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今年見た映画
フォードvsフェラーリ
バッドボーイズ フォー・ライフ
ナイブズ・アウト
1917
ミッドサマー
初恋
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒
PSYCHO-PASS3 FIRST INSPECTOR
デッド・ドント・ダイ
許された子どもたち
透明人間
海底47m 古代マヤの死の迷宮
ディック・ロングはなぜ死んだのか?
Fate/stay night Heaven's Feel Ⅲ.spring song
ブルータル・ジャスティス
TENET
鵞鳥湖の夜
スパイの妻
羅小黒戦記
MANK
Fate Grand Order 神聖円卓領域キャメロット Wandering;Agateram
仮面ライダーゼロワン REAL TIME
ビルとテッドの時空旅行
配信
タイラー・レイク
オールド・ガード
悪魔はいつもそこに
ザ・ファイブ・ブラッズ
シカゴ7裁判
マザーレス・ブルックリン
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今年良かった映画ベスト10
・ミスター・ガラス
人間の想像力が生み出す物語、そしてその物語を信じる人間の強さ。
それに対する賛歌をずっと撮ってきたシャマラン監督による圧巻のヒーロー映画。
直近の『スプリット』はともかく、『アンブレイカブル』の主要キャストがそのまま出てくれたのがかなり大きい。
・THE GUILTY
人の深淵を覗いていたらいつのまにか自分のそれに繋がってしまっていたというある種のホラー、あるいは憑き物落とし。
ほぼ電話ごしの声だけを相手にしての一人芝居をやり通したヤコブ・セーダーグレンに拍手。
・スパイダーマン:スパイダーバース
コミックを読んでいる感覚に限りなく近づけるビジュアルと一人の少年がヒーローとして目覚めるまでの丁寧なストーリーテリングの融合。
何度も目にしてきたピーター・パーカーの足取りをなぞりながら、そのピーターのくすぶった心に火を灯し、自分も飛び立つマイルスの鮮やかさ。
・スノー・ロワイヤル
話が進むごとに「理想的な市民」だったはずの主人公の内の虚ろさが露わになるえげつなさ、そしてそれをやんわりとなだめすかすような笑いの数々。
正気を失ったかのような乱痴気騒ぎの果てのあの夜明けの美しさよ。
・仮面ライダージオウ Over Quarzter
「それを言ったらお終いだろ」なんだけど、それを言えるのは平成ライダーだけだし、それを言えるタイミングもここしかなかったのは確かなので、もう観念するしかなかった。
・アルキメデスの大戦
自らの信念、強迫観念、美意識……そういったものに溺れ、殉じ、時代の荒波に消えていく男たちの姿。
田中泯があまりにも魔性すぎて完全に屈服してしまう。
・ゴーストランドの惨劇
正気じゃない現実から逃げ出すための正気のような幻。
幻で現実は変わらないけど、幻によって変わった自分は現実。
「心の傷なんてものは目に映らないので」と言わんばかりの傷と痣と泡のつるべ打ちはさすがにパスカル・ロジェである。
・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
正気じゃない現実から逃げ出すための正気のような幻。
幻で現実は変わらないけど、幻によって変わった自分は現実。
とまあ、書いたんですけど、実際似たような構造ではあると思うんです。
ただこっちは「変わった自分」が登場人物ではなく、観客を想定しているのが違う。
・クロール
・ドクタースリープ
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今年見た映画
ワイルド・ストーム
Fate/stay night Heaven's Feel 2.lost butterfly
ミスター・ガラス
アクアマン
THE GUILTY
スパイダーマン:スパイダーバース
ハロウィン
魂のゆくえ
シャザム!
ザ・フォーリナー
名探偵ピカチュウ
プロメア
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
スノーロワイヤル
ハウス・ジャック・ビルト
X-MEN:ダーク・フェニックス
スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
凪待ち
ゴールデン・リバー
さらば愛しきアウトロー
仮面ライダージオウ Over Quartzer
アルキメデスの大戦
ゴーストランドの惨劇
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
記憶にございません!
アド・アストラ
ジョーカー
ジョン・ウィック:パラベラム
HiGH&LOW THE WORST
クロール
ジェミニマン
ターミネーター:ニュー・フェイト
すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
ドクタースリープ
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション
ポーラー
トリプル・フロンティア
アイリッシュマン
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大阪市内にあるアメコミバー、クロスオーバーさんで開かれたキャプYさん、もとい翻訳家の吉川悠さんのトークショーに行ってきた。
今回のトークショーは「フランク・ミラーとバットマン」がテーマということでキャプYさんが翻訳して刊行したばかりの『ダークナイト:マスター・レイス』なども絡めての大変濃密な時間でした。
以下、ざっとした覚書。
・ミラーのバットマンはニーチェの超人思想をベースにした善悪の彼岸を超える存在である。極めて治安の乱れた社会だからこそヒーローとして受け入れられる余地のある存在。「我々は犯罪者だ」というセリフはそれ故に出てきた。『シビルウォー』の原作でのキャプテン・アメリカの主張をより極端にした存在と言えるかもしれない。
・そのような苛烈で強烈な存在であるバットマンをDKRではコミックの枠線で演出する。枠線を破壊し、乗り越える。枠線は檻。テレビ画面という枠線に閉じ込められているアナウンサーやタレントたちとの対比。
・ちなみにDKRやウォッチメンのような3×3、4×4コマ構成はアーティストがめちゃくちゃ大変らしく、「SENさんもシャザムでやることになって苦労していた」とのこと。
・DKRはレーガン、DK2は911、DK3はトランプとその時々の社会情勢の影響を受けている。
・特にDK2はDKRが自分の考えとは違う受容をされたことに対するケジメとして、ヒーローたちによる痛快な活劇を描こうとしたが911で方針が狂ってしまった。
・DK3がとっちらからずにきちんとした構成になったのは恐らくアザレロが頑張ってミラーのアイディアを整理したからではないだろうか。いわくつきの『ホーリー・テラー』と同じようにムスリムへの偏見も見えるが『ホーリー・テラー』ほどのやばさは無い。
・ミラーの表現者としてのスタンスはあまりぶれない。権力者、マスコミ、警察……etcへの不信や怒り。「DKシリーズを手がける時には怒りを維持し続ける必要がある」と語ったそう。
・DKシリーズは次作が最終章になるらしいが、いつ出るのかさっぱり分からない。そもそも次に手掛ける予定だったスーパーマンはどうなった。
・ミラーはDKシリーズでの描かれ方から「スーパーマン嫌いではないか」と言われるが「そんなことはない。むしろ初めて好きになったヒーローはスーパーマン。バットマンにフォーカスするとどうしてもああいう役回りにせざるをえない」と主張しているとのこと。
・ミラーはキャリーに対して思い入れが深い。娘のような存在。ヴァリアントにやたらキャリーが描かれているのはミラーの意向なのでは……?キャリーを主人公に小さい子供向けの作品をやりたがっているらしい。
・ミラー、昔は自作の模倣に思うところがあったが、最近は「自分自身も色んな人が作り上げてきた創作の流れに乗ってきたのだと気づいた。後続のクリエイターも自分を模倣しながら新しい流れを作っていくのだと考えると腹が立つこともなくなってきた」という境地らしい。
・DK3と同じくトム・キングの『ミスターミラクル』、スコット・スナイダーの『ダークナイツ・メタル』、ジェフ・ジョンズの『ドゥームズデイ・クロック』といったDCのトップライターの近作はいずれもトランプ政権下の空気を織り込んでいる。
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今年良かった映画
「信用できない語り手」映画というのは割とずるいと思っているのだけれど、それはそれとして暴力描写のキレとちょっとベタではあるけどグッとくる主人公の想い、そして無間地獄めいたラストカットに痺れた。
「復讐、それだけが生きる意味になりえるんだよ」と五十嵐隆は歌ったけれど、その「生きる」に纏わりつく怒りや悲しみのやるせない重さに丁寧に向き合った作品。後半というかあのろくでなしの保安官にフォーカスしてからの展開が好き。あの最後の道行きの空気も凄く好き。
いくつもの理不尽が重なって追い込まれたスパイの世界で秘められた素質が開花する、という話ではあるんですけど、他であんだけアクションやってるジェニファー・ローレンスを呼んできて、こういう感じで撮るというのは妙な新鮮さがあって、良かった。完全にやさぐれにやさぐれ、枯れに枯れたジェレミー・アイアンズも眼福である。
少年少女の鬱屈から暴力へとつなげていく手腕はさすが内藤監督という手さばき(原作が原作ではあるけど)。雪と血の調和。それはそれとして百合の彩度と密度の濃さに脳が痺れた。
音できちんとすべてを語らなければいけない、というところに全力で挑み、そしてやり遂げたのが凄い。それはそれとして足にも全力投球なのがさすがの山田尚子である。
ある種の境界線が確かにあり、そこには別の法があることを血と雪と暴力とジェレミー・レナーの真顔で見る者に叩き込んでくる。
そこにあるものをカメラで切り取ることにより、見慣れたはずのものが異様な何かに変わってしまうという魔法が確かにここにはある。
AOU以降のMCUで一番好き、かもしれぬ。マクガフィンの奪い合いという古典的なアクションでも、やっぱり撮りようなんですよね。単純にカーチェイスが好きというのもある。
・イコライザー2
家に帰る、というところに至るまでに生み出された無数の死体を考えると辛いですね、マッコールさん。俗に言う「なめてた相手が殺人マシーン」映画として並び称される『ジョン・ウィック』シリーズの同じ2作目と比べると、こっちの方が帰結としてしっくりきた。
・テルマ
君と銀の庭。
・ボーダーライン ソルジャーズ・デイ
人と人が集まることにより生まれるこの圧倒的な理不尽、法に縛られることのないこの理不尽よ。という渋面の下で暴れまわる「ヘリと車両をかっこよく撮りたい」という偏愛のきらめき。
・魔女
「脳の使われていない部分を目覚めさせることで超常の力を……」云々という使い古された設定から生み出されたSF異能アクションの最先端の形がここに。そこに至るまでの人情噺も生き生きしてて良いんですよね。
・恐怖の報酬【完全版】
『地獄の黙示録』しかり、ジャングルというのは何故にここまで力を持っているのか。そしてその力の奔流を役者に容赦なくぶつけていくフリードキンの恐ろしさよ。
・ホールド・ザ・ダーク
延々と主人公がよく分からないまま巻き込まれる陰鬱・陰惨・無残の嵐を一緒に見届けた後のこの妙な脱力感がクセになっている、のか?本当か?中盤の籠城戦の地獄絵図は白眉。
・仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER
仮面ライダーは、いる。
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今年良かったアルバム
NAO『Saturn』
Chara『Baby Bump』
The Internet『Hive Mind』
Eartheater『Irisiri』
The Novemvers『Live sessions at Red Bull Music Studios Tokyo』
PALM『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』
Portal『ION』
KID FRESINO『ai qing』
Black Eyed Peas『Masters of The Sun』
Jack White『Boarding House Reach』