子どものためにといえば 教育は無限 しかし
教員は有限 教育のダウンサイズを
2024春を呼ぶ!みえ教育ネットワーク教育研究集会が2月3日(土)河芸公民館で開催されました。
「学校のリスクを見える化する~部活動改革から働き方改革まで~」と題して名古屋大学大学院教授の内田良さんが記念講演を行い、現職教員や教員OB、保護者市民が耳を傾けました。講演に引き続いて内田良さんを囲む懇談会が行われ熱心な意見交換を行いました。
教育のダウンサイズを
内田さんは冒頭、学校のリスクについて語りました。
学校柔道で過去31年間に118件の死亡事故が起きた。ところが2012年からは毎年ゼロ。危ないからやめようと声を上げたことでリスクは減った。組体操で10段のピラミッド、危険すぎると内田さんは情報発信。以後、10段ピラミッドは姿を消した。ピラミッドは3段で十分だ。
内田さんが強調したのは教育のダウンサイズです。子どものためにと考えれば教育は無限、しかし教員は有限なのです。すべてやることなどできません。例えば修学旅行の集合時間が4時45分など、あり得ない。
改善の兆しも見えてきた。東京都教委が保護者向けに出したメッセージ。「先生の勤務時間は8時15分から4時45分」。保護者の多くは「知りませんでした」「先生たちは遅くまで残って残業代を稼いでいると思っていた」。
タイムカードは民間では1970年に導入されたが、学校は50年遅れている。給特法が時間意識を失わせてしまった。
部活動で教員の家族や本人が泣いている。週2~3日程度にするなど思い切ったダウンサイズが必要。静岡県の聖光学園は週3日の練習で全国大会に行った。週3日でも楽しい部活動は出来る。部活動はやりたい人がやる、やりたくない人はやらない、生徒も先生も。
部活動を学校から切りはなす
その後の懇談には27人が参加しました。「部活動の地域移行で保護者負担が増えないか」との質問に、「経済的に参加できない子を出してはいけない。スポンサーの宣伝を解禁するとか、ユニフォームを簡略化するとか、工夫していったらいい」と内田さん。
「教員が部活動を手放すこと。保護者が指導するマーチングバンドがある」との例も。「学校の音楽は全員に保証するが、それ以上を求める場合はお金を払うべきだ」とも。
PTAをどう考えるかとの質問も。「コロナ禍でPTAの活動ができなくなったが、なくてもやっていけるということがわかった。例年通りという悪習をやめ、自主的に好きなことをやればいい。PTAのプール監視はやめて、スイミングスクールに委託したところもある」と内田さん。
給特法廃止だけでは解決しないのではないかとの質問も。内田さんは「時間外に労働しても『自主的』と判決が出される実態がある。給特法を廃止して残業を『見える化』するほうが闘いやすいのではないか」「学校現場は民間の働き方から50年遅れている。今は過渡期。今後10年かかって改善していこう」。