三つの鏡

 すっかりコロナ前に戻った混雑する通勤電車で、手鏡を見ながら化粧をする女性を時折、見かける。メイク中に急停車したら…と思ったりするが、自分の姿を鏡に映して見るさまは古から変わらない。
◆中国の名君とされる唐の第2代皇帝・太宗(李世良) と臣下の政治論議をまとめた『貞観政要』に"三つの鏡"の話がある。「銅で鏡を作れば、姿かたちを正すことができる。昔のことを鏡とすれば、国の興亡や盛衰を知ることができる。人を鏡とすれば、自分の良い点、悪い点を明らかにすることができる」(石見清裕訳注『貞観政要講談社学術文庫)。太宗は三つの鏡によって過ちを防げたとし、"人の鏡"として自らの非をいさめてくれる臣下を求めた。
◆また、「天下を安泰にしようとするなら、君主は必ずまず自分の身を正すべきである」と戒め、道理に外れる言葉によって、民衆から恨みの声、嘆きの声が上がり、国への離反が起こると説いた。指導者論の名著として日本でも読み継がれきた同書には"為政者は民衆を恐れよ"という考えが貫かれている。
◆あすにも衆院で開かれる政治倫理審査会。弁明する議員は誠実に語ってもらいたい。恐れるべきは野党の追及ではなく、国民の怒りである。(光)

 2024.2.27付 公明新聞 北斗七星
 まるで他人事のようであるが、与党である公明党はこの問題にどのように対応するのか国民に鋭く監視されていると知るべきである。
 お茶を濁すようであれば、一挙に国民の支持を失うであろう。

欧州で「日本のバラ」と呼ばれ人気

サザンカ
 寒い冬に直径が6~8cmの白や赤の美しい花を咲かせる木がサザンカです。この植物は、ウメ、ロウバイスイセンとともに、雪の中でも花を咲かせる「雪中の四友」と呼ばれ、私たちの身近で庭木や生け垣として親しまれてきました。
 子どもには童謡の「たき火」で、「さざんか さざんか さいたみち」と、口ずさまれます。大人には、どんよりとした冬空を背景に、不倫愛の切ない心を象徴する花として、1980年代のヒット曲「さざんかの宿」で歌われました。
 真冬の寒さの中で花が咲いても花粉を運ぶハチやチョウがいないので、タネを含む果実がなるのかと心配になりますが、夏には果実ができます。サザンカは、メジロヒヨドリなどの鳥に花粉の移動を託す植物なのです。
 植物には、日本で呼ばれる「和名」のほかに、国際的に通じる「学名」という名前があります。この植物の学名は「カメリア サザンカ」です。「カメリア」は、ツバキの仲間であることを示し、「サザンカ」は和名です。
 和名が学名にそのまま使われるのは珍しいですが、この植物の原産地は日本であり、江戸時代、長崎の出島に来ていたスウェーデンの医師ツュンベリーにより、ヨーロッパへ紹介されたからです。そのため、英語名も和名と同じ「サザン力」で、ヨーロッパでは「日本のバラ」とも呼ばれ人気があります。
 この植物の花は、ツバキの花とよく似ていますが、花びらの落ち方が違います。「サザンカの花は、花びらが一枚ずつバラバラになって散る」といわれるのに対し、「ツバキの花は、花ごとポロリと落ちる」といわれます。
 このような違いがあるのですが、花の咲く時期がサザンカは12月から2月で、ツバキは2月ごろからです。そのため、花びらの落ち方で識別する機会は、それほど多くはありません。 甲南大学特別客員教授 田中 修

 2024.2.17付 公明新聞 花と緑の豆知識 11
 こんな記事もあったのですね。

凡人とは

 デンマークの哲学者キルケゴールは、著作『現代の批判』の中で“情熱のない時代は、ねたみが、傑出する人の足を引っ張り、人々を否定的に水平化する”と述べ、それを打破するには一人一人が「不動の宗教性を獲得するしかない」(桝田啓三郎訳)と強調した。
▼この思想が世界で注目されたのは、彼が42歳の若さで世を去ってから半世紀も後だった。なぜ、これほど深く時代を洞察できたのか――。池田先生は語った。「彼が自分の寿命が短いことを自覚し、その短い生涯のうちに、なすべきことをなそうと戦ったからです」
▼先生自身もまた、1日を1カ月分にも充実させる思いで戦った。いつ倒れても、今日死んでも悔いはないとの覚悟で生き抜いた。それは恩師が描く広布の構想を実現し、弟子の模範を後世永遠に残すためであった▼誰もが今世の命には限りがある。だからこそ「今」を全力で生きる意味や価値を自覚できる。先生は論じた。「『英雄』とは、『自分にできることを、すべてやった人間』であります。凡人とは、自分にできないことを夢見ながら、自分にできることをやろうとしない人間であります」と
▼自身が定めた広布の使命を、時を逃さず果たしゆく。その人こそ、真の英雄である。(白)

 2024.2.14付 聖教新聞 名字の言

 「賢人は安きに居て危きを歎き佞人は危きに居て安きを歎く」
    富木殿御書(止暇断眠御書) 御書全集P969

フレッシュスタート効果

 今年20歳を迎える女優の芦田愛菜が語った新年の抱負に感心した。3日に放送された「サンドウィッチマン芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日系)の中で「慮(る)」の一字を記し、思慮分別のある人、友達や周りの人に気遣いできる人になりたいと。
◆新年や誕生日などの節目に目標を立てると、達成率が高くなる「フレッシュスタート効果」と呼ばれる現象がある。心理学および行動経済学の概念の一つで、新しい期間の始まりは積極的な行動や変化を起こしやすくなるという。
◆「2024年に挑戦したい大人の習い事ランキング」(ストアカ調べ)によると、男女共通の1位、2位は「料理」と「英語」。「料理」はコロナ禍による健康志向の増加、「英語」はグローバルなコミュニケーションの重要性が高まっているからだと分析している。
◆新年に目標を立て、取り組みが継続している人もいれば、すでに三日坊主となってしまった人もいるかもしれない。
◆『続 道をひらく』(松下幸之助著)の「今からでも」に「毎日が年のはじめで、だから毎日計画を立てなおして、毎日思いを新たにして、毎日誓いを立ててみて⋯」とあった。この1年、目標達成に向けて頑張り続けたい。(越)

 2024.1.12付 公明新聞 北斗七星より

共感疲労

 災害映像 共感疲労に注意
 専門家「離れる時間持って」

 能登半島地震以降、テレビやらSNSでは倒壊した家屋や火災で全焼した市街地の映像が連日流れている。自分の事として災害を捉え、精神的につらくなる「共感疲労」に陥る恐れもあるが、専門家は「映像から離れる時間を持ち、気持ちを切り替えることが必要」とアドバイスする。
 災害時のメンタルケアに詳しい桜美林大の池田美樹准教授によると、共感疲労はショッキングな映像を見たり、つらい話を聞いたりして共感を覚え、心が疲れた状態をいう。「被災地は大変なのに普通の日常を送っていいのか」と自責の念に駆られ、後ろめたさを感じることもある。
 他者への思いやりが強い人や、過去の被災体験でトラウマを抱える人などが共感してしまいやすいといい、池田氏は「不眠や注意力低下のほか、腹痛といった消化器系の症状がある場合は専門医などに相談してほしい」と呼び掛ける。
 共感疲労を防ぐには、テレビやらSNSを見続けないことが重要で、他の用事をしながらの「ながら見」は、心の準備ができていない状態で惨状が目に入ることもあり注意が必要。不安を周囲に話すことや、災害は自分自身に起こっていることではないと意識することも大切という。

 2024.1.9付 公明新聞より

小さな障害は、笑いの種

 池田先生は、スピーチやエッセーなどでモンゴメリと彼女の作品に光を当ててきた。

 "アンの言葉"を通して先生が語った指針に、こうある。
 「『わたしはね』『小さな障害は、笑いの種だと思い、大きな障害は、勝利の前兆だと考えられるようになったの』
 大きな障害は勝利の前兆──いい言葉である。状況が厳しければ厳しいほど、強気で人生を生き抜いていくことだ。勇気をもって、断固として前へ、また前へ、突き進んでいくことだ。
 御書には、『わざはひも転じて幸となるべし』(全P1124・新P1633)と仰せである。皆さまには『祈りとして叶わざるなし』の妙法がある」(2003年9月5日 海外代表協議会でのスピース)

 2023.12.27付 聖教新聞 ヒーローズ 逆境を勝ち越えた英雄たち 第37回 L・M・モンゴメリ抜粋

人生の主人公は、あなただよ

 ギャルマインドで世界をハッピーに
 ──第2章「自己肯定感を上げる魔法のギャルワード」には励まされました。今の若い世代にとって、「自己肯定感」は大切なキーワードだと思います。
 「人生の主人公はいつだって自分!」──このことを忘れないでほしいです。
 ギャルマインドを持つことは「自分が超大好き」になることでもあります。自己中みたいに思われるかもしれませんが、自分を大事にできる人の方が、人に優しくできる人だと思います。
 誰かと比べて「負けているな」と思ったとしても、「その人とは"競技"が違うだけ」と割り切って、自分の得意分野で勝負すればいい。人のキラキラした一部だけを見てうらやましがる時間がもったいないです。「自分は自分、他人は他人」なので、自分の魅力を見つけて、自分世界をもっと広げてほしいです。
 「自分にいいところがない」と思う人がいるかもしれませんが、絶対にそんなことはありません!仲の良い友達に聞いたりすれば、自分では気づけなかった意外な発見があるはずです。
 ──若者世代にメッセージをお願いします。
 「やりたいことをやれ!」ですね(笑)。「ワンチャンうまくいくかも」のノリで挑戦して、うまくいったら「超ラッキー!」くらいの気持ちで、いろんなことに挑戦してもらいたいです。
 ネットやテレビのニュースを見て、暗い気持ちになることが多い時代です。だからこそ、ギャルマインドが大切になってきます。「心の中のギャル」に耳を傾けながら、今をしっかり楽しんで、人生を明るく、強く、進んでいきたいですね。私もギャルカルチャーを通じて、もっと日本を明るく、ハッピーにしていきます!


 赤荻 瞳(あかおぎ・ひとみ) 埼玉県生まれ。ガールズマーケティングを手がける株式会社エムアールエー代表取締役社長。高校生から渋谷のサークル「ギャルサー」で活動。2018年3月にギャル雑誌「egg」のweb編集長に就任。19年、雑誌を復刊。そのビジネスの手腕に注目が集まり、メディア出演など自ら表舞台に立って渋谷カルチャーをけん引。23年4月、「渋谷女子インターナショナルスクール」の校長に就任。

 2023.12.20付 創価新報 新報インタビュー抜粋