10月21日(日)に開催します「テレビドラマの外国語」

荒天のため延期させていただきました国際京都学シンポジウム「テレビドラマの外国語〜京都育ちアメリカ人の役者人生〜」は、10月21日(日)13時半ー16時、京都府立京都学・歴彩館で開催いたします。講師、パネリスト、プログラム変更ありません。よろしくお願いいたします。

前回お申込みいただいた方々には順次ご連絡しております。お手数ですが再度お申込みをお願いいたします。申込先 TVdrama@kpu.ac.jp

シンポジウム延期のお知らせ

本日開催予定でした国際京都学シンポジウム「テレビドラマの外国語〜京都育ちアメリカ人の役者人生」(京都府立京都学・歴彩館)は、悪天候のため延期します。延期の日時は現在未定ですが、秋以降を予定しており、詳細が決まり次第お知らせいたします。

大雨のなか、皆様どうかお気をつけてお過ごしください。

シンポ見どころ聞きどころ

7月7日に京都府立京都学・歴彩館で開催する国際京都学シンポジウム「テレビドラマの外国語〜京都育ちアメリカ人の役者人生〜」の見どころ聞きどころを紹介します。
1部、2部ともすべて日本語です。 (シンポ日程やチラシ画像はこちらです。 http://d.hatena.ne.jp/myama-kpu/20180617: )



第1部はバイリンガル俳優ブレイク・クロフォードさんの講演「京都育ちアメリカ人の役者人生」です。「わろてんか」で主人公の息子が騙された偽ハミル氏、「西郷どん」で又吉さん演じる将軍家定の奇行に驚いたアメリカ全権大使ハリスほか、「ドクターX」の謎の外科医、「奥様は、取り扱い注意」の謎の諜報員、「科捜研の女」の謎の被害者など、謎の外国人として、実はあちらこちらのドラマで見ている人も多いはずー

6歳のときに来日し京都で育った子供時代、特に神戸のインターナショナルスクールで歌舞伎に出会ったこと、京都南座での歌舞伎修業について話を聞きます。「歌舞伎は伝統芸能だから、古いものだからありがたいと思ったのではなくて、先輩たちがやっている歌舞伎をみて、すごい、これはおもしろい、と夢中になった」10代、20代の歌舞伎体験は、それからの演技にどのような影響を与えたのでしょう。

第2部は社会言語学者の渡辺宥泰さん(法政大学グローバル教養学部長)と小林めぐみさん(成蹊大学経済学部教授)を迎えて、クロフォードさんに質問をする形で「テレビドラマの外国語」について考えます。私(山口)はお二人と「英語をめぐる言語態度の東アジア比較研究」という科研の共同研究を行っていて、今回のシンポジウムもその一環です。

日本で放映されている日本語のテレビドラマの中で、外国語が使われることは増えていて、特に英語、中国語、広東語を話す外国人キャラクターや日本人キャラクターが増えている印象です。2018年春のドラマだと例えば「 #コンフィデンスマン 」や「 #モンテクリスト伯 」など。では何のために外国語が使われているのか?

テレビドラマで外国語が使われるときには、その外国語を通して行われるコミュニケーションの内容それ自体よりも「外国語が使われていること」が大きな意味を持つことがよくあります。日本人キャラクターが「英語ぺらぺら」であるときのイメージは、たとえば有能、エリート、鼻持ちならない。また明治期を舞台にした朝ドラ「あさが来た」では英語ぺらぺらな五代さんは文明開化を体現した人物。イメージ、象徴としての英語。

日本人俳優が英語のせりふを言うときに「英語が上手」なキャラクターというイメージを視聴者に与えるために、求められているのは、複雑な構造の難しい言葉を使ったせりふ、を速いスピードで話すこと。でもそれでは通じないし、役者によっては負担になることも。(これは英語教育でスピーキングの能力を一分間に話す単語数で測定することとどこかでつながっていると思います)

逆に、アメリカ人俳優としてクロフォードさんが日本語のせりふを言うとき。「日本語が下手」なキャラクターを演じるために演技上求められる「下手さ」と、本当に日本語が話せない外国人が話す日本語は違うと感じる。日本人にとっての「日本語が苦手な外国人の日本語」は発音、抑揚重視の傾向。せりふ自体は説明ぜりふのように長く複雑なものでも、それを「下手な発音」でいえば「日本語下手」の演技とされる。

テレビドラマの外国語では、たとえば「上手な英語」「下手な英語」「下手な日本語」のイメージを伝えることが重視されているようです。パネルディスカッションではこうした現象を社会言語学者が、指標性(インデクシカリティ)やステレオタイプ、マーカー、などの概念を使って整理します。またクロフォードさんにフロアからの質問にも答えてもらいます。ドラマ撮影裏話から社会言語学まで。七夕の午後、京都市営地下鉄北山駅徒歩4分、京都学・歴彩館においで下さい〜。

TVdrama@kpu.ac.jp にお名前を添えてお申込みください。
または、こくちーずからもお申込みいただけます。https://kokucheese.com/event/index/525571/

国際京都学シンポジウム「テレビドラマの外国語」

国際京都学シンポジウム「テレビドラマの外国語〜京都育ちアメリカ人の役者人生〜」のお知らせ

バイリンガル俳優ブレイク・クロフォードさんの講演と、社会言語学者をパネリストに迎えてのディスカッションを行います。

詳しい見どころ聞きどころについてはこちらをご覧ください↓
http://d.hatena.ne.jp/myama-kpu/20180626

ドラマ好きのかたはもちろん、外国語コミュニケーションに興味のあるかたにとって、興味深いトピックを取り上げます。

「日本のテレビドラマのなかで英語のせりふを話すときは、どういうところに気をつけますか?」
「共演者の日本人俳優の英語のせりふにアドバイスしたりするの?」
「わざと外国人ぽいしゃべりかたで日本語のせりふを言うことがありますよね?」などなどの話をするなかで、
日本語や英語に対して私たちが抱いているイメージ、ステレオタイプ、といった言語態度についても掘り下げてみます。


楽屋ネタ、撮影秘話なども交えて、身近なテレビドラマから、言語と文化とコミュニケーションについて考える機会となることでしょう。
お気軽に聞きに来てください。

日時 2018年7月7日(土)13:30〜16:00 (開場 12:30)
会場 京都府立京都学・歴彩館 大ホール (京都市営地下鉄烏丸線北山駅 (1番出口) 南へ徒歩約4分)http://www.pref.kyoto.jp/rekisaikan/access.html
入場 無料 
定員 400名 
言語 日本語



【プログラム】
第一部 
講演 「京都生まれアメリカ人の役者人生」
講師 ブレイク・クロフォード(俳優)
講師プロフィール 
 幼少期に来日。歌舞伎に興味を持ち、外国人歌舞伎グループ「ジャパネスク歌舞伎」のメンバーとして多数舞台出演。近年のテレビドラマ出演作としてNHK連続テレビ小説わろてんか」、「べっぴんさん」、大河ドラマ西郷どん」、「八重の桜」、日本テレビ「奥様は、取り扱い注意」、テレビ朝日「ドクターX」「科捜研の女」など。

第二部 
パネルディスカッション 「テレビドラマの外国語」
パネリスト 
 ブレイク・クロフォード(俳優)
 渡辺宥泰 (法政大学グローバル教養学部教授)
 小林めぐみ成蹊大学経済学部教授)
司会 山口美知代 (京都府立大学文学部教授)


Email: TVdrama@kpu.ac.jp  
お名前を添えてお申し込みください。定員に余裕があれば(→余裕ある見込みです)当日参加も受け付けます。

こくちーずからもお申込みいただけます。
https://kokucheese.com/event/index/525571/

主催 京都府立大学文学部
共催 京都府立大学地域未来創造センター、京都府立京都学・歴彩館
後援 NHK京都放送局京都新聞共同通信社京都支局

本シンポジウムは科研費研究課題「英語をめぐる言語態度の東アジア比較研究―映像メディア分析と教育的活用」基盤研究(c)研究課題番号16K02885の研究成果の一部です。

東カリブ海最初の教会

先月再訪したネヴィス島。空港のあるセントキッツ島から船で渡ります。

ネヴィス島Cotton Groundにある英国国教会の教会、Saint Thomas Anglican Churchは、東カリブ海最初の教会です。

1649年に14歳でなくなった女性Elizabeth Lakeの墓碑銘があります。

こんな綴りや表記(Y=th)を使う時代から、すでにイギリスはカリブ海進出(侵略)していたということですー。
この写真のことを覚えていて、後期の英語史の授業で使おうと思います。例年は教科書にのっているシェイクスピアの墓碑銘を使っているのでその補足として。

聖パトリックの祝日、カリブ海モンセラート

歴史学科の川分圭子先生(イギリス史)が代表者を務める科研費研究課題「カリブ海旧イギリス領諸国における植民地時代の事物の現存と歴史的記憶」の調査で、東カリブ海英領モンセラートに来ています。モンセラートには、昨年10月に京都で「カリブ英語とその起源」講演をしていただいたロンドン大学名誉教授ジョン・ウェルズ先生の別荘があり、御邪魔させていただきました。また先生のご厚意で、地元のお祭り、聖パトリックの祝祭にも参加することができました。心よりお礼申し上げます。

3月17日は聖パトリックの祝日。聖パトリックはアイルランドキリスト教を広めた聖人で、3月17日は命日にあたります。アイルランド共和国では祝日になっていて、アイルランド系移民の多いところでもフェスティバルが行われています。緑色のものやシャムロック(三つ葉)を身につけて参加します。オレンジと緑のタータンチェックは「ナショナルドレス」の柄です。


モンセラートはアイルランド系白人のプランターや労働者が多く、彼らには3/17聖パトリックの日を祝う習慣がありました。そして白人が祝祭の日を狙って黒人奴隷が反乱を起こしたのが1768年3月17日。今年はその250周年にあたる、特別な年でした。


とはいうものの、聖パトリックの日が国の祝日になったのは1985年、一週間かけて祝祭イベントをするようになったのは1995年と比較的新しい伝統です。私たちもSomething green.を身に着けてくるように言われ、緑服で参りました。 写真は、フェスティバルを案内してくださったウェルズ先生のご友人でモンセラート出身ロンドン在住のエミリーさんと。一緒に歩いていると、たくさんの人がエミリーさんに声をかけ、How are you? I'm good.ハグ!のような流れになるので、一緒にいる私たちも傍観者ではなく中にいるように感じました。そして、Good afternoon! How are you?と声を掛け合うひとのなかには、知り合いではない、まったくのすれ違っただけの人も多いとか(逆にいうと、知り合いならば、立ち止まってハグしたりする)。カリブ諸島のなかでもとりわけフレンドリーなモンセラート気質、ということでした。

『働く女子のキャリア格差』

『働く女子のキャリア格差』国保祥子、ちくま新書

おもしろかったです。これから就職するひとたち、また、既に働いている人たちにも、できるだけ多くの人に読んでほしい本だと思いました。以下、印象に残ったところを引用します。

1章女性にまつわる誤解と矛盾で事例5つあり、上司から見たストーリーA面と、当の女性から見たB面が描かれていて、問題の本質が見えます。育児中の女性に配慮したのに辞めると戸惑う上司と、配慮に罪悪感を感じ追いつめられる女性と。 上司としてはリスクヘッジのために欠勤しても影響のないタスクをあてるがその結果「達成感や成長の実感を味わう機会が少なく、また自分がチームのお荷物になっているという罪悪感を抱きやすいことから、女性は適応するためには図々しくなるか、自らの就労意欲を下方修正することが必要になる」(51)

「やっぱり女性はダメだ」という認知バイアス。「女性や母親と言う目立った特徴があることで「こどもを生んだ女性は仕事への意欲が低くなる」と一般化されて批判される傾向」「こうした職場環境では、自信のある男性と、自己評価の低い女性が育ちやすく」(65)
→そして、こうした他者からの認知バイアスを、当事者である女性が、内面化してしまいがちだということ。

手間や時間が愛情の指標になるような価値観から、次世代を解放してあげてください」「海外の母親は毎日キャラ弁を作りませんが、彼女たちのこどもにかける愛情は日本の母親よりも少ないと思いますか?」(184 )
→私自身、朝、中高生の弁当を作っていますが、ワンコイン渡して食堂に行ってと言えばいいところを、少々無理してもできるだけ弁当詰めようということもあり、そしてそれがいやでもなく、自分の内なる母規範を感じることがあります。

帯にもある△「権利主張型」と〇「組織貢献型」の二項対立や、「女性に対して能力開発の機会を提供することで、女性たちは権利主張者から組織貢献者に変わる」(116)というところには、正直ひっかかるのですが、4章の「ぶら下がりワーキングマザーvs働きがい」で詳述されている趣旨はよくわかります。 悪代官のように「悪意を持つ個人を退治することが問題解決になる」構図は社会では多くない、ということ。「個人の力ではどうしようもないこと…または個人が無関心であることが積み重なって、構造として問題が発生している」(181)

→自分のことを考えると大学教員という仕事は組織に貢献してさえいればよいわけではありません。個人プレーも大事というか、自分の研究を続けること、その成果を発表することは、やはり、とても時間がかかり、また、気力のいることで、そのためには、権利主張が大事というか、自分の時間とスペースの確保がかなり大事になるのです。そのあたりの職業別応用編については、各読者の宿題、ということでしょうー。

働く女子のキャリア格差 (ちくま新書)

働く女子のキャリア格差 (ちくま新書)