョコです。生クリームを使っておりますのでお早めにお召し上がりください。こちらはご主人様のお好きなオランジェットです。小分けにして真空パックしていますのでこのままでも一ヶ月、冷凍して頂ければもっと長く保つと思います。どうぞごゆっくりお楽しみくださいませ」
ふうま「ありがとう。そういえばライブラリーにも渡したりするのか?」
鶴「ち、父上にですか? 用意はしております。亡き母には及びませんが、父上はボンボンショコラが好きとのことですので……」
ふうま「喜んでくれると良いな」
鶴「はい、私もそう願っております」

●GPT-4
【ケース2】
登場人物たちの人間関係: 主人(ふうま)とメイド(鶴)
チョコレートを渡している側の好意の程度: 強い好意、尊敬

鶴はふうまの専属メイドで、ふうまを「ご主人様」と呼んで尊敬しています。彼女は自分が最初にバレンタインチョコを渡すことができなかったことについて謝罪しており、ふうまへの気持ちが溢れるほど強い好意を抱いていることが伺えます。また、鶴はふうまの好みに合わせたチョコレートを用意し、保存方法やお召し上がりの注意点まで丁寧に説明しています。これらの要素から、鶴はふうまに対して強い好意と尊敬の念を持っていると推測できます。

 

ご主人様、専属メイドとあるので、主従関係だと分かるのは当然だ。それくらい分からなければ困る。好意と尊敬もまあ間違ってない。
ただこの会話は今まであえてチョコを渡してこなかったさくらが今回は渡したことに鶴が驚くところもポイントなのだが、GPT-4はそのあたりに全く触れていない。
ケース1と照らし合わせればそれも分かるはずだが、「ケースごとに推測」と私が入力したのがまずかったのかもしれないと思い、続けてこんなことを聞いてみた。

●まんたん
いいですね。ケース2では鶴がケース1のさくらについて話していますが、鶴がさくらにどのような感情を抱いているか推測できることはありますか?

●GPT-4
ケース2の会話から鶴がさくらに対してどのような感情を抱いているかを直接的に示す情報はありません。ただし、鶴が「さくらさんが!?」と驚いた様子で反応していることから、彼女がさくらの存在を意識していることは分かります。しかし、これだけの情報では鶴がさくらに対してどのような感情を持っているかを具体的に推測することは難しいです。

 


「彼女がさくらの存在を意識している」という回答は興味深いが、人間がこの「意識している」という言葉を見て考えるであろう、恋愛にまつわるややこしい感情のあれこれとかは全く含んでいないはずだ。「しかし」から続く文章からもそれが分かる。
ただ、もしこの「しかし」以降がなかったら、そこまで読んだ人間が勝手にあれこれ深読みすることはありそうだ。実際、ChatGPTはある文章から確率的に次に最も来そうな文章を出力してるだけなので、そもそも全てこちらの深読みだとは言える。

●まんたん
【ケース3】
蛇子「おはよう。ふうまちゃん。今年は学校がある日のバレンタインで良かったね。また結構もらえるかもって期待してるんじゃない?」
ふうま「まあ、ちょっとだけな」
蛇子「やっぱり。もらえるといいね。蛇子はそういうのとは関係なく今年もちゃ~んとふうまちゃんにあげるけどね。はい、ハッピーバレンタイン♪」
ふうま「ありがとう。毎年感謝してる。蛇子様々だな」
蛇子「どういたしまして。今年のはちゃんとタコ墨入りだよ」
ふうま「お、おう……そうか」
蛇子「もーー、そんな顔しなくても大丈夫だよ。前にふうまちゃんから美味しい墨入りクッキーお返しにもらったでしょ? だから蛇子もタコ墨を入れても、ううんタコ墨を入れたからこそ美味しくなるように工夫を凝らしてみたんだ。期待してて」
ふうま「タコ墨を入れないって方向性はないのか? 前にそういうのもくれただろう?」
蛇子「だってそれだとただ美味しいだけで、食べた瞬間にこれ蛇子のだって分かんないでしょ? やっぱりそれはつまんないなあって。今回は美味しいから大丈夫だよ。タコ墨だけじゃなく蛇子の気持ちもい~~っぱいこもってるし」
ふうま「分かった。本気で味に期待するぞ」
蛇子「うんっ、あとで感想聞かせてね」

●GPT-4
【ケース3】
登場人物たちの人間関係: 友達
チョコレートを渡している側の好意の程度: 良い友情、個性を大切にする程度の好意

蛇子とふうまは友達の関係です。蛇子はふうまに対して、毎年バレンタインチョコを渡していることから、良好な友情があると推測されます。また、蛇子はタコ墨入りチョコレートを渡すことで、自分の個性を大切にし、ふうまに分かりやすく自分のチョコレートだと伝えることを意識しています。これらの要素から、蛇子はふうまに対して個性を大切にする程度の好意を持っていると考えられます。ただし、この好意は恋愛感情というよりは友情に近いものであると思われます。

 

本編でもちょっとアピールが弱いことが気になる蛇子だが、GPT-4にも「恋愛感情というよりは友情に近いもの」と解釈されてしまった。毎年チョコレートを渡してるだけでは駄目ということだ。それを蛇子に言ってやれと思うが、本当に言ったら間違いなくタコ墨を食らうだろう。
ただ、「個性を大切にする程度の好意」という東方キャラの能力名みたいな言い回しはちょっと面白い。

●まんたん
【ケース4】
ゆきかぜ「はい、バレンタインのチョコ。お返しよろしくね。今年も期待してるから」
ふうま「いきなりお返しの催促からか。まあ頑張ってみるよ。ありがとう。しかし箱がデカいな。それに重いぞ。これケーキか?」
ゆきかぜ「ブラウニー。ちょっと作ってみたんだ。二種類入ってるから。チョコだけのオーソドックスな方はまあ普通のブラウニーで、ドライフルーツ入りのは自信作。ずっしり濃厚甘々って感じだから、濃いコーヒーとかと一緒に食べるといいかも。すぐに食べきれないようなら冷凍して。一ヶ月くらいもつから」
ふうま「分かった。しかしゆきかぜもケーキなんか作るんだな」
ゆきかぜ「なにその私はケーキなんか作りそうにないのにこれはおかしいぞってすごいイラッとする顔は?」
ふうま「悪く取り過ぎだ。前にお菓子作りはチマチマ計量しないといけないから面倒とか言ってたろ?」
ゆきかぜ「言ったっけ? そうだけど最近クリアがお菓子作り始めてて、それで私が横でなんにもできないってイヤじゃない? だからちょっとね」
ふうま「お姉さんとしては辛いところだな」
ゆきかぜ「そうなのよねー。クリアはカラスとチョコクッキー作ってた。後で別に渡すって。ちゃんともらってあげてね」


●GPT-4
【ケース4】
登場人物たちの人間関係: 友達、お姉さん(ゆきかぜ)と妹(クリア)の関係もあり
チョコレートを渡している側の好意の程度: 友情、家族愛

ゆきかぜとふうまは友達の関係であり、ゆきかぜはふうまに対してバレンタインチョコを渡しています。会話の内容から、お互いに気軽に会話ができる雰囲気で、友情があることが伺えます。また、ゆきかぜは妹のクリアについて話しており、家族愛も感じられます。ただし、ゆきかぜの好意は友情や家族愛を示すものであり、恋愛感情とは異なると思われます。

 

「家族愛であり恋愛感情ではない」とゆきかぜが聞いたら「AIが余計なお世話」と怒るだろう。
ここは二人の間でバレンタインにチョコを渡すという行為がもう当たり前になっているのが親密さを示すポイントなのだが、そこに気づかなかったとしても「家族愛」というフレーズをもってきたのは面白い。
確かに対魔忍RPGの本編中、ふうまとゆきかぜがクリアとカラスを連れて、まるで家族のように海に遊びに行くといったエピソードがある。
無論、GPT-4がそれを知るわけがないので、クリアとカラスの話題や「お姉さん」といったフレーズからそう類推してくれたようだ。
それにしても、バレンタインにチョコレートを渡すだけでは、GPT-4は恋愛ではなく、友達としか思ってくれないらしい。やはりアメリカ生まれだけに毎日ストレートにアイラブユーとか言わないとダメなのだろうか。

●まんたん
【ケース5】
マヤ「あの……フーマ、私もバレンタインのチョコというのを用意してみました。私の世界にはそういう風習はないのですが、寮でみんながすごく盛り上がってましたし、フーマはきっと私からのチョコを期待してると言われたので……そうでしたか?」
ふうま「まあ期待というか、マヤ様からもらえたら嬉しいなとは思ってました。もらえるんですか。ありがとうございます」
マヤ「よかった。郷に入れば郷に従えと言いますものね。チョコに気持ちを託すというのはとても素敵ですし。……あ、でも勘違いしないでください。これを渡したからと言ってあなたが好きだとかそういうわけではありませんから。いえ、あなたが嫌いというわけではなく、好きか嫌いかで言ったら……それはその好きですが、男女の恋愛的な意味ではなく、つまりなんというか、いつも私に色々尽くしてくれているあなたへの感謝、そう感謝の気持ちを込めてのチョコです。そこは勘違いしないように。いいですね」
ふうま「もちろん分かってます」
マヤ「よろしい。こっちでいつの間にかあなたと恋仲になってたりしたら、姫姉さまになんて言われるかわかりませんもの」
ふうま「え? そういう心配をするってことは可能性はあるってことですか?」
マヤ「か、可能性の問題ではありません。主と従者とはある意味、恋人以上、夫婦以上に親密な関係になるのですから、私たちもお互いに節度を守りましょうとそういうことです。あなたいつも一言多いです。もう。黙って受け取りなさい」

●GPT-4
【ケース5】
登場人物たちの人間関係: 主従関係
チョコレートを渡している側の好意の程度: 尊敬、感謝

マヤはフーマに対して、主従関係にある者同士としての尊敬と感謝の気持ちを持っています。彼女は自分の世界にはバレンタインの風習がないにもかかわらず、寮での盛り上がりやフーマの期待を受けて、バレンタインチョコを用意しました。しかし、彼女は明確に恋愛感情ではなく、感謝の気持ちを込めたチョコだと伝えています。彼らは主従関係にあるため、互いに節度を守ることが重要であるとマヤは考えています。したがって、マヤの好意は尊敬や感謝を示すものであり、恋愛感情とは異なると思われます。

 

マヤがチョコを渡した理由を話しているとき、そのセリフをどんな調子で言っているかは全く書いていないが、ここはあえて長文にすることで、やたらと早口で言い訳しているのだろうと読み取ってくれることを期待して書いている。
それに加えて、恋愛の可能性について聞かれ、「か、可能性の問題ではありません。」とちょっと焦っているセリフが入れば、本心を隠すための照れ隠しだと分かって欲しいのだが、書いてあることをそのまま解釈してしまうGPT-4には難しいようだ。
というか、そういうAIなのでそれで正しい。「この入力はあなたの本心ではないと思われます。あなたの本心を推測すると―――」とか答え始めたら嫌だ。

●まんたん
【ケース6】
まり「……ふ、ふうま君、ちょっといいかな?」
ふうま「おっ、まりか? もしかしてバレンタインのチョコか?」
まり「うわっ、すごい勢いで来た。……う、うん。また私たち三人も用意してみたんだ。よかったら受け取ってくれるかな?」
ふうま「もちろんありがたく受け取るが、私たち三人って?」
まり「ふぇっ? あっ、舞ちゃんも卯奈ちゃんもいない!? なんで!? あーーーあんなとこに隠れてる! なんでえ??」
ふうま「やっぱり一人ずつ渡そうってことなんじゃないのか? どちらかといえば俺もそっちの方が嬉しいしな」
ふうま「え? そう? 一人ずつの方がいい?」
まり「なんかバレンタインって感じがするだろ。今にも告白しそうな感じで」
ふうま「ふぇええ? ここ告白? わ、私、今ここでふうま君に告白とか無理無理無理。いきなりそんなことできないよ~~」
ふうま「いや、告白しろとかではなくてだな。そういう雰囲気があっていいなという話だ」
まり「あ、ふいんきふいんきね。そうだね。そういうのはいいよね。じゃ、じゃあ……はい、ふうま君! 私からのえとえと……き、気持ちですっ!」
ふうま「ありがとう」
まり「私も受け取ってくれてありがと! それじゃねっ! も~~~~、舞ちゃん、卯奈ちゃん、いきなりいなくなるなんてひどいよーーーー!!」


●GPT-4
【ケース6】
登場人物たちの人間関係: 友達
チョコレートを渡している側の好意の程度: 友情

まりはふうまに対して友達としての気持ちを持っています。彼女は舞ちゃんと卯奈ちゃんと一緒にバレンタインチョコを用意しましたが、二人はいきなりいなくなり、まりがひとりでふうまにチョコを渡すことになります。まりは告白という意味ではなく、友情を示す気持ちとしてチョコを渡しています。彼女はふうまに対して恋愛感情を持っているわけではないようですが、バレンタインの雰囲気を楽しんでいる様子が見られます。したがって、まりの好意は友情に基づいていると考えられます。

 

どこをどう読んだら「バレンタインの雰囲気を楽しんでいる様子」が見られるのか謎だ。むしろまりに楽しむ余裕などなく、思いきり緊張してチョコを渡している風に書いたつもりなのだが。
チョコレートを渡すのにとても緊張しているということは、恋愛感情がありそうと推測して欲しかったのだが、GPT-4には無理だったか。まりちゃん、残念。

●まんたん
【ケース7】
舞「ふうまさん、お待たせしました。私からのほんの気持ちです」
卯奈「ふうま君、私からもこれ気持ち。いつも色々ありがとねっ!」
ふうま「二人ともありがとう。なんかまりが向こうで怒ってるがいいのか?」
舞「いいんです。そんなことより、まりちゃん先輩、ふうまさんにチョコを渡すときになにか言いましたか?」
卯奈「うんうん、それ私も聞きたい。まりちゃんふうま君になんて言ったの? なんてなんて?」
ふうま「いや、普通に私からの気持ちって」
卯奈「あちゃ~~~~~」
舞「まりちゃん先輩、相変わらずですね」
卯奈「でもでも、まりちゃんにしてはすごく頑張ってた。それ伝わってきた。その『私からの気持ち』にきっとすごい気持ちがこもってたと思うな。だよね、ふうま君?」
ふうま「う、うん? そうなのか?」
卯奈「こっちもだ~~~」
舞「こういう人ですから」
卯奈「しょうがないか。……あ、そうだ、ふうま君、私があげたチョコ餅、あんまり日持ちしないんだって。できれば今日中に食べて。ごめんね」
ふうま「分かった。チョコ餅とは卯奈らしいな」
卯奈「でしょ? すっごく美味しいよ」
舞「私のはカカオ100%のダークチョコレートです。買ってきたものですから日持ちします」
ふうま「そりゃまた苦そうだな」
舞「と思うでしょうが、これは甘くてなめらかです。きっと気にいると思います」
卯奈「舞ちゃん、本屋に行く回数も減らして、色んなお店でチョコ探してたもんね」
舞「そ、それはせっかくあげるのですから美味しい方がいいですし。では、失礼します。お返しはまた京千代紙でお願いします」
卯奈「舞ちゃん、お返しのリクエストするんだ。すごいね。じゃあ私はお餅を使ったお菓子がいいな。ふうま君、よろしくねっ!」

●GPT-4
【ケース7】
登場人物たちの人間関係: 友達
チョコレートを渡している側の好意の程度: 友情

このシーンでは、舞と卯奈がふうまにバレンタインのチョコを渡しています。二人はまりと同じく友達としてふうまに対して気持ちを持っており、それぞれが選んだチョコを渡すことで、友情を示しています。卯奈はチョコ餅を選んでおり、舞はカカオ100%のダークチョコレートを選びました。両者ともに、ふうまに対して感謝や友情を込めたチョコを渡しており、恋愛感情は見られません。

また、舞と卯奈はお返しのリクエストもしていますが、これも友達同士のお願いであり、特別な意味を持っているわけではありません。したがって、舞と卯奈の好意の程度は友情に基づいていると考えられます。

 

このケースは、舞と卯奈がチョコを渡すついでに、さっきのまりの様子を興味津々で聞く所がポイントなので、舞と卯奈についてはただの友情となっても無理はない。
プレイヤーであれば、舞が本屋に回数を減らしてまでチョコを探しにいったというくだりで、まりに劣らぬラブ度だと分かるのだが、GPT-4にそれが分かるはずがない。
ただ、お返しのリクエストを「特別な意味を持っているわけではありません」というのは言い過ぎである。そんなことどこにも書いてない。『少女ファイト』の「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前ん中ではな」という言葉を進呈したい。
そこは気になったが、続けてこんなことも聞いてみた。

●まんたん
まりは舞と兎奈と一緒にチョコレートを渡すつもりでしたが、舞と兎奈はまりに気づかれないように別行動をとっています。この理由として推測できることはありますか?

●GPT-4
舞と卯奈(兎奈と書かれていますが、以前のシーンから推測すると卯奈と思われます)がまりに気づかれないように別行動をとる理由として、いくつかの推測が考えられます。

まりの緊張を和らげるため: まりが緊張しているのを察知し、舞と卯奈がわざと別行動をとってまりに一人でふうまにチョコを渡すチャンスを与えているかもしれません。これによって、まりは自分の気持ちを伝える機会を得られ、自信をつけることができるでしょう。

ふうまとの個別の関係を大切にするため: 舞と卯奈はそれぞれ、ふうまとの個別の関係を大切にしたいと考えているかもしれません。そのため、一人ずつチョコを渡すことで、それぞれの友情を深めることができると考えているのかもしれません。

まりのサプライズを演出するため: 舞と卯奈は、まりがふうまにチョコを渡すシーンをサプライズにすることを計画しているかもしれません。彼女たちが別行動をとることで、ふうまに対して予想外の展開が生まれ、その後の舞と卯奈からのプレゼントも印象的になるでしょう。

これらの推測の中から、舞と卯奈がまりに気づかれないように別行動をとる理由を考えることができます。しかし、具体的な理由は登場人物たちの心情や物語の背景によって変わるため、断定的な答えはありません。


まず私の誤字に気づいて、ちゃんと卯奈について答えたのはえらい。
二人が別行動をした理由についても、それを推測できる情報は殆どないにも拘わらず、これだけ色々提示してきたのは興味深い。
ただ「まりの緊張を和らげるため」などど、まりの時には全く言っていなかったことを突然言いだしたあたりは気になる。

●まんたん
【ケース8】
舞華「よう、ふうま。ここにいたのか。なんか色んな奴からチョコもらってるみてえじゃねえか。お前もなかなかやるな。俺も持ってきたぜ。お前には筆頭の件やらなにやらですげえ世話になったからな。今年はちょいと気合入れたぜ」
ふうま「気合って自分の炎で料理するとかしたのか?」
舞華「しねえよそんなこと。普通に東京の銀座に行ってチョコの専門店で買ってきたんだよ」
ふうま「そういう話か。銀座のチョコの専門店とか高かったんじゃないのか。悪いな」
舞華「いいってことよ。俺も一度行ってみたかったからよ。ものすげえゴージャスな店で俺としたことがちょっと中に入るのに躊躇っちまったよ」
ふうま「そんなにか。舞華もそういう店にはやっぱり可愛い格好で行くのか?」
舞華「うるせえな。俺だって場所柄くらいは考えるよ。……ちっ、可愛いとか余計なことを。鉄志の兄貴に言われたこと思い出しちまったじゃねえか」
ふうま「鉄志さんがどうかしたのか?」
舞華「いいからちょっと黙ってろ。今から渡すからよ。すーーはーーすーーはーーー、『ふうま君、これ私の気持ち、受け取って♪』」
ふうま「熱でもあるのか?」
舞華「ねえよ! バレンタインのチョコ渡すときくらい普通の女の子みてえにしたらどうだって言われたんだよ。こんなの全然俺らしくねえよ。いいからもらっとけ!」


●GPT-4
【ケース8】

登場人物たちの人間関係:
ふうまと舞華は友人同士であり、お互いに慣れ親しんだ関係にあります。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
舞華はふうまに対して友情や感謝の気持ちを持っており、そのためにバレンタインのチョコレートを渡す決意をしています。恋愛感情は明確には示されていませんが、舞華はふうまに対して何らかの特別な感情を抱いている可能性があります。

 

ここで初めてGPT-4が「何らかの特別な感情の可能性」を読み取ってくれた。
しかし理由が分からない。
今までのパターンからして「舞華が普段はしないような言い回しをしたのはふうまに特別な感情があるからである」などとは推測しないはずである。
「銀座のチョコの専門店」=「値段が高い」=「特別な感情」ということだろうか。拝金主義なのか?

●まんたん
人物(~~~)と、括弧でくくられている場合は、その人物が実際に口に出しているセリフではなく、心の声と見なして下さい。

【ケース9】
伊紀「ふ、ふうま君っっ!! ちょっといいかしら?」
ふうま「磯咲か。なんだ? もしかして今年もバレンタインのチョコか?」
伊紀「え、ええ、そうなの。またふうま君にもらってもらおうかと思って。私もみんなみたいにバレンタインの気分を味わってみたいし、でも別にそんなに好きじゃない人に渡して勘違いされたらイヤだし……あ、違うの。ふうま君のことが別にそんなに好きじゃないとかじゃ全然なくて、ふうま君はそういう私の気持ちを汲んで普通に受け取ってくれるから、つい甘えちゃって。ごめんなさいね。私の勝手にいつも付き合ってもらって」
ふうま「いやいや、チョコをくれるだけで嬉しいよ。いつも立派なのをありがとう」
伊紀「う、ううん、私ちょっと加減が分からないところがあるから、いつも張り切り過ぎちゃって、今回もこんなになってしまったわ。大げさすぎたらごめんなさい。はい、ふうま君、受け取ってください」
ふうま「ありがとう。お返しはちゃんとするから」
伊紀「い、いいのよ。私が勝手にあげてるだけなんだから。そんなに気を遣わないで。でもありがとう。ふうま君。それじゃ」
伊紀(今年もちゃんと渡せたわ。言葉は普通だったけど、表情と仕草で私の溢れる想いを精一杯込めることができたわ。彼に群がる有象無象のメスブタたちとは絶対に違うはずよ。そうに決まってるわ)

●GPT-4
【ケース9】

登場人物たちの人間関係:
ふうまと伊紀は友人同士であり、伊紀はふうまに対して信頼しています。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
伊紀はふうまに対して友情や感謝の気持ちを持っており、そのためにバレンタインのチョコレートを渡します。彼女はふうまに対して恋愛感情を持っているかもしれませんが、それを直接的に表現することはありません。代わりに、彼女は表情や仕草で自分の想いを伝えようとしています。

 

また字面通り解釈して「伊紀はバレンタインの気分を味わってみたいだけと言っていますので、伊紀の好意の程度は友情に基づいていると考えられます」などと、伊紀が聞いたら激怒しそうな答えがくるかと思ったが、それよりはましに解釈してくれたようだ。
しかし、伊紀が自分の本心をうまく伝えられなくて、やたらと喋ってしまうというニュアンスはここでも伝わっていない。そのへんは期待するだけ無理そうだ。
そうそう、「バレンタインの気分を味わってみたかっただけ」という答えで、私は『GS美神 極楽大作戦!』に出てくる机の妖怪を思い出した。教室の片隅からちょっと切なそうな目で横島を見ているラストシーンが印象に残っている。

●まんたん
【ケース10】
心寧(わあ、磯咲さんもふうま君にチョコあげるんだ。いつも渡してたみたい。すごいなあ。全然気づかなかった。ふうま君の前ではあんな顔するんだ磯咲さん。私も頑張らなきゃ。去年は家のそばまで行ったのに勇気がでなくて帰っちゃったし。今年はみんな渡してるから逆に目立たなくていいよね)
心寧「ふうま君、いつもありがとう。これ私の気落ちです。受けとってください。――うん、いけるいける」
心寧「……あ、あの……ふ、ふうま君? ちょっといいですか?」
ふうま「おお、心寧か、どうした?」
心寧「え……あのその……きょ、今日はバレンタインだから……私も……ふうま君にあげようかなって……」
ふうま「え? くれるのか?」
心寧「は、はい……イヤじゃなければですけど。受けとってもらえますか?」
ふうま「イヤなんてとんでもない。もちろん受け取るよ」
心寧「ああよかった。じゃあこれ。ふうま君。いつもありがとう。私の気持ちです。受け取ってください」
ふうま「うん。ありがとう」
心寧「ど、どういたしまして。そ、それじゃあ、ふうま君。またね」
心寧(やった。私ちゃんと渡せた。ふうま君も受け取ってくれた。すごく意外そうな顔してたけど、全然そういう対象じゃないのかな私? ううん、そこは気にしない気にしない。これが最初の一歩なんだから。磯咲さんを見習ってもっと頑張らなきゃ)

●GPT-4
【ケース10】

登場人物たちの人間関係:
ふうまと心寧は友人同士であり、心寧はふうまに対して感謝の気持ちを持っています。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
心寧はふうまに対して好意を持っており、バレンタインのチョコレートを渡す勇気を振り絞っています。彼女はふうまに対して恋愛感情を抱いている可能性が高く、磯咲さんを見習って今後もっと頑張ろうと決意しています。

 

「ふうまに対して恋愛感情を抱いている可能性が高く」としっかり読み取ってくれている。
勇気を振り絞ってということも分かっている。
もちろんこれは「勇気」というフレーズが入っていたからだろう。
ChatGPTは元々そういうものだが、やはりちゃんと書けばそれなりに理解してくれるようだ。

●まんたん
【ケース11】
きらら「なんか知らないけど、アイツ次から次へとチョコもらってるわね。意外とモテるんじゃないの。拍子抜けしちゃった。これどうしようかな」
孤路「きらら、こんなとこで何してるの?」
きらら「うわっ!? 幽霊みたいにいきなり背後に現れないでよ。べ、別になにもしてないわよ」
孤路「今さっと隠したのはふうま君にあげるチョコ?」
きらら「なんだっていいでしょ。っていうかなんであげる相手がふうまなのよ?」
孤路「他にいるの? それは知らなかった。意外。誰?」
きらら「他にって、そりゃいないけど、これはふうまにあげようかなって持ってきたけど……コロこそこんなとこに何しに来たのよ?」
孤路「私? ふうま君にチョコをあげにきた」
きらら「えっ? あげるの?」
孤路「何度かあげてる。ふうま君すごく喜んでくれるし、私も普通にあげたいから」
きらら「そうなんだ。まさか本命? 違うわよね? 義理でしょ?」
孤路「ふふ、本命だったらどうする?」
きらら「べ、別にどうもしやしないけど、すごいビックリするわよ。コロがふうまになんて想像もしてないし」
孤路「そうなんだ。じゃあもっと驚かせようかな。実はね、私とふうま君、かなり前から付き合ってるの。みんなには内緒だけど」
きらら「うそ……」
孤路「くすくす、冗談。だったら面白いかもって今思っただけ。驚いた?」
きらら「ちょっとあんたねえ!!」
ふうま「あれ? きらら先輩にコロ先輩!?」
きらら「ふうまっ!?」
孤路「あーあ、見つかっちゃった。そのチョコどうするの?
きらら「渡すわよ。これで持って帰ったら馬鹿みたいでしょ。ふうま、はいこれ、バレンタインのチョコ!」
ふうま「え? ありがとうごさいます。きらら先輩からチョコもらえるなんて嬉しいです」
きらら「言っとくけど義理よ。あとクリスマスの時とか色々話聞いてくれたからそのお礼!」
孤路「クリスマスの時の話ってなに?」
きらら「な、なんだっていいでしょ!」
ふうま「コロ先輩、すいません。それは俺ときらら先輩の秘密なんです」
きらら「ちょ、ちょっと。そんな秘密とか言わなくていいって」
孤路「ふふ、そうなんだ。二人だけの秘密。すごくいいと思う。じゃあ私からもこれ。きららほどインパクトはないけど」
ふうま「そんなことありません。ありがとうございます。コロ先輩」
孤路「それと放課後、図書室に行ってあげてね」
ふうま「ああ、わかりました」
きらら「なんで図書室?」
孤路「それは私とふうま君ともう一人の秘密」

●GPT-4
【ケース11】

登場人物たちの人間関係:
ふうまはきららと孤路と友人であり、互いに親しく接しています。ふうまときららはクリスマスの時に何らかの話を共有しており、それは二人だけの秘密です。また、孤路はふうまと図書室で会う約束をしています。

チョコレートを渡している側の好意の程度:

きららはふうまに対して友達としての感謝を持っており、バレンタインのチョコレートを渡しています。彼女はチョコを義理と言っているが、クリスマスの時の話を引き合いに出してお礼として渡している。
孤路はふうまに対して友達として普通にチョコを渡しており、過去に何度か渡していることが示唆されています。彼女の好意の程度は恋愛感情とまでは明示されていませんが、ふうまとの秘密を持っていることから親しい関係であることが伺えます。


きららも孤路もふうまとの秘密を持っているというやりとりだが、そこを恋愛判定のためのプラス要素として推測してくれたようだ。
しかしここまで見る限り、GPT-4は「恋愛感情に気づかれたくないので慌てている、その気持ちをわざと隠している」といったことを読み取るのは苦手なようだ。
私がそのように書けていない可能性もあるし、そういうことをちゃんと書けているかチェックしてもらうのがAI本来の仕事という気もするが、今は気にしないことにする。

●まんたん
「お館くん」とは、紫水のふうまに対する呼称です。
推測をお願いします。

【ケース12】
紫水「お館くん、待ってたよ」
ふうま「これはチョコを期待してもいいのかな?」
紫水「もちろん。今日わざわざ呼び出しておいて違う用事だったら、お館くんガッカリでしょ?」
ふうま「そりゃなあ」
紫水「じゃあこれ。ハッピー・バレンタイン♪ 手作りとかじゃなくてゴメンね。これもコロに買ってきてって頼んだものだし。でもどんなチョコにするかは自分で選んだよ」
ふうま「ありがとう。前もって言ってくれれば実体化するのを手伝ったのに」
紫水「んーーーー。でもそしたらお館くん、私がどこになにしに行くか気になるでしょ? 一緒に買いに行くのも変だし。前は偶然そうなったけど」
ふうま「そうだったな」
紫水「でも、お館くんちょっと変わったね」
ふうま「なにが?」
紫水「今日のこの姿。バレンタインなのにエッチな格好じゃない。今日はお館くんにどんな格好させられるかドキドキしてたのに」
ふうま「あのな。今までだってああいう格好にさせたかったわけじゃない。たまたまフッと頭に浮かんだだけだ」
紫水「うふふ、そういうことにしておいてあげる。いつかお館くんの力を借りずに実体化できるようになったら、お館くんの溢れるエッチな妄想――じゃなかった、たまたまフッと頭に浮かぶのに頼らずに、私が自分でそういう格好してあげる」


●GPT-4
【ケース12】

登場人物たちの人間関係:
ふうまと紫水は親しくて、お互いを呼び出したり、プレゼントを渡したりしています。紫水はふうまを"お館くん"と呼んでいます。また、ふうまは何らかの能力を持っており、それを使って紫水を実体化させることができるようです。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
紫水はふうまにチョコレートを渡しており、それを期待させています。彼女は手作りではなく、孤路(コロ)に買ってきてもらったチョコレートを選んで渡しています。紫水のふうまに対する好意は、友達以上の親密さが感じられるものの、恋愛感情にまで至っているかは明確には示されていません。ただ、紫水はふうまのエッチな妄想や、実体化に関して冗談混じりに話しており、お互いに親密な関係であることが伺えます。

 

恋愛感情とまでは思ってもらえなかったが、それよりはプラスに解釈してくれたようだ。
まずコロ=孤路とちゃんと認識しているのに感心した。
そして驚くべきは、この会話をSFファンタジーとして消費してくれなどとは一言も言っていないのに「実体化」というフレーズから、ふうまは何らかの能力を持っていて、それを使って紫水を実体化させていると答えたことだ。
もちろん、ただ実体化という言葉をそれっぽく使っただけで、実体化とはいったいどういうことなのか、そうやって実体化する紫水がどんな存在なのかはGPT-4は全く分かっていないだろう。
実際にはその能力を持っているのは孤路の方で、プレイヤーであればさっき彼女が言っていた「図書館」というセリフは、そこで紫水が待っているという意味であり、ふうまと紫水が話しているこの場所には実は孤路もいる(紫水を実体化させるために自分の身体を使わせている)と分かるのだが、そんなことはどこにも書いてないので、それをGPT-4に分かれというのは無理だろう。

●まんたん
「おやびん」とは、覚醒リリムのふうまに対する呼称です。
推測をお願いします。

【ケース13】
覚醒リリム「おーやびーん、学校お疲れさまーー。どうだった? チョコいっぱいもらえた?」
ふうま「まあ、結構もらえたよ」
覚醒リリム「やるじゃん。最近のおやびんモテモテだね。ではいよいよ、おやびんガチラブ勢第一位のリリムちゃんがおやびんのために準備したとっておきのチョコを――」
ふうま「『私を食べて』とかいうのはいらんぞ」
覚醒リリム「えーーーーー? そっちの方がよかった? しまったーー。私、普通にチョコ持って来ちゃったよ。ごめんねおやびん、今すぐ裸リボンになって、おやびんに食べられるからね。脱ぎ脱ぎ~~」
ふうま「しなくていいと言ってるんだ。やめんか」
覚醒リリム「あっ、そうだった。ざーんねん。じゃこれ。私が普通に手作りしたチョコ。おやびん、受け取って」
ふうま「ありがとう。へえ、手作りか」
覚醒リリム「みんながやってたみたいに、売ってたチョコ溶かして固めただけだけどね。でもでも聞いて聞いておやびん。私ね、それやってるとき、すっごいドキドキしちゃった。みんながバレンタインで盛り上がるのなんか分かった。もしかしたら淫魔でこんな気持ちを味わったのは私が最初かもしんない」
ふうま「そりゃまあ、淫魔は簡単に相手を誘惑できるからなあ」
覚醒リリム「そうなのそうなの。だからおやびんありがとね。私をこんな気持ちにさせてくれて。てへへっ」


●GPT-4
【ケース13】

登場人物たちの人間関係:
ふうまと覚醒リリムは親密な関係であり、覚醒リリムはふうまを"おやびん"と呼んでいます。覚醒リリムは淫魔であり、ふうまに対して特別な気持ちを持っていることが伺えます。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
覚醒リリムはふうまにチョコレートを渡すことで、彼に対する好意を示しています。彼女は手作りのチョコレートを用意し、その過程でドキドキした気持ちを経験しています。覚醒リリムは、淫魔としては珍しく、ふうまに対して誘惑を使わずに自分の気持ちを伝えることに喜びを感じています。

覚醒リリムは、「おやびんガチラブ勢第一位」と自称し、自分のふうまに対する好意を強調しています。彼女の好意は、友達以上の親密さであり、恋愛感情にまで至っていることが明確に示されています。


ついに恋愛感情だと判断してくれた。
さすがリリム、伊達に覚醒していない。
色々と興味深い点はあるが、「淫魔としては珍しく、ふうまに対して誘惑を使わず」とぼんやり匂わせてはいるものの、はっきり明示していないことを指摘したのは素晴らしい。
また「おやびんガチラブ勢第一位」などという、わりとおかしな日本語をちゃんと解釈しているのも驚きだ。

●まんたん
カラスは人語を話すことができないため、「 」内のセリフは身振り手振りによって伝わってくる雰囲気と解釈してください。
推測をお願いします。

【ケース14】
クリア「ふうま、はーぴーばれんたいん。はい、わたしたちのチョコ、今年もあげる」
カラス「……♪ ……♪」
ふうま「ありがとう。今年は二人でチョコクッキー作ったそうだな。ゆきかぜに聞いたぞ。頑張ったな」
クリア「頑張った。ね、カラスちゃん?」
カラス「……! ……!」
ふうま「最近、お菓子作りを始めたんだって?」
クリア「うん。ゆきかぜが今年はふうまにブラウニーつくるって。だからわたしとカラスちゃんも」
ふうま「ん? 先にお菓子作り始めたのはゆきかぜなのか?」
クリア「そう、なんで?」
ふうま「いや、それならそれでいいんだ」
カラス「……? ……?」
クリア「ふうま、今ここでたべてみて」
ふうま「いいのか?」
クリア「うん」
ふうま「じゃあ遠慮なく。綺麗にラッピングされてるな。これも大変だったろう。いただきます。……うん、美味い。すごく上手にできてるぞ」
クリア「いっぱい練習した。何回もつくった」
カラス「………! ……!」
ふうま「二人ともありがとうな。……ん? 中になんか入ってる」
クリア「それ、ふぉーちゅんくっきー。カラスちゃんのアイデア
ふうま「おお、すごいなカラス」
カラス「……♪ ……♪」
クリア「なんのマーク? ハートが大あたり。星がちょっとあたり。○がふつう。×がハズレ」
ふうま「ハズレはいらなくないか?」
クリア「ゆきかぜがそういうのはハズレも入れないとダメだって」
ふうま「全くあいつは。こういうのに限って……ほら、ハズレだ」
クリア「いきなりそれ。びっくり」
カラス「~~~~」
ふうま「なあ?」
クリア「じゃあ、これで埋め合わせ。カラスちゃんと一緒に……ほっぺにちゅ♪」
カラス「……♪」

●GPT-4
【ケース14】

登場人物たちの人間関係:
ふうま、クリア、カラス、ゆきかぜは友人関係です。クリアとカラスは親しい関係で、一緒にチョコレートクッキーを作りました。ゆきかぜもふうまと仲が良く、彼にブラウニーを作ると言っていました。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
クリアとカラスはふうまに対して友達としての好意を持っており、バレンタインデーにチョコレートを渡すことでその好意を示しています。特に、クリアはふうまにチョコクッキーを渡すために多くの練習をしており、彼に美味しいものを食べさせたいという気持ちが強いです。

また、ふたりはふうまにちゅ♪をしていることからも、親密な友達関係であることがわかります。ただし、これは友達以上の恋愛的な感情ではなく、仲の良い友人としての行動と解釈できます。

さらに、ゆきかぜもふうまに対して友達としての好意を持っており、彼女はバレンタインデーにちょっとした遊び心を取り入れたチョコレートを提案しています。これは、ふうまとの仲が良いことを示していますが、恋愛感情まで至っているかは明確ではありません。


「ちゅ♪」をキスと解釈してくれているかは不明だが、それくらいでは恋愛的な感情だとは思ってくれないようだ。GPT-4は恋愛判定のハードルが高い。
さらに、ここでは登場していないゆきかぜについても再び推測してくれているが、またしても友達としての好意止まりだ。
ここまで読んで、実はゆきかぜの方が先にお菓子作りを始めていたことが判明するのだが、そのあたりは全く読み取れなかったようだ。
質問の距離が離れているので、前に書いたことを忘れがちなGPT-4が先のゆきかぜとこのゆきかぜを同一人物と見なしているかも不明だ。
ちなみに、ゆきかぜはふうま君に嘘を吐いていたわけではなくて、バレンタインにチョコをあげるのがあまりに普通になりすぎて、「今年はなんか作ろうかな」くらいの軽い気持ちだったため、おそらく自分が先にお菓子作りを始めたことをすっかり忘れている。

 

●まんたん
【ケース15】

アスカ「ふうま、遅いじゃない。なにやってたのよ」
ふうま「なにって学校行ってたんだが。今日うちに来るなんて言ってたか?」
アスカ「言ってないけど、今日はバレンタインデーよ。私、去年は直にチョコ持ってきてあげたんだから、言わなくたって今年も私が来るかなとか思わない?」
ふうま「また無茶なことを。頼むから前もって教えてくれよ。ちゃんと待ってるから。いつかの義理チョコの時といい、なんでいつも言葉足らずなんだ」
アスカ「うるさいわね。私も昨日までずっと潜入任務だったし、今朝急に『あ、今日バレンタインだ』って思い出したんだもの」
ふうま「あのなあ」
アスカ「もういいって。せっかくのオフなのにこんなとこまで来てずっと待ってて悔しかったから、ちょっと文句言ってみただけ。はい、バレンタインの義理チョコ」
ふうま「ありがとう。この紙袋は前にもくれたすごい美味くてすごい高いチョコだな。フランス製とかいう」
アスカ「あ、覚えてた? そう、私の一番好きな店。せっかくあげるんだもの。たとえ義理でも一番いいものを食べてもらいたいじゃない?」
ふうま「そうか、ありがたく頂くよ」
アスカ「って言いつつ、お返しになにあげたらいいかプレッシャーがすごいって顔してる。別にそんな頑張らなくてもいいって。ふうまの懐事情はよーく分かってるし。それに去年くれた箱にリスの絵が描いてるクッキー。あれ可愛くてすごくよかった。今も小物入れに使ってる。ああいう気の利いたのがいいな。また私のために色々考えてね。期待してるからっ」


●GPT-4
【ケース15】

登場人物たちの人間関係:
ふうまとアスカは知り合いで、おそらく友人関係です。アスカはふうまにバレンタインデーの義理チョコを渡しており、お互いに連絡が取れる程度の親密さがあります。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
アスカはふうまに対して、友人としての好意を持っています。彼女はバレンタインデーにわざわざふうまの家に来て、フランス製の高級チョコレートを渡していることから、彼に対しての気持ちを大切にしています。ただし、彼女自身が「義理チョコ」と言っているため、恋愛感情には発展していないと考えられます。

また、アスカはふうまの懐事情や好みについても理解しており、お返しについても気を使っている様子です。これは、友達としての関係が深いことを示しています。アスカはふうまに対して期待を持っており、今後もふうまが彼女のために気の利いたプレゼントを考えてくれることを望んでいます。これも友達としての好意の表れであり、恋愛感情には発展していないと解釈できます。

 


やはり「義理」と口に出してしまうと、恋愛感情とは判断してくれない
せっかくのオフなのにこんなとこまで来てずっと待っててフランス製の高級チョコレートを「義理」で渡す人物などいないということが理解できないようだ。
アスカのような回りくどくて面倒くさい子にはGPT-4は鬼門と言えよう。 
なお、アスカが買ってきた一番好きなチョコとは『ラ・メゾン・デュ・ショコラ』を、ふうま君がおかえしに選んだクッキーとは『西光亭』をイメージしている。私も好きだ。アスカじゃないが箱もとっておいて小物入れに使っている。

●まんたん
以下のケースはチョコレートを渡す場面そのものではなく、そのことについて電話で話している場面です。
推測をお願いします。

【ケース16】
ドロレス「わ、私、ドロレス。ふうま、バ、バレンタインのチョコ、ちゃ、ちゃんと届いた?」
ふうま「ああ、届いたよ。ありがとう。今ちょうど電話入れようとしてたところだ」
ドロレス「そ、そうなんだ。今ちょうど? ぐ、偶然通じ合う二人のハートみたいな? ウェヒヒ♪ ほ、ほんとはね、そっちに直接持っていこうと思ったんだけど、さすがにそれはヤバげな気がしたし、ド、ドローンで運ぶことも考えたんだけど、なんか五車町に入る前に撃墜されそうだったし、普通に宅配で。と、届いてよかった」
ふうま「ああ、さすがにドローンは撃墜されてたな」
ドロレス「やっぱり? あ、あのね、私、人間界で暮らすようになってわりと長いけど、バ、バレンタインのチョコって、は、初めてあげた。ノマドの他の子たちはい、いつも盛り上がってたけど、私そんな相手いなかったし、バ、バレンタインって非モテお断りの凶悪イベントじゃん。だ、だから今回、チョコあげれてすごく嬉しい。ふうまが私の初めての人。ウェヒヒ♪」
ふうま「そりゃ光栄だな。ホワイトデーのお返しはちゃんとするよ」
ドロレス「うえっ!? お、お返し? くれるの!? 私に? マジで? す、すごい嬉しい! またこっち来るの?」
ふうま「できれば直に渡したいが、俺がノマドに行くのは無理だよなあ。かといって家に行くのも」
ドロレス「お、お姉ちゃんに見つかったらヤバすぎ。じゃ、じゃあ待ち合わせしてど、どっかで二人で会わない? ね? ね? 約束しよっ!」


●GPT-4
【ケース16】

登場人物たちの人間関係:
ふうまとドロレスは知り合いで、友達のような関係です。二人は電話で会話ができるほど親しく、ドロレスはふうまに対してバレンタインデーにチョコレートを贈ることを決めました。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
ドロレスはふうまに対して、友達以上の好意を持っていることが考えられます。彼女はふうまにバレンタインデーのチョコレートを送るために、直接持っていくことやドローンで運ぶことを検討したと話しています。また、彼女は人間界で暮らしている間にバレンタインデーのチョコレートを初めて贈ることができてとても嬉しい様子です。これらの要素から、ドロレスはふうまに対して特別な感情を持っている可能性が高いです。

また、ドロレスはホワイトデーのお返しについても興味津々で、ふうまが直接渡したいと言うと、二人で会うことを提案しています。彼女はふうまとの待ち合わせを楽しみにしており、このことからも、彼女がふうまに対して好意を持っていることが分かります。


友達以上の好意、特別な感情と推測してくれた。
ドロレスが聞いたら、「ウェヒヒ、マ、マジで!? ChatGPT、い、以外とヤルじゃん」とか言いそうである。
理由についても色々書いてあるが、やはりドロレスが「初めてチョコをあげて嬉しい」とちゃんと態度に示しているのがプラスになったようだ。

●まんたん
以下のケースは、チョコレートを贈った人物がその相手からの連絡を待っている場面です。

【ケース17】
紅(小太郎、どうして何も連絡してこないんだ? チョコが届いてないのか? 受け取り完了のメールは来たのに。私にはありがとうを言う必要もないということか? いや、小太郎はそんな男ではない。また任務とかアルバイトだろうか? いつも頑張ってるからな。でもそうするといつ返事がくるか分からないな。いっそ私から小太郎に電話して……ダメだ。『チョコを受け取ったか?』なんてことはとても聞けない)
あやめ「紅様、今日はバレンタインデーですね」
紅「それがどうした?」
あやめ「さっきからソワソワしてらっしゃいますが、若様からのお返事をお待ちですか?」
紅「別に待ってはいない」
あやめ「嘘を仰ってはいけませんわ。『ちゃんとチョコを受け取ったんだろうか? なんで何も言ってこないんだろうか?』 さっきからお気持ちがダダ漏れですわ」
篝「紅様! ついに若様にチョコをお渡しになったんですね! それは一歩前進ですね!」
あやめ「一歩どころか十歩も二十歩も前進よ。できれば直接お渡しになって欲しかったけど。メッセージはお付けになったんですか?」
紅「メッセージ?」
あやめ「若様への溢れる想いを刻んだメッセージですわ。例えばそうですね。『瀬を早み岩にせかるる滝川の……』」
紅「それは崇徳院の歌じゃないか!」
篝「あやめ様、どういう意味です?」
あやめ「『瀬が早くて岩に遮られる滝川のように』といった意味よ」
篝「よく分かりません」
あやめ「その後に若様がこう続けるの。『われても末にあはむとぞ思ふ』 今は二人別れているけれどきっとまた会おう。再会を誓う恋人の歌ね」
篝「うわあ! ロマンチックですね!! 紅様! そんな素敵なメッセージを!」
紅「付けるわけがない。普通にハッピーバレンタインだ」
あやめ「あらあら」
篝「なんだ残念です」
紅「なにを二人で勝手に盛り上がってるんだ」
プルルルル♪(電話の音)
紅「っ!? わ、私だ。チョコは? そうか。受け取ってくれたか。うん。よかった。いや、礼には及ばないぞ。ただの気持ちだ。え? いま話? も、もちろんOKだ。久しぶりに少し話そう。今日はバレンタインだからなっ」


●GPT-4
【ケース17】

登場人物たちの人間関係:
紅は小太郎に好意を持っており、バレンタインデーにチョコレートを送りました。あやめと篝は紅の友人であり、彼女の気持ちを理解しています。

チョコレートを渡している側の好意の程度:
紅は小太郎に対して、友達以上の好意を持っていることが考えられます。彼女はチョコレートが届いているかどうかを心配しており、小太郎からの連絡がないことに不安を感じています。また、紅は彼と話すことに緊張している様子があります。

友人たちのあやめと篝は紅の気持ちを理解し、彼女が小太郎にチョコレートを渡すことを応援しています。あやめは紅が小太郎に送ったメッセージについて尋ね、ロマンチックなメッセージの例を挙げていますが、紅は「ハッピーバレンタイン」というシンプルなメッセージを選んでいます。

最後に、小太郎からの電話がかかってくると、紅は喜びを隠せずに受け取ったことを確認し、彼と話すことを楽しみにしています。これらの要素から、紅は小太郎に対して特別な感情を持っていると推測できます。

 

最後はちょっと変わって、ふうまからの返事を待っている紅というシーンだ。
ふうまのセリフは一切書かれておらず、ラストで電話がかかってくるが、それがふうまとは明示されず、それに応答している紅のセリフだけから判断してもらうという、GPT-4には難しいかもしれないやりとりだ。
それでも電話の前に、紅の心配や不安をちゃんと書いたのが良かったのか、友達以上の好意を持っていると推測してくれている。
その上で、崇徳院の歌から会いたくても会えない恋心を読み取ってくれたら上出来なのだがそれは無理だったようだ。「背を早み……」から始まる歌の参照ができていないか、紅が実際にそのメッセージをつけなかったのがまずかったか。
しかし、最後の電話もふうまからだとちゃんと判断し、「紅は喜びを隠せずに」と今までそういうことは大概見過ごしていたのにしっかり理解している。
今回、GPT-4はなかなか頑張った。

さて、ここまでチェックさせて、「ではふうまの本命は誰か?」というのをGTP-4に聞いてみた。
また「書いてないのでそんなことは分からん」と言っているかと思ったが、意外にもちゃんと返事をしてきた。

●まんたん
お疲れさまでした。
さて、念のため言及しておきますが、以上の全てのケースにおいて、チョコレートをもらった相手は同一人物(ふうま小太郎)です。
では、あなたはふうま小太郎が誰のことを一番好きだと推測しますか?
その理由とともに答えて下さい。


●GPT-4
私の推測では、ふうま小太郎が最も好きな相手はアスカだと思われます。

理由は以下の通りです:

ケース15では、アスカは二年連続でふうまにバレンタインデーのチョコレートを渡しており、彼女自身もそれを期待していました。これは、二人の間に何らかの信頼関係や親密さが存在していることを示しています。

他のケースに比べて、ふうまとアスカの会話はより自然でフランクです。彼らはお互いにからかいあったり、文句を言い合ったりしていますが、それでも良好な関係を維持している様子が伺えます。

アスカはふうまに高級なフランス製のチョコレートを贈っており、彼女が彼に対して特別な感情を持っていることが示唆されます。また、ふうまもアスカが去年のチョコレートの詳細を覚えていることから、彼も彼女のことを意識していると考えられます。

他のケースでは、チョコレートの贈り手はふうまとの関係をより慎重に扱っているように見えます。例えば、ケース16のドロレスは彼にチョコレートを送る際にドローンを使おうと考えるほど、直接会うことに抵抗を感じているようです。また、ケース17の紅は、チョコレートが届いたかどうかを確認するために電話をかけることに躊躇しています。

これらの理由から、ふうま小太郎がアスカのことを最も好きだと推測されます。ただし、これはあくまで推測であり、実際の感情は彼自身しかわかりません。


アスカおめでとう!!
といきたいところだが、二人のやりとりがフランクだからという理由はともかく、「アスカはふうまに高級なフランス製のチョコレートを贈っており、彼女が彼に対して特別な感情を持っていることが示唆されます」などと、さっきと違うことをいきなり言いだしているのがいただけない。
ドロレスと紅についても前とは言っていることが少し違う。
その他の子たちについて全く言及されていないのも気になる。この質問の前の数人からなんとなく選んでみた気配を感じる。
このあたり「ある文章から次に来る可能性が最も高い文章を作っていく」という仕組みから来るいい加減さが垣間見える。*2
というわけで、おそらくいい加減な答えが返ってくるだろうと期待して、最後にChatGPTにした質問と答えを記載してこの記事を終わることにする。
あえて細かいコメントは書かないが、元のキャラクターを知っていれば、合っている所もあり見当違いな所もあるちょっと面白い返事にはなった。

●まんたん
ありがとうございました。
では最後の質問として、ふうま小太郎にチョコレートを渡した人物が、彼との恋愛関係を進めるためにどのようなアプローチが考えられるか、あなたが考えられる範囲でいいので一人一人答えてください。
ふうま小太郎にチョコレートを渡した人物とは以下の20人です。

さくら

蛇子
ゆきかぜ
マヤ
まり

卯奈
舞華
伊織
心寧
きらら
孤路
紫水
覚醒リリム
クリア
カラス
アスカ
ドロレス


●GPT-4
それぞれのキャラクターがふうま小太郎との恋愛関係を進めるためのアプローチを以下のように考えられます:

さくら - 彼女は明るく元気な性格で、ふうま小太郎と自然な会話を楽しんで距離を縮めることができます。共通の趣味や関心事を見つけて、それを共有することができるでしょう。

鶴 - 鶴は真面目で礼儀正しいので、ふうま小太郎との信頼関係を築くことが重要です。共に任務を遂行し、協力することで絆を深めることができます。

蛇子 - 蛇子はクールでミステリアスな雰囲気を持っています。彼女はふうま小太郎に興味を持たせるために、自分の魅力を最大限に活用し、時折彼に対して親切な態度を見せることができます。

ゆきかぜ - ゆきかぜは快活で面倒見のいい性格です。彼女はふうま小太郎を助けることで彼の信頼を得ることができます。また、彼女は一緒に楽しい時間を過ごすことで、彼との親密さを高めることができるでしょう。

マヤ - マヤは知的で落ち着いた性格です。彼女はふうま小太郎との知的な会話を通じて、彼との共通点を見つけることができます。また、彼女は彼の悩みを聞いてアドバイスを提供することで、彼との絆を深めることができるでしょう。

まり - まりはおっとりとした性格で、ふうま小太郎に対して優しく接することができます。彼女は彼の心の安らぎを提供し、彼と一緒に過ごす時間を大切にすることで、彼との関係を深めることができます。

舞 - 舞は活発で好奇心旺盛な性格です。彼女はふうま小太郎と一緒に新しい冒険に出かけることで、彼との親密さを高めることができます。

卯奈 - 卯奈は繊細でロマンチックな性格です。彼女はふうま小太郎に対して積極的に愛情を表現し、サプライズや手紙などを通じて彼に気持ちを伝えることができます。

舞華 - 舞華はエレガントで上品な雰囲気を持っています。彼女はふうま小太郎との共通の趣味や関心事を見つけ、それを通じて彼との距離を縮めることができます。

伊織 - 伊織は真面目で努力家な性格です。彼女はふうま小太郎と共に目標を達成することで、彼との信頼関係を築くことができます。

心寧 - 心寧は穏やかで優しい性格です。彼女はふうま小太郎に対して支えとなり、彼の悩みを共有することで、彼との絆を深めることができます。

きらら - きららは明るく元気な性格で、ふうま小太郎と一緒に楽しい時間を過ごすことができます。彼女は彼との共通の趣味を見つけ、一緒に楽しむことで、彼との距離を縮めることができます。

孤路 - 孤路はクールで独立した性格です。彼女はふうま小太郎に対して時折温かい態度を見せることで、彼の関心を引くことができます。

紫水 - 紫水は神秘的で魅力的な雰囲気を持っています。彼女はふうま小太郎に対して自分の魅力を最大限に活用し、彼との距離を縮めることができます。

覚醒リリム - 覚醒リリムは非常に美しいが、その美しさの奥には力強さも持っています。彼女はふうま小太郎と共に困難な状況を乗り越えることで、彼との絆を深めることができます。

クリア - クリアは冷静で分析的な性格です。彼女はふうま小太郎との知的な会話を通じて、彼との共通点を見つけることができます。また、彼女は彼の悩みを聞いてアドバイスを提供することで、彼との絆を深めることができるでしょう。

カラス - カラスは狡猾で知的な性格です。彼女はふうま小太郎に対して謎めいた雰囲気を演出し、彼の興味を引くことができます。また、彼女は彼と協力して困難な状況を解決することで、彼との信頼関係を築くことができます。

アスカ - アスカは勇敢で情熱的な性格です。彼女はふうま小太郎と共に困難な状況に立ち向かうことで、彼との絆を深めることができます。また、彼女は彼に対して自分の感情を素直に表現することで、彼との関係を進展させることができるでしょう。

ドロレス - ドロレスは気まぐれで個性的な性格です。彼女はふうま小太郎に対して独自の魅力をアピールし、彼との親密さを高めることができます。また、彼女は彼と一緒に楽しい時間を過ごすことで、彼との距離を縮めることができるでしょう。

紅 - 紅は強気で自立した性格です。彼女はふうま小太郎に対して自分の力強さをアピールし、彼と共に困難な状況を乗り越えることで、彼との信頼関係を築くことができます。

これらのキャラクターは、それぞれ独自の魅力とアプローチでふうま小太郎との恋愛関係を進めることができます。重要なのは、彼との信頼関係を築き、お互いに理解し合い、サポートし合うことです。

 

 

*1:誰の台詞か明確にするためキャラ名は付けた

*2:実際、この実験では一つ一つ入力していったが、全部まとめて一つのファイルとして読み込ませて同じことをさせると全然違う答えが返ってくる

蔵出し「対魔忍RPG 未来キャラ制作雑感」


祝、対魔忍RPG5周年。

以下の記事は、鬼神凜子が実装された2022年5月頃に書き始めたもので、細々と手を加えていたら公開するタイミングを逸してしまい、そのままお蔵入りになっていたものだ。
それから1年半ほどもたってしまったが、このまま埋もれされるのはもったいないので、5周年のこの機会に思い切って公開する。
多少情報が古くなっているのはお許し願いたい。

 

対魔忍RPG 未来キャラ制作雑感

大人ゆきかぜ から始まった対魔忍RPGの未来キャラも、未来アスカ 舞華姐さん氷神きらら魔神蛇子さままり首領鬼神凜子と続いている。
いつのまにか随分と増えたものだ。*1
本編ストーリーも現在時空と並行して、未来時空の話が進んでいる。
今回は私が担当した未来キャラのエロシーンについて一人一人語ってみようと思う。
大人ゆきかぜが実装されたのは2020年11月末。それから今日までに色々と状況も変っているので、それぞれの執筆時にどんなことを考えていたのかなど比較しつつ、改めて思い返してみたい。

 

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まずは大人ゆきかぜ  
未来キャラ一人目の彼女は、『雷神の対魔忍』において、死ぬ運命にあるふうま君を未来から救いにくるという劇的な登場の仕方をした。
それについてはこの記事で詳しく述べている。
エロシーンはその後日談、本編の後にあったかもしれない出来事になっている。
通常、エロシーンは本編から独立したIFになることが多いので、そういうのは結構珍しい。
私の担当キャラでは、『奪われた石切兼光』のために設定からエロシーンの内容まで決めた陽炎、それから本編の前日譚としてあってもおかしくないアンリード・ボニーくらいだ。
本編の後日談なので、大人ゆきかぜはもちろん、ふうま君も本編そのままの性格となっていて、その場のノリで腕を脱臼させるような鬼畜でも、電車で言葉巧みに痴漢プレイをするような破廉恥でもない。そして童貞である。


初めての未来イベントのヒロインとあって、大人ゆきかぜはそれ以降の連中とは大きく異なる点がある。
キャラ設定とかではなく、これを書いた時点でその先の未来話が続くかどうか私が分かっていなかったことだ。
『雷神の対魔忍』はそれ自体で話が終わっているので、もしかしたら続きがあるかもしれないが、なくても別に構わないつもりでいた。
従って、エロシーンは大人ゆきかぜの物語の締めのつもりで書いている。

まずは『雷神の対魔忍』のラストシーン、別れの場面のおさらいから始まる。
ここ実はプロットにはなく、エロシーンがイベントの続きというのをはっきり示すためにシナリオで追加した。
というのは建前で、ゆきかぜ役のひむろゆりさんにあのシーンをやって欲しい、その演技を聞きたいというのが一番の理由だったりする。
『対魔忍RPG』では色々と本編シナリオを書いたが、エロ以外はいつも声なしなので、メインクエストではいつも声ありの『アクション対魔忍』がちょっと羨ましかったのだ。
だからといって、イベントシナリオをそのままコピペするだけでは手抜きすぎるので、二人のセリフは同じにする一方、ふうま君のモノローグを少し変えてエモーショナルなものにしている。例えばこんな風に、

ゆきかぜ「終わったわ。これで」
 未来から来たゆきかぜの顔には言いようのない寂しさが浮かんでいた。
 アルサールを倒し、遺物を破壊して俺と鹿之助の命を救ってくれた。
 ゆきかぜはこの過去にやってきた目的をすべて果たしたのだ。
 だからもうこの時代にいる理由はない。
 いや、これ以上いてはいけない。
 愁いに満ちたその表情からは言葉にならないそんな想いが伝わってきた。

大嘘である。
そんなことリアルタイムでは全然伝わってなかったはずだ。
同じ場面、本編ではこうなっている。

ゆきかぜ「終わったわ。これで」
 ゆきかぜは感慨深げに言った。
 その顔には一抹の寂しさが浮かんでいる。

ほらね。なにが「愁いに満ちたその表情」だ。お調子者め。
これはふうま君が後で思い返しているからだ。
時間が経つと記憶が美しく脚色がされるのはよくある話だ。
実のところ、ふうま君に対する未来キャラたちの想いも、わりと同じことが言える気がするのだが、まあ悪いことじゃない。

そしてエロシーン本番だが、ゆきかぜのこの喘ぎにはこういう意図があった、この攻めはこういう狙いだったとかいちいち説明するのも興醒めなので、諸々の行為が終わってからのピロートーク、ゆきかぜのこのセリフに注目してもらいたい。

ゆきかぜ「ずっとずっと愛してる……ふうま……」

私が担当したゲームの『対魔忍ユキカゼ』シリーズ、『対魔忍アサギ決戦アリーナ』、『対魔忍RPG』を通して、ストレートに「愛してる」とゆきかぜに言わせたのは初めてだ。
冒頭で述べたように大人ゆきかぜの物語の締め、その最後のセリフとして、大人ゆきかぜからしてみれば、ふうま君とようやく結ばれた喜び、そして今度こそ本当にお別れという万感の想いを込めて「愛してる」と言っている。
別れ際、最後の最後にようやく「愛してる」。
またしても昔のネタで恐縮だが『BRIGADOON まりんとメラン』を思い出す。そういやあれも未来からの異邦人であった。
普段、「淫乱雌豚マンコイグゥ!」とかわけの分からんことを書き倒してる私だが、「愛してる」という言葉にはそれだけ注意を払っているわけだ。
これで「”愛してる”を知りたいのです」のヴァイオレット・エヴァーガーデンにいつ注目されても大丈夫だ。
と書いておいてなんだが、『対魔忍RPG』でゆきかぜの「愛してる」は初めてではない。
【雷撃のクリスマス】水城ゆきかぜを持っている人は知っているだろうが、フレーバーセリフでしっかり「コタツ愛してる」と言っている。しかもかなり可愛く。
ああもう、この小娘は。人がせっかく気を遣っているのに。
まあ、言ってしまったたものはしょうがない。
タツの次に愛してるということで、勘弁してもらいたい。

 


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未来キャラ二人目は、どういうわけかロリ化した未来アスカだ。
大人ゆきかぜが『雷神の対魔忍』の後日談になっているのと同じく、未来アスカも『風神の対魔忍』の後の話だ。
しかも、大人ゆきかぜとふうま君との初体験があったことになっている。なかなか思いきったエロ設定だ。
そんなわけで、未来アスカは身体が小さくなってしまったこと以上に、ゆきかぜに遅れをとったのを気にしている。
現代でもアスカは「ふうまのことを好きになる物好きなんて私くらいでしょ」と大いなる勘違いをしていたら、実は周回遅れだったというポジションなので、似合っていると言えば似合っている。

未来アスカのそのへんの心情、つまり年はとるわ、身体は小さくなるわ、あげく親友に遅れをとるわと、いつにもましてややこしい女心をエロシーンに反映させることになった。
大変ではあったが、普通に大人になったアスカがまた童貞のふうま君と初体験するよりは書いてて楽しい。
その場合は、死んでしまったふうま君への想いをやっと叶えられたという、大人ゆきかぜでやったことを、キャラを大人アスカに変えてやるだけだからだ。それはそれで書き甲斐はあるが、たいして難しくはない。

そんな未来アスカのエロシーンを書くにあたっては、彼女の面倒くさい部分を思い切って変えてみた。つまり恐ろしく素直な恋愛アピールだ。
現代のアスカはふうま君への好意をストレートに示さない。いや、示せないといった方が正確だ。
素直に好きと言うかわりに、「あんた私のこと好きでしょ?」的にやたらとアピールしてきて、「そういう態度をとるってことは、私があなたを好きってことなの。言わなくてもそれくらい分かるでしょ。鈍感」という言うわけだ。回りくどいな。
機動戦艦ナデシコ』でミスマル・ユリカが「アキトは私が好き」とやたらと連呼していたのを思い出す。もっともユリカの場合は「私がアキトを好き」というのはあまりにも当然のことすぎて、最終回まで言うのを忘れていた感じだったが。

そのあたりの面倒くさい性格はアスカも自覚しているようで、『闇との邂逅』でアンジェと一緒にふうま君の家に行った時には「もっと素直になれたら楽なのにな」とか思っている。思ってるなら素直になれ。
未来アスカはそういう性格が災いして、ふうま君に気持ちを伝えられないまま死に別れてしまう。『風神の対魔忍』のエピローグからすると、あっちの次元ではバレンタインのチョコすらちゃんと渡せなかったようだ。どれだけ後悔したか想像に難くない。

未来アスカはそんな経験を経て、過酷な世界を生き抜いている。
レジスタンスのリーダーとして、別の意味で感情を表に出してはいけない立場になり、弱みを見せるのは相棒のゆきかぜだけ。ついでに身体まで小さくなってしまった。
そしてふうま君のとの再会、夢にまで見た初エッチ。
しかし自分と気持ちを共有できていた親友、かつ恋敵のゆきかぜには遅れをとっている。もう回りくどいアピールなんかしてる場合ではない。

というわけで、未来アスカはセックス中に「愛してる」を連発することとなった。アスカが焦っていることも鑑み、かなり意識して使っている。
大人ゆきかぜが別れ際にたった一回、決め台詞で「愛してる」と言ったのとは対照的だ。
これを書いた時点で、未来話が続くことがもう分かっていたので、お別れのニュアンスを出す必要がなくなったこともある。
葵渚さんのスペシャル差分によって、ゆきかぜには絶対にできない、ふうま君の初パイズリをもらったことで、恋愛的に遅れをとった気持ちも少しは解消されたに違いない。
と未来アスカを書いた時には思ったのだが、氷神きららによって、またゆきかぜ共々えらい遅れをとることになった。
とはいえ、現代では『 From Your Valentine』において、三度目にしてようやくバレンタインで直接チョコを渡すことに成功した。
まあ、私個人としてはアスカに一番似合うのは愛人、それも昔付き合っていたがうまくいかなくて、何年か経って再会したら身体も含めてお互い相性がすごく良かったというポジション*2だと思うが、それはそれとしてまだまだ逆転のチャンスはある。頑張れアスカ。

 

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未来キャラ三人目は舞華姐さん こと、大人になった神村舞華だ。
彼女のユニットとしては、神村舞華 【爆炎のギャル】神村舞華 【バニー】神村舞華に続く四人目で、なんの因果か私が全て担当している。*3
一方、本編ではそれほど舞華を書いていない。
初登場の『期末テストと最強の対魔忍』はやってないし、『蜘蛛の貴婦人』はラストのちょい役、ちゃんと書いたのは『バニー対魔忍とカジノ・ラビリンス』くらいだ。
つまり本編中の舞華より、エロシーンの舞華の方がキャラを把握している。
というわけで、舞華姐さんのエロシーンは、これまでの三つのエロシーンのような出来事があった舞華というIFで書くことにした。
特に【バニー】神村舞華の設定、かつてヨミハラで奴隷娼婦になったというのは使える。
これを書いたのは、ちょうど『失われたもの』を書き終えたころで、未来ではヨミハラが消滅していたので、ゴロツキたちに恐れられていた彼女が実は伝説のヨミハラの奴隷娼婦だったという状況になるからだ。
第一、初めての奴隷娼婦で最初は嫌がっていたが次第に感じてきて云々というのは、【バニー】神村舞華がすでにそうなので、舞華の年齢だけ上にして同じことをやっても面白くない。
それよりは、かつて奴隷娼婦として肉体に刻み込まれた忌まわしい快楽の記憶が蘇ったとしたほうが、姐さんと呼ばれる年上キャラに相応しい。

エロシーンはそんな舞華姐さんの視点による導入のあと、昔の舞華を知っていたとある火遁対魔忍の視点に切り替わる。
あくまでも第三者の視点として必要なだけだったので、「強くて格好いい舞華姐さんに純粋に憧れていた元少年で、奴隷娼婦になっていたことは知らない」以外の設定は考えていない。むしろ余計な個性は消した。
一方、舞華を次々と犯す男達はお馴染みの名無しのモブだが、一人一人細かい設定を即興で考えている。
といっても連中の過去とかではなく、チンポが大きいか小さいか、早漏か遅漏か、どんな風に攻めるのが好きかといった、凌辱するにあたって必要な設定だ。
もう書き終わったので忘れてしまったが、そういうことを決めておかないと、何人もの男に次々と犯されるとか書きにくくてしょうがない。みんな似たような調子になってしまう。
同じ理由で、主人公がすごい威力の媚薬を使ってモブの女の子を次々と犯すようなエロゲによくあるシーンなどでは、出てくる女の子のセックス関連の設定をアドリブで決めている。
例えば、ゲームの『対魔忍ユキカゼ2』で、ゆきかぜと凜子が妙な学園に転入し、クラスメートに輪姦されたり、痴態を見られたりする場面のために、男女20人ほどの設定を即興で作った。当時の資料がこれだ。こいつらは日常シーンもあったので少し細かい。

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舞華姐さんに話を戻して、このエロシーンの特徴として、犯している男達もそれを見ているモブ対魔忍も、舞華の過去や心情を完全には把握できないということがあげられる。
例えば、奴隷娼婦となった舞華の口癖らしい「ごめん、堕ちちゃう許して」がふうま君に対しての言葉だと分かるのはユーザーだけだ。
あの世界でふうま君は死んでいるので、おそらく舞華はずっと操を守っていたであろうこと、仮に刹那的に誰かと付き合うことがあったとしても、ふうま君の代わりにはなり得なかったことが伺える。
そういう舞華が色恋とは最もほど遠いゴロツキたちに犯され、しかもかつてふうま君のために行った娼婦体験のため、身体は感じてしまうというシチュエーションだ。
そういう意味でオーソドックスな輪姦シーンでありつつ、アヘ台詞のなかに舞華の秘めたる心情を盛り込むことができて、書いていて楽しかった。

ただ、『氷神の対魔忍』で次元ケータイでふうま君と話した舞華が「大人の魅力をたっぷり教えてやる」とか言っていたので、実はあれは大人の女を演出しようとした舞華の強がりで、まだ処女だと正直に言えなかった舞華が年下になってしまったふうま君とビクビクしながら初エッチとかは書いてみたい気がする。
今までとの整合性? そんなことは知らん。


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未来キャラ四人目は満を持して登場したきらら先輩、氷神きららだ。
彼女も『氷神の対魔忍』の後日談で、かつ大人ゆきかぜ、未来アスカのエロシーンがあったものとして書いている。
それに加えて、この氷神きららは舞華姐さん同様、今までのエロシーン的な出来事を経ているというIFになっている。
そうなると大人ゆきかぜ、未来アスカとの整合性が問題になりそうだが、そういう世界線もあったということで、そこはあまり気にしないでいただきたい。
あくまでもエロシーンのためのIFであって、あの未来社会において、ふうま君ときらら先輩とが恋人だったことが確定したとかでは全くない。

この氷神きららが出るまで、きららのユニットは三つあった。
それぞれのエロシーンの内容は、
鬼崎きらら :酔った勢いで処女じゃないと強がってセックス。
【ハロウィンヴァンパイア】鬼崎きらら :媚薬で発情したふうま君の欲望を治めるためセックス。
【バニー先輩】鬼崎きらら :いつもリードされて悔しいので逆襲するためにセックス。
……とまあ、無印とバニーはもちろん、ハロウィンヴァンパイアも中身はわりとふうま君に意地を張ってしまうという流れになっていた。

一方、この氷神きららはそれとは違って、セックスのためにいきなり呼び出すという導入はさておき、きららがもう意地を張るのをやめて純粋な愛情をふうま君に求めるという展開だ。
だったら、また未来処女設定で書くよりも、今までの意地を張ってセックス勝負していた関係があった方がいいだろうと考えた。
「ふうま君を失った悲しみで引きこもっていたきらら先輩」という未来設定だけでなんとなく書くよりは、本編以上のもっと具体的な過去があった方がセリフが自然にでてくる。一つ前に実装されたバニー先輩を担当していたことも都合がよかった。

そんな氷神きららのエロシーンの特徴はやはり実質3シーンであること、しかも最初のH,妊娠中、出産後と、それぞれの間にかなり期間を置いていることだ。
当然、ふうま君ときららとの関係、セリフのやりとりの感じも少しずつ変えている。三つ目のバブバブはどうかと思うが。
そしてシーンの合間合間には、ゆきかぜとアスカのやりとりが入っている。
二人ともふうま君ときららとの関係を認めているような会話になっているが、そこに至るまでには相当な葛藤や嫉妬、さらには自分もふうま君をまた呼び出して妊活と色々あったはずだが、それを書き始めると氷神きららのエロシーンで二人が出しゃばりすぎるので、ここは狂言回しの役割に徹してもらった。

またこのエロシーンでは、ふうま君がきららの好きだったふうま君とは別人という点にも少しだけ踏み込んでいる。
最初のシーンで現代の自分とふうまとの関係を聞こうとしてやめたり、妊娠中のシーンでは、すでにそれを尋ねたあとで、現代では恋愛関係ではないと知っているといった描写がそれだ。
大人ゆきかぜや未来アスカではあえて言及を避けてきたのだが、個人的に未来キャラを書いていてずっと気になっていたところだ。
「死んだはずのふうまが生きていた。抱いて」という女性たちの気持ちは分かるし、求められて応じる現代のふうま君もまあいいのだが、死んでしまったふうま君からすれば別次元の自分に彼女たちを奪われていい面の皮である。
私としては、未来キャラたちの「ふうまが生きていた」と単純に喜んでいる段階から一歩進んで、「このふうまは私の好きになったふうまじゃない。でもこのふうまも好きになってしまった。これは死んだふうまへの裏切り?」的な葛藤、それにどうケリをつけるのか、つけないのかといったあたりも書きたいのだが、そこをあまりクドクドやってもエロシーンが変に重くなるし、対魔忍RPGのカラーとも違う気がするので悩みどころではある。

 

 

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未来キャラ五人目は、魔神蛇子さま だ。
蛇子のユニットとしては、相州蛇子 【ハロウィン】相州蛇子 【6月の花嫁】相州蛇子に続く四人目となる。
オープニングから登場している「ふうま君の幼馴染」というポジションでありながら、その属性があだとなったか、本編中ではふうま君とラブな展開にいまいちなり得ていない。
そんな蛇子の今までのエロシーンは、一人目は淫魔虫に発情させられてふうま君との治療和姦、二人目のハロウィンはふうま君との電車内での痴漢プレイからの家での和姦*4、三人目の黒花嫁は任務のため衆人環視でふうま君に疑似調教され、その流れでオッサンにも犯されてしまうという展開だった。
そして四人目、大人になった蛇子がどうなるのかと思っていたら、ダゴンに掴まって触手責めから触手排卵という、実に対魔忍らしいガチ調教であった。
蛇子も色んな意味で大人になったんだなという感じである。
私自身、久しぶりに触手チンポという言葉を楽しく使った。

エロシーンは、ダゴンの罠にはまってしまうまでの任務の場面から始っている。
この導入わりと長い。
エロのことだけを考えれば、基地に潜入したら罠を仕掛けられたというだけで十分だ。
しかし、せっかく蛇子だけでなく、Bandit首領になったまりも出てくるのに、それだけではちょっともったいない。
というわけで、大人になって変った二人、大人になっても変っていない二人というのを意識して少し膨らませてある。羊羹見つけてはしゃいでる場面とかがそうだ。
ちょうど未来の蛇子とまりが登場するメインクエスト『 首領と魔神さま』をやる前だったので、大人になった二人のキャラを改めて把握し、続けて本編のシナリオを書くのにも役に立った。

ここでは、大人まりが昔も今も和菓子好きという設定を使っている。
和菓子はなんでも良かったのだが、倉庫に保管してあるということで、現実に5年間長期保存できる井村屋の「えいようかん」があったりするミニ羊羹となった。
ふうま君が携行食としてこれを愛用しているというのは、大人ゆきかぜのイベントで私が勝手に作った設定だが、思わぬ所でリンクできて楽しい。
そうそう、本編では書いてないが、現在のまりへのバレンタインへのお返しは、虎屋のあんペーストなんかが相応しいと思う。
いい和菓子というのはわりと高いが、あれはふうま君でも買える手頃なお値段で、パンに塗ったりアイスに添えたりと色々と楽しめる。

魔神蛇子のエロシーンに話を戻そう。
蛇子にとって初めての触手責め、しかも胸だのオマンコだのを改造されて、あげくに触手出産までするという、てんこ盛りのエグい内容なので、そこをしっかりねっとり書くのは言うまでもない。
その一方で、未来の話がある程度進んでいることを踏まえて、死んだふうま君にもう一度会えると思っていた蛇子の気持ちが無惨に散らされるという要素を入れることにした。
それでこそ凌辱が生きるというものだし、今回ふうま君がどこにも出てこないので、ちゃんと蛇子に思い出してもらわないと、大人になった蛇子らしさが出しにくい。

その結果、ふうまちゃんへの想いにしがみつくようにして快感に耐え、最初は心の中だけで呼びかけていたが、次第に口に出すようになり、一人称も「私」から「蛇子」に戻ってしまい、ついにはその気持ち自体が押し流されてしまうという、まあ言ってみればオーソドックスな堕ちシーンとなった。それでいいのだ。
個人的には、ついに触手の子供を出産し始めたが、オマンコに引っかかって出てこなくなってしまい、「早く出てきてママをちゃんとイカせて」と懇願し、出したら出したでもう知らないってあたりが、いい感じに狂っていて気に入っている。
そんなこんなで、わりと長めの導入、多めの差分、色んなことが次々と起こる展開ということで、今までの大人キャラ五人の中だけでなく、私が担当した対魔忍RPGの全キャラで一番長いエロシーン*5となった。幼馴染の面目躍如といったところか。


さて、どんじりに控えしは、凜子先輩が大人になった鬼神凜子だ。
対魔忍RPGでは通算8人目の凛子となる。
それだけ沢山のユニットになってる割には、この人あんまり本編に出てこない。
ゲーム『対魔忍ユキカゼ』では、ゆきかぜとツートップのヒロインを務め、新世代のエースコンビ、いつも好き勝手にやっているゆきかぜも凛子にだけは頭が上がらないというポジションだった。
しかし、対魔忍RPGでは二人を繋いでいた凜子の弟、達郎がいるんだがいないんだか分からないことになってしまい、お互いの接点が減ってしまったのが原因だ。
ゆきかぜは同学年として、ふうま君の友人のポジションを早々に確保したので、学年が違う凛子先輩の出番が減るという理屈だ。

ローンチ直後に私が担当したイベント『雷撃の対魔忍』では、まだゲームの関係性を維持していると考えていたので、ゆきかぜが空に向かって雷撃をぶっ放したのが凜子にバレて逃げ出したりしているのたが、今となってはあれはなんだったんだという感じではある。
まあ実際には、凜子とゆきかぜでコンビを組んでいたりもしているのだろうが、なにしろ二人とも強すぎるので、別にふうま君の力を借りることもなく、普通に敵を倒して任務達成してしまうのだろう。困ったもんだ。

そんな凜子といえば、対魔忍随一の剣客だったり、AV女優だったりする愉快な人であるが、前者は『奪われた石切兼光』や『五車決戦』とかでわりと書いているが、 後者すなわちエロシーンは対魔忍RPGで一つも書いていない。
しかも、未来で色々あって自暴自棄になってしまった大人の凜子だという。
その設定を見たら、もう性格からなにから完全に変わっていて、エロシーンも自暴自棄とあるので、凜子の定番であるAV女優メソッドが使えない。
ともかく、一つ目のエロシーンは何をされても無反応、男たちに淡々と性奉仕をこなしながら、心の声で鬱々しているというやり方で自暴自棄感を出してみた。

問題は二つ目だ。同じことをもう一度やっても面白くもなんともない。
これで竿役が知り合いとかだったら、凜子との関係性で展開に変化をつけられるのだが、またしても相手は十把一絡げのモブ竿だ。
さて、どうしようと色々考えて、凜子は自暴自棄になりつつも、無意識のうちに中出しされた精液が溢れないように膣を締め付けていて、

男に出されたものを人前で垂れ流す。
女としてそれは恥だ。
(だが、そんなことを感じる資格は今の私にはないっ!)

てな感じで、まだ恥を知る女であろうとしていた己を責め苛み、罪人である自分をもっと蔑めてやれといった流れで、一つ目とは違う自暴自棄感を出してみた。

この元ネタは富野由悠季の小説『リーンの翼*6で、クライマックス中のクライマックスにこんなくだりがある。

男が人前で口からものを吐き出す。
それは、恥だ。

エロシーンに変化をつけたいので、自暴自棄になって感情が死んでいる凜子になんでもいいから恥を感じてもらいたい。
どんな恥がいいかなと、あれこれ頭をひねっているうち、唐突にこの小説のフレーズが浮かんできて、それならマンコから精液が溢れるのが恥にしようと決めた。
シナリオを書いていて、わけのわからないところから、ふいにアイデアが湧き上がることはよくある。
これもそのパターンだが、とびっきり変な連想だと言える。


(以下、2023年9月末日記載)

お蔵入りになっていた記事はここまでだ。
今回、遅まきながら公開するにあたり、執筆時より後の出来事について少し注釈を付け加えた。
今、読み返すと、鬼神凜子に相当手こずっていたことが伺える。
よくあることだが、本編を書く前にエロシーンをやったので、姿も性格も変わってしまった凜子に何をしたらどんな反応をするのか確信が持てず、いちいち手探りで書いていた。

先日の5周年五車祭で、【雷撃斬鬼】ゆきかぜ&凜子としてやっと二人目の、そして凜子らしい凜子を書くことができて嬉しく思っている。
せっかくなので、2023年9月末時点における対魔忍RPGの担当エロシーンを数えてみたら、その【雷撃斬鬼】ゆきかぜ&凜子でちょうど107、108個目だった。
煩悩の数と同じ。嘘みたいだが本当だ。
あの二人は、2011年に私が初めて担当した対魔忍シリーズ『対魔忍ユキカゼ』以来のキャラなので、やはりそういう変な縁があるようだ。

*1:2023年9月末時点で、さらに眞田咲、鬼壱あずさ、石神井爽美、【RONIN】舞華姐さん、飴谷しいな、【強襲兵装】眞田咲、風神アスカ&雷神ゆきかぜ、【正月】魔神蛇子さま、【夜会ドレス】大人ゆきかぜ、【未来彷徨】ZERO紫、【ポストアポカリプス】ナーサラがいる

*2:という設定で後に書いたSSが、『恋人たち』TEN YEARS AFTER』

*3:その後、舞華姐さんの二人目 【RONIN】舞華姐さんも書いた

*4:これは私が担当した

*5:2023年9月時点では【雷撃斬鬼】ゆきかぜ&凜子が最長

*6:後に出た「完全版」ではなくオリジナルの方。完全版にはこの手の印象的なフレーズが削られていて残念

対魔忍RPG ショートストーリーまとめ

気が向いた時に作っている対魔忍RPGのショートストーリーもわりと数が増えてきたので、このページにまとめておく。
どれも作っていたときは公式設定と矛盾が出ないようにしていたつもりだが、本当にそうだったか分からないし、この先どうなるかはもっと分からない。
いずれにしろ非公式の小話なので、細かいことは気にせず楽しんでもらえれば嬉しい。
このページは新しい話を書いたら随時更新していく。

 

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初めて書いたお話。イベント「ファイアー&ペーパー」の後日談。
ふうま君とお家デートをしている舞よりも、二人の世話をやいている災禍の方が妙に可愛い。
個人的には、ふうま君に女の手解きをするのは災禍が一番合っていると思う。

 

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イベント「勇者の憂鬱」と「怒れる猫と水着のお姉様」の後日談。
リーナとこの大きな犬、後の話でも出てきてもうすっかり仲良しみたいだが、実は本編ではまだ会っていない。

 

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イベント「雷神の対魔忍」の後日談。
この話の後になる出来事、32章「闇との邂逅」でアスカと現在ゆきかぜとの模擬戦ともちょっとだけリンクしている。

 

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台詞だけの未来IFもの。
一人目との妊活は失敗し、二人目と子供ができて結婚したが、三人目と焼けぼっくいで浮気しているとかではない。

 

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イベント「ニートにメイド」の裏で起こっていた話。
ドロレスの初出は「対魔忍アサギ決戦アリーナ」で、書いたのはローンチ前なのに出てきたのはかなり遅かったので、
没になったかと思っていたキャラだ。ずいぶんと出世したものだ。

 

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この二人が食事をしていた三省堂書店神田本店はもうない。
ビル建て替えのためで現在は仮店舗で営業中。新店舗の完成は2025年だそうだ。
もし向こうの世界線でも閉店していたら、二人とも最終日に店を閉めるところが見たくて、また偶然会っているはずだ。

 

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決戦「フェンリル」をモチーフに作った話。
リーナが買ったチョコは大きなガラス瓶とかに入れて、「誰でもどうぞ」って感じでノマド本部に常備している。本編でブラック様がわりと甘党なことが判明したので、たまにもらって食べているに違いない。

 

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星乃深月と柳六穂がもしルームシェアしていたらという話だ。
このブログのSSで初めて濡れ場を書いてみた。
お互いの形の双頭ディルドーというのは、ふたなりを使わずにどうやったら女同士で「一つに繋がってる感」を出せるかと考えたネタだ。

 

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女の子だちがふうま君にチョコを渡すトーク集。
本編で蛇子がそのへんを追求する場面があり、せっかくなので実際のやりとりを考えてみた。わずかな会話とはいえ20人分となると大変だった。

 

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追加のアサギ先生。
さくらがふうま君への好意をチラリと口にしているが、若いのと同じくこっちも一歩引いてるのがよくない。

 

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朧忍軍の新キャラ、シキミの話。
設定が面白かったので、実装されてすぐに作ってみた。

 

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アスカがただデートをするだけの話。女の子視点でこういうのを書くのは楽しい。本編ではなかなかできないので尚更だ。

 

対魔忍RPGショートストーリー『アスカの初デート』


 アンドロイドアーム&レッグは日常用で人工皮膚の質感と感度が一番いい物を。もちろんメンテナンスしたばかりで動作は完璧。
 下着はそんなこと全然気にする必要はないけど、万が一ってこともなくはないと思うし、やっぱり一番のお気に入りのにしとこうかな。その方が気分が乗るし。
 ストッキングの色はブラウン。端っこをアンドロイドレッグの付け根にピタッと合わせるのが個人的なこだわりだ。
 上は胸元をちょっと強調したベージュのサマーセーターに、下はチェックのスカートで、セクシーかつトラッドな感じに合わせて、うん、すごくいい感じ。
 さてと、メイクはどうしようかな。
 久しぶりにプライベートで会うから、自分的には思いっきり張り切りたいけど、それで引かれちゃったら逆効果だし、少し抑えた方がいいかな。うん、誰が見ても魅力的に見えるくらいの"きれいめ"な感じにしとこう。
 まずはファンデーションで肌を整えて、アイシャドウは程よく盛りたいけど、派手すぎないように薄めのベージュ系でグラデーションをつける感じに。
 アイライナーで目元をくっきりさせて、目が合ったときドキッとするようにマスカラでまつ毛を丁寧にカールして盛り上げる。うんうん、いい感じ。
 チークは自然な血色感が欲しいわよね。さっとふんわりピンクを頬にのせる感じにして……これくらいかな?
 それから唇。もちろんいつもより注目して欲しいから、ルージュはちょっとだけ大胆に、それでいてぷるんと自然なツヤ唇になるくらいにして決める。
 よしできた。ばっちりコーラルメイク。
 アクセサリーはお気に入りのビーズのペンダントを今日の気分に合わせて組み合わせれば――ほらね、私史上一番……は言い過ぎか、でも余裕で五番目に入るくらいは素敵になった。こんなもんよね。
 今日は甲河アスカにとって大切な日。ふうま小太郎と初めてのデート。
 ちょっと前に東京キングダムのオークションの任務で一緒になって、その時に思い切って、それこそ清水の舞台から飛び降りるくらいのつもりで、ものすごく思い切って誘ってみたら、なんかあっさりOKされた。
 その任務ではふうまに迷惑かけちゃって、ちょっと落ち込んだりもしたけれど私は元気ですって感じでデートは約束通り行うことになった。迷惑かけたお詫びに全部アスカの奢りで。
 二人で何するか色々考えたけど、お互い対魔忍として切った張ったの殺伐とした日常を送ってるから、もっと落ち着いたデートの方がいいかなって、オーソドックスに映画を観に行くことにした。実は二人ともわりとインドア系だしね。
 デートの場所は新宿。これも定番すぎて笑っちゃうけど、ふうまの住んでる五車町はほんとにもう田舎なので、交通の便を考えたらあまり気をてらわない方がいい。
 待ち合わせは紀伊国屋書店にした。みらいおん像とかアルタ前とかに比べたら少し駅から離れてて、そこまで行くならもう映画館で待ち合わせたっていいけど、ふうまはどうせ寄るだろうし、本屋で待ち合わせの何がいいって店内では鬱陶しいナンパ男があまり寄ってこないこと。それすごく大事。
 アスカは約束の時間よりちょっと早めに本屋に着いて、六階の児童書のコーナーをぶらぶらしていた。特に何かを探しているわけでもなかったのだが、ふと手にした『せかいいちのねこ』という絵本の絵が妙にキモ可愛くて、どうしても気になって買ってしまった。
 そろそろ待ち合わせの時間。ふうまのスマホにメッセージを送ると、もう本屋に来てるとの返事が来た。
 アスカが一階に降りて行くと、ふうまがちょうど店から出てきた。
 紀伊国屋書店のロゴの入った袋を手に下げている。何か買ったらしい。ふうまが本屋に来て、そのまま帰るわけがない。
「よう」
 ふうまはアスカとの初めてのデートという緊張感などまるでないのか、いつもと同じ調子で手を挙げた。
「すぐ会えて良かった。なんか買ったの?」
「文庫本一冊だけな」
「なんて本?」
「分からん」
「分からんってなによ?」
 首を傾げるアスカにふうまは答えた。
「二階で面白いフェアをやってる。本のタイトルも作者も隠して、最初のフレーズを印刷したカバーが本にかかってるんだ。そのフレーズだけをヒントに買うんだ」
「あ、なんかそれ面白そう」
「だろ?」
「で、どんなの買ったの?」
「これだ」
 ふうまは得意げな顔をして、袋から謎の本を取り出した。その紙カバーにはやたら大きなフォントで『腹上死であった、と記載されている。』と印刷されていた。
「なんなのよそれは!?」
「だから『腹上死であった、と記載されている。』だよ」
「そんなのデートの前に買う? ほんとバカなんだから。そんなことより、今日の私を見てなにか言うことないわけ?」
 アスカは腰に手を当てて、デートのためにばっちり決めた自分を見せつけた。
「なんかキラキラしてるな。いつも対魔忍スーツだからそういう格好は新鮮だ。似合ってるぞ」
「当然」
 アスカはふふんと軽く笑ったが、内心は「やったあ!」と竜巻の一つも起こしたくなるほどハッピーな気分になった。
 それで改めてふうまを見ると、向こうもいつもよりは気を遣ったのか、赤のシャツに紺のチノパン、薄いブルーのジャケットの袖を捲っているというスタイルだ。
 特にパッとするコーデじゃないけど、アスカの隣にいても恥ずかしくはない格好だ。ふうまにしては上出来。
 大体、背が高いし、身体も鍛えられてるから、そんな服でもそこらにいる男たちよりはずっと目立つ。
 まあ、元の人相があまり良くない上に、いつも片目を閉じてるから、少しアウトローな雰囲気が漂っているけど、それは今に始まったことじゃない。
「そっちもわりと決まってるわよ」
「そりゃどうも」
 お世辞かなり多めで褒めてあげると、ふうまは満更でもなさそうな顔をした。
「でもその格好、どっかで見た気がするのよね……」
 なんだか全然違う記憶を刺激されてる気がして、ふうまを上から下までまじまじと見ていたアスカは、それが何か分かって吹き出した。
「シ、シティーハンター……」
「コスプレじゃないぞ。たまたまだ」
 ふうまも気づいていたらしく嫌そうに言う。
「そんなの分かってるわよ。いくらふうまでも初めてのデートでコスプレはしないでしょ。あはははははは」
 あまりに予想外で、しかも場所が新宿だけに、アスカはお腹を抱えて笑い出した。
 ふうまはやれやれという顔をしていたが、いきなり神谷明みたいな声で、
「XYZか。危険なイニシャルだな」
「ちょっとやめて」
「俺の武器はコルト・パイソン357マグナム。打ち抜けないのは美女のハートだけさ」
 などどジャケットをまくるとそこに隠してあるのは、
「ク、クナイって……ぷぷぷぷ」
 コルト・パイソンがあるわけないのだが、ツボに入ってしまって、もう笑いが止まらなくなる。
「槇村あああーー!」
「やめてってば、ほんとやめて、くくくくく」
「屁のつっぱりはいらんですよ」
「言葉の意味はよく分からんがって、それはキン肉マン!」
 笑いながら思い切り突っ込み、それでまた笑ってしまう。
「おお、さすが」
「当たり前でしょ。やめておねがい。なんか変なとこに来てる。ダメ。苦しい。息ができない……」
 そこでふうまが黙ってくれたので、アスカの笑いもようやく収まる。
「あーーおかしい。ほんとにもう勘弁してよね。いきなり笑い殺されるかと思ったわよ」
 どっかに100tハンマーでも落ちてないかと思いつつ口を尖らせる。
「そろそろ時間だ。行くぞ、香」
「誰が香よ。あのその微妙に似てる声やめて」
 アスカは颯爽と歩き出した獠、ではなくてふうまの腕を掴んだ。そしたらこの馬鹿は、
「チャンチャンチャン♪ チャン、チャンチャンチャンチャン♪」
 アニメのエンディング曲のイントロを口ずさみ始めた。
「ちょっとやめて……!」
 今、引いたばかりの笑いの波がまた膨れ上がり、アスカは頬のあたりをひくひくさせて、掴んだ腕に力を込めた。
 もちろん悪ノリ男がやめるはずもなく、アスカをぷるぷるさせたまま、イントロをしっかりやってから、あのベースのカッコいいメロディを始めたあたりで――ピタッと身体の動きを止めた。もちろんアスカもそうした。
 次の瞬間、今度は二人で吹き出す。
「なにいきなり止まってるのよ!」
「そっちこそなんで止まってるんだ!?」
「だってここは止まるでしょ? そういうもんでしょ?」
「止まって引きな」
「そうそうそうそう!」
 アスカは笑いながらふうまの大きな肩のあたりをバシバシ叩いた。周りが変な目で見ていたがもうダメだった。
 そうやってしばらく二人でバカ笑いしてから、歌舞伎町にある映画館、TOHOシネマズに向かったのだった。
「なんかこのまま終わりそうな感じだな」
「終わってどうするのよ。まだ始まったばかりでしょ」
「そうでしたそうでした」
 TOHOシネマズ名物のビルから顔を出すゴジラがようやく見えてきた。

「あーー面白かった。やっぱりファーストは最高よね。しかも64Kデジタルリマスター版、画面すっごい綺麗だったね」
「音も良かったな。俺、スクリーンで見たの久しぶりだよ」
「私もすごい久しぶり。逆シャアとかどっかでやらないかな。そしたら絶対行くのに」
「あれ大画面で見たいな」
「ねーー」
 今、見てきた映画は『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』。今だに続いているシリーズの元祖となる作品だ。今度、64Kデジタルリマスター版が発売されるので、2週間の特別上映をやることになって、今日はその初日だ。
 手足のメンテナンスなどでシートに座ったまま何時間も動けないことが多いアスカは暇つぶしにアニメをよく見ている。
 スマホでふうまの着信音をサイボーグ009の主題歌にしてたりする。別に自分が003で、ふうまが009とかそういうことは思っていない。キャラ的にはふうまの方が003だし、アスカは004推しだ。
 それはさておき、「初めてのデートで映画はいいとして、ガンダムってどうなの?」とアスカもちょっと思ったが、どうせ一人でも行くのだし、試しに聞いてみたらOKだった。ふうまも行きたかったらしい。
 たまにアンジェを誘ってアニメを見に行くことはあるが、彼女は付き合いがいいだけで、特にアニメ好きってわけじゃないので、見た後であんまりディープな話はできない。その点、ふうまなら話し相手として申し分ない。ガンダムにして良かった。
 映画館のある三階から降りてきて、歌舞伎町の通りに出る。
 この辺は昔からガラが良くないとされているが、なにヨミハラとかに比べたら全然普通だ。今日は天気もすごく良くて、デートにはぴったりだった。
「とりあえず、どこかでお茶するだろ?」
「うん。どこに連れてってくれるの?」
 初デートの段取りの御手並み拝見という気持ちで腕を組むと、ふうまはもう片方の腕ですぐ上を指差す。
「どこって言うか、この上のカフェとかどうだ? ゴジラの顔の横にあるカフェ。行ったことあるか? 俺はない」
「私もない。あるのは知ってたけど。なんか特別なものあるの?」
ゴジラをモチーフにしたデザートとかアフタヌーンティーとかあるみたいだ。こんなの」
 ちゃんと下調べしてきたらしく、ふうまはスマホでその写真を見せてくれた。うん、悪くない。今の気分にも合っている。
「じゃ、そこにしよ」
 アスカたちは今、映画館から出てきたばかりの新宿東宝ビルをまた登って行った。
 ゴジラの顔の横にあるカフェ、ボンジュールは八階、ホテル『グレイスリー新宿』のロビーにあった。
「おお、ゴジラいるな」
「いるね。結構大きい」
「でかいな」
 運良く窓際が空いていたので、そこの席に案内してもらう。建物の中から見えるのはゴジラの後頭部くらいだが、テラスに出ればもっと前まで回って、開いた口の中とかもちゃんと見えるらしい。後で行こう。それと一時間に一回、時報がわりに吠える。
 ゴジラのチョコがついたケーキとアイスのセットとかも気になったが、やっぱりここは、
「二人ともアフタヌーンティーでいい?」
「こんなに食べられるか? 結構量あるぞ」
「余裕余裕。アフタヌーンティーって時間かけてゆっくり楽しむものだし」
「ならいいが、女子はこういうの好きだよな」
「大好き」
 と言うわけで、二人ともアフタヌーンティーを頼む。飲み物はおかわり自由で色々変えられるので、アスカはまずダージリンにする。ふうまはアメリカンにしていた。
 今日のリバイバル上映で売っていた初公開当時のプログラム復刻版を見ながら、二人でまたガンダム話をしていると、アフタヌーンティーセットが運ばれてきた。
 定番の三段ラックで、一番上がスコーンとかマドレーヌの焼き菓子、真ん中がゼリーとか季節のデザート、一番下がサンドイッチとかの軽食、アスカの好きなフルーツサンドもある。
「わあ、すごい」
 見た目の華やかさに声が出た。
「おお、豪華だなあ」
 などと言いつつ、ふうまはいきなり手を伸ばそうとする。
「待って待って。せっかくだから写真撮らせてよ」
「そうだな。俺も撮っとくか」
 二人揃ってスマホでカシャカシャやりながら、アスカはこっそり「写真を撮ってるふうま」の写真も撮った。ま、記念にね。
「じゃあ食べよっか。どれからにしようかな」
 ちょっと迷ったけど、やっぱりフルーツサンドから口をつける。うん、果物と生クリームのバランスが良くてすごく美味しい。ふうまは小さめのハンバーガーを最初に選んでいた。普通に食事って感じね。
 とか思ってると、「グアアアアアアアアア!!」ってゴジラが外で吠え始めた。ちょうと三時だ。
「わ、びっくりした」
「ここで聞くと結構、声大きいんだな」
「だね」
 店にいた他の人たちもなんとなくゴジラに顔を向ける。そりゃ見るわよね。気にしてないのは店員くらいだ。
「しかし、アフタヌーンティーって気分ではなくなってきたな。テーマ曲鳴ってるし」
「まあね」
 確かにゴジラが街を破壊するときとかの曲が流れてるし、目や口がビカビカ光ったりしている。いきなり雰囲気を台無しにされて、さすが大怪獣ゴジラだと二人して笑った。
 それからまたアニメの話や、最近のお互いの任務の話や、映画の前に買った本の話なんかを、アフタヌーンティーを楽しみながらあれやこれやお喋りする。
 これで二人きりで会うのも初めてとかだったら、アスカはともかく、ふうまは緊張してろくに話せなかったかもしれないけど、デートしたことがないだけで、もっと緊迫した、文字通り命がけの時間を何度も一緒に過ごしてるから、互いにリラックスして話せるのが嬉しい。
 ふうまにとってそういう子がアスカ一人じゃない――というより結構いるのがちょっと気になるけど、とりあえず考えないことにする。今は独り占めしてるんだしね。
 そんなこんなで、デート気分を満喫していたアスカだったが、ふとそばいた別のカップルが「あーん」と仲良くケーキを食べさせあってるのを見てしまった。そういえばあれやってない。
「あ……」
「どうした?」
「ううん、この残ってるマカロン、私食べちゃっていい?」
「いいよ」
「ありがと」
 マカロンを口に入れながら考える。
 二人で同じ物を頼んだんだからあーんなんてあり得ない。失敗した。違う物を頼んでシェアすればよかった。
 今、見なかったら気づかなかったかもしれないが、気付いてしまったので、どうしてもやりたくなった。だって初めてのデートだし。
「すいません、このイチゴのアイスクリームひとつお願いします」
「まだ食べるのか?」
「まだって言うかほら、いっぱい食べたから、最後に冷たいアイスでお腹を整えようかなって。ふうまはいる?」
 アイスはイチゴの他にもある。
「いる」と言ったら違うのを頼んでもらう。
「俺はいいよ」
 なら、まずふうまに「一口あげる」って感じで、アスカからあーんしてあげて、その流れでふうまからもやってもらう。それは自然だ。うん、そうしよう。
 追加のイチゴのアイスはすぐに届いた。もちろん普通に美味しい。
「ふうま、一口あげる」
「別にいいよ」
「いいから。はい、あーん」
 強引にスプーンを差し出すと、ふうまは素直に食べた。ここまでは予定通り。さあ来い。
 しかし鈍感男は気づかない。なんで? 普通「じゃあ俺も」とか言うでしょ? 言わない??
「どうした?」
「別に……」
 ふうまは怪訝そうにしていたが、アスカの不満そうな顔を見て、今日は奇跡的に勘が働いたらしく、
「俺もやろうか?」
「やろうかってなにを?」
「だからそのあーんってやつ」
「別にそんなことしてくれなくてもいいけど、やりたいって言うならやらせてあげる。デートだし」
 内心で「やったー」と万歳しつつ、それをあからさまに出すのは恥ずかしかったので、アスカはいかにも素っ気なくスプーンを渡した。
 そんな照れ隠しも珍しく伝わっていたみたいで、ふうまはちょっと笑って、でも余計なことは何も言わずに、ちゃんとあーんしてくれたのだった。
「この後どうする?  予定とかなかったら、ちょっと買い物に付き合ってくれない?」
「いいよ。なんか目当てでもあるのか?」
「うん。ちょっとこれを見ようかなって」
 アスカは今日はペンダントにしているビーズに触れた。

「ビーズって言うからハンドメイドの店かなんかだと思ってたけど違うんだな」
「まあね」
 アスカが連れて行ったのは高島屋にあるトロールビーズ
 デンマークのブランドで、天然石やガラスを使ったビーズ、それにゴールドやシルバーのチャームなんかを組み合わせて、自分の好みのジュエリーを作ることができる。
 アイテムは高いのから安いのまで豊富で、組み合わせは千差万別。まず絶対に他人とは被らないから、自分だけのオリジナルジュエリーを楽しめるし、もし同じアイテムを使ったとしても、ビーズなんかは見た目や仕上がりが最初から違ってるから、同じジュエリーには絶対ならない。そこが素敵。
「なるほど。同じビーズとかでもネックレスにしたりブレスレットにしたり形を変えて楽しめるわけだな」
「そうそうそう。値段もそんなに大したことないから、好きで色々集めてるのよ。で、今日はこれ、ペンダント」
 アスカはふうまの方に体を向けて、今日の組み合わせを見てもらった。
 シルバーのチェーンに、上からピンク、ブルーのガラスビーズを並べて、パワーフラワーのシルバービーズを挟んで、最後はホワイトパールのラウンドドロップスでシンプルにまとめてみた。
 その組み合わせの理由はちゃんとあって、ガラスビーズの色はアスカとふうまの対魔忍スーツのカラーから、シルバービーズは戦いを通じて育んだ二人の関係のイメージ、そしてホワイトパールはアスカのピュアな気持ち―――なんだけど、そうやって言葉にすると顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。
「ふうん」
 ふうまはごく自然にそのペンダントを覗き込む。つまりはアスカの胸元だ。もちろん秘められた意味には気づいてない。なのですかさず言ってやった。
「なーにじっと見てるのよ、エッチ」
「自分で見せといてそれ言うか」
  ふうまは心外そうに、だが笑いながら目を逸らした。
「あはは、ごめん」
 アスカは首をすくめて謝った。
  それからショーケースに並んだビーズを色々と見ていく。
 ちょっと気になるのがあったら、店員さんに出してもらって、今日付けてきたアイテムと合わせたらどうなるか試してみる。
 パッと見て「あ、いいな」と思っても、試してみたらいまいちとか珍しくない。そこが難しいし、楽しい。
 ふうまはアスカの横にくっついて、ビーズを一緒に覗き込んだりしているが、なんとなく手持ち無沙汰な顔をしている。そりゃそうよね。さすがに守備範囲外だろうし。
 でも、せっかく二人で来たんだし、初めてのデートなんだから、ちょっと手伝ってもらうことにした。
「ねえねえ、これとこれとこれのどれか一つ買おうと思うんだけど、どれがいいかな?」
「どれがってビーズの良し悪しなんて俺は全然分からないぞ」
 予想した通りの答えが返ってくる。アスカは笑いながら
「そんなの分かってるわよ。私的にはどれも同じくらいいいなって感じなの。だから最後はふうまに決めてもらおうかなって。せっかく二人で来たんだし。ね、お願い」
「いきなりそんなこと言われてもな……」
 ふうまは困ったような顔をしつつも、アスカが並べた三つの候補を見下ろした。 
 ホワイトムーンストーンのラウンドビーズに、ハートに音符マークを組み合わせたラブソングってシルバービーズ、それからグリーン、ターコイズ、イエローの花柄が中に咲いてるフェアリーテールってガラスビーズ。
「う~~~~~~~~~ん」
 ふうまは腕組みして眉間にものすごい皺を寄せている。任務の時だってこんなに悩まないって顔。
「そんな唸らなくてもいいって。どれも気に入ってるって言ったでしょ? 思い切ってパッと選んじゃってよ」
 アスカにとってはふうまに決めてもらうことに意味がある。だって初めてのデートの記念なんだから。
 ふうまはひとしきり唸ってから、「ダメだ、お手上げだ」という顔になって、
「俺が三つともプレゼントするってのはどうだ? まだバレンタインのお返しを決めてなかったからな。これを贈るってことで。サプライズプレゼントにはならないけどな」
「それものすごいサプライズなんだけど、え? いいの? ほんとに? 無理してない? ここに連れてきたけど私、ふうまに買って欲しいとかそんなつもり全然ないからね」
 あんまり予想外すぎて、嬉しいと思うより戸惑ってしまう。
「三つとも気に入ってるんだろ? さっき同じ物は二つとないって言ってたじゃないか。ここで逃したら二度と手に入らないってことだ。じゃあどれか一つとかじゃなくて全部いこう。今日は映画もお茶も奢ってもらってるし、流石にちょっと悪い気がしてたしな」
「それはこないだのお詫びだし、これ三つ買ったら普通に今日私が出した額をオーバーしてるんだけど。大丈夫? 後で私のせいで本もゲームも買えなくなったとか言わない?」
「言わないって。アスカがいらないなら俺が自分でつけようかな。うん、そうしよう。すいません、男がつけてもおかしくないブレスレットとかありませんか?」
 などといきなり店員さんに尋ね出す。
「ちょっと、なんでそうなるのよ」
 もちろんそれは遠慮しているアスカの背中を押すための下手なお芝居だ。そんな風に気を遣わせないようにしてれるふうまの気持ちがうれしくてうれしくて、アスカはなんか色々蕩けそうになりながら答えた。
「……うん、じゃあ、これ全部プレゼントしてもらうね。ありがとう。ほんとにありがとう。すっごいうれしい」
 ふうまとデートをする時は絶対にこれを使うことにしよう。アスカはそう誓った。
 そしてもちろん、プレゼントしてもらったばかりのそれを、さっきまでしていたペンダントのビーズと入れ替えて、幸せいっぱいでお店を後にしたのだった。

 夕方の新宿を腕を組んで歩く。
 新しい一番のお気に入りが胸元に揺れている。今のアスカの想いみたいにキラキラ輝いてる。
 ついつい頬が緩んでしまう。いつもならこんな気持ちのはっきりした顔を見られたら恥ずかしいって思うのに、今日は違う。
 私、ふうまのおかげでこんなにうれしいの、もっともっと見てって言いたくなっちゃう。流石にそこまで口には出さないけど。
「ふうま、これからどうしよっか? さっきあんなに食べたし、夕ご飯はだいぶ後でもいいわよね。もう一本くらい映画見る?」
「それもいいな。なんか見たいのあったか?」
「見たいのっていうか、新宿武蔵野館あたりで全然知らないのを当てずっぽうで見るとかどう?」
「それは冒険だな。つまんなくても知らないぞ」
「そん時はそん時。後で愚痴でも言い合いましょ。じゃあそうしよっか。今、何やってるのかな」
 とスマホを取り出したところで、今一番聞きたくない相手からの着信音が鳴り出した。
「えーー! うそーー!」
「マダムからか?」
「そう。今日は絶対かけないでって言ったのに。ちょっとごめん。はい、もしもし! アスカだけど!」
「あら、ものすごい不機嫌な声。ひょっとして上手くいかなかった?」
「すごく上手くいってるからこんな声出してるの! なんの用!?」
 と尋ねるまでもない。こんな時にかかってくる電話だ。緊急出動の連絡に決まってる。
 案の定、DSOの部隊がピンチに陥ってるから助けて欲しいという話だった。全力で断りたかったけど、それができたら苦労はない。マダムに思いっきり文句を言ってから電話を切った。
「出動か?」
「ふうまごめん! ほんっとごめん!」
「どこだ?」
「東京キングダム。アイランドタワーヘリポートに迎えをよこすって」
「仕方ない、行くぞ」
 ふうまはそう言って、アイランドタワーに向かって走り出した。追いかけながら尋ねる。
「え? 一緒に来てくれるの?」
「またデートの途中だからな。ちょっと場所が変更になっただけだ。だろ?」
 ふうまはさらりと言った。今は二人でいることが大事って感じの素敵な顔で。
「うんっ!」
 アスカは頷いた。もちろんとびっきりの笑顔で。
 そしたらふうまが例のエンディング曲を口ずさみ始めた。
「またそれ?」
「今の気分にはあってるだろ? 束の間の平穏は終わり、戦いはこれからだ的な」
「的なっていうか、実際そうなんだけど、なんかその言い方すると打ち切りみたいね」
「まったくだ」
 ふうまは笑って今度は止まらずに歌い始めた。
 仕方ないのでアスカも一緒に歌う。
 “GET WILD”じゃなくて、“GET LOVE”の方が良かったんだけどなとちょっぴり思いながら、アスカはふうまと二人で夜の新宿を駆け抜けていった。


【制作後記】
イベント「特異点の夜会」でついにアスカがデートの約束を取り付けたので、今回はそのデートの話を書いてみた。
本編でやるとしたら、デート中になにかトラブルが起こって云々という展開になると思われるので、非公式のこちらでは最後にちょっと邪魔が入ったが、アスカがひたすらデートを楽しむだけになっている。そういうのがやりたかったのだ。
そして『舞とふうまと本屋の街』の時と同じく、作中に書かれている店とかは全て実在している―――といきたかったのだが、新宿高島屋トロールビーズはすでになくなったようだ。知らなかった。
アスカも本編に比べてラブ度が高すぎるような気がするが、勢いで書いたIF話なのであまり気にせず楽しんでもらいたい。

 

 

 

 

対魔忍RPGショートストーリー『夢は悪のくのいちですよぉ!』


「さあて、今日もパトロールに出発しますよぉ。ヨミハラの平和を守り、朧さまのための新たな人材を発掘する。それがこの私の使命なんですから!」
 シキミは碧い瞳を爛々と輝かせ、意気込みも高らかに歩き出した。
 まだ幼さの残る顔立ちではあるが、頭には髑髏の紋章の付いた帽子を被り、裏地が赤の黒マントを付けた颯爽とした姿だ。
 黒と赤を基調にしたスーツは襟と両腕が軍服チックである以外、ボディは豊満な乳房や健康的な下腹部をアピールする編み目、白い太股を存分に見せつけるハイレグカットを経て、膝上から下は光沢のあるラバーソックスブーツでまとめられている。極めつけは染み一つ無い純白の手袋に握られた棘付きの電撃鞭だ。
 ここが東京の地下300メートルにある犯罪都市ヨミハラであることを思えば、彼女を闇の娼館の女調教師と考えてもおかしくはない。
 事実、左右にロールして垂らした金髪を小気味よく揺らし、肩で風を切って歩くシキミの姿に、何か性癖を刺激されでもしたのか、いきなり地べたに跪いて女王様になって欲しいと懇願する男(たまに女)もいる。
 そんな時、シキミは内心では閉口しつつも、仲間からはお人よしと呼ばれる性格を発揮して、「お断りです。お前みたいなド変態はこれでも食らいやがれです」と断りの鞭を男には容赦なく、女には少し手加減して振るってやる。無論、女王様になってやったりはしない。
 そんな彼女はSMの女王でもなければ、露出癖のある軍服フェチでもなく、ヨミハラを事実上支配しているノマド、その大幹部の一人である朧忍軍のれっきとした一員だった。
 今でこそ朧の部下として、偵察任務や新人教育を受け持ち、趣味でパトロールと人材発掘を行っている彼女であるが、そうなるまでには紆余曲折があった。

 シキミはヨミハラの孤児だ。しかもその最下層であるスラム地区に捨てられていた。両親のどちらがどんな事情で彼女を捨てたのかすら定かではないが、親にもらったものはその幼い命と、首に掛けられたプレートに書かれていたシキミという名前だけだった。
 それはスラムでは珍しくもない話だ。そういった赤ん坊の多くは野生の魔獣にすぐに食い殺されるか、邪悪な魔術師に見つかって実験材料にされるか、物心つく前から娼館に放り込まれて生え抜きの娼婦にされるのが関の山だ。
 彼女がそうならずにすんだのは、その頃から持っていた高圧電流を放出する力と、スラムで孤児院を営むという、おそらくヨミハラで最も奇特な鬼、ビルヴァに拾われるという幸運の持ち主だったからだ。
 シキミはビルヴァの孤児院で同じように幸運な孤児たちと成長していった。ごく普通のスラムの住人としてだ。
 つまりはスリ、盗み、かっぱらい、喧嘩は当たり前で、力の無い奴、頭の悪い奴は死んで当然といった日常である。
 ビルヴァの教えにより殺しだけはしなかったが、それも命は大切だからなどという理由ではなく、そこまですると色々と厄介なことになるからだ。
 一度、シキミとその仲間が盗みの最中に、とあるギャング組織の手下を誤って殺してしまい、孤児院を巻き込んだ問題になりかけたことがあった。
 いつも優しいビルヴァがそれはそれは恐い顔になってシキミたちを叱りつけ、全員のお尻を真っ赤になるほど叩いてから、自分が話を付けてくると武器も持たずにそのギャングの本部に出かけていった。
 ヨミハラでもたちの悪い娼館を経営しているギャングだ。自分たちを助けるために先生がそこで身体を売らされるのではないかと心配してこっそり後を付けていったシキミはビルヴァが組織を一つ壊滅させるのを見ることになった。
 最初は穏やかに話し合い、というよりギャングたちが一方的にビルヴァを脅していたが、そこのボスが「許して欲しかったら子供たちを差し出せ」と言った後の先生の豹変ぶり、ギャングが泣こうが喚こうが容赦せずに滅殺していくあの凄まじい姿を思い出すと今でも背筋に震えが来て、叩かれたお尻の痛みが蘇ってくる。
 ビルヴァが裏社会で“血まみれの戦鬼”と呼ばれていたことを知ったのはその後だが、先生には絶対に逆らわないようにしようと固く心に誓ったものだ。
 そんなシキミも年頃に成長し、孤児院を出てヨミハラの住人として独り立ちするときがやってきた。
「先生、私はヨミハラで一番のストリートギャングになってみせますよぉ」
「ほどほどにね。これは私からの餞別よ」
「これは電撃鞭ですね。―――おお、伸縮自在ですごく使いやすいじゃないですか。さすがビルヴァ先生ですねぇ!」
「あなたにはこういう武器の方が向いている思って」
「すぐに殺さずにジワジワと痛めつけるこんな武器が私には向いていると? もしかして先生が考える私の天職は拷問吏ですか? それはこの街には需要が多そうですねぇ」
「そうじゃなくて、あなたは根が優しいから」
 それがビルヴァの言葉だった。
 自分がそうだとはシキミは思っていなかったが、その電撃鞭は使い心地が良いので今でも愛用している。せっかくなので拷問のやり方も覚えた。

 それからしばらくの間、シキミはヨミハラでは珍しくもない孤児出身のストリートギャングとして生活していた。
 彼女の仕事の仕方はシンプルだ。
 狙い目はヨミハラに来て間もない連中だ。名うての犯罪都市で一旗揚げようと、魔界や地上からやって来たばかりの類いがいい。この街はそういう手頃な獲物には事欠かない。
 ノマドの中核を担う大幹部、最強の魔界騎士イングリッドの長年の努力により、ヨミハラでも大通りだけは驚くほどの治安が保たれている。少なくとも街を歩いていて、いきなり死ぬようなことは滅多にない。ともすればそこが最悪の犯罪都市であることを忘れそうになる。
 新参者はそれで勘違いする。ヨミハラなどこの程度だと調子に乗って大通りを外れ、すぐ横の裏通りに気軽に足を踏み入れる。ルール無用の真の暗黒街に自分からのこのこやってくるのだ。
 そんな愚か者がシキミのターゲットだ。
 大抵は背後から近づいて、いきなり電撃鞭で滅多打ちにする。無論、死なない程度に手加減してた。おのぼりさんの全身が痺れ、口もろくに利けなくなったところで言う。
「ヨミハラにようこそ。私の電遁は強烈ですよぉ? 大型の魔獣だって、一撃で仕留められるんですからね……ま、可哀想なんで仕留めませんけどぉ。命が惜しかったらとっとと有り金を出した方が良いですよぉ。そしたらお前みたいな迂闊な奴でも死なないですむ大通りに送り返してやりますから。イヤならいいですよぉ。このあたりは腹を空かせたナイトドッグがよく現れますから、ヨミハラに来た記念に生きながら自分の肉と魂を食われる苦痛を味わってくださいねぇ」
 これで金を出さない相手はまずいない。ヨミハラのルールを教えてやる授業料のようなものだ。
 そして金を払った相手はとどめの一撃で気絶させてから、約束通りちゃんと大通りに返してやっていた。
 目が覚めるまでに大抵は他の誰かに身ぐるみ全て剥がされてしまうが、スラムのストリートギャングとしては稀な優しさと言えた。
 ごく稀に授業料を払おうとしない客もいる。そういう輩は馬鹿で可哀想だと思いつつも、シキミはそのままそこに放り出していく。その後どうなったかは気にしない。
 ただし契約不成立なので金も奪わない。そこはストリートギャングとしてのシキミの矜持であったが、それもスラムでは珍しい性格といえた。

 そんな毎日を過ごし、お人好しの電撃使いとしてストリートギャングたちの間で知られるようになった頃、シキミは致命的なミスを犯してしまう。手を出してはいけない相手を襲ってしまったのだ。  
 スラムを一人で歩いていたその男は良いカモに見えた。体格も普通だし、たいした魔力も感じない。武器らしい武器も持っていない。しかもこの辺りの地理に慣れていないと分かる足取りだ。
 あとは金をたんまり持っているかどうかですねぇ。まあそれは襲ってから確かめるとしましょう。
 運の悪いことに、シキミはその日まで数日続けて得物がなかった。地下都市ヨミハラの天井から降る雨が一週間も続いて、人通りがめっきり減っていたのだ。
 長雨が止んで久しぶりの仕事日。浮かれていたシキミはストリートギャングとしての勘が鈍っていた。
 いつものようにスラムの暗闇に紛れて背後から忍び寄り、全く無防備に見えたその背中に電撃鞭を振り下ろす。
 だがその瞬間、男の姿が消えた。
 「あれっ?」っと思ったときには、そいつはシキミのすぐ横にいた。どうやって移動したのかも分からない。男が突き出した掌の先に人の頭ほどの火の玉が出現する。
 こいつ魔術師ですかぁ!?
 シキミは驚きつつとっさに身体を捻る。だが間に合わない。
 真っ赤な炎の塊が彼女の右半身を焼き、電撃鞭を手から弾き飛ばした。
 熱いというよりもざっくり斬られたような痛みにシキミは倒れ伏した。これまでにも炎の魔法を食らったことはあったがこんな衝撃は初めてだった。ただの一撃で身体に力が入らない。
「女か。対魔忍の私に気づかれずに攻撃を仕掛けてくるとは見事。さすがヨミハラと言っておこう」
「た……対魔忍……!?」
 まだ会ったことはなかったが、そういう輩がヨミハラに出没するとは聞いていた。人間のくせに魔力を持ち、忍法とかいうおかしな技を使って、魔族を狩るといういけ好かない連中のことだ。
「と……とんだドジを……踏んじまったです……対魔忍……なんぞに……この私が……」
 焼けた喉をぜえぜえと震わせながら、急速に霞んでいく目で男を睨み付ける。
 その冷たい瞳を見た瞬間に理解した。こいつは自分を見逃す気は無いと。
「悪く思うな」
 ふざけんなっ! 思うに決まってますぅ!!
 だがそれはもう言葉にならず、男の焼き殺されるのを待つばかりだったその時。
 ごとっ―――。
 奇妙な音がして男の首がシキミの眼前に転がった。
「ふん、対魔忍風情が。この私のシマに踏み込んで生きて出られると思ったのかい?」
 女の声だ。
 しかもどこか聞き覚えがある。
 だ、誰ですか?
 シキミは今にも消え去りそうな意識を振り絞ってその顔を見ようとしたが、それより早く血の付いた鉤爪が伸びてきて、刃の背で顎をグイと持ち上げられた。
「ふん、ビルヴァの所にいたガキかい」
「あくの……くのいち……さん……」
 そう呟いて、シキミは意識を失った。

 ノマドの大幹部、朧。
 嗤う邪悪、凄惨なる女王蜂といった異名を持つヨミハラ最凶のくのいちとシキミが出会ったのは、彼女がまだ孤児院で暮らしていた頃だった。
 当時はその正体など知らず、正月やハロウインやクリスマスなどにふらりと孤児院にやって来てはプレゼントをくれる、顔はちょっと恐いが優しいお姉さんだと思っていた。
 お姉さんはいつも干支の動物やハロウィンの魔女、サンタクロースなどの扮装をしていて、普段何をしているのかまるで分からなかったが、コスプレ衣装を通しても伝わってくる雰囲気が筋金入りの闇の住人であることを教えてくれた。
「お姉さんは何をしているの? 殺し屋?」
「私は悪のくのいちをしてるのさ」
 まだ幼かったシキミの問いにお姉さんは笑いながら答えてくれた。
 “くのいち”という言葉は知らなかったが、ビルヴァ先生が女の忍者―――諜報活動、破壊活動、謀略、暗殺などを行う裏社会のスペシャリストのことだと教えてくれた。
 事実、お姉さんはヨミハラ随一のくのいちであり、ノマドの大幹部、朧としてスラムを支配するとともに、実はシキミたちが暮らしている孤児院も彼女の援助と保護で成り立っているのだと知った。
 すごいお姉さんだ!
 なのに少しも偉そうな顔をせず、自分のことを“悪のくのいち”と言う。
 幼いシキミはガツンと心動かされた。その斜に構えたような態度が格好いいと思ってしまった。彼女の中にこうなりたいという憧れが生まれたのだ。
 幼いシキミが朧を“悪のくのいちさん”と呼ぶようになったのはそれからだった。
 だが孤児院を出てからというもの、シキミが悪のくのいちさんに会うことはなくなっていた。
 相手はノマドの大幹部、そのアジトであるショーパブの場所は知っていたが、十把一絡げのストリートギャングでしかないシキミがおいそれと近づけはしなかった。
 ただ幼い頃に胸に抱いた憧れの存在として、ストリートギャング仲間の間でその名前が出たときに、いつかあの人の下で働きたいと思い出すだけになっていた。
 仕事でドジを踏んだシキミが目覚めたのは懐かしい孤児院のベッドだった。
 悪のくのいちさんが死にかけていたシキミをここに連れてきてくれたのは明らかだった。
 ビルヴァ先生はシキミを叱ったりはしなかったが、「治るまでここでおとなしくしていなさい」と死んだ方がましだったと思えるほどの不味い魔法薬を毎日飲ませてくれた。
 そして三ヶ月後、すっかり傷が癒えたシキミは迷わず悪のくのいちさんのショーパブに向かった。
 助けてもらったお礼と、部下にしてくださいと頼むつもりだった。ビルヴァ先生は「難しいと思うけれど」と言いつつもシキミに紹介状を持たせてくれた。

「とっとと帰りな」
 悪のくのいちさんはにべもなく言った。即答だった。考える素振りすらなかった。
 シキミは二の句が継げなくなったが、きっとわざと冷たい態度をとることで彼女の本気を見ているのだと思い、お腹にぐっと力を入れてもう一度心から訴えてみた。
「私は悪のくのいちさんに小さいころからずっと憧れてたんです。そりゃ今まではチンケなストリートギャングをやってましたが、あのクソッタレの対魔忍から命を助けてもらったお礼をしないわけにはいきません。ぜひ悪のくのいちさんの部下となって―――」
 悪のくのいちさんはシキミが全部言い終わる前に面倒くさげに手を振った。
「うるさいね。チンケなストリートギャングだって分かってるなら、おとなしくそれを続けてりゃいいんだよ。あとその“悪のくのいちさん”ってのはやめな。殺すよ」
「えっ!? そんなに悪のくのいちさんっぽい恰好なのにですか!?」
「ああん!?」
 どうも本気で嫌がっているらしい。孤児院では見たことのない恐い顔で凄まれ、シキミは首をすくめた。
 だけど、今日の悪のくのいちさんの恰好は、胸元からおへその下くらいまでV字に肌を露出させているし、超ハイレグで足の付け根の辺りから太股まで丸見えにしているし、腰回りを始めとして至るところを網タイツにしているから隠している所よりも見えている所の方が多い。
 さっきチラッと確認したが、背中もガバッと開いていて、お尻なんか食い込みが細すぎて一瞬丸出しかと驚いたほどだ。
 つまり今までに見たどんなコスプレ衣装よりも悪のくのいちっぽい。これが本来の姿なんだとドキドキして、ついじっと見つめてしまう。
「なんだいその目は?」
「あくの……じゃなった、初めて見た朧様のくのいち衣装はすごく格好いいです。これぞ悪のくのいちって感じです」
 シキミの熱のこもった視線と言葉に、悪のくのいちさんはウンザリしたような顔になって、
「やかましいねえ。ったく、ビルヴァもなんでこんなのをよこしたんだか。うちに向いてないのは一番分かってるだろうに」
 それは聞き捨てならない言葉だ。シキミは思わす問い返す。
「私が朧様のところに向いてないですと!?」
「ああ、全く向いてないね。どうしてもノマドに入りたきゃイングリッドのとこにでも行きな。あんたみたいのにはお似合いだよ」
 悪のくのいちさんにシッシッと手を払われ、シキミはカーッとなってさらに食い下がった。
「だったら私をテストしてください! こう見えても電撃鞭の扱いには自信があります! 朧様の部下として必ずやっていけます! お願いします!」
「へえ、じゃあその実力を見せてもらおうじゃないか」
 悪のくのいちさんは軽い嘲りを込めて言った。

 シキミはショーパブのホールに連れて行かれた。さっきは裏口からビルヴァ先生の招待状を見せて、悪のくのいちさんのいる事務所に案内してもらったので、ちゃんと店の中を見るのはこれが初めてだ。
 もう今日の営業は終わっていたが、目がくらむほど煌びやかな店内はシキミのホームグラウンドであるスラムとは大違いだった。
 悪のくのいちさんの店に相応しく、とても綺麗だが皆どこか凄みのあるホステスがきびきびと後片付けや掃除をしている。
 悪のくのいちさんがやって来たのに気づくと、「朧様、お疲れさまです!!」ときりっとした声が返ってくる。いかにも鉄の規律の軍団といった感じで、シキミはますますここに入りたくなった。
「ローゼンはどこだい? ローゼン!? インティライミ、ローゼンはどこにいったんだい?」
「ローゼンったらまた!」
 インティライミと呼ばれた子、大きなとんがり帽子に大きな杖を持った魔女―――というより魔法少女と言った方が相応しい子が奥のソファに駆け寄っていく。
「ローゼン、起きて」
「んあ? なあに?」
「朧様がお呼びよ! 起きなさいってば!」
 インティライミはソファで寝ていたらしい子に杖を振り下ろした。
「あいた。もう。インティはすぐに叩くんだからあ。気持ちよく寝てたのに」
「後片付けもしないで寝とる場合か!」
「ふあああ~~、分かってるよぉ」
 ローゼンという子がのっそりと起き上がった。うさぎの獣人らしく頭から長い耳がぴょこんと出ている。一応バニーガールのような恰好をしているが、そばにいる魔法少女と同じくらいこの店の雰囲気に合っていない気がする。
 悪のくのいちさんは後片付けもせずに寝ていたローゼンを咎め立てすることなく言った。
「ローゼン、ちょっとこいつの相手をしてやりな。うちに入りたいから実力を見て欲しいんだとさ」
「入軍希望? 私がテストするんですか?」
「ああ、軽く捻っていいよ」
「分かりました。ふぁあ~~~~っ」
 ローゼンは大あくびをしながら、冬眠から目覚めたばかりのような動きでのそのそとステージに上がっていく。
「朧様、入軍テストなら別の誰かでしたほうがよろしいのでは? ローゼンでは実力を見るもなにもならないと思いますが……」
「いいんだよ」
 インティライミの控えめな言葉を悪のくのいちさんはピシャリと遮った。
 どういう意味だろうかと少し気にはなったが、シキミは電撃鞭を握りしめながら自分もステージに上がる。
「ふあ、いつでもどうぞ」
 ローゼンはまだ眠そうに目を擦っている。
 緩みきっている。隙があるとか無いとか以前の問題だ。どこを打っても当たりそうだ。
 攻撃していいんだろうかと思いつつ、シキミは電撃鞭を振りかぶり、当たってもまだ大丈夫そうなふっくらした太腿のあたりを狙って―――次の瞬間、視界がぷつりと途切れた。真っ暗な世界で意識が遠くなっていく。
「ふん、話にならないね」
 悪のくのいちさんの声が遠くに聞こえ、なにがなんだか分からないままシキミは気絶していた。

 その翌日――。
「なるほどー。ローゼンさんは朧忍軍で1番の暗殺者なんですね。それなら私が一瞬でのされたのも納得ですよぉ」
「昨日は起きたばっかりで力加減ができなくてごめんね。まさか白目剥いてぶっ倒れて失禁するとは思わなかったけど」
「私のオシッコの後始末までさせてまことに申し訳ありませんでした」
「インティにものすごい怒られちゃったよ。朧様の知り合いなのにやりすぎだって」
「とんでもない。ローゼンさんのような強い方を私のテストの相手に選ばれたということは、それだけ悪のくのいちさんの期待が私にかかっているということですよぉ。私の部下になりたければこの試練を乗り越えてこい! そう受け取りました!」
「あはは、それはどうかなあ」
 閉店間際のショーパブの一角でシキミとローゼンが仲良く喋っているのを、事務所から出てきた朧が見つけた。
「ああん?」
 意味が分からないという顔を10秒ほどしてから、バーカウンターで魔法のカクテルを作っていたインティライミに尋ねる。
「なんだあれは?」
「シキミさんとローゼンです」
「見れば分かる。なんでまたあいつを店に入れた? もう来ても追い返せて言ったはずだよ」
「それがその……お客様としていらしたのでうちとしては入れないわけには、前金でちゃんとお金も頂きましたし」
 ちょっと笑っているような顔で答えるインティライミに朧は逆に顔をしかめる。
「なんなんだあいつは!?」
「朧様に憧れて入軍を希望しているのだと思いますが」
「そんなことは分かってる。あいつがうちに向いてないのは昨日のテストでお前も分かったろ?」
「ええまあ……ローゼンが寝ぼけてたのでちょっと手加減しようとしてましたし、本気で打っても当たらなかったと思いますが、ストリートギャングにしては甘い感じですね」
「そうさ。まったくなにを考えて―――」
 その言葉が途中で止まった。
 シキミがこちらを見たのだ。その顔がパッと輝く。孤児院にいた時と少しも変わらぬ鬱陶しいくらい真っ直ぐな憧れの瞳だ。
 嗤う邪悪の異名を持つ彼女にしては稀なことだが、朧は自分でも気づかないうちに逃げたそうな顔をしていた。
「朧様! お疲れさまです! 入軍希望者シキミ、またやってきました! ではローゼンさん、お願いします。今日は本気で行きますよぉ!」
「オッケー」
 唖然としている朧の前で、また勝手に入軍テストが始まっていた。
 シキミは自分で言ったとおり本気で鞭を振るい、今日は5秒ほどでやられていた。
 それからというものシキミがショーパブを訪れてはローゼンに挑み、玉砕していくのが毎日の恒例となっていた。
 最初はちゃんと客として来ていたが、そのうち金が保たなくなったらしく、「お代は私のこの身体で返しますよぉ」などと言って、皿洗いやら掃除やらの下働きまで始めていた。
 それを知った朧は開いた口が塞がらなかったが、二日目の挑戦をなんとなく認めてしまったのがまずかったのか、すでに止めるきっかけを失っていた。
「今日こそローゼンさんから一本取りますよぉ。さあ勝負! 勝負です!」
「もう勘弁してよー」
 そう言いつつも、ローゼンは決して手を抜くことはなく、シキミは飽きもせずに彼女に挑み、毎回毎回景気よくやられていた。
 それでも次第にローゼンの動きに慣れてきたのか、孤児院でビルヴァの手ほどきでも受けているのか、最初は10秒も保たなかった戦いが30秒、1分、2分とそこそこ続くようになっていた。
 しかも最初は閉店後にこっそり行っていたテストが客の間で知られるようになり、今では店のショーとして公開され、ギャンブルまで始まっている。どちらが勝つかではなく、今日はシキミがどれだけ保つかという博打で店の結構な売り上げになっていた。
 こうなると、ただ正式に朧忍軍に入っていないだけのサブメンバーのような存在だ。もちろん軍団の面々にもその為人を知られ、もうすっかり打ち解けていた。
「朧様、そろそろシキミさんの入軍を認めてあげたらいかがですか?」
 インティライミは苦虫を噛みつぶしたような顔でシキミとローゼンとのバトルショーを見ている朧に言った。
「シキミさん、この短期間でローゼンとあれだけ戦えるようになるなんてかなり優秀ですよ」
「分かってるよ。でもねえ……」
「彼女のあの性格は多分変わらないでしょうが、組織を活性化させるには周りと違った個性も必要だと私は思います。例えばイングリッド様のところのリーナさんみたいに」
「嫌な例えを出すね……」
 インティライミの出してくれたカクテルを不味そうに飲みながら朧は呟いた。
「ローゼンさん、行きますよ! 新必殺ライトニングスネーク!! とりゃあーー!!」
「うわっと、あぶなっ!!」
「ちいっ、おしいっ!!」
 今日は今までで一番長く戦いが続いている。
 このままテストを繰り返していけば、いずれはローゼンから一本取れるくらいにはなるだろう。朧を除けば軍団で最強の暗殺者であるローゼンから。あの甘い性格のまま。
「そろそろ潮時かね」
「朧様に憧れてるのは私や他のみんなと同じです。みんなシキミさんのこと応援してますよ。あそこで全く手を抜かないローゼンも」
「ふふ、あんまり意地を張ってると、あんたたち全員に恨まれることになりそうだねえ」
 朧が苦笑しながら自分の負けを認めようとしたとき、部下の一人が店の外から飛び込んできた。
「朧様! C地区が謎のサイボーグ部隊に襲われています!!」
「ちっ!」
 朧は舌打ちして、ホールの部下たちに鋭く命令する。
「お遊びは終わりだ! 馬鹿どもをぶち殺しに行くよ!!」
 シキミとローゼンのテストにワイワイ盛り上がっていた朧忍軍がさっと緊張した。
「シキミ、ごめん。この続きはまた帰ってから!」
「……あ、はい。ローゼンさん、ご武運をお祈りします」
 ステージを駆け下りていくローゼンにシキミが寂しそうな顔をしている。どれだけ朧忍軍に打ち解けたとは言え、まだその一員でないシキミにはこの出撃についていく資格がない。
 さあ、どうするよ?
 朧はその心根に挑みかかるような気持ちでシキミを見据えた。
 目と目が合う。
 シキミは一瞬だけ、朧から目を逸らしかけたが、ギリギリで踏みとどまって、ただの憧れではなく、強い決意をその目に浮かべて言った。
「朧様! 私もつれて行って下さい! 必ずお役に立ってみせます!」
 朧の口元に笑みが浮かぶ。
「ならついてきな! これが最後のテストだ。実戦で実力を見せてもらうよ!」
「はいっ!」

 結局、その実戦テストでシキミは実力を認められ、朧忍軍の一員となった。
 朧が予想したとおり、その甘い性格は今でもあまり変わっておらず、まず暗殺には不向きで、捕虜に対する拷問でも日和ることがある。しかも人よしで騙されやすく、おだてにも弱いというおまけがついている。
 それでも憧れの朧の下で、若干あさっての方向を向いてはいるが、今も精進を続けているシキミなのだった。
「朧様のような立派な悪のくのいちになれるように今日も頑張りますよぉ!」


【制作後記】
 つい先日実装された朧軍団の一人、シキミのお話だ。
 プロフィールに書かれていた設定がやたらと面白かったので、朧の部下になるまでの物語を勢いで作ってみた。もちろん非公式である。
 私はこの子のエロシーンは担当しておらず、カヲルとアスタロトの過去イベント『炎鎖の交』にも出て来ないので、ユニットのプロフィール、フレーバーセリフ、エロシーンだけを頼りに、勝手に色々膨らませて書いている。
 いずれ公式に過去が明かされて、全くの出鱈目だったと判明するかもしれないが、よくあることなので、軽い気持ちで読んでもらいたい。

対魔忍RPG ショートトーク 『彼女たちのバレンタイン』おまけ

●井河アサギ
「……はあ、これどうしようかしら。そもそもなんでこんなもの買っちゃったのかしら」
「失礼しまーす。紫先生と一緒に新しい訓練の計画を―――うわっ、お姉ちゃん!? いま何隠したの? まさかまさかバレンタインのチョコ!?」
「!!」
「アサギ様!! 誰ですか!? 誰にそのチョコを渡すつもりなのですか!!」
「バレンタインもう終わってるけどね。ということは、お姉ちゃん誰かにチョコ渡そうとして、勇気が出なくて渡せなかったんだ。く~~~そんな恋に恋する乙女みたいな可愛いことをお姉ちゃんが!」
「そんな……アサギ様が、アサギ様ともあろうお方がそんな……」
「ち、違うのよこれは―――ええと、ちょっとした貰い物で……あっ!」
「はい、影遁の術~~! やっぱりバレンタインのチョコでした。それもすごい高級そうな奴。お姉ちゃんの嘘つき。さてさてアサギ先生はこれを誰に渡すつもりだったのかなあ?」
「アサギ様、仰ってください。誰なのですかその男は!! まさか生徒なのですか!? アサギ様あっ!!」
「ちょ、ちょっと紫、落ち着いて……」
「落ち着いてなどいられません!」
「どうどうムッちゃん。顔も声もヤバいことになってるから」
「だがさくら、お前は気にならないのか! アサギ様がここの生徒に、年下の男に恋い焦がれるなどそんなことが、そんなことがっ……うぐううっ!」
「そんな全力で歯を食いしばって不死覚醒を発動させるほどのことじゃないって。教師と生徒だろうがそういう気持ちになっちゃうことはあるだろうし、私なんか男子に、女子もだけど、ラブ的な視線をしょっちゅう送られてるよ」
「それはお前が甘く見られているからだ。大体それで誰かにチョコを渡したことはあるのか?」
「なはは、それはないけど。そこはやっぱり私は先生だって意識があるし、もし渡すとしたら学校の外でかなあ」
「お前にしてはまともな意見だ」
「ありがと。なのにムッちゃん、あのお姉ちゃんが学校で誰かにチョコを渡そうとしてたんだよ。五車学園始まって以来の大事件だよ」
「ぐむううう~~~~~」
「そんな二人で勝手に盛り上がらないで。別に学校で渡そうと思って持ってきたわけじゃないわ。なんとなく買ってしまったけれど、やっぱりまずいかしらって思ってるうちに鞄にいれてたのよ」
「まあ、そんなとこだろうね。で、誰?」
「誰なのですか、アサギ様!」
「………………」
「お姉ちゃんだんまりだ。あんまり隠すと私も本気だって思っちゃうよ。多分、ふうま君でしょ?」
「なっ? どうして?」
「ん~~~~なんとなく、ふうま君、お姉ちゃんが独立遊撃隊の隊長になんか抜擢したせいで、明らかに本人の力量以上に頑張ってるし、ご褒美にこっそりチョコくらいあげてもいいかなって」
「そう思う?」
「うん思うよ。あと前にムッちゃんが大ショックを受けたテーマパーク結婚式事件のパートナーだったし、にひひ」
「そうだ……あの時もアサギ様の相手はふうま小太郎だった。やはりそうなのか、あの時から、いやもっと以前から二人はそんな関係に……ううううう」
さくらやめて。紫がまた三日は立ち直れなくなるでしょ。違うのよ紫。あの時もそうだし、このチョコもそんな深い意味はないのよ」
「バレンタインで盛り上がってるからなんとなく買っちゃったんだよね。あるある。そういうこと」
「そうなの。ホントにそれだけよ。それだけ」
「はい、信じます。アサギ様……私はアサギ様を信じます……ううう」
「そんな泣くほど……」
「そのチョコどうするの? もうバレンタイン終わっちゃったけど?」
「どうするって今さら渡せないでしょ? 逆に不自然よ」
「高いチョコがもったいないよ。ふうま君、この前ヨミハラで、お姉ちゃんのクローンとなんかやってたみたいだから、その報告を聞くついでにお茶菓子として出したら?」
「生徒からの報告を聞くのにお茶菓子?」
「そこはそれ、誰かからの貰い物とか言ってさ。『一日遅れたけどバレンタインで』って言いたきゃ言ってもいいけど」
「言わないわよ。言うわけないでしょ。……そうね。そうしようかしら」
「オッケー、ムッちゃん、そんなとこで打ちひしがれてないでほら行くよ」
「さくら、それでいいのか? それで本当にいいのか?」
「いいんじゃない? ふうま君って年上好きみたいだし、わりとお姉ちゃんとお似合いだと思うんだけどね。私とだってそうだけど、お姉ちゃんほど脈はないかもなあ」
「ちょっとさくら……」
「そんなこと言うな!」
「はいはい。じゃ、アサギ先生、失礼しましたーー」
「なんだかさくらに乗せられてる気がするけど、まあいいわ。ずっと持っててもしょうがないし。―――こちら校長室。校内放送でふうま小太郎をここに呼び出してくれ」

【制作後記】
非公式トークのおまけです。バレンタインから一日過ぎて、そういえばもう一人いたなあと思い出して勢いで書いてみました。

対魔忍RPG ショートトーク 『彼女たちのバレンタイン』


●井河さくら(若)
「ふああ~~~。ふうま君、おはよ~~~」
「おはよう、今日は早いな」
「なんか変な時間に目が覚めてゲームしてたら朝になっちゃった。はいこれ」
「なんだ?」
「チョコだよチョコ。今日なんの日か忘れてない? ザ・恋する乙女が切ない想いを伝える日~~♪ なんちて」
「……ああ、バレンタインか。くれるの初めてだな。どういう心境の変化だ」
「むっふっふ♪ 実はふうま君への気持ちがじゃじゃーん! 突然ライクからラブに変わった――とかじゃないんだ。にひひ♪」
「じゃあなんなんだよ?」
「んーーーなんとなく。そういえば今まであげてなかったなーってふと思っただけ。コンビニで買ってきただけで、全然手作りとかじゃないし、ふうまくん今年はまた沢山もらえるだろうけど、これもそれに加えといてって、まあそんな感じ」
「加えるもなにも今年はこれが初めてだ。ありがとうな」
「どういたしまして。ふぁあ~~、やっぱりもうちょっと寝よかな。んじゃ、おやすみー」


●出雲鶴
「ご主人様、おはようござ――ぬあっ!? その手に持っているのはもしやバレンタインのチョコ? こんな朝早くからそのような真似をするとは一体何者!?」
「そこでさくらからもらった。今年はなんかくれる気になったらしい」
「さくらさんが!? そうですか……さくらさんが……」
「どうした?」
「いえ……ご主人様の専属メイドとして、最初にバレンタインのチョコをお渡しすることができず申し訳ございません。どうぞこちらをお受け取り下さいませ。私からの溢れる気持ちにございます」
「おお、二つもか」
「こちらはトリュフチョコです。生クリームを使っておりますのでお早めにお召し上がりください。こちらはご主人様のお好きなオランジェットです。小分けにして真空パックしていますのでこのままでも一ヶ月、冷凍して頂ければもっと長く保つと思います。どうぞごゆっくりお楽しみくださいませ」
「ありがとう。そういえばライブラリーにも渡したりするのか?」
「ち、父上にですか? 用意はしております。亡き母には及びませんが、父上はボンボンショコラが好きとのことですので……」
「喜んでくれると良いな」
「はい、私もそう願っております」


●相州蛇子
「おはよう。ふうまちゃん。今年は学校がある日のバレンタインで良かったね。また結構もらえるかもって期待してるんじゃない?」
「まあ、ちょっとだけな」
「やっぱり。もらえるといいね。蛇子はそういうのとは関係なく今年もちゃ~んとふうまちゃんにあげるけどね。はい、ハッピーバレンタイン♪」
「ありがとう。毎年感謝してる。蛇子様々だな」
「どういたしまして。今年のはちゃんとタコ墨入りだよ」
「お、おう……そうか」
「もーー、そんな顔しなくても大丈夫だよ。前にふうまちゃんから美味しい墨入りクッキーお返しにもらったでしょ? だから蛇子もタコ墨を入れても、ううんタコ墨を入れたからこそ美味しくなるように工夫を凝らしてみたんだ。期待してて」
「タコ墨を入れないって方向性はないのか? 前にそういうのもくれただろう?」
「だってそれだとただ美味しいだけで、食べた瞬間にこれ蛇子のだって分かんないでしょ? やっぱりそれはつまんないなあって。今回は美味しいから大丈夫だよ。タコ墨だけじゃなく蛇子の気持ちもい~~っぱいこもってるし」
「分かった。本気で味に期待するぞ」
「うんっ、あとで感想聞かせてね」


●水城ゆきかぜ
「はい、バレンタインのチョコ。お返しよろしくね。今年も期待してるから」
「いきなりお返しの催促からか。まあ頑張ってみるよ。ありがとう。しかし箱がデカいな。それに重いぞ。これケーキか?」
「ブラウニー。ちょっと作ってみたんだ。二種類入ってるから。チョコだけのオーソドックスな方はまあ普通のブラウニーで、ドライフルーツ入りのは自信作。ずっしり濃厚甘々って感じだから、濃いコーヒーとかと一緒に食べるといいかも。すぐに食べきれないようなら冷凍して。一ヶ月くらいもつから」
「分かった。しかしゆきかぜもケーキなんか作るんだな」
「なにその私はケーキなんか作りそうにないのにこれはおかしいぞってすごいイラッとする顔は?」
「悪く取り過ぎだ。前にお菓子作りはチマチマ計量しないといけないから面倒とか言ってたろ?」
「言ったっけ? そうだけど最近クリアがお菓子作り始めてて、それで私が横でなんにもできないってイヤじゃない? だからちょっとね」
「お姉さんとしては辛いところだな」
「そうなのよねー。クリアはカラスとチョコクッキー作ってた。後で別に渡すって。ちゃんともらってあげてね」


●マヤ・コーデリア
「あの……フーマ、私もバレンタインのチョコというのを用意してみました。私の世界にはそういう風習はないのですが、寮でみんながすごく盛り上がってましたし、フーマはきっと私からのチョコを期待してると言われたので……そうでしたか?」
「まあ期待というか、マヤ様からもらえたら嬉しいなとは思ってました。もらえるんですか。ありがとうございます」
「よかった。郷に入れば郷に従えと言いますものね。チョコに気持ちを託すというのはとても素敵ですし。……あ、でも勘違いしないでください。これを渡したからと言ってあなたが好きだとかそういうわけではありませんから。いえ、あなたが嫌いというわけではなく、好きか嫌いかで言ったら……それはその好きですが、男女の恋愛的な意味ではなく、つまりなんというか、いつも私に色々尽くしてくれているあなたへの感謝、そう感謝の気持ちを込めてのチョコです。そこは勘違いしないように。いいですね」
「もちろん分かってます」
「よろしい。こっちでいつの間にかあなたと恋仲になってたりしたら、姫姉さまになんて言われるかわかりませんもの」
「え? そういう心配をするってことは可能性はあるってことですか?」
「か、可能性の問題ではありません。主と従者とはある意味、恋人以上、夫婦以上に親密な関係になるのですから、私たちもお互いに節度を守りましょうとそういうことです。あなたいつも一言多いです。もう。黙って受け取りなさい」


●篠原まり
「……ふ、ふうま君、ちょっといいかな?」
「おっ、まりか? もしかしてバレンタインのチョコか?」
「うわっ、すごい勢いで来た。……う、うん。また私たち三人も用意してみたんだ。よかったら受け取ってくれるかな?」
「もちろんありがたく受け取るが、私たち三人って?」
「ふぇっ? あっ、舞ちゃんも卯奈ちゃんもいない!? なんで!? あーーーあんなとこに隠れてる! なんでえ??」
「やっぱり一人ずつ渡そうってことなんじゃないのか? どちらかといえば俺もそっちの方が嬉しいしな」
「え? そう? 一人ずつの方がいい?」
「なんかバレンタインって感じがするだろ。今にも告白しそうな感じで」
「ふぇええ? ここ告白? わ、私、今ここでふうま君に告白とか無理無理無理。いきなりそんなことできないよ~~」
「いや、告白しろとかではなくてだな。そういう雰囲気があっていいなという話だ」
「あ、ふいんきふいんきね。そうだね。そういうのはいいよね。じゃ、じゃあ……はい、ふうま君! 私からのえとえと……き、気持ちですっ!」
「ありがとう」
「私も受け取ってくれてありがと! それじゃねっ! も~~~~、舞ちゃん、卯奈ちゃん、いきなりいなくなるなんてひどいよーーーー!!」


●七瀬舞 & 望月卯奈
「ふうまさん、お待たせしました。私からのほんの気持ちです」
「ふうま君、私からもこれ気持ち。いつも色々ありがとねっ!」
「二人ともありがとう。なんかまりが向こうで怒ってるがいいのか?」
「いいんです。そんなことより、まりちゃん先輩、ふうまさんにチョコを渡すときになにか言いましたか?」
「うんうん、それ私も聞きたい。まりちゃんふうま君になんて言ったの? なんてなんて?」
「いや、普通に私からの気持ちって」
「あちゃ~~~~~」
「まりちゃん先輩、相変わらずですね」
「でもでも、まりちゃんにしてはすごく頑張ってた。それ伝わってきた。その『私からの気持ち』にきっとすごい気持ちがこもってたと思うな。だよね、ふうま君?」
「う、うん? そうなのか?」
「こっちもだ~~~」
「こういう人ですから」
「しょうがないか。……あ、そうだ、ふうま君、私があげたチョコ餅、あんまり日持ちしないんだって。できれば今日中に食べて。ごめんね」
「分かった。チョコ餅とは卯奈らしいな」
「でしょ? すっごく美味しいよ」
「私のはカカオ100%のダークチョコレートです。買ってきたものですから日持ちします」
「そりゃまた苦そうだな」
「と思うでしょうが、これは甘くてなめらかです。きっと気にいると思います」
「舞ちゃん、本屋に行く回数も減らして、色んなお店でチョコ探してたもんね」
「そ、それはせっかくあげるのですから美味しい方がいいですし。では、失礼します。お返しはまた京千代紙でお願いします」
「舞ちゃん、お返しのリクエストするんだ。すごいね。じゃあ私はお餅を使ったお菓子がいいな。ふうま君、よろしくねっ!」


●神村舞華
「よう、ふうま。ここにいたのか。なんか色んな奴からチョコもらってるみてえじゃねえか。お前もなかなかやるな。俺も持ってきたぜ。お前には筆頭の件やらなにやらですげえ世話になったからな。今年はちょいと気合入れたぜ」
「気合って自分の炎で料理するとかしたのか?」
「しねえよそんなこと。普通に東京の銀座に行ってチョコの専門店で買ってきたんだよ」
「そういう話か。銀座のチョコの専門店とか高かったんじゃないのか。悪いな」
「いいってことよ。俺も一度行ってみたかったからよ。ものすげえゴージャスな店で俺としたことがちょっと中に入るのに躊躇っちまったよ」
「そんなにか。舞華もそういう店にはやっぱり可愛い格好で行くのか?」
「うるせえな。俺だって場所柄くらいは考えるよ。……ちっ、可愛いとか余計なことを。鉄志の兄貴に言われたこと思い出しちまったじゃねえか」
「鉄志さんがどうかしたのか?」
「いいからちょっと黙ってろ。今から渡すからよ。すーーはーーすーーはーーー、『ふうま君、これ私の気持ち、受け取って♪』」
「熱でもあるのか?」
「ねえよ! バレンタインのチョコ渡すときくらい普通の女の子みてえにしたらどうだって言われたんだよ。こんなの全然俺らしくねえよ。いいからもらっとけ!」


●磯咲伊紀
「ふ、ふうま君っっ!! ちょっといいかしら?」
「磯咲か。なんだ? もしかして今年もバレンタインのチョコか?」
「え、ええ、そうなの。またふうま君にもらってもらおうかと思って。私もみんなみたいにバレンタインの気分を味わってみたいし、でも別にそんなに好きじゃない人に渡して勘違いされたらイヤだし……あ、違うの。ふうま君のことが別にそんなに好きじゃないとかじゃ全然なくて、ふうま君はそういう私の気持ちを汲んで普通に受け取ってくれるから、つい甘えちゃって。ごめんなさいね。私の勝手にいつも付き合ってもらって」
「いやいや、チョコをくれるだけで嬉しいよ。いつも立派なのをありがとう」
「う、ううん、私ちょっと加減が分からないところがあるから、いつも張り切り過ぎちゃって、今回もこんなになってしまったわ。大げさすぎたらごめんなさい。はい、ふうま君、受け取ってください」
「ありがとう。お返しはちゃんとするから」
「い、いいのよ。私が勝手にあげてるだけなんだから。そんなに気を遣わないで。でもありがとう。ふうま君。それじゃ」
(今年もちゃんと渡せたわ。言葉は普通だったけど、表情と仕草で私の溢れる想いを精一杯込めることができたわ。彼に群がる有象無象のメスブタたちとは絶対に違うはずよ。そうに決まってるわ)


●速水心寧
(わあ、磯咲さんもふうま君にチョコあげるんだ。いつも渡してたみたい。すごいなあ。全然気づかなかった。ふうま君の前ではあんな顔するんだ磯咲さん。私も頑張らなきゃ。去年は家のそばまで行ったのに勇気がでなくて帰っちゃったし。今年はみんな渡してるから逆に目立たなくていいよね)
「ふうま君、いつもありがとう。これ私の気落ちです。受けとってください。――うん、いけるいける」
「……あ、あの……ふ、ふうま君? ちょっといいですか?」
「おお、心寧か、どうした?」
「え……あのその……きょ、今日はバレンタインだから……私も……ふうま君にあげようかなって……」
「え? くれるのか?」
「は、はい……イヤじゃなければですけど。受けとってもらえますか?」
「イヤなんてとんでもない。もちろん受け取るよ」
「ああよかった。じゃあこれ。ふうま君。いつもありがとう。私の気持ちです。受け取ってください」
「うん。ありがとう」
「ど、どういたしまして。そ、それじゃあ、ふうま君。またね」
(やった。私ちゃんと渡せた。ふうま君も受け取ってくれた。すごく意外そうな顔してたけど、全然そういう対象じゃないのかな私? ううん、そこは気にしない気にしない。これが最初の一歩なんだから。磯咲さんを見習ってもっと頑張らなきゃ)


●鬼崎きらら & 死々村孤路
「なんか知らないけど、アイツ次から次へとチョコもらってるわね。意外とモテるんじゃないの。拍子抜けしちゃった。これどうしようかな」
「(きらら、こんなとこで何してるの?)」
「うわっ!? 幽霊みたいにいきなり背後に現れないでよ。べ、別になにもしてないわよ」
「(今さっと隠したのはふうま君にあげるチョコ?)」
「なんだっていいでしょ。っていうかなんであげる相手がふうまなのよ?」
「(他にいるの? それは知らなかった。意外。誰?)」
「他にって、そりゃいないけど、これはふうまにあげようかなって持ってきたけど……コロこそこんなとこに何しに来たのよ?」
「(私? ふうま君にチョコをあげにきた)」
「えっ? あげるの?」
「(何度かあげてる。ふうま君すごく喜んでくれるし、私も普通にあげたいから)」
「そうなんだ。まさか本命? 違うわよね? 義理でしょ?」
「(ふふ、本命だったらどうする?)」
「べ、別にどうもしやしないけど、すごいビックリするわよ。コロがふうまになんて想像もしてないし」
「(そうなんだ。じゃあもっと驚かせようかな。実はね、私とふうま君、かなり前から付き合ってるの。みんなには内緒だけど)」
「うそ……」
「(くすくす、冗談。だったら面白いかもって今思っただけ。驚いた?)」
「ちょっとあんたねえ!!」
「あれ? きらら先輩にコロ先輩!?」
「ふうまっ!?」
「(あーあ、見つかっちゃった。そのチョコどうするの?)
「渡すわよ。これで持って帰ったら馬鹿みたいでしょ。ふうま、はいこれ、バレンタインのチョコ!」
「え? ありがとうごさいます。きらら先輩からチョコもらえるなんて嬉しいです」
「言っとくけど義理よ。あとクリスマスの時とか色々話聞いてくれたからそのお礼!」
「(クリスマスの時の話ってなに?)」
「な、なんだっていいでしょ!」
「コロ先輩、すいません。それは俺ときらら先輩の秘密なんです」
「ちょ、ちょっと。そんな秘密とか言わなくていいって」
「(ふふ、そうなんだ。二人だけの秘密。すごくいいと思う。じゃあ私からもこれ。きららほどインパクトはないけど)」
「そんなことありません。ありがとうございます。コロ先輩」
「(それと放課後、図書室に行ってあげてね)」
「ああ、わかりました」
「なんで図書室?」
「(それは私とふうま君ともう一人の秘密)」


●天宮紫水
「お館くん、待ってたよ」
「これはチョコを期待してもいいのかな?」
「もちろん。今日わざわざ呼び出しておいて違う用事だったら、お館くんガッカリでしょ?」
「そりゃなあ」
「じゃあこれ。ハッピー・バレンタイン♪ 手作りとかじゃなくてゴメンね。これもコロに買ってきてって頼んだものだし。でもどんなチョコにするかは自分で選んだよ」
「ありがとう。前もって言ってくれれば実体化するのを手伝ったのに」
「んーーーー。でもそしたらお館くん、私がどこになにしに行くか気になるでしょ? 一緒に買いに行くのも変だし。前は偶然そうなったけど」
「そうだったな」
「でも、お館くんちょっと変わったね」
「なにが?」
「今日のこの姿。バレンタインなのにエッチな格好じゃない。今日はお館くんにどんな格好させられるかドキドキしてたのに」
「あのな。今までだってああいう格好にさせたかったわけじゃない。たまたまフッと頭に浮かんだだけだ」
「うふふ、そういうことにしておいてあげる。いつかお館くんの力を借りずに実体化できるようになったら、お館くんの溢れるエッチな妄想――じゃなかった、たまたまフッと頭に浮かぶのに頼らずに、私が自分でそういう格好してあげる」


●覚醒リリム
「おーやびーん、学校お疲れさまーー。どうだった? チョコいっぱいもらえた?」
「まあ、結構もらえたよ」
「やるじゃん。最近のおやびんモテモテだね。ではいよいよ、おやびんガチラブ勢第一位のリリムちゃんがおやびんのために準備したとっておきのチョコを――」
「『私を食べて』とかいうのはいらんぞ」
「えーーーーー? そっちの方がよかった? しまったーー。私、普通にチョコ持って来ちゃったよ。ごめんねおやびん、今すぐ裸リボンになって、おやびんに食べられるからね。脱ぎ脱ぎ~~」
「しなくていいと言ってるんだ。やめんか」
「あっ、そうだった。ざーんねん。じゃこれ。私が普通に手作りしたチョコ。おやびん、受け取って」
「ありがとう。へえ、手作りか」
「みんながやってたみたいに、売ってたチョコ溶かして固めただけだけどね。でもでも聞いて聞いておやびん。私ね、それやってるとき、すっごいドキドキしちゃった。みんながバレンタインで盛り上がるのなんか分かった。もしかしたら淫魔でこんな気持ちを味わったのは私が最初かもしんない」
「そりゃまあ、淫魔は簡単に相手を誘惑できるからなあ」
「そうなのそうなの。だからおやびんありがとね。私をこんな気持ちにさせてくれて。てへへっ」


●クリア・ローベル & カラス
「ふうま、はーぴーばれんたいん。はい、わたしたちのチョコ、今年もあげる」
「……♪ ……♪」
「ありがとう。今年は二人でチョコクッキー作ったそうだな。ゆきかぜに聞いたぞ。頑張ったな」
「頑張った。ね、カラスちゃん?」
「……! ……!」
「最近、お菓子作りを始めたんだって?」
「うん。ゆきかぜが今年はふうまにブラウニーつくるって。だからわたしとカラスちゃんも」
「ん? 先にお菓子作り始めたのはゆきかぜなのか?」
「そう、なんで?」
「いや、それならそれでいいんだ」
「……? ……?」
「ふうま、今ここでたべてみて」
「いいのか?」
「うん」
「じゃあ遠慮なく。綺麗にラッピングされてるな。これも大変だったろう。いただきます。……うん、美味い。すごく上手にできてるぞ」
「いっぱい練習した。何回もつくった」
「………! ……!」」
「二人ともありがとうな。……ん? 中になんか入ってる」
「それ、ふぉーちゅんくっきー。カラスちゃんのアイデア
「おお、すごいなカラス」
「……♪ ……♪」
「なんのマーク? ハートが大あたり。星がちょっとあたり。○がふつう。×がハズレ」
「ハズレはいらなくないか?」
「ゆきかぜがそういうのはハズレも入れないとダメだって」
「全くあいつは。こういうのに限って……ほら、ハズレだ」
「いきなりそれ。びっくり」
「~~~~」
「なあ?」
「じゃあ、これで埋め合わせ。カラスちゃんと一緒に……ほっぺにちゅ♪」
「……♪」


●甲河アスカ
「ふうま、遅いじゃない。なにやってたのよ」
「なにって学校行ってたんだが。今日うちに来るなんて言ってたか?」
「言ってないけど、今日はバレンタインデーよ。私、去年は直にチョコ持ってきてあげたんだから、言わなくたって今年も私が来るかなとか思わない?」
「また無茶なことを。頼むから前もって教えてくれよ。ちゃんと待ってるから。いつかの義理チョコの時といい、なんでいつも言葉足らずなんだ」
「うるさいわね。私も昨日までずっと潜入任務だったし、今朝急に『あ、今日バレンタインだ』って思い出したんだもの」
「あのなあ」
「もういいって。せっかくのオフなのにこんなとこまで来てずっと待ってて悔しかったから、ちょっと文句言ってみただけ。はい、バレンタインの義理チョコ」
「ありがとう。この紙袋は前にもくれたすごい美味くてすごい高いチョコだな。フランス製とかいう」
「あ、覚えてた? そう、私の一番好きな店。せっかくあげるんだもの。たとえ義理でも一番いいものを食べてもらいたいじゃない?」
「そうか、ありがたく頂くよ」
「って言いつつ、お返しになにあげたらいいかプレッシャーがすごいって顔してる。別にそんな頑張らなくてもいいって。ふうまの懐事情はよーく分かってるし。それに去年くれた箱にリスの絵が描いてるクッキー。あれ可愛くてすごくよかった。今も小物入れに使ってる。ああいう気の利いたのがいいな。また私のために色々考えてね。期待してるからっ」


●ドロレス
「わ、私、ドロレス。ふうま、バ、バレンタインのチョコ、ちゃ、ちゃんと届いた?」
「ああ、届いたよ。ありがとう。今ちょうど電話入れようとしてたところだ」
「そ、そうなんだ。今ちょうど? ぐ、偶然通じ合う二人のハートみたいな? ウェヒヒ♪ ほ、ほんとはね、そっちに直接持っていこうと思ったんだけど、さすがにそれはヤバげな気がしたし、ド、ドローンで運ぶことも考えたんだけど、なんか五車町に入る前に撃墜されそうだったし、普通に宅配で。と、届いてよかった」
「ああ、さすがにドローンは撃墜されてたな」
「やっぱり? あ、あのね、私、人間界で暮らすようになってわりと長いけど、バ、バレンタインのチョコって、は、初めてあげた。ノマドの他の子たちはい、いつも盛り上がってたけど、私そんな相手いなかったし、バ、バレンタインって非モテお断りの凶悪イベントじゃん。だ、だから今回、チョコあげれてすごく嬉しい。ふうまが私の初めての人。ウェヒヒ♪」
「そりゃ光栄だな。ホワイトデーのお返しはちゃんとするよ」
「うえっ!? お、お返し? くれるの!? 私に? マジで? す、すごい嬉しい! またこっち来るの?」
「できれば直に渡したいが、俺がノマドに行くのは無理だよなあ。かといって家に行くのも」
「お、お姉ちゃんに見つかったらヤバすぎ。じゃ、じゃあ待ち合わせしてど、どっかで二人で会わない? ね? ね? 約束しよっ!」


●心願寺紅
(小太郎、どうして何も連絡してこないんだ? チョコが届いてないのか? 受け取り完了のメールは来たのに。私にはありがとうを言う必要もないということか? いや、小太郎はそんな男ではない。また任務とかアルバイトだろうか? いつも頑張ってるからな。でもそうするといつ返事がくるか分からないな。いっそ私から小太郎に電話して……ダメだ。『チョコを受け取ったか?』なんてことはとても聞けない)
「紅様、今日はバレンタインデーですね」
「それがどうした?」
「さっきからソワソワしてらっしゃいますが、若様からのお返事をお待ちですか?」
「別に待ってはいない」
「嘘を仰ってはいけませんわ。『ちゃんとチョコを受け取ったんだろうか? なんで何も言ってこないんだろうか?』 さっきからお気持ちがダダ漏れですわ」
「紅様! ついに若様にチョコをお渡しになったんですね! それは一歩前進ですね!」
「一歩どころか十歩も二十歩も前進よ。できれば直接お渡しになって欲しかったけど。メッセージはお付けになったんですか?」
「メッセージ?」
「若様への溢れる想いを刻んだメッセージですわ。例えばそうですね。『瀬を早み岩にせかるる滝川の……』」
「それは崇徳院の歌じゃないか!」
「あやめ様、どういう意味です?」
「『瀬が早くて岩に遮られる滝川のように』といった意味よ」
「よく分かりません」
「その後に若様がこう続けるの。『われても末にあはむとぞ思ふ』 今は二人別れているけれどきっとまた会おう。再会を誓う恋人の歌ね」
「うわあ! ロマンチックですね!! 紅様! そんな素敵なメッセージを!」
「付けるわけがない。普通にハッピーバレンタインだ」
「あらあら」
「なんだ残念です」
「なにを二人で勝手に盛り上がってるんだ」
プルルルル♪
「っ!? わ、私だ。チョコは? そうか。受け取ってくれたか。うん。よかった。いや、礼には及ばないぞ。ただの気持ちだ。え? いま話? も、もちろんOKだ。久しぶりに少し話そう。今日はバレンタインだからなっ」

 

 

【制作後記】

対魔忍RPGの物語開始時点ではバレンタインに縁などなかったふうま君だが、サザエさん時空で何回もそれを経験した結果、今では結構な数のチョコレートをもらえるようになっている。
昨2022年、私が担当したバレンタインイベント『From Your Valentine』では、“たまたま”学校が休みの日だったので、その前年のバレンタインイベント『チョコとキラー』ほどチョコをもらえなくて残念ということになっている。
しかし、実はたまたまでもなんでもなく、メインストーリーが過去のバレンタインに甲河の里で起こった出来事なので、その生き残りのアスカから直にチョコをもらったのをきっかけにして回想シーンに移りたかったというシナリオ上の理由である。ふうま君には悪いことをした。
さて、現在実施中のイベント『サイボーグ探偵とバレンタイン』もヨミハラでの事件ということもあって、ふうま君が五車の女の子たちからチョコを受け取るような場面はない。
2年連続でこれでは可哀想なので、せっかくだから一人一人書いてみることにした。きりのいいところで20人。例によって非公式である。
ご覧になったとおり、セリフだけの応酬で二言三言喋っているだけだが、それが20人ともなるとそこそこの量になった。それぞれの反応の違いを楽しんでもらえれば嬉しい。