千の風になって

はやぶさが帰還しました。打上げ時より継続的に追いかけてきた僕的には、昨夜は複雑な想いでニュースを待っていました。頭では大気圏突入ではやぶさが燃え尽きてしまう事がわかっていても、JAXA発表の大気圏突入の解説図のレベルでしか認識できませんでした。

ニコニコ生中継に接続できず、和歌山大のサイトも不調で、しかもプライベートな用事で電話をしながら、時々はやぶさツィッターを確認して、文字情報だけではやぶさの行方を追っていました。

夜1時過ぎ、ようやく電話が終わったところで、NHKのニュース映像を見ました。最初は、正座して敬礼しちゃおうかなと思っていましたが、あまりに見事な花火のような最後を見ながら、頭の中に浮かんできたのは、「千の風になって」でした。

Do not stand at my grave and weep,
I am not there, I do not sleep.
I am in a thousand winds that blow,
I am the softly falling snow.
I am the gentle showers of rain,
I am the fields of ripening grain.
I am in the morning hush,
I am in the graceful rush
Of beautiful birds in circling flight,
I am the starshine of the night.
I am in the flowers that bloom,
I am in a quiet room.
I am in the birds that sing,
I am in each lovely thing.
Do not stand at my grave and cry,
I am not there. I do not die.

はやぶさに興味を持っている人がこれほどいるとは思わず、一夜明けての話題の盛り上がりに感心しつつも、この閉塞感ただよう時代に、ひとつの明るく大きなメッセージを僕たちに与えてくれたのだと思うに至りました。それぞれの方が、トラブルに遭い強運で乗り越えていくはやぶさの姿と、どんなトラブルに遭ってうも最後まで諦めずに、そして淡々と、はやぶさを信じて運用していた関係者の姿に、それぞれの人生の想いを載せていたのだと思います。僕自身も、当初こそスペースオデッセイ的なわくわく感から始まりましたが、アチャー、まさか、ドキドキ、流石、ハラハラ、しんみりと幾多の感情の変遷を体験させていただきました。ホント、下手な映画の何百何千倍も楽しませてもらいました。

最後に、川口プロジェクトマネージャーの記者会見の言葉を引用させていただきます。

今日ではやぶさは終わるが、技術の風化と拡散が始まっている。伝承する機会がもう失われているかもしれない。
これを理解してもらい、将来につなげるミッションを立ち上げる必要がある。
6月14日0時記者会見にて

マイナス方向、縮小方向の話題に終始する政治経済環境の中で、一服の清涼剤に満足するのではなく、未来に向けて新しいチャレンジを継続していくように。自分自身にも言い聞かせつつ。

忌野清志郎

忌野清志郎の訃報を聞いた。

とっぽい格好、独特の歌声、奇怪なパフォーマンス、反発心にあふれた歌詞。昔風の言い方をすると、PTAが「教育上よくない!」と全否定するような存在。でも、リアルタイムの世代にとっては、妙に温かい。「それで良いのだ」と思わせてくれた。

隠れファンが多い人だった。僕もその一人かも知れない。生まれて始めて歌ったカラオケは雨上がりの夜空に。僕が歌うと、「何故お前が?」という反応。実は隠れファンだよと。すごーく酔っ払った時にしか歌えないスローバラード。大好きな曲だけど、しらふでは恥ずかしい。

5月2日の夜、久々に遅くまで飲んでいた。
行き着けの小料理屋が移転のために閉店した。30年続いたお店の閉店のお祝いに1升瓶を持って駆けつけた。昔から番長格だった大将。曲がった事が嫌いで、とても優しい人だ。大将と客全員へべれけに酔う。
2軒目。音楽好きの若いマスターのお店。その日も音楽の話で盛り上がる。清志郎の話も出た。
「そろそろチェックさせてよ」とマスターが言ったのが3時30分。

テレビをつけっぱなしで寝てしまい、夢うつつの中でテレビが清志郎の名前を連呼しているのを聞く。
段々と覚醒してくるにつれて、それが訃報だと気づいた。

合掌(-人-)

日本製品の品質劣化について考えてみる

二月以降に納品された製品の初期不良率が並じゃない。

くまくまことkumakuma1967の出来損ない日記「日本の家電メーカーはもうダメかもわからんねぇ

(抜粋)しかしどうなんだろ、日本製品がすでにヨーロッパ製に負け始めてるってのは本当なのかな。舶来品(笑)にはあまり興味が無いものでようわからん。

すなふきんの雑感日記「あれ、本当に日本オワタの?

僕には、
為替相場(元・ウォンなどとのクロス)の関係で、低品質の海外品があまりに安い
・デフレが長く続いたため、消費者側の嗜好が変わり、低品質低価格品を好んで買うようになった
この2点から、日本メーカーであっても、低品質低価格品ラインナップを用意せざるを得ず、そういう製品は製造の海外シフト(OEM、海外委託生産、自社海外工場など)をしているのかなと。で、日本製品のイメージであった高品質高価格品は国内製造しているけど、国内市場ではチョボチョボしか売れず、金融危機以前の海外市場では売れていたので、勢い各メーカーの輸出依存度が上がっていたという事なんじゃないかなと思うわけです。つまりは、正常な生産拠点のシフトと、そしてデフレという国内要因。*1

そもそも、低価格低品質品は、量販店での価格競争に曝されていますので、メーカーに大した利益があるとは思えないんですよね。一方、ブランドイメージなどで、市場価格より高めで売れる品は、高付加価値(=粗利益大)なわけで。で、金融危機で輸出の市場が止まると、突然、高付加価値市場の売上が下がって、粗利益が売上減少率以上に減少(=販管費をカバーできなくなる)みたいな*2

あと、付け加えるなら、家電量販店やGMSは基本的に「価格オンリー」のシグナリングでして、街の電気屋さんと違って、店員さんの品質情報の説明は、間違っていても消費者には報復手段が無いわけです*3。そしてデフレの結果、品質情報無視して価格オンリーで買うお客さんも増えちゃってるように見えるわけで。その辺の情報の非対称性でマーケットがレモン化しはじめちゃっているんじゃないかみたいな*4。食品偽装と似たような構図だけど、こちらは違法ではないみたいな。ここまで来ると、ただの妄想。

自分も、数年前に「メーカー品の半値」で売られていた怪しい布団乾燥機を買ったら(幸いにして)3回使用で通電しなくなった事*5がありました。これは中国製でして、ある意味自業自得なわけです。故障リスクもそうですが、布団乾燥機から出火する事態を想定していなかったわけで、今は自分の不明を恥じています*6

それはそれとして、構造改革論者が言うシバキアゲ経済政策が経済成長をもたらす可能性が非常に低いであろうという点については全く同意。

*1:ついでに言うと、欧州の製品でも日本で売られるような奴は、ちゃんとブランドが確立して世界市場で好評を博している高品質高付加価値品じゃないかと想像する次第であります。業務用調理器なんかはそうですね。

*2:だから、製造メーカーさんの本音は派遣切りではなく、正社員切りだったりするわけです。あまり話題にはなっていませんが。

*3:街の電気屋さんだと、町内の評判という形で報復されますので、いい加減なものは薦められません。

*4:これを称して日本の製造業オワタという事なのか

*5:多分、ヒューズが飛んだと思う

*6:中国製については、椅子の空気バネが爆発して、肛門にシャフトが刺さって死亡なんて事故が中国で起きていまして。ありえそうに無い製品でも、本当に人命にかかわる事故が現に起きているのが怖いところ。

為替って

最近、なんか政治の流れを見つつ悲観的になっているわけですが、かつて想定したように自動車の在庫調整がそこそこ見えてきたみたいで、まあ、ある意味想定の範囲内で推移していて・・・お国がゴタゴタしていても民間は勝手にやってますみたいな情況であります。何かしてくれたらもうちょっと皆楽だったのにと思いつつ*1

で、昨今、中川(酒)氏とか、小沢(西松)氏の話が出るたびに、市場関係者談話で為替が下落したのは彼らが悪いみたいな事がマスコミ報道で出てきたりするわけですが・・・なんかなぁと思います。そんな単純な理由で為替が変動するわけでもないし*2、まあ、そもそも自動車をはじめとする輸出企業的には円安は喜ばしいはずなんですよね*3

為替なんて誰も予想できないわけで、何かあるたびに無理やり政治に結び付けて論評するのって、読者を馬鹿にしすぎていませんか?いわゆる駄目な議論の典型です。関係ない事を関連あるように論じているだけかなと。少なくとも、僕は、そういう論調で為替を引き合いにして政治批判している意見が載っているメディアとか見ると*4、速攻でゴミ箱行きにしちゃったりするわけです。あまりにも読者(視聴者)を馬鹿にしすぎかなと。

今日はかなりへべれけ*5なので、かなり感情的な書き方だけど、そう思ってる人がいる事は知っていて欲しいと思ったりする今日この頃であります。

*1:まあ、これでこれまで何度も期待を裏切られた某党については二度と期待すまい(3回目かも)と決心した次第であります(関係ないか)

*2:中川(酒)氏は、確かに市場インパクトはあったかも知れないけど、便秘に浣腸くらいの感じかなと

*3:弊社もトータルで見ると円安が望ましいのですが、個別に見ると89円の時に輸入分のヘッジをしそこねたので悲喜チャンポン

*4:自分は基本新聞とか見ない人ですが

*5:日本酒18度を5杯と焼酎ロックで4〜5杯w

人として・・・

中川大臣が辞任して、後任は与謝野大臣の兼務ですか。一番恐れていた人選が・・・

個人的には、僕は中川大臣みたいな種類の人は*1、個人的には絶対にお友達にはなりたいとは思わないのですが、それでも最初に思ったのは「軽い脳梗塞じゃね?」でした。検査して、薬とアルコールの併用が原因だとの事で、まあホッとしました。麻生総理をはじめ、血圧高そうな人が多くて、健康問題はかなり心配です。

自分も不惑の年を過ぎて、健康が気になりだして、今日の晩飯はデンプン抜きにするため、近所の居酒屋さんで酒抜きで食っていたのですが、周りはいつもの常連さん(80台、70台、60台が各1名)がオールスターキャスト状態でお酒を飲んでいまして。中川元大臣のニュースが流れると、皆さん口々に、「なってない」「仕事をなんだと思ってる」「馬鹿だ」「これだからボンボンは」と、得意げに語っていたわけでして。仕舞いには「酒を飲むなんてけしからん」なんて、酒をあおりながら大声を張り上げているわけですよ。上海にお姉ちゃん○いに行くなんて自慢している人が、日本の恥とか言ってるわけですよ・・・。

横で見ていて、幾ら嫌いな人相手であってもああいう言い方をするような人間にはなりたくないなぁなんて思っちゃっていました。せっかく良い年齢を重ねられたんだから、もうちょっとお手本になって欲しいなぁと。80台の方なんて洒落た良い感じのお爺さんなんですよ。普段は。70台の人だって、ちょっとお説教臭い話をするときもあるけど、こちらの話を真摯に聞いてくれる人なんですよ。60台の人はただの飲ん兵衛ですが。

しかしなぁ、そんな喜んで他人を批判している場合じゃないと思うんですがね。なんというか、ここ十数年くらいの政治を見ていると、肝心要の時にとっても下らない事に時間を費やしたり、何か事件が起きたりして、結局何もできずに、ズルズル景気後退という情況が続いているわけですが、いまだに誰もそういう状態である事を問題視していない。住専救済の時も駄目、小渕総理は亡くなってしまう、その後は構造改革にうつつを抜かして・・・。

今後起きるであろう事態を予想して心配しようとしていないんですよね。誰か悪者をでっちあげて、そいつに対する文句を言わせてもらっていれば、それで満足なのかなぁ。もっと大事なこと、他にあるんじゃないかなぁ。

*1:思いっきり偏見だけどパっと見た目で判断すると

派遣という制度に振り回されるのは嫌だなぁ

派遣問題はくだらない話が多かったので、スルーするつもりだったけど、もう大分前にbewaadさんのところのコメント欄で書いた事も含めて、僕がおかしいと思っていることを今更ながらにまとめてみる。と、思ったけど、書いていたら、全くまとまらないので、「つぶやき」エントリーとして垂れ流してみる。

1.製造業の派遣が解禁されようが禁止されようが、期間労働者期間労働者
自動車産業の派遣削減が槍玉にあげられているけど、派遣が無かったら無かったで、期間工の大量解雇が行われて、結局は一緒だったと思う。製造業派遣が解禁される前だって、「トヨタ期間工」という単語には、ある種独特のイメージが伴っていた事を、多くの人は忘れてしまったのだろうか。被雇用者には解雇にあたって1ヶ月前の事前通告の縛りがあるから立ち上がりは遅くなるかも知れないが、派遣にも契約期間があるので、どちらがより急激な調整となっていたのかはわからない。

NHKの派遣の特番番組で、下請け企業の方が「派遣をカットするとノウハウが失われる」と危機感を訴えていたが、経営危機に際して解雇できないだけのノウハウを持った人を高い人件費を払ってまで*1派遣という形で雇用していたわけで、何かおかしいわけです。派遣という制度を選択していた本当の理由は別なはずですよね。
これは推測ですが、トヨタの看板方式に代表されるサプライチェーンの効率化*2により、その仕組みに対応できるか否かで下請け企業の淘汰と選別がおきました。その選別に残った下請け企業は単なる町工場から中堅企業へ成長します。そうなると、会社を運営するホワイトカラーの雇用が重要になってきます。ホワイトカラーの雇用は、有名企業ならまだしも、その辺の中堅企業は大変に不利です。給与や福利厚生を保証して人材を求めざるを得ません。しかし圧倒的多数を占めるブルーカラーまで含めて福利厚生を提供するのはコスト負担が重い。そこで、分社することでブルーカラー層を会社の諸規則*3から独立した存在にしてしまう。その際の受け皿として大企業は自ら派遣業の子会社を設立し*4、中小企業は派遣業者を利用する。大企業でも労務問題が面倒臭くなるほど大規模な雇用が必要だと派遣にしたりする。派遣にすると、面倒くさいタイプの人材*5も、「あの人は変えて頂戴」の一言で済んじゃうので楽というあたりではないかなと思います。一種の労務問題のアウトソーシングですね。つまりは、派遣規制で見えていなかった*6、その他の労働規制の隙間を利用して待遇面の差別化ができるようになった事で歪曲が生じたのが、ここしばらくの派遣の増加ではないかと思います。歪曲があるが故に派遣への移行がどんどん進み、結果的に直接雇用より高めの人件費で折り合うわけです。

件の会社では、派遣をカットしないために、正規雇用に切り替えていくむね、番組の中で宣言されていました。突然辞めさせられるよりは先に辞めてしまえなんていう行動に出る人がいたのでしょうか。下請け企業は熟練型労働が多いので、そういう対応をする会社も比較的多いでしょう。一方、元受である自動車メーカーも含め、下請けピラミッドの上位にあるアッセンブリー側の企業は非熟練型労働が多そうです。それゆえ派遣業規制が緩和される前から、パート社員・期間労働者を使用していたわけです。そして下請けピラミッドの下位ほど熟練労働に頼る形態なので、恐らく会社の倒産という形で雇用の調整を行うのではないかと思います。大企業の派遣カットと、中小下請け企業の倒産。まさに今起きている事がこれです。

2.そもそも日本の労働市場って、そんなに閉鎖的だったの?
派遣規制の緩和にあたっては、雇用調整の速度を高めるのが目的だったんですよね*7アメリカのレーガノミクスでは労使で行くと労側の権利が強すぎた事が問題とされ、航空機産業でレイオフされたまま次回雇用を待っている組合員の転職を促しましたが、日本にはそういう立場の人って見たことないんですよね。それなのに、労働市場規制緩和というキーワードだけが輸入されちゃった。

僕は労使問題の専門家でも何でも無いわけですが、僕が記憶しているキーワードは、むしろ労使の使側が強すぎるケースばかりで、日雇い・タコ部屋労働とかそういう歴史があって派遣業に様々な規制が導入されきたのが日本の労使問題の歴史だと思っています*8ワーキングプア問題は、タコ部屋問題時代と比較すると幸せな雇用形態ですが、それでも今の基本的人権の基準から見てどうなの?と思う人が出てくるわけです。

日本型雇用慣行の特徴として、終身雇用・年功序列というのがあげられるわけですが、実際のところ、これは制度としても契約としても存在していません。どこにも。単に、高度成長期に、企業間で人材の取り合いがおきた際に、他者に取られないための防御として、長期雇用しても良いという「空気」が存在したという程度の話だと僕は思うわけです。上記の派遣を正規化していくような中堅企業にとっては、特に重要な「空気」でした。学生さんも就職活動するにあたっては、大卒初任給・生涯所得の高低と、中途退職率を重視していたわけです。一方、自分の半径50mくらいを見ても、現実には銀行員となった人の7割は*9既に退職しちゃってるし、自分が最初に就職した某メーカーでも同期入社で残っているのは半分程度だし、自分の業界も中途採用比率は7割オーバーが当たり前ってな具合で、実際のところは結構多くの人材が移動しちゃっているわけです*10。再就職にあたっては、普通は大幅に年収がダウンするので、溜め込んだ貯蓄が尽きるまでは良い就職先を探し続けるという意味での摩擦的失業は確かに存在すると思いますが、いずれは貯蓄が切れるという意味で、レーガン時代の高失業率とは別の問題だと思うわけです。で、実際、イメージだけの存在なので被雇用者の多くはいまだに終身雇用・年功序列を信じている一方で、ちょっと成長率が下がるとガンガン解雇されているわけです。終身雇用なんて最初から存在していないんです。

そうすると、派遣業規制の緩和ってのが、何をしたかったのかがイマイチわからないのです。*11

3.じゃあ派遣業法の規制を元に戻したら万事オッケーなの?
というわけで、僕は製造業への派遣業の規制があろうと無かろうと、実際に起きる事はそんなに変わらないのではないかと思うわけです。少なくとも派遣という形態をとっている事で、現実の数字は表に出やすくなったし、昔のような本音と建前の入り混じった有耶無耶な状態ではなくなってきたのかなぁと思うわけです。

だから、派遣がどうとか正直どうでも良い事が多いのかなと思うわけです。強いて言うなら、正社員向けに規制があって派遣には適用されないケースってのは、立法の趣旨から言って同じような規制が援用されるべきでしょうが、僕はそのような規制がどこにどれだけあるか知りませんし、そういう事が話題に上っているのも見た事がありません。派遣問題を議論するなら、そこだと思うんですよね。*12

4.このエントリーにまで書くと牽強付会といわれそうだけど・・・
やっぱり派遣が問題なんじゃなくて、景気後退が問題なんだと思うよ。確かに正すべきある種の摩擦はあると思うけど、派遣規制を緩和するにしても、逆に規制を強化するにしても、現在の均衡点を動かしちゃうわけだから、雇用調整の幅が更に広がることになるのかも知れない。派遣規制緩和の時に反対していた僕が、派遣規制強化にも反対するのは、そういう事だったりするわけです。どっちにしても、やるなら景気の良い時にやってくれと。そして嘘の理由で規制をいじくらないで欲しいと。

で、そんな事より、ちゃんとマクロ的な対策を打とうよと思うわけです。景気循環の底を速やかに脱出する方法を、ちゃんと行おうよと。僕らは霞を食って生きてるわけじゃなし、マヤカシ的な手法だろうが悪魔的手段だろうが何だろうと、雇用が上向けば良いのだよと思う次第であります。

*1:派遣会社への支払い人件費は直接雇用より派遣の方が高いのが一般的。労働者に渡る給与は直接雇用より安く、差額は派遣会社のマージンとなる。

*2:先日のエントリーで高速道路化と書きました

*3:就業規則とか福利厚生規定とか

*4:銀行や商社の人は実例を良く知ってますよね

*5:労働運動に興味があるとか、精神的に不安定とか、解雇すると逆恨みして放火したり、最後っ屁で窃盗していきそうな人とか・・・

*6:あるいは同時に対応すべきだった対策が漏れていた

*7:土木作業員をプログラマーにするなんてわけのわからない調整を主張されていた大臣もいました

*8:上尾事件なんてのもありました。

*9:支店長競争に負けたとかの理由で

*10:年間の退職・中途雇用者数は少なくても、累積すると社員の大半が中途なんて事になってるわけです。

*11:まあ、派遣業の社長さんが規制緩和会議の委員にいたりする、「利害関係者って何それ?」みたいな事も現実にあったのでしょう。

*12:本音を言うと僕らの業界は製造業の派遣に散々人材を持っていかれていた経緯があるので、製造業の派遣を禁止してもらったら、人材がこっちにまわってくるのではないかと期待しちゃっていたりしますが、この件は僕も利害関係者なので自粛(笑)。

変なたとえ

政府紙幣発行をL&Gの円天に喩えて批判する人がいるらしいけど、流石にそれは喩えとして不適切じゃないかと思うわけだが。円天に喩えるなら、むしろ、弱小固定相場国が外貨準備枯渇に際して、劣後な外貨建て債券を発行して自転車操業するようなケースにすべきかなと。なんか、どうせ中身を見て判断する奴なんていねーんだから、適当にインパクトがある事件を取り上げて、「詐欺」っぽさを印象づけてやれみたいな、乱暴さを感じて仕方がありません。

まさか、国会議員ともあろう方々が、日本円の発行権は日本国政府が日銀に委託しているだけであって、本来は日本政府が発行権を有する事を知らないわけではありますまい。

ただ、最近の政府紙幣論争を見ていて思うのが、推進派な方も、政府紙幣という言葉のインパクトに依拠しきっちゃっていて、オールオアナッシングの議論にしすぎかなと思うわけです。政府紙幣に行く前に、裏で日銀と話をつけて政府短期証券の直接引き受けで逃げちゃうとか、財政法5条の特例を活用してみるとか、テーラー=溝口介入もどきとか、日銀法改正とか、インフレターゲットの導入とか、あるいはこれは金額的にはすずめの涙ですが記念硬貨を発行してみるとか、色々議論すべきオプションがあるはずなんですよね。どこまでだったら反対派の人が妥協できるのか、ちゃんと議論しているのかなぁ。心配です。

政治とは、目的を達成するために色々妥協調整するプロセスだと、僕は思っているのですが、なんか長州=藤波の遺恨試合を延々演じる事で、民衆の不満をそちらに振り向けて、一部熱狂する馬鹿が出て溜飲をさげさせる事で、政治的プロセスをストップさせる事が大流行みたいな感じに見えて仕方がありません。

というか、何故このタイミングで消費税増税の議論や、あるいは天下り対策なんかの話*1で、時間を費やしてしまうのか、全く謎であります。優先順位をちゃんと考えようよ。優先順位についても政治プロセスによる妥協調整が必要だと思いますが、巷の人の関心事はNo.1は調べなくても「景気と雇用の問題」だというのは明らかだと思うんですよね。それを無視していると、そのうちしっぺ返しくらうよ。某党さんわかってるのかな。

*1:これも大事な問題ではありますが、制度設計からしっかりやらないので、「禁止する→裏をかかれる→それも禁止する→裏をかかれる&弊害が出る・・・」の連鎖にしかならんわけで。