岩淵悦太郎 編著『悪文』を読む

 岩淵悦太郎 編著『悪文』(角川ソフィア文庫)を読む。副題が「伝わる文章の作法」とあり、岩淵ほか7名が分担してわかりやすい文章について書いている。見出しを拾うと「悪文のいろいろ」「構想と段落」「文の切りつなぎ」「文の途中での切り方」「文の筋を通す」「修飾の仕方」「言葉を選ぶ」「敬語の使い方」とあり、最後に「悪文をさけるための五十か条」で箇条書きにまとめている。

 ほとんど分かっていることばかりだと思って読み進んでいたが、「言葉を選ぶ」の章で、ちょっと自信がなくなり、「敬語の使い方」で自分は敬語についてちっとも分かっていないと反省した。敬語のテストがあったら50点取れるかどうかかもしれない。そういう意味で参考になったのだった。

 ただ、原著である日本評論社の単行本の初版は1960年だとのことで、もう64年も前になる。だから例文がきわめて古い。半世紀も経てば言葉も変わっているだろう。そういう意味ではあまり参考にならないとも言える。

 

 

 

JINENギャラリーのオーライタロー展とおおらいえみこ展を見る

 東京日本橋堀留町のJINENギャラリーでオーライタロー展「たてもの画 東西東西」とおおらいえみこ展「偉人たち」が開かれている(5月12日まで)。JINENギャラリーの二つのスペースでそれぞれ二人の個展が開かれている。オーライタローとおおらいえみこは御夫婦で、時々二人の合同展が企畫される。

 二人とも武蔵野美術大学で学び、のち銅版画を古茂田杏子に学んでいる。

 オーライタローは看板建築のある古い商店のファサードを油彩や銅版画で描いている。ちょっとノスタルジーを感じさせる風景だ。以下、オーライタローの作品を紹介する。



 おおらいえみこは普段、相撲や動物などをファンタジックに描いている。今回は陶作品の立体像や皿なども展示していた。以下おおらいえみこの作品を紹介する。

ル・コルビュジエ



     ・

オーライタロー展「たてもの画 東西東西」

おおらいえみこ展「偉人たち」

2024年4月30日(火)―5月12日(日)

12:00-19:00(金曜日20:00まで、最終日16:00まで)月曜休廊

     ・

JINENギャラリー

東京都中央区日本橋堀留町1-8-9 渡菊ビル新館6F

電話03-5614-0976

https://www.jinen-gallery.com/

東京メトロ日比谷線、都営浅草線 人形町駅 A5出口より徒歩3分

(昨年8月にギャラリーが移転しているので注意)

 

まるかビルの「獸(第2章 / BEAUTIFUL DAYDREAM)」を見る

 東京日本橋馬喰町のまるかビルで「獸(第2章 / BEAUTIFUL DAYDREAM)」が開かれている(5月6日まで)。本展について、

まるかビルでは2024年4月27日(土)- 5月6日(月)までビル1棟を会場とした展覧会を開催。本企画は、東京の都市とサブカルチャーについて制作をするアーティストGILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAEによる7年間のプロジェクト「 獸( JYU ) 」の第3回目であり、最大規模の開催。本展ではサブタイトルを「BEAUTIFUL DAYDREAM」と題し、同じように繰り返される高校生活のなかで天使を目撃する青年やその世界を学校机を用いた大規模なインスタレーションやGCD☆GCDによる新シリーズ平面作品、太郎による短編映像作品など様々な手法を用いて再構築する。

屋上の展示(以下同じ)

まるかビルの外観


 会場のまるかビルでは2階、3階、4階、屋上を使ってインスタレーションや映像作品を展示している。参加作家は岸裕真、山本和真、ARTKING、FUJII、八木幣二郎、太郎(映像)などとなっているが、詳しい説明がないのでよく分からない。

 屋上は雨が降っていたので数cmの水深で池になっていて、水面から手の彫刻が顔?を出していた。これはときわ画廊の個展のエピソードを思い出した。1970年の7月にときわ画廊で田島廉仁が画廊にビニールを張って、45cmの深さに水を貯める個展を企画した。日曜日から水道の水を流し始めたが、月曜日にビルの管理者から地下の機械室に流れ込む恐れがあると中止させられた。まるかビルは古いビルで画廊が入っているだけだから、万一漏水しても大事にはならないだろう。

 今回は入場料が1000円(学生は500円)となっている。

     ・

獸(第2章 / BEAUTIFUL DAYDREAM)

2024年4月27日(土)―5月6に位置(月)

12:00-19:00

     ・

まるかビル

東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル

https://www.contokyo.com/

 

 

銀座K’sギャラリーの「K’s Annex展」を見る

 東京銀座の銀座K’sギャラリーで「K’s Annex展」が開かれている(5月3日まで)。銀座K’sギャラリーのオーナー増田さんのコレクションを展示販売している。主な作品は野見山暁治、上田泰江、上野憲男の3人か、そのほか若手作家などの抽象作品が並んでいる。増田さんの眼の良さを確認できる。

上田泰江

上田泰江

上田泰江

野見山暁治

野見山暁治

野見山暁治

野見山暁治

野見山暁治

上野憲男

上野憲男


     ・

「K’s Annex展」

2024年4月29日(月)―5月3日(金)

12:00-19:00(金曜日20:00まで)

     ・

銀座K’sギャラリー

東京都中央区銀座1-13-4 大和銀座一ビル6F

電話03-5159-0809

http://ks-g.main.jp/

※1Fが鈴木美術画廊

 

コバヤシ画廊の前本彰子展を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊で前本彰子展「龍姫の水ノ珠」が開かれている(5月11日まで)。前本彰子は石川県に生まれる。1980年京都精華短期大学絵画専攻科卒業、1982年Bゼミスクール修了。1983年よりコバヤシ画廊をはじめ個展多数。

「龍姫の水ノ卵」

「私の子供は私が守る」


 画廊正面壁の大きな作品「瀧姫の水ノ珠」は新作で左右130cm、天地162cmという大きなもの。厚さも30cm近くはありそうなレリーフ状の力作。

 右の壁に設置された3点組の作品は「私の子供は私が守る」と題した1998年の作品。

 そのほか、社祠と呼びたくなるような小品が展示されている。

 前本の作品では地母神信仰が連想される。大いなる母であり、大地の女神である地母神を前本は繰り返し表現しているのではないか。そして土俗的な表現も前本の変わらぬ特徴のようだ。

     ・

前本彰子展「龍姫の水ノ珠」

2024年4月29日(月)―5月11日(土)

11:30-19:00(最終日17:00まで)日曜休廊

     ・

コバヤシ画廊

東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F

電話03-3561-0515

http://www.gallerykobayashi.jp/