まみ めも

つむじまがりといわれます

バッテリーIII

げんちゃんはオンとオフの切り替えがはげしく、園からの帰り道は走るかだっこの二択だった。荷物が重くて、ちょっと待ってと声をかけるとだっこをしなければならず、その二択は母にはオンとオンでしかない。このごろはキャプ翼にはまって、休みの日に校庭のわきでボールをけっている。ふくちゃんが最高学年になるのでくじ引きをやったら一番でかい役をまっさきにひいてしまい、監督とキャプテンと保護者代表が家のなかにそろってしまった。

通勤で王子駅に電車がとまって、車内から公園の斜面のつぼみのピンク色がみえるくらいまで春になっている。

エフ本。

整列後、マウンドへと走る。雲のわずかなすきまから、光がおりてくる。マウンドの数歩手前で、巧は足を止めた。一歩一歩を確かめてマウンドを踏む。スパイクの下の感触を味わう。世界の中心がここにある。シリーズ第3弾。

剛速球投手の巧(たくみ)への暴力で休部だった野球部の活動が9月に再開。監督の戸村先生は3年部員の最後に、強豪横手中との試合を考える。巧と捕手の剛(ごう)は1年だがチームの中核として横手中へ立ち向かう。巧の弟清波(せいは)も野球に夢中だった。

一気にIからIIIまで読んでしまった。コロナでいけなかった中学の参観日で、先生がクラスの動画をみせてくれたらしく、友だちがその動画の動画を送ってくれた。お調子者の思春期がわらっていた。家とはちがう顔をしている。

いらねえけどありがとう

日曜の夕方にせいちゃんが熱を出し、COVID-19の陽性が出てしまい、火曜の朝にもうひとり熱を出し、この組み合わせの自宅療養は…と思っていたらふたりの熱がさがったあとにどうにもならなくなり、仕事を半日休むはめになった。ワンオペ、弁当(なんで給食おわってしまうん)、仕事にならない、ありがとうございます、と思いながら、仕事にならない仕事をこなす。微妙に体調はよくなく、右耳の調子が変でときおりめまいがするけれどそんなこと誰も知ったこっちゃない。

いらねえけどありがとう

いらねえけどありがとう

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卜。

エコかどうかより快適さを重視する、負のオーラを封印するには自覚する、ぐずぐず悩んでしまう自分を前向きに捉える、逃げ場のない子育てからもときには逃げて…。快適に暮らすアイディアが満載のエッセイ集。

いつも誰かのためにへとへとの私たち。へとへとなことに気づいてほしい。へとへとになるまでやりたい気もちもわかってほしい。

バッテリーII

定期の通院でやすみをとり、すこしぶらつき、スカートとカーディガンを買った。ここらへんをぶらぶらしているとあちこちで知り合いに会うので油断ができない。ふたりに会った。最近目が悪くなって、相手から声をかけられるまで気づけない。昼すぎの店がどこも混んでいて、ひとりで行列する気分にならずコンビニでおにぎりを買って済ませる。通っている病院には採血部というのがあって、採血のプロフェッショナル(たぶん)がいるのだが、通院をはじめて12年目にしてはじめてファーストアタックで失敗していた。ヘモグロビンの値が低く人間ドックで再検査になっていたけれど、持ち直す。

エフ本。

巧と豪。二人は最高のバッテリーになる夢を抱いて中学へ進学した。徹底した生徒指導を推し進める野球部監督・戸村の圧力に対し、巧は豪や仲間の信頼を支えにマウンドに立つ。自分自身であり続けるための挑戦をリアルに描く。

みんなままならなさを抱えて生きていて、思わず泣いてしまった。

バッテリー

こどもに邪魔をされるという理由で仕事を休んでしまい、やりきれない一日を過ごす。家にいられず、でかけたロイホは店内のあかりが消えていて、昨日が休業日なのできょうの開店は11時という貼り紙があり、雨のなかをあちこちうろついて、11時のオープンと同時にはいる。コスモドリアを見てさえ、こんな薄切りのレモンも立っているのにという妙な気分になる。バンホーテンのココアとコーヒーを飲んだら胃が苦しくなり、しばらく本を読んで時間をつぶしてから帰宅。時間がたつとなにもなかったようで、自分の気持ちだけがかき乱されている。

エフ本。

そうだ、本気になれよ。関係ないこと全部すてて、おれの球だけを見ろよ。

中学入学を目前に控えた春休み、父の転勤で岡山の県境の街に引っ越してきた巧。ピッチャーとしての自分の才能を信じ、ストイックなまでにセルフトレーニングに励む巧の前に同級生の豪が現れ、バッテリーを組むが…。

たしかに中学生のときはややこしかったし、いまもややこしい自信はある。嘆いていたら友だちが中学生のときのポエムを教えてくれて、元気が出た。

終点のあの子

川上未映子がだいじょうぶと言ってくれて、自分が親の死に目で知ったことも、だいじょうぶということだったなと改めて気がついた。だいじょうぶと思わせてくれたお父さんはやっぱり大きな存在だった。親が死ぬという予感はとてつもなく不安で切なくてやりきれなかったけれど、ちゃんとさよならをする時間があったことは本当にありがたかった。

棚の上のもろもろをどかしてお雛様を飾っている。少しだけ家の中が春らしくなる。

卜。

ゆらぎやすい女子高生の友情を描く短篇集。プロテスタント系女子高の入学式の日。中学からの内部進学者の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマンだった。希代子は風変わりな朱里が気になって仕方がないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、ある変化が訪れる。外部からの進学者の朱里には見えない、女子校ならではの「ルール」。希代子はその枠から飛び出した存在になってしまうのか?華やかに見える少女たちの日常に潜む、複雑な心情と、絡み合う人間関係。少女たちの繊細な心理描写が各紙誌で絶賛されたオール讀物新人賞受賞作「フォーゲットミー、ノットブルー」を含むオムニバス四篇。

やり直しはきくけれど取り返しのつかない淡い日々。みんな何ものかになりたくて、でも自分以外の何ものにもなれない。

数えないで生きる

風邪なのか花粉症なのか更年期かわからない状態で鼻水とそこはかとない悪寒が続いていたけれど、どうやら副鼻腔炎になってしまったらしいことだけははっきりとわかってしまう。なんとか病院にかからずにすませたくて、点鼻薬をためす。薬をすすりあげるときは、どうしてもレオンのゲイリー・オールドマンの気分になる。風が強い日はなんだかこの世じゃないどこかに通じてしまいそうでわくわくしてしまう。

卜。

「他者を理解できないのと同じく、人生のこともすべてわかっているわけではない」「本当に大事なことを考えるためにはじっくり問題と向き合い、考え抜かなければならない」…。今日を丁寧に、豊かに生きるヒントを示す。

とにかく忘れっぽいので、同じことを何度でも丁寧に教えてくれる岸見一郎は本当にありがたい。

荻窪メリーゴーランド

日曜にせいちゃんが帰ってきた。改札を通るせいちゃんを見つけて、げんちゃんが走っていってとびつく。その日はぎょうざの満洲でお昼をたべた。ビールと餃子。久しぶりに家族がそろったのでビールがうまい。週明けから朝は家のまわりをジョギングし、学校にいき、テストも受けるだけは受けてきたらしい。むこうでとっている新聞のコラム(中日春秋)を書き写していたノートを持ち帰ってきた。年明け11日から2月14日まで。八代亜紀の話題ではじまっているのをひとつずつ読んでいる。

卜。

待ち合わせには早すぎる改札で後ろから君が抱きしめてくる 会ってすぐ次に会う約束をしてそれでも足りないような気がした 虚構のラブストーリー短歌。Webマガジン『OHTABOOKSTAND』連載を加筆し書籍化。

待ち合わせにはかならず待たされるので本当に待ち合わせするはずの時間より早い時間を伝えて、それでもちゃんとはやい方の待ち合わせ時間にいって、やっぱり待たされたことがあったのを思い出す。