ペンネームの意味と理由。
この前放送された作品で絵コンテをしばらくぶりにやってクレジットされたので、ちょっとだけ気にしている人がいるようだ(と気にする自意識過剰)。
絵コンテに使っているペンネームは、名字と名前をひっくり返して、似た響きの名前を持ってきたもの。あと、学生時代に私淑していた、池田浩士さんという京都大学の教員だった学者の名前もヒントになっている。
なぜ絵コンテをわざわざペンネームで描くようにしたのかというと、ひとつは一話で2回クレジットに名前が出てお得だな、と思ったから。富野喜幸さんが「斧谷稔」で絵コンテ描いてたりするのを何かカッコイイな、とか思ってたからでもあるかも。
真面目な理由もあって、前にもブログに書いたことがあるが、30歳を過ぎて演出志望の制作だったころ、プロデューサーに「お前は演出になっても処理屋ぐらいにしかなれないだろう」と言われたことがきっかけにはなっている。
絵コンテこそが演出の真髄なのだ、という主張を否定はしないが、実際の演出作業である「処理」を一段低く見るということに、しかも制作の頭領であるプロデューサーの言葉であることに反感を覚えた。絵コンテと処理を分けて発注するのは発注する側、つまり制作の都合であり、そういう仕事を欲しているのは制作なのだ。「処理屋」とはまたバカにした言い草ではないか。
そういうわけで、演出、絵コンテをそれぞれ独立した工程、仕事であり、評価されるべきものと考えて、あえて別々の名前にしてありますよ。
スピーディ。
今日はカッティング(編集)。いい加減新しい仕事を入れるのが限界、と思いつつも、演出打ち合わせは後回し、2日でコンテ撮素材を作り、編集。その場で監督と初顔合わせ。ややこしい手法の作品ではなかったので早く終わるだろうとは思ったが、1時間半で終了。監督によればこの作品では今までで最速だそうな。
まあ、同じ編集スタジオの社長の仕事でコンテ撮編集30分で終了というのを過去に経験しているので、驚くほどのことはない。このときは棒繋ぎ段階でもう調整しておいて流し見した後、監督が数か所伸ばす指示を出して終わり、という演出としては「いいんかいそれで」と思わなくもないスピードだった(よかったけど)。もう15年以上前だな。
前にも言っていると思うが、カッティングがアニメ制作の工程の中で一番好きだ。それも早く終わるなら、なおいい。計画が上手くいったってことだからね。
妖精に出会った。
4ヶ月放置。十数年前、というか15年以上前か、毎日のように書いてたのは何だったんだろうな。よくそんなに書くことも暇も意欲もあったな。
相変わらず悲鳴を上げながら仕事をしています。
抱えていた仕事を7月末にある程度目途をつけるつもりだったのが、妖精さんが来たおかげで、滞ったモノを片付けつつ、随分と遅延しながら今日やっと目標に到達。病み上がりに時間が無くなりダビング前の間に合わせを仮チェックでやらざるを得なかったものをもう一回本チェックするのに手間取ってしまい、あら大変。
制作はよく「仮でいいですから出してください」と軽く(軽いつもりではないだろうけど)言うけど、仮のOKにするのは手間がかかるんだってば。多くの場合箸にも棒にもかからんような 上りをどうするのかという算段になるので、ダビング作業に堪えるような修正は結局全部描き直しということになるし、ダビング後の目算もつけとかなきゃならんし。出せないから「仮」という話なのでな。
まあそういうわけで何倍も時間を使ってしもうたよ。やっと最後のカット出せてホッとしました。で、またこれから新しく波がやってくるのだが。終わりは来ない。
近々のオンエアはあまりないけど、抱えてる仕事の大半が来年以降の放送だ。ちょっと休んで落ち着きたいんだけどなあ。